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書に耽る猿たち https://honzaru.hatenablog.com/

本と猿をこよなく愛する。本を読んでいる時間が一番happy。読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる色々な話をしていきます。世に、書に耽る猿が増えますように。

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2020/02/09

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  • 『ベートーヴェンの生涯』ロマン・ロラン|オーケストラを聴きたくなり、思わずウクライナ国立歌劇場管弦楽団の演奏チケットを購入した

    『ベートーヴェンの生涯』ロマン・ロラン 片山敏彦/訳 岩波書店[岩波文庫] 2025.06.17読了 耳が聴こえないのに「運命」を作ったベートーヴェン、目が見えないのに「睡蓮」を描いたモネ。彼らには普通の人には見えない何が見えて(感じて)いたのだろう。 天才作曲家といえばモーツアルト、バッハ、ショパンらがいるけれど、私自身圧倒的にベートーヴェンが好きだ。「運命」(日本でこのタイトルになっているだけで、本来は「交響曲第5番」)なんて、よくぞまぁこんなドラマティックな音調が奏でられるものかと思う。他の人の曲よりも好きだとはいえ「運命」以外には「田園」や「エリーゼのために」位しか曲名はわからない。聞…

  • 『踊りつかれて』塩田武士|切り取られた一部だけを醸し出されるSNSの恐ろしさ

    『踊りつかれて』塩田武士 文藝春秋 2025.06.16読了 序章「宣戦布告」を読みながら、この調子がずっと続くのはちょっとキツイなぁと思っていた。これは、突如としてあるブログに現れた告発文だ。お笑い芸人天童ショージは、不倫の末バッシングを受け家族にも被害が及び自殺する。また、人気絶頂の歌手であった奥田美月は、口汚い言葉をテープレコーダーに撮られて発信させられたことでSNSで炎上しその後姿を消した。 天童ショージも奥田美月も、その場だけを切り取られてしまったもの。世間は2人の何を知っているのだろう。彼らを舞台から降ろさせた、SNS上で匿名で誹謗中傷をする奴らを、この「宣戦布告」で落とし入れた。…

  • 『ニュークリア・エイジ』ティム・オブライエン|想像力がなくては前に進めない

    『ニュークリア・エイジ』ティム・オブライエン 村上春樹/訳 文藝春秋[文春文庫] 2025.06.13読了 表紙のイラストに描かれた男性が何を掘っているのかって、それはもうシェルターを作るためだ。1995年のアメリカ・現代パートで、ウィリアムは妻ボビと娘メリンダから「いかれてる」「翔んでる」と言われ離婚されそうになりながらも穴を掘ることをやめない。穴のほうが「掘るのだ」と叫んでいる。 冒頭で筆者は「重要なのは実際にそこで起こった物事ではない。起こったかもしれないこと、またある場合には、起こるべきであったこと、それが重要なのだ」と述べている。最初は意味がわからなかった。結果がすべてじゃないの?と…

  • 『銀河鉄道の夜』宮沢賢治|心を抉られる深い深いお話たち

    『新編 銀河鉄道の夜』宮沢賢治 新潮社[新潮文庫] 2025.06.11読了 久しぶりに宮沢賢治さんの作品を読んだ。子どもの頃にはたくさん読んだ記憶はあるが、大人になってからちゃんと読んだことはあったろうか。15〜16年前に岩手に旅行をしたときに「宮沢賢治童話村」を訪れたが、そもそも地域全体がイーハトーブづくしだったなぁ。旅行先で『注文の多い料理店』みたいなレストランに入った気がする。 この本には14の短編が収められている。有名な作品もあれば初めて知った作品もある。『よだかの星』はこんな話だったっけ。タイトルだけで内容を忘れてしまってる作品ばかりだ。食物連鎖について書かれた作品だが、今でいうル…

  • 『モンゴル人の物語 Ⅰ チンギス・カン』百田尚樹|百田さん独自の解釈がおもしろい

    『モンゴル人の物語 第一巻 チンギス・カン』百田尚樹 新潮社 2025.06.10読了 出来れば全巻一気に読み通したいタイプだから、最終巻まで刊行されてから読みたいのだけれど、この本は何巻まであるかが明らかにされていない。どうしたものか。けれど元々文芸誌に連載されていたものは既に連載終了になっているし、最終巻も見えているだろうと思い1冊ずつ読むことに。 最近百田さんの本を読んでいなかった。百田さんのなかで私が好きなのは現代小説よりも『幻庵』や『日本国紀』のような歴史小説だ。だからこの『モンゴル人の物語』も楽しみにしていた。遠い異国の地モンゴル、今から800年以上も前にこんなに壮大な物語があった…

  • 『南風に乗る』柳広司|沖縄に真摯に向き合おう

    『南風(まぜ)に乗る』柳広司 小学館[小学館文庫] 2025.06.08読了 沖縄には会社の研修旅行で那覇に2回訪れたことがある。美しい海、住民の大らかでのんびりとした空気感、ソーキそばやステーキ等沖縄独特の料理を素朴に楽しんだ。初めてのスキューバダイビングは良い体験になった。しかし、これを読んで沖縄の歴史をちゃんと学んでいなかったと思い知らされる。 本土が講和条約で沖縄を切り捨てた。アメリカ軍の沖縄支配は実に27年にも及んだ。その期間ずっと戦い続けた沖縄の人のことを私達は忘れてはならない。この作品は、沖縄が「沖縄県」として、つまり本土に復帰するまでの長い道のりを描いた重要な歴史小説だ。読んで…

  • 『フェアリー・テイル』スティーヴン・キング|コロナ禍に巨匠が作った大人のためのファンタジー

    『フェアリー・テイル』上下 スティーヴン・キング 白石朗/訳 文藝春秋 2025.06.05読了 フェアリーテイル、つまり「おとぎばなし」と名付けられたこの小説。あのキングが「おとぎばなし」というタイトルをつけるなんて、真っ向からファンタジーじゃないの。まぁキングはファンタジー要素がある作品も多くお得意の分野。そしてこの小説はハッピーエンドになると断言されているから、特に恐怖やドキドキはなくゆったりとした気持ちで読書に入り込めた(キング作品としては珍しく)。 コロナ禍で引きこもっている時にこんな大作を書いていたとは。世界を混沌の渦に巻き込んだコロナウイルスだったけど「いつか必ず晴れる日が来る」…

  • 『狐花 葉不見冥府路行』京極夏彦|艶やかで面妖な世界へようこそ

    『狐花 葉不見冥府路行(はもみずにあのよのみちゆき)』京極夏彦 KADOKAWA[角川ホラー文庫] 2025.05.31読了 昨年末に、歌舞伎好きの友人から「京極夏彦さんの本は好き?」と聞かれた。私が読書好きなのを知っているから何か本の話をするのかなと思ったら、どうやら京極さんとコラボした歌舞伎をやるらしく一緒に鑑賞しないか誘ってくれたのだ。スケジュールが合わずに結局行けなかったのだが、小説は読んでみようかなと思い手にする。単行本が2024年7月に刊行されているのに、12月にもう文庫化って早すぎないか!?って思ったけど。 彼岸花の模様がある着物を着た世にも美しい顔をした男性が屋敷中に度々現れる…

  • 『怪物』東山彰良|混乱だらけの重層的なストーリーに飲み込まれる

    『怪物』東山彰良 新潮社[新潮文庫] 2025.05.30読了 この作品に関する感想は賛否両論あって、期待外れみたいな感想も結構多いのだけれど、私としてはそんなに悪くなかった。東山さんの筆さばきというか筆運びはやはり目を見張るものがあり、その語り口と表現がほんとうに上手い。佐藤正午さんもこのタイプかなと思う。 語り手の「わたし」こと柏山康平が10年ほど前に『怪物』という小説を書いた。その主人公鹿康平は架空の人物であるが、叔父の王康平をモデルにしている。中国の諜報機関の一員だった叔父がたどった運命が、エンタメ感満載にスケール大きく描かれる。台湾現代史、特に日中戦争下の台湾の歴史を学ぶこともできる…

  • 『密やかな炎』セレステ・イング|母親の定義を決める要素はなにか

    『密やかな炎』セレステ・イング 井上里/訳 ★ 早川書房 2025.05.27読了 家族というものはそれぞれに形がある。周りからどう見られるとしても真実はその家族にしかわかり得ない。いや、本人たち(当事者)も、本人だからこそ分かり合えないものもある。母と子の関係が作品の重要なテーマであるこの小説。「母親の定義を決める要素はなにか。生物学的要素か、愛か」この問いかけに対して私たちは何を思うのか。 期待していなかったこともあってか、かなりおもしろく読めた。強く感情を揺さぶられ、頁を捲る手が止まらなくて、どこを読んでいても飽きる・だらけるということがなく変わらぬスピードで読める。重たい問題を取り扱っ…

  • 『行人』夏目漱石|人間の内面に存在する煩悩

    『行人(こうじん)』夏目漱石 新潮社[新潮文庫] 2025.05.24読了 現代小説もいいけれど、ときおり明治、大正、昭和初期の文豪の小説を読みたくなる。去年、奥泉光著『虚史のリズム』を読んで、次の漱石作品は『行人』にしようと決めていた。 honzaru.hatenablog.com しかし一向にあの有名な「自分の嫁と一晩過ごしてくれないか」の話にならない。実はこの作品は「ともだち」「兄」「帰ってから」「塵労(じんろう)」という大きく4つの章にわかれている。自分の嫁と過ごすことを弟に託すのは2章めの「兄」だ。どうりでしばらくは本題に入らなかったわけだ。新聞小説ということだが、最初からストーリー…

  • 『過去は異国』ジャンリーコ・カロフィーリオ|罪を背負って生きるか、吐き出して償うか

    『過去は異国』ジャンリーコ・カロフィーリオ 飯田亮介/訳 扶桑社[扶桑社文庫] 2025.05.20読了 この手のジャンルはアメリカ文学はよく読むけれどイタリアの作品という意味では新鮮だった。なんか良い意味で気取っているように感じ、それはイタリア人的なダンディーさとかカッコよさに繋がっているのかも。そしてタイトルじゃないけど、読んでいる間異国に紛れ込んだみたいだった。いや〜、楽しいじゃない。 法律を専攻する大学生ジョルジョ・チプリアーノは、退屈な生活に飽き飽きしていた。ある日フランチェスコという若者と運命的な出会いをする。フランチェスコはいかさまギャンブラーであるが、どこか憎めない独特の魅力が…

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