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書に耽る猿たち https://honzaru.hatenablog.com/

本と猿をこよなく愛する。本を読んでいる時間が一番happy。読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる色々な話をしていきます。世に、書に耽る猿が増えますように。

本猿
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2020/02/09

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  • 『スモールワールズ』一穂ミチ|『世にも奇妙な物語』のようなドラマにぴったり

    『スモールワールズ』一穂ミチ 講談社[講談社文庫] 2023.11.24読了 一穂ミチさんの作品は直木賞候補や本屋大賞候補にもなったから、気になっていた作家さんの1人だ。単行本と同じジャケットで、初版限定で特製しおりが挿入されていた(写真で本の上にあるもの)。最近、こういう半透明なしおりが好き。薄ければ薄いほど良い。 何気ない日常の中に潜む闇や残酷さが浮かび上がる。ディズニーランドの「イッツアスモールワールド」みたいなタイトルだから、あんな世界観なのかなと想像していたのだけど、良い意味で期待を裏切られる。「え!そうなっちゃうの」という展開に持っていかれる話が多く、ぞわっとする。 この本には6つ…

  • 『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』川本直|真実と虚構の間を彷徨い、頭がぐらぐら。それが楽しい。

    『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』川本直 河出書房新社[河出文庫] 2023.11.23読了 いやはや、文庫になるの早すぎでしょ。単行本が出てから2年あまりで文庫化されている。読売文学賞を受賞しているからか。ともあれ単行本を買うかかなり悩んでいた私にとっては、河出文庫からこれが出たのは朗報だった。ナボコフ著『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』のオマージュなのかとか(読んでないけど)、いろんな意味で気になっていたのだ。 ジュリアン・バトラーという架空の作家のことを、同じく架空の作家アンソニー・アンダーソンが書いた回想録が『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』で、これを邦訳したのが川本直さんという…

  • 『ルポ路上生活』國友公司|太ったホームレスがいるんです

    『ルポ路上生活』國友公司 彩図社 2023.11.20読了 住む場所の近くに、散歩やジョギングが出来るような道があるかどうかは私にとって結構大きなポイントになる。できれば信号を渡る回数が少なく、なるべく見晴らしがいいコースが良い。そうでないと、家を出るのにおっくうになる。今の住居に移り住み、最初にコースの散策をした時(夜遅い時間)に、何も知らずに川沿い(ちょうど高架下)の奥の方を歩いたら、ホームレスの家(家というかテント)がたくさん並んでいるエリアに入った。何をされるわけでもないと思うが、夜間で照明もほとんどなく、暗くて静けさが不気味だったから少し怖い思いをした。 近隣の人であれば知っていただ…

  • 『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』ガブリエル・ゼヴィン|愛おしい友愛の物語

    『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』ガブリエル・ゼヴィン 池田真紀子/訳 ★ 早川書房 2023.11.19読了 私は今まで生きてきて、ゲームに関わった時間はほんの僅かしかない。小学生の頃に姉妹で一緒にゲームボーイを持っていたのと、友達の家でファミコンやプレステで多少遊んだりしたくらい。ゲーセンには5年に1度行けばいい方だし、話題の作品も名前しか知らない。 だからこの小説を読んでも楽しめるか自信がなかった。それでも、あまりにも評判が良いのと、本屋大賞翻訳部門を受賞作『書店主フィクリーのものがたり』(まだ読んでいない)を書いている方だったから手にしてみた。表紙に葛飾北斎の絵もあ…

  • 『神よ憐れみたまえ』小池真理子|百々子の数奇な運命はいかに

    『神よ憐れみたまえ』小池真理子 新潮社[新潮文庫] 2023.11.15読了 久しぶりに小池真理子さんの小説を読んだ。彼女の本は恋愛コテコテのものが多くてなんとなく遠のいていたのだけど、この本はどっぷりと物語世界に浸れるなかなか骨太の作品であった。表紙の雰囲気からはなまめかしさを感じるけれど。というか表紙と内容が合ってないような。 導入部から凄惨な夫婦の惨殺事件で幕を開ける。ミステリ、サスペンスのようでスリルあふれる展開に引き込まれていく。一夜にして両親を奪われた美貌の少女百々子の数奇な運命が綴られていく。お決まりの家政婦が登場するから、この「たづさん」が不穏な人物なのか、または「家政婦は見た…

  • 『ドラキュラ』ブラム・ストーカー|精神医学の見地から解き明かす

    『ドラキュラ』ブラム・ストーカー 唐戸信嘉/訳 ★ 光文社[光文社古典新訳文庫] 2023.11.12読了 ドラキュラって、ちゃんと原作を読んだことないよなぁ…。夜になると人間の血を吸う吸血鬼になること、黒いマントをたなびかせ牙を剥く姿、そしてディズニー映画や怪物くんのイメージしかないかも。そもそも、原作者のブラム・ストーカーの名も初めて知った。 ロンドンのある屋敷の不動産手続きをするために、弁護士ジョナサン・ハーカーは、トランシルヴァニアの城に住むドラキュラ伯爵を訪れる。そこでハーカーは幽閉されてしまう。恐ろしい体験をしたハーカーはどうなるのか。ドラキュラはロンドンに居を移し、壮大な目的のた…

  • 『サキの忘れ物』津村記久子|本は「おもしろい」とか「つまらない」だけではない

    『サキの忘れ物』津村記久子 新潮社[新潮文庫] 2023.11.7読了 サキという人が忘れた物のことではない。O・ヘンリーと並んで短編の名手とも言われている「サキ」という海外小説家の本が喫茶店に忘れられていた。私はサキの作品はまだ読んだことがない。 小説家からすると、小説を全く読まない人の視点にたった話はさぞや難しいんじゃないかと思ったんだけど、もしかしたら本を読むきっかけとなった体験も含まれているのかな。 その話を読んでいて、千春は、声を出して笑ったわけでも、つまらないと本を投げ出したわけでもなかった。ただ、様子を想像していたいと思い、続けて読んでいたいと思った。本は、千春が予想していたよう…

  • 『亡霊の地』陳思宏|思考すればするほど安楽から遠のく

    『亡霊の地』陳思宏(ちんしこう) 三須祐介/訳 早川書房 2023.11.5読了 最近台湾関連の作品は数多い。台湾人が書いたものもあれば日本人が書いたものも多い。どれもがゆるやかで優しいイメージがつきまとう。どこか馴染みのある、妙に落ち着く印象を持つのは、かつて日本統治時代があった歴史故であろうか?台湾という土地がもたらすイメージだろうか? 台湾の2大文学賞を受賞したこの作品は、あらすじだけを読むとかなりおもしろそうで、でもAmazonや読メのレビュー数は極端に少ないから不思議だった。外国文学の中でも中国や台湾の作品になると漢字が多いからとっつきにくいのもあるだろう。 同性愛者の陳天宏(チェン…

  • 『心淋し川』西條奈加|淋しさは人間独特の感情で、良いじゃないか

    『心淋し川(うらさびしがわ)』西條奈加 ★ 集英社[集英社文庫] 2023.11.2読了 第164回直木賞受賞作品である。文庫になってからなのでだいぶ遅くなってしまったが、心温まり気持ちが晴れやかになる充実した読書時間となった。連作短編は読みやすい反面しばし単調になりやすいのだが、この作品は江戸の情緒あふれる人間模様がしみじみと味わい深く、寂しいような悲しいような、だけどどこか優しさが残る作品群で、どれも良かった。 「誰の心にも淀みはある。時々を流しちまった方がよほど楽なのに、こんなふうに物寂しく溜め込んじまう。でも、それが、人ってもんでね」(44頁) 江戸の千駄木町の一角にある心町(うらまち…

  • 『運河の家 人殺し』ジョルジュ・シムノン|シムノン独特の文体でゾワリと怖気立つ

    『運河の家 人殺し』ジョルジュ・シムノン 森井良/訳 幻戯書房[ルリユール叢書] 2023.10.31読了 著者ジョルジュ・シムノンは、フランスの大作家である(国籍はベルギー)。ハヤカワ文庫で「メグレ警視」シリーズが新訳で復刊されているのを見て、恥ずかしながら最近になって知った。有名なのはそのメグレ警視のシリーズもの(なんと全50巻まであるらしい!)だが、これはシムノン初期の中編2作が収められた本である。 『運河の家』 怖かった。暗く不穏な気配がひたすら漂っていた。何だろう、この感じ。日本でいういわゆる「イヤミス」ではなく、ホラー感がより強い。両親を亡くしたエドメは叔父の家に住むことになるが、…

  • 『コスモポリタンズ』サマセット・モーム|毎日寝る前に1作づつ読みたい

    『コスモポリタンズ』サマセット・モーム 龍口直太郎/訳 筑摩書房[ちくま文庫] 2023.10.29読了 アメリカの月刊雑誌『コスモポリタン』に1924年から1929年にかけて掲載された短編をまとめたものである。序文のなかでモームは「ただこれらの物語を面白いと感じてくれること以外には何ひとつ読者に要求していない」と述べている。モームは生涯の全ての作品にこの意志を貫いていると思う。 特に気に入ったのは次の2作である。 『弁護士メイヒュー』 弁護士として働いていたメイヒューがイタリアから帰ってきたばかりの友達からカリブ島にある見晴らしの良い家の話を聞き、職を捨てその地で暮らすことになる話だ。彼の生…

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