写真素材 pro.foto あたしのような女はいつか罰を受けなくてはいけないだろう。 だって、いまだにあたしは鷹男だけじゃなく吉野の君のことを 想ってしまうから。 吉野の君はどうなんだろうか? あたしはそっとお腹をさする。 このお腹の中にはあたしの愛する鷹男とのややこがいる。 このややこを幸せにするためにもあたしは吉野の君への想いを 初恋から義理の弟へと昇華しなくてはいけない。 あたしの想いは皆を不幸にするわ。 だから吉野の君があたしを避けるようになったことは 幸いだった。 それなのに会えないからこそあたしの想いは昇華できないの。 その内、あたしの体は安定期に入っていったの。 そのおかげで鷹男…
写真素材 pro.foto あれから吉野の君はあたしを避けることがなく 鷹男を交えて三人で楽しく談話できるようになっていた。 そんなあたし達の平穏な生活が一変することになる。 「女御様、最近食が細くなっておりませんか?」 「そうかしら?小萩そう思う?」 「ええ、ご飯を食べるのが生きがいだとでもいうように 毎日米を三杯は平らげてらっしゃったのに一杯だけしか食べられないし おかずも残されてしまいます。体調でもお悪いのですか? それでしたら薬師に診ていただかなくては」 「小萩、大丈夫よ!あたしは元気だから。」 「そうおっしゃられるのならよいのですけど、もし何かあったら すぐにおっしゃってくださいね。…
写真素材 pro.foto 吉野の君と会えない為鷹男と作戦を練った。 とはいっても大した作戦ではないの。 いつも会う場を作る時、あたしがその場にいることがばれてしまったのが 会えない要因だった。 だから今回はあたしがその時間用事があっていないことを 公にすれば吉野の君も油断すると思うの。 この用事は鷹男の母君である麗景殿の女御様に 協力をしてくださることになってるわ。 鷹男の母君は気さくな方で義理の娘であるあたしにも 凄くお優しくて有り難く思う。 あたし達三人が幼なじみであることは知って見えて 吉野の君と出会えてないことに理解を示されて ガツンとと叱ってやりなさいとまで言われていたくらいよ。 …
写真素材 pro.foto 吉野の里を今でも思い出す。 信頼する兄上と初恋の姫君と毎日のように駆け回った。 何もしがらみがなかったあの頃は、毎日あのまま変わることなく 永遠が続くと勝手にそう思っていた。 けれど吉野の里は幻想だった。 父上に京に戻るよう命令されて私と兄上の境遇が一転した。 そう、私達兄弟は跡継ぎ問題の渦中にさらされてしまったのだ。 吉野の里に行ったのは元は兄上の体調が芳しくなかったからだ。 幼い頃からよく熱を出しては臥せっている兄上。 今とは違っていたのだ。 そんな兄上の体調を心配した兄上の母君が吉野の里で 療養を提案され本来ならば兄上一人だけ吉野の里に行くはずだったのに 私は…
写真素材 pro.foto 後宮に入ったあたしは緊張していた。 だって今日は初夜の日。 公の場ではお互い貴族らしくしていたから 言葉遣いだけでも格式ばっていてボロがでないようあまり話せなかった。 鷹男の方も身分が高い為、自分で言葉を発することも あの最初の時だけだったから、少し肩透かしした気分だった。 でも今は違う。 二人きりになるチャンスなんだから鷹男には色々聞きたいこともある。 それに吉野の君はどこにいるのか聞かなくちゃ気が収まらないもの。 ササッと衣擦れの音がなり鷹男があたしの寝床に着いたのに気がついた。 あたしはそのまま頭を下げて鷹男の言葉を待つ。 「梨壺の女御、顔をあげなさい。」 「…
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