写真素材 pro.foto とらわれの身になってしまったあたしはどうすることもできず この部屋からでることができなかった。 もうすぐ高彬がやってくるわ。 あたしはどうしたらいいの。 絶望の気持ちが支配される。かたん部屋に誰かが入ってきた音がした。 あたしは身をこわばらせ高彬に向かって叫んだ。 「来ないで高彬。あんたは卑怯ものよ!約束の日は明日だったはずよ! 明日までに好きな人に結婚の申し込みをされなかったらあんたと結婚する。 そう言う約束だったじゃない! それを急に夜這いに来るなんてなんてやつなの!!!」 あたしの叫び声を聞いて部屋を出ていくかと思いきや 高彬は沢山の几帳をかけ分けてあたしに近…
写真素材 pro.foto 高彬を待っていたけどすでに遅かったの。 高彬がやってくると思っていたのにとんでもないことを持った人が あたし達の前にやってきてしまったのよ。 ばたばたと騒がしい足音。 そんな足音があたし達の部屋に近づいてくる。 何事かとあたしは思っていたの。 そうしたら父さまが入ってきたのよ。 「瑠璃や、悪いが今すぐこちらにきなさい!」 「は!?何を言っているの父さま?悪いけどあたしはお夏に用事があって」 「いいから早くきなさい!」 「だからどこに行くというの?」 「何もいわずについてきなさい!」 訳も分からないままあたしは父さまに連れられていったの。 そうして気がついた時は遅かっ…
写真素材 pro.foto 守弥に会いにいったあたしは、瑠璃姫のまま会いにいくことも出来ず 女房装束の姿になって小萩として右大臣邸にやってきたの。 高彬には内緒にしたかったし、すんなり守弥に会えるとは 思わなかったけど、小萩が右大臣邸に知り合いがいて そのひとを通じて守弥と会えるようにしてくれたの。 守弥は右大臣邸の影の実力者らしくて、 どんなひとなのか実は少し興味があったの。 そうして一室に通され、守弥が来るまで少し待たされたけど 少したったら一人の男が部屋に入ってきたの。 「お前が三条邸の女房か?私に何の用があると言うのだ」 結構高飛車な男ね。まあ自分の身分を明かしても良いけど 少しこのま…
写真素材 pro.foto お夏に会いに行ったものの、 いざ対面すると何を言っていいのか分からなかったの。 沈黙が続いたんだけど、あたしは思いきって鷹男について聞いて見たの。「お夏、お願いがあるの。恋人であるお夏に聞く事じゃないかも知れない。 でもどうしても鷹男と会いたいの。 だから鷹男がお夏に会いに来るときでいいから 少しあたしと会わせてくれる?」 必死であたしは頼みごとをしたの。 あたしの姿に驚きを隠せない様子だったけどお夏はこう答えたの。 「???瑠璃姫さま、申し訳ありませんが鷹男さまとお会いしたいのですか?」 「ええ!そうなの。もう連絡が取れなくて、どうしても会いたいの。 だからお夏に…
写真素材 pro.foto 守弥に会いにいったあたしは、瑠璃姫のまま会いにいくことも出来ず 女房装束の姿になって小萩として右大臣邸にやってきたの。 高彬には内緒にしたかったし、すんなり守弥に会えるとは 思わなかったけど、小萩が右大臣邸に知り合いがいて そのひとを通じて守弥と会えるようにしてくれたの。 守弥は右大臣邸の影の実力者らしくて、 どんなひとなのか実は少し興味があったの。 そうして一室に通され、守弥が来るまで少し待たされたけど 少したったら一人の男が部屋に入ってきたの。 「お前が三条邸の女房か?私に何の用があると言うのだ」 結構高飛車な男ね。まあ自分の身分を明かしても良いけど 少しこのま…
写真素材 pro.foto あたしは鷹男が来るのを待っていたの。 約束をしたわけじゃない。 鷹男は今上帝なんだから、東宮時代のように 軽々しくお忍びなんてできるわけがないじゃない。 それなのにいつ来るのか分からず、あたしは鷹男をただ待っていたの。 あたしはこのとき鷹男の気持ちも考えてなかったのよね。 だって鷹男はあたしだけを愛していてくれるって 驕った気持ちがあったんだから。 鷹男は浮気ものだけど、でもあたしだけを愛してくれているんだと 心の奥の奥底はそう思っていたんだから。 ただの願望に違いないのにね。 だからこの後こんな喧嘩をするなんて思わなかったの。あたしはいつもの通り自分の部屋の前の階…
写真素材 pro.foto あたしはこのまま高彬のいう通りじっとしていたの。 だって小萩は体調が悪いんだから早く治療したいじゃない。 だから一番早い場所に連れて行かれるのかと思いきや、 なんとここは右大臣別邸の鴛鴦殿だったの。 九条邸か新三条邸のどちらかに連れて行かれるのかと思ったけど 何でここに居るんだろう? そう思っていたら高彬から話があるといわれ、 どこかの部屋に連れて行かれ吃驚したわ。 だってこの部屋にはあたしと高彬の二人だけだと思っていたのに、 そこにはあの夏姫がいたんですもの。 あの堅物な高彬が夏姫と同席するなんて一体どういうことなの? そう思っていたらまたもや高彬のお小言が始まっ…
写真素材 cg.foto https://www.beiz.jp/ あたしは今吉野の里にいるの。 吉野の君が起した大事件に、あたしは自然に体が動いてしまった。 だって吉野の君を助けたかったのだもの。 あのまま吉野の君が捉えられていなくなるなんて考えられなかった。 そうして自分の行動により吉野の君は今どうしているのかあたしはただ待つだけなの。どれだけ自分はこの吉野の里で待ち続けたのか分からない。 でも吉野の君は絶対にどこかで元気に生きているとそう思うの。 昨日峯男と言う男が急に現れそして何も言わずここを去ってしまった。 あの人は多分吉野の君がまだ生きているという使者なの。 あの人のおかげであたし…
写真素材 pro.foto 私の元服の儀は誰もが注目しているようだった。 太政大臣である祖父は泣きながら私を見ている。 小さな私が元服を迎える。その様を思い出しているんだろう。 自分のことなのに実感が湧かない。 けれど成人したとなれば、父上の言った言葉を守ることと 東宮様をお守りすること。 それが私にできることとなる。 そして元服したと同時に驚きのことが起こった。 まさか私に元服と同時に官位が授けられると思っていなかったからだ。 年齢はまだ11歳。若くして父上が昔なった右衛門佐になるのと兼任で 東宮様付きの侍従まで授かったのだ。 これは最年少で異例中の異例。 衛門佐の仕事はこの京の治安を守る人…
写真素材 pro.foto 私の名前は彬という。 父は右大将、母は内大臣を父に持つ今一番権力を持つ家柄の 家に生まれた。 私はいい家柄に生まれ、何不自由なく育てられた。 普通の貴族は父が一人で母上が沢山いるのが当たり前であり 父親は時々しか妻の実家に寄らないのが一般的だ。 だが内の場合は貴族には珍しく、父上は母上以外妻を娶らなかった。 私には妹と弟がそれぞれ一人ずつ存在し、寂しい思いをしたことがない。 父上は仕事が忙しく、内に寄ることは少なかったが母上も厳しいながらも 愛にあふれているし、妹も弟も可愛くて毎日姉弟の世話焼きをしていた。 そんな私にある出来事ができた。 それは童殿上で今東宮様の御…
写真素材 pro.foto 高彬は順調に出世をして内大臣となっていた。 童殿上をしていた彬は今東宮様の御学友として 内裏に上がり、御顔めでたく将来は出世間違いなしだと言われるようになっていたの。 そして、彬が11歳の時元服。 加冠役は太政大臣にまでなった父さまが どうしても引退前にやりたいというから早まってしまった。 それに官位はなんと高彬が以前承った右衛門佐だった。 これは異例のことだったの。 それと同時に左大臣家の二の姫様と婚約も決まってしまった! あたしはあまりのスピードについていけなくて呆然とするしかなかった。 女のあたしがこういった政治絡みなことに権限はない。 でも、11歳の息子が婚…
写真素材 pro.foto あたしの身体は変化していた。最初は風邪っぽいなって軽く思っていただけなのに食事が中々取れない。まさかと思ったけれど吐き気はない。だから何か病気かと思い、典薬頭に罹ったときだった。「おめでとうございます、北の方さま、やや子がお腹の中にいらっしゃいますよ。」 そう典薬頭が告げると女房達が声を上げる。 「北の方さまおめでとうございます!大臣や高彬様にも連絡をしなければ。」 周囲が騒ぎ出したの。誰もが喜んでくれる。けれどあたしの心は悲鳴を上げていた。あぁぁーーーあたしの態度に気がついた小萩が話しかけてくる。「瑠璃さま、大丈夫ですか?顔色が悪いようです。体調が優れないようなら…
写真素材 pro.foto あれから邸に戻った。 あたしは普段通りにするつもりが中々できない。 頭の中に映像として残るのは鷹男のことばかり。 あたしが愛した人は三人。 一人目は吉野の君、吉野の君が生きているのか結局のところは分からないけれど生きているとあたしは信じたい・・・ 二人目は鷹男、正体を知ってすぐに失恋した。だって鷹男には既に沢山の妻がいたんだから。いくら貴族は一夫多妻制とはいえ、自分だけを愛してくれる人と恋をしたかった。だからすぐにその気持ちを封印した。それから失恋したことにして新しい恋へと 自分を切り替えたの。 三人目は高彬。最初は吉野の君が好きだったし、年下の高彬はあたしの好みか…
写真素材 pro.foto 鷹男の背中姿が見えた。 哀愁が漂う姿。 あたしたちにはそんな姿など、見せたこともないのに。 いつものあんたなら飄々として立派だった。 あんた一人のときは、誰も居ないところで何を考えているの? そんな弱った姿で何を思うの? 鷹男が佇むこの部屋は、今は誰も住んでいない、桐壺の女御様と前東宮様がお住みになっていた場所。 まさか、まだ鷹男があの事件のことを忘れていなかっただなんて知らなかった。 今では新しい東宮様も誕生し、鷹男の御世はこれで決まったかのような賑わいだもの。 だから鷹男ももう立ち直ったんだと思った。 そんな寂しい背中を見せないでよ。 あたしはあまりにも寂しい背…
写真素材 pro.foto もういつくるのよ~~~~高彬~~~ あんたねえ~この妻を残していつまで仕事をするつもりよ~~ いらいらいらいら 「瑠璃さま、あまり不機嫌なお顔ばかりだと恐いですわよ」 「だって小萩!酷いじゃないの高彬と会えたのなんていつだと思うの。 もう三条邸にこなくて3ヶ月よ。いくら出世したとは言えなんなのよ!」 「ですが高彬さまもいまはもう頭の中将さまと言われ 以前に比べてお仕事ももっと忙しくなられたのではありませんか。 最近京の治安が悪くて高彬さまの管轄ですからね。 治安維持のためにこちらに戻る事など難しいのですわ。」 「それは分かるわよ。でもさ~高彬は昔から今上帝、今上帝ば…
画像は下記サイト様から。https://www.beiz.jp/ 私はしばらく瑠璃姫を眺める。 楽しかった思い出だけが走馬灯のように脳裏を駆け巡っていく。 瑠璃姫を憎み瑠璃姫を滅ぼそうと思いながらも 私はずっと惹かれ続けていたのだ。 初めて会ったあの吉野の里から。 あの吉野の桜の木の下で会い、私は瑠璃姫に恋をしたのだ。 それを信じることが出来ず、ずっと心の奥底に隠ししまっていたのだ。 そうでもしないと復讐なんてできなかったから。 復讐をやめることもできたのに、私は母上の憎しみ心から逃れられなかった。 私の弱さが瑠璃姫を奪ってしまったのだ。 今さら自分の本当の気持ちに気が付いてももう遅い。 私は…
画像は下記サイト様から。https://www.beiz.jp/ 暗い暗い感情が私を支配する。 宗唯と瑠璃姫が偶然会っただけなのに黒く醜い感情が浮き彫りになってくる。 この感情が何なのか知らない。 いや、あえて何なのかは考えたくなかった。 それは私にとっては禁忌なのだから。 瑠璃姫をこれから破滅させるためにそれ以上は考えてはいけないのだ。 私は激情のまま計画を実行した。 もうすぐ・・・もうすぐですね・・・母上。 これで母上は・・・・幸せに・・・・・・・・・・・・ とても天気がよく鷹狩りには最も適した気候。 瑠璃姫は一番端っこにいるがとてもはしゃいでいるのが見える。 初めて鷹狩りを見るのだろう。…
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