興味のある英文記事を日本語で要約し、「柴田優呼@アカデミックジャーナリズム」でツイート。そのツイートの再録ブログです。英語のニュースを知り、世界の流れをつかむご参考にしていただければ。
2020年5月31日 コロナ危機が教えたこと。 政府は危機に備えておくべきであること。 安全になったらすぐ仕事を再開すべきであること。 誰もがこの2点に同意するだろう。 だが実は、この2つは両立しない。 前者は、ふだん使わないものを余分に備えること、後者は、限界までものを利用することにつながり、真逆なのだ。 実は大恐慌を経た20世紀半ばまで、経済学者の多くは、経済に、ある種のゆるさが必要だとは考えていなかった。 政府は、諸悪の根源は、怠惰な労働者、稼働していない機械、活用していない資金にあると思っていた。 だが消防設備のように、決して使うことがないからこそ、価値があるものもあるのだ。 この話は…
2020年5月30日 父が英国に香港から来たのは9歳の時。 北イングランドで母と出会い、僕のストーリーはそこから始まった。 父が英国に来れたのは、香港が英国の植民地だったから。 植民地の住民は英連邦ならどこでも居住・労働の権利があった。 だが保守党は1962年、英国人と植民地人は居住に関し対等でない法を導入。 当初労働党は反対したが、すぐに賛成に転じた。 中国返還の際、香港人に英国居住権を与えるべきとの声が上がった。 だがサッチャーは1989年、保守党内の右派の圧力に負けて拒否。 保守党元党首は、わずか香港人5万人に居住権を与えることすら、異文化で歴史が違う異教徒が英国にあふれる、と反対。 代…
2020年5月29日 トランプ政権は、人民解放軍と提携している大学を出た中国人の院生と研究者の米国滞在ビザを取り消すことを検討。 中国が国家安全法の香港への導入を決めたことから、制裁を検討中だが、ビザ取消はその前から議題に上っていた。 中国側の報復が予想され、両国関係のさらなる悪化が懸念される。 米国の大学で学ぶ中国人は36万人。 外国人留学生の中で断トツに多い。今回対象になるのは3千人だが、米国の大学側はビザ取消に反対。 外国人留学生の支払う学費に経営を依存していることもあるが、リベラルな教育を経験する価値はリスクより大きく、共同研究により米国の研究も発展する、との考え。 一方で米国は、既に…
2020年5月28日 コロナの感染動向の把握は難しい。 ベルギーの死者は10万人当たり82人。 米国は30人だが、NY州は150人で一様ではない。 統計の取り方も違う。 ベルギーは、感染の疑いがあった場合も含む。 米国も、州によってはそうだが、そうでない州も。 さらに中国のように、データ自体が疑問視されている国もある。 感染爆発のステージの問題もある。 欧州は明らかに1日の感染者数は下降傾向にある。 米国はまだ不明。 欧州各国は感染曲線が同じように推移しているが、米国はまだプラトーの状態。 国内の複数地点に感染の中心があり、ステージが違うからだ。 今の死者は10万人だが、8月には15万人に上る…
2020年5月27日 コロナ危機でわかったプラスの事。 1、気候変動が少しだけ遅くなった。 2、女性の方が政治に秀でている。 3、優秀な行政機関が必要。 4、選挙での投票は大事。 5、アメリカの主要戦略が変わる可能性。 海外での軍事プレゼンスより、仕事を持ち、子供を通学させ、病院で治療を受けられる事を、より重視。 軍事費に多大な経費を費やすことを正当化するのは難しくなりそう。 元々若い層は生活の方を重要視。アメリカが軍縮したり孤立主義に陥ることはないが、力を振り分ける先を再考することに。 欧州や中東への介入は減り、中国との対抗の方に向く。 20年先に起きると思った変化が、予想より早く実現する。…
2020年5月26日 ドイツは6月16日以降、国民のヨーロッパ旅行を解禁。 3月17日以降、海外旅行に警告を発していた。 これを受けて国内の旅行代理店や、海外の格安航空の株価が上昇。 観光業の再建は、渡航先の経済安定にもつながる、との考え。 ドイツからの観光客に依存しているイタリア、スペイン、ギリシャも歓迎。 一方でドイツは他のEU諸国に対し、観光客をコロナ感染から守るための追加措置を講じるよう圧力をかけている。 7日間で10万人当たりの新規感染者が50人を超えたら、ロックダウンすることを提案。 なおスペインも7月から国民の海外旅行を解禁。 イタリアとギリシャは6月から観光客受け入れを開始する…
2020年5月25日 今や体温測定がブーム。 アップルは再開後の店舗で来店客の検温をする。 空港のTSAも検温を検討中。 だが無症状の場合は対応できない。 それにサーモグラフィ・カメラは、体温計に比べて正確ではない。 1番の問題は、熱の感知後、発熱外来に行くルートがなければ、ほとんど無意味なこと。 単なる劇場化に。 (柴田優呼@アカデミック・ジャーナリズムがツイート) Slate@Slate These really only work if the rest of the system is working. In America, it is not. https://slate.trib…
2020年5月25日 米ミシガン州知事のグレッチェン・ウィットマーが、トランプについて話す時は自己規制をしなければならない状態と語った。 でないとコロナ禍の下、国からの支援が得られなくなる、と懸念。 州の医療従事者の防護具の供給要請を、政府がブロックしていると発言したら、トランプにツイッターで罵倒された。 (柴田優呼@アカデミック・ジャーナリズムがツイート) HuffPost Politics@HuffPostPol Trump attacked Gov. Gretchen Whitmer on Twitter after she spoke about her state’s struggl…
2020年5月24日 夏休みシーズンを迎え、全米50州が様々な形でロックダウン解除。 夏はノーマルに戻ってほしいとトランプ。 どれだけコロナの死者が出ようと、今後彼が閉鎖を指示することはない見込み。 だが死者は全国で増加中。 特に南部では感染者急増の予測。 例えば5月4日以降、アラバマ州の一部では感染者が倍増。 データ集積も混乱。 テキサス、バージニア、バーモント各州では、感染検査数と抗体検査数を合算していたことが判明。 各州とも是正に動いているが、感染の広がり具合等の実態把握が曖昧になり、制限解除の根拠が希薄に。 またジョージア州とフロリダ州では、データの信頼性に疑問符がつけられている。 (…
2020年5月23日 コロナ禍でトランプは大集会を開けないし、バイデンはデラウェアの自宅から出られない。 つまり大統領選はネットで戦われる。 バイデンは明らかに不利。 トランプのようなSNSでのプレゼンスはなく、怒りのパフォーマンスも苦手。 代わりに人々への共感と経験を強調。 危機に求められる資質、という訳。 バーチャル空間で有権者と交流し、今は空白となっているリーダーシップを満たす、とバイデン陣営。 Zoom集会やローカルTV出演、トランプよりフォロワーの多いセレブとのインスタでのコラボ等を計画。 コロナ禍でトランプに対し不安を抱く人々にアピール。 パンデミックと不況という好機を生かせるか。…
2020年5月22日 今にも感染爆発しそうだったフロリダ。 春先、国中からビーチに人が詰めかけるわ、世界中の観光客が訪れるディズニーはあるわ、引退後の人生を楽しむ高齢者はあふれているわ。 知事の自宅隔離決定も、他州より2週間遅い4月1日。 東海岸最初の死者もフロリダで出た。NYに続くのは確実と見られていた。 だが驚くことに、フロリダはそんなにひどいことにはならなかった。 感染者4万7千人、死者2千人、と無傷ではない。 ただ最悪の場合、46万5千人が入院するとの予測だった。 人口1人当たりの感染者数でみると、全米で32番目。死者は27番目に過ぎない。 NYのような対処をする必要はなかった、との声…
2020年5月21日 4月に失業したアメリカ人の78%が、自分は一時的に解雇されただけと考えている。 だがシカゴ大の調査によると、4月25日時点での失業者の42%、優に1160万人の人々にとって、解雇は永久的なものとなる見込み。 具体的には、バーやレストランの多くが廃業するため、ウエイターやバーテンダーらは失職。 米国内にレストランは百万店あるが、3月末の時点でうち3%が既に閉店。 そして11%が1か月以内に閉店を予測。 10万店が消えうせる。 リゾート施設も夏の再開は厳しそう。 一方で、自宅隔離中の売上が増加したアマゾンやウォールマート、ドミノピザ等は雇用者を増やす。 経済の大変容が起きる、…
2020年5月20日 コロナ危機で、ミレニアルは他の世代より経済的に苦しむ恐れ。 24歳から40歳と若く、まだ財政的なセーフティーネットを十分築けていない。 このため失業すると即、苦境に陥り、そこから回復するのは大変。 ミレニアルの高年層は、就職時リーマンショックの影響を受け、その影響をまだ引きずっている。 ミレニアルは元々、親の世代より収入が増えない初の世代となるとされてきた。 収入は予想されていたほど伸びず、持ち家率も、前の世代に比べて低い。 ただテレワークへの移行で、通勤には遠すぎるが、地価の安いエリアで家を買うことが可能に。 そう考えれば、コロナ前より、もう少し夢を持てる、との声。 (…
米大企業CEOが、ポストコロナは、取り残された人を助ける経済体制にすべき、と発言
2020年5月19日 JPモルガンのCEO、ジェミー・ダイモンが、今回のコロナ危機は、取り残されて来た人たちにチャンスを提供するよう、経済を再編成すべきと告げるもの、と発言。 過去数か月の出来事が明らかにしたのは、コロナ禍にさらされる前から、あまりに多くの人々がぎりぎりの生活をしていたことだ、と見なす。 自身は大富豪ながら、ダイモンは昨年も、サンダースが世論調査で支持を集めていた際、今の資本主義には欠陥があると認めていた。 ただ社会主義は経済停滞と腐敗を招く、として反対。 民主党のバイデンが大統領に当選した場合、同じく大富豪のブルームバーグと共に、財務長官候補に取り沙汰されている。 (柴田優呼…
2020年5月18日 米国で自転車が飛ぶように売れている。 ジムの閉鎖で、体を動かす代替手段兼ストレス解消を兼ねて購入する人もいれば、学校閉鎖で家に閉じこもっている子供のエネルギー発散に、と考える親も。 ロックダウン解除で通勤を再開する際、自転車の方が、地下鉄やバスより感染の危険が少ないと考える人も。 世界全体で見ても、自転車の売上は昨年の6.9%増から、今年は35%増に。 大半は米国での販売。 ロックダウン中も、自転車店は必需品を扱う店として開店を継続。 問題は、この自転車ブームは一時の流行なのか、それとも永続的なものか。 ただ、3年続くとされるコロナ危機の期間中は、ブーム継続の見込み。 (…
2020年5月17日 人口450人のアラスカの町グスタフで、唯一の小売店を営むパーカー。 普段は州のフェリーで商品を仕入れているが、激しい嵐で波止場が損傷。 コロナ禍も重なり、フェリーが運航休止に。 町民は、彼の店で生活必需品や食料を入手するしかなく、このままだと飢える可能性。 そこでパーカーがやったこと。 毎週1回、14時間かけて、ボートで50マイル離れた州都のスーパーへ行き、町の人のために必要な品を手に入れた。 漁師の助言を聞き、潮流と天候を見定めながら、店員と航海。 何度か復路で嵐に遭遇、その都度また州都まで引き返し、天候が回復するまで待機する羽目に。 それでも、3月から欠かさず続けた。…
「レ・ミゼラブル」で描かれた1832年のコレラのパンデミック
2020年5月16日 1832年のコレラによるパンデミック。 世界中で被害が出たが、フランスでは特に劇的な結果をもたらした。 数週間のうちにパリで2万人、国全体で10万人以上が死亡。 当時のパリには産業革命で大量の労働者が流入。 ノートルダム寺院やテュイルリー宮殿の周辺に過密状態で居住。 そこを中心に感染が拡大。 富裕層は今と同様、いち早く郊外に脱出。 労働者との間でいがみ合いに発展。 富裕層は労働者のせいにし、労働者は富裕層が自分たちを毒殺しようとしたと主張。 やがて怒りが無能な政府に向くと、警察が陰謀論を利用。 飲料水に毒を入れたのは政府ではなく、ならず者だと言ったため、さらに騒動が拡大。…
2020年5月15日 米国の大学の多くが、秋学期に対面授業を行うかどうか思案中。 カリフォルニアでは、臨床訓練の必要な看護科の学生や、ラボでの実験が必要な学生を除き、遠隔授業を続ける所も。 オープンしても、教室内の学生数を5人までにしたり、登校日を週数日に限定する案も。 全面的に前の状態に戻る所は皆無。 ただ、少なくとも米国の6州の大学が、秋学期からキャンパスでの授業を計画。 アラバマ、ノースカロライナ、テキサス、テネシー、ルイジアナ、メリーランドだ。 一方48州で、高校以下の学校は今学期、閉鎖中。 来学期は安全を確保した上で、子供達が少しでも先生や友達と顔を合わせられるよう模索中だ。 (柴田…
2020年5月14日 ロックダウン後の中国で、ブランド品の購入が急増。 広州のエルメス店では4月の営業再開日、270万ドルの売り上げを記録。 リベンジ・ショッピングが始まっている。 だが、コロナ危機以前との違いも顕著。 第一に、全体の売上高はすぐに回復しない。 2019年の水準に戻るのは、2022年から2023年の見込み。 第二に散財型の消費が減る。 ホリデーに飛行機に乗ってリゾートに出かける行動は最低1、2年、影をひそめ、地元消費型が主流になる。 第三に、靴やバッグなどの手頃な商品が売れ筋に。 高級時計やメンズウエア、女性用フォーマルドレスは売れなくなる。 宝石は微妙。 オンラインショッピン…
2020年5月13日 アジアで国境を超えた往来が徐々に復活。 韓国から中国に入国するビジネス客は5月1日から、2週間の自己隔離を免除。 到着後コロナの検査を受け、結果が出るまでの1、2日間政府施設にとどまるだけですむ。 中国でも5月4日から、香港の工場経営者や被雇用者を対象に自己隔離免除の申請受け付けを開始。 香港もビジネス客と学生に限り、5月末から中国からの入境を隔離なしで受け入れ。 1月半ばから続く休校も、5月27日から高校で解除。 深圳からの学生が2万7千人いる。 豪州とNZ間も似た取り決めを検討中で、香港、台湾、韓国など感染を制御した国にも拡大予定。 だが欧米での入国制限解除は、まだ遠…
2020年5月12日 台湾が5月18日開催のWHO総会へのオブザーバー参加を希望。 コロナ感染拡大抑止が成功、世界の関心を集める。 中国近隣なのに、感染者はわずか440人。 韓国が1万1千人、シンガポールが2万人以上なのと比べても際立つ。 中国が参加に強く反対するが、ポンペオ米国務長官が後押し、日本やNZも支持を表明。 中国は世界の公衆衛生のことより、両岸関係に関する政治的思惑に基づいて、台湾をWHO総会に参加させるかどうか決めている、と米元高官。 台湾の総統が親中派の馬英九だった2009—16年は、台湾はオブザーバー参加していた。 だが独立派寄りと見られる蔡英文が2016年に就任して以後、参…
コロナ危機でカリフォルニア大学が2024年まで、ACTとSATを除外
2020年5月12日 コロナ危機の影響を受け、UCLA等カリフォルニアのUCシステムの大学10校が2024年まで、ACTとSATの成績を入学の合否判定から除外する方針。 既に今年は除外すると表明していた。 代替となる独自の入学試験を今後作成予定。 ACTとSATは学生の能力を正確に反映せず、特に低収入世帯に不利との批判があった。 (柴田優呼@アカデミック・ジャーナリズムがツイート) CNN International@cnni The University of California president is recommending the suspension of ACT and SAT…
2020年5月11日 なぜ米国にはワクチンや薬がないのか。 なぜマスクや人工呼吸器がないのか。 それは、そうした製造・供給システムを構築しない選択をしたから。 コロナは米国の政治や社会の壊れている面を浮き彫りにした。 世界で最も裕福なテック企業や、最も技術革新の進んだシリコンバレーも公衆衛生の危機に無力。 ネットフリックスやアマゾンは、隔離で孤立した人々の助けになっているが、米国では今やガーゼの生産すらできない。 シリコンバレーが高い製造能力を誇ったのは、遠い昔。 その結果、製品を大量生産できる大工場や、大量の雇用を喪失。 問題は、それがイノベイティブな能力の衰退をも導いていることだ。 米国は…
2020年5月10日 コロナ危機により中国でどれだけ失業者が出ているか、全体像をつかむのは難しい。 政府は悪い数字を発表したがらないからだ。 公式発表では都市部での3月の失業率は5.9%。 そこから計算すると失業者数は2700万人。 だがこの数字は、地方の労働者や建設・製造部門で働く出稼ぎ労働者を含んでいない。 彼らを含めると3月末の失業者は8千万人で、中国の労働者の1割相当と見られる。 中国政府は、大規模なレイオフはなく雇用は安定と強調するが、今年の第1四半期の求人数は、昨年第4四半期より28%も減少。 一方で同期の求職者数は9%上昇。 これに、今年空前の規模となる大卒者870万人が加わるこ…
シンガポールが顔なしロボット犬で、ソーシャル・ディスタンス監視
2020年5月9日 シンガポール政府がこの週末、ボストンダイナミクス社の、首から先がない、あの黄色いロボット犬、Spotによる公園パトロールを開始。 録音メッセージを流し、来園者にソーシャル・ディスタンスを保つよう促す。 ロボット犬は装備されたカメラで周囲をスキャンし、どのぐらい人が集まっているか通報。 ピークでない時間帯を選び2週間、実験的に実施する。 最初は公園の管理人が、この頭のないロボット犬に付き添う。 ロボット犬は敏捷で、障害物をちゃんとよけるし、地形の変化に対応できるので理想的、と当局。 シンガポールでは他にも、このロボット犬が隔離施設の患者に薬を届けるなど、大活躍。 シンガポール…
2020年5月9日 シェークスピアはペストの時代を生きた。 英国では特に、1582年、1592-93年、1603-04年、1606年、1608-09年には猛威をふるった。 教区の死者が30人を超えるとソーシャル・ディスタンシングを実施。 集会や宴会、アーチェリー大会は禁止。 礼拝中は感染しないと信じられていたので教会は閉鎖を免れた。 当時2、3千人の収容能力があったロンドンの劇場は、当然閉鎖。 シェークスピアがその傑作マクベス、アントニーとクレオパトラ、冬物語、テンペストを書いた1606年から1610年、ロンドンの劇場の開館期間は全部で9か月。 彼自身、大きな経済的打撃を受けた。 なのにペスト…
2020年5月7日 経済はガタガタなのに、ここ数週間なぜか、米国の株式市場は平穏。 コロナ危機の初期、ウォール街はいったんクラッシュ。 そして現在、感染が下火になる目途は立たず、3千万人が失業中。 いい材料はどこにもないのに、比較的ましな状況。 株式市場と経済指標の乖離は、かつてないほど広がっている。 連邦準備銀行と議会が、GNPの3分の1に達するほどの金を経済に注ぎ込んでいることが原因。 それで投資家を安心させている。 そもそも投資先は限られており、民間投資家は自己隔離中も、活動を継続。 単に踊らされているだけの可能性もあるが、マーケットはコロナに携わる科学者より、未来に楽観的。 つまり投資…
2020年5月6日 ピュリツァー賞にノミネートされた雑誌Atlanticの記者の本の一節。 アメリカの世紀は実際、わずか半世紀ちょっとに過ぎない。 第二次大戦に始まり、国連、NATO、封じ込め政策、自由世界。 そしてそれは、少し前に終わった。 黄金時代ではなかった。 愚行や過ちは多々。 だが既に懐かしい気がしている。 私達アメリカ人の最高のものは最悪のものと切り離せなかった。 何でもできるという思いが、マーシャルプランを生み、ベトナム戦争を生み、ボスニア内戦を生み、終わりのないアフガニスタン紛争を生んだ。 私達が手を伸ばし、つかんだもの。 私達は自信とエネルギーに満ちていた。 過剰で盲目だった…
2020年5月5日 1918年のスペイン風邪で、5千万人から1億人が死亡した。 だが不思議に、文化や政策や、公的な記憶に大きな影響を残していない。 第一次大戦にかき消された、とも言われる。 確かに戦争と違い、感染症は個人の体の内部で戦われる。 それにウイルスは目に見えない。 だから私達は無力感に陥りやすい。 戦争のように、愛する人を守るといったスローガンにもなりにくい。 自分が死ぬ時は、家族にも死の危険が迫っている。 感染症による死に、意義は認めにくい。 単なる悲劇でしかない。 だがスペイン風邪を経験したモダニストの作家達、エリオットやウルフの作品には、この問題が底流となって流れている。 (柴…
2020年5月4日 米国のコロナ患者でよく見られる症状の経過。 重症化する患者の多くは、7日目や8日目に悪化し、息切れが始まる。 途中、3日目か4日目に少し改善することも多いが、油断してはいけない。 治ったと思って、普通の生活を始めてはならない。 その間に食料のデリバリーを手配し、清潔な衣服を用意しておく。 今の米国では、高齢者や既往症を持つ患者が優先されるので、自宅で遠隔診療を受ける可能性も高い。 ある患者の場合、枕元に以下を用意。 ティッシュの箱、ごみ箱、体温計、プラスチック製のコップ、水を入れたボトル、電話、パソコン、ハンドクリーム等。 家の中を行き来しないですむようにする。 (柴田優呼…
2020年5月3日 コロナで英国の出版業界も大打撃。 それでも読書ファンは、ロックダウン中に読みたいお気に入りの本のリストを交換。 新たな販促にいそしむ出版業者も。 必ずしも新規の試みではないが、Zoomで人気著者の催しを開催、サブスクの会員を募集、ポッドキャストをアップする等、ネット空間に積極的に進出。 それはポスト・ロックダウンの姿を告げるものでもある。 出版業者は、よりSNS的な販促を追求。 コミュニティ作りとデータ蓄積に力を入れる。 電子出版の伸びも見込まれる。 作家の側はどうなのか。 第一次大戦後のスペイン風邪流行は、新しい文学の出現を促した。 今も同様、立ち止まって考える時だ。 コ…
2020年5月2日 ニューヨーカーの話。 いつもテーブルを友人と囲んでわいわい。 仲間うちで大事なのは、賢くておかしくて、人をあっと言わせること。 だが今はZoom越しのやり取りで、互いの経済格差が露呈。 自分は街に残っているが、友人は郊外の別荘に避難。 彼らのバックに見える静かな森やウッドデッキに心が騒ぐ。 自分の住み家はブルックリンにある。 やっと手に入れた場所だが、住む前も今も修理が必要。 下町気質のこの町が好きだが、それでも日々、マスクはしないの?それがマスクのつもり?それが2メートルの距離?と言いたくなる。 批判がましい目は、嘆きの表れ。 嘆きには、合理性も優しさもないけれども。 (…
2020年5月1日 コロナで流通網が混乱、食料品の流通が懸念される米国。 食料自給のため、かつて戦争中にできた戦時農園「勝利の庭」を個人で作る動き。 第一次大戦時、国からのトップダウンで開始。 国際的な不作や農民の徴用で食料不足に陥ったのが原因。 第二次大戦でも、兵士の食料調達費の削減のため幅広く実施。 今は国策ではなく、個人的な動機に基づくが、裏庭に作物を植えることによる心理的な効果も。 無力感を、何かを育む喜びに転化できる。 コミュニティで農園を作るプロジェクトもあちこちで進行。 新しい人間関係も生まれている。 作物の育て方を学び、困窮している人々に収穫物を提供しようとの動きも。 (柴田優…
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