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狩場宅郎
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2019/06/16

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  • 大和し うるわし

    ヤマトタケルの自伝 32 わたしは尾津崎を出て、大和へ向かって歩いていた。従者に支えられ、杖を突いて、おぼつかない足取りで・・・ 「ああ・・・わたしの足は三重にも曲がってしまったようだ・・・つかれた・・・」 わたしは立ちどまってつぶやいた。 「ヤマトタケルさま!しっかりしてください!大和はもうすぐです!!」 従者らは必死に、わたしを励ますように声をかけている。 「ああ・・ありがとう・・・大丈夫だ!さあ、行こう!」 わたしは口ではそうは言って再び歩きだす。しかし高熱で意識は薄れ、目の前はかすみ、ますます足取りは遅くなっていく。 ・・・ああ、もう動けない・・・ わたしは能煩野に至ったとき、ついに倒…

  • たぎたぎしく・・・杖をついて・・

    ヤマトタケルの自伝 31 伊吹山で神の怒りにふれ、居覚の清水で息を吹き返したわたしは、大和を目指して歩き始めた。 しかし、清水で体を冷やし息を吹き返したとはいえ、わたしの体力が完全に回復したわけではなかった。 わたしは従者に支えられながら、ゆっくりと、よぼよぼと、やっとのことで歩いていたのであった。 どのくらい歩いただろうか・・・ 「ああ・・・わたしの心は、今も自由自在にこの空を飛び回っている。しかし・・・ わたしの足は萎えてしまって、たぎたぎしくなってしまった・・・」 わたしは誰に言うともなく、つぶやいたのだった。 そしてそこからわたしは進む。よろよろと・・・もはや私は疲れ切って、その歩みは…

  • 熱病にかかり・・・

    ヤマトタケルの自伝 30 伊吹山で冷たい雨と雹にたたきつけられ、激しい風にあおられた・・・体の自由がまるできかない・・・ それでもわたしは天候の急変にあらがうように、山を登っていった・・・しかしますます雨と雹は激しい風にあおられ、わたしにたたきつける・・・ ・・いくらも時間はたたないうちに、わたしの体力は消耗していった・・・ 眼はかすみ、脚は震え、身体は痙攣してきた・・・これはいけない・・・ ・・・ここに至って、わたしは山を下りる決心をした・・・ ・・・震える足で、一歩一歩、ゆっくりとした足取りで山を下りていく・・・ ああ、降りるのに、どれくらい時間がかかるのだろうか・・・高熱が出て、わたしの…

  • 伊吹山に登る

    ヤマトタケルの自伝 29 わたしは単身、伊吹山に登っていった。荒ぶる神を退治するために。 しかしわたしは、草薙剣をもっていなかった・・・もう必要ないだろうと、ミヤズヒメに預けてきてしまったのだ。 なんか嫌な予感がした・・・なに、大丈夫だ!!草薙剣などなくても、伊吹山の神などこの手で仕留めて見せる! ・・・そうは言うものの、一抹の不安が頭をよぎる。 わたしは従者らを置いて、単身で伊吹山に上ることにした。もし万一のことがあって彼らを巻き込むわけにはいかない。 わたしを心配して一緒についていくという従者らを説得してふもとにとどめて、わたしは一人で登って来たのだ。 山の中腹まで来た時だった。 ごそごそ…

  • 伊吹山へ

    ヤマトタケルの自伝 28 わたしは尾張のミヤズヒメのもとに数か月の間滞在していた。 しかし、いつまでもここにいるわけにはいかない。わたしは大和に復命しなければならない。先に大和に帰したオオタチバナヒメも待っている。 「ミヤズヒメ、必ず迎えに来る。それまで待っていてくれよ」 わたしはミヤズヒメの手をしっかり握って言った。 「ヤマトタケルさま、いつまでもお待ちしております」 「そうだ、ミヤズヒメ、これを預かっていてくれ」 わたしはそういって、ミヤズヒメに草薙剣を渡した。それを見たミヤズヒメは、びっくりして言った。 「ヤマトタケルさま!これは・・・草薙剣ではありませんか!!・・・ どうしてこんな大事…

  • ミヤズヒメと再会

    ヤマトタケルの自伝 27 わたしは険しい信濃国をすぎて、美濃を経て尾張国まで戻ってきた。 もうここまで来たら、あとは大和に戻るだけだ・・長い旅路だった・・ 尾張・・・そう、結婚を約束した尾張国造の娘、ミヤズヒメがいる地だ・・ もうあれから何年もたつ・・・ミヤズヒメは今も待ってくれているだろうか、それとも誰かの妻になっているだろうか・・ あの時はこんなに長い旅路になるとは思っていなかったのだ・・。 わたしは尾張国造の屋敷に急いだ! 果たして・・・ミヤズヒメは・・・ ミヤズヒメは、そこに居た!!わたしとの約束をまもって、誰の妻にもなってなかったのだ!・・ 「ミヤズヒメ!よくぞ待っていてくれた!!」…

  • 信濃国で・・・

    ヤマトタケルの自伝 26 甲斐の酒折宮を出たわたしは、信濃国に向かっていた。 東国の蝦夷は平定され、みな朝廷の命に従うことを約束した。しかしまだ信濃の国、越の国には、まだ朝廷に服していない民族が残っていた。 それらの民族を平定するために、わたしは信濃国に向かっていたのである。 東国から付き従ってきたオオタチバナヒメは、一足先に大和に帰した。この先、険しい道が続き、また危険も伴う未開の地である。女の足では厳しいだろう。 また、越の国には、わたしの部下のキビノタケヒコを遣わした。 東国遠征の際、父の天応から伴としてつけられたキビノタケヒコである。最初はどんな人物かもわからず、非常に不安に思っていた…

  • 新治 筑波をすぎて・・・

    ヤマトタケルの自伝 25 わたしは足柄峠を越えて、甲斐の国まで来ていた。 わたしは甲斐の国の酒折宮(さかおりのみや)に一時滞在することにした。 その夜、宮では焚火がたかれ、そのあかりの中で食事をとり、休憩していた。わたしはその火を見つめているうち、なんともいえぬ思いがわたしの胸の内を襲ってきた。 ・・・自分が滅ぼしたクマソタケルにイズモタケル・・・ わたしは彼らには何の恨みもない。なのになぜ・・・わたしは彼らを惨殺してしまったのか・・ それは、ひとえに朝廷の権威を日本全国に広げるため・・・ そのために海に身を投じたオトタチバナヒメ・・・ しかし姉のオオタチバナヒメはわざわざ東国まで訪ねてきてく…

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