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狩場宅郎
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2019/06/16

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  • 二代目天皇の即位

    神武天皇の自伝 番外編 4(カムヤイミミの自伝) わたしは弟のカムヌナカワミミと二人、タギシミミを討つべく白檮原宮(かしはらのみや)に忍び込んだ。 見張りの目をかいくぐり、タギシミミが寝ている寝室の前まで来た。 「よし、カムヌナカワミミ、いくぞ」 わたしは言った。 「兄上、しっかり! 長兄のヒコヤイが逃げ出した今、父の後を継いで天皇(すめらみこと)の地位を受け継ぐのは次兄である兄上です。なので兄上の手でタギシミミを討ち、次の皇位を確実なものにしてください」 「おう、任しとけ!」 そっと部屋に忍び込み、タギシミミが寝ているそばまで来た。わたしは剣を振り上げようとした・・・が・・・ 急に恐怖が襲っ…

  • タギシミミを殺る!

    神武天皇の自伝 番外編 3 (カムヤイミミの自伝) 母は帰っていった。後に我々3兄弟が残された。 わたしたちは張り詰めた顔で互いを見合わせていた。 最初に口を開いたのは兄ヒコヤイだった 「やばいぞ・・・このままぐずぐずしてたらタギシミミに殺される・・・」 わたしは答えていった 「兄上、ならば先手を打って、こちらからタギシミミを討ってやりましょう!」 「そうです!それしか手はありません!」 弟のカムヌナカワミミも賛成した。 ところが兄ヒコヤイは・・・ 「冗談じゃない、そんな恐ろしいこと・・・わたしはそこまでして天皇(すめらみこと)の地位などいらん。そんなん、タギシミミにでもお前たちにでもくれてや…

  • 風が吹き来る、木の葉が騒ぐ

    神武天皇の自伝 番外編 2 (カムヤイミミの自伝) その当時、わたしは兄ヒコヤイ、弟カムヌナカワとともに大和の平原の一角に宮を構えて暮らしていた。 その時、母イスケヨリヒメが侍女を連れて我々3兄弟の宮を訪ねてきたのである。 母は大変やつれて見えた・・・それはそうだろう、タギシミミと無理やり結婚させられた上に、タギシミミは大変横暴でちょっとしたことでも怒鳴り、手を上げるという。 優しかった父イワレと長年一緒に暮らしてきた母にとって、その辛さは大変なものだろう。かといって、まだ若かったわたしたちにできることは何もなかった。 一緒についてきている侍女にしても、実はタギシミミの息がかかった配下の女であ…

  • イワレとタギシミミ

    神武天皇の自伝 番外編 1(カムヤイミミの自伝) わたしの名はカムヤイミミ。大和の地に生まれた。 わたしは3兄弟の次男である。兄の名はヒコヤイ、弟の名はカムヌナカワミミという。 そしてわたしの父は天皇(すめらみこと)のイワレである。 父はアマテラス大御神の子孫であり、日向から日本の国を統治すべく大和に出てきた偉大な存在であった。大和で母イケスヨリヒメを見初めて后にし、わたしたち3兄弟が生まれたのである。 そして、父は137歳で亡くなった。 父の没後、日向からタギシミミが上ってきた。タギシミミは父イワレが日向の地に居たときに生まれた子だという。 そしてこともあろうに、父の死で宮廷がごたついている…

  • 山百合の屋敷で

    神武天皇の自伝 36 わたしはイスケヨリヒメを后として迎えることになった。 イスケヨリヒメと出会ったその日、わたしは狭井川の上流にあるイスケヨリヒメの家を訪ね、そこで彼女と一夜を過ごした。 イスケヨリヒメの家の周りには山百合がたくさん茂り、きれいな花を咲かせていた。 大和の民は、皇后イスケヨリヒメを歓声で迎えてくれた。 イスケヨリヒメが宮に入ったとき、わたしは歌を詠んで彼女を迎えた。 葦原の 小さな小屋に ふたりきり 清い畳で 一緒に寝たね わたしとイスケヨリヒメとの間には3人の男児が生まれた。ヒコヤイ、カムヤイミミ、カムヌナカワミミである。 考えてみれば、日向にいたとき、わたしはまさか天皇(…

  • 皇后イスケヨリヒメ

    神武天皇の自伝 35 オオクメは7人の娘のもとにゆっくり近寄っていった。わたしは遠目にその様子を見ていた。 オオクメは根っからの武人である。もともと恐ろしげな顔の上にその顔面には刺青を入れ、目の周りにはまるで相手を脅すように真っ黒な墨を入れてある。その顔は一目見ると震えあがるほどだ。 果たして、オオクメが近寄ると、娘たちは立ち止まって震えだし・・・そしてもう少し近寄ったところで、娘たちは背中を見せて逃げ出してしまった・・・ 無理もない。娘たちには思いっきり不審者に見えてしまったのだろう・・・ ・・・しかし・・・ ひとりだけ、逃げ出さない娘がいた。先頭に立っていたイスケヨリヒメだ。 オオクメのあ…

  • イスケヨリヒメは誰?

    神武天皇の自伝 34 わたしはオオクメに連れられて高佐士野まで来ていた。 そこに7人の娘が連れ立って歩いてくるのが見えた。 オオクメが言った 「イワレさま、あそこに7人連れ立ってくる娘のひとりがイスケヨリヒメです。誰かわかりますか?」 わたしは7人の娘をよく見てみた・・・ ・・・どの娘も美しいが、先頭に立って歩いている娘・・・ひときわ輝くように美しい。いや、美しいだけではない・・・神々しさを感じるのだ・・・ ・・・この娘がオオモノヌシとセヤダタラヒメの子、イスケヨリヒメに違いない・・・ そう直感したわたしは 「先頭に立っている娘じゃないか?」 とオオクメに伝えた。 「さすがイワレさま、天皇(す…

  • 神の御子

    神武天皇の自伝 33 日向からナガスネビコを破って大和に入ったわたしは、畝火(うねび)に白檮原宮(かしわらのみや)を造営し天皇(すめらみこと)に即位した。 さて、即位後のあわただしさも落ち着いてきたある日、わたしは后となる娘を探していた。 もともと日向にいたと行きに結婚し子も生まれていたが、その妻子は日向に残していた。しかし今後の統治をより確実なものとするためにも、この大和の地から后を迎え入れたかったのである。 そんな折、わたしを日向からずっと護衛してきた側近のオオクメが、わたしのもとに来て言った。 「イワレさま、神の御子と言われる美しい娘がこの大和の地に居るそうです。名はイスケヨリヒメと言い…

  • 八紘一宇 ~日本の建国~

    神武天皇の自伝 32 わたしはこうして各地で荒ぶる神を平定し、大和に入った。 大和の民は、我々を大歓迎してくれた。 大和に入ったわたしは、ここまでついてきてくれた側近従者、将兵たちの前で宣言した。 「わたしは日向を発って以来、東の国を目指して進んできた。ここに天つ神の威光をもって凶族は誅殺された。辺境の地ではいまだ治めきれてない地もあり、なお敵の残党ありといえども、大和を中心とした日本は平和を取り戻しつつある。 まだ国は未熟で、地方には古い風習も残っている。しかししっかりとした政治を行えば、結果はおのずから見えてくるだろう。ここに山林を開き、都を造って民を導いていこう! 皆心を一つにし、八紘(…

  • 東征、終わる

    神武天皇の自伝 31 ナガスネビコとの戦いの翌日、ニギハヤヒがわたしのもとを訪ねてきた。高天原から天磐船で降りてきたという天つ神である。 「配下のナガスネビコが、こともあろうにアマテラス大御神の御子に対して、大変なご無礼を働いてしまいました。どうかお許しください」 ニギハヤヒは頭を下げた。 もはやわたしは、ニギハヤヒにもナガスネビコにも、何ら怒りや恨みの感情は持ってはいなかった。 「いや、ニギハヤヒ、頭を上げるがよい。もうよい、すべては終わった。これからより良い日本の国を作り上げていくために、どうかそなたも力を貸してくれ」 「はい・・・恐れ入ります」 「うむ、頼むぞ・・・ナガスネビコは許してや…

  • 天の御子は・・・

    神武天皇の自伝 30 ナガスネビコが見せた矢と矢筒。これを見てわたしは驚愕した。確かにそれは高天原の神聖な武具であった。本物なのだ! わたしは気を取り直して、ナガスネビコに言った 「確かにお前が君と報じるニギハヤヒは、天の御子であることに間違いないようだ。しかし、わたしも天の御子なのだ」 そういって、わたしも自分の矢と矢筒を見せた。天孫二ニギがアマテラス大御神から授かり、その後代々にわたって受け継がれてきたものだ。 それを見て、ナガスネビコの表情が変わった・・・みるみるうちに顔から血の気が失せていったのだ・・・ナガスネビコはがたがたと震えだした・・・ と思うと、わたしの前で手をつき 「恐れ入り…

  • 捕らえられたナガスネビコ

    神武天皇の自伝 29 ナガスネビコとの戦いは、我が皇軍の勝利に終わった。 皇軍を勝利に導いた金色に輝く鵄は、その様を見届けると飛び立った。そしてまた、ゆっくり旋回しながら空のかなたに飛び去って行った。 「アマテラス大御神は、ずっとわたしを見守ってくださっていたんだ・・・ありがとうございます」 わたしは東の空に向かって祈った。 そこに、わが軍の兵士にとらえられたナガスネビコが連れてこられた。兵士に抑えられ、わたしの前でしゃがみ込むナガスネビコ・・・ その姿を見ると、わたしの心の中に強い怒りの感情が沸き上がってきた・・・ 「ナガスネビコ・・・我が皇軍に矢を向け、天の御子である我が兄イツセを殺害した…

  • 金鵄

    神武天皇の自伝 28 我が皇軍は、大和へ進軍していく。もうすぐ宿敵ナガスネビコの本拠地だ。 時はすでに12月、冷たい風が吹いていた。 やがて遠くに軍勢が見えた・・・手ぐすね引いて待ち構えるナガスネビコの軍だ。 我が皇軍はそのまま進軍していく。 そして、いよいよ互いの矢が届く距離まで接近した。 よし、いくぞ・・・ びゅわ~~ん わたしは空に向けて鏑矢(かぶらや)を射った。戦闘開始の合図である。 わが軍から敵軍に向かって一斉に矢が放たれた。敵軍からも矢が雨あられと飛んでくる。 矢に守られながら歩兵は吶喊攻撃を繰り返す。 敵味方入り混じっての白兵戦は、なかなか決着がつかなかった。 戦いが長引いてきた…

  • 撃ちてし止まん

    神武天皇の自伝 27 磯城の地でエシキを討ち、我が皇軍は大和の平原に進軍していった。 いよいよここは宿敵、ナガスネビコの本拠地である。 斥候から帰ってきた兵士の話によると、すでにナガスネビコは、皇軍が東から攻めてくるという情報を得ているらしい。そして迎え撃つべく大軍を用意して待ち構えているということである。 もう、今度はこれまで行ってきたような策略は通じないだろう。正面から戦うしかない。 しかし、負けるわけにはいかない。白肩の津で、ナガスネヒコの矢に倒れた兄イツセのためにも・・・ それに今度は白肩の津での戦いと違って、こちらも準備万端整えている。 わたしは将兵たちを集め、彼らの前で歌を詠んだ。…

  • エシキを討つ

    神武天皇の自伝 26 皇軍は忍坂でヤソタケルを討ち、さらに進軍し磯城(しき)の地に出た。ここは大和の平原の西の端である。ここを越えれば大和だ。 この磯城の地は、エシキ・オトシキの兄弟が支配していた。この兄弟たちについては、熊野からついてきた国つ神たちもあまりよく知らないらしい。 そこで宇陀のエウカシの時と同様、八咫烏を使いとして送ることにした。八咫烏は「くわあ~~」と鳴きながら飛んでいった。 一刻後、八咫烏が戻ってきた。 八咫烏によると、エシキの屋敷で「天の御子が来ている。そなたはお仕えするか」と鳴いた。しかしエウカシは矢を射て八咫烏を追い払ったそうだ。 一方、オトシキは恭順の意を示した。その…

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