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  • 現在、木星で観測される“大赤斑”は1665年にカッシーニが発見した“永久斑”とは別物? 形成メカニズムをシミュレーションで検証

    木星の“大赤斑(GreatRedSpot)”は、太陽系の惑星の中で最大かつ最も寿命の長い渦として知られています。でも、その寿命については議論があり、その形成メカニズムは隠されたままでした。今回の研究では、木星の“大赤斑”の起源について、歴史的な観測記録と数値モデリングを用いて詳細な分析を実施。長年、“大赤斑”の前身と考えられてきた“永久斑(PermanentSpot)”との関係、そして大赤斑形成の要因となり得る3つのメカニズムについて検証しています。この研究は、バスク大学のAgustinSánchez-Lavegaさんたちの研究チームが進めています。本研究の成果は“GeophysicalResearchLetters”に“TheOriginofJupiter'sGreatRedSpot”として掲載されまし...現在、木星で観測される“大赤斑”は1665年にカッシーニが発見した“永久斑”とは別物?形成メカニズムをシミュレーションで検証

  • カイパーベルトは思っていたより広い? すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラによる探査機“ニューホライズンズ”の調査対象探し

    世界で初めて冥王星のフライバイを行ったNASAの探査機“ニューホライズンズ”は、その後もいくつかの延長ミッションを行っています。その延長ミッションにおいて、“ニューホライズンズ”が今後調査するカイパーベルト天体の候補探しに、すばる望遠鏡の広く深い撮像観測が貢献しているんですねー今回の研究では、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ“HSC(HyperSuprime-cam)”によるカイパーベルト天体の探査画像に、独自の解析手法を適用。その結果、カイパーベルトの領域を広げる可能性のある天体を発見しています。“HSC”を用いたミッションチームによるカイパーベルト探しは今も続いていて、今後も北米グループを中心として、次々と論文が出版される予定です。本研究は、それに先駆けて、日本の研究者が中心となり、日本で開発された...カイパーベルトは思っていたより広い?すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラによる探査機“ニューホライズンズ”の調査対象探し

  • 4番目のパラメーターを持つ色荷ブラックホールが初期宇宙に存在した!? 重力を介して存在を知ることができる暗黒物質の正体かも

    光などの電磁波では観測することができず、重力を介してのみ間接的に存在を知ることができる物質“暗黒物質(ダークマター)”の正体は、今でもよく分かっていません。候補の一つとして、誕生直後の宇宙で生成されたとされる“原始ブラックホール(Primordialbkackhole)”が挙げられていますが、その生成過程もよく分かっていません。そこで、今回の研究では、初期宇宙で原始ブラックホールが生成される過程を調査。すると、その研究の副産物として、理論的には提唱されていたものの生成ルートが判明していない“異色”の存在であった、いわば“色荷ブラックホール”とでも表現できるような存在にたどり着くことになります。色荷ブラックホールは、あまりにも小さすぎるので、現在の宇宙には残っていないと考えられています。それでも、初期宇宙の...4番目のパラメーターを持つ色荷ブラックホールが初期宇宙に存在した!?重力を介して存在を知ることができる暗黒物質の正体かも

  • 中性子星だとすると理論上観測できないはず 53.8分という極めて長い周期で性質が変化する謎の電波源“ASKAP 1935+2148”を発見

    中性子星(neutronstar)は、太陽の8倍以上の恒星が、一生の最期に大爆発した後に残される宇宙で最も高密度な天体です。原子から構成される恒星とは異なり、主に中性子からなる天体で、ブラックホールと異なり半径10キロ程度の表面が存在し、そこに地球の約50万倍の質量が詰まっているんですねー一般に強い磁場を持つものが多い天体でもあります。自転に伴う数ミリ秒から数秒程度の特徴的な電磁波パルスを放射する中性子星は、宇宙に存在する強力な電波放射源の一つになります。中性子星の自転周期は短く、通常は数秒未満で、自転周期が1秒未満のものも珍しくありません。今回の研究では、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の電波望遠鏡群“ASKAP(AustralianSquareKilometreArrayPathfin...中性子星だとすると理論上観測できないはず53.8分という極めて長い周期で性質が変化する謎の電波源“ASKAP1935+2148”を発見

  • 人類が初めて手にした恒星間天体に由来する破片かも? 太陽系の外からやってきた恒星などの天体を公転しない天体に迫る

    太陽系の外からやってきた“恒星間天体”としては、“オウムアムア”や“ボリソフ彗星”が公式に認められています。ただ、この2つ以外にも、恒星間天体には複数の候補があるんですねーその一つ“CNEOS2014-01-08”は、地球に落下したことが確認された初めての恒星間天体の可能性があります。今回、この“CNEOS2014-01-08”に由来するとみられる微小な金属球の発見が発表されましたまだ、分析は初期の段階ですが、この発見が本当であれば、人類は史上初めて恒星間天体のサンプルを採取したことになります。ただ、現時点では発見には多くの異論・反論もあるようです。この研究は、ハーバード大学のAviLoebさんが主導する“ガリレオ・プロジェクト”が進めています。恒星などの天体に重力的に束縛されていない恒星以外の天体恒星間...人類が初めて手にした恒星間天体に由来する破片かも?太陽系の外からやってきた恒星などの天体を公転しない天体に迫る

  • 何が急激な加速膨張“インフレーション”を引き起こしたのか? 重要な情報が刻まれている原始重力波の計算を簡単に行う方法

    よく、「宇宙はビッグバンで始まった」と言われます。でも、より正確には宇宙が誕生し、非常に高い真空のエネルギーにより宇宙が急激な加速膨張をしていた時期“インフレーション”を経て、その結果としてビッグバンが発生したとされています。インフレーションが起きたのは、宇宙が誕生して1036分の1秒後から1034分の1秒後までの間。その結果、誕生した瞬間は原子よりも遥かに小さかったとされる宇宙は、空間的に数十桁も大きくなっていきます。そして、インフレーション理論では、その際に放出された熱エネルギーがビッグバンの火の玉となった考えられています。この理論は、宇宙の観測を通じて原始宇宙の密度の濃淡“原始密度揺らぎ”を調べる研究によって検証されてきました。でも、具体的に何が急激な加速膨張を引き起こした駆動源だったのか、その全体...何が急激な加速膨張“インフレーション”を引き起こしたのか?重要な情報が刻まれている原始重力波の計算を簡単に行う方法

  • “わたあめ”並みの密度しかない系外惑星“WASP-193b”を発見! 巨大ガス惑星“ホットジュピター”はどこまで低密度になれるのか

    地球や火星のような岩石と金属で構成された岩石惑星と比べると、木星や土星のように水素やヘリウムが主成分の“巨大ガス惑星”は密度が低い天体になります。これに加えて、木星ほどの質量を持つガス惑星が主星(恒星)のすぐそばを公転することで表面温度が非常に高温になる“ホットジュピター”のような環境では、大気が熱膨張することでさらに密度が低くなってしまいます。今回の研究では、太陽系外惑星観測プロジェクト“スーパーWASP”(※1)の観測データから新たな惑星“WASP-193b”を発見しています。※1.“スーパーWASP”はスペイン領カナリア諸島のロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台と、南アフリカ共和国の南アフリカ天文台で構成されている。他の観測データも組み合わせて計算して分かったのは、“WASP-193b”の平均密度が...“わたあめ”並みの密度しかない系外惑星“WASP-193b”を発見!巨大ガス惑星“ホットジュピター”はどこまで低密度になれるのか

  • 2つの超大質量ブラックホールが合体しようとしている!? 複雑に広がったスペクトルを発見

    ほとんどの銀河の中心には、太陽の100万倍から100億倍の質量を持つ“超大質量ブラックホール”(※1)が存在すると考えられています。私たちの天の川銀河の中心にも、太陽の400万倍の質量を持つ超大質量ブラックホール“いて座A*(エースター)”が存在しています。※1.大質量星が超新星爆発を起こした後に誕生する、太陽の数倍~数十倍程度の質量を持つ“恒星質量ブラックホール”は宇宙には多数存在している。一方で、存在は予測されていても、確実な発見例がほとんど無い太陽質量の100倍~10万倍という“中間質量ブラックホール”もある。銀河同士が衝突合体を繰り返すことで自身が進化していく中で、複数の超大質量ブラックホールも連星を形成すると考えられます。理論的には、超大質量ブラックホールの連星が合体するまでのタイムスケールは、...2つの超大質量ブラックホールが合体しようとしている!?複雑に広がったスペクトルを発見

  • 地上が困難なら宇宙へ! 低周波電波の観測に対応する宇宙望遠鏡構想“GO-Low”は10万機以上の小型衛星で課題を克服

    宇宙空間内の放射源天体から届けられる光(電磁波)の中で、地上の天文台では観測が困難な周波数帯の“光”が存在しています。それは、周波数が15MHz以下の低周波数(※1)です。この周波数は、約50~1000キロ上空の“電離層(電離圏)”によって遮られてしまうので、地上の天文台では受信することが困難になることがあるからです。※1.天文学で低周波電波(LowFrequencyRadio)という用語が使われるが、周波数の範囲は明確に定められていない。この低周波数電波を観測するための宇宙望遠鏡が、マサチューセッツ工科大学(MIT)ヘイスタック観測所のMaryKnappさんが率いる研究グループによって提案されています。それは、10万機以上の小型衛星の“集合体”を配備する構想“GO-LoW(GreatObservator...地上が困難なら宇宙へ!低周波電波の観測に対応する宇宙望遠鏡構想“GO-Low”は10万機以上の小型衛星で課題を克服

  • 129億光年彼方で合体を起こしているクエーサーを発見 宇宙の夜明けの時代に銀河や中心ブラックホールはどのように進化したのか?

    今回の研究では、すばる望遠鏡とジェミニ北望遠鏡を用いた観測により、合体中の2つの巨大ブラックホール(クエーサー)を発見しています。このクエーサーのペアは、これまでに知られている中で最も遠方に位置するもの。それだけでなく、“宇宙の夜明け”と呼ばれる時代でその存在が初めて確認された合体中の巨大ブラックホールになるようです。この研究は、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(KavliIPMU,WPI)の尾上匡房特任研究員とJohnSilverman教授が参加する愛媛大学、国立天文台などの研究者からなる研究チームが進めています。本研究の成果は、2024年4月10日付のアメリカの天体物理学専門誌“TheAstrophysicalJournalLetter”に、“DiscoveryofMergingTwi...129億光年彼方で合体を起こしているクエーサーを発見宇宙の夜明けの時代に銀河や中心ブラックホールはどのように進化したのか?

  • 火星の衛星フォボスはどうやって形成されたのか? 小惑星捕獲説か巨大衝突説かは元素組成の観測から判別できるようです

    月の研究によって地球の歴史が明らかになってきたように、火星の衛星の研究は衛星そのものだけでなく火星の歴史の理解にも繋がります。火星にはフォボスとダイモスの2つの衛星があり、それらの形成過程については、これまで天体表面の色や地形を根拠とする“小惑星捕獲説”や公転軌道の特徴を説明する“巨大衝突説”が提唱されてきました。でも、その議論に未だ決着はついていないんですねーJAXAの火星衛星探査計画“MMX(MartianMoonseXploration)”では、様々な科学観測とフォボス表面から採取するサンプルの地上分析を組み合わせることにより、火星衛星の形成過程を解明することを目的としています。そこで、今回の研究では元素組成に注目し。衛星フォボスの形成過程の違いを見分けることを目指しています。異なる形成過程を経験し...火星の衛星フォボスはどうやって形成されたのか?小惑星捕獲説か巨大衝突説かは元素組成の観測から判別できるようです

  • “JADES-GS-z14-0”が観測史上最も遠い銀河の記録を更新! 初期の宇宙では恒星の誕生や銀河の進化は想像以上に速かった

    宇宙に無数に存在する銀河は、いつ誕生したのでしょうか?このことは、よく分かっていないんですねーただ、初期の宇宙に存在する銀河の数や大きさは、宇宙がどのように誕生したのかを探る上での基礎的な情報となります。今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の観測によって、観測史上最も遠い銀河“JADES-GS-z14‐0”と、2番目に遠い銀河“JADES-GS-z14-1”を発見したことを報告しています。特に、“JADES-GS-z14‐0”は、その距離にもかかわらず非常に明るい銀河なので、宇宙における銀河の形成過程を見直す必要があるのかもしれません。この研究は、ピサ高等師範学校のStefanoCarnianiさんを筆頭とする国際研究チームが進めています。本研究の内容は、特定の科学誌に論文が掲載される前のプレプリ...“JADES-GS-z14-0”が観測史上最も遠い銀河の記録を更新!初期の宇宙では恒星の誕生や銀河の進化は想像以上に速かった

  • なぜミニネプチューンは楕円軌道を公転しているのか? 赤色矮星周りの短周期惑星の軌道は潮汐力で円軌道化されるはず

    今回の研究では、NASAのトランジット惑星探査衛星“TESS”(※1)と地上の望遠鏡の連携観測により、4つの年老いた赤色矮星(星の年齢は10億歳以上)(※2)の周りにミニネプチューン(※3)を発見しています。※1.“TESS”は、地球から見て系外惑星が主星(恒星)の手前を通過(トランジット)するときに見られる、わずかな減光から惑星の存在を探る“トランジット法”という手法により惑星を発見し、その性質を明らかにしていく。繰り返し起きるトランジット現象を観測することで、その周期から系外惑星の公転周期を知ることができる。※2.表面温度がおよそ摂氏3500度以下の恒星を赤色矮星(M型矮星)と呼ぶ。実は宇宙に存在する恒星の8割近くは赤色矮星で、太陽系の近傍にある恒星の多くも赤色矮星。太陽よりも小さく、表面温度も低いこ...なぜミニネプチューンは楕円軌道を公転しているのか?赤色矮星周りの短周期惑星の軌道は潮汐力で円軌道化されるはず

  • ヴァージン・ギャラクティックが宇宙船スペースシップ2による最後の宇宙飛行に成功! 2026年からは新型宇宙船デルタ・クラスへ

    日本時間2024年6月9日未明のこと、アメリカの民間宇宙企業ヴァージン・ギャラクティック社(VirginGalactic)は、宇宙船スペースシップ2の2号機“VSSユニティ(VSSUnity)”による、同社7回目の商業宇宙飛行ミッション“Galactic07”を実施しました。6名のクルーを載せた“VSSユニティ”は、高度80キロ以上の宇宙空間(※1)へ到達した後に、無事地上へ帰還したことが同社から発表されています。※1.国際的には高度100キロ以上が宇宙と定義されているが、米空軍は高度80キロ以上と定義している。図1.“Galactic07”ミッションでロケット・モーターを点火して上昇する“VSSユニティ”。(Credit:VirginGalactic)ヴァージン・ギャラクティック社によると、空中発射母機...ヴァージン・ギャラクティックが宇宙船スペースシップ2による最後の宇宙飛行に成功!2026年からは新型宇宙船デルタ・クラスへ

  • スタートレックに登場するバルカン星は実在しない? 検出した波長は恒星表面が脈動や振動することで生じるドップラー効果だった

    地球から約16.2光年に位置する恒星“エリダヌス座40番星A”(※1)。この恒星は、2018年に太陽系外惑星“エリダヌス座40番星Ab”の発見が報告されたことで、SF作品“スタートレック”シリーズのファンの間で話題となりました。その理由は、主要なキャラクターを排出した異性種族“バルカン人”の出身惑星“バルカン星”が設定された星系だからでした。※1.異称として“HD26965”、“エリダヌス座オミクロン2星A(ο2EriA)”、“ケイドA(KeidA)などがある。”今回の研究では、“エリダヌス座40番星Ab”の存在について、新しい装置で得られた観測データを元に分析。その結果、惑星の存在を示すとされたシグナルは、実際には恒星活動によって発生したものであることを突き止めています。話題となったバルカン星かもしれな...スタートレックに登場するバルカン星は実在しない?検出した波長は恒星表面が脈動や振動することで生じるドップラー効果だった

  • “いつ”、“どこで”発生するか分からない恒星フレア現象の観測に成功! 2つのX線観測装置“MAXI”と“NICER”による全天監視と詳細観測

    りょうけん座RS星に代表されるフレア星で、公転周期が比較的短い、分離型の近接連星系“RSCVn型連星”。このRSCVn型連星が起こすフレア(※1)現象は、太陽フレアより桁違いに大きいことが知られていて、巨大フレアの発生メカニズムや周辺環境への影響を調べる上で重要な対象と言えます。※1.フレアは、恒星の外層大気で磁場に蓄積されたエネルギーが、突発的に解放される爆発現象。今回の研究では、国際宇宙ステーションに搭載された広範囲観測を得意とする全天X線監視装置“MAXI”(※2)と、詳細観測を得意とする高精度X線望遠鏡“NICER”(※3)を使用。この2つのX線観測装置を組み合わせることで、全天の“いつ”、“どこで”発生するか分からないフレア現象を、初期段階で発見し、詳細な観測を開始することに成功しています。※2...“いつ”、“どこで”発生するか分からない恒星フレア現象の観測に成功!2つのX線観測装置“MAXI”と“NICER”による全天監視と詳細観測

  • 金星は火山が活発に活動している3つ目の天体になる!? 30年前の探査機がとらえたレーダー画像の比較で溶岩流の痕跡を発見

    現役で噴火を起こしている活火山は、太陽系内では非常に珍しい存在です。地球以外で活火山が見つかっているのは木星の衛星イオのみ。兄弟星と呼ばれるほど地球と似ている金星では、直近の噴火に関する予備的な証拠が挙がっていたものの、決定的なものではありませんでした。今回の研究では、NASAが30年前以上に運用していた金星探査機“マゼラン”のレーダー画像を分析。噴火で生じた溶岩流の証拠を探索しています。その結果、1990年から1992年にかけて流出した溶岩流の可能性が高い地形の変化を、2つのエリアで発見しました。本研究は、直前に発表された別の研究と合わせて、金星の火山が直近でも活発に活動していて、それも1990年代という人間のタイムスパンでも、つい最近に噴火した可能性が高いことを示しています。この結果が正しければ、金星...金星は火山が活発に活動している3つ目の天体になる!?30年前の探査機がとらえたレーダー画像の比較で溶岩流の痕跡を発見

  • 天の川銀河の円盤部を高速で通過した天体の痕跡を発見! 初めて確認された見える天体を伴わない暗黒物質サブハロー

    今回の研究では、天の川銀河の比較的静穏な領域で、異常に広い速度幅(※1)(約40kms-1)を持った分子雲(CO16.134-0.553)を発見しています。※1.速度幅とは、天体を構成するガスの運動に起因する、スペクトル線の周波数幅のこと。この分子雲は膨大な力学的パワーを有し、過去に強い衝撃波を受けた痕跡が見られました。にもかかわらず、明確なエネルギー供給源が付随していないんですねー過去の広域データを精査してみると、CO16.134-0.553がやや大きな分子ガスの膨張球殻状構造(シェル)の一部を構成すること、天の川銀河の当該領域には巨大な原子ガスの“空洞”が存在し、天の川銀河下方には長大な直線状“フィラメント(※2)”が存在していることが分かりました。※2.フィラメントは細長い空間構造のこと。これらの空...天の川銀河の円盤部を高速で通過した天体の痕跡を発見!初めて確認された見える天体を伴わない暗黒物質サブハロー

  • 何がきっかけでエディアカラ紀の生物は複雑化・大型化したのか? 地磁気が弱くなったことによる酸素濃度の上昇が生物を進化させた

    約6億年前の“エディアカラ紀(エディアカラン)”は、目に見える大きさの多細胞生物が発見されている最も古い時代として注目されています。でも、なぜエディアカラ紀に生物の身体が複雑化・大型化したのか、その理由はよく分かっていません。今回の研究では、エディアカラ紀の“地磁気”の強さに注目。調査の結果、エディアカラ紀の約2600万年の間、地磁気の強さは現在の10分の1以下、最小で約30分の1というかなり低い水準だったことが判明しました。最終的にこの出来事が、海水中の酸素濃度を増加させ、生物の進化を促した可能性があるようです。この研究は、ロチェスター大学のWentaoHuangさんたちの研究チームが進めています。図1.今回の研究により、エディアカラ紀の地球は地磁気が極端に弱かった可能性が示された。当時の生物にとって、...何がきっかけでエディアカラ紀の生物は複雑化・大型化したのか?地磁気が弱くなったことによる酸素濃度の上昇が生物を進化させた

  • 天の川銀河で高度な文明が作るダイソン球の候補を7個発見!? 恒星から放たれるエネルギーを無駄なく活用する構造物は実在するのか

    宇宙において、非常に高度な文明が建造すると予測されているもの。その一つに、恒星から放出される全てのエネルギーを利用するための巨大な構造物“ダイソン球(Dysonsphere)”があります。今回の研究では、地球から比較的近い距離にある恒星約500万個を対象にダイソン球の探索を実施。その結果、ダイソン球の可能性を否定できない天体を7個見つけています。もちろん、現段階では単なる自然な天体である可能性の方がずっと高く、ダイソン球を実際に見つけた可能性は低いようです。それでも、この7個の天体はかなり変わった性質を持っているので、興味深い発見と言えます。この研究は、ウプサラ大学のErikZackrissonさんをリーダーとする“プロジェクト・ヘーパイストス(ProjectHephaistos)”が進めています。図1....天の川銀河で高度な文明が作るダイソン球の候補を7個発見!?恒星から放たれるエネルギーを無駄なく活用する構造物は実在するのか

  • スペースXの新型ロケット“スターシップ”が打ち上げ成功! 多数のタイル消失やフラップ損傷でも大気圏再突入・軟着水を成功

    日本時間2024年6月6日、アメリカの民間宇宙企業スペースX(SpaceX)社は、開発中の新型ロケット“スターシップ(Starship)”による第4回飛行試験を実施しました。第1段の“スーパーヘビー(SuperHeavy)”は海上への軟着水に成功。第2弾の宇宙船“スターシップ(Starship)”本体は宇宙空間を飛行後、機体が一部破損しながらの大気圏再突入を経て海上への軟着水に成功しました。図1.スターシップは第4回飛行試験のため、アメリカ・テキサス州ボカチカにあるスペースX社の施設“スターベース(Starbase)”を離床。第1段に搭載された33基のラプターエンジンのうち1基が停止したが、スターシップは無事宇宙へ向かった。(Credit:SpaceX)“スターシップ”は、第1段の大型ロケット“スーパーヘ...スペースXの新型ロケット“スターシップ”が打ち上げ成功!多数のタイル消失やフラップ損傷でも大気圏再突入・軟着水を成功

  • 少ない燃料と短時間で月に到達できる軌道設計に成功! カオス軌道だと探査機の軌道が予想不可能になってしまうはずだけど…

    5月30日のこと、三体問題に由来する“カオス軌道”をいくつも渡り歩いていく手法を考案し、地球-月の“円制限三体問題”の最小モデルである“ヒル方程式系”において、地球周回軌道から月周回軌道へ探査機が向かう場合、従来の軌道を上回る、高効率で短時間、なおかつ頑健な軌道を設計することに成功したことを、北海道大学と九州大学が共同で発表しました。本研究の成果は、北海道大学電子科学研究所の佐藤讓准教授、九州大学大学院工学研究院航空宇宙工学部門の坂東麻衣教授、同・大学工学部航空宇宙工学専攻の平岩尚樹大学院生、ブラジル・リオデジャネイロ連邦大学数学研究所のイザイア・ニゾリ博士たちの国際共同研究チームによるもの。詳細は、アメリカ物理学会が刊行する物理とその関連分野を扱う学際的な学術誌“PhysicalReviewResear...少ない燃料と短時間で月に到達できる軌道設計に成功!カオス軌道だと探査機の軌道が予想不可能になってしまうはずだけど…

  • 連星系“VFTS 243”のブラックホールは超新星爆発を伴わずに誕生していた!? 太陽の約10倍の質量を持つ恒星が完全崩壊を起こす可能性

    太陽よりも数十倍重い星は、その一生の最期に超新星爆発(II型超新星爆発)を起こし、強大な重力を持つ中性子星やブラックホールなどのコンパクトな天体を残すと考えられています。でも、実際には、全く超新星爆発を起こさずにブラックホールへと崩壊する“完全崩壊(Completecollapse)”を起こす恒星もあると考えられています。今回の研究では、片方の恒星が完全崩壊に至った可能性が高いと言われている連星系“VFTS243”について、観測記録とモデル計算を照らし合わせることで、完全崩壊を起こしたという仮説が妥当かどうかを検証。その結果、“VFTS243”のブラックホールは超新星爆発の影響を受けていない、つまり完全崩壊を経験していると考えて妥当だとする結果が得られています。本研究結果は、実態がよく分かっていない超新星...連星系“VFTS243”のブラックホールは超新星爆発を伴わずに誕生していた!?太陽の約10倍の質量を持つ恒星が完全崩壊を起こす可能性

  • 宇宙はいかにして理論的に期待される複雑な姿ではなく、観測から明らかになった単純な姿を獲得したのか

    東京大学宇宙線研究所の渡慶次孝気特任研究員は、パリ高等師範学校物理学部門のVincentVennin主任研究員との共同研究において、初期宇宙の急激な加速膨張(インフレーション)(※1)の過程で、揺らぎ(※2)の量子的な振る舞いが私たちの宇宙を稀な確率で実現した結果、現在のような単純な姿が観測されるに至ったことを明らかにしています。このことは、初期宇宙の高エネルギー環境から理論的に期待される複雑な姿と、実際に観測されているその単純な姿、という両者の隔たりを自然な理論で解消する重要な成果と言えます。逆に、将来的な観測が宇宙の複雑な姿の痕跡をとらえた場合に、インフレーションの理論モデルを同定する大きな手掛かりを与えるものです。※1.インフレーションとは、宇宙が生まれた直後、1000兆分の1000兆分の1秒よりも...宇宙はいかにして理論的に期待される複雑な姿ではなく、観測から明らかになった単純な姿を獲得したのか

  • 原始ブラックホールの形成は実現するのか? より複雑なモデルを考えるか、全く別のメカニズムを考えていく必要があるようです

    今回の研究では、原始ブラックホール生成に関係した大きな振幅を持った小さなスケールのゆらぎ同士が、量子論的にぶつかり合う効果を場の量子論に基づいて、初めて詳細に計算しています。その結果、小スケールに生成した大きなゆらぎが、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)で観測されるような大スケールの揺らぎにも影響を及ぼすことを明らかにしました。太陽の数十倍の質量を持つブラックホールの起源やダークマターの起源を、原始ブラックホールによって説明できるほど大きなゆらぎを予言するモデルにおいては、宇宙マイクロ波背景放射の観測結果と矛盾するほど影響が大きいことから、大きな質量の原始ブラックホール生成のためには、より複雑なモデルを考えるか、全く別のメカニズムを考えなければならないことを示したことになります。この研究は、東京大学国際高等...原始ブラックホールの形成は実現するのか?より複雑なモデルを考えるか、全く別のメカニズムを考えていく必要があるようです

  • 中間質量ブラックホールは球状星団の中で超大質量星から形成されている!? 最先端のシミュレーションによって明らかになった形成過程

    今回の研究では、球状星団(※1)の形成過程で、星の合体から超大質量星(※2)を経て中間質量ブラックホールが形成され得ることを、数値シミュレーションにより明らかにしています。※1.星団のうち数百万個以上の恒星が重力で集合し、概ね球状の形をとったもの。数百光年以内に数万個以上の恒星が密集している。※2.超大質量星は、太陽の数百倍から1万倍もの質量を持つ恒星。まだ、その存在について観測的な証拠はない。本研究では、新たに開発した計算手法により、世界で初めて球状星団の形成過程を、星一つ一つまで数値シミュレーションで再現。その結果、形成中の球状星団の中で星が次々と合体することによって、太陽の数千倍の質量を持つ超大質量星が形成され得ることが分かりました。さらに、星の進化の理論に基づいた計算によって、この超大質量星は後に...中間質量ブラックホールは球状星団の中で超大質量星から形成されている!?最先端のシミュレーションによって明らかになった形成過程

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