ビクは歴史を語るに当たり、ビクの故郷である母惑星を仮としてビク惑星と名付ける。更に、太陽と同じ働きの恒星を光恒と名付けると前置きする。 ビク惑星には、地球のような生物が繁栄していた。 ある日、文明を持った生物が天空に輝く一つの星に注目する。ビク惑星を引き連れる光恒系に...
夏休みに入った。江波幹也に大隅道久から電話が掛かる。 「受験勉強は進んでいるか? どうだ、息抜きにドライブするか?」 「そうだね。僕も叔父さんに伝えたい事があったんだ」 「例の、デブリビクの事か?」 「叔父さん、ビクにも聞こえているんだからね」 道久は、幹也の忠告など眼...
超人 江波幹也の通う学校では、春になると必ず体力測定をする。毎学年、同じ時期に行い、そのデーターを学校側は取り残す。データーを集め、統計を取るのが好きな学校だった。 幹也は、何が嫌いかって言うまでも無く、運動が大嫌いだった。 100メートル走測定では、とにかくビリに...
江波幹也の妻、江波久美の監視警護が始まった。最も、警護と言っても刑事の星矢雅美と久美との接触を阻むだけの楽な仕事。 それに、星矢刑事は余り休まない。偶の非番も、図書館に行って調べ物をしたり、時には会社訪問もしている。 気になるのは、訪問先が先進技術を扱っている会社。大...
地球外異星物体 大隅道久は、地球外から遣って来た異星物質の正体を知ろうと質問を続ける。 「お前、日本語が上手だな? 何時マスターした? まさか、幹也の身体に小型スピーカーを付けているんじゃあるまいな? 何処かでマイクで話していたりして」 『そんなことでは無い。とにかく、...
始動 保来信次郎は大隅から渡された資料なる物を読み進める。 「美沙。美沙が誘拐された理由が書いてあるよ。飽くまでも推測らしいけど」 「ヘーェ、どんな風に?」 「誰かとは書いていないけど、ある警察関係者が黒須とかいう悪人の行動と同じ様な事件が中国にも有ったらしい」 「黒須...
それから間もなくだった。幹也に何やら話し掛けて来る声がし始めた。幹也は辺りを見回すが誰も居ない。 声かけは何度も聞こえてくる。遂に、声の主は自分の身体の中から聞こえているのではと気付いた。 江波幹也は、自分の身体から聞こえてくる不思議な声に集中する。 『カプセル・・・...
寒い冬が去り、芽生えの春が遣って来た。 待ちに待った春なのだが、江波幹也の気持ちは冴えない。今学年の一年間は大学受験の準備で何の楽しみも持てない。 一応、遣るだけは遣っておこうと、幹也は休日なのに図書館へと自転車で向かう。 自転車で風を切るには未だとても寒い。 「手袋...
不思議な現象 大隅道久は甥の江波幹也を助手席に乗せてドライブに出かける。 高校生の幹也は温順な性格で、同級生や同年代らと一緒に遊ぶのが苦手だった。車に乗って彼方此方走り回るのが好きで、叔父の道久の車に度々同乗していた。 車は川越から日高、毛呂山、越生を抜け一路堂平に向...
今、保来信次郎に、美沙の父・継矢教授が一言漏らした言葉が浮かんでくる。 「そうか。女の子が生まれるんだ。信次郎君の廻りは女性ばかりになるね」 その時点では余りピンとこなかった。 だが、今部屋の中を見渡すと、母も妻も妹も、そして、生まれた子までみんな女。 壮観である。...
ミュージック 秋風 and水元公園 メロディーを編集し直しました。 うっとりするような曲になりました。 あっ、 自分で言っては駄目だよね。 「青い知略、謎の依頼」は飽くまでもプロローグです。 本編は次回から描いていきます。一応SFです。
大隅道久は、保来信次郎の心の中を覗き込むように見つめる。 「その表情は信じていない顔。当然でしょうけど。それでは掻い摘まんで説明しましょう」 彼は、俄に信じがたい話を始める。 大隅は若い頃から天文関係が好きで、自宅に比較的大きめな口径の天体望遠鏡を持っていた。 彼は...
大隅は保来の気持ちが揺らいで来たのを敏感に感じ取ったのか、 「実はこの件は、保来さんの奥様にも少し関係があるんですよ」 保来は怪訝そうな表情を浮かべる。 「奥さんの美沙さんが誘拐されましたよね」 大隅は美沙の誘拐事件を持ち出して来た。しかし、この事件は殆ど公にしていな...
ほら探偵のらりくらり日記Ⅲ 家庭 保来信次郎と美沙との結婚生活が始まった。二人だけの甘い生活とは行かず、小姑のような義理の妹・美(み)楽(さき)も一緒である。 保来は、日に日に大きくなる美沙のお腹を眺め、ある種の感動と不思議な気持ちに襲われる。 「本当に自分の子供が...
青い知略 謎の依頼 ある日、保(やす)来(き)信(しん)次(じ)郎(ろう)の探偵事務所に、大隅道久という人物から電話が掛かって来た。 「折り入って相談したい事があるので、私の自宅まで来て貰えないでしょうか?」 調査依頼を受けた家を訪問するのは普通の事。保来は勿論快諾...
継矢は話を続ける。 「それはそれとして、美沙の誘拐犯は一網打尽に逮捕出来たが、未だ大元が居るようなんだ」 「どこがそう言ってるのですか?」 「今、CIAが活発に動いている。CIAも最初は中国政府が絡んでいるのではないかと疑っていたが、どうやらそうでも無いらしい」 「では、...
過ち 結婚して子供が生まれた頃の継矢は、助手という立場で脳科学の研究に没頭していた。 大学での研究だけでは飽き足らず、テーマの違う研究も一人内緒で行っていた。 その研究の一環で、継矢はある興味を持つ。それは、幼い子供の睡眠時脳波は大人のそれとどう違うのか? または、...
夕方になると継矢夫婦が旅館に着く。仲居が奥まった部屋に案内をする。勿論、この旅館の一、二位を争う高級な部屋。 継矢夫婦が少し落ち着いた頃合いを見計らって、信次郎と信次郎の母・ユキ、そして美沙の三人が訪れる。 形式張った挨拶が済むと、ユキが 「温泉にお浸つかりになって、...
保来は反省しつつ、三階の自宅に向かう。 (冷静になれ、冷静になれ。もっと面倒臭い女が待ってるんだから、冷静になれ) 最近、保来は自分自身にお呪いの様な、呪文を心の中で呟くようになった。 「あら、お帰りなさい。上手くいって良かったわね。私の読み通りだったでしょ」 (こいつ...
その後、和んだ二人はいつもの様に屈託の無い話に進む。その中で、和枝やユキが信次郎が現れる前から大凡の事情を美楽から聞いていた事を知る。 「美楽ちゃんから私に電話があったの。流石に、二廻りも離れた若い子と結婚すると聞いた時は驚いた。だって、信ちゃんに若い子が好きになるなんて...
信次郎ひたすら謝る 保来は、重い気持ちを抱えながら実家である旅館を目指す。 美沙のお腹の児はどんどん成長する。先延ばしには出来ない。保来は、彼の母であるユキと同士だった木村和枝に結婚話を報告する義務があると覚悟を決めた。 最も、和枝の場合は他から見れば保来信次郎の愛...
保来は真っ暗な表情をして保来探偵事務所に現れた。 「お兄ちゃんどうしたの? 身体が調子悪いのだったら、あたし、午後も頑張るから部屋に帰って休んで」 美(み)楽(さき)の 言葉を背に受けながら保来は自分の椅子に座る。そして、頭を抱え机に伏す。 心配そうに近寄る美楽に、彼...
絶体絶命 数ヶ月が過ぎた。 「おはよう」 あくびをしながら保来がキッチンに現れる。 「兄貴の遅起きはギネスもんね。芸能人ではあるまいし」 またか、と言う感じで美(み)楽(さき)が言う。 「あたし、事務所に行くから」 「おう。頑張って仕事をしたまえ。ところで、美沙ちゃ...
保来は急いで知り合いの不動産会社に駆け込む。幾部屋かの空き部屋情報を持って美沙に渡す。 「部屋、見に行く? 部屋探しはやはり内見しないとね」 「うーん。行かない。私、保来さん達と一緒に住むと決めているから。家賃なら払います」 そういう事では無いと言いたいが、当の美沙が考...
美(み)楽(さき)が美沙の代弁をする。 「美沙さん。やっぱり日本で暮らすんだって」 「ご両親は了承したの?」 「ええ。理解してくれました」 保来は少し疑問に思う。両親は、あれだけ娘を心配して様々な対策を講じたのに、安全地帯だった筈の米国を離れて日本帰国を許すとは俄に信じ...
継矢教授は奥さんと同伴で旅館を訪れた。前日から旅館に帰っていた保来は旅館の主として迎え入れる。 保来は継矢の要請で、彼ら夫婦の泊まる部屋に向かった。 「ご苦労様。お陰で娘を助け出すことが出来た。感謝する」 誘拐事件に対する礼である。 保来は紋切り型の応答を返すと、美...
美沙を乗せた誘拐犯の車は中央道を走っている。中央道は八王子を過ぎれば間もなくトンネルに入る。 トンネル内は電波が途絶えて位置情報が使えなくなる。 懸命に追いかける保来だが、スピード違反は出来ない。誘拐犯の車がトンネルに入ったのか、位置を知らせるアプリ画面が止まったまま...
保来は美楽に運転を任せると、再び一一〇番に繋ぎ、簡単に事情を話し美沙の現在地と誘拐犯の車の進行方向を知らせた。 警察は、続けて随時位置情報を知らせるよう求めて来た。その内、保来達の車内会話を耳にしたのか、 「危険だから、あなたたちは追跡を止めて下さい」 と、言って来た...
追跡 美(み)楽(さき)は美沙との会話内容を時々保来に話していた。 「なんだ、美沙ちゃんって不良少女と違ってたんだ」 「みんなに請われて色々していたら、大人達の目にはヤンキーって映ったんでしょうね」 「そうか。美沙さんがターゲットか。確かに考えられる。抑も彼女自身がそう感...
未だ未だ収まらない新型コロナ。10月2日時点での統計によると、国内感染者累計8万3795人。死者1593人。 相変わらず東京は多い。全国的にも下げ止まり状態。 東北、四国、中国地方は少ない。人口が少ないほど感染者が少ないのは理に叶っている。 気になるのが沖縄。直近一週間の1...
そしてまたある時、美沙は同級生から相談を受けた。 他校だけど幼なじみの女の子が虐めに遭っている。女生徒からだけで無く、男子も絡んでいて不安だし怖い。数日後には、彼女の父親が会社の旅行で家を空ける。夜にいじめっ子達が家に遣ってくるのでは無いかと震えていると。 「わかった。...
気が合うのか、美(み)楽(さき)と美沙は真の仲良しとも言える仲になって行く。 「所でさ、本当に誘拐ってあると思っている?」 美楽は美沙に聞いてみた。 「少なくともパパとママはそう思っている。私も大袈裟だとは思っていない」 「そうなんだ。当然その根拠はあるんでしょ?」 「...
見守り 城東地域の下町に保来は車で来ていた。助手席には美(み)楽(さき)が乗っている。 「それじゃあ、俺が大学まで彼女の後を付けるから、美楽は先回りして大学近くのコインパーキングに車を駐めて置いてくれ」 「分かった」 「そうそう、鞄を持っていかなくては」 保来は、車の...
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