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  • 『史記』横山光輝 ⑦ 再読 第3話「刺客荊軻」

    秦の侵攻の前に諸国は国の存亡をかけて青息吐息であった。 燕もその一つで太子丹を人質に差し出し服従の意を示そうとした。 太子・丹は趙の人質になった時には秦王政と仲良く遊んだという思い出があった。 きっと秦王は自分を幼馴染として大切にしてくれるだろうと丹は信頼しきっていたのだった。 ところが秦王に謁見した丹が「それにしても政殿も立派な王になられうれしく思います」と声をかけると返ってきた言葉は「控えよ丹」という激しい叱責だった。 「私は今は天下の王なるぞ。なれなれしく口をきくでない。退れ」 丹はひれ伏すしかなかった。 丹は一国の人質として冷遇された少年時代に友であっただけに余計屈辱感に取りつかれどう…

  • 『史記』横山光輝 ⑦ 再読 第1話「嫪アイの乱」第2話「我れ鳥獣にあらず」

    13歳の始皇帝。めっちゃクールで頭がよくてかっこいいのである。 ネタバレします。 十三歳の政が秦王となる。 呂不韋の囲い者から荘襄王の妃となって政を生んだ母は「母太妃」となった。 そして呂不韋は相国(丞相より上位)となり「仲父」と呼ばれる。これは父の次という意味である。 呂不韋は財力権力共に手にした。 ここで呂不韋がやったのが食客を三千集め歴史を記録させるということだった。 さすが。遊びとかに浪費するのじゃなく「天地・万物・古今の出来事の研究させ記録させる」に没頭するとか面白い。 そして二十余万語からなる書を完成させ「呂氏春秋」と名付けた。 さらに市井の人々にこの書を読ませて一字でも増したり削…

  • 『史記』横山光輝 ⑥ 再読 第3話「主を震わす者」第4話「奇貨居くべし」

    魏の信陵君・無忌は七代目安釐王の腹違いの弟である。身分を問わず人を大切にしたので人望があり食客の数も三千を数えた。 魏には頭痛の種が一つあった。 それは魏の宰相・魏斉が范雎が斉と通じていると勘違いし拷問の末便所に放り込んで辱めたことである。 その後范雎は秦に脱出し秦の宰相にのし上がりその恨みを晴らさんと機会を狙っていた。 だが十数年、秦は魏に手を出さなかった。聡明な信陵君がいるのでうかつに手が出せなかったのである。 魏王が信陵君と碁を打っていると「北の国境から次々と狼煙が上がっておりまする。趙の来襲と思われまする」という報が入る。 左側信陵君、かっこいい。 wwwwはたして・・・通報は誤報で趙…

  • 『史記』横山光輝 ⑥ 再読 第1話「嚢中の錐」 第2話「老いの野望」

    ネタバレします。 戦国の四公子のひとり、平原君趙勝は趙の恵文王の弟で恵文王と孝成王の二代に仕え三度宰相をつとめ多くの食客を抱えていたので有名である。 紀元前262年、秦は再び趙に攻め入り国都邯鄲を包囲。趙は懸命に防戦し両軍の攻防は九か月に渡った。 ここで平原君は楚と同盟を結び援軍を請うという王命を担う。 二十名の知勇兼備の士を三千人の食客の中から選抜するもあと一人が決まらない。 名乗り出た毛遂という男を平原君は名前さえ憶えていなかった。 「才能ある人物はたとえてみれば錐のようなものだ。錐は袋に入れればたちまち先が突き出るもの。あなたはなんの功名もない」と平原君は訝しむが毛遂はこれに「それは今ま…

  • 『史記』横山光輝 ⑤ 再読 第2話「長平の合戦」第3話「便所の屈辱」

    怖い表紙絵です。 ネタバレします。 天下制覇を狙う秦の猛将・白起の物語。 白起はまさに連戦連勝の将軍だった。数えきれないほどの城を奪い同時に数えきれないほどの首を奪った。 白起の行く所、敵はいなかったのだ。 趙はこの時七代孝成王の時代となっていた。「刎頸の交わり」で有名な藺相如は重病で床に伏し廉頗将軍もすでに年老いていた。 そこに韓の上党郡の大夫が超に領土として差し上げるので上党の民をお守りください、と申し入れに来たのである。 趙王は迷いながらも上党をわが領土とすることにした。 上党の領民が超へ避難を始め、趙は避難民を助けるために廉頗将軍を差し向けた。 ここに戦国時代最大の合戦と言われる長平の…

  • 『史記』横山光輝 ⑤ 再読 第1話「刎頸の友」

    肩にかけているだけで痛そうであります。 ネタバレします。 戦国時代末期、秦は商鞅の強国の策が実り天下を狙って他国を侵攻し始めた。 特に毛翔・白起の率いる秦軍の行くところ敵はなく紀元前293年には韓・魏連合軍を伊闕に破り二十四万の首を奪り大地を血の海に変えた。 その後も白起の秦軍は留まることなく大陸を侵略し続けたのである。 趙の恵文王の時代(在位前298~266) 恵文王は秦からの使者によってとんでもない要求をされてしまう。 それは「恵文王様は楚より天下の名玉でできた‶和氏の璧(かしのへき)”を手に入れられたのこと。秦の昭王はその‶和氏の璧”と秦の十五城とを交換したいと申しております。いかがでし…

  • 『史記』横山光輝 ④ 再読 第3話「食客三千」

    別にいいんですけどあの「食客三千人」の表紙としては不気味ではありませんか。 ネタバレします。 「食客三千人」の逸話はさすがに知っていたけどその生い立ちに驚いた。 斉は薛の領主・田嬰は多くの側室を持ち四十余人の子供がいた。その側室のひとりが五月五日に男子を出産した。 主人の田嬰は「五月五日は厄除けの日。この日に生まれた子は親に害をなすという」と言って生まれた子を殺せと命じるのだ。まだ横たわっている母親が「お慈悲を」と言っても「ならぬ」と言って去る。 何と惨いと歯噛みする思いだが従順そうに見えた母親が「心配することないのよ。私が殺したりするもんですか」というのには笑った。 中国女性は強い、というべ…

  • 『史記』横山光輝 ④ 再読 第2話「鬼謀奇策」

    昨日楽毅に攻められた斉側のお話です。 ネタバレします。 斉の湣王による強引な領土拡大に反発した燕・趙・魏・韓・楚による連合軍は斉水の西で斉軍を撃破した。 超・魏・韓・楚はその大勝利で満足し引き上げたが斉に深い恨みを持つ燕は斉を滅亡させるためにさらに進撃を続けた。 斉の湣王は首都から逃亡し南方の莒城に立てこもって軍を再編し反撃を開始するつもりであった。 将兵たちも家族を連れて各地へ逃亡。斉には七十余の城があった。 下役人の田単は一族を連れて都の東の安平へ逃れた。 安平城に到着した田単は一族の者たちに馬車の車軸を補強するよう伝える。 いずれ燕軍がここも攻め落とした時無事脱出するために馬車を補強して…

  • 『史記』横山光輝 ④ 再読 第1話「先従隗始」

    「まず隗より始めよ」 のお話です。 ネタバレします。 中国大陸は弱肉強食の戦国時代に突入した。 太公望を始祖とする斉も第二十九代康公で血筋が途絶え田氏が支配する田氏斉となった。 第五代目湣王の頃には新都天下を二分する強国となった。 この物語書き出していくのがややこしい。 まず燕の王がおぼっちゃま国王で「名君と呼ばれたい」という願望を持つことを利用されるのだ。燕は宰相の子之が政治力を持っていることで成り立っていた。 名誉欲の強い国王と権力欲の強い宰相、というところに目を付けた斉の湣王は蘇代を使い「燕の宰相の権力をもっとつよくなるよう運動いたせ」と命じたのである。 いったいこの蘇代は何者なのかと思…

  • 『史記』横山光輝 ③ 再読 第4話「業因強国策」

    商鞅の話です。 ネタバレします。 戦国時代、秦は思い切った国政の改革を行い超大国にのし上がった。その基礎を作ったのが商鞅である。 商鞅の本名は姓は公孫名は鞅で衛の側室の子である。 商鞅は若い時から政治学を学んだが衛ではその学問を生かす場所がなく、魏の宰相公叔痤の食客となった。 公叔痤は商鞅が並々ならぬ才能の持ち主であると知り政治に商鞅の意見を取り入れるようになった。 だがその公叔痤も寄る年波には勝てず病床に伏した。 魏の恵王は公叔痤の後継者に迷い公叔痤は食客の商鞅を勧めたが王の答えははかばかしくない。 公叔痤は「もし商鞅を採用されなくば殺してくだされ。あの才能を他国で使わせてはなりませぬ」と説…

  • 『史記』横山光輝 ③ 再読 第3話「孫子の兵法」

    孫武は良いんだけど孫臏がねえ。 心痛む。 ネタバレです。 春秋時代末期と戦国時代にかけてふたりの優れた兵法家がいた。孫武とその後裔の孫臏である。どちらも兵法書を残したため不朽の兵法書『孫子』はどちらの書かと諸説がある。 現代ではどうやら孫武のものであろうという意見が有力であるが史記ではどちらの書か明記されていない。 春秋末期 呉王闔廬の時代。闔廬は孫武の兵法書を読み感心し斉から招いた。 闔廬は孫武に兵士の調練のやり方を見せてもらいたいと希望しその兵士として宮中の美女百八十人を集めた。 孫武は美女を二組に分け呉王の寵姫ふたりを隊長とした。 孫武は真剣に美女たちに矛を持たせて太鼓の合図にあわせて右…

  • 『史記』横山光輝 ③ 再読 第1話「因習打破」 第2話「改革者の悲劇」

    なんか恐ろし気な表紙ですが読むと想像以上に怖ろしい、はずです。 こんなことあるか~??? ネタバレします。 春秋時代、大国・晋であh六人の大夫の権力闘争が起こり、魏・韓・趙の三氏が勝ち、晋を三分した。この頃からを‶戦国時代”という。 魏は生き残りを賭けて能力ある人材を求めた。その者たちに与える領地はないために俸禄をもって召し抱える方法をとった。官僚である。 魏の文侯によって召し抱えられた官僚のひとり・西門豹は鄴の県令に任命される。 黄河の氾濫と地元有力者のあくどい搾取によって荒廃した河内地方は諸国との国境を接する重要な地であるとして西門豹はその地の改革に向かったのである。 西門豹の役目はその地…

  • 『史記』横山光輝 ② 再読 第2話「臥薪嘗胆」第3話「呉の滅亡」

    以前も書いたかもですが不思議な表紙絵です。臥薪と嘗胆を描いていますね。 ネタバレします。 冒頭に「呉と越は黄河流域の中央から離れていたため南方の蛮地と見られていた」と書かれている。 『三国志』で妙に孫権の呉が仲間外れ的なのはそのせいだったのかなと思ったりする。 さらに蛮地に存在する呉と越は両国とも中央に躍り出たい気持ちが強く仲が悪かったのである。「呉越」というと仲が悪い代名詞でもある。 伍子胥は闔廬に「まずは越を討つべき」と進言した。 闔廬は越の王が死去した機を狙い出兵するが越の重臣范蠡がとんでもない作戦を実行する。 死刑が決まった重罪人を前にして「呉軍の目前で自死すれば家族の面倒を見てやる」…

  • 『史記』横山光輝 ② 再読 第1話「復讐の鬼/前編後編」

    伍子胥の物語です。 横山光輝『史記』の中でも特に印象が強かったものでした。 この表紙絵からして骸骨の前で鞭を持って立つ壮絶さが描かれています。 ネタバレします。 春秋時代(戦国時代)始まる。 楚の二十七代平王(在位紀元前528~516)は横暴な王であった。 そこにいた伍一族は名門の家柄だった。 その一人が伍子胥である。名は員といった。 父の伍奢は平王の太子・建の侍従長を務めている人格者であったがその副侍従長である費無忌は常々から平王の側近になりたいという野望を持っている男だった。 事件はこの男から始まる。 ある時、太子・建の嫁を秦から迎えることとなり迎えにいった費無忌はその美しい姫を見て太子で…

  • 『史記』横山光輝 ① 再読 第3話「 驪姫の陰謀」第4話「漂泊の覇者・文公」

    紀元前666年頃からのお話です。 ネタバレします。 第十九代晋の献公は異民族の驪戎を征伐し驪姫とその妹を捕らえ側室としたのだった。 この物語はその驪姫の陰謀、という話として描かれているが現在の感覚で言えばむしろ復讐譚なのではないだろうか。 まあどちらにしても王たる献公が驪姫にのめりこんでしまったために驪姫が生んだ息子をどうしても後継者にしたくなったことから様々な陰謀が渦巻いていくのである。 献公の八人の子のうち特に三人が家臣たちからも信頼を集めていた。父である献公はこの優秀な三人を排除しようと画策する。 むしろ家臣がこの三人が排除され驪姫の子が後継者になることを怖れ三人の公子たちを守ろうとする…

  • 『史記』横山光輝 ① 再読 第2話「名宰相・管仲」

    「管鮑の交わり」と呼ばれる友情譚です。 ネタバレします。 紀元前667年以降の話である。(紀元前だよ!) 前667年、斉の桓公は周王より伯(覇者)を賜る。 この斉というのはあの太公望が周の軍師となりその功績によって与えられた国である。 横山光輝『殷周伝説』の最後、太公望呂尚が武吉を連れてふらりと旅立ったのが斉だった。太公望は「斉は海に面していて塩を作ることや鉄を作ることを学ぶんだ」と言っていたのを覚えている。 いやあ太公望に至っては紀元前1000年の話なんだから恐れ入る。 さてさて「管鮑の交わり」に行こう。 管仲と鮑叔は幼い時から大の仲良しだったのだが成人してからそれぞれ敵対する人物に仕えるこ…

  • 『史記』横山光輝 ① 再読 第1話「司馬遷」

    読み返したいなあと思いがつのりようやくもろもろ一段落したので再読します。 ほくほく。 ネタバレします。 この偉大な歴史書を編纂した人物・司馬遷の物語から始まる。 私は今思い返すと「司馬遷は宦官だった」と記憶していたのか「去勢されていた」とだけ覚えていたのかもう定かではないのだが(なんという記憶喪失)とにかくその経緯を何も知らずに来てしまっていたので本作を読んで「こういうことだったのか」と驚いてしまった。 友人の李陵を弁護して武帝の怒りを買い獄に入れられ鞭打たれた後死刑と決まる。 死罪を免れるには大金を支払うか宮刑(男性器を切り落とされる)かを選ばねばならない。が、裕福ではない司馬遷は金の工面は…

  • 『わたしは真悟』楳図かずお 2 というか完結

    その後、とり憑かれたかのようにむさぼり読みました。なので読完了してしまいました。 なので暴走的な読書感想になってしまいますが書いてみます。 ネタバレします。 この作品を簡単に説明し感想を言うのは無理だろう。 様々な感情が溢れ出し一気にいろいろな言葉が生まれてくるのだ。 この物語は『わたしは真悟』というタイトルが示す通り「真悟」が語っていく様式になっている。 ただ普通でないのは「真悟」が「産業用ロボット」だということなのだ。 これはいったいどういうことなのだろう。 12歳の少年さとるは父親の工場に「ロボットが来た」と聞いてアニメで見るガンダムのような(台詞で「ガンダム」と言う場面がある)カッコい…

  • 『わたしは真悟』楳図かずお 1

    なんか唐突に楳図かずおです。 私はホラーマンガが苦手で長い間楳図マンガは避けていたのですが少し前に『漂流教室』を読んでぶん殴られ(るような境地になり)続けて『14歳』などを読んだというような読者です。 なので今回も初読書です。 ネタバレします。 というかまだ読み始めたばかりで何も知らないのでネタバレしないでくださいw つまり読みながら書いています。 さて「無よりはじまる」という小見出しが気になる。 奇蹟は誰にでも 一度おきる だが おきたことには 誰も気がつかない という謎かけ。 そして 「わたしはクマタ機械工作というところで生まれたそうです・・・・」 という不思議なモノローグ。 しかも宇宙空…

  • 『ソフィーの選択』毒親に育てられた女性の人生を描く

    以下、ネタバレします。 gaerial.hatenablog.com TVで『ソフィーの選択』が放送されていたのを見て上にリンクした自分の記事を思い出しました。 ネットで簡単に見られる感想の多くは「残酷なナチスによって自分の子のどちらかを殺す選択をさせられる悲劇の女性」という部分に焦点をあてていますが私は問題はそこではなくソフィーという女性が優秀なのにもかかわらず父親の傲慢で無慈悲な言葉によって自分では何も「選択できない」もしくは「間違った選択をしてしまう」女性になってしまった悲劇を描きたものではないかと感じています。 思い出すのは多くのナチス映画ではなく山岸凉子『天人唐草』です。この作品で描…

  • 『蒼天航路』漫画:王欣太/原案:李學仁 その15 完結

    33・34・35・36巻、読完了しました。 ネタバレします。 夏侯淵は玄徳に襲い掛かるがあと一歩のところで届かず。最後は黄忠に斬られる。 その死は魏軍に伝えられた。 曹操はじめ夏侯淵を兄弟としてきた仲間たちの慟哭は地を震わせる。 ところで、前にも書いたけど曹操って年取ってからの方がかっこよくないか。 ビジュアル最高である。 玄徳はまじでおっさん臭いが。(加齢臭を感じる) 玄徳側で横山版と大きく違うのが法正。 やはりこの作品は軍師のためのものだ。 その法正は過労死する。 曹操は撤退を決意した。 あの有名な鶏肋場面だ。舐るのは美味しいが「身はない」という。 直後、玄徳は「漢中王」に封じられる。 こ…

  • 『蒼天航路』漫画:王欣太/原案:李學仁 その15

    夏侯惇だけは甲乙つけがたい。 30巻の途中から31・32巻 ネタバレします。 はい、30巻の途中からです。 この前まで義兄弟だった孫権と玄徳の戦いが始まる。 曹操の方は漢中へ。 宗教国である。三国志の国々あまりにも特徴はっきりしすぎてて面白すぎる。 曹操は五斗米道を解体させるがその子孫は代々道教の教主として以後民間宗教の中心に君臨する。(そうだったのか) 曹操は石徳林と会う。 その人は人が望む栄華を避け何も持たない隠遁暮らしを続けており「寒貧」と呼ばれていた。曹操が一点の疑問もなく走り続けるように彼もまたそうであった。 いわゆる「素寒貧(すかんぴん)」の語源である。(そうだったのか) 215年…

  • 『蒼天航路』漫画:王欣太/原案:李學仁 その14

    28・29・30巻の途中までです。 ネタバレします。 曹操は執拗に攻撃してくる馬超を罵りひねり潰すのだと叫ぶ。それほど馬超の憎悪と力は凄まじかったのだ。 が、許褚は猛り狂う曹操を押しとどめて小舟に乗せ逃げ延びた。 ここは横山版で私がもっとも曹操✖許褚名場面と思っているところだが本作でもそれは変わらず。ここは変更できなかったようだ。 馬超と韓遂の話は横山版も良かったが本作ではより韓遂の魅力が描かれ読みごたえがある。中原の主に従うのではなく抗い続ける民の魅力がある。 しかし曹操の力はそれを上回る。 韓遂と馬超は遠方へ逃げるしかなかった。 曹操は都へ帰還した。 ここから曹操と荀彧の最期の物語となる。…

  • 『蒼天航路』漫画:王欣太/原案:李學仁 その13

    25・26・27巻です。 ネタバレします。 猛き曹操の暫しの憩いの相手は夏侯惇である。 横山『三国志』と対抗するようにキャラクターが違う本作だが夏侯惇だけはほぼ同じイメージで描かれているように思える。 忠義というよりも強い家族愛として曹操を見守っている。 故郷の譙に軍を駐留した曹操は昔遊んだ亀を見出していた。 程昱と曹操。程昱のひょろりとした長身が楽しい。 程昱・荀彧・荀攸・郭嘉・賈詡、本作の楽しみは軍師にある。 仕方ないが横山『三国志』では曹操の軍師たちがわずかしか出てこないためこれら軍師たちの名を聞いても反応できなかったけど今回の読書で知ることができた。これからが楽しみである。 そして玄徳…

  • 『蒼天航路』漫画:王欣太/原案:李學仁 その12

    23・24巻です。 ネタバレします。 私最推しの曹操✖許褚は本作『蒼天航路』の方がより多く濃く描かれている。 くう。この話を横山版で想像しよう。 (結局横山氏の絵の方がエロチックなのだよ) それはおいといて。 川魚を献上され食べつくした曹操は激しく苦しみ嘔吐する。 側に付いていた許褚は曹操を抱え上げ脱出を試みる。 船上にいる賈詡は襲いかかってきたのは川賊ではなく孫軍だと気づく。 すべては策略だったのか。 孫軍からの容赦ない攻撃に曹操(こちらは戦ではないつもりなので曹軍ともいえず)の船は破壊される。船中にいる許褚は船体側面を錨でぶち開ける。それに気づいた賈詡は長江の形状を伝えようと落ちるが泳げず…

  • 『蒼天航路』漫画:王欣太/原案:李學仁 その11

    21・22巻です。 ネタバレします。 公徳は父・玄徳が「天下人」であると感覚で知る。 賈詡は逃げ散らす玄徳を「道化師」と称して嘲笑った。 この凄まじい逃亡の中で糜夫人亀研は阿斗を守って死んでしまう。阿斗を受け取った公徳と阿斗の母親である甘夫人はなおも危険にさらされていた。 そこに趙雲が追いついてきた。 趙雲は阿斗を懐に抱き入れ甘夫人・公徳が乗った馬と己の馬を操って曹軍の中を駆け抜ける。 嘲笑いながら襲ってくる賈詡を斬りはらった。 玄徳はひとり逃げ続けていた。 その前に現れたのは孔明だった。 玄徳は孔明に「生まれて初めて嚢の中身をのぞいちまったよ」と言う。 玄徳は大きな嚢を持っている。 その中に…

  • 『蒼天航路』漫画:王欣太/原案:李學仁 その10

    19・20巻となるでしょう。 ネタバレします。 袁家の生き残りはあっさりと殺されてしまう。 そして郭嘉の死が近づいていた。 曹操は郭嘉の死など眼中にないが如く話し続ける。曹操は郭嘉に烏丸族の王となることを願っているのだ。 郭嘉もまたその夢があったかもしれないが彼の身体はもうすでに朽ちていた。 最期まで曹操に軍略があふれ出て来ると訴えながら郭嘉は死地へ旅立った。 孫家では後を継いだ孫権が幕僚らの議論を聞いていた。 揚州が曹操と手を結ぶか敵対するか。 周瑜は「曹操との外交はその時のあちらの出方を待ちつつ進めるのが得策」と説いた。 劉表が死亡し劉家では曹操に降伏するとの決議となった。 劉表家に居候し…

  • 『蒼天航路』漫画:王欣太/原案:李學仁 その9

    17・18巻です。 ネタバレします。 本作『蒼天航路』は横山『三国志』を意識して反抗的に描かれているのではないかと思う。 横山『三国志』で劉備玄徳が曹操のようにではないように生きてきた、というように横山『三国志』に似ないよう創作されているのではないだろうか、ということだ。 とはいえそもそも横山『三国志』で曹操がかっこよかった、という点で本作は「似てしまう」 主人公が似通ってしまう、という最大の問題点を除けば他は大きく違うように創作されている。 (と言いたいが夏侯惇が似ているんだよなあ)(しかたない。あのかっこよさ、描きたい) 横山『三国志』で省略されてしまった「官渡の戦い」をかなりの分量で描き…

  • 『蒼天航路』漫画:王欣太/原案:李學仁 その8

    15 ネタバレします。 『三国志』ビジュアル的には横山版しか知らない自分が一番驚いたのは趙雲かもしれない。 曹操美形なのは同じだし玄徳はむしろ文献で知った通りなのでいいのだけど趙雲は実は美形と聞いてはいたもののあまりの違いに戸惑った。 しかもこの巻で目が見えなくなっている。どうなるのだと思いきや玄徳と出会うことで玄徳は趙雲を見て言葉を聞いて元気を取り戻し趙雲は目が見えるようになる、という互いにとって希望ある結果になる。 周瑜公瑾は孫策の元へ戻り孫策を次代の王として仕える意志を告げる。 孫策は父の墓前へひとり参拝に向かうが途中許貢の遺児・家臣とその刺客に毒矢を射られ刺客は皆殺しにするも傷を負って…

  • 『蒼天航路』漫画:王欣太/原案:李學仁 その6

    13・14巻です。 ネタバレします。 横山版ではほとんど描かれなかった玄徳の妻子との触れ合いを見る。 玄徳曹操から離れる。 逆に横山版であった曹操と玄徳との親し気な交流はなかった?ように思われる。 さらに逆に曹操と荀彧・郭嘉とのいちゃいちゃは頻繁に描かれていて良い。 荀彧による袁紹との国力の違いを教えてもらえる。 曹操は自ら先頭に立ち夏侯惇らを率いてわずか六騎で袁紹の陣地へと赴き宣戦布告した。 袁紹陣は騒然となる。 ここに陳琳が檄文を記した。 この檄文に記された曹操とその父・祖父まで愚弄した文言を曹操は激怒しながらも「美しい」と評価した。 袁紹との戦いを前にして張繍・賈詡が曹操に降る。 玄徳は…

  • 『蒼天航路』漫画:王欣太/原案:李學仁 その6

    11 ネタバレします。 小柄で傷だらけの将・楽進に荀攸は付き従いながら兵法を教えた。 敵は張繍、軍師は賈詡である。 賈詡は曹操を己の手で殺めるという昂りを感じたもののそれは曹操の策の内だったと気づかされ愕然とする。 曹操は楽進の揺るがぬ戦いぶりに微笑んだ。 さて呂布。 呂布を徹底的な戦いの神として描いているのがわかる。 男ならばこうしたバトルのみに特化した男、を願望するものかもしれないが私は哀れを感じてどうしようもない。 それに比べ夏侯惇は誰が描いてもカッコよくなってしまうのかもしれない。 そして私は曹操よりもだれよりも荀彧と郭嘉が面白い。 賈詡も陳宮も面白いのでこのマンガは軍師マンガなのかも…

  • 『蒼天航路』漫画:王欣太/原作:李學仁 その5

    9・10巻です ネタバレします。 呂布は悲しい。 どこへ行っても悲しい。それはわかった。 そして天子・劉協は曹操の手に落ち許都へ遷都する。 呂布は玄徳のいる徐州下邳城に迎え入れられる。 ふむ。あの張飛が泥酔して城を奪われてしまう大失敗の箇所だが、こちらでは泥酔ではなく陳宮の策略と呂布の力で追い払われ泣く泣く義兄たちの元へ行く。 関羽は怒るが玄徳はそれを止めて呂布に降ってしまおうと言い出すのである。 呂布に降った玄徳はさらに呂布に追い出され小沛へ行くことになるが食べ物もなく腹ペコになった玄徳はすっかり意気消沈してしまうのだ。 ところがここで張飛が呂布の持ち馬を奪い取ってきたのを見て「乱世ってとこ…

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