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  • 百物語 九十二回目「夜明けの歌」

    気がつくと、波打ち際にいた。僕はいつのまにか、海辺に佇んでいた。一体どうやってその鈍い鉛色に光る海の側まできたのか、全く記憶はない。乳灰色に輝く泡を飛ばしながら、波が打ち寄せまた退いてゆく。僕は、凶悪さすら感じる冷たい風を頬に受けながら、その波打ち際をゆっくりと歩いた。白い砂浜と鉛色の海の境界に、その流木があった。巨人の骨のように白くねじくれているその流木は、ひどく孤独で孤立している気がする。ふいに。僕は誰かに呼ばれたような気がして振り向いたが、もちろんそこには誰もおらず、灰が積もったような砂浜が延々と広がっているばかりだ。僕はその寒々とした海辺を離れ、砂浜の中に孤島のように取り残されている駐…

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