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2018/11/23

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  • 7本指のピアニスト

    西川悟平 朝日新聞出版社 2015.4.30読書日:2025.5.23 15歳になってピアニストを目指した著者は、3年後、猛練習の末に無理と言われていた音楽大学に合格。和菓子屋で働きながら25歳のときに故デイヴィッド・ブラッドショーとコズモ・ブオーノのコンサートの前座を務めることになり意気投合、両氏に認められ、ニューヨークに招待され、リンカーンセンターでリサイタルを行う。その後、ジストニアにかかり演奏ができなくなるが、必死のリハビリにより、右手5本と左手2本の機能が回復してピアニストとして復活するまでの話を書いた本。 なんというか、久々に感動したな。この人の人生に向き合う姿勢の素直さに。 育っ…

  • 考えすぎない練習

    ジョゼフ・グエン 訳・矢島麻里子 ディスカバリー・トゥエンティーワン 2024.1.26読書日:2025.5.21 ネガティブな感情の原因は自分の思考であり、考えることをやめて思考を捨て、フローな精神状態を保てればポジティブになれ、うまくいくと主張する本。 まあ、この本の内容は本当に冒頭の紹介文で終わりなんですが(笑)、たぶんアドラー心理学をかじった人にとっては自明のことでしょう。 生きていくということは、幸福でも不幸でもなく、ポジティブでもネガティブでもなく、ただ生きているということであり、感情というものは自分が必要に応じて作り出している、というのが、(わしの理解する)アドラー心理学です。 …

  • オードリー・タン わたしはこう思考する

    語り・オードリー・タン 取材・執筆・楊倩蓉 訳・藤原由希 かんき出版 2024.11.5読書日:2025.5.21 台湾の元デジタル大臣オードリー・タンの生い立ち、考え方を全体的にまとめた本。 わしはオードリー・タンに注目している。 世界のIT業界を眺めると、極端なリバタリアンがアメリカを中心に多いように思える。わしはリバタリアンは嫌いではないし、むしろ親近感を覚えるけれど、しかしリバタリアニズムを推進してもうまく行かないだろうということは確信している。個人の自由と社会の共感は両立しなくてはいけないのだ。個人の自由だけではうまくいかない。 その点、オードリー・タンは、デジタル相として多くの市民…

  • 科学の本、危険、絶対

    科学の本は昔から、特に宗教関係者から危険視されてきましたが、今でも危険です。 というのは、科学関係の本を読んでると、わしは極めて高い確率で電車を乗り過ごしてしまうからです(笑)。 わしは行きの電車ではめったに乗り過ごすことはありません。遅刻したら大変なので、それなりに緊張しているからでしょう。よって乗り過ごしは帰りの電車で起こります。 わしは1回乗り換えがあるので、その乗り換えのときに気が付かずに乗り過ごすことが多いです。経済学とか社会学的な本とか歴史とか文系の本ではめったに乗り過ごしは起こりません。たいてい、科学や数学の本を読んでいるときにそれは起こります。 なぜなのか。 やっぱり普通の文章…

  • アリの放浪記 多様な個が生み出す驚くべき社会

    オドレー・デュストゥール アントワーヌ・ヴィストラール 訳・丸山亮 日本語監修・丸山宗利 山と渓谷社 2025.1.30読書日:2025.5.22 アリの、特に餌を集める採餌アリの驚くべき行動と社会性の話と、それを解き明かそうとした研究者の奮闘の本。 わしも子供の頃、アリに魅了された者のひとりだ。まあ、砂糖をおいてみてそれに群がるアリを観察した程度であるけれど、なぜかアリって見ていて飽きないんだよね。これで、いろいろ実験とかしてみたら、わしも立派な生物学者になれたのかもしれないが、わしはぼんやりと眺めているだけだった。わしは概ねぼんやりしている子供だったからなあ。 しかし、なぜアリに魅了される…

  • 世界最凶のスパイウェア・ペガサス

    ローラン・リシャール サンドリーヌ・リゴー 訳・江口泰子 早川書房 2025.1.25読書日:2025.5.10 イスラエルのNSOが開発したスマホを乗っ取るスパイウェア、ペガサスはテロや犯罪対策用という触れ込みで各国政府に販売されていたが、実際には独裁国家では政府に抵抗する運動家やジャーナリストの監視に用いられていた。フランスの調査報道NPO、フォービドゥン・ストーリーズはペガサスが感染していると思われる5万件の電話リストを入手し、その実態を各国の新聞社と協力して暴いたドキュメンタリー。 この本を読んで思うのは、独裁的な国家に逆らうと決心したジャーナリストがいかに危険かということだ。彼らは文…

  • ネット右翼になった父

    鈴木大介 講談社 2023.2.1読書日:2025.5.2 父親とあまりコミュニケーションを取ってこなかった著者だったが、高齢となった父がネット右翼のスラングや物語を語るようになって驚き、父の死後に、なぜ父親がネット右翼になったのかを調査した本。 世の中の現象を書くときに、世の中全体の動きを追う方法もあるが、一方では、特定の人物や事件に特化してそこを私小説的に深く掘り下げて探るという方法もあり得る。この本では、自分の父親について徹底的に掘り下げて調べている。家族について調べるというのは、コンプライアンス的な問題も起きにくく、なかなか狙い目かもしれない。もちろん著者は自分自身についても、深く掘り…

  • 「ほんとうの会議」を読んで思い出したこと

    「ほんとうの会議」は、言いっぱなし、聞きっぱなし、討論なし、結論なしのネガティブ・ケイパビリティを発揮するミーティングについての本だった。 しかし、これがほんとうの会議だ、明日から会社の会議もこういうふうにしましょう、と言われても誰もが困ってしまうだろう。何も決まらない会議では業務が滞ってしまう。 しかしこの本を読んでいるうちに、似たような会議の進め方があったのを思い出したのである。結論は出る、ただしダラダラと続く、そんな会議である。 民俗学者の宮本常一が書いた「忘れられた日本人」という本に、かつて日本の農村でどんなふうに意思決定がされたかの様子が記されている。かつてと言っても、宮本常一が実際…

  • ほんとうの会議 ネガティブ・ケイパビリティ実践法

    帚木蓬生(ははきぎほうせい) 講談社 2025.4.1読書日:2025.5.3 ギャンブル依存症には効果的な薬がなく、自助グループによるミーティングだけが唯一効果がある方法で、そのミーティングでは言いっぱなし、聞きっぱなしで、結論も要約もなしであり、この会議ではネガティブ・ケイパビリティ(答えが出ない事態に耐える力)が発揮されているとし、社会の普通の会議でも実践すべきだと主張する本。 ギャンブルにはまってしまった人の脳はギャンブル脳になってしまい、ギャンブルのためにはその場しのぎの嘘もつくし、犯罪すらも犯してしまう。このギャンブル脳をもとに戻すことは不可能で、一生抱えていかざるを得ない。その他…

  • 「夢のエネルギー」核融合の最終解答

    アーサー・タレル 監修・横山達也 訳・田澤恭子読書日:2025.4.30 核融合(nuclear fusion)がいよいよ実現に向けて大きく前進しており、民間企業の設立も相次いで活況を呈している状況を取材した本。 最近、核融合関係のニュースが相次いでおり、例えば中国がトカマク型で2025年1月に1億度のプラズマを1066秒維持できたと発表し、続いて2月にはフランスが22分維持できたと発表していたりする。 というわけで、核融合が実現のフェーズに入ってきたことは間違いない。単にフュージョンと言えば、最近では音楽のことではなく核融合のことを指すんだそうだ。(著者の周りだけなのでは?(笑))。 でもそ…

  • 未来学 人類三千年の<夢>の歴史

    ジェニファー・M・ギドリー 訳・南龍太 白水社 2025.2.10読書日:2025.4.26 人類がこれまで未来についてどのように考えて、取り組んできたかを概説する本。 念のために言うと、この本は「未来学」という学問を紹介する本で、未来を予測したり予測する方法を説明する本ではない。未来を予測する方法は未来学の一部ではあるけれど、それは未来学の全てではないのだそうだ。 ギドリーがこのような本を書こうと思ったのには、どうも最近の若者はSF映画などの影響を受けすぎて、未来はディストピア社会になると考える傾向があるかららしい。未来は、もっと多様で能動的なもの(つまり自分が関与して変えることができる)と…

  • 地図なき山 日高山脈49日漂白行

    角幡唯介(かくはたゆうすけ) 新潮社 2024.11.20読書日:2025.4.20 かつて人類が地球全体に広がったときが根源的な冒険であり、それでこそ目の前の自然と向き合えるとして、そういう状態を再現するために、何ら予備知識もなく、地図も持たずに日高山脈に入り、縦断を目指して漂泊した記録。 現代の冒険家って大変だなあ、と思った。 かつて冒険家は、地図の空白を埋めるために世界中をめぐり、その土地の地形や様子を報告するだけで尊敬と名誉を勝ち得ることができた。しかし、そんな空白地帯は地球からなくなってしまい、誰もやったことのない新しい冒険を計画することはすでに困難である。 しかも現代の冒険はかつて…

  • きのこのなぐさめ

    ロン・リット・ウーン 訳・枇谷玲子、中村冬美 みすず書房 2019.8.19読書日:2025.4.16 マレーシアからノルウェーに留学して知り合い、結婚して35年、突然愛する夫を亡くし呆然とした著者が、偶然受けた講座できのこに魅せられ、夫の死を受け入れられるようになるまでを語った本。 夫のエイオルフは本当に何の前触れもなく突然亡くなったのだそうだ。いつものように仕事にでかけ、事務所で倒れたのだという。入院するような病気ならば死を受け入れる時間もあっただろうが、もちろんそんな時間は与えられなかった。その後の数週間は、葬儀とか手続きとかで過ごし、知り合いからたくさんの言葉をもらったが、それらすべて…

  • 三谷幸喜 創作を語る

    三谷幸喜 松野大介 講談社 2024.9.1(電子書籍版)読書日:2025.4.13 劇作家、小説家、演出家、映画監督の三谷幸喜がデビューから2013年の「大空港2013」までを述べた本。 三谷幸喜ってコメディ作家という触れ込みだけど、笑えるというイメージがまったくないなあ。面白くないわけじゃないけど、どうもげらげら笑った経験は思い出せない。 でも、往年のアメリカのシチュエーション・コメディを目指しているのなら、まあ、そういうものかとも思う。だって、アメリカのシチュエーション・コメディを、わしは面白いと思ったことがないのだもの。つまんなくないですか、あれ? というわけで、なんともわしとは感性が…

  • トランプ関税対中国

    トランプ関税と中国について何か書かなくてはいけないような気がして、こうして書いているわけです(笑)。 すでにニュース等でみなさんお気づきだとはおもいますが、この勝負、トランプのほうがどう考えても不利ですね。 中国の輸出のうちアメリカ向けは2023年で14.8%。とくに輸出先としてアメリカに大きく頼っているような感じはしませんね。中国がアメリカから買わなくてはいけないものとしては先端的な半導体や半導体製造用の装置などがありますが、すでにこれらは何年も前から規制されています。なので、すでに中国には耐性があります。 中国の輸出業者、輸入業者の中には不満を持つ者がいるかもしれませんが、わざわざ中国共産…

  • 物価を考える デフレの謎、インフレの謎

    渡辺努 日本経済新聞出版 2024.11.22読書日:2025.4.12 1990年代にデフレはなぜ起こり、2022年にインフレはなぜ起こったのか、異次元金融緩和はなぜ失敗したのか、について考察した本。 渡辺さんによれば、日本で起きたこれだけ強固なデフレは他の国とは違いすぎて、普通の経済学では説明不可能なんだそうだ。経済の世界では日本とアルゼンチンは異端の国だそうで、どちらも普通の経済学では説明できない現象が起きるのだという。 インフレは賃金の上昇と企業がつける商品価格がお互いにスパイラルに効いて起こる。つまり、労働者はインフレ分を賃金に上乗せしようとし、企業はそれを商品価格に転嫁する。こうし…

  • 笑わない数学

    NHK「笑わない数学」制作班・編 KADOKAWA 2023,12,11読書日:2025.4.4 NHKで放送した「笑わない数学」の制作班が、放送できなかった内容も含めてまとめた本の第1弾。取り上げているのは、1.素数、2.無限、3.四色問題、4.フェルマーの最終定理、5.確率論、6.ガロア理論。 わしは別に数学は得意ではないが、いちおうは理科系である。そのせいで多少は数学のことも理解しているつもりである。なので、1〜5までは、なんとなく内容をイメージできる。 しかしである。6のガロア理論だけは、昔からさっぱり理解できない。なんとも全体がイメージできない。たぶん最初に読んだのは大学時代だと思う…

  • BIG THNGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?

    ベント・フリウビヤ ダン・ガードナー 訳・櫻井祐子 サンマーク出版 2024.5.10読書日:2025.3.28 世界中のビッグプロジェクトはたいてい予算も工期も大幅に超過し、出来上がってもその便益は目標を下回っていることが多い。しかし、それを予定通りに行う方法があるといい、それを伝授する本。 これは面白かった。なにか大きなプロジェクトを実行する必要のある人は全員読んだほうがいいのではないか。 ここでいうビッグプロジェクトとは、国(自治体)や大企業が行うような大きなプロジェクトだけではない。個人的なプロジェクトも含むのである。 たとえばこの本では、個人が自宅をリフォームしようとしたら何倍もの予…

  • 大人のための国語ゼミ

    矢野茂樹 山川出版社 2017.7.15読書日:2025.4.3 きちんと議論するために必要な国語の技術について述べた練習問題付きの本。 何かを述べるときには、理解できるか相手のことを考え、事実なのか考えなのかを明確にし、話題ごとにまとめて順序を考え、文と文のつなげる接続詞でわかりやすくつなげて述べる必要がある。そして相手の主張を読み取るときには枝葉ではなく幹を捉え、意見を述べるときには根拠を示し、相手の主張に的確な質問をして、水掛け論にならないように反論する必要がある……だそうです。 というわけなので、この辺に興味がある人は読んでいただければよいのではないかと思います。でもねえ、こういうこと…

  • ブルデュー 闘う知識人

    加藤晴久 講談社 2015.10.1読書日:2025.3.26 フランスの社会学者ブルデューを紹介する本。 ブルデューなんて名前すら知らなかったが、とても有名な人らしい。なので、どんな仕事をした人なのかまずは知りたいところだけど、この本は不思議な構成をしていて、ブルデューの仕事自体は最後の方の第5章で簡単に語られるのみで、それまではひたすらブルデューの生い立ちとその周囲の人間関係の話に終始するのである。 具体的には、ブルデューはフランスの田舎に生まれたのだが、非常に優秀な人で、エリート養成のための学校であるエコル・ノルマル・スュペリユール(高等師範学校)に入学する。ここの卒業生たちはフランスの…

  • 日本のなかの中国

    中島恵 日経BP、日本経済新聞出版 2024.9.9読書日:2025.3.19 日本に住んでいる中国人が80万人以上になり、すでに独特のコミュニティになっていることを報告した本。 わしが住んでいる町はこの本でも中国人が多い町として名前が上がっている。中国人が多いとは思っていたが、そんなに多いとは知らなかった。 わしは特に中国人に悪感情は抱いていない。個人的に知っている中国人には優秀な人が多いからだろう。しかも、彼らはとてもアグレッシブで、好感が持てる。(こっちがあまりやる気が無なくてぼんやりした日本人で申し訳ない(笑)) やっぱりこれだけ数が多くなると、以前の在日中国人とは違った特徴が出てくる…

  • フリーランス農家という働き方 おためし農業のすすめ

    小葉松真理 太郎次郎社エディタス 2024.11.20読書日:2025.3.16 農業に関心があっても、資金なし、技術なし、土地なしで新規就農に躊躇しているひとに、全国の農場を渡り歩くフリーランスの方法があるよ、と教えてくれる本。 なにしろ日本全国どこも人手不足である。もちろん農業も例外ではない、というか他の業種以上に人手不足である。そして農業は、特定の時期に、たとえば収穫の時期にむちゃくちゃ人手が必要なのに、人手があまり必要としない時期もあったりして、繁閑の差がはげしい。忙しいときのときのためだけに、一年中人を雇うわけにもいかない。一方で、日本は南北に長く、常にどこかの農場が繁忙期である。ど…

  • 男を殺して逃げ切る方法

    ケイティ・ブレント 訳・坂本あおい 海と月社 2024.12.13読書日:2025.3.15 (ネタバレあり。注意) ロンドンのチェルシーに住む人気インフルエンサーのキティ・コリンズ(フォロワー数は数100万)には裏の顔があり、女性をおもちゃにしてひどい目にあわせる男をつぎつぎ殺してミンチにするシリアル・キラーなのだった、という設定の小説。 中身は無茶苦茶なんだけど、なんといっても「インフルエンサー ✕ シリアル・キラー」という組み合わせにインパクトがある。華やかな(たぶん)インフルエンサーの友達に囲まれていて、そういう虚業的な生活を覗き見する部分と、女の子なんてどうにでもできるという慢心した…

  • 痛み、人間のすべてにつながる 新しい疼痛の科学を知る12章

    モンティ・ライマン 訳・塩崎香織 みすず書房 2024.11.18読書日:2025.3.10 痛みは身体の損傷が起きたところで発生するのでなく、脳により作られるので、脳が学習すると僅かな刺激で鋭い痛みを作り出して慢性的な痛みとなる。したがって、慢性の痛みを取り除くにはより強力な薬の処方ではなく、脳の配線を変えることが有効だと主張する本。 わしは膝が痛くなったことがある。 わしはあまりエレベータを使わず階段を使う。ところがある頃、階段を6階以上登ると膝が痛みだす、という現象が起きるようになった。本当に5階まではなんともなくて、ピタリと6階から痛むのである。 実に不思議だった。なぜなら建物によって…

  • ミライスピーカー

    妻の聴力が落ちてきました。 数年前から妻のテレビの音量が大きくなり、「耳が悪いんじゃないの? 医者に見てもらえ」と言っておりました。しかし本人はさほど気にしていません。最近では、その音量は、廊下を隔てた別の部屋にいても聞こえてしまうようになり、困っていました。 そうこうするうちに人間ドックで、聴力が落ちている、と指摘されてようやく本人は自分の聴力を自覚して、愕然としたようです。 将来的には補聴器ということになるのでしょうが、とりあえずテレビの音量をなんとかしようと思いました。 こういうときの対策の定番がミライスピーカーです。その存在は、発売当初から、TV番組の「ガイアの夜明け」などで知っていま…

  • 韓国消滅

    鈴置高史 新潮社 2024.9.20読書日:2025.2.24 世界的にも異様な国である韓国は混迷の時代に入り、消滅に向かっていると主張する本。 いくらなんでも消滅はしないでしょう(苦笑)。確かに出生率は0.7まで減少し、今後人口が急速に縮んでいくのは間違いないでしょうが、たぶんどこかで止まると思います。 それよりも2023年にニューヨーク・タイムズが「韓国は消える?」という記事を書くまで自分たちの出生率の低さの異常さに気が付かず、NYTの記事が出ると大騒ぎになったというのが笑える。 これだけではなく、鈴置さんによれば、韓国は自分たちが世界的にどんなに異様な国なのかまったく自覚がないのだそうだ…

  • 地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団

    森功 講談社 2018.12.4読書日:2025.2.24 積水ハウスが55億円騙された事件やアパホテルが12億円騙された事件など、地主になりすまして土地を売ってしまうという、ネットフリックスの「地面師たち」の原作の元ネタになったノンフィクション。(注:ネットフリックスのドラマは見ていません) この本にいろいろな事件が述べられているわけですが、登場人物が同じなのにびっくりします。つまり、地面師はほとんど逮捕されないし、逮捕されても不起訴になることが多いし、最悪、懲役になっても数年で刑務所を出てきてしまうので、同じ人間が何度もやるわけです。内田マイク(これが本名)や北田文明というフィクサーの名前…

  • 鹽津城(しおつき)

    飛浩隆 河出書房新社 2024.11.20読書日:2025.2.18 (ネタバレあり。注意) 日本SF大賞を2回も取った作家が描く、ある世界とその世界に隣接した別の世界の相互作用を描く、短編集。 わしは小説はあまり読まないが(1年に10冊ぐらいか?)、読むときにはかなりの確率でSFを読んでいる。しかしSFマニアでもなんでもないので、特に21世紀のSF、とくに日本SFがどうなっているかについては非常にうといのである。 なので、SF大賞を2回も取ったという飛浩隆のことは全く知らなかった。というわけで、今回初めて読みました。それで、どう思ったかと言うと、これってSFなのかしら、純文学なんじゃないの?…

  • ピークアウトする中国 「殺到する経済」と「合理的バブル」の限界

    梶谷懐 高口康太 文藝春秋 2025.1.20読書日:2025.2.19 中国経済には、新エネルギー車(NEV)の発展という肯定的な側面と不動産バブルの崩壊という負の側面が混在しており、現状を把握するのが難しいが、両者は同じもののコインの裏表の現象であり、今後も同じようなことが中国で続いていくと主張する本。 中国経済がわからない。 これはわしだけではなく、かなりの人がそうではないのか。不動産バブルが崩壊し少子高齢化が進み日本化しているという悲観的な部分と、EVの製造・販売が世界一でありディープシークという衝撃的な最先端低コストAIの登場などの明るい部分が混在していて、見方が難しいのである。さら…

  • 日本の公立図書館の所蔵 価値・中立性・書籍市場との関係

    大場博幸 樹村房 2024.4.11読書日:2025.2.11 日本の図書館が、どのくらいの本を所蔵しているか、政治的に対立するようなテーマに対して中立的かどうか、書籍市場に影響を与えているかどうかを検証した本。 わしも昔は本をがんがん買っていたんですが、なかなか読めず積ん読になってしまうのが悩みでした。でも図書館を利用してみたら、期限が決まっているからどんどん本を読むようになったので、その後ほぼ完全に図書館に切り替えたわけです。しかしそうすると、わしが月に数千円とか数万円とか使っていたお金は出版業界に流れなくなってしまうわけで、それが気がかりでした。この本はその辺をかなり徹底的に検証していま…

  • 翻訳に生きて死んで 日本文学翻訳家の波乱万丈ライフ

    クォン・ナミ 訳・藤田麗子 平凡社 2024.3.6読書日:2025.2.12 1990年代、ニートだった20代に暇つぶしに日本文学の韓国語翻訳をはじめ、徐々に仕事が入って来るようになったが、仕事のネタを探しに日本へ行ったらうっかり結婚、その後に離婚、シングルマザーになってからは真剣に翻訳に打ち込み、やがて訪れた日本文学ブームの中で飛躍、いまでは日本文学翻訳の第一人者になった著者のエッセイ。2011年初刊、2021年改訂版の翻訳。 1991年に日本で結婚して三鷹に3年間住んでいた頃、韓国は日本文学に対する理解はまったくなく、著者がいいと思った吉本ばななも江國香織も全く需要がなかったそうだ。仕事…

  • シンギュラリティはより近く 人類がAIと融合するとき

    レイ・カーツワイル 訳・高橋則明 NHK出版 2024.11.25読書日:2025.2.11 2005年に出版した「シンギュラリティは近い」(日本語版は2007年「ポスト・ヒューマン誕生」)で、著者は2029年にAIが人間の知能を越え、2045年に人類がAIと融合して永遠の命を得るという予言をしたが、いまどのあたりまで来たのか、最近のChatGPTなどの大規模言語モデルなどの実例を含んで検証し、改めて従来の主張を繰り返した本。 前著のときには、たぶんほとんどの人はAIがこんなに発展するとは思っても見なかっただろう。しかし今やAIは成長産業で、何10兆円という投資が日常的にニュースになっている。…

  • 結局、人生最後に残る趣味は何か

    林望 草思社 2024.10.3読書日:2025.2.9 リンボウ先生こと林望が趣味について、どんなものが良いとか、どんなふうに取り組めばよいかなどを読者に自分の考えを示すつもりの本であるが、実際には先生の趣味の物凄さにただただ驚いて終わる本。 まずはじめにネタバレを済ましてしまうと、林望はずっと詩人になりたかったそうで、なので本人的には人生最後に残る趣味は詩作になるそうです。この本の題名の答えはこれであっさり終わるわけですが、しかし、林望の趣味の話を読んでいると、これはもう趣味の範疇を完全に超えちゃっているわけです。 まず、なにかを趣味にしたら、それをどのくらい極めればいいかというと、少なく…

  • 酒を主食とする人々 エチオピアの科学的秘境を旅する

    高野秀行 本の雑誌社 2025.01.23読書日:2025.2.2 2019年にエチオピアのパルショータという酒しか摂らないという謎の民族の情報をキャッチして以来、ぜひ行ってみたいと思っていた高野秀行が、TBSのクレイジージャーニーという番組に乗じてエチオピアのコンソとデラシャの村を訪ねた探訪記。 図書館を利用して、最近はめったに本を買わなくなったわしですが、この本は誘惑に負けて予約注文してしまいました。書名からしてあまりにバカすぎる(苦笑)。世界の秘境のこんなトリッキーな情報に行きあたってしまう高野秀行には感嘆するばかりです。本当に人類は多様性に満ちていますねえ。 今回の旅はTV番組の撮影と…

  • 資本主義が人類最高の発明である グローバル化と自由市場が私たちを救う理由

    ヨハン・ノルベリ ニューズピックス 2024.9.30読書日:2025.2.5 脱グローバル化、製造業の国内回帰が叫ばれる今という時代に、もう一度グローバル化、自由市場がこれまで人類にもたらした多大な恩恵を見つめ直し、資本主義が過去の問題を解決してきたのと同じように、今の課題も将来の課題も資本主義により解決するのが最も合理的と主張する本。 ノルベリはスウェーデン人で、税金が高く、国家の社会保障が充実している社会主義的な国の出身なのだが、資本主義を高く評価し、グローバル化と自由主義を進めるべきだと強く主張する。基本的には、古典的リベラリスト(ジョン・ロックなど)と同じ立場なんだそうだ。 その理由…

  • 死体と話す NY死体調査官が見た5000の死

    バーバラ・ブッチャー 訳・福井久美子 河出書房新社 2024.8.20読書日:2025.1.30 アルコール依存症だった著者が、運命に導かれるように法医学調査官(死体調査官)の仕事についてみると、それは天職だった。以後、5000体以上の死体を見るなど仕事に没頭し、今度はワーカホリックになってしまい、仕事でしか自分を定義できなくなる。レズビアンの恋人とはうまくいかず、うつ病になりかけるものの、ちょうど起きた9.11テロ事件に遭遇してその仕事に没頭して乗り越える。その後、出世するものの、権力闘争に巻き込まれて退職、自分でコンサルタント会社を起こすがそこが限界だった。ついにうつ病を発症し、治療の末に…

  • 家父長制の起源 男たちはいかにして支配者になったのか

    アンジェラ・サイニー 訳・道本美穂 集英社 2024.10.30読書日:2025.1.24 家父長制の起源については未だ不明な点が多いが、過去に起きた家父長制の起源に関する議論を追い、家父長制は絶対ではないと主張する本。 (注:以下の文では、母系社会と母権社会、父系社会と父権社会はほぼ同じ意味に使っています。理由は、えーと、わしが適当だからです(笑)) 家父長制はたいていはフェミニズムとの関連で語られ、研究者は女性が多い。わしはフェミニズムは概ね妥当だと思っているが、わしが家父長制の起源に興味を持つのはフェミニズムと関係ない。わしが関心を持つのは、人類の未来の社会がどうなるかについて興味を持っ…

  • ヒットの崩壊

    柴那典(とものり) 講談社 2016.12.1読書日:2025.12.15 CDが売れなくなり、音楽ビジネスは曲を売らずにライブが中心になっていく一方、海外の音楽(洋楽)にまったくコンプレックスがない世代が台頭し、今後は日本オリジナルのJ−POPが世界に進出していくという見通しを9年前に示した本。(題名から受ける印象と違って悲観的な内容ではない)。 9年前の本なので、もう当たり前の認識になっているところも多いと思いますが、しかし、わしはそもそも音楽のことはほとんど知らないわけでして、なかなか興味深く読ませていただきました。 たとえば、J−POPという言葉がいつ生まれたとか、日本人から洋楽へのコ…

  • 世界一流エンジニアの思考法

    牛尾剛 文藝春秋 2023.10.30読書日:2025.1.15 コンサルタントとして活躍していたものの、どうしても世界的なプログラマーになりたくてマイクロソフトの本社に勤務することになった著者が、世界一流のエンジニアの高い生産性に衝撃を受けたけれど、彼らは天才なのではなくその考え方や取り組み方が違うのだということを発見して、それをまとめたもの。 わしもしかたなくプログラミングをしたことはあるが、プログラミングは好きではない。なので、コンサルタントとして成功しているのにわざわざプログラマーになりたいという著者の気持ちはまったくわからない。しかも牛尾さんは単なるプログラマーではなくて、世界に影響…

  • 日本映画の「働き方改革」 現場からの問題提起

    深田晃司 平凡社 2024.10.17読書日:2025.1.13 日本映画は絶好調の興行収入を得ているのに、政策の現場では、最低賃金以下の報酬と長時間労働という最悪の労働環境であり、さらにはパワハラ、セクハラも常態化しており、フランスや韓国のように国の労働規制や補助の拡充、ハラスメント教育が必要と主張する本。 「働き方改革」という言葉が日本の労働環境のキーワードになっているのに、その恩恵が及んでいないのが映画製作の現場なのだという。映画の制作は作品ごとのフリーランスの請負業務になっていて、労働基準法の適用外になっており、法律で定められた最低賃金以下の時給で長時間労働を強いられている。このような…

  • 入門 シュンペーター 資本主義の未来を予見した天才

    中野剛志 PHP研究所 2024.11.29読書日:2025.1.12 創造的破壊という概念を作ったシュンペーターだが、日本政府はこの言葉を曲解し真逆の方法をとったため日本を長期停滞させたとし、さらに、シュンペーターの透徹した目は、資本主義が成功しすぎるため資本主義が終わってしまうという、遠い未来をも見つめていたと主張する本。 イノベーションを創造的破壊と呼んで有名なシュンペーターは異端の経済学者なんだそうだ。というのは、通常の経済学者は市場均衡を理論の基本とするのに対して、シュンペーターはイノベーションが起きると、一時的に市場均衡から外れるから企業は利益を得る、と主張しているからだ。前提が異…

  • 世界の本当の仕組み エネルギー、食料、材料、グローバル化、リスク、環境、そして未来

    ヴァーツラフ・シュミル 訳・柴田裕之 草思社 2024.9.5読書日:2025.1.11 世界は化石燃料で動いており、この転換は難しく、過激な脱炭素化の環境政策よりももっと簡単にできて効果が大きい方法があると主張する本。 この本は世界の状況を説明していて、「世界の終りの地政学」と似ている。でも、シュミルはゼイハンと違って、未来は予想しないのだそうだ。つまり、夢のような新技術が生まれるとか(核融合とか、万能のAIとか)、あるいは世界が崩壊するとかの極端な予想はしない。あるいは国際政治がどうなるとかも。ただ今の現実の数字を確認して、現実の本当の姿をとらえ、何ができるのかを考えるのである。 www.…

  • ロックの歴史

    中山康樹 講談社 2014.9.1読書日:2025.1.4 アメリカで1950年代に誕生したロックは、1960年代にイギリス・ロックの侵略を受けて衝撃を受け、イギリスとアメリカの間で数ヶ月単位の非常に短いスパンでお互いに呼応しあい、1970年ぐらいまでに新しい音楽を作り上げたというロックの歴史を検証する本。 わしは音楽が苦手分野で、というかほぼ興味がない。中学の時に友達がビートルズの話をしたとき、わしは初めてビートルズという単語を聞いて、それはなんだと聞き返して呆れられたくらいだから。というわけで、ロックがどのように発展してきたかという一般知識もないわけだ。そういうわけで、著者の中山氏は一般的…

  • 遺言 絶望の日本を生き抜くために

    森永卓郎 岸博幸 宝島社 2024.9.27読書日:2024.12.27 余命数ヶ月で怖いものがなくなった森永卓郎が、やはり余命10年で小泉内閣で竹中平蔵の補佐官をしていた岸博幸に当時のことを訊くとともに、持論を展開する本。 いくら余命数ヶ月でも、最近の森永卓郎はちょっとぶっ飛んでいる。いちばんどうかなと思うのは、株が数年以内に大暴落してNYも東証も10分の1になるというところだろうか。ついでに円高も発生するので海外の資産は93%減の7%になり、破産する人が続出するそうだ。というわけで、トカイナカ(都会に近い田舎)に住んで、自給自足の生活を送るのが良いということになる。 まあ、起こる可能性も確…

  • 「世界の終わり」の地政学 野蛮化する経済の悲劇を読む

    ピーター・ゼイハン 訳・山田美明 集英社 2024.7.31読書日:2024.12.30 少子高齢化で多くの国の社会が破綻し、さらにアメリカが世界秩序の維持から撤退する結果、脱グローバル化が進行し、今後、アメリカ以外の世界は大混乱に陥ると主張する衝撃の本。 この本を読んで呆然とした。世界の崩壊がこれでもか、と記載されているからであり、その主張にはとても大きな根拠があるからである。ちょっと頭にくるのは、今後も万全で、なんの問題もないとするアメリカに住む著者のゼイハンが、嬉々として世界の崩壊を描いてみせることが、なぜかとても頭にくる(苦笑)。 まあ、それはともかくとして、ゼイハンの主張を見ていこう…

  • 逆境こそ光輝ある機会なり

    元谷外志雄 APAグループ たぶん2015年に出版読書日:2025.1.5 APAグループ代表の元谷外志雄が書いた、自分の生い立ち、アパの創業から今後までを語った、たぶん一般の本屋では入手できない本。(いちおう800円と値段がついているから、アパホテルでは購入できるのでは?) APAに泊まったわけです。たぶん20年ぶりぐらいに。何泊か泊まったのですが、この日は予定がなくて、部屋に置いてあったこの本をバッグに入れて散歩に出たわけです。喫茶店でランチを取りながら読み始めました。そんなに厚い本ではないので、すぐに読みきれると思ったのですが、意外に時間がかかって、おやつも注文してしまいました(笑)。そ…

  • 死は存在しない 最先端量子力学が示す新たな仮説

    田坂広志 光文社 2022.10.19読書日:2024.12.27 宇宙のすべての情報は量子真空の「ゼロ・ポイント・フィールド」にホログラム的に記録され、人は死んでも情報として生きているから、死は存在しない、と主張する本。 (ホリエモンの本がすぐに読み終わったので、次にダウンロードしたのがこれ。) 死後の世界が存在するかどうかは死んでみれば分かるんだから、別に生きているうちか心配しなくてもいいような気もしますが、そうはいかないのが人間というものなのでしょう。 著者は昔から不思議な現象が身のまわりに起こっていたそうです。例えば東大の試験では、熱を出して受験不可能だったのをおして受験すると、直前に…

  • 最大化の超習慣 「堀江式」完全無欠の仕事術

    堀江貴文 徳間書店 2022.1.31読書日:2024.12.25 人生を最大限に活かすには、自分の能力を最大化する習慣を身に着けるのが一番合理的と主張する本。 クリスマスのこの時期に、読む本がなくなってしまった。こういうときこそ、キンドルの出番だ。アマゾンにアクセスすると、プライム会員に無料で提供されているプライムリーディングでこの本を勧められたので、何も考えずにダウンロードして読み始めた。 ホリエモンの本ってずいぶん久しぶりだなあ。まあ、これまで読んできたホリエモン節と内容は変わらないんだけど。 ・アクションは精神論ではなくて実行だ。小さなことでも前進するための点を打ち続けろ。成功とは確率…

  • 流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則

    エイドリアン・べジャン J・ペダー・ゼイン 訳・柴田裕之 解説・木村繁男読書日:2024.12.25 流れがあるところでは、その形状は、一番流れやすくなるデザインに進化する、という法則が成り立っていると主張する本。 なーるほど、という感じの主張で、自然を少しでも観察したことのある人なら、これは誰もが認めざるを得ないでしょう。たとえば川があるとする。すると、水はもっとも抵抗が小さく、もっとも流れやすい方向に流れる。そうなるためには川のデザインには一定の法則があるというのだ。 この法則のことを、著者は「コンストラクタル法則」と名付ける。この法則は物理法則であり、生物か無生物かには関係なく流れがある…

  • レフ筋トレ 最高に動ける体をつくる

    高岡英夫 講談社 2004.4.2読書日:2024.12.20 かたい筋肉を「ラフ筋」と呼び、マシュマロのような柔らかい筋肉を「レフ筋」と呼ぶ著者が、レフ筋こそ動ける体であり、レフ筋をつくる筋トレの方法を教える本。 筋トレが流行っているが、何も考えずにやると硬い筋肉ができてしまい、そのような筋肉では運動能力がかえって落ちてしまうのだそうだ。しかも、そのような筋肉では寿命を縮める可能性さえあるという。 まあ、ガチのボディビルダーは筋肉をつくること自体が目的で、動くときの能力なんて関係ないでしょうから余計なお世話なんでしょうが、確かにボディビルダーの筋肉がスポーツに向いているとは言えないでしょう。…

  • 生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ

    戸谷洋志 講談社 2024.8.20読書日:2024.12.16 新自由主義の「自己責任論」を全面的に採用することは論理的に問題があるだけでなく、有害でもあり、人は一人で生きていけない以上、他の人に頼る局面が必ずあり、人に頼ることを前提とする「弱い責任論」で補完することが必要と主張する本。 わしは80年代に青春を過ごしたものであり、したがって新自由主義の洗礼をまともに受けて育ったものである。わしは新自由主義は正しいと信じたし、サッチャーやレーガンは正しいことを言っていると思った。当時、大学の研究室の飲み会で新自由主義にそった考えを述べると、当時の研究室の教授は、「最近の若者はそういうふうに考え…

  • 眠れる進化 世界は革新(イノベーション)に満ちている

    アンドレアス・ワグナー 訳・太田直子 早川書房 2024.9.20読書日:2024.12.14 生物の中では遺伝子は常に進化していて、猛烈な勢いで新しいタンパク質を作り出しており、それらのほとんどは役に立たずに眠っているが、環境が変化してたまたまタイミングが合うとそれらは役に立つことがあり、定着する。つまり、環境が変わってから進化するのではなく、常にイノベーションが行われており、あとはタイミングだけが問題なのであり、それは人間の文化や発明についても言えることだと主張する本。 生物によっては膨大なDNAを持っていて、実際に使われているのは数パーセントだったりする。人間では2パーセントぐらいだそう…

  • 真・日本の歴史

    井沢元彦 幻冬舎 2024.7.20読書日:2024.12.7 日本の歴史を正しく見るには、世界の歴史と比較すること、当時の人の気持ちになって考えること、日本の宗教への理解、が必要だと主張し、現状の日本史の研究者はどれもできていないと主張する本。 わしは伊沢氏の「逆説の日本史」(シリーズ累計560万部とか)は読んだことはないが、おそらくそっち方面を読んでいるひとにはおなじみの主張なんじゃないだろうか。伊沢氏は市井の歴史研究家であり、ベストセラーへのやっかみもあって、日本史の専門家からはいろいろいじめられているようだ。その恨み節は随所に書かれている。というか、ほとんど全編にわたって、日本史の専門…

  • エリートの過剰生産が国家を滅ぼす

    ピーター・ターチン 早川書房 2024.9.20読書日:2024.12.2 歴史を物理的、数学的に取り扱うという「クリオダイナミクス(歴史動力学)」によれば、人口が増えるとエリート層の人口も増えるがエリート層の職は十分に増えないので、職にあぶれたエリートが労働者層を動員して社会的な動乱を引き起こす、というパターンを繰り返すと主張する本。 著者のターチンはもともと生態学者なんだそうだ。つまり、動物同士が捕食したり捕食されたり、植物の草や木が移り変わったりして、動物の数が種類ごとにどんなふうに減ったり増えたりするかのモデルを作ってシミュレーションするというような学問だ。 生態学者として大成し、テニ…

  • 哲学者たちが考えた100の仮説

    白取春彦 三笠書房 2024.9.10読書日:2024.12.1 古今東西の哲学者たちの発想を100個集めたもの。 日本の秀才たちの人って本当に優秀だと思う。海外の思想なんかの難しい話をものすごくうまくまとめてくれるのだ。でも逆に自分のオリジナルのことを言ってくださいというと、なんだかとてもつまらないことが多いんだけど(笑)。まあ、そういうわけで、この本についてもよくまとまっていて感心した。 そもそも哲学者は科学者と違って実験をするわけでもないし、せいぜい日常の当たり前のことを観察するくらいで、思索のみで真実を見つけ出そうとする人たちだから、言っていることの全ては仮説なんですね。だから、要する…

  • 小山さんノート

    小山さんノートワークショップ編 エトセトラブックス 2023.10.30読書日:2024.11.26 文学を志して東京に出てきた小山さんは、1991年にホームレスになり、公園でブルーシートのテントで暮らすようになったが、2013年に亡くなった。そのあと、人々が膨大な日記が残されているのに気が付き、協力してテキスト起こしをしたものを抜粋した本。載っているのは2004年まで。 ちょっと近年読んだ本の中では、なかなか衝撃的な本だった。なまなましいテント村の様子がそのまま記されているのだから。 小山さんはテント村では数少ない女性なので、男性も放っておかない。テント村に来るまで一緒に暮らしてきた「共の人…

  • 本居宣長 「もののあはれ」と「日本」の発見

    先崎彰容 新潮社 2024.5.20読書日:2024.11.24 江戸時代、「西側」だった中国の儒教文化に侵されていた日本を、日本独自の感性を復活させようとした国学者・本居宣長の挑戦を描いた本。 別に国学に興味はなかったのだが、なにやら熱くかたる書評に出会ったので読んでみることにしたもの。読んでみたら、なかなか面白かった。 今となってはよく理解できないのだが、江戸時代の和歌の解釈は今とは全く異なっていたというのにまず驚いた。儒学全盛のこの時代は、儒学の価値観で歌を解釈していたのである。 和歌の世界は恋の世界で、不倫も近親相姦もあり、儒学的にはありえない恋もたくさんあるが、そういうのを儒学的に解…

  • 日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか

    内山節(たかし) 講談社 2013.4.1(電子版、元の出版は2007.11) 読書日:2024.11.26 日本人は昔からキツネにだまされ続けていたが、1965年頃を境にそのような話は聞かなくなったという、その理由を考察した本。 キツネにだまされたという話は昔話によくあるが、それは全く昔話ではなく、つい60年前の1965年頃まで人々はキツネにだまされたという話が普通にされていたんだそうだ。著者は一年の半分を群馬県の山村、上野村で暮らしているが、そういう山村でも1965年頃にキツネにだまされるようなことはなくなったという。1960年代はちょうど日本が高度経済成長の絶頂期にあったころである。 村…

  • ゲーム・プレイヤー

    イアン・M・バンクス 訳・浅倉久志 角川書店 2001.10.25読書日:2024.11.15 遠い未来、人類はいくつかの種族と<カルチャー>という銀河文明を築いている。<カルチャー>で人は何百年の寿命を誇り、性転換は自由なので男女の性差も存在せず、法律も貨幣も政治機構もなく、人々はひたすらゲームをして過ごしている。名うてのゲーム・プレイヤーであるグルゲーは銀河の旧式な帝国であるアザド帝国で行われるゲーム《アザド》に参加するべく派遣されるのだが……。 未来がどんな世界かを垣間見るのに、SFほど適したものはないだろう。SFでは作家が想像力を駆使して、ありえないような未来の様子を具体的に語ってくれ…

  • 不思議なキリスト教

    橋爪大二郎 大澤真幸 講談社 2012.2.1読書日:2024.11.17 欧米文化の根幹にあるキリスト教のことを分かっていない度合いが世界一高い日本人に、キリスト教について根っこから伝える対談。 いちおう、これまで述べられてきたキリスト教関係の説明のなかでは最も納得性が高いように思った。 でもねえ、やっぱり一神教のところがもやもやしてるんだな。一神教ってやっぱりいろいろ無理があるような気がする。なぜ一神教でなければいけなかったのか。まあ、それ以外にももやもやしているところはたくさんあるんだけれど。 ユダヤ教が生まれた頃に、仏教や儒教なども生まれたけど、このようにあちこちで多神教を乗り越えよう…

  • 統計学の極意

    デイヴィッド・シュピーゲルハルター 訳・宮本寿代 草思社 2024.2.29読書日:2024.11.9 必要最小限の数式で統計学の全体を伝えることで米英でベストセラーとなった本。 日本では普通高校で理系と文系のどっちに進むか選択させられる。わしは理系を選んだが、理科が得意とかいうわけでもなく、まあ、できないわけではないというくらいのものだった。だから文系でもよかったのだが、ふと、文系は自分でも勉強できそうだが、理系は学校で習わないと自分から勉強しないような気がした。それは非常にまずい気がしたので、消去法で理系を選んだのだった。それは正解だったのだと思う。そうでないと、わしは大学進学後に量子力学…

  • 「ふつうの暮らし」を美学する 家から考える「日常美学」入門

    青田麻美 光文社 2024.6.30読書日:2024.11.6 従来は日常から離れたところに「芸術」が存在して美を担っていたが、日々の暮らしの中に存在する美学、「日常美学」を紹介する本。 日々の生活の中で、ふと何かを見て美しいと思ったり、いつも見ているものが違って見える、ということは普通にあることだと思っていましたが、この本を読むと、それをきちんと議論しようと思うととても面倒くさいものになるようです。 日常美学というのは、21世紀に入って議論され始めた新しい学問のようですが、まず日常美学とはなにか、ということを定義するだけでけっこう大変そうです。なにしろ「芸術」という概念が誕生したのもたった数…

  • 時代は新しい中世になった

    トランプが大統領選に再選したとき、いま時代は新しい中世になった、とわしは実感することができた。これがどういうことか説明してみようと思う。 次の時代は新しい中世になると言った人は、実はたくさんいる。少なくとも1950年代からそう言われているのである(苦笑)。そう言った人はそれぞれの視点でそう言っている。(その例については、ここを参照) というわけで、単に中世になったと言っても、なかなか難しいのである。で、わしが取り上げるのは以下のことだ。 1.王の復活(法律、議会・裁判所・メディアを越えた権威主義的リーダー)2.階級の誕生と固定化(新しい貴族階級と労働者階級の固定化)3.人と物の移動の制限(移民…

  • 知価革命(堺屋太一著作集15)

    堺屋太一 東京書籍 2018.2.23読書日:2024.11.11 いまから40年前、1985年に堺屋太一が、世界はこれから中世の価値観に近い世界になり、「ハイテク中世」の時代が来ると、予言した本。 トランプ大統領が再選したとき、「ああ、これからは本当に中世の時代が来るんだ」と直観した。世の中には、次の時代は中世になる、と主張した本がたくさんある。しかし、わしがまず確認したいと思ったのは堺屋太一の本だった。わしは出版された当時、この本を読んでいたく感銘を受けたのである。 知価革命が書かれたのは1985年で、バブルの直前である。この本では次のようなことが書かれてあるとされている。 ・これからは知…

  • 弱い円の正体 仮面の黒字国・日本

    唐鎌大輔 日経BP 2024.7.8読書日:2024.10.23 日本は経常黒字であるが、経常黒字のほとんどは海外における第一次所得であり、その大部分は現地に再投資されて日本に戻ってこないので日本円に替えられることはなく、その結果お金はキャッシュフローベースで日本から出て行っているから円安になっている、と主張する本。 読んでいて、不思議な気がした。 わしは日本の経常黒字が日本に戻ってきていないことはすでに常識だと思っていたのである。しかし、この本がこれほど多くの人に感銘を与え、著者本人もこれは「仮説だ」と何度も言明しているから、どうも常識ではなかったらしい。 もう一つ不思議なのは、実質的に(こ…

  • はじめての人類学

    奥野克己 講談社 2023.8.20読書日:2024.10.18 人類学とは、人類とは何か、を探求する学問であり、人類学を語るときに欠かせないマリノフスキ、レヴィ=ストロース、ボアズ、インゴルドの4人の考え方を通して、人類を研究するとはどういうことかを語る本。 4人について紹介しているのだが、たぶん著者が一番伝えたいのは最後のインゴルドなのだろう。現在も生きていて、人類学の先頭を走っているんだそうだ。 この本を読んでいて最初の3人についてはよくわかった。ところが4人目のインゴルドに関しては、何をしている人なのかさっぱりわからないのである。非常に困惑している。 簡単に最初の3人ついて説明すると次…

  • イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国

    鶴見太郎 講談社 2020.11.10読書日:2024.10.19 なぜイスラエルは攻撃的な国なのか。その理由はイスラエルがウクライナを含むロシア帝国にいたユダヤ人が作った国であり、ウクライナで経験したユダヤ人に対する大虐殺、ポグロムにあると主張する本。 わしはこれまで、イスラエルという国は敵であるアラブに囲まれているから攻撃的なのはあたりまえ、と思って、そのこと自体はあまり不思議に思っていなかった。だが、著者の言う通り、逆に建国時にアラブ人と融和的な国にしてもよかったはずである。しかし、そのようにはならなかった。というか、イスラエル建国前からシオニスト(パレスチナのシオンの丘に帰ろうというユ…

  • ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」

    坂本貴志 講談社 2024.10.15読書日:2024.10.16 「ほんとうの定年後」の姿をデータで示した著者が、人口動態を用いて、これから日本経済に起こることを示した本。 バブル崩壊後の日本経済(の停滞)についていろいろな話を読んできたが、この本の人口動態、および労働市場のデータからの説明がもっともしっくりした。 具体的には次のようである。 日本の人口動態は、終戦後、人口が増え続け、2007年にピークに達した。その後減り始めるのだが、2023年までは非常にゆっくりと人口が減っていく調整局面だった。今後は人口の減り方が加速度をつけていく局面に移っていく。 2012年に第2次安倍政権が誕生して…

  • ぼくが13人の人生を生きるには身体がたりない。 解離性同一性障害の非日常的な日常

    haru 河出書房新社 2020.5.30読書日:2024.10.15 解離性同一性障害(いわゆる多重人格)に加えて、性同一性障害、ADHD(多動性障害)、という障害を抱えているharuさんの解離性同一性障害の実際の日常を語ってくれる本。 解離性同一性障害(多重人格)については、何冊か本を読んだことがある。ひとつは「シビル―私のなかの16人」。もうひとつは「24人のビリー・ミリガン」。シビルについては、読んだのが10代で、衝撃を受けたな。一方、ビリー・ミリガンはほとんど印象に残っていない(笑)。 まあ、それくらいの知識しかなかったわけではあるが、多重人格はそんなに珍しいものではなく、普通の人で…

  • ワイルドランド アメリカを分断する怒りの源流

    エヴァン・オズノス 訳・笠井亮平 白水社 2024.3.5読書日:2024.11.3 ジャーナリストのオズノスが2013年に中国から帰ってくると、米国はまったく変わっていた。オズノスは自分にゆかりにある3か所を選んで、各地がどのように変わったのかを確認し、アメリカが決定的に分断している状況を報告する。 これを書いているのは11月6日の早朝(アメリカは11月5日)で、いままさにアメリカ大統領選挙の投票が行われているわけだ。この時期にこの本を読んだのは図書館の予約システムによる偶然だけど、改めてアメリカの状況を理解するにはちょうどよかった。 この本は2013年の著者の帰国から、トランプが大統領にな…

  • 怠惰なんて存在しない 終わりなき生産性競争から抜け出すための幸福論

    デヴォン・プライス 訳・佐々木寛子 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2024.5.24読書日:2024.10.8 生産性をあげて仕事の成果を上げるということが自分の価値、という生産性競争から脱出しようと主張する本。 中身を読んで驚いた。まったく同じ内容の本を最近読んだから。どちらも仕事をしていると、自分のしたいことができず、ただただ生産性競争に巻き込まれて自分たちが疲弊していくことを訴え、そのような生活をやめようと主張している。(下記参照) www.hetareyan.com ここで2つの本の著者の生まれ年を比較すると、デヴォン・プライスが1988年、三宅香帆が1994年。まあ6年違うけど、…

  • ヒーリング音楽

    ポイ活でTikTokLiteをやっているけど、ときどき、1分で眠れます、というヒーリング音楽の動画が出てくる。 水の流れる音や雨の音、それになんとなくスピリチュアルなイメージの電子音の音楽で、瞑想を誘うような音楽だ。メディテーション音楽ともいうのかな? ふーん、と思って、試しに寝るときにヒーリング音楽を流してみようと思った。 ちなみにわしは寝付きは特に悪いわけではないが、寝る前はよく本を読んだりスマホを見たりして、気がついたら寝落ちしているタイプだ。なので、大抵は部屋の電気が点いたままということが多い。 さて、ある日、わしは部屋のライトをスモールライトにしてヒーリング音楽を流してみた…… ………

  • ジョン・ロック ―神と人間の間

    加藤節 岩波書店 2018.5.22読書日:2024.10.6 ジョン・ロックは私有財産を主張して資本主義の流れを決定づけた印象があるが、本人は敬虔なキリスト教徒で、すべては神の意思を人間の法に適応しようとした結果であり、ロックは宗教哲学者であると主張する本。 ルソーの評伝がけっこう面白かったので、それならばもう一方の雄であるロックはどうなんなんだろう、と思ってこの本を手にとった。でも、どちらかと言うと、ロックはそんなに面白い人ではなかった(笑)。 www.hetareyan.com ルソーが良くも悪くも人間臭い人なのに対して、ロックはどうも真面目一辺倒のように見える。たぶん女性ともちゃんと付…

  • 世界は「見えない境界線」でできている

    マキシム・サムソン 訳・染田屋茂、杉田真 かんき出版 2024.6.3読書日:2024.10.2 地理学者の著者が世界に存在するいろいろな境界について述べた本。 不思議なことではあるが、誰かが線を引いただけで、わしらはそれを意識せざるを得なくなる。グラウンドで遊ぶために線を引くとそれを意識してしまうし、電車の中では見えないパーソナルエリアを意識してあんまり他人にくっつきすぎないようにして自然とばらける(周囲にいるのが異性ならなおさら)。サッカーでは、オフサイドラインという常に動く見えないラインが存在して、サッカー好きなら常にそれを意識してゲームを見ているだろう。 というわけで、人は境界にもとも…

  • 管理職が持つべき決断力 戦史の「韻」をつかめ

    中原広 産経新聞出版 2024.4.17読書日:2027.9.19 元国税庁長官だった中原氏が、これからのリーダーあるいはリーダー候補たちに、決断するときの参考になりそうなエピソードを、戦史の中から選んで解説するもの。 いちおう自己啓発の類に入るんだろうけど、これがリーダーの人たちの役に立つとは思えないな。たぶん、自己啓発の体裁を取った、戦史オタクのうんちく本です。 でもまあ、そう思って読めば、それなりに読めます。読んでも、すぐ内容を忘れちゃうんだけど(笑)。たぶん、お金を出してまで読もうとは思わないな。 いくつか面白いと思ったところを。 中原氏は、戦国時代の安国寺恵瓊(あんこくじえけい)とい…

  • アイヌ学入門

    瀬川拓郎 講談社 2015.4.1読書日:2024.9.29 アイヌ学の現状を紹介する本。 「『万物の黎明』を読む」を読んだときに、瀬川拓郎のアイヌの話が印象に残った。アイヌの首領は奴隷のような存在を使ってサケ漁の作業をさせるんだけど、こうした権力は家族を超えては影響力がないとか、そんな話だった。なるほどと思った。 それから気がついたのだけれど、わしが契約しているWEBマガジン、クーリエ・ジャポンの「今月の本棚」(毎月3冊、講談社の本が無料で読める)の9月分の1冊はこの瀬川拓郎の「アイヌ学入門」だったのである。こんな幸運はめったにない。というわけで、急いでこの本を読んだのだった。(なにしろ、9…

  • テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想

    橘玲 文藝春秋 2024.3.20読書日:2024.9.17 シリコンバレーなどにいるテクノオタクたちの多くは、自由をもっとも価値が高いと考えるリバタリアンで、あり得ないほどの財力とテクノロジーの力を使って、世の中を変えようとしていることを報告した本。 リバタリアンは自由原理主義者とか自由至上主義者とか言われる人たちで、個人の自由が最も大切と考える人達だけど、日本では説明がなかなか難しい。でも、橘玲はなかなかよく説明してくれている。 左のリベラルも右の保守も自由を大切にするところは同じだが、リベラルは平等を重んじ、保守は伝統や共同体を重んじるという違いがある。しかし、どちらもそれぞれの大義のた…

  • 投資家はリスクに備える サッカー観戦でも

    わしはスポーツはあまり見ない。 野球はいったいどこが面白いのかさっぱりわからない。わしにはあまりにだらだらしすぎているように思える。 というわけなのだが、サッカー、とくに日本代表戦だけは興奮して見てしまうという性癖がある。ともかく日本代表戦だけはなんとしても見ようとしてしまうのである。 先日、2024年10月11日午前3:00(日本時間)から、2026ワールドカップ予選で、「日本代表vsサウジアラビア代表」のゲームがあった。 わしは前日の夜8時に就寝し、当日の1時に目を覚まして観戦に備えた。(最近、ジジイ化が激しく、晩御飯を食べるとすぐ眠くなってしまうので、夜の8時に寝ることに何の問題もなかっ…

  • 「モディ化」するインド 大国幻想が生み出した権威主義

    湊一樹 中央公論社 2024.5.10読書日:2024.9.12 インドのモディ首相はインドの民主主義制度を骨抜きにしており、すでに民主主義とはいえない権威主義国家になっていると報告する本。 読まなければよかった、知りたくなかった、という本があるけれど、これは本当にそう。インドはすでに民主主義とは名ばかりの権威主義国家になっているようだ。この本を読む限りでは、ハンガリーやベネズエラ、あるいはトルコと遜色ないくらいに権威主義が浸透しているように見える。 したがって、日本や先進国と「民主主義の精神を共有している」などという言説は、全く冗談にすぎないことになっている。欧米はいまではインドに苦言を呈し…

  • グレーバー+ウェングロウ『万物の黎明』を読む 人類史と文明の新たなヴィジョン

    責任編集・酒井隆史 河出書房新社 2024.4.20読書日:2024.9.23 『万物の黎明』に関するインタビュー、議論、書評などを集めて、どんな影響を与えたのか、与えつつあるのかを教えてくれる本。 出版と同時に古典入りした感のある『万物の黎明』。わしも読んでたいへん感銘を受けた。 www.hetareyan.com だが、なにしろ様々な内容を含んでいるため、わしの理解が及ばないところがたくさんあるに違いない。ここは他の人の意見も聞いてみたいところであった。ということで、この本を読んだわけである。 いろんな人が意見を述べているんだけれど、やっぱりわしの意見と重なる部分が多かったな。 なんと言っ…

  • 老いた今だから

    丹羽宇一郎 講談社 2024.3.20読書日:2024.9.9 伊藤忠商事の会長や中国大使を歴任した丹羽宇一郎氏が、85歳になって、老いたあとの過ごし方を提案する本。 丹羽宇一郎が85歳だと知ってちょっとびっくりした。もっと若いと思っていたから。ということは、少なくともわしに対しては、年齢よりも若いというイメージを植え付けることに成功しているわけだ。 丹羽氏は中国大使を辞めたあと、個人事務所を開いて仕事をしていたそうだ。しかし健康問題などもあって、だんだん事務所に通えなくなる。そうすると、いちいち秘書が電話で細かいことを確認するようになって、仕事が煩雑になってきた。そこで、妻と相談して、事務所…

  • 脳科学で解く心の病 うつ病・認知症・依存症から芸術と創造性まで

    エリック・R・カンデル 訳・大岩(須田)ゆり 監修・須田年生読書日:2024.9.11 学習と記憶の仕組みを解明してノーベル賞を受けたカンデルが、心の病から創造性まで、心の活動には脳の生物学的基盤があることを解説する本。 非常に幅広い範囲を取り上げているのだが、いろいろな心の病や精神現象を関連付けながら脳について解説していくので興味深く、わしには楽しく読めた。 カンデルは1929年生まれというから、この本を出したとき(2018年)、89歳ということになる。ものすごい大ベテランであるが、この本からは知的な衰えは感じられない。いまだに第一線の研究者らしい。すごすぎる。 そもそも心の研究を始めたのは…

  • ディストピアSF論 人新世のユートピアを求めて

    海老原豊 小鳥遊書房 2024.7.9読書日:2024.9.6 繁栄している人類はその裏でディストピアを欲望しているという著者が、ディストピアSFから現代のユートピアを読み解こうとする本。 かなり前だが、会社でディストピア作品を専門にしている人に会ったことがある。ほんとうにそういう小説や映画しか見ないのだ。現代社会自体が不幸な世の中だと思っている人も多くいるだろうけど、極端にディストピアに耽溺すると逆説的に心が開放されて、現在を見る目も変わるのかもしれない。わしはディストピアを特に偏愛するわけではないが、まあ、その気持は理解できる。 この本では、古典的なディストピア小説(「1984」、「すばら…

  • ビリー・サマーズ

    スティーヴン・キング 訳・白石朗 文藝春秋 2024.4.10読書日:2024.9.2 (ネタバレあり、注意) 元海兵隊でスナイパーのビリー・サマーズは悪人のみを殺す雇われ殺し屋だが、引退を決意し、「最後の仕事」を引き受ける。裁判所に移送された瞬間しかチャンスがないため、裁判所が見えるオフィスビルに小説家に扮して待機するが、待っている間に自分の人生を基にした小説を書き始めて……。 わしはスティーヴン・キングの作品をあまり読んではおらず、どちらかと言うと、創作者としての発想や生き方に興味がある。なので、「書くことについて」などのエッセイを喜んで読んだな。小説も「ミザリー」は面白かった。ミザリーは…

  • ひとの気持ちが聴こえたら 私のアスペルガー治療記

    ジョン・エルダー・ロビソン 訳・高橋知子 早川書房 2019.4.20読書日:2024.8.27 アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)で、ひとの表情やしぐさからその感情を読み取ることができなかったジョン・ロビソンが、脳に磁気パルスを加えるTMS(Transcranial Magnetic Stimulation 経頭蓋磁気刺激)により、劇的にひとの気持ちが読めるようになった経験を語った本。 アスペルガー症候群のひとは社会で普通のひとが当たり前にやっていることができずに孤立し、自分は欠陥人間であり、人生の敗者だと感じることが多い。なにしろ人の言ったことをその言葉通りに受け取ることしかできず、…

  • 日航123便 墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る

    青山透子 河出書房新社 2017.7.30読書日:2024.8.19 御巣鷹山に墜落した日航123便は墜落まで多くの人に目撃されており、その目撃証言は公式発表とは一致していないことから、隠された真実があることを示唆する本。 この本のことは、森永卓郎の「書いてはいけない」で知ったのである。そのときには、なにか日本政府が隠しているとしても、あまりにも多くの人が関与しているから、隠し通すのは難しいのではないか、という印象を持った。つまり、陰謀論に近いのではないかと。 しかし、気になったので、とりあえず読んでみようと思ったのである。 読んだ印象としては、これは思っていた以上に信憑性があるのではないか、…

  • Science Fictions あなたが知らない科学の真実

    スチュアート・リッチー 訳・矢羽野薫 ダイヤモンド社 2024.1.30読書日:2024.8.16 科学の世界で再現性のない実験が多くなり、科学が危機を迎えていることを訴える本。 Science Fictionsという題がついているが、小説のSFのことではない。科学がフィクション化しているという意味である。 科学というのは誰がやっても同じ実験をすれば同じ結果になるという自然の摂理を探求する学問である。ところが、最近では同じ実験をやっても同じ結果が出てこない、という現象が頻発している。 この中には明らかに不正で、意図的な詐欺としか言いようのないものもある。残念ながらこの詐欺の中には、日本人の名前…

  • くもをさがす

    西加奈子 河出書房 2023.4.30読書日:2024.8.5 カナダのバンクーバーにいた小説家の西加奈子は乳ガンに罹るが、パンデミックのさなかであり日本に帰れず、カナダで闘病生活をすることになる。バンクーバーでの闘病生活とはどういうものなのか、そしてキャンサーフリーとなって生き抜いた人に訪れる第二の危機とは。カナダでの闘病エッセイ。 西加奈子はイラン生まれで、大阪で育ったようだ。そのせいか、英語で聞いた言葉は自動的に関西弁に変換されて聞こえるらしい。というわけで、日本人が日本語で話したことはそのまま記載されるけれど、カナダ人が英語で話したことは関西弁で書かれている。なんか関西弁で書かれると別…

  • 不動産バブル 静かな崩壊

    幸田昌則 日経BP 2024.3.19読書日:2024.8.7 日銀の異次元緩和により不動産への投資がすでにバブルの様相を呈していたが、在庫水準が増える傾向にあり、いまバブルが静かに崩壊していると主張する本。 この本には膨大な図表が載っている。これらは国土交通省、厚生労働省、日本銀行などの公的機関の情報がほとんどであり、したがって極めて信頼性が高いと言える。これらのデータをもとにして、幸田氏は極めてシンプルな結論を引き出す。つまり、現状、不動産業界はバブルの状態であり、そのバブルが徐々に崩壊する方向に進んでいるということである。 まず業界全体への資金流入であるが、不動産業界向けの貸出残高が19…

  • ルソー

    福田歓一 岩波書店 2012.6.15読書日:2024.7.31 哲学者ジャンージャック=ルソーの生涯、文筆活動、思想の全体像を述べた入門書。 わしはルソー嫌いを公言していて、それは高校のころに初めてルソーを読んだときからであるから筋金入りなのである(笑)。 どこが嫌いなのかというと、人間は生まれたときには何にも影響されていない自由な存在で、その後人と交わって社会に入り、文明にさらされると汚れていくという、最初は良かったがだんだんだめになるという、そういった考え方である。 さらには、社会契約を結んだあとには、その契約に全面的に従わなくてはいけないとする考え方である。わしには、この考え方は共産党…

  • バチカン・エクソシスト

    トレイシー・ウィルキンソン 訳・矢口誠 文藝春秋 2007.5.30読書日:2024.7.22 イタリアは350人(2007年当時)のエクソシストがいて、何千人もの信者に悪魔祓いを行っているエクソシスト大国であり、ローマ・カトリック教会のお膝元で行われている悪魔祓いの実態を報告する本。 最近、「エミリー・ローズ」という悪魔祓い関係の映画を観て、その関連ですでに古典のフリードキンの「エクソシスト」も観たので、エクソシスト関連本を探してみたのだが、これが意外に少ない。もちろんキワモノ的なものはあるのだが、普通にドキュメンタリーとして実態を描いたものが少ないのである。その点、この本は素直に事実を書い…

  • 大喜利の考え方 あなただけの「面白い発想」を生み出す方法

    坊主 ダイヤモンド社 2024.2.27読書日:2024.7.25 X(旧ツイッター)で大喜利を主催している坊主さんが、大喜利の優秀者の作品をもとに、面白い発想が生まれる極意を伝える本。 なんか最近、この系統の本を読むことが多い。その内容はトークだったり、脚本だったりするんだけど、なぜか時期が重なってしまう。本を読んでいるとこういうふうに同じ時期に同じようなテーマに手を出すことが多い。たぶん、心が求めているんだろう。 というわけで大喜利なんだけど、そもそも人は、「何か面白い話をして」と言われても何も思いつかないという。そりゃそうだ。ところが、何か制約条件を与えられると頭が回りだして、いろいろ思…

  • その島のひとたちは、ひとの話をきかない 精神科医、「自殺希少地域」を行く

    森川すいめい 青土社 2016.7.14読書日:2024.7.22 精神科医の著者が、自殺が少ない地域を旅して、共通する地域の特徴を述べた本。 日本は世界的に自殺が多い国で、心のケアをする精神科医の著者は当然ながら自殺をした知り合いがいる。そんなわけで、自殺が少ない自殺希少地域があるという話を学会で聞いて、衝撃を受ける。そしてさっそくその地域を旅をして、その地域の印象を書き留めたのがこの本である。なんら学術的な本ではないのであるが、けっこう心に刺さる部分がある。 著者は、そういう地域は単純に心の優しい人たちが濃密な関係を築いてお互いにケアしあっている癒やしの空間なのだと思っていた。ところが、そ…

  • トークの教室 「面白いトーク」はどのように生まれるのか

    藤井青銅 河出書房新社 2024.2.28読書日:2024.7.15 伊集院光やオードリーの地味な方の若林さんをブレークさせたことで有名な放送作家の藤井青銅が、面白いトークの極意を伝える本。 藤井青銅さんは主にラジオで活躍している人。ラジオは当然トークしかないからトークについての経験が豊富だ。特に若いアイドルの担当をすることが多く、トークの素人にトークをさせる必要がある。 でも、面白いトークってそもそも何なのだろうか。藤井さんによれば、それは「笑える話」ではないという。ひとに興味をもってもらえる話が面白いトークなのだという。普通の人がなかなかできない経験をすれば、もちろん興味を持ってもらえて「…

  • 書いてはいけない 日本経済墜落の真相

    森永卓郎 三五館シンシャ 2024.3.20読書日:2024.7.15 森永卓郎がメディアの仕事をしていて、触れてはいけないとされたジャニーズ事務所、財務省、日航機123号の墜落、について書いた本。 ジャニーズ事務所についてはBBCが報道してからいかにメディアが報道を自主規制していたかが明らかになり、財務省についてはすでに森永氏本人が「ザイム真理教」という本を出しているが、日航機123便については今回初めて書いている内容である。 これがどんな内容かというと、日航機123号の事故はボーイングの隔壁の修理ミスではなく自衛隊のミサイルあるいは標的機の追突によるものだという、驚くべきものである。これが…

  • ANNA アナ・ウィンター評伝

    エイミー・オデル 訳・佐藤絵里 河出書房新社 2023.11.20読書日:2024.7.18 雑誌ヴォーグの生きる伝説的な編集長アナ・ウィンターの評伝。 全身ユニクロで固めているわしはファッションにはほぼ興味はない。雑誌ヴォーグを見たこともない。だがアナ・ウィンターのことはさすがに知っている、というか映画「プラダを着た悪魔」のモデルとして知っているだけだけど。 アナの父親チャールズは、イギリスのイブニングスタンダードという新聞の編集長として成功した人物で、その娘も好きなファッション分野(というか完全にオタク)の編集者として成功を目指す。それが最初からヴォーグの編集長となることを目指していて、そ…

  • ブレードランナーの未来世紀 <映画の見方>が分かる本

    町山智浩 新潮社 2017.11.1読書日:2024.6.30 映画評論家の町山さんの代表作(たぶん)で、1980年代のサブカル的なカルトムービーの数々を取り上げた本。 この本は出版社を変えて何度も出版されている。2006年に洋泉社から出版され、2017年に新潮社にうつり、最新刊は2024年に朝日新聞出版から発売されている。わしが読んだのは2017年の新潮社版だが、このように出版社は変われども絶えることなく出版されているわけで、名作ということになるのであろう。 1970年代の映画は作家主義の時代だったのだそうだ。しかし、そうした作家主義の映画は陰鬱なリアリズムの世界で、お客を呼べなかった。ロッ…

  • 鈴木敏夫×押井守 対談集 されどわれらが日々

    鈴木敏夫、押井守 DU BOOKS 2024.3.3読書日:2024.7.11 鈴木敏夫と押井守の過去の対談を収録したもの。 たぶん過去のほぼすべての対談を集めたんじゃないかと思われる。ここでびっくりなのは、アニメージュの編集者だった鈴木敏夫が、毎週のように土曜日に押井守の部屋にみかんを持って押しかけて、(お酒が飲めないので)みかんを食べながら映画の話を朝までしていたということである。このとき押井守は結婚していたが、一部屋だったので、押井守の妻も朝までつきあわされたという。これが1980年代の話で、かれこれ40年にわたって二人の濃い関係が続いているのだ。 なぜこんな事が可能だったかというと、決…

  • タテ社会と現代日本

    中根千枝 講談社 2019.12.1読書日:2024.7.7 日本のタテ社会の構造を発見した中根千枝の入門書。 いちおう入門書的な扱いになっているけど、まあ、これで十分な内容が含まれているんじゃないかな。社会生態学者の中根千枝がタテ社会について発表したのは1960年代のようだけど、まったく古びていなくて新鮮に読める。いまの日本に起こる社会的な事件にも十分対応できる、歴史の風雪に耐えてきた理論なのである。 タテ社会とはなんなのだろうか。 同じ場所にいる少人数がつながって構成している社会のことで、ひとつの集団の人数は6、7名なんだという。日本の会社では課に当たるくらいの人数である。そこでは階級とか…

  • ザイム真理教 それは信者8000万人の巨大カルト

    森永卓郎 三五館シンシャ 2023.6.1読書日:2024.6.4 財政均衡を絶対視する財務省はほとんどカルト集団と化していて、国民のほとんどが財務省に洗脳されていると主張する本。 わしは完全に森永卓郎の味方である。財務省の増税路線を憎んでさえいる。 わしの周りの人にもまったく理解していただけないけれども、政府は基本的に赤字が正解である。民間にお金を回すと政府が赤字になるのはマクロ経済の正しい姿である。逆に政府が黒字になると、民間は不況になる。なので、これでいいのである。 そもそも国債を帳消しにするのは簡単だ。嘘だと思ったら、日本銀行が持っている国債を全部、政府に納めさせればよい。これで政府の…

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