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2018/11/23

  • ちょっと気分がダウナーになったときに読むもの

    わしはめったに気分が落ち込むことはないし、これまでウツになったこともない。根がお気軽系なのかも知れない。 しかし、やっぱり、なんとなく気持ちが晴れなかったり、先が行き止まりになっているように感じるときもある。 こんなときは人によっては運動したり、好きな映画やドラマを見たり、休暇を取って旅行に出かけたり、ゲームに没頭したりするのかも知れない。わしもちょっとした筋トレでもすれば、だいたい気分は晴れる。 しかしもっと強烈な行き詰まりを感じたときは、運動程度ではスッキリしない。そんなとき、わしの最後の手段は科学雑誌を読むことだ。で、この科学雑誌はほぼ日経サイエンス、一択である。まともな科学雑誌はたぶん…

  • ひろゆき流ずるい問題解決の技術

    西村博之 プレジデント社 2022.3.24読書日:2023.3.25 ひろゆきが、問題解決のコツは自分の負担にならないように考え方を変えるだけ、と伝授する本。 まあ、ひろゆきももういいかな、という気がする。同じ話の繰り返しが多くなってきたし、しかも、わしはどうもひろゆきタイプらしく、思考回路も似ているようで、あまり参考にならない。彼ほど極端ではないが、やってる方向は一緒なので、なんか自分の体験と重なってしまう。 たとえば、大学受験のときにコスパのいい科目の倫理政経を選んだ、というのは、誰でもやってるのでは? わしも倫理政経を選んだ。簡単だからね。それどころか、学科も一番受かりやすいところを選…

  • いままで起きたこと、これから起きること。 「周期」で読み解く世界の未来

    高城剛 光文社新書 2022.8.30読書日:2023.3.24 高城剛が世界に起きている周期を読み解くことによって、これから起きることを予測する本。 わしの出自がエンジニアのせいか、周期で説明しようという話を聞くと、どうも眉唾な印象を受けてしまう。何かを説明するときにいろんな周期をいろんな重みで合成すると、いかようにでも波形を合成できてしまうからである。使う周期の波の数は多ければ多いほどよろしい。その方が合わせやすい。こういうのはパラメータ・フィッティングといって、十分な数のパラメータがあると、本当にどうとでも合わせ込みができてしまうのである。 市場の予測にも、よくコンドラチェフの波動がどう…

  • マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険

    スザンヌ・シマード 訳・三木直子 ダイヤモンド社 2023.1.10読書日:2023.3.23 森の木たちがマザーツリーと呼ばれる古い木を中心に地下の菌根菌の菌糸でつながっており、水や炭素などを融通しあっていることを証明して、森の見方を一変させたカナダの生態学者の回想録。 この本に書かれてある実験を、わしは何かの記事かTV番組で見たことがある。 2つの木の根を共通の菌根菌でつながった状態にしておく。ここで、一方に光合成ができないようにカバーをかけておく。光合成ができないので、普通ならば枯れていく。ところがもう一方の木が菌根菌を通して栄養を分け与えてくれるので、カバーをかけられた木も枯れずに生き…

  • 私が陥った中国バブルの罠 レッド・ルーレット 中国の富・権力・腐敗・報復の内幕

    デズモンド・シャム 訳・神月謙一 草思社 2022.9.5読書日:2023.3.17 2000年代に中国で総理だった温家宝の一族に接近し、その伝手を利用して新富豪になったデズモンド・シャムとその元妻ホイットニー・デュアンだったが、習近平の腐敗一層キャンペーンの中で逆風にあい、ホイットニーは失踪してしまうという顛末を振り返った本。 この本はデズモンド・シャムが貧しかった上海から両親に連れられて香港に移住し、アメリカの大学を卒業して、中国に投資をする会社に入るまでの過程がまず述べられている。 もともとは富裕な一族だったが、祖父が中国本土に残るという最悪の決断をしたため、元資本家として差別されて厳し…

  • 現代の奴隷 身近にひそむ人身取引ビジネスの真実と私たちにできること

    モニーク・ヴィラ 訳・山岡万里子 英治出版 2022.12.20読書日:2023.3.14 現代の奴隷は麻薬や負債で被害者を抵抗できなくして売春や労働を強制するもので、昔の奴隷と異なり使い捨てのローリスク・ハイリターンのビジネスであり、さらに身近で行われているのに気づかれていないという実態を報告した本。 この本では、実際に奴隷状態に陥ったものの、そこからなんとか抜け出したサバイバーの体験談を中心に書かれている。実際の体験に勝るものはないからだろう。 衝撃的なのは、そのうちの一人のマルセーラの体験談だ。彼女はコロンビアから何も知らずに、なんと日本に連れてこられて売春をさせられそうだ。彼女を奴隷化…

  • 巨神のツール 俺の生存戦略 知性編

    ティム・フェリス 2022.10.20 東洋経済新報社読書日:2023.3.11 「週4時間だけ働く」のティム・フェリスが、ポッドキャストで著名人にインタビューした内容をまとめた本(を3分冊にした1冊)。 どうやら週4時間だけ働くと、仕事以外にいろいろな活動ができる時間を捻出できるらしい。有名人になった著者は、新たに作った人間関係を駆使していろんな分野の106人にインタビューを行い、それを本にハック集としてまとめた。ひとり数ページだが、全部で500ページ以上になってしまい、日本では3分冊にされてしまった。 内容からして、どんな順序で読んでも問題なさそうなので、順序をつけずに図書館に予約したら予…

  • 最近読んだ本で未来の社会を想像する

    最近読んだエマニュエル・トッド「我々はどこから来て、今どこにいるのか」と柄谷行人「力と交換様式」などを読み比べて、未来の社会がどうなるのか考えてみたい。 「我々はどこから来て、今どこにいるのか」から次のようなことを学んだ。 家族の形式が社会の姿を規定していて、父権が強い家族形態では権威主義的な社会と相性がよく、核家族の社会では個人の自由を尊重する民主主義的な社会と相性が良い。 驚いたことに、個人主義的な社会よりも父権の強い社会のほうが新しく進化した社会で、父権の強い社会に一度なると、なかなか核家族的な性質を持つように戻らないということだ。(明確に書かれてはいないが、たぶん戻った例はない)。 そ…

  • 力と交換様式

    柄谷行人 岩波書店 2022.10.5読書日:2023.3.8 人類の歴史はその交換様式で区別でき、そのスタイルは4つしかなく、いまは商品や権力に関連した交換様式が強いが、将来は個人に関係した交換様式の世界になると主張する本。 最初はそれがどうしたという感じで読んでいたが、次第にこれは未来を考える上で強力なツールになるような気がしてきて興奮してきた(笑)。 とりあえず、柄谷さんの主張を見ていこう。 柄谷さんはマルクスとエンゲルスを思索の中心においている人らしく(なんかこういう人が多い。まったくこの二人の影響力には驚かされる)、人間の歴史は下部構造の経済の「生産様式」で語られると思っていたが、そ…

  • 87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし

    多良美智子 すばる舎 2022.3.30読書日:2023.3.5 87歳の著者が、古い団地でお金もあまり使わない豊かな暮らしを紹介した本。 最近、この手の高齢者が質素だが豊かに満足して暮らす様子を書いた本がベストセラーになっている。というわけで、読んでみようと思い、何冊か予約したうちの一冊目が届いた。 著者の美智子さんは夫婦でずっと団地住まいで、子供が独立してからは夫婦で住み、夫を7年前に亡くしてからはひとりで住んでいる。入居した当時は新築だったが、いまでは築55年の古い団地になっている。 部屋は4階だがもちろんエレベーターはない。1階に空き部屋もあるから移ったらと言われるが、美智子さんはイン…

  • 天才数学者、ラスベガスとウォール街を制す 偶然を支配した男のギャンブルと投資の戦略

    エドワード・O・ソープ 訳・望月衛 ダイヤモンド社 2019.4.3読書日:2023.3.4 世界で初めてブラックジャックのカウンティングの技術を発見し、オプションの価値を計算するブラック=ショールズの式を発表前から自力で発見し、適正価格から外れた銘柄をリスク・ニュートラルで運用して大金持ちになった数学者、エドワード・O・ソープの回顧録。 この本は長らく読まなければいけない本に入っていたもので、ようやく読んだ。 わしはエドワード・O・ソープの名前を知っていたし、「ディーラーをやっつけろ」という本のことも知っていた。でも、エドワード・O・ソープがどんな人間かはまったく知らなかった。 この本を読ん…

  • 総員玉砕せよ! 新装完全版

    水木しげる 講談社文庫 2022.7.15読書日:2023.2.27 (ネタバレあり 注意!) 水木しげるが体験したパプアニューギニア、ニューブリテン島での戦いを一兵士の視線で描いたもの。 「のんのんばあとオレ」が印象深かったので、水木さんの代表作を読んでみたもの。マンガは基本書評しないことにしてるんだけど(切りがないから)、これは書くことにした。 物語の概略は以下の通り。 ニューブリテン島に敵が上陸して、部隊が送り込まれるが敵に囲まれてしまう。中隊長はジャングルに後退してのゲリラ戦を主張するが、率いる若い田所少佐は死に場所を求めているようなところがあって、玉砕を決行する。しかし81名は生き残…

  • 人類学者K ロスト・イン・ザ・フォレスト

    奥野克巳 亜紀書房 2023.1.9読書日:2023.2.25 人類学者のKがボルネオの狩猟採集民プナンで一緒に生活した経験を語る本。 人類学者のKとはもちろん著者自身のことだろうが、この本ではまるで小説のように三人称でKの体験を語っている。どうしてこんなふうにしているのかよくわからないが、論文ではなくて曖昧な印象を語るための工夫なのかもしれない。 ところどころに人類学と関係ないKの個人的な話が挿入されている。たぶん事実の話だと思うが、創作かもしれない。そういう意味でも、このようなスタイルがとられているのだろうか。 なお、最初に、カフカの「城」が引用されていて、「城」はKが城に行こうとして決し…

  • 農家はもっと減っていい 農業の「常識」はウソだらけ

    久松達央 光文社新書 2022.8.30読書日:2023.2.22 28歳のときに農業に新規参入して実地で農業を見つめてきた著者が、世間が抱いている農業の常識は幻想だと喝破し、小さな自営業の農業が生き残っていくのに必要なのは競争することではなく、ファンを増やす最愛戦略を駆使することで、勝つのではなく負けないことを目指すべきだと主張する本。 久松農園は、農作業の人数が4人で、出荷チームが3人の7人体制で、とれたて野菜をネットで直接販売して、年間5000万円ほどの経営規模なんだそうだ。顧客数は毎週送るのが30件程度、隔週が70件、月イチが30件ほどらしい。そのとき一番いい旬な野菜をみつくろって送る…

  • 我々はどこから来て、今どこにいるのか

    エマニュエル・トッド 訳・堀茂樹 文藝春秋 2022.10.30読書日:2023.2.18 家族形態と現代政治との関係を見つめてきた人口歴史学者のエマニュエル・トッドが、これまでの研究成果をまとめて、民主主義の行く末を示唆する衝撃の書。 「第三次世界大戦はもう起こっている」を読んで、米英と異なる視点の発言に大いに感心したけれど、この本を読んで、改めてエマニュエル・トッドがフランス人で良かったと思った。米英の研究者ではこの本は書けなかったのではないか。フランスは、ジャック・アタリもそうだが、別の視点から世界を見ることを教えてくれる大切な国だ。 この本はこれまでエマニュエル・トッドが発表してきた研…

  • 早朝のガストで

    わしは早朝のガストがけっこう好きだ。 休みの日には近所のガストで朝食を食べて、そのままドリンクバーのカプチーノ(シナモンが好きなのだ)を飲みながら、喫茶店代わりに数時間ゆっくり過ごし、ランチの客で混み始める午前中11時頃に退店するというパターンが多い。 まあ、ガストを選ぶのは、株主優待の消化という側面も大きいんですけどね。たぶん優待がなかったら、行かないと思う。 朝食を食べている人には固定客が多くて、いつも同じ人が同じ席に座っていることが多い。一度固定化すると、2、3ヶ月はそのままのメンバーが続く。でもガストで過ごすことに飽きるのか、やがて来なくなり、そうやってメンバーは変わっていく。 わしが…

  • 22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家は猫になる

    成田悠輔 SB新書 2022.7.15読書日:2023.2.9 イェール大学の成田悠輔が、国民の無意識からデータを収集して、アルゴリズムにより自動的に政策を立案、実行する「無意識民主主義」を主張する本。 この本、やたら評判がいい。というわけで、読むまでにずいぶん待たされた(笑)。いちおう読んだが、これはうまくいかないだろうなあ、と予感させるには十分な内容である。 とりあえず、成田氏の主張を見ていこう。 世界の半分は、経済は「資本主義」、政治は「民主主義」という構造になっていて、資本主義で好きなだけ儲けてもらい不平等になるが、民主主義でそれを分配して平等にするという仕組みになっている。しかし、い…

  • 遅考術 じっくりトコトン考え抜くための「10のレッスン」

    植原亮 ダイヤモンド社 2022.8.30読書日:2023.2.6 人は素早く答えを得る直観と、じっくり考える熟慮の2つのシステムを持っており、直観には勘違いや錯覚があるので、その特性をよく知って熟慮する遅考術を教える本。 まあ、ともかく題名が素晴らしい。 この本は、ほぼ認知系の本からの引用のみで成り立っているような本なのだが、ここで直観では勘違いしやすい部分を熟慮するということを「遅考術」と名付けて、そのくくりでまとめたところが素晴らしい。これはダイヤモンド社の朝倉陸矢さんのアイディアだそうだ。この本が売れるとしたら、この題名が9割ぐらいのような気がする。 早杉さんと文殊さんの会話形式にした…

  • パンデミックなき未来へ 僕たちにできること

    ビル・ゲイツ 訳・山田文 早川書房 2022.6.20読書日:2023.2.4 ビル・ゲイツがコロナの次のパンデミックを抑えるために、世界的な仕組みを作らなければいけないと主張する本。 ビル・ゲイツは以前から感染症に興味を示していて、すでに2015年にはTEDでパンデミックの危険について訴えている。こうした訴えは、当時はさほど世間に響かなかったであろうことは想像に難くない。しかし、パンデミックが実際に発生してしまった今では、ビル・ゲイツの言葉を聞こうとする機運も高まっているのであろう。ビル・ゲイツが3冊目の本を書いたのはこういうわけであることは容易に想像できる。 世界中に火災に対処する消防の組…

  • 異常【アノマリー】

    エルヴィエ・ル・テリエ 訳・加藤かおり 早川書房 2022.2.15読書日:2023.1.31 (ネタバレあり。注意) ニューヨークに向かうエールフランス機が危険な積乱雲に入り無事に脱出したが、三ヶ月後にまったく同じ旅客機が同じ乗客を乗せて出現し、大混乱になる様子を描いた、フランスのゴングール賞受賞作。 まあ、いちおう本書が出版されたときにチェックはしていましたが、そもそもフィクションはほとんど読まないので、読んでいませんでした。ところが、昨年末のいろんな読書関係の記事で、今年の読書の成果として本書をあげる方が多かったので、読んでみようかと思った次第。 3月の嵐の中、旅客機がまったく同じ2つに…

  • 人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小

    チャールズ・グッドハート マノジ・プラダン 訳・澁谷浩 日本経済新聞社 2022.5.19読書日:2023.1.31 今後は世界の労働年齢人口が減少するというこれまでと逆転する局面になり、労働力不足から供給が減ってインフレが起こる一方、労働力が貴重になり労働者の立場が強くなる結果、不平等は縮小すると主張する本。 人口関係の本は、書名を読めば原因も結論もそのまんまであって、それ以上でもそれ以下でもないらしい。以前「人口革命 アフリカ化する人類」を読んだときも、書名がそのまま結論でした(笑)。この本も書名がそのまま結論です。 でもまあ、少し中身をくわしく見てみましょう。 まず1990年代から最近ま…

  • 衝撃的! 日本人の若者の25人に1人は1日ゼロ食!

    ときどき目を疑うような記事を読むけど、これは久々に衝撃的だった。 社会学者の舞田敏彦氏によれば、日本人の15歳から24歳の25人にひとりは1日1食も取らないゼロ食だというのである。つまり食事をしない。土日ではない。平日の話である。(https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/02/post-100869.php) ダイエットとかで食べない人もいるだろうけど、これが異常であることは過去の数字と比べてみるとすぐに分かる。 2011年、1.6% 2016年、0.6% 2021年、4.0% 2011年も東日本大震災で社会が大混乱した年だということを考…

  • 辻政信の真実 失踪60年-伝説の作戦参謀の謎を追う

    前田啓介 小学館 2021.6.8読書日:2023.1.24 ノモンハン事件やマレー作戦などを主導し、半藤一利から「絶対悪」と呼ばれた、日本陸軍参謀、辻政信の新資料を加えた評伝。 タモリによれば、いまは「新しい戦前」なんだそうだ。今後、戦争の時代になる予感を感じさせる言葉である。そういうわけで、いま、かつての日本軍や軍人たちに再び脚光が集まりつつある。戦争の時代に対するヒントを得ようということなのではないかと思われる。この本がかなり読まれているのも、そのせいなのだろう。 では、辻政信とはどんな人物だったのだろうか。 辻政信はエピソードが豊富な人で、その人生はざっとこんな感じである。 ・石川県の…

  • 歩きながら考える

    ヤマザキマリ 中央新書ラクレ 2022.9.10読書日:2023.1.22 コロナ禍で日本に留まっていた漫画家のヤマザキマリが、ようやくコロナが落ち着きかけた2022年に書いた、自らの死生観や日本社会などに関する考え方をまとめたエッセイ。 この作品の前に、「立ち止まって考える」というエッセイがあって、そのときにはコロナでまったく自宅に留まらざるを得なくなった状況を書いていたが、今回はその続編。前作は、わしは読んでいなかったが、息子は読んだそうだ。なにー。なんで、そのときわしに回してくれなかったのだ。ぷんぷん。 まあ、この本ではようやく動くことができるようになって、イタリアに戻ったり、日本国内を…

  • 言語はこうして生まれる 「即興する脳」とジェスチャーゲーム

    モーテン・H・クリチャンセン ニック・チェイター 訳・塩原道緒 新潮社 2022.11.25読書日:2023.1.15 言語はコミュニケーションを成り立たせるために脳が即興的にそのときどきで生み出しているものであり、脳に遺伝子で設定された特別な隠れた構造があるわけではないと主張する本。 最初に18世紀に太平洋を旅したクック船長の話が出てくる。西洋人が初めて訪れた島で、クック船長は原住民と話をして水を得ようとする。言葉が通じないのにクック船長は、水を手に入れることに自信満々だった。そして、実際、彼らはお互いジェスチャーで意思を通じさせて、クック船長は無事に水を得ることができたという。 というよう…

  • 教養としてのラテン語の授業 古代ローマに学ぶリベラルアーツの源流

    ハン・ドンイル 監訳・本村凌二 訳・岡村暢子 ダイヤモンド社 2022.9.27読書日:2023.1.10 東アジア人で初めてバチカン裁判所の弁護士になったハン・ドンイルが、韓国の西江(ソガン)大学でラテン語の講義で、ラテン語に絡めてローマ人の考え方などを語った内容をまとめた本。 韓国の国力が向上した結果、韓国でベストセラーになった教養書の多くが日本でも翻訳、出版されるようになった。韓国人は日本人があまりいかないような分野で世界で活躍することも多いから(例えばイタリアのオペラとか)、この著者のように、異なる視点で色々語ってくれるのはよい。とくに本書のようにバチカンに深く入り込んだような人の語る…

  • 病の神様 横尾忠則の超・病気克服術

    横尾忠則 文藝春秋 2006.4.25読書日:2023.1.6 病気と常に向かい合っている横尾忠則が、病気との付き合い方を述べたエッセイ。 「原郷の森」が、よくはわからないが、なぜか印象に残り、横尾忠則に興味が湧いたので読んでみた本。 いまもいろいろ身体の不調を訴えているらしい画家の横尾忠則ですが、なんか生涯にわたってずっとそうだったらしい。しかし、このエッセイを読むと、なにこれ、というのが多くてびっくり。 歩けなくなったり、痛みに苦しんでいて、仕事にも生活にも支障が出て、仕方なく医者に行くと、「どこも悪くありませんよ」と言われて、その場ですぐに回復する、という系統の話が多すぎる。 単なる思い…

  • ランディ・コミサー あるバーチャルCEOからの手紙

    ランディ・コミサー 訳・石川学 ダイヤモンド社 2001.1.12読書日:2023.1.3 スタートアップのCEOを助ける役割を自分の天職と考えるランディ・コミサーが、起業の目標を設定するときには、単に利益を出すことだけを考えるといった小さくまとまるのではなく、自分の情熱を傾けられるような大きな目標を設定しなければいけないと主張する本。 この本は若き起業家がランディに自分の事業プランをプレゼンする(ピッチというらしい)が、ランディがそれではだめだ、もっと大きく考え、自分の情熱を傾けられるようにするのだ、と起業家をメールなどで教育していく過程を、小説の形で書いたものだ。そのお話の合間にランディの…

  • 高次元空間を見る方法 次元が増えるとどんな不思議が起こるのか

    小笠英志 講談社 2019.9.20読書日:2022.12.30 3次元以上の高次元空間をイメージする方法を教える本。 物理の超弦理論なんかでは、10次元とか11次元とかの高次元の空間を取り扱うが、研究している人はよくそんな空間をイメージできるなあ、と感心する。そんなわけで、実際に数学者がどんなふうに高次元空間をイメージしているのかという興味でこの本を手にとってみた。 そもそも高次元ではどんなことが起こるのだろうか。本書では、例として、3次元ではほどけない結び目が4次元ではほどけることを示してくれる。 3次元のなかに1次元のロープのようなものがあって、途中に結び目を作り、端をつないで、輪っか状…

  • 大きく考えることの魔術 あなたには無限の可能性がある(新訂版)

    ダビッド・J・シュワルツ 訳・桑名一央 1970.7.25初版 2004.9.25新訂版読書日:2022.12.29 人間は自分が思った通りの存在にしかなれないのだから、構想するときには大きく考えるべきだ、と主張する本。 この本、1970年からずっと売れ続けているのである。なんともはやである。で、書いてあることは、表題のとおりで、それ以上でもそれ以下でもない。(笑) 大きく考えるかどうかで、成果は全く異なるという。小さく考えると、そこに限界を設けてしまい、それ以上になれない。 なぜ大きく考えられないのだろうか。 自分に自信がない、周りの意見に流される、しない言い訳をいろいろ思いつく、などである…

  • 星新一 一〇〇一話をつくった人

    最相葉月 新潮社 2007.3.10読書日:2022.12.28 星製薬の御曹司として生まれながら、SF作家に転身して、ショートショートを1001話作った星新一の評伝。 まあ、正直に言って、前半の星製薬の話は興味深くはありましたが、そんなに面白くはなかったです。やっぱりこの本を読む人は、作家としての星新一に興味があるでしょうからね。確かに、一族のドタバタが作家の人生に大きな影響を与えたことは確かでしょうから、避けられない話であることはわかりますが。 しかし驚いたのは、星新一が作家に転身して、ほとんどなんの苦もなくデビューしているように見えることですね。同人誌にいくつか作品を発表しただけで、すぐ…

  • 第三次世界大戦はもう始まっている

    エマニュエル・トッド 訳・大野舞 文藝春秋 2022.6.20読書日:2022.12.25 歴史人口学者のエマニュエル・トッドが、ウクライナ戦争は米英により仕掛けられた事実上の第三次世界大戦だと主張する本。 エマニュエル・トッドのことは知っていたが、これが初めての読書である。人口学者であり、1970年代に、ソ連の平均寿命が下がり、幼児死亡率は上昇していることから、ソ連社会がうまくいっておらず、遠からず崩壊すると予言したことで有名だ。独特の感性を持っており、世間で言われていることと異なったことを話してくれるので、非常に好ましい。 ウクライナ戦争に関して、エマニュエル・トッドは、シカゴ大学の国際政…

  • 京都生まれの和風韓国人が40年間、徹底比較したから書けた!そっか、日本と韓国って、そういう国だったのか。―文化・アイドル・政治・経済・歴史・美容の最新グローバル日韓教養書

    ムーギー・キム 東洋経済新報社 2022.7.14読書日:2022.12.23 グローバル・エリート・ビジネスマンで在日3世のムーギー・キムが、日本と韓国の関係をその根本から真剣に考えた本。 ムーギー・キムってもう40代なんだそうだ。いまでは起業家として香港に住んでいるらしい。で、ムーギーの本ってこれまで何冊か読んだはずなんだけど、これまで感想をここでアップしたことがないね。あれま(笑)。 これまでのムーギーの本って少しおちゃらけた感じもあったけど、この本は極めて真面目に取り組んでいる。在日韓国人の彼にとって、自分の存在意義をかけたテーマになるのだから当然だろう。 細かい文化の違いについて書い…

  • 「週4時間」だけ働く 9時ー5時労働からおさらばして、世界中の好きな場所に住み、ニューリッチになろう。(拡大アップデート完全版)

    ティモシー・フェリス 訳・田中じゅん 青志社 2011.2.15(オリジナルは2006年)読書日:2022.12.22 自由を得るために、ビジネスをネット上で自動化することで、週に4時間だけの労働で好きなところに住めると主張する本。 同様な主張の本は巷にあふれているが、どうもこの本が源流らしい。この本のオリジナルは2006年の発売である。時期的にも合うようだ。 手法としては商材(この本ではあなたのミューズと呼んでいる)をニッチなものに絞り、特徴を出して、量は追わずに自分が暮らしていくのに十分な稼ぎを得るとともに、ほとんどの仕事をアウトソーシングして、週に1回数時間、メールチェックや電話に使うだ…

  • ステータス・ゲームの心理学 なぜ他人よりも優位に立ちたいのか

    ウィル・ストー 訳・風見さとみ 原書房 2022.7.28読書日:2022.12.17 ヒトはある社会の一員になることを望み、一員になると今度はそのグループの中でより良いステータス(地位)を得るように努力するステータス・ゲームをするように進化した種族だとして、これまで文化人類学や社会学で分かったことをもとに、ステータス・ゲームという観点から日常の生活から歴史上の転換、さらには仮想空間の問題や現在起きている社会の分断まで含めて語り直した本。 人間と社会をステータスという観点から語り直すというのは、ちょっとしたアイディアの勝利と言える。なにしろ周りの人が自分のことをどう思っているかということを気に…

  • 狂伝 佐藤泰志 無垢と修羅

    中澤雄大 中央公論社 2022.4.25読書日:2022.12.10 1990年に41歳で自殺した小説家、佐藤泰志の一生を、作家の熱狂的な愛好家である著者が、できる限りの資料と関係者へのインタビューを通して明らかにした評伝の決定版。 わしは佐藤泰志の本は読んだこともなく、名前すら知らなかったが、なにかこの本を紹介する書評の熱量がそうとう大きかったので、読んでみることにした。佐藤泰志はどうやら一部の人を熱狂させるタイプらしく、死後、その作品を原作にした映画も次々に制作されているようだ。まあ、わしはこの映画のことも全く知りませんでしたが(笑)。 佐藤泰志はいわゆる私小説と呼ばれる、自分の人生に実際…

  • 防衛大学校 知られざる学びの舎の実像

    國分良成(第9代防衛大学校長) 中央公論社 2022.8.10読書日:2022.12.1 日本唯一の士官学校、防衛大学校第9代校長の國分が、大好きになった防衛大学校を語りつくす本。 中国の拡張主義や北朝鮮のミサイル、そしてウクライナ戦争以降、日本でも防衛というものが真剣に語られるようになってきたような気がする。そのほとんどは予算や武器の話になってしまうが、人材の方はどうなっているのだろうか。でも、それは大丈夫かもしれない。世界トップ10に入る士官学校、防衛大学校があるのだから。 士官学校のランキングってどんな基準でやっているのかは知らないが、ともあれトップ10に入っているのは本当らしいし、20…

  • 掃除婦のための手引書

    ルシア・ベルリン 訳・岸本佐知子 講談社 2019.7.8読書日:2022.11.25 高校教師、掃除婦、電話交換手、看護婦などをしてシングルマザーとして4人の子供を育てつつ、アルコール依存症に苦しんだ、ルシア・ベルリンの自分の人生を題材とした私小説。 実際に起こったことを題材にフィクションを創ることをオートフィクションと言うのだそうで、ルシア・ベルリンの作品はその典型なんだそうだ。つうか、日本人なら単にそれを私小説と呼ぶだろう。 この本ではルシア・ベルリンの子供時代から初老の頃までのほぼ一生に渡る、そのときどきの話を描いたものを集めてあり、一冊読めばルシア・ベルリンはこんな人生を送ったんだな…

  • じじい最強伝説

    この前、図書館に本を取りに行こうと自転車に乗っていたとき、あるけっこう大きな横断歩道で信号が赤になったので止まった。 歩行者が全員いなくなったので、まだ赤信号だったが、まあいいかと思って自転車を漕ぎ出した。すると突然、目の前に人が現れたので、びっくりしてあわててブレーキを掛けた。 それは高齢の男性だった。 その男性はわしの方をビシッと指さして、「赤信号だろ!」と言った。 この男性、いったいどこから現れたのかと思ったが、どうもわしに注意するために、渡っていた横断歩道をわざわざ戻ってきたらしい。なんというか、正義の人なのだ。 で、そんなことをしているうちに、歩行者用の青信号は点滅し赤になった。しか…

  • やっぱり円安に賛成! 「どうすれば日本人の賃金は上がるのか」をさらに考えた

    「どうすれば日本人の賃金は上がるのか」で野口悠紀雄は日本人の賃金が上がらず、しかも最近の円安がその賃金の下落を加速しているとして嘆いているが、やっぱりわしは円安に賛成である。円安に賛成なことはここに書いた。 www.hetareyan.com バブル崩壊以降、日本の企業は30年間に渡って日本国内に投資してこなかった。その代わり、海外に投資している。その結果が、経常収支の所得収支の黒字になって現れている。つまり、日本で作って輸出するよりは、海外の現地に投資していたということである。 なぜこんなことをしていたかというと、そのほうが儲かったから、としか言いようがない。つまり、端的に円が高すぎたのであ…

  • どうすれば日本人の賃金は上がるのか

    野口悠紀雄 日経BP 2022.9.8読書日:2022.11.17 日銀や政府のやっている通貨緩和政策は日本の安売りであり、賃金を上げるには一人あたりの創出する付加価値を上げる以外はないと主張する本。 野口悠紀雄はこれまでも日銀と政府の通貨緩和政策を非難してきた。この本でも野口は、円安政策は日本の安売りであり、経済成長と高付加価値企業化政策を行わなかったことが間違いだったと指摘している。わしは円安政策が間違いだったとは思わないが、高付加価値企業がほとんど生まれなかったことは確かだろう。 そこで成長を促し、高付加価値企業が誕生するために野口が提唱するのが、(1)変化対応型社会にするために、年功序…

  • モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた 進化心理学が教える最強の恋愛戦略

    ジェフリー・ミラー タッカー・マックス 監訳・橘玲 訳・寺田早紀 河合隼雄 SBクリエイティブ 読書日:2022.11.13 進化心理学者のミラーとモテ男のマックスが協力して、モテるためには進化心理学の知見に従うのが最強と主張する本。 原題は「MATE:What Women Want 」である。つまり女性がパートナーとしてどんな男性を選ぶかという話である。それを知っていれば、男性としてはそうなるように努力すればよい。ここで進化論が入ってくるのは、女性は自分の子供が生き残ってさらに子孫を残すようにパートナーを選ぶからだ。そのような選択を女性は何十万年も繰り返してきて、その結果生き残ったのがわしら…

  • 恐るべき子供 リュック・ベッソン『グラン・ブルー』までの物語

    リュック・ベッソン 訳・大林薫 辰巳出版 2022.6.25読書日:2022.11.15 フランスの映画監督リュック・ベッソンが孤独な少年時代を過ごしたあと、グラン・ブルーを発表して、ようやく何者かになるまでの自伝。 わしは社会人になりたての90年代、年末には地方の実家に帰っていた。といっても何もすることがないから、大晦日にはおもにテレビで映画を観ていて夜を明かすことが多かった。そのときひどいと思ったのは、毎年、同じ映画が流されることだ。少しはバリエーションを増やせよ、と思うのだが、地方の放送局だから年末の深夜映画にそんなに力は入っていないのである。そしてなぜかグラン・ブルーが流されることが多…

  • なぜ宇宙は存在するのか はじめての現代宇宙論

    野村泰紀 講談社ブルーバックス 2022.4.20読書日:2022.11.6 カリフォルニア大学バークレー校教授の野村泰紀が、ビッグバンからマルチバース宇宙までを解説する本。 わしは現代宇宙論についての本をときどき読むことにしている。量子力学に加えて、わけがわからない学問の筆頭ですからのう。この本では個々の理論の解説については、まあ、通常のものと変わりはなかったが、いろいろ細かい表現のところがわしには面白かった。 例えば、星が無限個あるのなら宇宙はなぜ暗いのか、という問いがある。普通は宇宙は膨張しているからとか、そういう説明がされることになっているが、野村泰紀さんによれば、宇宙はぴかぴか光って…

  • 人口革命 アフリカ化する人類

    平野克己 朝日新聞出版社 2022.7.30読書日:2022.10.31 アフリカの人口増加率は1950年代から2%以上であり、世界のどの地域よりも高く、未曾有の人口膨張を続けており、21世紀の後半には人口の半分がアフリカ人になってしまい、人類はアフリカ化すると主張する本。 アフリカの人口が増え続けているというのは知っていたが、人類の半分がアフリカ人になるということは大変なことである。人類がアフリカ化するというのは具体的にどんなふうになるのだろうか…という答えを知りたくて、本書を手にとったのだが、実はこれが結論であって、どうなるかまでは書いてないのだった。あれま。(苦笑) その代わり、書いてあ…

  • プーチンのユートピア 21世紀ロシアとプロパガンダ

    ピーター・ポマランツェフ 訳・池田年穂 慶應義塾大学出版会 2018.4.25読書日:2022.11.5 2006年から2010年までロシアのテレビ局に勤めてドキュメンタリーを制作した著者が経験したロシアでのプロパガンダの実際を述べた本。 著者のピーターはロシアからイギリスに亡命した一家で育ったが、プーチン政権下のロシアにチャンスを見出してロシアに渡り、TNTというテレビ局に入る。なにしろ当時のモスクワでは、ロンドンから来たというだけでありがたがられ、何の実績もない著者がいきなりディレクターになって、制作の予算がついたそうだ。西側的な感性があるはずと重宝され、いろんな会議に招かれて意見を求めら…

  • リセットを押せ ゲーム業界における破滅と再生の物語

    ジェイソン・シュライアー 訳・西野竜太郎 グローバリゼーションデザイン研究所 2022.6.20読書日:2022.10.30 アメリカのゲーム業界では、制作スタジオの誕生と破産が日常茶飯事で、ほとんどのゲーム制作者は2、3年に一度レオオフを経験しており、その不安定なキャリアの現状を報告する本。 本を読んでいて、この話は本当にアメリカか、と何度も思った。それくらい日本のアニメ産業のアニメーターたちの不安定な生活とオーバーラップした。 ゲームクリエイターたちは本当にゲームが作りたくてこの業界に入ってくるが、長時間労働と低収入にあえいでいて、しかも作品が完成すると、その作品が成功しても失敗してもレイ…

  • 押井守のサブぃカルチャー70年

    押井守 東京ニュース通信社 2022.4.20読書日:2022.10.25 押井守が映画以外の70年間のサブカルチャーエンタメ遍歴を語る本。 押井守に映画を語らせるとむちゃくちゃ面白いのは分かっているが、それ以外のサブカルチャーにも耽溺しているから、こっちもむちゃくちゃ面白い。 しかし、さすがにラジオドラマのことはへーとしか言いようがない。赤胴鈴之助が好きで、どんなに外で遊んでいても、家に帰って聞いていたんだそうだ。もうそれしかエンターテイメントがなかったから。赤胴鈴之助は、元祖メディアミックス作品でマンガ、映画も作られている。そして元祖「友情・努力・勝利」の物語でもあるそうだ。 押井守の父親…

  • 習近平最後の戦い ゼロコロナ、錯綜する経済ーー失策続きの権力者

    福島香織 徳間書店 2022.6.30読書日:2022.10.23 習近平はなんら功績のない凡庸なリーダーで、その政策は失策ばかりであり、第22回党大会で3期目のトップの党書記になれないかもしれない、と主張する本。 これを読み始めたのは、ちょうど中国共産党の党大会が始まった頃で、書いているいまは結果がどうなったのか知っている。習近平が3期目の党トップになり、しかもトップのチャイナ7を自分の子飼いの部下でそろえて、盤石な体制を築いたわけで、福島香織の願いは外れたどころか最悪の結果になったわけだ。 福島香織によれば習近平はプロパガンダの自家中毒にかかっているのだそうだ。 なので、プロパガンダと異な…

  • 奇跡

    林真理子 講談社 2022.2.14読書日:2022.10.22 芸術家・田原桂一と梨園の妻であった博子の、出会ってしまった二人が激しい愛を貫いた実話。 うーん。どのへんが奇跡なのか読んでもよく分からなかった。 みなさんも人妻が夫以外の男を好きになって、夫と離婚後に再婚して、いまは幸せに暮らしている例をひとつかふたつ思いつくのではないだろうか。 まあ、一般的には不倫、略奪愛ということになり、離婚時にどろどろになるのかもしれないが、円満に離婚して再婚した例だってあるだろう。少なくともわしはそういう例を知っている。 こういう例となにが違うのだろうか。 博子がいろいろとうるさい芸能人世界の梨園の妻だ…

  • 小田嶋隆のコラムの向こう側

    小田嶋隆 ミシマ社 2022.8.30読書日:2022.10.20 2022年6月24日に亡くなったコラムニスト小田嶋隆の遺稿コラム集。 小田嶋隆が亡くなる直前、ミシマ社社長の三島邦弘さんに遺稿集を頼んだのだそうだ。その結果できたこの本は、日経ビジネスオンラインの「ア・ピース・オブ・警句」に最近載ったものをまとめたものだ。「ア・ピース・オブ・警句」は、最後の方は有料コンテンツになってしまったので、わしは読んでいなかったから、まあ、良かったとも言える。 しかし、その時その時の話題に対応して書かれたコラムを読むと、コラムって寿命が短いなあ、と言う気がする。コラムってやっぱり、今回はどの話題をどんな…

  • 千代田区一番一号のラビリンス

    森達也 現代書館 2022.3読書日:2022.10.19 (ネタバレあり。注意) ドキュメンタリー映像作家が天皇をテーマにドキュメンタリーを企画するものの、当然天皇とは接触できずうまくいかないが、ある超自然的な現象で天皇、皇后と繋がりができて、一緒に皇居の地下空間を冒険し、その内容をドキュメンタリーに撮る話。 主人公は森克也というドキュメンタリー映像作家で、当然、著者自身である。森達也氏と言えば、オウムのドキュメンタリーを撮ったりして国際的な評価の高い人だ(観たことはないけど)。こういう人なら、いつか天皇をテーマにドキュメンタリーを撮ってみたいという妄想をふくらませることもあるだろう。この小…

  • リバタリアンが社会実験をしてみた町の話 自由至上主義者のユートピアは実現できたのか

    マシュー・ボンゴルツ・ヘトリング 訳・上京恵 原書房 2022.3.1読書日:2022.10.15 リバタリアンたちが自分たちの理想郷を作ろうと、ニューハンプシャー州のグラフトンという町に移り住んだ顛末を描く本。 リバタリアンと言えば作家アイン・ランドである。アイン・ランドの「肩をすくめるアトラス」では、リバタリアンの経営者たちが、人間の創意を否定する政府から逃れて、秘密の町を作る話が出てくる。そこは魔法のような科学技術が使用され、誰もが思うがままに活動し、豊かに暮らしている。リバタリアンの理想郷である。 こんな町を実際に作ることができるのだろうか。無謀な試みのようにも思えるが、そこはアメリカ…

  • 東大金融研究会のお金超講義 超一流のプロが東大生に教えている「お金の教養と人生戦略」

    伊藤潤一 ダイヤモンド社 2022.3.15読書日:2022.10.7 東大を卒業して20年以上ヘッジファンドのマネージャーをしていた著者が、東大の学生に頼まれてマネーについて教える金融研究会を開くとたちまち人気となった内容を書いたもので、人生の本質について考える力が大切と主張する本。 この本の初めの方に、知らない知識であっても自分である程度推定することが可能だといい、例として日本に理容師(+美容師)が何人いるか推定してみるという話があった。いわゆる地頭力を見るというたぐいの問題だ。わしはこの手の推定がなぜか得意で(たとえばここ)、答えを見る前に自分で考えてみた。と言っても、30秒ぐらいだが。…

  • 人類の起源 古代DNAが語るホモサピエンスの「大いなる旅」

    篠田謙一 中公新書 2022.2.25読書日:2022.10.6 発掘された人類(ホモ属)の骨のDNA解析からホモサピエンス(ヒト)の誕生、他のホモ属との交雑、出アフリカ後の移動の様子が分かるようになり、最新の情報について解説した本。 この本を読んでいるときに、今年のノーベル生理医学賞は古代人の骨から人類とネアンデルタール人が交雑していたことを突き止めた、スウェーデン出身で、ドイツのマックス・プランク研究所のスバンテ・ペーボ博士に決まったとのニュースが入ってた。個人的にはなんともタイムリーでございました。 DNAを使った研究は2010年代にものすごく発展して、この本に書かれていることは知らない…

  • 「ネコひねり問題」を超一流の科学者たちが全力で考えてみた

    グレゴリー・J・クバー 訳・水谷淳 ダイヤモンド社 2022.5.31読書日:2022.10.3 ネコが空中でなんの支点もなしに回転できる理由を多くの科学者が解き明かそうと奮闘した数百年の歴史を振り返る本。 いちおう本を開く前に、自分でネコが空中で回転できることを説明できるか考えてみた。しかし、どうしても角運動量保存則が絡んでくるので、非常に説明が難しい。いままで疑問に思ったことはなかったが、ネコが空中で足を下向きの方向に自由に回転できる理由が思いつかなかった。なるほど。確かにこれは難問である。 どこが問題か説明すると、空中で静止しているものが回転するとき、反対方向の回転も起きて、全部合わせて…

  • 人はどこまで合理的か

    スティーブン・ピンカー 訳・橘明美 草思社 2022.7.15読書日:2022.10.2 アメリカ大統領がフェイクニュースを拡散するような民主主義の危機の時代に、人がどれだけ合理的になれるかを述べた本。 皆で合議すれば合理的な判断ができるという信念が民主主義の基礎になっている。だが、そもそも人はどれだけ合理的なんだろうか。もちろんというべきか、人はさほど合理的ではないのである。この本の約7割には人間が合理的ではないという事実が、これでもか、と記載されているのである。 この本にはクイズのようにいろいろ書かれてあるから、みなさんもやってみればいいだろう。きっと、わしと同じように、自分が合理的とはと…

  • ファシズムとロシア

    マルレーヌ・ラリュエル 訳・浜由樹子 東京堂出版 2022.3.10読書日:2022.10.1 プーチン政権のロシアはファシズムでないと主張する本。 政治家に、ファシスト!、とレッテル貼りして非難する場合があるが、わしはこれは単なる悪口で、本当にファシストかどうかはどうでもいいことだと思っていた。たいていは、強権的、権威主義的、ぐらいな意味の場合が多いはずだ。 そういうわけでプーチン政権のロシアも、いちおう民主主義を装って選挙は行われているものの事実上の独裁政権であるから、ロシアはファシズムだ、と言われることがあるが、わしはそれが本当かどうかを真面目に検討してみようなどと思ったことはない。しか…

  • VIP グローバル・パーティーサーキットの社会学

    アシュリー・ミアーズ 訳・松本裕 みすず書房 2022.1.17読書日:2022.9.28 超富裕層が集まるパーティーの世界がどんな構造になっているのか、社会学者が参与観察により明らかにした本。 訓練を受けた社会学者が実際にその世界に潜り込み、観察した結果を報告する参与観察は、その潜り込む世界が普段と異質なほど価値が高い。たとえば「ヤンキーと地元」では、暴走族のパシリとなって中に入って実態を報告してくれている。 本書では超富裕層が夜な夜なニューヨークの高級クラブで繰り広げるパーティーや、季節ごとに高級リゾートに集まって開くパーティーに潜入しているが、これはとても難易度が高い。そんなパーティーシ…

  • 誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課

    篠原匡 朝日新聞出版 2022.6.30読書日:2022.9.24 座間市では少しでも座間と関係ある人ならば相談されるとそれを断らず、外部のNPOとのネットワークを活用して支援するだけでなく、さらにいま相談がなくても支援が必要な人をあらかじめ探るアウトリーチを行い、問題が大きくなる前に予防する活動を行っていることを報告する本。 わしはこの本を読んで、日本の貧困対策も捨てたものではない、という気がした。 生活保護というものがあるが、これはゼロか1かの対策になってしまい、中間のひとの対策ができないという問題がある。生活保護にいたる前の段階で支援できればそれに越したことはない。こうした生活保護にいた…

  • カタストロフィ 大惨事の人類史

    ニーアル・ファーガソン 訳・柴田裕之 東洋経済新報社 20220.6.2読書日:20220.9.23 人類が経験した大惨事のほとんどがパンデミックであり、大惨事はべき乗分布のロングテールに存在するので予測は不可能であり、我々ができるせめてもの目標は大惨事が起きても回復力のある社会、より望ましくは大惨事を超えてさらに強くなる反脆弱力のある社会を作ることだ、と主張する本。 この本はもちろん現在のコロナ・パンデミックにインスパイアされて書かれたもので、過去のパンデミックの話が中心になる。それによると、人口の1%以上が死亡したパンデミックは人類史上7回あるという。これらの過去のパンデミックに比べれば、…

  • 一生お金に困らない山投資の始め方

    永野彰一 クロスメディア・パブリッシング 2022.2.1読書日:2022.9.19 普通の人には気が付かない独自の視点で投資を実践する著者が、その独自性をもっとも発揮している山投資について説明した本。 これはむちゃくちゃ面白かった。発想が普通とぜんぜん違う。 著者の永野さんは1990年生まれで、まだ32歳なんだそうだ。高校のときに親元を離れて一人暮らしを始めている。よくはわからないが、家族から追い出されたんだそうだ(笑)。 高校の頃から株を始めてとても儲かったので、そのお金で100ぐらいの資格を高校の間に取ったんだそうだ。20歳ぐらいの時には、もう億を稼いだり、失ったりということをしていて、…

  • 次なる100年 歴史の危機から学ぶこと

    水野和夫 東洋経済新潮社 2022.2.10読書日:2022.9.16 資本主義は蒐集のシステムであるが、金利がゼロ以下になったことでこの蒐集のシステムは崩壊しており、これ以上の生産、供給が必要なくなったことを示しているから、これから100年ほどをかけて次のシステムに移行し、その向かう先は生きている幸福を実感する芸術の時代になる、と主張する本。 以前、水野和夫の「資本主義の終焉と歴史の危機」を読んだことがあったが、よく分からなかった経験がある。その本でも水野は、資本主義とは蒐集のシステムであると主張し、蒐集とは差異をなくすことであるといい、グローバル経済が出現し差異がなくなった世界では蒐集する…

  • ふんどしニッポン 下着をめぐる魂の風俗史

    井上章一 朝日新聞出版 2022.5.30読書日:2022.9.10 明治になって洋装が普及したものの下着はふんどしのままであり、戦後も1960年ぐらいまではふんどしが残っており、ふんどしはどうしてこんなに長く残ったのかを考察する本。 女性の下着のズロースが普及した経緯についてはたくさんの記録があるが、男性のふんどしに関しては文章の記録が少ないそうだ。それで井上は、雑誌などの写真やイラストを大量に集めて分析している。 面白いのは、ふんどし姿が正装であったということだ。江戸時代から、下働きの男はふんどしだけで尻を丸出しにしているのが正装だった。だから幕府がヨーロッパの視察に送り出したときも、主人…

  • <叱る依存>がとまらない

    村中直人 紀伊國屋書店 2022.2.17読書日:2022.9.9 叱らずにはいられないというのは依存症の一種で、病気であるから、<叱る>を手放さなければいけないと主張する本。 わしは人を叱るということが理解できない。めったに叱ることはないし、そもそも叱って何かが解決するという発想が理解できない。最近入社してきた新人と話していると、驚くほど成熟していて、この人達を自分が叱ることができるだろうかという気すらしてくる。そういうわけで、年齢が上とか、経験をたくさんしているということが偉いとはとても思えない。 依存症という限りは脳の報酬系と関係があるはずだ。著者の村中さんによれば、叱ると気持ちよくなっ…

  • 不条理な会社人生から自由になる方法 まだ間に合う! 働き方2.0 vs 4.0

    橘玲 PHP文庫 2022.4.1 (2019年に発売された本の文庫化)読書日:2022.9.8 日本社会の実体は前近代的な身分制社会で、イエ単位の戸籍制度、正社員と非正規社員の身分差別、ジェンダー差別などがあるが、今後はこのような差別的な身分制度は解体され、その先には日本はフリーエージェント社会になると主張する本。 日本には日本独特の身分制度が生きていて、例えばそれは日本独特の戸籍制度だったり、終身雇用+年功序列+定年退社の正社員のサラリーマンという身分だったりするのだが、このような日本独特の制度はいつの日かグローバルスタンダードに対応するために解体される運命にあるという。(この辺の日本固有…

  • 魔術師と預言者 2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い

    チャールズ・C・マン 訳・布施由紀子 紀伊國屋書店 2022.3.24読書日:2022.9.6 科学技術を活用して危機を突破しようと主張する魔術師側の科学者と、地球の資源は有限だから人類の活動を抑制することが大切と主張する預言者側の科学者との闘いを描く本。 「お金持ちになるのに大切なのは節約ですか、それとも投資ですか」という質問があったら、きっとお金持ちになった人は、「どっちもやるに決まってるだろう」と答えるんじゃないだろうか。 ところが、科学の世界ではちょっと違うようだ。 今後、人類に訪れる危機には食料、エネルギー、淡水、土、気候変動などがある。これらの危機の対処方法について、科学技術で突破…

  • 映画の正体 続編の法則

    押井守 立東舎 2022.7.15読書日:2022.8.31 押井守が続編という縛りの中で映画について話す本。 押井守は独自の映画論を持っていて、それは自分の個人的な欲望を満たしつつ監督としてサバイバルする、という視点から得られたものなので、なかなか含蓄が深い。国際的にもよく知られていて、外国にも友人がたくさんいるから、映画産業の裏事情も国際的な観点で理解している。 これだけの人であるから、持っている映画の知識をいろんな角度で何度でも語り直すことができるという稀有な才能の持ち主だ。大変失礼ながら、本人の映画よりも映画について語ってくれたほうが面白いくらいである。 しかし、続編という縛りはなかな…

  • のんのんばあとオレ

    水木しげる 筑摩書房 1977.10.25読書日:2022.8.30 漫画家水木しげるが境港での少年時代を振り返った自伝。 最近、NKHで水木しげる関連の番組が多く出ていて(日曜美術館やブラタモリなど。偶然? それともなにか意図があるのか?)、そういえばこの本を読んでなかったなあ、と思って手にとった次第。 のんのんばあと妖怪の話も出てくるが、その内容は意外に少ない。ほとんどはなにかに熱中する話である。水木しげるはなにか気になることがあるととことんそれに時間を費やすという性癖があるらしく、たとえば紙相撲に熱中すると、序の口から横綱まですべての力士を実物どおりに手作りし、すべての場所を再現するので…

  • 土を育てる 土を蘇らせる土壌革命

    ゲイブ・ブラウン 訳・服部雄一郎 NHK出版 2022.5.30読書日:2022.8.28 現代の農業では土壌が痩せていくばかりなので、農業をしないときも複数の種類のカバークロックを播いて土を覆うようにするとともに、不耕起により土のなかの生態系を壊さないようにすることで表土の流出を防ぎつつ土の炭素その他の栄養素を何倍にもでき、なにより耕運機の作業や化学肥料も必要なくなることで大幅なコストカットができるので利益が増え、作業も減ることで自由な時間も増えて、持続可能な農業ができると主張する本。 わしはこの手の本が好きで、本書にも出てくる福岡正信の「自然農法 わら一本の革命」も読んだことがある。福岡さ…

  • 裏道を行け ディストピア世界をHACK(ハック)する

    橘玲 講談社新書 2021.12.20読書日:2022.8.25 世界をハックできたものが成功し富を獲得するが、世界の方も人をハックしようとしていて、ハックされたくないという人は経済的独立を得つつ、物を所有しないミニマリストとして生きるのが主流になると主張する本。 橘玲という人は2毛作、3毛作が上手い人だなあ、と感心します。あちこちで自分がすでに取り上げた話題を、別の視点で切り取り直して新作として出しちやう。しかも、もともと多作の人なのに、コロナのせいで旅行に行けずに暇なせいか、出版ペースが早まっている気がします。毎月なにかの本を出版してるんじゃないだろうか。著作権という無形資産がますます膨ら…

  • ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる

    ジム・コリンズ ビル・ラジアー 訳・土方奈美 日経BP 2021.8.23読書日:2022.8.23 偉大な企業を作ることにこだわるビジョナリーシリーズのジム・コリンズが、かつて自分が書いたスタートアップについての本をリニューアルしたもので、偉大な企業を作るには何よりもまず人であることを強調した本。 この本は珍しい作りになっていて、リニューアル前のオリジナルのところと新しく加えたところが明確に分かるようになっている。そしてリニューアルで追加された部分は人に関するものが多いようだ。 それは企業が大きくなってから行う社員教育の話ではない。そもそも起業した時点が大切だというのだ。どういうことかという…

  • 世界最高の雑談力

    岡本純子 東洋経済新報社 2022.7.7読書日:2022.8.20 雑談力とは聞く力と質問力であり、自分のことを話すことではないと主張する本。 著者によれば人は自分のことを話したがるものだという。というわけで、雑談をするということは、相手の言うことを聞き、話が繋がり深まるように適切に質問を繰り返し、時々自分のことを(相手の興味の範囲だけ)少しだけ混ぜるようにすれば無限に会話を続けることができるのだという。話し上手は聞き上手というが、この本はそれを実践せよと言っているわけだ。 わしは自分のことを話すのが面倒くさいので、なにか雑談をしなくてはいけないということになると、たいていそういう会話をする…

  • デジタル・ファシズム 日本の資産と主権が消える

    堤未果 NHK出版新書 2021.8.30読書日:2022.8.19 日本の大切なデジタル情報資産が外国に無償で提供され、このままいけば国家主権さえも外国のものになってしまうと主張する本。 わしはテクノロジーOKの人間であるから、GAFAMが邪悪だという議論にはあまり興味はないが、しかし少なくとも日本人のデータは日本のサーバーに保存すべきだと思うし、日本人のデータを使って得た利益は日本に納税すべきだと思う。最低これさえしてくれれば、あまりうるさいことは言わなくてもいいのではないかと思っている。 しかしこの本によれば、米国企業は日本にサーバーを置かなくてもいいことになっているんだそうだ。2020…

  • 成しとげる力

    永守重信 サンマーク出版 2021.11.25読書日:2022.8.17 日本電産創業者の永守重信が自身の経営に対する信念を述べた本。 永守重信の本は何年かごと、最近では毎年のように出版されていて、これまで何冊か読んだことがあるが、ほぼどれも同じである(笑)。 曰く、子供の頃は貧乏、創業して3人の従業員しかいなかったころから1兆円企業になると公言、もっとも良い採用方法は早食いであり学歴は関係ない、一番以外は全部ビリ、買収した企業の首切りはしない、「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」を徹底、などである。これに最近の話題を適宜組み合わせると新刊の完成である。最近の話題は大学の運営とか、EVの話だ…

  • 日本の労働生産性向上率はG7で最高? グレート・ナラティブに書いてあった興味深いこと

    グレート・ナラティブのなかに興味深いことが書いてあった。 人口減少と成長率0の絶望的なケースのはずの日本で、生産性が伸びているというのだ(p43)。それによると、2007年以降のG7の中で、生産人口一人あたりのGDPはどの国よりも伸び率が大きいという。 この話を読んでびっくりした。なにしろ日本は生産性が低いことで有名で、野口悠紀雄なんかは、日銀の金融政策は間違いで生産性を上げることが大切、と口を酸っぱくして言っている。絶望的だと思ってたのに、実際には生産性は激しく上昇しているというのだ。あれま。 実際のところどうなんだろうか。 総務省の統計資料によれば、労働生産性の絶対値は低いものの、就業者1…

  • グレート・ナラティブ 「グレート・リセット」後の物語

    クラウス・シュワブ ティエリ・マルレ 訳・北川蒼 日経ナショナルジオグラフィック 2022.7.4読書日:2022.8.13 ダボス会議で有名な世界経済フォーラムの創設者のクラウス・シュワブが、アフターコロナ後の世界で世界を動かすであろうナラティブを語った本。 クラウス・シュワブによれば、コロナのパンデミックで世界は後戻りできないリセット状態になったという。(この前の本で語られているらしいけど読んでいません)。アフターコロナの世界はどのようになるのか。それを導くのは、専門家の小難しい理論ではなく、物語(ナラティブ)が重要なのだという。人は物語に従って価値観を決めていくからだ。したがって、シュワ…

  • いずれすべては海に中に

    サラ・ピンスカー 訳・市田泉 竹書房文庫 2022.6.7読書日:2022.8.12 音楽と不思議な言葉の結びつきから生まれる詩情あふれるフィリップ・K・ディック賞受賞のSF短編集。 サラ・ピンスカーはシンガー・ソングライターでもあり、いままで4枚のCDをリリースしているんだそうだ。そういうわけで、音楽家を主人公にした物語が2つ入っているが、これらはどちらも気持ちが入った中編作品になっている。 しかしながら、ソングライターとしてのピンスカーは、どうやら詩人としての才能も発揮しているらしく、わしにとってはこっちのほうが面白かった。なにしろわしは音楽家ではまったくないからね。 詩人というのは、言葉…

  • ミュージカルの歴史 なぜ突然歌い出すのか

    宮本直美 中公新書 2022.6.25読書日:2022.8.11 ミュージカルは普通のお芝居と違って物語に歌やダンスが入っており、そうするとお芝居をしていて役者が突然歌い出すという不思議な光景を見ることになるが、それはなぜかという謎に、ミュージカルが成立する歴史を振り返りながら迫るという本。 結論を言うと、ミュージカルはもともと歌やダンスのショーがあって、そこに物語が付くという形で成立したので、こういうショーだと当然、歌手が舞台に現れてすぐに歌い出すわけだから、突然歌い出すのは別段普通であった、ということである。以上、おしまい(笑)。 まあ、現代のミュージカルなら、アバの歌を集めた「マンマ・ミ…

  • 生命知能と人工知能 AI時代の脳の使い方・育て方

    高橋宏知 講談社 2022.1.12読書日:2022.8.5 機械系エンジニアである著者が、エンジニアの立場から脳の研究を行い、生命の知能はダーウィンの進化論をもとにした試行錯誤を伴う自律化の知能であり、一方、人工知能は試行錯誤のない自動化の知能であると主張し、両者は補い合うことができると述べる本。 本書は学部生を相手にした講義や講演をもとにしたものであり、学生を相手にしているものだからとてもわかりやすい。前も言ったかもしれないが、エンジニアの書いたものはたいていわかりやすく、明解なことが多い。 本書では基礎的な知識から意識についての議論まであるが、著者自身の実験を紹介している部分が一番面白い…

  • 韓国民主政治の自壊

    鈴置高史 新潮社 2022.6.17読書日:2022.7.30 韓国の民主主義は大統領が司法を押さえてベネズエラ的な独裁的な方向に進んでおり、自壊していっていると主張する本。 高名な韓国観察者である鈴置高史さんの最新刊ですが、なんか韓国はもういいかな、って気がするんですよね。隣の国だから無視はできないけど、政治的には無視して見たくない、みたいな。 韓国の経済もこれだけ大きくなると、もうちょっとやそっとでは瓦解しないでしょうし、(まあ、可能性はないではないですが)、じわじわと弱くなるぐらいかなと。不動産バブルがはじけて、苦しむかもしれないけど、むちゃくちゃ国が貧乏になるようには見えないな。 ムン…

  • となりの億り人 サラリーマンでも「資産1億円」

    大江英樹 朝日新書 2021.12.30読書日:2022.7.30 金融資産1億円の億り人というのは目立たず地味な人が多く、しかし意外にその数は多く、100人のうち2、3人いて、まさしくとなりのひとがそうであってもまったく不思議ではないとして、普通の人でも億り人になることは可能と主張する本。 この手の本を読む年代って何歳ぐらいなのかなあ、という気がしますね。というのは、これが20代ならいいけど、50代なら書いてあることを実践するのは無理でしょ? だって、時間をかけた長期投資になるんだからねえ。 というわけで、最後のQ&Aにも、「50歳ですが今からでも億り人になれますか」という質問があって、著者…

  • 不自然な死因 イギリス法医学者が見てきた死と人生

    Dr.リチャード・シェパード 訳・長澤あかね 解説・養老孟司 大和書房 2022.4.20読書日:2022.7.29 子供の頃に法医学の教科書に心を奪われて法病理学者になることを決意した著者が、イギリスの法医学の変遷から自身が関わった正しい拘束に関する社会運動、育った家族と自分が作った家族、そして2万件の死体解剖の結果陥ったPTSDなどについて語った自伝。 ここで書かれている著者の自伝は、特に内容が華々しいというわけでもなく、どちらかと言うと淡々としたものだ。著者は仕事が好きで、知的好奇心にあふれているから、ちょっと変わった事件に遭遇するとわくわくしたりする。悲惨な事件、乱射事件とか大量に死者…

  • わたしの好きな季語

    川上弘美 NHK出版 2020.11.20読書日:2022.7.20 俳句もたしなむ小説家の川上弘美が自分の好きな季語をネタにしたコラム集。「すてきにハンドメイド」という婦人誌に連載したもの。 小説をほとんど読まないから川上弘美もこれが初めての本。ちなみに小泉今日子の映画「センセイの鞄」は観たことがある。 川上弘美は俳句が好きだったわけではなくて歳時記が好きだったんだそうだ。子供の頃から面白い言葉を集めるのが趣味だったそうで、歳時記を見つけたときは面白い言葉の宝庫だと思ったそうだ。 そうなんだ。やっぱり文学者ってこんなふうに言葉に敏感なんだね。わしは言葉の収集をしようなんて思ったことがないなあ…

  • 世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論

    カルロ・ロヴェッリ 訳・富永星 NHK出版 2021.10.30読書日:2022.7.18 イタリアのループ量子力学の研究者、カルロ・ロヴェッリが量子力学の本質について述べた本。 カルロ・ロヴェッリの「時間は存在しない」はわしに大変感銘を与えた。というわけで、この本も手に取ったわけだが、この本では量子力学の本質について彼がどのように考えているかということを述べている。その問題とはすなわち「観測問題」であり、「量子もつれ」である。量子力学についてこれ以上の大問題はあるだろうか。 というわけで、この本を読んだのだが、わしはロヴェッリの言うことが正しいと思ったが、うまく説明できる自信がない。それに一…

  • 脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論

    ジェフ・ホーキンス 訳・太田直子 早川書房 2022.4.25読書日:2022.7.10 脳の知能がどのように実現しているのか、その原理を発見したと確信する著者がその原理を説明するとともに、汎用AIの実現性と、AIはさほど恐れるほどのものではないという楽観的な意見を述べる本。 ジェフ・ホーキンスはパーム・コンピューターの創業者のひとりで、携帯端末パームの開発者として有名だ。もともと脳の研究がしたかったのに大学では自由な研究の場を見つけることができず、まずパームを開発して大金を稼いで、そのお金で自分の研究所を設立したという人だ。 お金を稼いでから、自由な研究をするというにはいいね。FIRE(経済…

  • 正義の教室 善く生きるための哲学入門

    飲茶 ダイヤモンド社 2019.6.19読書日:2022.7.6 小説仕立てで、正義とはなにか、善い人生とはなにかについて哲学の全体像を語ってくれる本。 うーん、これはとてもわかりやすい。どんな哲学の本を読むよりも、この本を読む方が哲学の全体像を把握できるんじゃないだろうか。なにしろ正義、善く生きることというのはすべての哲学に関係してくることなんだから。例えばこの本はギリシャ哲学からポスト構造主義まで、すべての哲学の立場を「絶対主義vs相対主義」の立場で一気に説明してくれる(第7章)。非常にありがたい限り。 わしはじつは実存主義について、その意味がいまいちよくわからなかったのだが、この本を読ん…

  • 中国経済の謎 なぜバブルは弾けないのか?

    トーマス・オーリック 訳・藤原朝子 ダイヤモンド社 2022.3.29読書日:2022.7.5 何度も崩壊すると言われながら中国経済が崩壊しなかったのは、中国共産党が過去の世界経済を反面教師とした柔軟で独創的とも言える対応をしたことだったとし、一方、今後もその独創性で苦境を切り抜けられるか不明と主張する本。 この本では中国経済が鄧小平の開放政策以降、困難に陥るたびに中国共産党が取ってきた手法を振り返っているが、ここでは2015年の上海市場崩壊への対応を中心に見ていきたい。そこがわしが一番わからなかったところだから。 2015年6月12日、上海総合指数は5166ポイントと史上最高値を更新した。し…

  • スモールビジネスの教科書

    武田所長 実業之日本社 2022.4.7読書日:2022.7.1 新しいビジネスモデルを作るのではなく、すでにあるビジネスモデルで、大企業が相手にしていないセグメントの顧客に特化したビジネスを行うことで数百万〜100億円程度の成功率の高いビジネスができると主張する本。 起業をする気がまったくないのに、起業の本を読むのが好きなヘタレイヤンです。たいへん恐縮です。 しかし、起業の本を読んでいくと、いろんな立場のいろんな規模の起業の本があり、それこそ月数万円の副業レベルから、日本を飛び出して世界を目指すような起業まで、いろいろです。わしが読んだ本の中には普通の株式投資すらも起業に含んでいるようなもの…

  • 円安、賛成!! クローズアップ現代「バーゲン・ジャパン」を見て考えたこと

    先週の7月26日(火)〜27日(水)放送のNHK総合、クローズアップ現代で、日本がお買い得になったという「バーゲン・ジャパン(1)、(2)」が放送された。(1)では不動産がお買い得、(2)では労働力がお買い得、という内容だった。 世間では日本がここまで安くなってしまったという嘆き節が聞こえるが、わしはこれを見て、日本経済復活を確信しました。実に素晴らしい。 順番に見ていこう。 (1)の不動産では、外国人が日本の不動産を買いまくっているという話だ。外国から見ると日本の不動産はとても安くお買い得に見えるらしい。東京だけではなく、ニセコの話が大きく取り上げられていた。でも何が問題なのかよくわからない…

  • 引力の欠落

    上田岳弘 角川書店 2022.3.29読書日:2022.7.3 (ネタバレ注意) これまで3社の上場に成功し一生困らないだけのお金も貯めた上場請負人の会計士、行先馨(ゆきさきかおる)が、人間からはみ出した存在UEH(未確認生存人間、なんか霊的な存在)の集団の一員の候補に選ばれ、そのグループのメンバーとポーカーで面接を受ける話。 わしは前から言っているように、依存症、とくにギャンブル依存症に興味がある。この本の書評を読んだときに、主人公が「スタートアップの上場請負人で成功したが、心に空虚さを抱えてギャンブルをする女性CFO」ということで、投資趣味とギャンブル依存症の両方が入っているのか、と思って…

  • 人は2000連休を与えられるとどうなるのか?

    上田啓太 河出書房新社 2022.4.30読書日:2022.6.30 仕事を辞めて、友人宅の物置に転がり込んだまま、2000日をそこで過ごした著者が、そこで自分がやったことや至った心境などについて語った本。 著者の上田さんは大学三年のときに今後の進路を悩んだ末に、大学院に行くことも考えたが、幼馴染の友人たちと芸人活動を始め、芽が出ないまま解散して、バイト先も辞めて、知り合いの女性に2ヶ月居候させてくれといい、そのまま6年間居続けたという人物だ。ただし、その杉松という女性との間に恋愛関係はない。なので、3ヶ月目からは家賃を半分納めるように言われ、毎月3万円支払っている。 収入の方は、雑誌のコラム…

  • ヘタレイヤン コロナ陽性者に

    コロナの第7波、BA.5が猛威を振るっていますね。 2022年7月23日、全国で初めてコロナの新規感染者が20万人を突破したという記念の日に、わしもその中に名を連ねました。ヘタレイヤン、めでたく陽性です。 実際に発症したのは21日だったのですが、2日後の23日になったのは、激増する感染者の波にもまれ発熱外来の予約がまったくとれず、この日にやっと診察してもらえたからです。(わしの自治体では電話予約しないで発熱外来へ直接行くことは禁止)。この経験から言えることは、きっと診察してもらえず新規感染者の数に入っていない発症者がたくさんいるんだろうな、ということです。 自治体の対応ですが、感染者の圧倒的な…

  • 原郷の森

    横尾忠則 文藝春秋 2022.3.25読書日:2022.6.30 画家の横尾忠則が死者の集う「原郷の森」にアブダクト(拉致)され、そこで過去の画家、文学者など歴史上の彼が話したい人と自由に議論した内容を記録した本。 横尾忠則のことはあまり良く知らないが、わしはときどきNHKの日曜美術館を見ることがあって、かなり前だが、そこに横尾忠則が出てきたことがあった。彼はY字路の膨大な量の連作を描いているところだった。そのあまりの量に、よく飽きないなあ、と感心したものである。そういうわけで、横尾忠則のわしの印象は、過剰、あまりに過剰、というものである。 この本も内容は過剰だ。500ページに渡って、似たよう…

  • 実在とはなにか 量子力学に残された究極の問い

    アダム・ベッカー 訳・吉田三知世 筑摩書房 2021.8.30読書日:2022.6.24 量子力学の観測問題と量子もつれに関するこれまでの進展と現状を報告し、物理学における実在について考察した本。 わしは学校で新しいことを習うと、さっそく躓くという経験をする人間のようで、物理学を習い始めた時にはニュートンの第2法則が分からず悩んだし(こちら)、実は小学校1年生のときには足し算すら分からなくなったことをここに告白しておいた(こちら)。 そんなわしのことだから、大学で量子力学を習ったときに、すぐにわけがわからなくなったことは当然である(自慢ではないが)。つまり、確率波の収縮とか、観測問題とか、量子…

  • ネイビーシールズ 特殊作戦に捧げた人生

    ウィリアム・H・マクレイヴン 訳・伏見威蕃 早川書房 2021.10.25読書日:2022.6.20 (ネタバレあり。注意) アメリカ軍の特殊作戦部隊のトップに上りつめたマクレイヴンが、自分の人生に起きたトピックスを振り返る本。 マクレイヴンはネイビーシールズ出身だが、最終的にはあらゆる特殊作戦の指揮をするようになるので、ここ20年ぐらいのアメリカ軍の特殊作戦のほとんどを指揮している。そのピークはパキスタンに潜んでいたアルカイダのビン・ラーディンの屋敷を急襲して殺害した作戦だろう。それ以外にもイラクのフセイン元大統領を捕獲した作戦や、映画にもなったソマリアの海賊に人質になった船長を救出する作戦…

  • 中国キングソフトがWPS Officeで書いた私的文書を無断検閲

    今日(2022.7.16)、なんとなくスマホでニュースを見ていたら、とんでもないニュースが飛び込んできて目を疑いました。 表題の通り、中国キングソフトが出してるなんちゃってMS Officeという位置づけのWPS Officeですが、なんとNGワードが含まれているとアクセスできなくなるようにしているというのです。 「中国ネット検閲「個人文書」にも、頭の中も監視か」https://jp.wsj.com/articles/a-frozen-document-in-china-unleashes-a-furor-over-privacy-11657905185(ウォール・ストリート・ジャーナルと契約…

  • BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル全真相

    ジョン・キャリールー 訳・関美和、櫻井祐子 集英社 2021.2.28読書日:2022.6.16 スティーブ・ジョブズを崇めるセラノス創業者、エリザベス・ホームズが、現実歪曲フィールドに関してだけはジョブズを越えたことを報告する本。 エリザベス・ホームズとその会社セラノスに関しては現在どうなったかはよく知られている。セラノスは解散し、エリザベス・ホームズは詐欺で告発され裁判中である。そういうわけで、この本は犯人が分かっているミステリーのように、いかに詐欺が行われ、どうして長年ばれなかったのか、という点が最大の関心事なのだ。 なにしろセラノスの創業は2003年である。そしてウォール・ストリート・…

  • 起業のすすめ さよならサラリーマン

    佐々木紀彦(PIVOT創業者) 文藝春秋 2021.10.30読書日:2022.6.12 東洋経済オンライン編集長をしていた著者が、批評する立場から自ら起業する身となり、まるで自分を鼓舞するために書いているような、読者にも起業をすすめる本。 まあ、くどいですが、わしは起業する意思がありません。でもなぜかこうして起業に関する本をよく読みます。もしも起業することになっても、きっとそれはなにかの成り行きで、自分から求めてのことではないでしょう。 さて、起業といっても、佐々木氏は本物の起業だけではなく、働くすべての人が自らリーダーシップをとって新しいことに挑戦することすべてを起業としたい、みたいなこと…

  • 長生き地獄 資産尽き、狂ったマネープランへの処方箋

    森永卓郎 角川新書 2022.1.10読書日:2022.06.10 年金財政の破綻で将来は1ヶ月13万円の年金しかもらえないと主張し、その中で生活していくためにはトカイナカ生活(都会+田舎、都会の近くの田舎)がもっとも良いと主張する本。 森永卓郎さんは経済学者としてはたぶん本物ではないと思うが、将来に対する危機意識は大変なもので、生活感あふれる説明は説得力がある。 その森永さんは、2050年には年金は月に13万円にまで減るという予測をしている。その計算方法は、しごく簡単なもので、人口統計から2050年には1.32人で一人を支えるので、現在の2.05人から42%給付が減少するというものだ。という…

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