ある日の夜、主人と奥さんが何かひそひそ話をしているのが聞こえた。 吾輩は、今日も暇を持て余していたので、いつものように2人の会話を盗み聞きすることにした。 すると、2人の会話が終わったようで、主人が吾輩のいる水槽に近づき、いきなりこう言ったのである。 主人:おい、カメ子。良い知らせがあるぞ! 奥さんの都合次第だが、明日、お前達を花見に連れて行くことになった。 吾輩はそれを聞き、「なにっ!花見だと!」とびっくり仰天し、これはまさに、青天の霹靂(へいれき)だと思った。 コロナウイルスが流行って以降「花見」が全く出来なかったので、吾輩は「花見」という言葉をすっかり忘れてしまっていた。なんと懐かしい言…