土蜘蛛蜘蛛の糸は天井からのものであるがまったく見えなかった。毒雲が一匹まっすぐ机の上の今開いているノートに落ちてきたがまったくわたしを気にすることもなくい...
文学小説 創作の部屋 小説と詩を書いています。 元大阪文学学校 チューター 参加同人誌は、詩的現代 時刻表 メランジュ
詩・小説・評論 創作について語り合いましょう
土蜘蛛蜘蛛の糸は天井からのものであるがまったく見えなかった。毒雲が一匹まっすぐ机の上の今開いているノートに落ちてきたがまったくわたしを気にすることもなくい...
エズラ・パウンド 二十世紀のオデッセイア (マイケル・レック著)を読む
エズラ・パウンド (勉強会レジュメ)二十世紀のオデッセイア マイケル・レック著 を読む。 その人生は1885年10月30日にアメリカ合衆国西部のアイダホ州...
青銅の魔人 「モリヤだ。みなさい。次代の王はこの谷を石と土で埋め、ここからあそこまで丘と丘の間をならして道をつけダビデの町に主が住めるようにするのだ」彼(...
推論カフカの審判の世界 日本語に翻訳されたカフカの「審判」は原文のドイツ語のタイトルでは「Der Process」で「訴訟」を意味するが「手順」「手続」「...
フランツ・カフカの『城』を測量士Kが主人公の小説として読むと不可解でおもしろいが、作家カフカの本業である保険調査士が書いた読物として読むと小説の味わいが随...
ヘルベルト詩集を読む 翻訳は詩であるとはすでに言われていることであるが、付け加えるなら詩の翻訳は詩人にしかできないともいえる。この二つの意味ではヘルベル...
水源 高木敏克昔の林田区池田村惣谷は谷であるかぎり川はながれていて川海老や冬菇の類が川底の砂にはりついていて水は豚飼...
水脈調査員 風鈴が光を砕いて風を通している午後調査員に追われて帰ったわたしは縁側で死んだふりをして眠ることにした タイミングを計る調査員は吃音うちわがはた...
月も震える夜 人通りのない坂道を僕はゆっくりと登っていった。暗闇の中から家々の窓を見上げると、光に閉じ込められた幸福な家庭の姿があちこちに浮かんでいて何...
水脈 夜の坂道には様々な影法師が張り付いていた。だが、ぼくが近づくとそれは起き上がって歩き出すのだった。坂道はうねっていて、何度も何度も起き上がる影法師...
世界の構造 自転車乗りに振り落とされた間抜けな影法師がとぼとぼと歩いてぼくに近付いてきた。ぼくが気味悪がって足を竦ませている隙にそいつは何とも悔しそうな...
トンネルの門番 過去を売ったら楽になるはずの心が、過去の中にどんどんと落ちて行く。これはどうしてだろう。過去を売ってからと言うもの、逆に過去が生きてくる...
波止場から 海辺の喫茶店でぼくは人を待つような顔をして読み掛けの文庫本を三十分読んだ。それから空き地に置いてきた車のところに一旦戻った。空き地には夕日が...
風の曲がり角 道の両側は煉瓦塀の壁が高く長く続いていた。煉瓦色に挟まれた青空は限りなく遠くまで輝いていた。そのあっけらかんとした明るさにも関わらず、そこ...
銀の海 ドアの外には誰もいなかった。風のいたずらなのか、猫のいたずらなのか分からなかった。あるいは、誰かが覗いていたのかもしれなかった。いずれにせよ逃...
臨海列車 あんなに静かな海岸を列車が走るなんて想像できるだろうか?実際この目で見た後でもそれが現実だとは思えない。まるで記憶さえも空想のように思えてくる...
西部黄土地帯 岬のある峰は半島に延び、半島の西側には小さな丘が小島のように点在していた。それが西部黄土地帯だ。ぼくはこの乾燥した大地から蛇のように生まれ...
卒業単位 年末になると、いろんなことを思いだす。龍にとってもそれは同じで、思い出は悪夢になって蘇る。どうしても受講を忘れてしまう卒業単位が夢に残る。龍はそ...
地質調査員 風鈴が光を砕いて風を通している午後地質調査員に追われて帰ったわたしは縁側で死んだふりをして眠ることにした タイミングを計る調査員は吃音うちわが...
幽霊作家 その日曜日、朝から僕の膝が痛んでいた。半月板の当たりの軟骨がすり減っているのだと思った。それは単なる想像かもしれないが、練習しすぎると軟骨が擦...
切り通しを過ぎてしばらく歩くと、その先の白い坂の上はちょっとした町になっていた。空の白い雲の闇端を少し切りとってできたような小さな町だ。建物はどれも白い...
P工場に行け 「P工場に行ってくれ」と支店長代理は僕に言った。「それは何処にあるんですか?」と僕は聞いた。「そんなこと調べたら分かるだろ、調べたら」と彼は...
ついたあだ名は闇モグラだ。夜になると起き出して重苦しい土のような暗闇の中を誰にも見られないように移動する。あちこちに小さな汚れた住処を持ち、毎日のように...
孤島では しらされた島のさらに沖に孤島がありほんとうの名前は知らされない孤島では万歩計が先に歩き旅人はそれについて走る バスの中...
1.「オデュッセイア」の黙示録 ――――永遠の神話から死すべき人間の叙事詩を辿り、来るべき未了の小説の海へ!―――― ギリシャ神話は呉茂一の名著「ギリシャ...
海岸線 灰色の輪廻地区ではロードレーサーの紫色のウェア―は浮き上がって見えるはずだ。自転車を道路に持ち出した僕は滑るように国道までの坂道を降っていった...
R・シン 銀色の並木道を山に向かって登り、広場のある丘が見える当たりで横に入ると、輪廻地区はすぐに現れた。ネオンサインのないこの街は、電柱にぶら下...
岬ホテル 岬の先端は小島になって切れていて、無人の小さな灯台が沖に光線を放っていた。それは航...
無花果 この町では光がどこまでも染み込んでいるように見えた。大地までも光を含んで赤く見えた。夕方になると山脈が影を落とした。すると物陰には闇の換わりに藤...
月光髙木敏克 ...
四人の座席 四人掛けのコンパートメントに龍(りゅう)と窓辺の百合(ゆり)が前向きに並んで座リ、彼女の向かいに歩人(あゆと)が座っていた。龍は通路側の席から...
死者の恋 眠りかけた龍はふと記憶をさかのぼってみたのだが目が覚めた。はたして百合と付き合いはじめたのはいつからだったか、思いだそうとした。という...
波止場から 海辺の喫茶店で僕は人を待つような顔をして読み掛けの文庫本を三十分読んだ。それから空き地に置いてきた車のところに一旦戻った。空き地には夕日が当...
桃色の事務所 真っ青な空に白い鳥が絡まり、ガラスの破片が降ってきた。海鳥が一羽、事務所の中に飛び込み、真っ赤な鳥の血が書類の上に飛び散った。ギラギラと音...
「箱工場というからには、てっきり箱を作る工場だと思っていましたが違うのですか?」「いや、そこがわからないんだよ。そこを調査するのが営業部の仕事なんだよ...
管理人は常に物影から現れて目の前を斜めに通り過ぎてゆく そして静かに尾行してくるのだ
管理人は常に物影から現れて目の前を斜めに通り過ぎてゆく そして静かに尾行してくるのだ天井からぶらさがってクモのように行手をふさぎ長い手足をつかいあっちこっ...
カルメンはリニューアル中です。フラメンコ・ステージが山側に、大型のバー・カウンタンターが右手に新設されます。これまで以上にスペインに特化した品格を目指すよ...
古代ギリシャの暗黒時代 キュクラデス博物館長のニコラス・Chr.スタンポリディス(Professor Nicolas Chr Stampolidis)教授...
フォークナーの小説「アブサロム、アブサロム」を読んでいると、この小説は夢を見ていると同時に夢に見られている気分にさせる。それは何故か?一人称でもなく三人称...
ドストエフスキイの「永遠の夫」の解読高木敏克 はじめに 「永遠の夫」は1870年に「悪霊」とともに起稿されているが(レーニンが生まれた年)、処女作「貧...
ドストエフスキイの「永遠の夫」の解明「永遠の夫」のあらすじと同じく章で区切っています。重ねて読んでください。高木敏克1. なぜこの小...
ドストエフスキーの「永遠の夫」のあらすじ 1. ヴェリチャー二ノフ p.5彼はペテルブルグで前後の見境もなく娘に子供を産ませてしまい...
『白痴』の登場人物 レフ・ニコラエヴィチ・ムイシュキン (ムイシュキン公爵)主人公。ムイシュキン家の末裔。ブロンドで真っ白な顎ひげをはやしている。てんかん...
ドストエフスキイ「地下室の手記」第二幕「ぼた雪にちなんで」 「地下室の手記」は大きく二部に分かれていて第一部「地下室」第二部「ぼた雪にちなんで」となってい...
ドストエフスキイの「地下室のネズミとAIの関係」 ドストエフスキイにおいては勧善懲悪の考えは完全に消えている。性善説を唱える人は果たして善人なのか、性悪説...
「地下生活者の手記」を読む。「永遠の夫」は1870年に「悪霊」とともに起稿されているが(レーニンが生まれた年)、処女作「貧しき人々」(1846年作)「死...
埴谷雄高のドストエフスキイ 詩人にして小説家である埴谷雄高は私の師匠ともいえる航空母艦のような存在です。彼は「ドストエフスキイと私」という論文の最後に次の...
「貧しき人々」を読むとドストエフスキーが蘇りつつあるような現代が読めてきます。人はみずからすすんで貧乏になろうとしているのだろうかと思えてくる。貧困を熟知...
ドストエフスキーの「永遠の夫」新潮文庫〇千種堅訳を読む。わたしの解釈はこれまでの一般的な解釈と異なります。この小説を既読のかたも未読の方もこういう解釈はさ...
観音山である。朝からここで本を読んでいた。鶯の鳴き声とギターの音色しかない。iPhoneの電池も切れたのでまばらな桜の木を仰ぎながら池田小学校の裏門に降り...
神戸の湊川というのは川ではあるが歴史を語る名前でもあり、風が吹くと様々な合戦の物語が琵琶の音と共に聞こえてくる空耳の川。今はもう歴史上の川は埋められて新開...
六甲 耳鳴りのする高度でヒルクライマーたちが蝶々を追っている雷雲が追ってくる山肌を包むように 包囲しようとして包囲されていたのだたしかに山は鳴っている 解...
建物の一階は大きな駐車場になっていた。だが車は見あたらず、灰色の空洞が何処までも続いているように見えた。我々はすっかり影に包まれている気分になった。ひんや...
灰色の海からは無数の光の針が首を出し、何かの恨みでもはらすかのように踊り回っていた。雲が空を覆っていた。風の中で耳は鳴り続けていた。光は風に吹き飛ばされ...
東淡路島の由良港から南淡路の吹き上げ浜に抜ける猿ガ峡には猿が出るそうだ。吹き上げ浜には絶えず潮が吹き上げて、慣れないドライバーには危険だといわれていた。あ...
メイカップをする君は、実は世界を塗り替えようとしている。鏡の中を明るいパステルで塗っているのは、真っ暗な瞳孔の中から世界を塗り尽くそうとするもう一人の君だ...
暗室の天窓から見える風景 ゆるやかな風は海岸線を白く消しさるように吹いた。カラフルなロードレーサーの一列が消えかけた海岸線を引きなおすように走...
薄暮が迫ってくると遠くに光が点り始める。小さな光が命の在りか示すのだが、岬の闇がまっすぐ伸びて島につながっていた。見るかぎり先端は島なのか岬なのかわからな...
ライダー 高橋は蛇の木峠のトンネルを出たところで右目の端に黒い石積みのダムを見つけたところで目が眩み、ハンドルを切り損ねて車体をバウンドさせて横転し、バイ...
闇族 ドライブウェイを登ってくる時には確かに見えていたのに、下るときには見えなくなる石積みのダムがある。その昔、そこには山間の部族がひっそりと暮らしていた...
恐るべき子供たちは恐るべき詩人たちでもある。子供たちの純粋を象徴するかのある雪の日、死の国からの合図が白い雪球となって、ポールの胸元に届けられる。それを投...
随分と連絡が遅くなりましたが、半どんの会文化賞を受賞いたしました。これを機会に更なる努力を積み重ね、生涯の仕事を完成させます。みなさまありがとうございます。
昨日は関西大学総合情報学部出身の虎本剛さんの劇団:ステージタイガーの家庭劇「ひまわり」を観劇しました。団員は日本写真映像専門学校の学生卒業生を中心とするようだ。
昨日は関西大学総合情報学部出身の虎本剛さんの劇団:ステージタイガーの家庭劇「ひまわり」を観劇しました。団員は日本写真映像専門学校の学生卒業生を中心とするよ...
高橋和巳「憂鬱なる党派」 を読む レジュメ高木敏克 「憂鬱なる党派」はVIKING、108号(昭和三十四年八月)に第一章、109号に第二章・1、110号に...
昨夜はペラゴスの会。マイ.オフィスから会合のビルまでの間の古いビルが見ものです。怪しい街を歩いて行きました。この夜の話題は黒田三郎。チューターは詩人橋本和...
風景の割れ目 私はあのダムを見過ごしています。山麓線の下り坂では脇見運転は危険だし、あのダムが私の人生に重要な関係を持ちえる訳もない。だからダウンヒルでは...
サンマロへの道(3) 今という時間がいつまでも続く未来のやってこないノッペラボーの道だった。ようやくたどり着いたホテルは斜面にあった...
《ひょうご詩の講座・第一回》――言葉は〈私〉の先を行くーー講師:時里二郎の講義内容会合は定員をオーバーし、協会員の助人参加もあって大成功でした、講義の展開...
ペラゴス勉強会では9月7日に田村隆一、9月21にエリオットの「荒地」、そして10月5日に辻井喬へと展開した。鮎川信夫・田村隆一らがエリオットの「荒地」に日...
第二十六回中畑中也の会研究集会 第二十六回中畑中也の会研究集会が二〇二三年五月二七日に神戸女子大学教育センターで開催された。講師は近藤洋太氏。演題は「草野...
ギュンターグラスの「ブリキの太鼓」ぺラゴスの読書会でチューター東野氏の話を聞き、それから酔っ払ったままで、その感想を書く。友よ許せ!母体に閉じこもる胎児は...
サンマロへの道2 モンサンミッシェルで宿を取らなかったのは誤りであった。確かにあそこでは宿が取れたはずだ。海に浮かぶ寺院を背にしながら、どうしても振り向く...
サンマロへの道 「久しぶりにお父さんがブルターニュから来るわ。飼っている大兎のお肉も持って来てくれるの」洋子さんからも少しは聞いていたけどドゥニーズお父さ...
ドゥニーズの部屋 水滴が玉になって転がるようなパリジェンヌのフランス語は耳に届くだけではなく胸に響く快さをもっている。ドゥニーズが喋るとそれだけでフランス...
暑中お見舞い申し上げます。先日のアルベール・カミュ「反抗的人間」勉強会では大変お世話になりました皆様。あれからも、カミュが「反抗的人間」を書かざるを得なか...
反抗的人間L‘HOMME REVOLTEbyAlvertCamuこのレポートは自分が文学作品を書くためのものである。。 総論 「革命家とは、すでに死刑を...
カミュの「反抗的人間」第三章「歴史的反抗」についてカミュは不条理から反抗への論理をすすめ、さらに革命にまで展開させているのに「反抗的人間」は極めて形而上学...
暗殺の弁証法 「反抗的人間」L’HOMME REVOLTE byAlbert Camusを解読する。 不条理:To be or not to be「革命家...
本日は兵庫県現代詩協会アンシソロジー朗読と交流の会みんなで語ろう「ひょうご現代詩集2022」が開催されました。本誌に掲載された自作詩を朗読してもらい、それ...
ニーチェ『悲劇の誕生』を解読する(私の読書ノート)Home詳細解読コーナー目次「アポロ的」と「ディオニュソス的」ギリシア悲劇は生・苦悩・世界を肯定ギリシア...
第二十六回中畑中也の会研究集会 第二十六回中畑中也の会研究集会が二〇二三年五月二七日五月二七日に神戸女子大学教育センターで開催された。講師は近藤洋太氏。...
罪と罰 髙木敏克 和枝と二人で有村の部屋を訪ねたときのことであった。有村源助は笑いながらしゃべる癖があり...
悲劇メディア2023・4・23 カルメン1・ プロロゴス エウリピデスの悲劇「メディア」は紀元前431年の春、大ディオニソス祭において上演された。紀元前...
墓をさがす 高木敏克この春、桜を追いながら川沿いをサイクリ...
高木敏克の最新作神撫KANNADEは1月15日に発売開始です。神撫は神戸に残る古い地名です。「高木敏克の魔術的リアリズムを一度味わうと、それ以外の小説が物...
かねてよりの問題作「現代詩は小説以上のものであるのか?」というイロニを具現化した高木マジック!これで、高木は詩壇から追放されるのか?
黒田喜夫(本名) 父母父系は山形県西村山郡紫橋村中郷(現在河江市)の地主だったが、祖父の代に没落し、祖父は出羽三山麓志津村で行商宿を営んだ。父・安孫子喜三...
黒田喜夫論 高木敏克 詩はどんどん進化して古い詩は残らないのでしょうか?決してそんなことはありません。「うぐいす笛...
アヴェ・マリア 湖の対岸に真白なサナとリュームがあって、小さなチャペルから歌が聞こえてくる。僕は時々ヒルクライムでここまでやってきて、自転車を停め、何もせ...
神撫 髙木敏克 1 狼山の水脈 わたしが生まれたのはとても古い神戸の谷で、林田村惣谷から池田惣町に変わ...
カフカ教団 地下鉄海岸線の改札を出ると僕はまっすぐ西に向かって歩いていった。広めの地下道だが、少し天井は低く人を急か...
波止場から 高木敏克 海辺の喫茶店で僕は人を待つような顔をして読み掛けの文庫本を三十分読んだ。それから...
無花果 高木敏克 この町では光がどこまでも染み込んでいるように見えた。大地までも光を含んで赤く見えた。夕...
風景の割れ目 高木敏克 私はあのダムを見過ごしています。山麓線の下り坂では脇見運転は危険だし、あのダムが私の人生に...
月と泳ぐ 高木敏克 懐かしい光に照らされていたのは茶色のレンガの壁だった。子供の頃にはこのレンガが限りなく続く道を...
箱工場 高木敏克「箱工場というからには、てっきり箱を作る工場だと思っていましたが違うのですか?」「いや、そこがわから...
等高線 高木敏克 獣道のような狭くて荒れた林道から斜めに下ったところで道はアスファルトになったが、海まで滑...
白い喫茶店 その日曜日、朝から僕の膝は痛んでいた。半月板の当たりの軟骨がすり減っているのだと思った。それは単なる想像かもしれないが、練習しすぎると軟骨が...
水栽培の部屋 数台のコンピューターのために、何故部屋の一角が区切られなければならないのか、僕には最初よく解らなかった。誰が見ても、中にはコンピューター以...
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土蜘蛛蜘蛛の糸は天井からのものであるがまったく見えなかった。毒雲が一匹まっすぐ机の上の今開いているノートに落ちてきたがまったくわたしを気にすることもなくい...
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青銅の魔人 「モリヤだ。みなさい。次代の王はこの谷を石と土で埋め、ここからあそこまで丘と丘の間をならして道をつけダビデの町に主が住めるようにするのだ」彼(...
推論カフカの審判の世界 日本語に翻訳されたカフカの「審判」は原文のドイツ語のタイトルでは「Der Process」で「訴訟」を意味するが「手順」「手続」「...
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水源 高木敏克昔の林田区池田村惣谷は谷であるかぎり川はながれていて川海老や冬菇の類が川底の砂にはりついていて水は豚飼...
水脈調査員 風鈴が光を砕いて風を通している午後調査員に追われて帰ったわたしは縁側で死んだふりをして眠ることにした タイミングを計る調査員は吃音うちわがはた...
月も震える夜 人通りのない坂道を僕はゆっくりと登っていった。暗闇の中から家々の窓を見上げると、光に閉じ込められた幸福な家庭の姿があちこちに浮かんでいて何...
水脈 夜の坂道には様々な影法師が張り付いていた。だが、ぼくが近づくとそれは起き上がって歩き出すのだった。坂道はうねっていて、何度も何度も起き上がる影法師...
世界の構造 自転車乗りに振り落とされた間抜けな影法師がとぼとぼと歩いてぼくに近付いてきた。ぼくが気味悪がって足を竦ませている隙にそいつは何とも悔しそうな...
トンネルの門番 過去を売ったら楽になるはずの心が、過去の中にどんどんと落ちて行く。これはどうしてだろう。過去を売ってからと言うもの、逆に過去が生きてくる...
波止場から 海辺の喫茶店でぼくは人を待つような顔をして読み掛けの文庫本を三十分読んだ。それから空き地に置いてきた車のところに一旦戻った。空き地には夕日が...
風の曲がり角 道の両側は煉瓦塀の壁が高く長く続いていた。煉瓦色に挟まれた青空は限りなく遠くまで輝いていた。そのあっけらかんとした明るさにも関わらず、そこ...
銀の海 ドアの外には誰もいなかった。風のいたずらなのか、猫のいたずらなのか分からなかった。あるいは、誰かが覗いていたのかもしれなかった。いずれにせよ逃...
臨海列車 あんなに静かな海岸を列車が走るなんて想像できるだろうか?実際この目で見た後でもそれが現実だとは思えない。まるで記憶さえも空想のように思えてくる...
西部黄土地帯 岬のある峰は半島に延び、半島の西側には小さな丘が小島のように点在していた。それが西部黄土地帯だ。ぼくはこの乾燥した大地から蛇のように生まれ...
卒業単位 年末になると、いろんなことを思いだす。龍にとってもそれは同じで、思い出は悪夢になって蘇る。どうしても受講を忘れてしまう卒業単位が夢に残る。龍はそ...
地質調査員 風鈴が光を砕いて風を通している午後地質調査員に追われて帰ったわたしは縁側で死んだふりをして眠ることにした タイミングを計る調査員は吃音うちわが...
幽霊作家 その日曜日、朝から僕の膝が痛んでいた。半月板の当たりの軟骨がすり減っているのだと思った。それは単なる想像かもしれないが、練習しすぎると軟骨が擦...
『白痴』の登場人物 レフ・ニコラエヴィチ・ムイシュキン (ムイシュキン公爵)主人公。ムイシュキン家の末裔。ブロンドで真っ白な顎ひげをはやしている。てんかん...
ドストエフスキイ「地下室の手記」第二幕「ぼた雪にちなんで」 「地下室の手記」は大きく二部に分かれていて第一部「地下室」第二部「ぼた雪にちなんで」となってい...
ドストエフスキイの「地下室のネズミとAIの関係」 ドストエフスキイにおいては勧善懲悪の考えは完全に消えている。性善説を唱える人は果たして善人なのか、性悪説...
「地下生活者の手記」を読む。「永遠の夫」は1870年に「悪霊」とともに起稿されているが(レーニンが生まれた年)、処女作「貧しき人々」(1846年作)「死...
埴谷雄高のドストエフスキイ 詩人にして小説家である埴谷雄高は私の師匠ともいえる航空母艦のような存在です。彼は「ドストエフスキイと私」という論文の最後に次の...
「貧しき人々」を読むとドストエフスキーが蘇りつつあるような現代が読めてきます。人はみずからすすんで貧乏になろうとしているのだろうかと思えてくる。貧困を熟知...
ドストエフスキーの「永遠の夫」新潮文庫〇千種堅訳を読む。わたしの解釈はこれまでの一般的な解釈と異なります。この小説を既読のかたも未読の方もこういう解釈はさ...
観音山である。朝からここで本を読んでいた。鶯の鳴き声とギターの音色しかない。iPhoneの電池も切れたのでまばらな桜の木を仰ぎながら池田小学校の裏門に降り...
神戸の湊川というのは川ではあるが歴史を語る名前でもあり、風が吹くと様々な合戦の物語が琵琶の音と共に聞こえてくる空耳の川。今はもう歴史上の川は埋められて新開...
六甲 耳鳴りのする高度でヒルクライマーたちが蝶々を追っている雷雲が追ってくる山肌を包むように 包囲しようとして包囲されていたのだたしかに山は鳴っている 解...
建物の一階は大きな駐車場になっていた。だが車は見あたらず、灰色の空洞が何処までも続いているように見えた。我々はすっかり影に包まれている気分になった。ひんや...
灰色の海からは無数の光の針が首を出し、何かの恨みでもはらすかのように踊り回っていた。雲が空を覆っていた。風の中で耳は鳴り続けていた。光は風に吹き飛ばされ...
東淡路島の由良港から南淡路の吹き上げ浜に抜ける猿ガ峡には猿が出るそうだ。吹き上げ浜には絶えず潮が吹き上げて、慣れないドライバーには危険だといわれていた。あ...
メイカップをする君は、実は世界を塗り替えようとしている。鏡の中を明るいパステルで塗っているのは、真っ暗な瞳孔の中から世界を塗り尽くそうとするもう一人の君だ...
暗室の天窓から見える風景 ゆるやかな風は海岸線を白く消しさるように吹いた。カラフルなロードレーサーの一列が消えかけた海岸線を引きなおすように走...
薄暮が迫ってくると遠くに光が点り始める。小さな光が命の在りか示すのだが、岬の闇がまっすぐ伸びて島につながっていた。見るかぎり先端は島なのか岬なのかわからな...
ライダー 高橋は蛇の木峠のトンネルを出たところで右目の端に黒い石積みのダムを見つけたところで目が眩み、ハンドルを切り損ねて車体をバウンドさせて横転し、バイ...
闇族 ドライブウェイを登ってくる時には確かに見えていたのに、下るときには見えなくなる石積みのダムがある。その昔、そこには山間の部族がひっそりと暮らしていた...
恐るべき子供たちは恐るべき詩人たちでもある。子供たちの純粋を象徴するかのある雪の日、死の国からの合図が白い雪球となって、ポールの胸元に届けられる。それを投...
随分と連絡が遅くなりましたが、半どんの会文化賞を受賞いたしました。これを機会に更なる努力を積み重ね、生涯の仕事を完成させます。みなさまありがとうございます。