埴谷雄高のドストエフスキイ 詩人にして小説家である埴谷雄高は私の師匠ともいえる航空母艦のような存在です。彼は「ドストエフスキイと私」という論文の最後に次の...
文学小説 創作の部屋 小説と詩を書いています。 元大阪文学学校 チューター 参加同人誌は、詩的現代 時刻表 メランジュ
詩・小説・評論 創作について語り合いましょう
墓をさがす 高木敏克この春、桜を追いながら川沿いをサイクリ...
高木敏克の最新作神撫KANNADEは1月15日に発売開始です。神撫は神戸に残る古い地名です。「高木敏克の魔術的リアリズムを一度味わうと、それ以外の小説が物...
かねてよりの問題作「現代詩は小説以上のものであるのか?」というイロニを具現化した高木マジック!これで、高木は詩壇から追放されるのか?
黒田喜夫(本名) 父母父系は山形県西村山郡紫橋村中郷(現在河江市)の地主だったが、祖父の代に没落し、祖父は出羽三山麓志津村で行商宿を営んだ。父・安孫子喜三...
黒田喜夫論 高木敏克 詩はどんどん進化して古い詩は残らないのでしょうか?決してそんなことはありません。「うぐいす笛...
アヴェ・マリア 湖の対岸に真白なサナとリュームがあって、小さなチャペルから歌が聞こえてくる。僕は時々ヒルクライムでここまでやってきて、自転車を停め、何もせ...
神撫 髙木敏克 1 狼山の水脈 わたしが生まれたのはとても古い神戸の谷で、林田村惣谷から池田惣町に変わ...
カフカ教団 地下鉄海岸線の改札を出ると僕はまっすぐ西に向かって歩いていった。広めの地下道だが、少し天井は低く人を急か...
波止場から 高木敏克 海辺の喫茶店で僕は人を待つような顔をして読み掛けの文庫本を三十分読んだ。それから...
無花果 高木敏克 この町では光がどこまでも染み込んでいるように見えた。大地までも光を含んで赤く見えた。夕...
風景の割れ目 高木敏克 私はあのダムを見過ごしています。山麓線の下り坂では脇見運転は危険だし、あのダムが私の人生に...
月と泳ぐ 高木敏克 懐かしい光に照らされていたのは茶色のレンガの壁だった。子供の頃にはこのレンガが限りなく続く道を...
箱工場 高木敏克「箱工場というからには、てっきり箱を作る工場だと思っていましたが違うのですか?」「いや、そこがわから...
等高線 高木敏克 獣道のような狭くて荒れた林道から斜めに下ったところで道はアスファルトになったが、海まで滑...
白い喫茶店 その日曜日、朝から僕の膝は痛んでいた。半月板の当たりの軟骨がすり減っているのだと思った。それは単なる想像かもしれないが、練習しすぎると軟骨が...
水栽培の部屋 数台のコンピューターのために、何故部屋の一角が区切られなければならないのか、僕には最初よく解らなかった。誰が見ても、中にはコンピューター以...
桃色の事務所 真っ青な空に白い鳥が絡まり、ガラスの破片が降ってきた。海鳥が一羽、事務所の中に飛び込み、真っ赤な鳥の血が書類の上に飛び散った。ギラギラと音...
肩幅 彼は喫茶店に入るとパーティションで挟まれた一人用の席に着いた。肩幅一メートルの空間にうずくまってアイフォンを触っていると、肩幅だけが自分の自由な空間...
蜂男 野原の中をぬいぐるみの男が歩いてくるのかと思った。灰色の頭部はのっぺらぼうで、顔がどちらを向いているのか分らない。僕たちが立ちすくんでいると、腰ま...
ブリキの自転車 「よかったら、その自転車に乗っていってください。どうも、困ったことに、娘が自転車を置いたまま牧場に帰ってしまったようです。ちょうど良かった...
森の予感 盆地に降りると、細長いアスファルトの一本道の両側には恐ろしく背の高い針葉樹林が何処までも続いていた。道路は大自然をまっぷたつに引き裂きながら見...
海の音 灰色の海からは無数の光の針が首を出し、何かの恨みでもはらすかのように踊り回っていた。雲が空を覆っていた。風の中で耳は鳴り続けていた。光は風に吹き...
灰色の森 「始めに苦痛があった」と彼は話を続けた。「生き物の最初の感覚というものは傷みだったと思う。再び生まれる僕が最初に見たものは灰色の森だった。その森...
ズームで参加しましたが、「中原中也研究」での前回の季村敏夫氏のズームによる研究報告が27号の紙面に掲載されました。資料の充実は、嘗ての古書店連絡網を駆使し...
わたしは鏡の中に四六の蝦蟇を飼っているがそれ以外に何も映っていないのでたぶんそれが自分の顔だと思うそれ以外に何も現れない筈の鏡の中には時々みしらぬ顔が見え...
夢は夢で記憶をもち何度も同じ夢にもどるもうひとつの現実があるみたいに夢に出てくる人は誰もが顔見知りなのに暗い海の先に見知らぬ目的地がある大きな瞼の水平線を...
夏の高気圧で空気はとまっている重い茂みの中で蛇は隙間をねらっている身体は止まると重い動きだすと軽くなるジャングルの隙間の道が見えたのはたしかマレー半島の銀...
わたしはスパイだから名乗れないそれに誰かに支配されている表情をしているところが その誰かがわからない時々かかってくる電話連絡というのは一方的で質問すると ...
広場が生きていたことがある湊川公園も人々のカオスであふれ欲望と悲しみがあふれ出てアナーキーな見世物が出没し人々の目がギラギラしていた時代のことだおそらくテ...
三人の水脈調査員がそろってわが社にやってきた一人目はカラス二人目はアライグマそして三人目はネコの仮面をつけて真っ黒のベネチアンマントを翻しながら廊下を歩い...
地質調査員 風鈴が光を砕いて風を通している午後地質調査員に追われて帰ったわたしは縁側で死んだふりをして眠ることにした タイミングを計る調査員は吃音うちわが...
三人の水脈調査員がそろってわが社にやってきた一人目はカラス二人目はアライグマそして三人目はネコの仮面をつけて真っ黒のベネチアンマントを翻しながら廊下を歩い...
水脈調査員 輪廻地区の夜の坂道には様々な影法師が張り付いていた。だが、僕が近づくとそれは起き上がって歩き出すのだった。坂道はうねっていて、何度も何度も起...
星が棲む丘 丘一面に静かな光が散らばっていた。人間の命が輝いていた。小さな光は星座につながっていた。海峡の潮に乗った青い風が丘に吹き上げていた。ただ透明だ...
影切り 山麓線は夕日に向かって、ほぼ一直線に伸びていた。一人のロード・レーサーが自転車を加速して自分の影から逃れようとしていた。加速すればするほど自分の...
透明な風が谷を吹き抜けていった。遠くの光りが一瞬きらめいた。光りの中で何かが蠢いた。輪廻地区は小さな谷であったが、谷の空間にはとても遠い距離があった。谷...
この谷の町にはまったく何も語らないまま消えてゆく人がいる。生きていた痕跡も残さぬように立ち去る人がいる。窓の中では一粒のご飯粒も残さないで食事を終える人...
白い研究所 白い建物に近付くと、道は急に舗装道路になった。山脈の背骨に沿って走る道路が合流したからだ。ところがいよいよ建物のすぐ下まで来ると、坂道は考えら...
連続する頂上 進むに釣れて、斜面の角度は切り立ってきた。道路の幅員は狭くなり、崖に食い込んで、半洞窟の様になってきた。所々天井から水が滴り、墜ちた水は水...
切り通しを過ぎてしばらく歩くと、その先の白い坂の上はちょっとした町になっていた。空の白い雲端を少し切りとってできたような小さな町だ。建物はどれも白い上に...
耳鳴りのする高度でヒルクライマーたちが蝶々をおっている雷雲がせまってくる山肌を包むように包囲されていたのだたしかに包囲しようとして解放区なんて包囲されてい...
大学の廊下 「学者というのは物の世界の人間で、事の世界の人間ではない。物には対応できるが事には対応できないので事としてのリスクには対応できない」こんなこと...
保険会社の廊下 高橋は危険な社員である。この日の打ち合わせ会でも目の前の課長を殴り倒したい衝動を何とか抑えようとして冷汗を流れるに任せていた。課長の言って...
エンツェンスベルガーの「政治と犯罪」の最終章「裏切りの理論のために」1項~18項は「機密警察」について書いているが、「機密警察」からプーチンのような専制政...
エンツェンスベルガーの「政治と犯罪」を読む 犯罪とは何か?エンツェンスベルガーは著作「政治と犯罪」の中で様々な犯罪の定義を列挙して、それらが言っている犯罪...
抹香鯨 耳鳴りの中で抹香鯨が泳いでいるので淀屋橋緒方病院の耳鼻咽喉科に行ったこの夏のスキャンダル 耳の中は今やブルーチーズの海あるいは青汁と卵のミックスジ...
ドゥニーズの部屋 洋子さんの話では、ドゥニーズはお母さんが亡くなってからというもの黒い服しか着ないということで、初めて会うには見つけやすいということだった...
洋子さんの話では、ドゥニーズはお母さんが亡くなってからというもの黒い服しか着ないということで、初めて会うには見つけやすいということだった。しかし、僕と会っ...
S銀行に入ると、初老の男が茶柱のように三時間も立たされている。用件を伝えると薄暗い廊下を進んでゆき、水に浮かぶボウフラみたいに背中を曲げ腰を引いてドアノブ...
アボリジニー そもそも外来人が在来種の保護活動に躍起になっているというのも変な話ですね。在来人がどれだけ殺されてここが外来人種の国になってしまったのかとい...
これで問題が解決したわけではない時が解決してくれるというのは本当かなぜ生きるのかもそうなのか 生まれることがすべての解決らしいが問いはアメーバーのように繁...
サングラスをかけてトンネルに突っ込むと 真っ暗闇でセンターラインが消える 闇の中で瞳孔を開くと生きていけるし 瞳孔が開くと死んでいることもある いず...
真夜中に目覚めたときの尿には獣の匂いがする。それは忘れていたもう一人の自分の匂いに驚いて目が覚めたもう一匹の猫のようだ。そのとき、わたしは人間という嘘の空...
太宰治「晩年」を読む昨日のペラゴスの発表者は東野岬氏、テーマは太宰治の「晩年」でした。資料も充実していました。例のごとく倉橋賢一氏のナビゲーションで発言は...
祖父の写真もたくさん出てきました♪明治生まれは凛々しいです。
部屋を整理していると母の写真が多数出てきました。大正神戸モガの写真といえましょう♪つまり、大正モダニズム・神戸モダンガールです。大正生まれだから、昭和初期...
執筆者・編集者の書斎「航跡舎」は7月からオープンです。
詩的現代が届きましたが、6冊しか有りません。編集者の樋口さんが胆石手術のため入院中のため代理人発送のためです。私の詩は101ページから「等高線」という題名...
学生時代の写真が出てきました。危険な匂いがしますね。理論闘争でもしていたのでしょうか?髙木敏克髙木敏克髙木敏克
この度、大阪淀屋橋に航跡舎の事務所を開設することになりました。主に同人誌などの編集会議・編集作業を行います。執筆者の側に立った編集のための勉強会・編集会議...
長田高校18回生同期会に初参加、行方不明から復帰しました。参加者約80名でした。担任の先生たちは85歳。僕たちは75歳。
高木敏克プロローグ アイスキュロスの「縛られたプロメテウス」からギリシャ悲劇を読み始めると、なかなか入っていけないまどろっこしさを感じる人もいるのではない...
等高線 すっかり暮れてしまった山道で僕は道に迷ったみたいだ。自転車のライトはしっかり充電してきたのでまだまだもちそうだ。それに道は平坦で舗装もよく、も...
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埴谷雄高のドストエフスキイ 詩人にして小説家である埴谷雄高は私の師匠ともいえる航空母艦のような存在です。彼は「ドストエフスキイと私」という論文の最後に次の...
「貧しき人々」を読むとドストエフスキーが蘇りつつあるような現代が読めてきます。人はみずからすすんで貧乏になろうとしているのだろうかと思えてくる。貧困を熟知...
ドストエフスキーの「永遠の夫」新潮文庫〇千種堅訳を読む。わたしの解釈はこれまでの一般的な解釈と異なります。この小説を既読のかたも未読の方もこういう解釈はさ...
観音山である。朝からここで本を読んでいた。鶯の鳴き声とギターの音色しかない。iPhoneの電池も切れたのでまばらな桜の木を仰ぎながら池田小学校の裏門に降り...
神戸の湊川というのは川ではあるが歴史を語る名前でもあり、風が吹くと様々な合戦の物語が琵琶の音と共に聞こえてくる空耳の川。今はもう歴史上の川は埋められて新開...
六甲 耳鳴りのする高度でヒルクライマーたちが蝶々を追っている雷雲が追ってくる山肌を包むように 包囲しようとして包囲されていたのだたしかに山は鳴っている 解...
建物の一階は大きな駐車場になっていた。だが車は見あたらず、灰色の空洞が何処までも続いているように見えた。我々はすっかり影に包まれている気分になった。ひんや...
灰色の海からは無数の光の針が首を出し、何かの恨みでもはらすかのように踊り回っていた。雲が空を覆っていた。風の中で耳は鳴り続けていた。光は風に吹き飛ばされ...
東淡路島の由良港から南淡路の吹き上げ浜に抜ける猿ガ峡には猿が出るそうだ。吹き上げ浜には絶えず潮が吹き上げて、慣れないドライバーには危険だといわれていた。あ...
メイカップをする君は、実は世界を塗り替えようとしている。鏡の中を明るいパステルで塗っているのは、真っ暗な瞳孔の中から世界を塗り尽くそうとするもう一人の君だ...
暗室の天窓から見える風景 ゆるやかな風は海岸線を白く消しさるように吹いた。カラフルなロードレーサーの一列が消えかけた海岸線を引きなおすように走...
薄暮が迫ってくると遠くに光が点り始める。小さな光が命の在りか示すのだが、岬の闇がまっすぐ伸びて島につながっていた。見るかぎり先端は島なのか岬なのかわからな...
ライダー 高橋は蛇の木峠のトンネルを出たところで右目の端に黒い石積みのダムを見つけたところで目が眩み、ハンドルを切り損ねて車体をバウンドさせて横転し、バイ...
闇族 ドライブウェイを登ってくる時には確かに見えていたのに、下るときには見えなくなる石積みのダムがある。その昔、そこには山間の部族がひっそりと暮らしていた...
恐るべき子供たちは恐るべき詩人たちでもある。子供たちの純粋を象徴するかのある雪の日、死の国からの合図が白い雪球となって、ポールの胸元に届けられる。それを投...
随分と連絡が遅くなりましたが、半どんの会文化賞を受賞いたしました。これを機会に更なる努力を積み重ね、生涯の仕事を完成させます。みなさまありがとうございます。
昨日は関西大学総合情報学部出身の虎本剛さんの劇団:ステージタイガーの家庭劇「ひまわり」を観劇しました。団員は日本写真映像専門学校の学生卒業生を中心とするよ...
高橋和巳「憂鬱なる党派」 を読む レジュメ高木敏克 「憂鬱なる党派」はVIKING、108号(昭和三十四年八月)に第一章、109号に第二章・1、110号に...
昨夜はペラゴスの会。マイ.オフィスから会合のビルまでの間の古いビルが見ものです。怪しい街を歩いて行きました。この夜の話題は黒田三郎。チューターは詩人橋本和...
風景の割れ目 私はあのダムを見過ごしています。山麓線の下り坂では脇見運転は危険だし、あのダムが私の人生に重要な関係を持ちえる訳もない。だからダウンヒルでは...
墓をさがす 高木敏克この春、桜を追いながら川沿いをサイクリ...
高木敏克の最新作神撫KANNADEは1月15日に発売開始です。神撫は神戸に残る古い地名です。「高木敏克の魔術的リアリズムを一度味わうと、それ以外の小説が物...
かねてよりの問題作「現代詩は小説以上のものであるのか?」というイロニを具現化した高木マジック!これで、高木は詩壇から追放されるのか?
黒田喜夫(本名) 父母父系は山形県西村山郡紫橋村中郷(現在河江市)の地主だったが、祖父の代に没落し、祖父は出羽三山麓志津村で行商宿を営んだ。父・安孫子喜三...
黒田喜夫論 高木敏克 詩はどんどん進化して古い詩は残らないのでしょうか?決してそんなことはありません。「うぐいす笛...
アヴェ・マリア 湖の対岸に真白なサナとリュームがあって、小さなチャペルから歌が聞こえてくる。僕は時々ヒルクライムでここまでやってきて、自転車を停め、何もせ...
神撫 髙木敏克 1 狼山の水脈 わたしが生まれたのはとても古い神戸の谷で、林田村惣谷から池田惣町に変わ...
カフカ教団 地下鉄海岸線の改札を出ると僕はまっすぐ西に向かって歩いていった。広めの地下道だが、少し天井は低く人を急か...