月の光に青く照らされたピアノ 全てのものが静けさの中で 夢の中に連れられた後の 温もりひとつない夜 指先でふれた鍵盤は冷たく硬く シルクのように滑らかだった こんなに美しいもの そして世俗に穢れた僕 自分を浄化するように僕はピアノを弾く 全ての鍵盤が息を押し殺して じっと僕...
ぼんやりと薄日のぼり きりりと冷えた窓を開ける 流れ込む金木犀の香り 僕をかすかにふるわせる凛とした朝 日が昇り天は気を失うほど高く まばらにちぎれた無数の雲 そのひとつさえ掴めそうにない むせ返るような原色の日々はすでに消え去り すっかり色の抜けてしまった水色の空 瞬きす...
空の青さをとぷりと地面に落としてしまった 見わたすかぎりのネモフィラ畑 きっとここでは ネモフィラ以外は生きてゆけないのだろう 風にさざめきつづける青い絨毯のなかで 僕はひとりだった ただ風に揺られるために生きられないこと ぬるい日常のゼリーから出られないこと やがてネモフ...
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