心筋梗塞(MI)後の患者ケアでは、心機能や再梗塞予防に注目が集まりますが、「便秘」の存在が予後に影響する可能性があることをご存知でしょうか?今回ご紹介するのは、心筋梗塞後の患者における便秘と心不全による再入院の関連性を後ろ向きに検討し、退…
現役の薬剤師が論文情報や情報の活用法についてご紹介します.
猫になりたい薬剤師と申します🐈 とっつきにくい論文,しかしその情報は有益であり,日常業務にも活かすことができます. 気軽に,気楽に,論文情報が活用できるよう,要点をご紹介していきます♪ 分からないことがあれば,お気軽にお問合せください.
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患者の社会的背景の評価が看護ケアに与える影響はどのくらい?(質的研究; J Gen Fam Med. 2023)
看護師は臨床の場で健康の社会的決定要因(the social determinants of health, SDH)に取り組むことが期待されているが、SDHの臨床実践への統合に関する第一線の看護師の視点は依然として不明確である。この統合…
心不全におけるミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の効果は?(患者レベルのメタ解析; Lancet. 2024)
ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は駆出率が低下した心不全患者(HFrEF)における入院や死亡を減少させますが、軽度の駆出率低下した心不全患者(HFmrEF)や駆出率が維持された心不全患者(HFpEF)における有用性は不明です。そ…
慢性腎臓病を有する糖尿病患者の心不全アウトカムに対するセマグルチドの効果は?(RCTの事後解析; FLOW試験; J Am Coll Cardiol. 2024)
2型糖尿病(T2D)と慢性腎臓病(CKD)を有する患者は、心不全(HF)と心血管疾患(CV)による早期死亡のリスクが高いことが報告されています。2型糖尿病と慢性腎臓病の患者を対象としたFLOW試験(Research Study To Se…
高齢者におけるインフルエンザワクチン接種と急性腎障害との関連性は?(自己対照症例シリーズ; Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2024)
インフルエンザワクチン接種は急性腎障害リスクと関連しているのか? インフルエンザワクチン接種後に急性腎障害(AKI)を含む腎合併症が発生した症例が複数報告されていますが、関連性は証明されていません。 そこで今回は、2018~2019年および
インスリン治療歴のない2型糖尿病患者におけるインスリンエフシトラα vs. デグルデク(オープンRCT; QWINT-2試験; N Engl J Med. 2024)
インスリンエフシトラα(Insulin efsitora alfa;エフシトラ)は週1回投与の新しい基礎インスリン製剤です。安全性と有効性に関するデータは、小規模の第1相または第2相試験に限られています。そこで今回は、インスリン治療歴のな…
ビスホスホネート療法は骨粗鬆症患者の全死亡率を減少させますか?(RCTのメタ解析; Clin Orthop Relat Res. 2024)
骨粗鬆症患者において、ビスホスホネート系薬による治療は骨折のリスクを減少させますが、死亡率減少に対する効果は依然として不明です。このテーマに関する先行研究では相反する結果が得られており、一般にビスホスホネート療法が死亡率を低下させるかどう…
【理解度チェック問題】後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について
2024年10月1日から開始される「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養」の理解度チェック問題を作成しました。ぜひご活用ください。なお、本問題集は2024年9月21日までの情報を基に作成しています。今後も疑義解釈資料等が公表…
非心臓手術を受ける冠動脈ステント留置安定患者におけるアスピリン単剤療法 vs. 抗血小板療法なし(オープンRCT; ASSURE-DES試験; J Am Coll Cardiol. 2024)
現在のガイドラインでは、非心臓手術を受ける冠動脈薬剤溶出性ステント(DES)留置患者において、周術期にアスピリンを継続投与することが推奨されています。しかし、それを支持するエビデンスは限られています。そこで今回は、DES植込み歴のある患者…
幼児期のタブレット使用と易怒性との関連性は?(前向き横断研究; JAMA Pediatr. 2024)
未就学児におけるタブレット端末の使用は増加の一途をたどっています。モバイル機器の使用は、子どもの情動調節障害と関連していますが、子どものタブレット使用と自己調節能力の発達との間に明確な関連性の方向性を示すことができた研究はほとんどありませ…
心房細動患者におけるアスンデキサンとアピキサバンの比較(DB-RCT; OCEANIC-AF試験; N Engl J Med. 2024)
心房細動患者における直接作用型経口抗凝固薬による脳卒中予防は出血のリスクを伴うため、その使用は制限されています。Asundexian(アスンデキサン)は、開発中の活性化血液凝固第XI因子(XIa)阻害薬であり、Xa阻害薬よりも出血リスクが…
第一世代抗ヒスタミン薬による興奮・せん妄予防効果はどのくらい?(系統的レビュー; Eur J Clin Pharmacol. 2024)
第一世代抗ヒスタミン薬による術後の興奮(agitation)やせん妄の予防効果は不明です。第一世代抗ヒスタミン薬の術後効果を明らかにすることで、患者の安全管理に重要な知見が得られる可能性があります。そこで今回は、術後の第一世代抗ヒスタミン…
がん患者におけるオピオイド誘発性便秘に対するナルデメミンの予防効果は?(DB-RCT; J Clin Oncol. 2024)
オピオイド誘発性便秘は、オピオイド鎮痛において最も頻度が高く、非自己限定的な副作用であり、服薬アドヒアランスを低下させ、疼痛緩和を妨げることが知られています。最近、ナルデメジンやナロキセゴール(naloxegol)のような経口末梢作用性μ…
心房細動患者における経口抗凝固薬のアドヒアランスと重篤な臨床転帰との関連は?(後向きコホート研究; J Am Heart Assoc. 2024)
心房細動患者において、脳卒中および全身性塞栓症(SSE)予防のために処方された経口抗凝固薬(OAC)のアドヒアランスが低いことが多いとされています。OACのアドヒアランスと心房細動の臨床転帰との関係を、これまでこの問題に適用されていなかっ…
認可されているmRNA COVID-19ワクチンは、SARS-CoV-2特異的反応を持続させるためにブースター接種が必要であり、より免疫原性の広い新規ワクチンの必要性が生じています。そこで今回は、ARCT-154(SARS-CoV-2 D…
慢性腎臓病患者における便秘と末期腎不全リスクとの関連性は?(PSマッチコホート研究; BMC Nephrol. 2019)
CKD患者における便秘は腎機能低下と関連するのか? 慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)は、公衆衛生上の大きな問題となっています。 多くの危険因子が同定され、それぞれに応じた介入が行われましたが、末期腎疾患(e
HFpEF患者における退院後のトルセミド vs. フロセミド(後向き研究; ESC Heart Fail. 2024)
駆出率が維持された心不全(HFpEF)患者の予後に対する退院後のトルセミドとフロセミドの効果に焦点を当てた研究はほとんどありません。そこで今回は、HFpEF患者における退院後のトラセミド(トルセミド)とフロセミドの全死亡および心不全による…
膿尿または細菌尿のある高齢者のせん妄に対する抗生物質の効果は?(系統的レビュー; J Am Geriatr Soc. 2024)
せん妄転帰と抗生物質との関連性は? せん妄は高齢者によく見られる神経精神症候群で、認知機能と注意力の急激で変動的な変化が特徴です。せん妄は、死亡、施設入所、認知症のリスク増加など、深刻な長期的合併症を伴う医学的緊急事態であることから、対症療
腰痛と変形性関節症に対するアセトアミノフェン併用療法の効果は?(メタ解析; Drugs. 2024)
パラセタモール(アセトアミノフェン)を他の鎮痛薬と併用することで、一部の疼痛疾患では疼痛強度を軽減することができますが、腰痛症や変形性関節症の管理における有効性は不明です。そこで今回は、腰痛症や変形性関節症において、アセトアミノフェン併用…
非心臓大手術前のレニン-アンジオテンシン系阻害薬の継続 vs. 中止(RCT; Stop-or-Not試験; JAMA. 2024)
手術前にレニン-アンジオテンシン系阻害薬(RASI)(アンジオテンシン変換酵素阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬)を服用している患者を管理する最良の戦略は不明です。エビデンスの欠如が相反するガイドラインを生んでいます。そこで今回は、…
入院高齢者患者のせん妄軽減にスボレキサントは有効ですか?(DB-RCT; Suvorexant 085試験; JAMA Netw Open. 2024)
高齢入院患者のせん妄に対するスボレキサントの効果は? せん妄は入院中の高齢者によくみられます。せん妄は当面の管理問題を提示するだけでなく、認知症、施設入所、死亡の長期的リスクを高める可能性があり対策が求められています。 せん妄は睡眠障害と関
抗うつ薬の中止症状の発生率はどのくらい?(メタ解析; Lancet Psychiatry. 2024)
抗うつ薬中止後の有害症状の出現は、精神医学における研究のトピックになりつつあり、臨床現場や患者、一般メディアでも注目されています。抗うつ薬中止症候群は、代わりに症状群を示し、様々な方法で定義されています(例えば、中止緊急徴候・症状尺度[D…
軽度に駆出率が低下または維持された心不全におけるフィネレノンの効果はどのくらい?(DB-RCT; FINEARTS-HF試験; N Engl J Med. 2024)
ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は、駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者の罹患率と死亡率を減少させることが示されています。一方、駆出率が軽度低下または維持された心不全(HFmrEF/HEpEF)患者における有効性は確立され…
持続的気道陽圧治療と妊娠中の高血圧有害転帰との関連性は?(メタ解析; JAMA Netw Open. 2024)
妊娠は閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea, OSA)の発症や増悪を助長し、妊娠合併症のリスクを高める可能性があります。持続陽圧呼吸療法(Continuous positive airway press…
心筋梗塞後におけるβ遮断薬の中断と継続どちらが良い?(OPen-RCT; ABYSS試験; N Engl J Med. 2024)
心筋梗塞後のβ遮断薬による適切な治療期間は不明です。合併症を有さない心筋梗塞既往の患者において、副作用を軽減しQOLを改善するために長期間のβ遮断薬治療を中断した場合の安全性と有効性に関するデータが求められています。そこで今回は、心筋梗塞…
治療中の成人2型糖尿病患者におけるエンパグリフロジンとダパグリフロジンの心血管効果の比較(標的試験のエミュレーション; Circulation. 2024)
エンパグリフロジンとダパグリフロジンは心血管リスクの高い2型糖尿病患者において心血管への有用性が証明されています。しかし、2剤間の比較有効性は不明です。そこで今回は、2型糖尿病患者に対するエンパグリフロジンとダパグリフロジンの有効性につい…
更年期に伴う血管運動症状に対するエリンザネタントの効果はどのくらい?(RCT; OASIS試験; JAMA. 2024)
更年期血管運動症状(VMS)は、更年期にホルモンの変化によって引き起こされる症状群です。主な症状には、ホットフラッシュ(突然の熱感と発汗)、ナイトスウェット(夜間の発汗)、動悸(心臓の鼓動の異常感)、不眠(睡眠の質の低下)があり、日常生活…
小児の術後急性疼痛に対するイブプロフェンの有効性・安全性は?(コクランレビュー; Cochrane Database Syst Rev. 2024)
小児は手術後、苦痛を避けるために疼痛管理を必要とすることが多いことは想像に難くありません。効果的な疼痛管理は治癒期間と生活の質(QOL)に影響を及ぼすことから関心の高い研究領域です。小児によく使用される非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs…
日本におけるKDIGOヒートマップによる心血管、腎、死亡リスク(データベース研究; Clin Kidney J. 2024)
KDIGO(Kidney Disease Improving Global Outcomes)は、国際的腎臓病ガイドライン機構と訳され、急性腎障害(AKI)や慢性腎臓病(CKD)に関する診療ガイドラインや基準を提唱しています。その中にCK…
1ヵ月の二重抗血小板療法は、ステント血栓症のない長期治療と比較して大出血を減少させる(RCTのメタ解析; Am J Cardiol. 2024)
二重抗血小板療法(DAPT)は経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者では依然としてゴールドスタンダードです。しかし、DAPTの至適期間については依然として明らかとなっていません。そこで今回は、薬剤溶出ステント(DES)を用い…
催吐性が中等度の化学療法に対するオランザピンの効果はどのくらい?(RCT; JAMA Netw Open. 2024)
ニューロキニン-1受容体拮抗薬を併用する、または併用しない中等度催吐性化学療法(moderately emetogenic chemotherapy, MEC)レジメンにおけるオランザピンの役割は、充分に評価されていません。そこで今回は、…
ハイリスク因子を有さない高齢者におけるアスピリンの中止は有用ですか?(標的試験エミュレーション; ASPREE試験; BMC Med. 2024)
アスピリンの中止が有益となる高齢者像とは? 高齢者におけるアスピリン中止の正味の有益性は依然として不明ですが、倫理的な側面から大規模なランダム化比較試験での検証は困難であると考えられます。 アスピリンを中止することが安全かどうかについては、
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心筋梗塞(MI)後の患者ケアでは、心機能や再梗塞予防に注目が集まりますが、「便秘」の存在が予後に影響する可能性があることをご存知でしょうか?今回ご紹介するのは、心筋梗塞後の患者における便秘と心不全による再入院の関連性を後ろ向きに検討し、退…
これまで高コレステロール血症の治療といえば「スタチン」が中心でした。しかし、近年注目されているのが、Proprotein Convertase Subtilisin/Kexin type 9(PCSK9)を標的としたRNA干渉療法「インク…
ベンゾジアゼピン系薬(BZ系)や類似の睡眠薬(Z薬など)は、不眠症の治療薬として長年使用されてきました。しかし、依存や転倒リスク、認知機能低下といった副作用から、長期使用のリスクが懸念されています。そこで今回は、BZ系・関連睡眠薬(BSH…
2型糖尿病を抱える方の多くが、同時に高血圧を発症しています。これは心筋梗塞や脳卒中といった重大な心血管イベントのリスクを大きく高めるため、血圧管理が極めて重要です。しかし、体重減少を伴わない純粋な食事介入のみでの血圧改善効果については、こ…
◆ はじめに肺炎は入院治療が必要となる代表的な感染症であり、特に高齢者や基礎疾患を持つ患者においては重篤化することも少なくありません。その治療の中心に位置するのが、第3世代セフェム系抗菌薬「セフトリアキソン(Ceftriaxone)」です。...
喘息治療の根幹は「吸入薬の継続的な使用」です。しかし、日常診療では服薬アドヒアランス(服薬遵守)の低さが問題視されています。そこで近年注目されているのが「デジタル吸入器(スマートインヘラー)」です。今回ご紹介するのは、デジタル吸入器の1年…
近年、SNS・スマートフォン・ビデオゲームの利用が低年齢層にまで広がる中、その「依存的な使い方」が子どものメンタルヘルスや自殺リスクに与える影響が注目されています。これまでの研究では「総画面時間」の影響に焦点が当てられていましたが、実際に…
変形性膝関節症(knee osteoarthritis:OA)は、中高年に多く見られる関節疾患で、慢性的な痛みや運動制限の原因となります。近年では、関節液貯留や滑膜炎(effusion-synovitis)を伴う炎症性OAの存在が注目され…
関節リウマチ(RA)は関節の炎症や破壊を引き起こす疾患として知られていますが、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中といった心血管疾患(CVD)のリスクが高まることも近年注目されています。しかし、アジア人集団での具体的なリスクや、薬物治療がCVDに与…
直接経口抗凝固薬(DOAC)は、静脈血栓塞栓症(VTE)や心房細動(AF)の治療に広く使用されており、その利便性や安全性から臨床現場での使用が急速に拡大しています。しかしながら、消化管出血(GI bleeding)という重篤な出血イベント‥
心房細動を背景に脳梗塞を発症した患者では、脳卒中再発の予防として抗凝固療法の導入が必須です。しかし、脳出血リスクを踏まえた際、抗凝固薬であるDOAC(直接経口抗凝固薬)の開始タイミングは依然として議論の余地があります。特に、慢性腎臓病(C‥
高齢化が進む現代社会において、ポリファーマシー(多剤併用)や潜在的に不適切な薬物(PIMs)の問題はますます深刻になっています。薬剤が多ければ多いほど、有害事象のリスクは高まり、患者のQOLやアドヒアランスにも悪影響を及ぼすことが知られて…
心房細動(AF)や心房粗動(AFL)は、心血管・腎疾患や代謝異常(いわゆるCKMスペクトラム)における重篤な合併症のひとつです。こうした不整脈の発症は、心不全や腎機能悪化の予兆となりうるため、予防的介入が重要視されています。今回ご紹介する…
成人においては、β遮断薬(βブロッカー)が心不全の治療に有効であることが確立しています。中でもカルベジロール(商品名:アーチスト®)は、症状の改善や生命予後の延長に寄与する薬剤として知られています。しかし、小児や思春期の患者における有効性…
新生児の細菌性敗血症は、早期の診断と適切な抗菌薬治療が生存率に直結する疾患です。しかし、「何日間抗菌薬を投与すべきか」については、明確なエビデンスに乏しいのが実情でした。今回ご紹介する研究は、血液培養で細菌陽性となった新生児敗血症に対し、…
仕事のための通勤——多くの人が毎日繰り返すこの行為が、実は健康に悪影響を及ぼしている可能性があるとしたらどうでしょうか?都市化が進む現代、経済活動を支える日常的な移動は避けがたいものです。この日常的な移動の影響について、充分に検証されてい…
β遮断薬は、成人のうっ血性心不全(CHF)治療の柱とされており、死亡率低下や入院率減少などの有効性が確立しています。しかし、小児における心不全は、原因や病態、生理的特性が異なるため、成人のエビデンスをそのまま適用することはできません。そこ…
心房細動(AF)は虚血性脳卒中の主な原因とされており、抗凝固薬(OAC)による予防が推奨されています。しかし、近年の研究や臨床現場からは「抗凝固薬を服用していても再発する」というケースが一定数報告されています。そこで今回は、AFに起因する…
持続性高血圧には、朝晩の日内変動や飲み忘れによる達成度の低下が課題です。Zilebesiran(ジルべシラン、ジレべシラン)は、肝臓のアンジオテンシノーゲン産生を標的とするRNA干渉(RNAi)薬剤であり、半減期が長く、3~6か月に1回の…
米国の成人の3人に1人がマルチビタミン(MV)を使用しており、その主な動機は疾病予防であることが報告されています。しかし、MVがヒトの予後に及ぼす影響については充分に検証されていません。2022年に米国の予防サービス専門委員会は、ランダム…
心血管アウトカム試験の結果から、フェノフィブラート療法が糖尿病網膜症の進行を抑制する可能性が示唆されています。しかし、実臨床における検証は充分に行われていません。そこで今回は、糖尿病網膜症の進行に対するフェノフィブラートの効果を検証したラ…
血漿中のエイコサペンタエン酸(EPA, イコサペント酸エチル)濃度が低いことは心血管イベントと関連していますが、イコサペント酸エチルの補充により心血管イベントのリスクが低減するか否かについて充分に検証されていません。そこで今回は、冠動脈疾…
時間依存性的な抗菌薬であるβ-ラクタム系抗生物質は、最小発育阻止濃度(MIC)以上の血中濃度を維持できている時間が長ければ長いほど効果を発揮することが報告されています。したがって、持続投与が求められますが、β-ラクタム系抗生物質はMIC未…
コルヒチンによる抗炎症療法は、冠動脈疾患の血管再発を予防することが示されました。冠動脈疾患の典型的な原因が動脈硬化であるのとは異なり、虚血性脳卒中は動脈硬化や小血管疾患など多様な機序によって引き起こされるか、原因不明であることが多いことが…
冠動脈バイパス術後の臨床転帰に対するさまざまな抗血小板戦略について、いずれかの効果が優れているのかについては充分に評価されていません。そこで今回は、冠動脈バイパス術後の異なる抗血小板療法戦略(DACAB)試験を対象に、5年間の追跡調査の結…
便失禁の主原因として、経膣分娩に伴う肛門括約筋裂傷が重要視されています。1993年の報告では、産後6週間時点での便失禁は、初産婦の場合10%、経産婦の場合23%であることが明らかとなっています。肛門括約筋裂傷がある場合、分娩直後から肛門失…
現在または過去に妊娠糖尿病(GDM)を発症した女性において、産後に高血糖や2型糖尿病(T2DM)を予防または遅延させるための介入の有効性をよりよく理解するために、利用可能なエビデンスを統合することが求められています。そこで今回は、GDM後…
急性心筋梗塞後には心血管イベントの再発しやすさが報告されており、高比重リポ蛋白の主要蛋白であるアポリポ蛋白A1を介するコレステロール排出能の低下は、心血管イベントのリスク上昇と関連していることも報告されています。CSL112は血漿由来のヒ…
ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT-2)阻害薬は2型糖尿病、心不全、慢性腎臓病患者の転帰を改善しますが、臓器不全を有する重症患者の転帰に対する効果は不明です。そこで今回は、SGLT-2阻害薬であるダパグリフロジンを標準的な集中治療…
DOAC使用は認知症の発症リスクの低減と関連しているのか? 認知症の危険因子である心房細動(AF)の発生率および有病率は長期的に増加しています。経口抗凝固療法は、心房細動による脳卒中やその他の悪い転帰のリスクを減少させ、認知症の健康格差を縮
SARS-CoV-2ワクチン接種をためらう理由としては、副反応への懸念が一般的です。ワクチン接種後に発現する副反応は、免疫反応の一部として理解されており、中和抗体反応との関連性が示唆されています。発熱、疲労、筋肉痛、関節痛などの全身反応は…
観察的抗血栓療法の比較評価を行ったSTOP-CAD(Stroke Prevention in Cervical Artery Dissection:頸部動脈解離における脳卒中予防)試験では、世界16ヵ国63施設から得られたデータ(n=3,…
手袋着用時の手指衛生のゴールドスタンダードでは、手袋を外して手指衛生を行い、新しい手袋を着用する必要があるとされています(WHO:Five moments for hand hygiene)。アルコールをベースとした手指消毒剤(ABHR)…
ナトリウム-グルコース共輸送体-2阻害薬(SGLT2i)は心不全および腎臓関連の転帰を一貫して改善しますが、さまざまな患者集団における主要有害心血管イベント(MACE)に対する効果はあまり明らかとなっていません。そこで今回は、3つの患者集…
アンギオポエチン様3(ANGPTL3)は、リポ蛋白および内皮リパーゼを阻害し、トリグリセリドに富むリポ蛋白残渣の肝への取り込みを阻害します。ANGPTL3欠損機能保有者は、非保有者に比べて、トリグリセリド、低比重リポ蛋白(LDL)コレステ…
アテローム性動脈硬化症による急性軽症虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)患者における二次的脳卒中予防および神経保護に対する即時集中スタチン療法と遅延集中スタチン療法の比較は限られています。脳梗塞急性期のスタチン投与は、インターロイ…
高齢者の経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention, PCI)後の二重抗血小板療法(dual antiplatelet therapy, DAPT)の至適期間は不明です。そこで今回…
メトホルミンは広く用いられており、特に海外では妊娠糖尿病に使用可能であり、母体の体重増加や妊娠高血圧症候群、児の新生児低血糖のリスクを低減することが報告されています(注意:日本の添付文書においては妊婦又は妊娠している可能性のある女性への投…
肥満は世界的な公衆衛生の問題になっており、中国は世界で最も多くの罹患者を抱えていることが知られています。持続性GIP/GLP-1受容体作動薬であるチルゼパチドは、副作用として紹介症状や体重減少をもたらしますが、肥満患者における有効性・安全…