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りおりお
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2017/11/17

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  • 34

    類は二週間の休暇を貰っていたが、そろそろ仕事を始めなければならなくなった。その前に、、、と、葵と共に動物園へ向かった。園内に入ると葵は大喜びだ。「あっ!」何かを見つけては駆け出していく。それを追いかけ興味を示したものを説明し、しっかり手を繋いで歩く。「ママは?」「ママはお空に行った。」「おそら?」類は葵を抱き上げ空を指差す。その指先を追い、空を見上げる。もちろんつくしの姿はない。「ママは?」「ん。...

  • 33

    翌日の夜、聡と麗が帰国した。そしてつくしを見て泣き崩れる。「どうしてこんな事に?きっと私の責任だわ。私が研究開発よりも子供と過ごす時間を大切にして欲しいと言ったから。きっともっと研究に没頭したかったのよ。だから悩んで、、、私の責任だわ」「それはない。麗の所為じゃない。シャルちゃんはそんな事で自ら命を落とすようなことはしない。絶対にな。」聡は麗を慰める。類は葵を下すと優しく声をかける。「ばあばにハグ...

  • 32

    その夜、あきらと総二郎が花沢家を訪れた。あきらに至ってはスーツ姿で仕事の帰りと分かる。二人とも神妙な面持ちで類に掛ける言葉がないようだ。「こっち。」類は二人をつくしの元へ連れていく。そこには眠っているような姿のつくしが居る。二人は信じられない表情で手を合わせた。「シャルちゃん。何があった?」「なあシャルちゃん。目を開けてくれよ。」二人の声は涙声だ。鼻をすすりながら声をかけている。「類。何があった?...

  • 31

    類はサッと風呂場の周りを見ながら問う。「妻以外の痕跡はありませんか?」「今はまだ分かりません。指紋を採取している段階ですので。」「ナイフを握っていたと言いますが、どのナイフですか?」それを受け、鑑識が袋に入れたナイフを見せる。「こちらになります。」「このナイフに不審な点はありませんか?」「こちらからも指紋が出ていますので奥様以外の物があるかどうかを調べます。それとこのナイフの入手先を調べます。」「...

  • 30

    類はジッとつくしを見つめながら佳代に問う。もちろん冷静ではいられない。だが自殺するはずがないし、犯人を突き止めたい気持ちだ。「どういう事?何があった?俺が仕事へ行ってからの事を話して。」「はい。午前中は葵様と絵本を読んだりブロックで遊んでいる姿を拝見しております。至って普通に笑いながら遊ばれておりました。そしてランチも普通に食べられました。その後、葵様がお昼寝をされ、つくし様は一人で公園へ散歩へ行...

  • 29

    葵は、ドンドンとバスルームのドアを叩き続ける。何時もなら明るい声で返事があるのにそれが一向にない。ドアが開く気配もない。「ママ、、、ママ、、、ママ、、、」つくしの名を呼ぶが一向に返事がない。寂しいという気持ちがあふれ出て、いつしか泣きながら名前を呼んでいた。そこに佳代が入ってきた。そろそろ葵が起きてくるころだと思ったからだ。「つくし様?葵様は起きられて、、、」佳世は部屋に入るなりピタリと足が止まる...

  • 28

  • 27

    つくしは歩きながら必死に考える。10年前に自殺しているという事は、何かがあったのは確実。自殺する理由なんて何一つないんだから。類とも変わらず愛し合っているし可愛い娘もいる。そろそろ二人目が欲しいと話しているし週末には動物園にも行く。じゃあなんで自殺を?データが流出したことを知ったから?でもそれなら類に話して何か手立てを考え犯人探しをするはず。自殺はしない。何があった?分からない。分からないけどこの...

  • 26

    ヒュンッと体が無重力のように宙に浮く感覚を覚えた後スッと重力がかかった。自分の体を見るが特に変化はない。恐る恐るトイレから出るとそこには見た事もない遊具が設置されている。「本当に10年後に来た?」もちろん周囲にボディガードの姿はない。つくしは急いで公園から出ると近くのコンビニへ向かった。そこには見たことの無いデザートや商品が並んでいる。だが新聞が見当たらない。「あの。新聞はありませんか?」「新聞?...

  • 25

    2024年10月つくしは大学を無事卒業して7か月が経った。葵ももうすぐ3歳で言葉も活発になった。二人は仕事に向かう類を玄関前で見送る。「いってらっしゃい。」「パパ。チュッ」葵は投げキッスでエールを贈る。その可愛い姿に類は目を細め葵の頭を優しく撫で、つくしにはキスをする。「行ってくる。日曜日は動物園に行こう。そろそろ葵も喜ぶんじゃない?」「うん。絵本だと大きさが分からないもんね。」「だな。葵~。本物の像と...

  • 24

    楽しい沖縄旅行が終わり、五人は東京へ戻った。その翌日、聡と麗は揃ってフランスへ戻ることに。聡は分かっていたが麗まで一緒に戻る事は初耳だ。「私だけが葵ちゃんに触れ合っていたから聡さんが嫉妬してね。だから一度帰るわ。でもまた来るから。」そう言うが、実のところは聡が寂しがっているからだと類は思っている。もちろん麗だけが孫に会えること、久しぶりに会った孫が少し人見知りをしてあまり懐いてくれなかったこと等も...

  • 23

    聡も合流し、皆で美ら海水族館へ向かう。類とつくしは新婚旅行以来となり、あの当時を思い出し懐かしく感じる。「そうそう、入り口にジンベイザメの銅像があったね。」「ん。さてどこから回る?」類はベビーカーを引いている。その隣につくし、三人の後ろに麗と聡が案内図を見ている。「ショーもあるのね。先にショーを見る?」「葵ちゃんは起きてるかな?」「ん。今はまだ起きてる。」という事で五人は先にショーを見る事に。類は...

  • 22

    翌日、麗とつくしは葵と共にプライベートビーチに向かった。そしてパラソルの下に葵を下す。すると砂を手に取り遊び始めた。そこにスコップやバケツを置き、つくしも一緒に砂遊びを始める。麗はサングラスをかけサマーベッドに横になり日光浴を始めた。もちろん購入した水着を着ている。暫くすると三人の前を男たちが通り過ぎる。そして再び踵を返しチラチラ見ながら通り過ぎる。その声が二人の耳に届く。「親子だよな?」「年の離...

  • 21

    沖縄に着いた三人はタクシーでホテルへ向かう。そこはメープル沖縄だ。「メープル?司の?」「えぇそうよ。『知り合いの』って話したでしょ?楓さんに聞いたのよ。そうしたら空きがあるというから予約したって訳。」麗はウインクをしながら告げる。西田の一件以来、楓は花沢に頭が上がらない。もちろん仕事で優遇を依頼したことは一度もない。今回初めて無理をお願いした。「さあ部屋に入りましょう。フロントで受付をしましょうか...

  • 20

    2022年8月葵は8か月になりハイハイが盛んになった。その姿がまた可愛く、類と麗はメロメロだ。「今年の盆には聡さんも来るそうよ。」「あの人、急に暇になった?」もちろん皮肉だ。凄く苦労してスケジュール調整をしているのは分かっている。ただ今まで碌に日本に帰国しなかったのに葵が生まれた途端帰国回数が増えた事に厭味の一つも言いたくなっただけだ。「それ嫉妬ね。自分の時は放ったらかしにしたくせに!ってことでし...

  • 19

    4月類は大学四年、つくしは大学三年になった。大学四年の類は前期に少し授業があるだけで後期はほとんどない。卒論に当てる機関だと思うが類は早々に提出しようと考え既に取り掛かっている。つくしは久しぶりの対面授業でワクワクしている。自宅に残す葵も気にはなるが麗が居るし、大学は気分転換にもなる。それにまだ目を通していない卒論もある。空きコマはその卒論を読み漁ろうと考えている。そこに友達のしおりがつくしの姿を...

  • 18

    3月子供の成長は早いというが、たった三か月で葵の体重は6キロほどになった。生まれた時の倍だ。顔も丸くなり手足はぷくぷくとしてはちきれんばかりだ。表情も豊かになりよく笑うようになった。そうなると見る人を魅了する。聡も日本に出張という形で3月初めに帰国している。滞在期間は約1か月と言うが、葵の姿に半年に伸ばそうかと真剣に考え始めている。麗に至ってはずっとここに残りたいと何度も口にしている。それに辟易して...

  • 17

    クリスマスが終わった12月26日に親友達が花沢邸を訪れた。「「いらっしゃい。」」「おめでとう。これ出産祝い。」四人はそれぞれプレゼントを類とつくしに渡す。「「ありがとう。」」「おい、葵はどこだ?」類とつくしの腕には葵の姿が無い。「リビングに居る。今、寝てるから。」「寝てるのか。類によく似てるな。」総二郎は茶化す。もちろん赤ちゃんは一日のほとんどを寝ていることぐらいは知っている。「今はね。でも良く泣...

  • 16

    分娩室から病室へ移動したつくしを類は労わる。「ありがとうシャル。お疲れ様。」「こちらこそありがとう。凄く心強かった。」二人は互いを労う。すると綺麗に顔や体を拭いた赤ちゃんを看護師が連れてきた。「かわいい赤ちゃんですよ。」その赤ちゃんをつくしの腕に抱かせる。つくしも初めて抱く小さな赤ちゃんにおっかなびっくりだが、赤味が少し取れ顔が良く分かる。「可愛い。」「ん。凄く可愛い。」類もつくしの腕の中の赤ちゃ...

  • 15

    11月つくしはオンラインで講義を受けている。今日はブラックホールに吸い込まれた星はそのままの形で別次元で存在しているのかという事を講義している。と言っても相手はつくし一人。講義というよりディスカッションのような形だ。『つまり異次元に行った星はそのままの形を保てるか?という事だと思うんだが、ここで素粒子が空間移動に耐えられるかが問題になる。』「はい。素粒子は電子によって結合されていますが異空間にも電子...

  • 14

    7月下旬。つくしはテストを受けるために類と共に大学へ向かった。お腹はあまり膨らんでいない物の、既に妊娠の事実はある程度広がっていた。その為、二人を見る目も色眼鏡を帯びていたりするが、それを類は無視する。「シャル。変な事を言う人がいても無視しな。」「うん。妊娠は悪い事じゃないのにね。でも大学に出席していないのは気が引ける。」「特例だから大丈夫。確かに妊娠はレアなケースだけど、病気とかで来られない人も...

  • 13

    7月つくしの悪阻が収まり安定期へと入った。そこでやっと皆が集まった。「おめでとうシャル!」「ありがとう。」「悪阻は辛かっただろ?」「うん。大変だった。」「でもまだまだ気をつけろよ。これからお腹が大きくなるんだから。」「うん。気をつける。それに類が居るし。」「類が?」「うん。どこに行くにも類が手を引いてくれる。類が居ない時は佳代さんが手を繋いでくれる。」過保護すぎるとも思うが、万が一を考えればそうな...

  • 12

    類はGWが終わると大学へ行っている。つくしと違い大学は卒業しなければならない。もちろん自宅に残しているつくしの事は心配だ。だが佳世が付いてくれていると思い、渋々通っている。そしてつくしの妊娠は親友達の耳にも届いた。今すぐにでもお祝いしようとはしゃぐ親友達を類が制した。「まだ安定期じゃないし、悪阻もあってしんどいんだ。だからもう少し後にして欲しい。」「そうか。それじゃあ仕方ねぇなぁ。」「大学はどうする...

  • 11

    類は大学三年、つくしは大学二年になった。類は空きコマが増え一日講義が無い日も出てきた。だが毎日つくしの送り迎えをする。つくしも空きコマが増え、その時はラウンジでパソコンを使って色々調べていた。担任から教わった論文を一通り目を通し、なにかヒントはないかと考えながら。するとあきらがラウンジに入ってきた。「シャルちゃん。空きコマ?」「うん。前期はこの時間は空いてて、ここを使わせてもらってる。」「あぁ、い...

  • 10

    大学一年の後期も終わり春休みに突入した。類とつくしはイタリアへ向かった。そこでのんびりと過ごす予定だ。というのも、大学から帰宅したつくしはすぐに両親とマリアの残したデータ解析に取り掛かる。休日もまったりとした時間が勿体ないと感じるのか暇が出来ると部屋に閉じこもるようになった。もちろん早く実現可能か調べたいという気持ちもわかる。だが休憩も必要だと考え、敢えてパソコンもテレビも無い場所を選んだ。そこが...

  • 9

    クリスマスが近づいた。つくしは類と共にツリーにオーナメントを取りつけている。「去年と同じ飾りだけど新たに何か買う?」「良いかも!!毎年一人一個買う事にしよう!」「そうしようか。」「ついでに両親へのクリスマスプレゼントも買おう。」「うん。」という事で二人は買い物に出かけた。まずはオーナメントを選ぶために数店舗を回る。そしてつくしは天使を、類はソリに乗ったサンタのオーナメントを買う。「この天使、類みた...

  • 8

    つくしが専攻した宇宙科学科はつくしを入れて数人しかいない。もちろん女性はつくしだけだ。そこに講師が入ってきた。「え~~、このクラスを担当する小山田です。宇宙は広く解明されていない物が沢山あります。例えばブラックホール。その原理が解明されていません。知られているのは沢山の星を吸い込んでいる事。では吸い込まれた星はどうなるのか?それを考えるでも良いし、スペースシャトルやロケット、飛行機、ドローンなど空...

  • 7

    夏休み後半は映画へ行ったり二人でまったりと過ごした。その中でつくしが喜んだのがネズミーランドだ。一歩中に入ると魔法にかかったかのようにテンションが上がった。キャラクターを見つけると子供のように走っていきハグをする。長い列の乗り物を待っている間もウキウキしている。そして皆が付けていたカチューシャを購入し頭に着けポーズをとる。「どう?似合う?」「ん。可愛い。帰りにお土産も買おう?ぬいぐるみも買うだろ?...

  • 6

    フランス邸に戻った類とつくし。麗は早速つくしにマリアの家にあったパソコンを渡す。「パスがかけられていて見る事が出来ないわ。シャルちゃんならパスが分かるかもしれないわね。」つくしは起動させてみる。するとパスワード入力画面が出てきた。思いつくパスをすべて入力してみるが開かない。ガッカリするつくしに類が励ます。「ゆっくりで良いんじゃない?」「そうね。時間のある時にゆっくり入力して見ると良いわ。それより明...

  • 5

    つくしは自室にある隔離部屋で両親のデータに基づき検証を行っていた。理工学部に入ったことで沢山の教材を購入した。それを読み漁り足りない知識を得て実現可能か考えていた。と同時に時空間に対しての興味がわいた。タイムマシンやタイムリープやタイプスリップの事だ。もしこれが可能なら過去へ戻って両親に会える。未来ならどんな風に類と過ごしているのか分かる。そこに類が入ってきた。「シャル?そろそろ休憩しな。」「うん...

  • 4

    大学の授業が始まった。つくしは女子生徒数人と一緒に受けている。授業の中には物理や数学ももちろんあるが、この学部を選んでいるだけあり女子生徒も頑張っていた。だがつくしは群を抜いている。物理の教師が授業中「それでこの場合の空気抵抗は、、、。」と説明を始めた。するとつくしが手を挙げる。「先生。その場合は真空中で落下する物体に働く力は重力のみのはずだから、物体の質量をM〔kg〕とすると~~になると思いますが...

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