私は最初にこの本を受け取った時、この新刊が、(話題の書を出版することで、近年有名になった)「幻冬舎」という、後発大手出版会社の新書として、発行されたことに驚…
生体肝移植・人工透析・生体腎移植を乗り越えて社会復帰を果たした夫婦の軌跡をドナーが綴っていきます。
「ダブル移植の語り部」、このタイトルを見て、「どういうこと?」と思われる方がほとんどでしょう。「ダブル移植」には二重の意味があります。 ひとつは、生体臓器移植を一人の人間が2回(生体肝移植と生体腎移植)行っている、という事。もうひとつは、一人の人間が生体臓器提供者、いわゆる「ドナー」となって、2回移植手術を受けている、という事。 これが、「ダブル移植の語り部」という変わったタイトルの内実です。
〈Lー3 肝機能は回復〉 人工透析が始まって、一か月が過ぎたころ、私には、不安が二つありました。 ひとつは、ダメージを受けた、移植肝臓が、いつ、再生するのか…
〈Lー2 肝機能は回復〉 娘が付き添って、歩行訓練をした時、病室を出て、ニ、三分歩くのは、ソロソロと遅かったのに、「駄目だ、戻る!」と言って、きびすを返した…
〈Lー1 肝機能は回復〉 季節は、すっかり夏。七月に入ると、夫の歩行訓練が、始まりました。 病室・病棟での訓練には、大人用の歩行器。リハビリ病棟での訓練には…
〈Kー8 人工透析を開始〉 座る練習をする一方で、危険な行動をして、事故が、起きないように、夫のベッドの下には、マットが敷かれるようになりました。 このマッ…
〈Kー7 人工透析を開始〉 六月中旬になると、夫を車椅子に乗せ、病室を出て、エレベーター前の、見晴らしの良い所で、しばらく東京の眺望を楽しむ、という日課が、…
〈Kー6 人工透析を開始〉 六月からは、車椅子に乗って、どれだけ座っていられるかが、日々の課題になりました、 最初は、二、三分しか、座っていられなかったのに…
〈Kー5 人工透析を開始〉 「生死五分五分」と告げられた、五月中旬から、半月が経ちました。 相変わらず、移植肝臓は働かず、人工透析は、必要不可欠な医療となり…
〈Kー4 人工透析を開始〉 私に手を上げることなど、一度もなかった人でしたから、管が抜けることを、ただひたすら、そのことだけを、どれほど、直近の希望にしてい…
〈Kー3 人工透析を開始〉 私が病室にいる、数時間だけは、「青い布を取り外し、紐も取っていいですよ」と、言われているのですが、裏返せば、それ以外は、拘束状態…
〈Kー2 人工透析を開始〉 その様子を見ると、振り出し以下に、後退してしまったという、何とも言いようのない、虚無感と、「このまま、廃人になってしまうのでは」…
〈Kー1 人工透析を開始〉 初めての人工透析は、あの悪夢の感染から、一週間後。 夫は、一週間の、ICUでの集中治療を経て、再び、元の個室に戻っていました。 …
〈Jー9 悪夢の細菌感染〉 飛び出していった娘から、二時間後に電話があり、「緑膿菌という、たちの悪い細菌に、感染していて、生死は、五分五分。ここ数日が勝負だ…
〈Jー8 悪夢の細菌感染〉 その後、私は、神仏に祈り続けました。とにかく、夫の最大の危機だと感じたのです。「命が危ない。どうか、助けてください!」と。 夫の…
〈Jー7 悪夢の細菌感染〉 午後五時過ぎに、やっと、移動式のレントゲン検査の機械が、持ち込まれました。この時点で、ドレーンのお掃除により、細菌が、夫の弱り切…
〈Jー6 悪夢の細菌感染〉 夫は、ICUから出て、まだ5日しか経っていません。この時期の、生死にかかわる重篤な症状、それは、急性拒絶反応と感染症です。 病院…
〈Jー5 悪夢の細菌感染〉 私が、もっと騒げばよかったのかもしれません。けれども、ずっと夫を診ている、病院スタッフのほうが、正しい見立てができると、信頼して…
〈Jー4 悪夢の細菌感染〉 私にしてみれば、『一大事発生』の報告だったのですが、病院側の対応は、いつもと同じ。何も動きません。 30分くらいして、待ちに待っ…
〈Jー3 悪夢の細菌感染〉 一時間経ったところで、長男が、「こんな、苦しそうな父親は初めてだ。普通じゃないよ」と言って、退室していきました。 看護師さんが、…
〈Jー2 悪夢の細菌感染〉 術後まもなくとあって、体力もなく、強力な免疫抑制剤を投与されている、夫の体内に、異変が起きています。 病室に入ってきた、若い看護…
〈Jー1 悪夢の細菌感染〉 平成26年5月13日。この日、私は朝から、病院に行って夫に会おうと、決めていました。「よく見聞きしておきなさい」という、虫の知ら…
〈Iー3 入院生活雑記〉 退院当日、夫もちょうどこの日、ICUから、一般病棟に、移されたところでした。といっても、夫の個室には、たくさんの医療機器が、導入さ…
〈Iー2 入院生活雑記〉 一方、ICUに入ったままの夫が、「私を呼んでくれ」と、言っているというので、急いで、ICUに出向くと、夫は、必死になって、赤いマジ…
〈Iー1 入院生活雑記〉 ドナーの術後の食事が、再開し、何日間か空っぽ状態の消化器には、まず、流動食が、提供されました。 古びたプラスチックのコップに、4つ…
〈Hー5 生体肝移植実施〉 つらかったのは、一般病棟に移るまで、水を一滴も、口にできなかったことです。 唇が、カサカサに乾いて、ひび割れ寸前。 麻酔の作用に…
〈Hー4 生体肝移植実施〉 「そう、良かった。良かった」頭が、ボンヤリしていて、それしか言えません。 午前9時に入室した私の、手術終了が、午後4時。夫はその…
〈Hー3 生体肝移植実施〉 思わず、「今、何時ですか」と尋ねました。 「4時ですよ」という返事に、「手術は、中止にならなかったんだ。肝臓は、移植されたんだ」…
〈Hー2 生体肝移植実施〉 平成26年、4月28日。私は、朝から、浣腸の液剤を入れられました。絶食に加え、徹底的に、体内を空っぽにする作戦。 そこへ、娘たち…
〈Hー1 生体肝移植実施〉 ▼次女から、手渡された手紙 お母さんへついに手術の日がやって来たね。この一か月、いや去年の9月から、懸命にお父さんを支えてくれて…
〈Gー5 肝移植手術に向けて〉 入院翌日、ドナーの術前説明が行われました。 ドナーの執刀医は、私の検査画像を、詳細に見ながら、「この手術は、症例が無いので、…
〈Gー4 肝移植手術に向けて〉 いよいよ、ドナーの入院日。私が案内されたベッドは、なんと、夫が前日まで使用していた、ベッドでした。 そのベッドに、横たわり、…
〈Gー3 肝移植手術に向けて〉 他にも、この最終面談で、判明したことが、二つあります。 「肝移植手術の際に、支障があるため、レシピエントと、ドナー双方の胆の…
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私は最初にこの本を受け取った時、この新刊が、(話題の書を出版することで、近年有名になった)「幻冬舎」という、後発大手出版会社の新書として、発行されたことに驚…
更に、この新刊書の表紙裏面には、「臓器移植」を求める患者が陥る、海外渡航移植の、深い闇のあらましが、以下のように、描かれています。 治らぬ病を抱え、臓器移植…
昨日、転載した、新刊書の副タイトルの中に… ・スペインでは「提供拒否」の 意思なき臓器は摘出され、移植へ という項目がありますが、これについて補足説明をしま…
新刊書の裏面の帯(おび)に、列挙された副タイトルは… ・新聞協会賞受賞「海外臓器売買」 スクープは真実か? ・巨大メディア(NHK・読売・文春)を 名誉毀損…
今から数か月前の、2025年3月末に、幻冬舎新書の新刊、臓器ブローカー~すがる患者をむさぼり喰う業者たち~が、発売されました。 この新刊の著者は、NPO…
故万波医師の上司として、万波先生を支え続けた、近藤先生は、すでに1980年代に、市立宇和島病院に、病院独自の、『院内移植コーディネーター』を配置し、万波先生…
また、ひとたびJOTに、移植に関する権限を集中させたのなら、JOTが責任をもって、全国の移植施設間を、綿密なネットワークで連結したり、移植コーディネーターを…
…この厚生労働省の改革案の記事を読んだ途端、私は、無性に腹立たしさを感じると同時に、「28年もかけて振り出しに戻っただけ」という空虚さも感じました。 「JOT…
そんな度重なる情けない現状が、明らかになり、JOTの綻びが露呈してしまったので、早急な対応や改革が、求められるようになりました。その結果… 今から半年余り前…
「日本における唯一の臓器斡旋機関」というお墨付きを得たJOTでしたが、1997年の設立以来、28年も経つというのに、移植希望の大半を占める、『腎移植希望者』…
この「9割が生体ドナーによる移植」という現実も、外国ではありえない、日本特有の歪んだ偏りだと言えます。言い換えれば、日本の移植は、家族の下支えによって、かろ…
このトップ記事に対して、日本の臓器移植を牛耳っている方々は、情けないと思わないのでしょうか? 失礼ながら、厚労省の担当者や審議委員の先生方は、移植が進もうが…
こんな当たり前過ぎることに、これまで着手せずに、膠着時間だけを費やしてきた結果、移植医不足や移植専門病床不足、そして、移植前後に必要な、ICUのベッド確保が…
自由裁量が少なく制約の多い中で、日本の移植成功率を、よくぞ、世界のトップレベルにまで、引き上げてくれたものだと、先陣を切って、移植に没頭してきた移植医の方々…
死に瀕して苦しんでいる、臓器不全患者を救うために、『臓器移植』という先進医療分野で、希望に燃えて奔走してきた移植医たちは、JOTの、(全ての権限は、こちらで…
日本臓器移植ネットワークに、臓器移植に関わる、全ての集約・分配の権限を、一元化し、そこに〈公平・公正〉という、錦の御旗を掲げたのならば、臓器移植が速やかに進…
そもそも、万波先生は当時、日本移植学会に、所属していませんでしたから、学会に届け出てお伺いを立てる必要は、なかったそうです。 ですが、移植学会幹部やマスコミ…
これまで何度も、このブログで取り上げてきた、『病気腎事件(正しくは修復腎事件)』に関する、様々な資料を読んだり、厚労省や移植学会の、すさまじいまでの万波先生…
「臓器移植をする・しない、移植を受ける・受けないの4つの権利を、公平公正に尊重します」なんて、今の日本では当たり前すぎて、基本理念として、わざわざ冒頭で、ア…
昨日このブログに記載した、JOTの〈基本理念・価値観〉 なんだかなあ…と思ってしまう、空虚な美辞麗句のオンパレードです。ここに掲げられた、多くの価値観のうち…
〈Rー14 万波誠先生への直訴〉 そんな大きなリスクを、ものともせず、「紹介状なんかいらん。調べれば分かる」と、さらりと言って、患者の不安を、脇に押しやって…
〈Rー13 万波誠先生への直訴〉 私は、二度とも、ドナーになる際に、断られましたが、その根拠として、医師の側が示した内容には、到底、納得できませんでした。 …
〈Rー12 万波誠先生への直訴〉 それにしても、いろいろな意味で、当時74歳の、万波先生は、「すごい方だな」と、思わずにはいられませんでした。 「紹介状なん…
〈Rー11 万波誠先生への直訴〉 「一番早い日で、9月2日に、手術をしましょう。その前に、奥さんとふたりで、精密検査をしに来てもらって…」「本人は、人工透析…
〈Rー10 万波誠先生への直訴〉 次は、夫への質問です。 「奥さんが、ドナーになるって、言ってくれたの?」「はい、家内から申し出てくれました」「そう、じゃ、…
〈Rー9 万波誠先生への直訴〉 まず、私の身体状況についての、質問です。 「奥さんは、肝移植のドナーになって、一年は経っているんだね」「はい。一年三か月経ち…
〈Rー8 万波誠先生への直訴〉 翌日届いた、病院事務室からの返信は、次のような内容でした。 この度は、ご相談いただき、ありがとうございます。メールでの状況を…
〈Rー7 万波誠先生への直訴〉 ところが、先日、肝移植主治医から、以下のような猛反発を、受けました。「万が一、何かあったらどうするの?世間が、生体臓器移植を…
〈Rー6 万波誠先生への直訴〉 昨年3月に、肝硬変末期のため、生体肝移植を希望して、都内の大学病院に、緊急入院いたしました。翌月、妻をドナーとして、移植手術…
〈Rー5 万波誠先生への直訴〉 腎臓病に精通した、高齢の医師にとって、私は、受け入れてもらえるドナーなのか。 イチかバチかの、勝負に出ることにして、どんな展…
〈Rー4 万波誠先生への直訴〉 大学病院をはじめとする、大規模病院の硬直性、権威主義。患者の苦しみよりも、自己保身や、病院の評判を、優先する姿勢。 今回、そ…
〈Rー3 万波誠先生への直訴〉 猛烈なバッシングを、繰り返していたマスコミは、この辺りから、手のひらを返したように、万波先生を、良医として、取り上げるように…
〈Rー2 万波誠先生への直訴〉 その後は、当然のことながら、万波先生が、悪徳医師どころか、地位も名声も求めず、四国の海沿いの、過疎化が進む小さな市(宇和島)…
〈Rー1 万波誠先生への直訴〉 「こうなったら、この方にお願いしてみるしかない」と、私はついに、決心しました。 この方とは、愛媛県宇和島市在住の、万波誠(ま…
〈Qー10 主治医の猛反対〉 腎移植を望まないまま、移植自嘲派、あるいは、移植懐疑派になることなど、考えられませんでした。 ただ、ひたすら、「私は、生体臓器…
〈Qー9 主治医の猛反対〉 夫は、生体肝移植を受けなければ、あと半年ほどで、人生の終局を、迎えていたはず。それが…どす黒く固まり、害悪でしかなくなった、自分…
〈Qー8 主治医の猛反対〉 ▽医師はリスク回避を最優先するため、発想がネガティブである。 O医師が、発した言葉は、私の意思とは乖離したものでした。 O医師の…
〈Qー7 主治医の猛反対〉 ▽移植医は、世間の評判を、とても気にしている。 このころ、生体肝移植は、技法が確立してから、まだ、20年足らず。 そのため、O医…
〈Qー6 主治医の猛反対〉 一方、取りあえずの命が担保される、腎臓とは異なり、O医師の専門分野である、肝臓は、末期に、究極の救済方法である、肝移植がなければ…
〈Qー5 主治医の猛反対〉 ▽同じ移植医でも、肝移植医は、腎移植の必要性を、知らない。 以前、別の移植医が、「僕は、肝臓が専門なので、腎臓のことは、さっぱり…