chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
  • 洋服よりも台所道具 土切敬子『おしゃべりな台所道具』

    わたしはデパートに行くと、洋服を見に行ったはずなのに つい上の方のキッチン用品をふらふらと見てしまう習性があります。 台所の道具が大好き。 だけど、道具がいっぱいあるのは苦手。 だから、厳選されたものだけ家にあればいい。 けれども、「厳選された」ものの分母(ものの知識)が増えるのは大歓迎! だから、ついキッチン道具を見てしまうのです。 なんで台所の物を見るとこんなにわくわくしてしまうのか。 間違いなく趣味の領域に入っているとは思いますが、 それともう一つの趣味、読書が重なり合った本を見つけたら、 わたしが読まないわけがありません。 台所道具ツチキリさんのお店は、 ほぼ日から知りました。 そして…

  • ドラマから興味を持って カリン・スローター『彼女のかけら』

    読むのに少し時間のかかる本のご紹介が続いています。 『彼女のかけら』。 以前Netflixで見たドラマの原作です。 人は身近な人のことを本当に全部理解しているのだろうか? 知っているのだろうか? という問いかけが恐ろしく、胸に突き刺さる小説でした。 主人公はもうすぐ30代の冴えない女性。 母と一緒にレストランで食事をしていたところ、 銃乱射事件に巻き込まれます。 そこで自分も狙われるのですが、 なんと普通の主婦だと思っていた母が犯人と対峙したことで、 母の知らなかった一面を見せつけられることに。 そこから危険な目にあいながら、 母のたどってきた人生を紐解いていく小説です。 人は隣にいる人のこと…

  • 深い感動につつまれる読後 ラーラ・プレスコット『あの本は読まれているか』

    読み終わった後の静かな感動を、どう表せばいいのだろうか。 長い登山を終えて、そして下りきった後にも美しい景色が待っていた。 そうお伝えしたらこの本のすばらしさをわかっていただけるだろうか。 たまたま新しい職場の図書館で出会った本だけれど、 きっと今まであまり手に取られることはなかったに違いない。 結構なボリュームのある本だから。 けれど、まるで山頂の美しい景色を見た途端、 長く苦しい道のりを忘れてしまうように、 読んだことを全く後悔しない本であることは間違いない。 この本はCIAがソ連で禁書となっている本をわざわざ西側諸国で出版し、 それをソ連内で配布し人の意識を変えようとする作戦が元になって…

  • 4年生の読書① 江戸川乱歩 少年探偵シリーズ

    もう子どもは5年生になってしまいました。 でも振り返りで4年生の読書を記しておこうと思います。 4年生の最初、大好きだった図書館から遠く離れてしまって、 とても残念がってあまり本を読まなくなっていました。 けれど近くの同じ小学校を卒業した子に、 「少年探偵シリーズ」を進めてもらってからは、 図書館通いが復活。 山のように乱歩を読んでいました。 同じ学校の先生もたまたま少年探偵がお好きで、 本をお借りしたり色々しながらすっかりはまって過ごしていた彼。 4年ともなると様々な本を借りるもので、 大人の本にも少し手を出したり、 わたしがわざと椅子に置いておいた本を読んだりして、 うれしいことに2人で読…

  • 大人のためのファンタジー ジュディス・ロッセル『ステラ・モンゴメリーの冒険①②③』

    子どもがハリーポッターにはまっているので(5年生のはじまり)、 ファンタジーの棚によく行くようになりました。 そこでみつけたなんだか地味な表紙の(失礼?)本。 今、3部目を読んでいます。 面白いです。 主人公のステラは母を失くして、父親はわからず。 いじわるで病気がちなおばさま3人が様々な療法を試すために、 国内を旅してまわっています。 けれども①で徹底的におばさまたちから嫌われ、 ②ではいとこたちと家庭教師から学ぶように追い払われ、 そして③では母もおばたちも入学していた名門の学校に入れられます。 学校の厳しさは、時代もあって本当につらいもの。 そして寄宿学校だから、夜も昼も規則でがんじがら…

  • 便利な図書館の電子書籍 尾崎友吏子『時間とお金にゆとりができる「小さな家」』

    ただいま! 長崎の引越しを終えて戻ってきました。 予定やら会いたい方とのごあいさつで、 あわただしい日々を過ごしていました。 持って行った本は1冊だけ。 空いている時間に近くの図書館で本を読んでしのいでいました。 けれど家で少し時間ができて、 ふとこの尾崎さんの本の在庫をカーリルで調べたら、 なんと電子書籍であるとのこと! 神奈川のいつも使っている図書館の電子書籍だったのですが、 ログインしてお借りして、長崎県で読めたのです! 読みたかった本がすぐに遠方でも読めるという体験が、 とにかく新鮮でした。 いつも借りている方には「今更?」の電子書籍ですが(笑)、 わたしには本当に衝撃でうれしいことで…

  • 種というちいさな記憶体 岩崎『種をあやす』

    長崎の小浜温泉近くに、タネトという野菜の直売所があります。 プラスチックフリーで地元の元気な野菜を扱っているところ。 そこによく岩崎さんのお野菜があって、種取り農家さんという存在を 初めて知りました。 なるべく野菜は元気なオーガニックのものを食べたいと思っていましたが、 神奈川にいるときは生産者の方にまであまり想いが行き届いていませんでした。 けれど長崎で暮らしたことで、 生産者の方の顔がしっかり見える関係が沢山できました。 この本は岩崎さんの種取り、農業の様子、日々の静かな戦いが 良くわかる本でした。 戦い、というとなんだかですが、美味しい野菜を作るために どれほど苦労なさったかが良くわかる…

  • 心の動きを丁寧に追う小説 群ようこ「れんげ荘物語」

    群さんの小説が大好きなのに、読んだことがなかったれんげ荘の物語。 先週のひととき、シリーズ全冊を楽しみました。 主人公は40代。 それまで嫌なことをして働いて、 気の合わない母親との生活をしていた彼女は、 仕事を辞めて働かないで暮らすために、 月々10万円で暮らすことにします。 見つけなければならなかったのは、 家賃の安い家。 そこで3万円のれんげ荘に移り住みますが、 れんげ荘は本当にぼろぼろのアパート。 シャワー室とトイレは共同。 だけれども主人公のキョウコは、 家にはなかった安らぎを感じます。 隣人たちもまた一癖ある人達だけれど、 家族よりもよっぽど気の合う人たち。 そんなアパートで始まっ…

  • 遊びは生きるかて 西川正『あそびの生まれる場所』

    日本の子育てを経験していて、 ほんとうに閉塞感を感じます。 電車やショッピングセンターにいる赤ちゃんたちは、 たいていスマホ漬け。 なかないため、親のため?もあるだろうけど、 一番は赤ちゃんが泣くと生まれる まわりの見えないちくちく視線なのではないかと…。 子どもが小学生になっても、 つい「すいません」と謝ってしまうことが今でもたくさん。 だけどそんなぎすぎすした社会だけじゃないことを、 わたしは海外で生活をして知っています。 だから、子どもを自由に遊ばせる場だけは、 塾よりも習いごとよりも一生懸命探して連れて行っています。 保育園はしっかり1人の人として扱ってくれる、 きびしくものびのびとし…

  • 時にやさしい本を手に取る 井田千秋『家が好きな人』

    勤務先にあって、「あ!」と思った本。 本のタイトルを新聞の帯で見つけた時から読んでみたかったんです、 この本。 中は漫画とコミックエッセイとの中間のような、 範囲が少しあいまいな本だと思います。 中は同じアパートに住む住人の、それぞれのインテリアや 生活そのものを題材にしていて、 お宅訪問みたいでとっても楽しい。 個人的にはもっとシンプルな家が好きだけれど、 この年代の頃だったら私も物がたくさんあることが好きだったな、 と思い出しました。 イラストもやさしくかわいらしい。 あれ、どこかで似たタッチの絵をみたことがあるな、と思ったら、 子どもが以前続編を読みたいと願った 『へんくつさんのお茶会』…

  • 本屋さんが好き 朴順梨『離島の本屋』+『ふたたび離島の本屋』

    このところ本屋さんにとっても興味があって、 たまたま読んでいた本の最後にこの本の紹介があったことから読んでみました。 日本には、本当にたくさんの島があるんですね! 知りませんでした。 長崎に住んだときは五島・対馬・壱岐があるので、 離島という言葉がだいぶ身近なものになりましたけれど、 離島という存在は、 関東の中にいるとなかなか意識が及ばないところがあります。 その離島の、しかも本屋さんをめぐる一連のブックは、 その島の読書事情にも思いを馳せることができる すてきな本でした。 離島と、本屋を結び付けたところがこの作者のすばらしいところ! ナイスアイディアに脱帽です。 このブログを書いているくら…

  • ケストナーへの深い愛 ケストナー『エーミールと三人のふたご』

    ケストナー作品と出会ったのは小学生の頃。 夢中になって読んだ『ふたりのロッテ』、もちろん『エーミールと探偵たち』も! なのにこのふたごの本だけは、今まで読んだことがありませんでした。 良く通っていた図書館になかったのかしら? でも、このタイミングで会って本当に良かった。 今回も『エーミールと探偵たち』と同じ登場人物が たくさん出てきます。 今回の読書で気づいたのは、 こんな大人が周りにいてくれたら、と心から思う人たちが たくさん描かれていること。 そして大人のような子どもも、たくさん描かれています。 大人に気遣ったり、やさしさがあったり、 すてきな子どももたくさん登場しています。 でも今回一番…

  • 次の動きを見据えて学び ジェイソン・ヒッケル『資本主義の次に来る世界』

    今週は月曜日まで旅に出ていたので、ばたばたしていました。 普段は単身赴任の家族も家にいて、 なんだかスケジュールがぐちゃぐちゃ。 ようやく落ち着いてブログを書くことができます。 さて、今回の本は小説のように読みやすいものではなく、 経済の本です。 ですがとっつきにくい本ではなく、 読んでみると希望に満ちあふれた本です。 資本主義の様々な弊害が、地球全体に及ぼした影響。 人間が一番偉いと考えてしまうようになった様々な要因、 これまでの文化によって自然が無視されるようになったこと、 それが積み重なって地球がすっかり疲弊してしまったこと…。 著者は環境だけへの影響ではなく、わたしたちの生活を豊かにす…

  • 疲れた時の特効薬 群ようこ『たりる生活』

    「つ、つ、疲れたー」と言いたくなる日は誰にでもある。 もちろん、わたしにも。 そして、そんな時は仕事終わりの日が うれしくてたまりません。 今週もブログアップが遅くなりましたが、 本は変わらず読んでいます。たくさん。 忙しくはなかったのだけれど、体調のメカニズムで 休みたいのに休めないのが辛かったな…。 でもなんとか乗り切りました。 そんな疲れた日は群さんの軽いエッセイがぴったり。 群さんの生活をこの「〇〇生活」シリーズで追っているものだから、 着物の片付け、長年猫とくらしていらっしゃることなど、 まるで知り合いの方のように色々知っている(つもり)。 著者の生活ぶりにとっても親しみを感じていま…

  • LGBTQの描き方 原田マハ『ロマンシエ』

    いつも一定の火曜日または水曜日、 そして金曜日にブログを書く予定でいるのですが、 最近週中が忙しくて、ブログが書けない時が続いています。 なかなか定期的にUPできずに、ごめんなさい。 少し落ち着いたので、来週くらいから定期的にUP できるようにしたいと思っています。 気を取り直して。 そんな日々でも時間さえあれば本を読んでいるわたしが、 今回ご紹介したいのが『ロマンシエ』。 フランス語で小説家という意味です。 主人公は育ちのいい男の子で、好きな人は男の子。 彼は美術大学を卒業後、パリの芸術学校への入学が認められ、 パリで暮らし始めます。 日本で好きになった男の子のことを想いながらも、 パリの暮…

  • いつか外国語で到達したいところ 李琴峰『透明な膜を隔てながら』

    美しい日本語を読みました。 李琴峰さんという作家の方をご存知でしょうか? 台湾出身、つまり日本語は第二言語。 なのに、なのに、 なんて美しい日本語を書かれるのだろう。 読んだとき、心が震えました。 というのもわたしも外国語学習者だから。 こんなに外国語で表現できるなんて、 尊敬の気持ちだけが素直に湧き出てきます。 そして書かれているエッセイに記された 物事の観察力のするどいこと! 個人と国家の関係、 自分がタピオカを嫌いというと、 台湾の人は皆タピオカが実は嫌いなのかと質問されてしまうことなど。 外国語で小説を紡ぐということ、 第二の故郷で生きるということ、 全てのことが本当にわたし自身のあこ…

  • ミニマムな台所へ ドミニック・ローホー『少ないもので料理する』

    先日、台所に2つものが増えました。 スライサーとヨーグルトメーカーです。 どちらも悩みに悩んで注文したものだけれど、 モノが増えたのは事実。 料理が確実に楽しくなりましたが、 キッチンのものはあれやこれやと新しいものが出てくる世界。 はたしてどれほどのものがあれば、 キッチンで快適に料理できるのか? 今年はキッチンのミニマム化をめざしているので、 増やしたばっかりだけれどモノの量には敏感です。 そんな中参考になるのが、 このミニマムな台所について書かれた本です。 著者はキッチンが小さかろうが大きかろうが、 快適に料理をすることは可能だと教えてくれます。 そのためには必要なものだけを台所に、と書…

  • 生涯行くことのない地へ想いをはせる 川俣一英『エーゲ海の修道士』

    村上春樹『雨天炎天』をこよなく愛しています。 その舞台となっているギリシャのアトスについて書かれたこの本を、 大好きなセラピストさんがお読みになっていて気になって。 お正月明け、ようやく図書館に届きました。 舞台となっているのは女性が決して入ることのできない 聖なる地、アトス。 アトスには巡礼者と聖職者の男性しか入ることができません。 だから、わたしは本でしかアトスの様子を知ることはできません。 だからこそかもしれませんが、 アトスという地に興味深々で、 その好奇心を満たしてくれるのが本なのです。 著者はアトスが本当に未開の地だったころから 何度も訪れ、変わりゆく地に足を運んでいます。 数年間…

  • 寝る本を読んで眠れなくなった話 ショーン・スティーブンソン『SLEEP』

    昨日の夜はあまり眠れませんでした。 せっかくこの本を読んだのに…。 皮肉なことに、眠りについて考えすぎたせいか かえって眠れなくなってしまいました…。 ー午後14時までしかコーヒーを飲まない ー夜パソコンを使わない ー運動をする を家族が実践したところ、よく眠れるようになったというので わたしも読んでみました。 本を読んでみると、 今のひとの生活はどれほど人を眠らなくさせているかを 思い知ることになりました。 つねにさらされているブルーライト、不規則な仕事、 カフェインや添加物たっぷりの食事に、運動不足。 これらが重なると確実に眠りが浅くなる、と指摘する著者。 たくさんの項目が挙げられていまし…

  • 映画から興味を持って ヘミングウェイ『移動祝祭日』

    「シティオブエンジェル」 という映画をご存知でしょうか。 天使と医師が恋をするお話なのですが、 わたしはこの映画が大好き。 久しぶりに見たいと思って、見返してみたら このヘミングウェイの小説が出てくることを思い出して、 かりてきました。 そういえば数年前に映画を観た時も、 この小説の中から映画のなかで引用されている言葉が 印象的で読んでみたのですが、 なんだか本の翻訳が読みにくくて、 その時はあまりおもしろく感じられませんでした。 けれど今回見つけた高見浩さんの翻訳では、 解説ももりだくさんで、とにかく面白くて、 この『移動祝祭日』を心から堪能しました。 映画の中で触れられている、牡蠣を食べた…

  • 絵から生まれる物語の宝箱 ローレンス・ブロック編『短編回廊』

    あけましておめでとうございます。 簡単におめでとうと言えないお正月でしたが、 それでも日々は過ぎていく。 できることをできる範囲でやっていきます。 本の時間もいつもより短めでしたが、 そんな時に最適なのが短編集。 以前ご紹介したこの関連作品。 hon-nomushi.hatenablog.com けれど、今回の短編集はホッパーだけではなく、世界中の様々な絵が 題材になっていて、そのせいかホッパーだけの『短編画廊』よりも 小説のジャンルももっと幅広かったように感じました。 一編一編があまりにも違い、絵画の時代も様々なので、 1つ読むたびに前の作品を忘れ、 それぞれの世界に没頭して楽しむことができ…

  • 季節で読みたくなる本 田辺聖子『シクラメンの窓』

    駅に近づくとき、郊外の私鉄電車はスピードを落す。手前のカーブがきついので、線路すれすれまで建った家々の軒を掠めそうになる。やがて駅へすべりこみ、するとホームを隠すような看板で、もう家々は見えない。産婦人科、金融、海老料理店などの看板がつづき、天井の切れたホームの鼻先に、駅前のショッピングビルがそびえる。 ーそのカーブの直前、線路沿いにひしめく民家に車体は傾ぐ。そのうちの一軒の平屋、出窓の一隅に白レースのカーテンが、襞多く畳まれていて、ガラス窓のうちに花の植木鉢が置かれているのが見える。 冬から春はシクラメンで、夏・秋はべゴニヤか、ゼラニウム、いつも赤い花だった。 田辺聖子さんの『シクラメンの窓…

  • 全て作るレシピの本 中川たま『たまさんちのおおらかなおやつ』

    レシピの本は基本的に買わずにすませたい。 本を見て「これ作ってない…」となるのが嫌だから。 けれども久しぶりに、新生活になったばかりの今年の4月に この本と出会ってから、 あまりに図書館で何度も借りすぎて、 さすがに買おうと決めました。 この本の良さ。 それはお菓子のジャンルが多様なこと。 ちょっと何か作りたいときのクッキーや、 本気で作りたいときのおもてなしケーキ。 たべたいときに気軽に作ることのできるチーズケーキや、 暑い時にたべたくなるゼリー。 どんな気分にも答えてくれるような、 多様なバラエティがありながらも、 それぞれのレシピの数はそこまで多くはないので、 せっかく買ったのに作ってい…

  • 意識する、目に入る 原田マハ『さいはての彼女』

    原田マハさんの作品を読み続けたくて、 別の本を借りてきました。 読んでみたらびっくり! 最近知り合った方が関わっているハーレーダヴィッドソンという バイクにさっそうと乗る女の子の話、 訪れたことのある北海道の鶴居村が舞台になっていたりして、 一気に親しみが増しました。 「求めよ、さらば、与えられん」 というのがわたしの人生の指標。 以前脳科学の本を読んだとき知ったことですが、 人間の脳は手段はわからずとも「こうする」と決めることが大事で、 そのことにより目標は達成できるということがわかっているのだそうです。 RASという脳の分野が関わっていることなのだそうです。 RASのおかげでこの本を見つけ…

  • たまに古典と触れ合う オスカー・ワイルド『カンタヴィルの幽霊/スフィンクス』

    オスカー・ワイルドという作家をご存知でしょうか? きっと大学で英文学を専攻された方などは、ご存知なのではと思われます。 言わずと知れた古典の1つですが、 古典というのは何ともとっつきがたいもの…。 読みにくい訳に古語が混じって、本の本質を理解する前に ギブアップしてしまう…。 わたしは古典にトライして、何度も撃沈した記憶があります。 けれどもこの光文社の古典新訳文庫は、どの古典も新訳、 つまり現代語に訳されているので読みやすいんです。 だから、古典を読もうという意欲がわくのです。 時折手に取っては読んでいる古典ですが、 このワイルドの作品は面白くて面白くて、 先が楽しみであっという間に読んでし…

  • 絵画と小説の出会い 原田マハ『暗幕のゲルニカ』

    いや、おもしろかった。 夢中になって読みました。 『三体』(以前のブログにあり)を最近読破したので、 図書館をうろうろして読みたい本を探していたところ、 原田マハさんの作品に出会いました。 以前彼女のモネを題材にした本を読んだことがあったので この小説もすごく楽しみでした。 原田さんの小説は、物語の展開がとにかく面白いだけではなく、 絵画の知識とが合わさる独特の作風。 この2つを上手くミックスするのは、 彼女にしかできないのではないでしょうか。 今回のゲルニカを題材にした小説も、 現代とピカソの時代をゲルニカでつないだ作品。 どちらの時代も女性を主人公にしていて、 その二人共がとてもリアルでし…

  • お宅訪問の楽しみを本で 伊藤まさこ『あっちこっち食器棚めぐり』

    高校生のころから、インテリアが大好き。 今の自分の家と写真を比べてはため息をついていました。 今は?少しずつ理想に近づけているかな。 高校生の頃はたくさん雑誌を買って、読んでいましたが 今はあまり心ひかれる雑誌やインテリアがなくて、 もっぱらピンタレストで美しい部屋をながめるのみ。 けれどもこの本の写真に、 すっかり魅せられました。 わたしの好みはちょっと海外のテイストがありながらも、 完全カントリーなどはあまり好きではなく、 色々なものがまざっているのが好き。 モダンなものもないと、美しいとあまり思わないようです。 その点ここに出てくるおうちは、 どれもこれもとても好み。 そのうち本を買って…

  • 美しい絵とともに 人生の物語 モーパーゴ作『パフィン島の灯台守』

    なんてきれいな絵。 図書館の本棚に埋もれていた美しいこの本を見つけた時、小躍りしました。 この本の主人公はパフィン島という島の灯台守。 ある日難破した船に乗っていた人々を助け、 その中の少年と一生をかけて付き合っていくというお話でした。 とにかく絵が美しい。そして表紙だけではなく、 中身にもふんだんに絵が描かれているので、 ちょっと長い絵本のように読むことができます。 こんな美しい絵をたくさん掲載してくれるなんて、 これを豊かさと呼ばずしてなんと言えばいいのか。 お話自体は決して難しくはないので、 2年生くらいから自分で読めるかな? 子どもにも読んでほしくて、借りて帰りました。 子どもは「本当…

  • 思春期を本で知る 伊藤比呂美『伊藤ふきげん製作所』

    さすが詩人!なタイトルです。 ふきげん製作所とは‥‥。 仕事で思春期真っただ中の子どもたちと触れ合っているので、 そのためとこれからの子育てのために読んでいます。 思春期って本当に嫌です…。 自分が過ごした日々を振り返ると穴があったら入りたいことを たくさんした日々だった…。 そして今自分が思春期の子どもと向き合うと、 もうそれはそれは腹立たしい…。 勝手なものです。 だけど、親としても困難な時期だからこそ 振り返って客観的に人の子育てを知ると、 ちょっと笑えるようになる。 そんな役割を果たしてくれるのがこの本だと思います。 伊藤さんは思春期の子どもを連れてアメリカへ。 突然環境が変わり、言葉…

  • 新しい占いとの向き合い方 石井ゆかり『3年の星占い 蠍座』

    11月10日。今日発売の本です。 予約で購入しておいたので、 夜中の0時に端末にダウンロードされていました。 開店を待ち本屋さんに行って本を購入する時代から、 欲しい本が朝起きて家ですぐに読めるなんて、 時代は変わりました。 けれど、読み方や本との関りは全く変わりません。 3年前から読み始めた石井ゆかりさんの『3年の星占い』。 これから先の3年を語る、新しい本を心待ちにしていました。 3年というのは結構長いスパン。 内容を忘れてしまったりするので 毎年誕生日に読み返したり、 年度の初めなどにまた読み返したりしていました。 そしてこの本で占いとの新しい関わり合いが生まれました。 それは、読み返す…

  • 仕事を客観的に見る 小川洋子『そこに工場があるかぎり』

    以前から知ってはいたのだけれど、しばらく手に取らずにいた 小川洋子さんの工場めぐりの本。 最初の工場はとにかくものに穴を開ける工場。 軽い気持ちで読み始めましたが、なんだかところどころに 自分と仕事との向き合い方にがつんとくる文章がありました。 決して教訓的な本ではなく、工場をわくわく見学する小川さんの エッセイなのだけれど、客観的な事実を読んで 知識を深めながらも、人と仕事の向き合い方がとにかく面白くて 今の自分と仕事との向き合い方にもすごく参考になりました。 誰かのために、少しずつ改良しながらベビーカーを作り出している会社。 様々な工夫を凝らしながら存続してきた鉛筆の会社。 全ては書ききれ…

  • とにかく稲垣さんの本ばかり 稲垣えみ子『アフロ記者が記者として書いてきたこと。退職したから書けたこと。』

    今夢中になってひたすら読んでいる稲垣さんの本。 きっかけは『家事か地獄か』という一冊と出会ったことでした。 朝日新聞で記者として働いていらしたころの稲垣さんの記事は、 身に迫るものがありました。 原発に反対しながらも、結局のところ電気が(たくさん)ないと 生きられない生活をしている今の自分のこと。 今の社会がもうかるためのしくみで、 もっともっと、と買うものが多すぎて、 実は不便になっている生活のことなど。 なんというか、頭がごんとなぐられたような衝撃を たくさん受けました。 自分自身が電気をたくさん使う生活をしながら、 脱原発と言っている現実は、 本当に身に迫るくやしさと切実さがあります。 …

  • スーツの選び方 内澤旬子『着せる女』

    洋服の選び方、実は知らないのではないか? とこの本を読んで心から思いました。 何冊も出会ってきた内澤さんの書物の中でも、 最近出会ったこの著書。 男性のスーツの選び方について、実際の男性をモデルにしながら 変身する写真と共に実況中継をしてくださっています。 「肩があっていないと変」 というスーツ姿。どこが変なのか、何があっていないのか 1から本を読んで勉強です! こんなにもスーツの選び方にコツがあるのだと伺うと、 配偶者のスーツ選びに迷って目が回りそうですが、 でもやっぱり「合っている」「合っていない」が 歴然と現れてしまうスーツ姿…。 洋服とはなんと難しいものなのだろうと、 産まれてから一度…

  • 何歳でも変化を起こす 髙森寛子『85歳現役、暮らしの中心は台所』

    先日訪れた友人宅。 独身の頃から、食べること、生きること、道具の持ち方がすごく素敵で、 大好きな彼女。 2人の子どもが産まれた今も、彼女の美しい暮らしは健在でした。 特に彼女は漆器の使い方がとても上手。 今回も氷の入れ物に漆器を使っていてはっとしました。 そんな彼女に手に取ってほしい本が見つかりました。 85歳のギャラリーをされている、髙森寛子さんの本です。 漆器の良さを伝えるためにギャラリーをお持ちで、 85歳の今も現役でいらっしゃいます。 ミニマムな暮らしを考えた時、日本の道具の有用さに 目を見張っているこのごろ。 髙森さんがお使いの、麺用の漆器に目が留まりました。 軽く持ち上げやすく、簡…

  • 頭ではなく紙に覚えてもらう ポーラ・リッツォ『リストマニアになろう!』

    あまりこのカテゴリーに本が多くはないのですが、 実はわたしにとってライフワークともいえる書くことと願望達成の関係。 この本はそこまで「夢をかなえよう!」「理想の自分になろう!」 というほど前のめりの願望達成ではなく、 日常が楽に回るようになるためのリスト作りを進めてくれています。 例えば著者がすすめるのは、旅の持ち物リスト。 (これは終わりのページに実際のリストあり) 旅であれを忘れた、これを忘れたとなると不快なので、 自分の旅に必要なものはリストアップしておくと すごく便利というもの。 これはわたしも実践していて、 何を準備すればいいか紙に書いてあると、 それだけで準備がものすごく早く進みま…

  • 美しいと思う国 椎名誠『アイスランド』

    圧倒的に美しい自然の風景。 いつかのブログで南に惹かれるひと、北に惹かれるひとがいるのでは、 と書いたような気がするのですが、 わたしは圧倒的に北に惹かれるひと。 小さいころに見たラップランドの景色を忘れられず、 リンドグレーンの影響もあって北欧にいつも惹かれます。 その惹かれる原因は、この荒涼とした氷と光の成す風景。 一度もそんなところに住んだことはないのに、 街から見える近い雪山の風景を見ると、なぜか強い 懐かしさを感じ、心がぐっと動くのはわたしだけでしょうか。 前世というものが記憶されているのでは、と思うくらい 強く強く街と雪山に惹かれています。 アイスランドは幸福度ランキング(それもま…

  • ごほうび読書 リウ・ツーシン『三体』

    以前『火守』を読んでから、 ずっと楽しみにしていた『三体』シリーズ。 色々が片付いてようやくほっとした秋のはじめ。 ついに、読み始めました! 中国の文化革命から始まり、 科学者たちが謎の死を遂げる展開に。 そして宇宙との交信から、地球全体がパニックになっていく。 それだけ読むとなんと薄っぺらいSFのようですが、 多面的、複雑な構成になっていて、時間の流れも色々。 まだ2巻の途中ですが、ずっと読み進めていて 頭の中は別の小説が一切入らないほど。 面白くて面白くて、普段は混乱する登場人物たちも、 人物一覧表をにらめっこしながら読み進めています。 暑い夏が終わり、読み応えのある小説を求めている方にぜ…

  • これからの暮らし 稲垣えみ子『家事か地獄か』

    いつもうーんとうなる視点をくれる稲垣えみ子さんの本。 すっかり感化されて1週間を過ぎました。 稲垣さんにとって、家事は1時間以内に終わるもの。 洗濯機がないからたらいで一日分を洗い、 そうじはぞうきんとほうきとはたきで。 食事は冷蔵庫がないから、ずっと汁物とごはんと漬物など。 だから、考える時間も必要がないそうです。 お風呂は近くの銭湯だから、おふろ掃除もない。 読んでいるだけでなんだかすがすがしくて、 すごく気持ちが良くなりました。 道具は昭和なのに、かえって楽になるという現実…。 楽をするために買った家電が、実は家事を複雑化しているという 現実…。 この生活、「1人だからできるのでは?」と…

  • 違和感の存在を言葉にする 西加奈子『くもをさがす』

    しばらく原稿書きが忙しくて、ブログを書けずにいました。 後回しにしている仕事もあります…。 片付けながらゆっくり更新します。 この本、書評などで見かけて読みたいなあと思いつつ、 図書館ではものすごい予約数で、あきらめかけていたところ ローカルな図書館で見つけて借りられたので、 夏休みの間ずっと読んでいました。 作者の西さんがカナダで暮らしていた時がんが見つかり、 闘病した様子が主に書かれている本なのですが、 外国で暮らすことに関しても深い考察があり、 はっとする記述がたくさんありました。 それで、何度も手に取って読むことに。 がんが見つかった時のショック。 治療が進むにつれての身体の不調。 病…

  • 色々なひとの暮らす、家の中でも台所を取材した本と知り、 楽しみに手に取ってみた1冊。 楽しみな気持ちでワクワクと読み進めてみると、 単なる台所の様相を切り取った本ではなく、 ひとと台所と人生が結びついている、ひとの生そのものを 取材した本だとわかりました。 単に、「この道具がいいよ」「あの道具がいいよ」という本ではなく、 台所と持ち主の生活をからめて描かれた1冊は、 軽い気持ちで読める本ではなかった。 でも、だからこそ見えてくる人と台所の関係。 著者の読み取った台所と人との関係性は、 ただ人の台所を見るだけで終わらせない迫力がありました。 週末の軽い読書にと手に取った本でしたが、 自分の人生と…

  • NZに行ってきました 『ニュージーランドの大らかで自然に寄りそう暮らし365日』

    この夏休み、久しぶりの海外へ行ってきました。 あまりに海外旅行が久しぶりすぎて、異様に緊張しました。 食べ物の持ち込みも厳しいと聞いていたので、 徹底的に持ち物をチェックしての入国でした。 全く未知の国に久しぶりに行くという状況の中、 この本のおかげで、前もってニュージーランドの様子を 知ることができ、ちょっとほっとしていました。 生活をされているからこその視点で見た大手スーパーの情報や、 現地のものの情報を知ることもできました。 おかげさまでスーパーでもお土産を探すときに迷わなくて済み、 とても助かりました。 実際に訪れたことで良く分かった この本に書かれている「大らかさ」。 心地よい時間を…

  • 時々片付けたくなる衝動 群ようこ『老いと収納』『欲と収納』

    群ようこさんの本は時々無性に読みたくなることがあって、 今回も何冊か図書館で借りてきました。 実は今片づけたい衝動に駆られていて、 家の中に不要なものはないかと色々目を光らせています。 引っ越してきてまだ数カ月なので、元の家にも荷物があり、 分散されている今だからこそ片づけを!と燃えています。 そんな時に群さんの本を読むと、なんというか、等身大の 片付けが苦手で困っている人が描かれていて、 なんとも気が抜けるのです。 無駄に片付けへと意気込んだ気持ちが すうっと消えていきます。 モノを片づけようとする気持ちは描かれながらも、 お母様の残された着物が どっさり群さんの家に届いたところは、 自分も…

  • わたしも! 稲垣えみ子『老後とピアノ』

    本の写真をすっかり取り忘れてしまって…。 写真ナシのさびしいブログになりますが、 ぜひこの本について紹介させてください。 実は、わたしも! 50歳になったらピアノをやってみたいんです。 だから、この本を見た時、同じことを考えて体験された方がいる! と心がおどりました。 稲垣さんは究極の生活をされている方で、 家に冷蔵庫も洗濯機もない。 お風呂も銭湯、というつわものですが、 ピアノに関しても取り組みがまじめで面白くて とってもすてきなんです。 再び50代になってピアノに取り組む彼女は、 家ではなく近くのカフェでピアノをかりて ひたすら練習に励みます。 あげくのはてに練習しすぎて手を傷めたり、 と…

  • 再び、リンドグレーン『わたしたちの島で』

    hon-nomushi.hatenablog.com 2017年に書いたブログからもう数年経っていますが、 夏はやっぱり『わたしたちの島で』を読みます。 冬の長いスウェーデンで 夏の一瞬一瞬を惜しむように過ごす人たちが 本当にいとおしい1冊。 今年、ふと思い立って文庫版を買いました。 今年の夏は長めに出かける予定があるので、 4年生の子のベッドタイムストーリーにする予定。 最近は短い本だとすぐ読み切ってしまうので わりと長めの物語を選ばなくてはいけません。 うちの子は犬が大好きだから、登場人物であるイヌの水夫さんに 心惹かれるだろうなと思っています。 素敵な夏の本を、子どもと分かち合う時が来ま…

  • いつか行きたい旅のストック 髙森玲子『スペイン サンティアゴ巡礼の道』

    夏休みですね。 子どもがほっと一息ついているのがわかります。 そして休みになると、旅に出たくなります。 週末ちょこっと時間が見つけられる日をスケジュールを見て探したり。 国内だと2日あれば充分、楽しめます。 だけれど、海外はやっぱり前もって色々準備しなくては なかなか行けません。 ましてや数週間かけてめぐる巡礼の旅は…いつ実現できるか、 まだ未定です。 でも行きたいところを、お金を貯金しておくように貯めていたら、 ふとチャンスが訪れた時に思い出して、 本当に行けるのではないかしら。 だから、その日のために旅場所貯金をして、 書き出しておこう!と思うのです。 わたしが憧れているスペインやフランス…

  • 独特の読書感 津村記久子『水車小屋のネネ』

    単身赴任中の家族の家に行ったら、机上にこの本が置いてあって、 つい読み始めたら止まらなくなってしまいました。 日本の作家の長編はあまり自分で手に取ることがないのですが、 なんというか独特の書き方にはまってしまい、 最後までじっくりしっかり読みました。 まだ若い主人公は、母のパートナーが妹につらく当たるのを見て、 そして自分自身も短大への進学資金を勝手に親に使い込まれ、 妹を連れ、家を出て地方の住居付蕎麦屋さんの仕事に就きます。 そしてその仕事は水車小屋に住む、ヨウムのネネの世話も含まれていて、 ヨウムのネネとの関りを中心に、 その土地と深くかかわって生きていく姉妹の様子が、 数十年単位で描かれ…

  • 思いがけないところに着地 ギヨーム・ミュッソ『パリのアパルトマン』

    一見平和な題名ですが、 実は複線のたくさんある推理小説でした。 そして、かなりどきどきする。 アメリカの脚本家と、イギリス人の警察官がたまたまハプニングで 同じ時期に貸しマンションを借りてしまった。 2人とも以前のマンションの持ち主である、 元ストリートアーティストの失われた絵をめぐって、 様々な冒険が繰り広げられる作品です。 題名のシンプルさと中身の複雑さに大きなギャップを感じながらも、 物語の奥深さ、推理した先、主人公たちの着地点にも 大きな驚きを隠せない作品でした。 いったいどうしたらこんな複雑に絡み合いながらも、 多くの主人公の人生を読者の納得のいく形で納められるのか。 作者への尊敬の…

  • 実は見たことのない幽霊 藤野可織『私は幽霊を見ない』

    幽霊を見たことがある? という質問に、イエスと言える方はちょっと優越感を持って、 この本を読むのかしら。 わたしは、はっきりノー。 今まで見たことがありません。 だけど、考えて見たら幽霊という存在を知ってから、 怖くて怖くてたまりません。 怖い話を聞くと、ぞーっとするし、 夜目が覚めると怖い…。 だいたい、実家でさえ夜トイレに行くのも怖いくらいだったのを 良く覚えています。 今も、怖い話を思い出すと結構目が覚めてしまう。 作者も、一度も幽霊を見たことがないそうです。 なのに、幽霊に興味津々。怖いそうです。でも、出会いたい。 津々浦々で幽霊と出会ったことのある人の話を聞いては 本にまとめたのがこ…

  • それぞれの国が大切にしていること キリ―ロバ・ナージャ『6ヵ国転校生ナージャの発見』

    教育について考えるとき、日本はこうだけど他の国はどうなのかな? と思うことがたくさんあります。 以前留学していたときも、大学でレポートが多いフランスだったので、 他の人がどうやって勉強をしているのか、興味津々でした。 結局良くわからなかったけれど…。 そんな様々な国の違いについて書かれているのが、この本。 6ヵ国それぞれの地元の学校に通った経験のあるナージャさん。 表紙にある通り、国によって教室の机の位置が違うのがまた面白い! こんな風にわかりやすくイラストと文章で、 国々の違いが描かれていて面白いのです。 一番面白かったのは体育の授業! 水泳ではどのくらい泳げるかが大切にされる国もあれば、 …

  • 一生で買う洋服はどのくらい? どいかや『服を10年買わないって決めてみました』

    今、わたしの持っている洋服は全部で37着(下着、パジャマはのぞく)。 もともとあまり多く持っている方ではないけれど、 少な目ではあるのですが全部が活用できているかというと、 そうでもないところが残念なところ。 まだまだ、失敗もあり着ていない洋服もあり、 色々なわたしのクローゼットです。 そんななか、どいかやさんのこの本のタイトルを見て、 思わず手に取ってしまいました。 10年!買わない!困らないだろうか! それまでかやさんが買ってきた洋服は、 もうあふれるほどあって、 さらに詰めこもうとして入らないところから このチャレンジを思いついたとのこと。 なんでこんなに洋服があるのか? 本当に必要なも…

  • 親との別れを想像する 益田ミリ『永遠のおでかけ』

    疲れていて長い本は読めず、かといって何も読まないのは 心が落ち着かない。 そんな時わたしは、よく益田ミリさんの漫画だったり、 エッセイを手に取ることが多いように思います。 この益田さんのエッセイはお父さんとの別れを描いたもの。 闘病期から本当のお別れまでの日々をつづられています。 テーマは軽くないけれど、でも益田さんの淡々とした文章を読んでいると、 そんなテーマでもそうめんが喉を通るように、 身体の中にすんなり入ってくるのが不思議。 わが家の親は70代。まだ元気で働いていますが、 そろそろいろんな人生じまいのことを考えなくてはいけません。 でもでも、40代の自分だって いつ何がおきるかなど、誰…

  • 一歩一歩のその先にあるもの ジェームズ・ボーエン『ボブがくれた世界』

    ネコ好き、イヌ好き、そんな人ならついこのマフラーを巻いた猫に 目が行ってしまうことと思います。 わたしは猫が大好き。今は飼ってはいませんが、 実家にいた時とっても大事にしていた猫がいました。 そんなわけで表紙を見て手に取ってみたのですが、 この猫ボブと飼い主のジェームズは実在の人物(とネコ)です。 薬物使用でホームレスだったジェームズは、ある時この猫ボブと出会い、 路上生活から一歩抜け出し、ホームレスの自立支援を行う ビッグ・イッシューという雑誌の販売者になります。 そのあたりは前作に良く書かれているそうですが、 わたしが読み始めたのはこの『ボブがくれた世界』から。 こちらの作品では薬物中毒か…

  • 須賀敦子の言葉を味わう アントニオ・タブッキ『遠い水平線』

    『遠い水平線』。 この表紙とタイトルの装丁にひかれて、手に取ってみた本。 まるで写真集のような、美しい装丁に心が躍ります。 中身はアントニオ・タブッキというイタリアの作家の作品で、 とりとめのないような物語が展開していきますが、 でもそのあいまいさこそ、タブッキが表現したかったものなのではと 思う作品でした。 そしてやはり、翻訳の重厚さ、日本語の美しさを心から味わえます。 翻訳の日本語の美しさと、その向こうにあるイタリア語が 深く絡まり合っているような翻訳。 物語のすじ、というより翻訳の日本語の美しさを存分に味わえる作品 だと思います。

  • 装丁の美しさ、物語の深さ 劉慈欣(りゅうじきん)『火守』

    しばらく暮らしが落ち着かずにいましたが、 毎週の図書館通いが戻ってきました。 新しい図書館に通うようになって見つけたのは、この『火守』。 それほど大きくもなく薄い本ですが、装丁の美しさにまずは目を奪われ、 そして物語を読んでみたら神話のような美しいSFで、二度心を奪われました。 主人公は愛する人の病気を治すため、命に関わる星の世話を している火守のところへ向かいます。 そこで火守の仕事をつぶさに観察し、手伝い、愛する人の命を 助けようと試みる、という物語。 物語の細部にわたって1つも疑問がわいてこない、 この世界が本当にあるのだと読み手が間違いなく信じてしまいそうなくらい、 作者の頭の中に作ら…

  • 忙しい台所のおとも ワタナベマキ『まずは塩しましょう。』

    まだまだばたばたしている5月。 単身赴任をする家族に料理の本のおすすめを聞かれたとき、 この本が心に浮かびました。 『まずは塩しましょう。』 食材を切って塩をまぶしておいて、すぐ使える状態にする。 そこから日々の料理を展開する。 この「塩をまぶしておく」というひと工程があることで、 食材の水分をコントロールし、おいしく食べられる状態になるのです。 そして塩でひと味加えてあるので、その後に加える調味料は最小限。 簡単な料理とは書いていないので、なかなか料理を始める人が自分で 手に取ることはしないかもしれませんが、 こんな料理の本こそ料理を始める人に最適だと思います。 はじめの一歩を簡単に、時間の…

  • 買い物で自分の考えを主張する 島村菜津『シチリアの奇跡』

    GWに入り、ようやく新生活の4月からほっと一息。 新生活になったため、子どもが予想以上に不安定。 通常よりも手がかかる上に、普段は2人生活。 わたしも新しい仕事が始まり右往左往しておりました…。 5月からはブログも通常運転できるかな。 合間、合間に読書はしつつも、4月は いつもの10分の1くらいしか本が読めませんでした。 さて、そんな中長崎の家族の家に行ったらこんな本が置いてあって、 思わず座り込んで読んでしまいました。 きっと著者のお名前を見て、気づかれた方もいらっしゃるかな。 『スローフードな人生!』を書かれた方です。 シチリアというと、あの有名な映画「ゴッド・ファーザー」が思い浮かびます…

ブログリーダー」を活用して、ことささんをフォローしませんか?

ハンドル名
ことささん
ブログタイトル
いつまでたっても本の虫
フォロー
いつまでたっても本の虫

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用