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  • 6年生の読書 『科学探偵シリーズ』

    もう全部読み切ってしまって、夏の新刊を楽しみにしている我が子。 科学探偵シリーズをこのところずっと読んでいました。 他の物にも手をつけつつ、集中してシリーズを読む楽しみも増えて、 机の上にはたくさんの本が重なっています。 わが家で図書館がない生活は考えられません。 2週に1回は図書館でうろうろしている親子です。 1日のテレビやゲームの時間が決まっているのと、 習い事は基本休みの日にしかしていないから、 その他の時間は何か別の娯楽が必要。 となると手持ち無沙汰になった夜に、 静かな読書タイムが訪れます。 科学探偵、3年生ごろに勧めてみたら「ちょっと怖かった」と 読むことができなかったのですが、 …

  • 自分の直感を信じること 四角大輔『やらなくてもいい、できなくてもいい。』

    ニュージーランドに暮らす四角さんの著書は、 別の作品を先に読んでいました。 それをかみ砕くのに時間がかかって、 今まで他の著書まで手が(目が?)まわりませんでした。 でも何かの拍子にこの本の表紙を見た時に、 「読んでみよ」 と思ったのが最近。 わたしは、 このところ仕事を抱えすぎていて、 特に去年はなんだかパンク状態。 メインの仕事が忙しくなったのに、 他の物を色々入れていたら、気持ちがせわしくなっていました。 思い切って3月でずっと続けていた月1の仕事を辞め、 心からやりたいと思って始めたボランティアもあきらめて、 シンプルに集中すべきことにした4月。 どこかその気持ちや方法に一押しが欲しか…

  • 愛された記憶 飛田和緒『おいしい朝の記憶』

    長い読書の合間には、料理や生活の本を読むのがわたしの読書習慣。 今週は、飛田さんの本を読みました。 読む前からとても楽しみでしたが、 金曜日まで取っておいたかいがありました! この本は料理家の飛田さんが、娘さんに作っていた 車で朝送るときに車内で食べていた「車内飯」とお弁当の記録です。 「車内飯」とはあまり聞きなれない言葉だけれど、 朝家から駅まで遠い人は、意外と車内で朝ごはんを食べている方も いらっしゃるかもしれない、と思いました。 朝ごはんを車内まで運んでいたという素敵なかごと、 色とりどりの朝ごはんにうっとり。 でも、車内飯は運転して送ってくれる人がいてこそ 成り立っているもの。 愛され…

  • 本は、やはり出会いそのもの エリザベス・ギルバート『巡礼者たち』

    これだけ本をたくさん読んでいても、 本のブログを書いていても、 世の中には一生読み切れないほど本がある。 そのことを考えると、 手元にある1冊と出会えたことが奇跡としか 思えないことがあります。 まさにこの『巡礼者たち』は、そんな1冊です。 何かの本の紹介に載っていて、タイトルが印象的だったから 手に取ってみた短編集です。 作家の名前も知らなければ、 いつ出された本か(1999年でした)も全く知らずに読み始めましたが、 なんとまあ、すばらしい小説だったことか。 それぞれきっと、有名になったり、名の残るような人は 一人も出てこない小説だけれど、 生きていたことは確かにこの小説に記されている。 そ…

  • スープが好き 有賀薫『有賀薫のだしらぼ』

    初めて有賀薫さんの肩書であるスープ作家という言葉を見た時、 なんとまあ面白い職業だろうか、とうなったことを覚えています。 料理研究家ならたくさんの方がいて、 あふれそうなレシピの数々がすでにある中で、 スープを主役に仕事をする人がいるということは衝撃でした。 このスープの本の中で、 だしが今の世界では本当に複雑になっていて、 正しいだしがあったり、手抜きのだしがあったりすること、 それぞれの選択肢が多すぎるということをこの本の中で知りました。 中でもこんぶと煮干しのだしは実は奥深く複雑で、 とんでもない存在であることが書かれていました。 そして日本人の繊細なこだわりにもまたびっくり。 疲れたり…

  • 本当に素晴らしいと思う子どもの本 菊谷詩子『となりにすんでるクマのこと』

    「たくさんのふしぎ」 という子ども向けながら月刊で出ている雑誌をご存知ですか。 毎号テーマが多岐にわたり、そのテーマごとの専門家が 内容の監修をされている素晴らしい本です。 いろいろなことに興味があるので、毎号様々なテーマで特集される それぞれに深く興味を持ち、なおかつ子どもにもわかるように書かれているので、 手に取ることが多い雑誌です。 今回はクマがテーマ。 このところ里に下りてきている確率が高いクマが、 どうしてそうなったのか。 保護する方法はあるのか。 里に下りてきてしまったクマにどのように対処しているのか。 今回も様々なことを学びました。 絵もついているから、本当に分かりやすくて、 毎…

  • 結局は時間の問題? 三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』

    この本のすごいところは、なんといってもタイトルでしょう。 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 まさに、色々な人が同じ疑問を持っていたから、 良く売れているのだと思います。 著者は最初の方で読書がだんだん平民のものになってきた歴史的な経緯や、 図書館の普及などにも触れています。 後半でいよいよ本題に突入するのですが、 結局は多忙すぎて余裕がないことから、 本が読めなくなっていくのではという結論に。 結局のところ働く時間が長すぎるということ、 そこから本が読めなくなっているのではと、 長時間労働との関りにも触れられています。 最近家に来てくださった方ともお話したのですが、 走ることが大好きな…

  • これぞ読書のたのしみ 松家仁之『火山のふもとで』

    長野の避暑地でひと夏を過ごす建築事務所の人たち。 新人の所員と、彼を取り巻く人々の様子。 生活の確かな存在感。 季節のうつろいが写し込まれて、まるで美しい絵を すみからすみまで眺めたような満足感で読み終わりました。 これぞ、読書の醍醐味。 大好きな本屋さん、高松のヌルカンガさんがお勧めされていて 読んでみましたが、 これは本当に小説の楽しさを存分に楽しめる一冊でした。 作者は建築事務所や設計の知識が確かにある方なのでは? 人物像はいわずもがな、 建築に関する取材を細かくされたのではないかと思う描写、 食べ物や生活への確かなこだわり、 どこをとっても現実感のある小説でした。 この本は少し時間のあ…

  • 〈番外編〉映画 女優クリスティン・スコット・トーマス

    「ランダム・ハーツ」という映画が大好きなのですが、 そこに出ている女優のクリスティン・スコット・トーマスが大好きです。 彼女のしぐさが美しくて、いつも心から見惚れています。 「イングリッシュペイシェント」でも有名なクリスティンですが、 これまでなかなか観ることのできなかった彼女の出ている 「ずっとあなたを愛してる」 と同時に、 「パリ3区の遺産相続人」 もレンタルしてみました。 「ずっとあなたを愛してる」 のほうは、犯罪を犯し刑務所から出てきた姉(クリスティン)を年の離れた 妹が引き取り、一緒に暮らすという映画。 映画でしか描けないような濃密な家族の時間が、 強く印象に残りました。 一筋縄では…

  • 生活は美しい 堀井和子『早起きのブレックファースト』

    「わたし、食事の中で、一番好きなのは朝ごはんじゃけん。」 とモントリオールに行ったとき、友達で後輩の彼女が一言。 モントリオールではたっぷりの朝食がお昼後くらいまで 食べられるところが多く、レストランでそれを教えてくれました。 朝ごはんを愛する気持ちを言葉にした彼女が とても輝いて見えて、心に残っています。 だから、この本のタイトルを見た時、 これぞわたしのための本だと思いました。 普段は白いご飯とお味噌汁しか作らないのだけれど、 休みの日はパンケーキを焼いたり、パンにスープなど。 家族は卵焼きやソーセージを自分で作って加えます。 本の中は朝ごはんまわりのことだけではなく、 旅のことや美しい美…

  • 本当の気持ちよさ 枝元なほみ『捨てない未来』

    豊かに、たっぷり、安くたくさんあるのがよいこと。 常に新しい、一番上等のものを買えるのが、今どきの豊かさ、 そんな価値観では、未来の人が受け継ぐべきものを先に 食べ散らかしてしまうことになるんじゃないかと思えてきました。 この言葉を読んだとき、 食べ物に対するありがたさこそ、今この手に持って生きたいと 思いました。 現在のお米の価格の上がり方を見ると、 思ったよりも早く食料危機が近づいているのでは。 そんな風に感じています。 上の本のような言葉を、どれだけ多くの人が感じられているだろうか。 早くて栄養価はほどほど、 とにかく手をかけることが一番面倒で 時間の節約が一番の目標である日々の家事。 …

  • 子育ての基本姿勢 『こどもを野に放て!』

    近頃、公園で見かける子は何らかのディバイスを持っています。 遊んでいるとはいえ、遊具で色々する子は少なく、何かの画面を 皆で見ています。 それを見ると、すごく身体が置き去りにされているような感覚があり、 esportsなどの分野にも、 違和感を感じてしまいます。 この本では、大人も子どもも、 今置き去りに考えられている体のことをもっと感じて、 それで生きていくということが 大事、大事と伝えてくださっています。 勉強ができるとか、役に立つとか、将来ばっかりじゃなくて、 今子どもである自分を大切にする教育がもっとできたら、 と急いで大人になったわたしは思います。 それは、今の急ぐ時代すごく贅沢な事…

  • 長いシリーズ突入 マイクル・コナリー『ナイトホークス』

    まだ3月だけれど、きっと今年のわたしの私的読書ハイライト、 1990年代から続くシリーズもの、刑事ハリーボッシュを主人公にした 本を読み始めました。 出会いは以前お話したように、この本から始まりました。 hon-nomushi.hatenablog.com 「ナイトホークス」は、わたしにとってとても特別な絵で、 いつか本物に出会いたいと思っている大切な絵。 ハリーボッシュの最初が『ナイトホークス』で、 そこにもまた運命を感じます。 やっぱり好きでした、ボッシュ。 ヒエロニムス・ボッシュという有名な画家から名前をつけられた 刑事ボッシュ。 一匹狼で、孤独で、 でも事件に関してはおそろしい嗅覚を持…

  • 落ち着いて読書 カズオ・イシグロ『浮世の画家』

    先日まで習い事の試験があって、落ち着かない日々を過ごしていました。 ようやく終わって日常生活の中で、本をご紹介することができます。 わさわさしている気分の時は、落ち着いて長編が読めないのが常なので、 終わってからイシグロさんの作品に手を出しました。 これほどまでに日本的な作品とは、思いもよりませんでした。 翻訳作品とはとても思えない日本らしさ。 話は結論や道筋がはっきりとは示されていないのですが、 かつてもてはやされた画家が自分のしてきたことと ぼんやり向き合うような筋で、 はっきりとした結論があるわけでもありません。 そのあたりがなんとも曖昧なわけですが、 それがなんとも日本らしさを感じさせ…

  • (番外編)映画 ふたりのベロニカ

    急に思い立って、以前みた映画を観ることがあります。 「ふたりのベロニカ」 1991年の映画でした。 大学院生になったとき、まだネットフリックスなどがない時代だったのではないでしょうか。研究室にたくさんフランス語のDVDがあって、小躍りしながらたくさんかりていたことを覚えています。当時はフランス語の生きた会話を聞くことなんて、それほどなかったからです。 この映画はドッペルゲンガーのように、自分が2人いると感じている 女性の話です。そして本当に存在しているという話です。 1人はポーランドで、1人はパリで暮らしています。 それぞれ違う場所で生きて違う言語を話す、同時代に生きている2人。 でも1度だけ…

  • ハードボイルドというジャンル ローレンス・ブロック『石を放つとき』

    先日この本を読んだときに強く惹かれた作家の作品を、 ようやく手に取ることができました。 hon-nomushi.hatenablog.com 知らなかったのですが、探偵ものや事件の作品は ハードボイルドというジャンルなのだそうです。 『石を放つとき』の冒頭の紹介文に、そう書かれていました。 結構好きなジャンルです。 わたしは児童書からビジネス書からとにかく際限なく活字なら なんでも読むのですが、 ミレニアム以降北欧ミステリーを主題としたものをとても好むようになって、 へニング・マンケルの作品に出会いました。 どうやらこのあたりがハードボイルとというのかな? 刑事が主役の物語が面白くて面白くて。…

  • いつ何が起こるかわからない覚悟 辰巳渚『暮らしを整える44の秘訣』

    最初に断っておくと、タイトルにつけた 「いつ何が起こるかわからない覚悟」というのは、 全く本文に出てきません。 わたしがこの本を読んで覚悟したことをタイトルにしました。 ミニマムな生活のはしりとなった『捨てる!技術』の著者の本が たまたま目に留まったので借りてみました。 片づけの本は大好きだから、際限なく読んではいるのだけれど、 辰巳さんの本はやっぱりミニマムな生活の第一人者ということで 手に取らずにはいられません。 けれど、これまで著者のことは全く知らず、 今回の本をきっかけに他の著書を読んでみようと思い、 その本を探す過程で、著者が亡くなられていることを知りました。 今40代になって、何が…

  • 少し先を見据えて 広瀬裕子『55歳、大人のまんなか』

    装丁もいつも美しいと思う、広瀬さんの本を手に取りました。 あるとき、広瀬さんの美しいご自宅の様子を見て目を奪われました。 灰色が主体なのに、シックで美しかったからです。 それから広瀬さんの本は、 機会があるごとに手に取って読んでいます。 年齢による生活の変化についてのエッセイがまとめられている この本を読んでいると、 少し先の自分の生活がイメージ出来てとても楽しい。 もちろん、年齢によってできなくなっていくこともあると思うけれど、 そんなときは道具に頼ったりして生活を軽やかに回していく。 洋服の変化もまたしかり。 今わたしはちょうど45歳。 なんだか洋服も顔つきも自分の中でしっくりしていなくて…

  • 自由を生み出す料理 野村友里『とびきりおいしいおうちごはん』

    生活の中で大切にしていること。 小さいからこそ子どもに本当においしいものを食べてもらうこと。 過度な味付けはせず、素材の味を大事にすること。 幸いわが家の子は保育園にも恵まれ、化学調味料や不自然な食べ物を 取らずに済み、今もとても健康で食べることが大好きです。 小学高学年になった今、 自分で食べたいものは自分の家で作れることを知っています。 そしてそれが本当においしいことも。 派手な料理は一切なく、 たまごやきやウインナーを焼いたり、 お茶漬けを作ったり、 梅干しをほぐして炭酸と混ぜて飲むことなど。 そういった日々のごはんこそ、 大切にしてほしいと思っているから、 自分の手で作れることをすごく…

  • 書類はとにかく簡単に片づける 長野ゆか『はじめてのホームファイリング』

    2022年に出版された本だけれど、なんだかとっても静かなたたずまいの本。 しかし、中身は「全国にホームファイリングを広げたい!」という 著者の熱い思いがこもっていました。 色々ある書類の整理本。 今、わが家ではとにかく簡単に手書きのインデックスラベルをつけて、 1案件1ファイルのシンプルなものに落ち着いています。 場所の関係で立てて収納しているけれど、 基本はこの著者のファイリングとほぼ同じ。 著者は紙のはさむだけのシンプルなファイルを 使われていて、お勧めされています。 紙のシンプルなはさむだけのファイルは、今やあまり見かけない めずらしいものになっていますが、 探すとちゃんと存在しているも…

  • 自分らしさに思うこと 松浦弥太郎『「自分らしさ」はいらない』

    もう土曜日! 昨日はオーブンが壊れてしまってあたふたしました。 近所の友達の家にお邪魔して、オーブンをお借りして、 なんとかケーキができました。 ケーキを仕込んだのが朝仕事に出かける前という、 ばたばたとした1日でした。 何となく犬も落ち着かなくて、なんだろ?な1日でした。 というわけでブログが遅れました。 最近読んだ本。 普段仕事で教育に関わっているのですが、中学生や高校生の多くが 皆自分の好きなことを仕事につなげなくちゃ、将来につなげなくちゃ、 と必死になっているように感じます。 わたしも長い間、好きなことは仕事にしなくてはいけないんだ、と どこかで思い込んでいた気がします。 そして、学生…

  • 新たな生活を夢見て 朴沙羅『ヘルシンキ 生活の練習はつづく』

    あっという間に金曜日! あけましておめでとうございます。 毎日おいしいものを食べ、実家に行ったりお寝坊したり (いつもは4時半に起きるところ、7時頃起きる) 好きなように過ごしています。 自分で作ったおせちがあるから、究極の作り置きで ちょこっとだけごはんのときも、作ればOk。 だらだらとすごしていたらあとワインが1本になってしまった…。 さて、気を取り直して新年のご紹介1冊目。 『ヘルシンキ 生活の練習はつづく』です。 以前読んだ、同じ著者の『生活の練習』が面白くて、 続編があるのを知って楽しみに読むのを待っていました。 著者が関西の人だからか、 ところどころつっこみつつ、 フィンランドで2…

  • 丁寧に物語を追う時間 アイリス・ジョハンセン『囚われのイヴ』+2冊

    推理小説が好きだな。 そんな風に思うようになったのは、ミレニアムを読むようになってから。 それから時間があるときは、とにかく推理小説。 特にこのところはヴァ―ランダ―シリーズの北欧小説に夢中になっていました。 そして最近出会ったのが、新しいアメリカの作家、 ジョハンセンの作品です。 この3冊を読んでいると時間も空間も忘れて、 あるレストランで長時間待っていても全く苦になりませんでした。 長編なんですが、展開が丁寧。 同じ事件を扱った3作品なのですが、 1冊ごとに展開が丁寧になされていて、3冊にわたる小説とは思えないほど。 そして主人公が何よりも周りの人に愛されていて、 緊迫する状況や事件を描い…

  • 各国で違う学校 西村カリン『フランス人記者、日本の学校に驚く』

    あらかじめお伝えしておくと、 この本はフランスの学校がすぐれていて、日本の学校がひどいという本ではありません。その逆でもなく、ただ「違う」というところや、 互いの良いところを客観的に捉えている本です。 フランスに留学したとき、勉強方法があまりにも日本と違って、 結局何を勉強しているのか理解できなかった経験があります。 だからフランスの小学校など、基礎の教育にすごく興味があって、 この本を手に取りました。 冒頭の「学校アンケートに答えているが、これが何の役に立つのかよくわからない」 という著者の一言に、まさにその日学校アンケートに答えた私は深くうなずきました。 日本にいると当たり前にやっているこ…

  • いろんな興味がわいた移住の本 青木真兵 海青子『彼岸の図書館』

    以前一度移住の本を取り上げたことがありましたが、 図書館の本を探しているときに、移住の文字が目に飛び込んできて、 この本と出会いました。 奈良で私設の図書館を開いて、活躍されている青木さん。 わたしの大好きな内田樹さんも登場されて、 何とも充実した読書となりました。 この本は著者が移住した経緯や、 土地との出会い、 図書館を経営(?)したり、人生で出会った人との対談などが ところせましと掲載されている本です。 原発の後、何事もなかったように生活をする人と、 それまでの生活が何によって成り立っていたかに気づいて漠然とする人、 彼らは後者の方。 移住とこれからの生活について、 様々な方と対談されて…

  • ドラマチックな小説はテレビに勝る リュガン『繕いながら、紡ぎながら』

    なんだか更新のペースは乱れていますが、 今週は結構体調を崩す前の読書ペースに戻れました。 図書館通いも再開! でもちょっと疲れ気味です。 まだ読んでいないのですが、『働いているとなぜ本が読めなくなるのか?』 という本を予約中。 今週、わたしはストレスリリースのために意識して長編を読みましたが、 結構物語に没頭しているとすっきりするな、という実感がありました。 疲れすぎていると本を読む気力もなくなる、というのが人の性なのか。 皆さんはいかがですか? 話は元に戻しますが、現実逃避したくなった時は、 思いっきり夢中になれる小説が一番。 『繕いながら、紡ぎながら』はまさに「次はどうなるの?」と 手に汗…

  • 病院で勉強 かぜのたみ『低コスト生活』

    しんどかった1週間を無事にくぐり抜けて、 ようやく体調が戻りました。 (優しいメッセージをくださったtamozoさん、 どうもありがとうございました!) 今回は熱が出ただけではなく、気が付いたら口が開けられない激痛に襲われ、 菌で口のなかが真っ白になっていました…。 最初口内炎かと思って何もせずにいましたが、 あまりの激痛にこれはおかしいと思い、急いで病院を受診しようとするも 病院なんてあまりに久しぶりで、予約システムにおろおろしました。 このごろの病院は前日に予約し、当日はもう受診できないなんてことが あるんですねえ…。 物も固形物は痛くて噛めない(特に舌が激痛)、 一切取れないというなぞの…

  • (お知らせ)来週までブログをお休みします

    土曜日から発熱し、熱が下がりません。 5年ぶりに熱を出しました。 (コロナ、インフルはチェック済み/陰性です) 熱が上がったり下がったり。 大好きな本が読めないので、 しばらくブログをお休みします。 体調がもどったらまた開始します。 本を読んだり暖かくして、 待っていてくださいね!

  • 誕生日のプレゼントに本 ミヒャエル・エンデ『モモ』

    先週の土曜日はわたしの誕生日で、 なんと子どもから本の『モモ』をプレゼントしてもらいました。 『モモ』は昭和50年代生まれのわたしが小学生の時に話題になった本。 両親が「話題になっているよ、読みたい?」 と珍しく買ってきてくれた本でした。 夢中になって読んだ後、大切に取っておいたのですが、 いつぞやの引越しの後、一度手放したのでした。 最近また読みたくなって図書館で借りていて、 夜寝る前に読み聞かせでずっと読んでいました。 「やっぱりいいな、モモ買おうかな。」と つぶやいていた言葉を子どもが覚えていてくれて、 なんとプレゼントしてくれたのでした。 内容は小学生に読んだときも、今読んだときも、 …

  • 先日モンサンミッシェルに行った時も思ったのですが、 修道院の生活とは、なんと心が落ち着くものなのでしょうか。 部屋は質素で必要なものだけ。 祈りと奉仕、日々の生活がシンプル。 もちろんそれだけではない、見えないところの色々はあると思いますが、 今求めているシンプルな生活の原点やヒントが 修道院の生活にはあると思います。 そして修道院の食の豊かさ…。 この本を読んで、デザートもあったり、美しい色の 野菜スープを見ていると、 本当の意味での食の贅沢とは何かを考えます。 この本はヒルデガルドという伝説の修道女の 食養生のレシピがたくさん載っています。 (現代でも作れるようにアレンジされています) 身…

  • これからの生活を考える 四角大輔『超ミニマル主義』

    家にあった本で、何度も手に取りつつも読み切れなかった本。 ようやく最近最後まで読み切ることができました。 なぜ読み切れなかったか?というと、 それは参考になることが多すぎて、なかなか進めなかったから。 1つ読んではメモして、また少し進んでと、 亀の歩みで読んでいます。 この本は良くある物から派生して、 人生にもミニマルを派生させていくというより、 ミニマルに生きるための考え方や生き方に焦点を当てています。 だから、すぐに実践できることばかりでもなくて、 読むのにすごく時間がかかっています。 もちろん物のコンパクト化についても掲載されているので、 そこを参考にされたい方にも、最適な書だと思います…

  • 生きる場所としてのパリ 松本百合子『それでも暮らし続けたいパリ』

    10月13日からフランスに行っていました。 フランスは14年前に留学していた場所。 その後11年くらい前に、友達の結婚式に訪れたきりでした。 フランスに住みたくて実現したというのではなくて、 成り行きで留学をすることになったという、 なんとも消極的な理由で14年前に住むことになったフランス。 だからあこがれて、目をきらきらさせて住んだというよりは、 あの1年は留学のプレッシャーに耐えつつ、 貧弱な自分のフランス語に苦しみながら 1年間耐えきったという期間でした。 それでも、今のわたしがいるのは あの時のフランス生活があったから。 日本以外の価値観を体験できたことは、 人として大きな財産になりま…

  • 人が暮らす場所 小林奈穂子『生きる場所を、もう一度選ぶ』

    このタイトルを見て、まさにわたしは 「そうだ、生きる場所をもう一度自分で選びたいんだ!」と 強く思っていることを実感しました。 わたしは小学生の頃から読書のおかげで外の世界にあこがれ、 高校生からは早く家を出るために地方の大学を狙い失敗)、 その後ようやく結婚を機に地元を離れ、 それから一度も地元に戻りたいと思ったことがありません。 できれば転勤族になりたいくらい、引っ越しが大好き。 幸い家族がいろんなところで仕事をする経験があり、 関東内をうろうろと。 一度は単身フランスに住む機会もありました。 九州も、縁あって住むことができました。 だけど、実は一番住みたいと思っているカナダに 住んだこと…

  • 行きたい場所に行くと決めること 渡貫淳子『南極ではたらく』

    以前、ごみを減らす暮らしの本を読んだときに、気になっていた渡貫さん。 南極で料理人として働かれていたとき、コーヒーすら排水溝に流せないと 伺って、南極の生活に興味を持っていました。 ようやく読めた1冊。 難局に行くまでの試験や、なぜ行こうと思ったのか、 そしてもちろん南極滞在中の話も書かれています。 本を読むまで南極にどんな人が暮らしているかなんて、 考えたこともありませんでした。 彼女の本を読んで、体験することがないだろう 南極の生活を充分に味わいました。 本を読んで、 彼女は本当にプロの料理人なんだな、と つくづく感じました。 一年分の食料を持ち込むために計算をする、 だとか、やっぱりその…

  • わたしのこと…HSP 時田ひさ子『かくれ繊細さんのめんどくさい疲れを手放す方法』

    先日、子どもが腕を骨折したときのこと。 行きつけの整体院で、子どもの治りははやいけれど、 わたしのからだの状態があまりにも悪くて驚かれたことがありました。 どうも、子どもの不調を引き受けてしまったみたいです。 (怪しいと思われる方もいらっしゃると思うけれど、 人は何かしら影響を受け合いながら生きているものだと私は思っています) そんな中、たまたま図書館の新刊で手に入れた本を読んでいたら、 わたしにも家族にもまあ、当てはまる当てはまる! わたし自身もHSPだったんだなと、初めて認識しました。 HSPとはかなり繊細で認識領域が幅広く、 それを周りに悟らせないような態度を取ったりする人のことだそうで…

  • 学校って… 工藤勇一 鴻上尚史『学校ってなんだ!』

    先日教育に関するテレビを観て、そのあと気になっていた工藤さんの本を 読みました。 著者のおひとりは公立の学校の改革をされ、 そして今は横浜の私立学校の校長先生をされています。 わが家は子どもが公立に馴染めず苦しんだ経験から、 関東にかえってきてからは少人数の私立に通っています。 けれども自分は教育関係者で、去年から 公立の学校で働いています。 だからこの本を読んでみようと思いました。 今、働いてみて思うことは、自分が通っていたころの中学校と あまり変わっていないのがなんともはがゆいところ。 さすがに暴力はないけれど、 一斉授業が成り立たなくなってきているのではないかな? と思っている所です。 …

  • (番外編)映画「モンタナの風に抱かれて」

    eiga.com 古い映画を観ました。 お休みの午後、ゆっくりと。 何度も観たことのある映画なのですが、 大好きなクリスティン・スコット・トーマスが出ているので、 事あるごとに見返しています。 クリスティンの演技や雰囲気が大好きなので、 彼女の出ている映画はたくさん観ているのですが、 DVDを持っているのは「ランダムハーツ」だけ。 だからたまに借りてきては作品を見返します。 ニューヨークで有名なファッション誌の編集をしている彼女は、 事故の恐怖から狂暴化した馬の治療のために、いちるの望みをかけて ホース・ウィスパラーにお願いすることに。 ニューヨークには来ないという彼に会うためにモンタナへ向か…

  • 気負わない旅の記録 益田ミリ『考え事したい旅』

    モンサンミッシェルの本を探していて、 図書館で普段行かない書架に行ったら、 素敵な旅の本をたくさん発見! しばらくは旅の本についてばかり書いてしまうかもしれません。 第一弾は、益田ミリさんの気負わない、フィンランドの旅の本です。 何年かにわたり旅をされたフィンランドの旅。 カフェにいったり、エストニアに旅したり、 合間にスーパーでおいしいものに出会ったり。 益田さんの文章は、なんというかひっかかりがなく、 がんばらせようとする感じがなくて、 それでいて心に残るのです。 だから、本当に夜寝る前に読むのに最適で、 彼女の本と一緒だと 一日を小さな笑顔と期待で締めくくることができるんです。 「明日何…

  • 世界の果てをみてみたい 井形慶子『英国セント・ギルダ島の何も持たない生き方』

    ミニマリストの本かな?と思いながら手に取ってみたら、 今は人の住んでいない無人島から人が引き上げた時のこと、 その前の島の歴史について書いた本でした。 著者はイギリスについてたくさんの著作がある方。 まだわたしはイギリスに行ったことがないのですが、 メアリー・ポピンズからパディントンまで大好きな本がたくさん! だからいつか行ってみたい、と強く思っているのです。 旅リストの優先順位的には高くはないのですが。 そんな中、ミニマリストの本かと思って手に取ってみたら、 まあ著者とこの場所の出会いの面白いこと。 そしてこの本を書いてくれと、最後の住民たちから 言われたかのような不思議な出来事が綴られてい…

  • 読み終わりたくなかった本 ヘニング.マンケル『スウェディッシュブーツ』

    読んでしまった…読み切ってしまった。 この一週間、あまりコンディションが良くなかったのですが、 色々やることがあって落ち着きませんでした。 なのに、なのに、読まなければならない本をほっておいて、 この本を合間に読んでしまいました。 以前ご紹介した敬愛するへニング・マンケルの この作品の続編です。 hon-nomushi.hatenablog.com いつのまにやら北欧ミステリーにはまり、 様々な本と出会ってきたのだけれど、 マンケルの主人公がやっぱり一番好きなんです。 なぜかというと、情けないから。 人の見たくないところをしっかり描くマンケルが、 真実味があって本当に好きなんです。 そして、読…

  • (番外編)映画「食べることは生きること」

    少し前のことですが、わたしの住む街で選挙があって、 そこに考え方がとっても素敵な議員候補の方を見つけました。 無事当選され市議となったその方とはお家も近く、 先日わが家にお誘いしたところ、 快く来てくださいました。 その時にお誘いいただいた映画の上映会に行ってきました! 「食べることは生きること」 アリス・ウォーターさんが本の出版を機に 日本を訪れた際の様子が描かれています。 Farmer's first. 農家の方がもっとリスペクトされ、 安心して食材を作ることができる世界になるよう、 アリスが取り組んだ数々のこと。 その当時アメリカではそれらが画期的だったこと。 そしてもともとはアリスがフ…

  • 母を想う 齋藤 彩『母という呪縛 娘という牢獄』

    この本を小説だと思って予約をしていましたが、 実はルポタージュに近い作品でした。 作者は記者で、丹念に娘が母親を殺した事件の経過を追いながら、 なぜその結果に至ったのかにいて、 殺しにいたるまでの詳細に2人の生活を追って書かれたようです。 すごく苦しくなりました。 母親は娘の将来を決め、医学部に入ることだけを目的に ひたすら勉強をさせる。 その合間には暴言と謝罪をさせるなど、 徹底的な母の支配がありました。 そして逃げられない。 いつまでたっても支配関係がかわらない。 苦しかっただろうな、本当にお互いに。 そんな気持ちが読んでいる間、 ずっと頭にありました。 わたしにとっても母との関係性は他人…

  • Simple is beautiful 『モン・サン=ミッシェルの修道女 四季の食事とていねいな暮らし』

    来月わたしと子ども、義母でフランスへの旅行を控えていて モンサンミッシェルについての本を探していたところ、 この本に行きつきました。 美しい本です。 ていねいな暮らし、と日本語のタイトルには入っているけれど、 フランス語の原本ではただ「モン・サン=ミッシェルの修道女の食卓」と あります。 すごくシンプルな本で、季節によって特徴的な修道女の作る食事が レシピと風景とともに描かれています。 その地で収穫される食べものを活かした食事の数々。 質素な食事ではありません。むしろ私たちからみたら 乳製品や野菜をふんだんにつかって、 はれの日の食卓に近い感じがしました。 建物の写真の美しいこと! シンプルな…

  • ミステリーへの深い愛 へニング・マンケル『イタリアン・シューズ』

    ヴァ―ランダ―という刑事を主人公にしたスウェーデンのミステリを読んで以来、 すっかりファンのスウェーデンの作家、へニング・マンケル。 普段わたしは気に入った作家がいると、その方の作品をごっそり借りてきては 読むのが習慣なのですが、 マンケルに関してはそのような「まとめ読み」をしていなかった…。 それに気づいたのは先日、この 『イタリアン・シューズ』を本棚で見つけた時でした。 ところが、この作品を読み始めたら 「まとめ読み」をせずに良かった、と安どする気持ちになりました。 というのは、この作品があまりにもすばらしくて、 読み終えるのが惜しくてたまらなかったからです。 そんな気持ちになる作品にはた…

  • 静かな表紙と戦争の話 ジャン=クロード・グランベール『神さまの貨物』

    この本を見つけたのはpinterestにて。 表紙の絵が印象的だと思っていたら、大すきな装丁画家の方のものだと あとでわかりました。 中身は苦しい先の戦争中のお話でした。 戦争により、子どもがこのままでは死んでしまうと思った 収容所に向かう父親が、 電車の脇に立つ女性に赤ちゃんを預けるという話です。 あっという間に読み終わりますが、 ひとこと一言がとても重く、 戦争についての苦しさを感じる本です。 実際に体験をしたことがないからこそ、 戦争がどういうものかについて、 本を読むことでわたしたちは知らなければいけないのではないかと 強く思うこのごろです。 美しい表紙と中身の厳しさにはっと胸をつかれ…

  • 目からうろこのことばかり 高橋真樹『「断熱」が日本を救う』

    知らなかったことばかり! 目からうろこの本でした。 これから家を買ったり建てる方にはぜひ読んでいただきたい! と心の底から思った本です。 わが家は中古の30年越え(確か)一軒家をリフォームして住んでいます。 建物は古いですが、家の中はすべて安全な木材や素材でリフォームしてあります。 間、住んでいない期間もありますが、10年が経ちました。 住み心地はパーフェクトです。 家の床は全て国産の木材のため、 長崎に引っ越した時人工のフローリングが気持ち悪く感じたほど。 床の素材は、結構重要です。 その他、リビングの壁は珪藻土のため、 湿度を調整してくれるのでそこまで高温になることはありません。 なかなか…

  • 自分のためにきれいに過ごす 小林照子『45歳から変えていく50のこと』

    40代の途中になって、 なんだか肌が色々荒れてきました。 元々肌は強くないので、気を付けているつもりなのだけれど、 数年間続いたマスクのあと気が付いたらぼつぼつができていました。 もうどうしようもないかな? と思った時、たまたま小林照子さんのからだ化粧のテレビを観ました。 もちろん作品もすばらしかったのですが、からだ化粧を施す 彼女の手の技が美しくて見とれました。 そして彼女の手を使ってお化粧をする姿を見た時、 これがわたしに必要な手段では?と思ったのです。 そして出会ったこの本。 お金をかけずに自分の手を使って行う様々な美容の方法。 そして生き方、心の持ちようまでも書かれている、 とっても素…

  • 美しいものを愛する ビューラー&ロペス『ジョージア・オキーフとふたつの家』

    大きな本だから、家に入れるのをすごくためらいつつも、 ほんとうは手元に置きたい愛する本。 わたしはジョージア・オキーフという画家を愛していて、様々な画集を 眺めてはため息をつきます。 この本はそのオキーフの2つの家の写真を集めたのものです。 砂漠の中にある2軒の家を持っていたオキーフ。 どちらも荒涼とした風景の中に、オキーフが見出した美しさで あふれています。 オキーフにとって、 アメリカでもっとも美しいと思う場所だったのだそうです。 いつかこの乾燥した砂漠の家を見に行こう。 きっと一度もトライしたことのないことに たくさんトライをしなければいけないだろうけれど。 台風の中、テレビを観るのをに…

  • 旅に想いをはせて 内田洋子『海をゆくイタリア』

    昨日まで一泊二日で長野に行っていました。 家族の軽い誘いで外泊キャンプについ付き合ってしまったのですが、 蚊の猛攻が記憶に残る滞在となりました…。 実は外で寝るのが結構苦手。 虫は蚊以外ならわりと平気ですが、 ずっとぶんぶんされると、やっぱり苦手です。 いつも家付きでやどかりみたいに旅ができればなあ、 と思っているのですが、 そういえばこの本を読んで、船もあるんだな! と思いました。 内田洋子さんはイタリアに関する著書がたくさんおありの方で、 ことあるごとに手に取っています。エッセイが多いかしら。 けれどこの本は物語のような、 架空の登場人物がイタリアの各地を美しい船で周るという 夢のような旅…

  • 信頼するパンの本 幸栄『何度も作りたくなる四季のパン』

    長崎から引っ越してきて、信頼するパン屋さんまで少し遠くなってしまって なかなか買うことができません。 自分で作ることも一応できるのですが、 その時頼りにしているのが幸栄さんのパンレシピ。 一次発酵は3時間と長いのですが、 卵を使う使わないが選べたり、 バターが必要なかったりして、 私にとって本当に作りやすいレシピです。 基本的にパンは、 こねないパンで乳製品がいらないレシピを選んでいます。 この本はイーストの発酵時間を工夫してくれて、 そのあたりがとっても作りやすくていいです。 でも、今気になっているのは、 冷蔵庫で長時間寝かせられるパンのこと。 幸栄さんのパンはおいしくて大好きなのだけれど、…

  • 50代を見据えて 『大人のひとり暮らし 住まいとお金』

    生活をすることと、お金を使うことは切り離せないものですが、 そのお金の使い方について書かれた本はあまりなかったのが現実。 家とお金のお話もベールに包まれていたように感じます。 それがここのところ、こんな分かりやすい本がでてきたので、 とても助かっています。 この本はただ家を買い替えたり、リノベーションをしたという実例だけではなく、 どうしてそれをするに至ったかや、お金の使い方まで きちんと取材して書いてくださっています。 そのため、 収入に対してどうやって支出を考えているか、 身の丈にあったお金の使い方が すごくよくわかる本になっています。 それがよかったです。 数年経つとお金の価値も変わりま…

  • ゆっくりと差し出される親切 E.L.カニグズバーグ『ティーパーティーの謎』

    親切ややさしさを、これみよがしに「大事にしようね」と差し出そうとする 物語がある。 いわゆる道徳の教科書に載りそうな物語たち。 この物語は上のような物語とは対極にあり、 親切ややさしさを、人にわからせずに最高のタイミングで そっと人に差し出すような、そんな本物のやさしさが描かれている。 読み終えた時、深い感動のあまり動けなかった。 こんな風に、良きことをあからさまではなく、人に伝える物語を描く作家には どうしたらなれるものなのか。 主人公は中学1年にあたる子どもたち4人と担任の先生。 「博学大会」のメンバーにそれぞれ選ばれているのだけれど、 それぞれの子に背景があり、静かな関わり合いがある。 …

  • 静かな世界を楽しむ読書 パトリック・モディアノ『カトリーヌとパパ』

    この1週間、時間だけはあるので ずっと読んでいなかった本に手をつけています。 静かだけれど美しい物語『カトリーヌとパパ』も ずっと原書に挑戦しようと思いながらもトライできずにいましたが、 ようやく全部読み切ることができました。 だけれども全部はよくわからなくて、 今朝翻訳と照らし合わせてもう一度。 こんな美しい物語がわたしの本棚に眠っていたんだ。 再発見した気分です。 作家のモディアノは静かななんて事のない風景を 物語にするのがすごく上手な方です。 ですから、とりたてて何かあらすじを思い出そうとすると 思い出せないことも多いのです。(わたしだけ?) けれど、この物語はお父さんと娘が主題だからか…

  • 自分の手で洋服をきれいにする 茂木孝夫『家庭でできるカラダにいい洗濯術』

    ここしばらく、クリーニング屋さんを使ったことがありません。 ダウンやスーツも家で洗えることがわかったから。 この本で洗い方をちゃんと教わったからなのです。 ダウンだけは身体にやさしい洗剤を使うところに ワザワザお願いしていたのですが、 すごく高くて洗濯費用がかさんでいました。 そしてスーツもクリーニング屋さんに頼むものと思っていたので、 一度も自分で洗ったことがありませんでした。 そもそも、ドライクリーニングとは何か。 わからないまま出していたのですが、 この本を読んで理解したら、 環境負荷が高いことがよくわかりました。 もし自分で地球にやさしい洗剤で洋服が洗えたのなら、 それが一番コストがか…

  • 休めない日本の根幹 保坂亨『学校と日本社会と「休むこと」』

    日本にいるときは何にも思わなかったことの1つ。 電車が時間通りに来る。 荷物が時間指定の通りに届く。 レストランで何も言わずに水が出てくる。 フランスで暮らしていたころ、 電車はストで止まることがある。 荷物はたまになくなることがある。届かない。 レストランでは色々言わないと自動的に何かしてくれることはない。 日本の当たり前は当たり前ではない。 そんなことに気づいた外国生活でした。 ちょっと話がそれましたが、 この日本で当たり前になっている上のことは、 誰かの労働の元で成り立っている。 休みなくお店が空いているのは、働いてくださる方がいるから。 そのもとは?実は「休むこと」に対する罪悪感のよう…

  • 全く知らない方の意見を聞く 後藤由紀子『毎日のこと、こう考えればだいじょうぶ。』

    今週は月がおやすみだったから余裕のある週のはずなのに ぜんぜん余裕がなくてへとへとでした。 きっと夏休みが近くて、気が緩んでいるせいでしょうね。 1学期間、結構わが家には変化がありました。 そんな疲れ切った中で読みたいなと思うのは、 暮らしのことを書いた本。 純粋に楽しめて、 ちょっと役に立って、 そして気軽に手に取れるところが好きです。 この本も期待を裏切らないおもしろさでした。 そして読んだ後、ちょっとほっとさせてくれる本。 お店の店主さんである著者がお客様からいただく たくさんの質問に答える形で進んでいきます。 身近に相談できる人がいないときには、 本に頼ってみるのも一つの手。 わたしの…

  • 「味わい何度もかみしめる」のカテゴリー ラバスキス『葬られた本の守り人』

    このブログには、「味わい何度もかみしめる」 というカテゴリーがあります。 どんな本をここに入れているかというと、 読んだ後に本を通じて知ったことを軽々しく口にできないような、 少し重めのテーマを扱った本だったり、 小説でも何度もその場に自分がいたら、 と思い返しながら読んだ本が集められています。 要は考えさせられるテーマの本をたくさん集めている カテゴリーなんです。 このカテゴリーにぴったりだと思ったのが、 今回紹介する「葬られた本の守り人」です。 物語が始まる時代は1930年のアメリカと、 1932年のドイツ、ベルリン。 それぞれ女性が主人公ですが、 2人の運命が少しずつラストに向かって重な…

  • 映画とおいしいもの 宮下奈都『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。』

    先日『ワンさぶ子』の本を紹介したのですが、 ずいぶん前に同じ著者のこちらも読んでいたのでした。 おいしいものがいっぱいのエッセイは、 それだけで本当に読んでいて楽しいものですが、 それが宮下さんのエッセイとなれば、 それはそれはもう、期待を裏切らない面白さでした。 題名にあるウミガメのスープというのは、 古い映画「バベットの晩餐会」という映画に出てくるスープなのだそう。 映画、ずっと観たいと思っていたこと、 この本を振り返るまですっかり忘れていました。 おいしいものが食べたいとき、 だけれども作る元気が出ない時、 そんなときも本にちょっと助けられて また毎日のごはんと向き合うことができる。 わ…

  • 宗教とジェンダー ドナ・W・クロス『女教皇ヨハンナ』

    少し前にビーターラビットの作者が主人公の、ミスポターという映画を観ました。 ポターが生きていた時代は、まだまだ女性が地位や名誉の釣り合う人と 結婚しなければならない時代。 独身だったポターが自ら自分の人生を切り開いた様子は、 とても印象的でした。 そんな時、たまたま見つけたこの本は、 女であるがゆえに勉強もままならず、 本当は女性であることを隠して学び続けた末に ついに女教皇になるという小説です。 時代背景も面白いのですが、宗教もからんでいて 女性の教皇というのもとても興味深かった。 ミスポターと時代は違えども、 女性がやりたいことをできない環境がずっとあったということを、 どちらの映画も小説…

  • 他人事にならないこと ルー・バーニー『7月のダークライド』

    文庫で見つけた本ですが、少し重かった。 主人公は大学を中退し、アルバイトをして生計を立てている青年。 人を助けることなど考えもしなかった日々の中で、 あるとき公共の施設でたばこの跡がついている子どもに出会います。 そこから彼らを救うべく公共の施設に問い合わせたり 様々な手段を講じても全く虐待から子どもたちを救うことができない。 そこでなんの手立てもこねもないのに、 1人で(時に友達の手も借りて)子どもたちを救い出そうとする小説です。 人の善意のようなもの、時に生じる誰かを助けなければという想い。 これはだれにでもふいに起こり得るものなのかしれない。 この小説を読んでいると、 作者はそんな風に考…

  • 家族とのかけがえのない時間 宮下奈都『ワンさぶ子の怠惰な冒険』

    普段は立ち寄らない図書館で出会ってしまった美しい表紙の本。 宮下さんの本は小説も何冊も読んでいます。 だけれども、彼女の作品の中ではエッセイがとても好きで くすっとわらってしまうことがたくさんあるので、 すごく読んでいて幸せな読書なのです。 なにが面白いか。 ご家族の普通の生活から拾い上げられた 家族の静かな面白いエピソードが、 その瞬間そのものを的確にとらえていてすごくいとおしいのです。 生きているという感じがして、 でも生々しすぎなくて、 書く人と書かれる人の距離感が絶妙なのです。 家族の小さなエピソードは、 たわいもない感じがして人に伝えるのが難しいのだけれど、 他の人も楽しめるように書…

  • おいしい=はれのごはんではない 稲垣えみ子『アフロえみ子の四季の食卓』

    先日、ぬか漬けのことを書きましたが、 その貴重さ、ありがたさを裏付けする本をまた読んでいました。 冷蔵庫なし生活をしている稲垣さんの料理の本です。 冷蔵庫がないから、基本野菜は干す・漬けるしかないそう。 調味料も砂糖は使わず。 買ってきたその日のぜいたくごはんとしてがんもを煮て、 その甘さを味わうというような料理をされているそうです。 四季を通じて、汁物とごはん、漬物のまさに日本の昔の食卓。 だけれどもこれがしみじみとおいしく、身体にやさしく ぜんぜん飽きないのだそうです。 それを考えると、今の食事のなんとバラエティーに富みすぎている事か。 それが地球や農家や生産者の方に負担のかからない方法な…

  • 今の平和をかみしめて モハメッド・ビダ『カブール、最悪の13日間』

    これは、アフガニスタンのフランス大使館で勤務していた方の 緊迫のルポタージュです。 それまでのアメリカによる支配が終わり、 タリバンが中心となった政権に代わるとき、 安全だった大使館エリアが一気に緊張感の高まる場となり、 国外へ戻る人をとにかく助けるために奔走した時の話です。 でも、複線のように描かれる作者の生い立ちもまた 平和そのものとはいえません。 というのも、彼は移民だから。 いわれなき暴力をうけたり、警官から嫌な目にあわされたり、 露骨な差別に会った日のことを鮮明に覚えているそうです。 命の危険が迫る中、弱いものの立場に立ち、人を助けた彼。 カブールでの活躍で勲章ももらったそうです。 …

  • おいしいものは自分で作る 有元葉子『ぬか漬け帖』

    先日、久しぶりにおいしいお蕎麦屋さんに行った時のこと。 お通しのぬか漬けが美味しくておいしくて、レジにも売っていて 子どもに買ってくれとせがまれました。 他の物も買っていたので、 その時ぬか漬けを買わなかったら、 「ぬかづけ…ぬかづけ…」 と呪いのようにつぶやき続けられました。 うちの子は自然派保育園で育っていて、 わが家も小さいころかなり食に気を付けていたので、 そういった地味な昭和の食べ物が大好き。 だけれども、こんなにぬか漬けを気に入るとは…。 これは自分で作らなければ、と 信頼する有元さんの本を借りてきました。 ぬか漬けの材料はとってもシンプルなんですね。 ただ、毎日かきまぜる作業と様…

  • ほっとする家を見る 『衣 食 住 「あたりまえ」の見直し』

    子どもが学校で骨折をして、てんやわんやの水曜日。 夜まで病院にいて、疲れ切って帰ってきました。 当たり前の毎日がどれほどありがたいものか、 また痛感しました。 そして医療従事者の方のプロフェッショナルさに、 感謝の気持ちでいっぱいです。 そんなわけでブログの更新が遅くなりました。 さて、ありがたさを痛感した「当たり前」が、 もし衣食住の中で自分の苦しさを生み出すものであったなら、 そこは改善していいのでは?というのがこの本のコンセプトです。 心地よく暮らしている人たちの暮らしのリズム。 例えば金曜日は自分時間で子どもではなく自分を優先する方。 夕食は果物でOKにしたり、 部屋のレイアウトを賃貸…

  • お餅大好き 飛田和緒『お餅の便利帖』

    お餅が大好き。 一番食べるのは、きなこ。 その次に、しょうゆ砂糖。 知人の家でお餅を大福代わりにして、 いちご大福にしたときは衝撃的だったなあー。 大福=ぎゅうひと思い込んでいましたから。 そんないちご大福の衝撃をさらにくつがえす お餅のバリエーションがこの本に載っています。 一番驚いたのはピーマンにお餅をつめて、 ベーコンで巻くというもの! これは衝撃的でした。 お餅の上に具材をどーんと乗っけたり、 野菜と組み合わせてみたり、 おすしのようにイクラをのせてみたり。 要は今までおもちにしてはいけない(?)と 思っていた固定観念が良い意味で 崩されていく気持ち良さのあるレシピばかりでした。 お餅…

  • 家族だからこその学び 『お父さんのための言いかえ図鑑』

    先日も、家族間の会話でいらいらしたことがありました。 そんな時、この本を手に取って読んでみたらまあすっきり! 具体例があまりにもわが家にせまるので、 ぶんぶんうなずいて、 最後はわかってもらえた安心感でいっぱいになり、 ちょっぴり涙まで出てしまいました。 誤解をまねく書き方をしてしまいましたが、 わが家はそこまでひどい夫ではなく、 かけてくれる言葉は言いかえの言葉が多かったです。 けれどもやっぱり伝えないとわかってもらえないこともあるし、 色々工夫が必要だな、と本を読みながら思いました。 職場の人とのコミュニケーションなどにも 役に立ちそうなところがすごく良かったです。 そして他人事ではなく自…

  • 逆輸入で日本文学を読む 『須賀敦子が選んだ日本の名作』

    (画像をお借りしています) 須賀敦子さんの本を読んだとき、この日本文学を編集され、 翻訳されたというくだりが出てきました。 特に気になったのは『道』という作品。 なんということはないと須賀さんがおっしゃっている 日常を読んでみたくて、手に取りました。 そういうわけで今週は普段はあまり読まない日本文学を 読んだのだけれど、 普段日本文学をあまり読まないわけを痛感しました。 日本の昔の(時代がざっくりしすぎているけれど)小説は、 優柔不断な感じというのでしょうか。 『道』もまた、煮え切らない2人の夫婦の生活を 描いていて優柔不断さに少しいらいらしました。 これを読んだ外国の人は、日本のどこかじめっ…

  • 移民、フランス ハン・ユンソプ『ボンジュール、トゥ―ル』

    わが家では朝日小学生新聞をとっているのですが、 その書評で紹介されていた本を読んでみました。 主人公は韓国から親の仕事の都合でフランスに移り住んだ男の子。 パリからトゥ―ルという小さな街に引っ越すことに。 そこで借りた家の机に、ひっそりと彫られたハングルを見つけます。 彫った人に興味を持って、家主さんを通じて以前の居住者を探しはじめます。 同時に転校先の学校で、 韓国人か日本人かわからない、愛想のない同級生に 出会い、反発しながら交流を深めていきます。 フランスの実際にある地を舞台にしながら、 祖国や移民という立場に想いを馳せる主人公の姿。 わたしがフランスで暮らしていたころ、 大学にたくさん…

  • 人の善意と悪意 マイケル・モーパーゴ『月にハミング』

    この本の主人公は作者の祖母。 実際にあった物語を主題としています。 戦時中のある日、突然イングランドの島に流れ着いた女の子。 口を利くことができず、なぜそこにやってきたのかわからない状態で ある家族に迎え入れられます。 口がきけなくても過去がわからなくても 家族に温かくむかい入れられた女の子。 でも、その子がその当時戦争相手だったドイツ語のついた 毛布を手にしていたことを知り、 島の人々から嫌がらせを受けるようになります。 最後には女の子の素性が明らかになり、 女の子も話せるようになるのですが、 人の善意と悪意、それぞれが赤裸々に描かれている作品です。 戦争になり人に敵という相手が現れた時、 …

  • わたしの宝物の本 石川理恵『身軽に暮らす』

    先日完全な引越しを終えて、 向こうの家に置いておいた本が全て手元に戻ってきました。 その時にすぐ手に取ったのがこの『身軽に暮らす』。 なぜ、今までブログで紹介していなかったのかしら? それくらい、大切に大切に読んでいる本の1つです。 なぜ何度もこの本を読み返したくなるのか…。 家事の色々や人生が書かれている本なのだけれど、 それだけではもちろんなくて、 なんというか「荷物を軽くする」過程に 目が向けられているからなのだと思うのです。 そしてその作業が登場される方皆それぞれの 個性にあふれているからこそ、 この本が魅力的なのだと思います。 そして「荷物を軽くする」ことが、 登場される皆が自分の望…

  • 4年生の読書 ハリー・ポッター

    10歳になったばかりの時に、子どもが親しくしている友人から ハリー・ポッター第1巻をいただきました。 その後しばらくはこのボリュームだし、手に取らずにいましたが 夜少し読み聞かせをすると、自分で読み出しました。 それからはあっという間。 ほんとうにおもしろかったらしく、 お誕生日にいただいた図書カードは すべてハリー・ポッターにつぎ込み、 次から次へと借りたり買ったり。 3ヶ月ほどで全てを読み切っていました。 同じ学年の子もなぜか同時期にハリーポッターにはまっていたとのことで、 ふたりで盛り上がっていたそうです。 長い物語を読めるようになってくれて、 本当にありがたくうれしいことです。 1年生…

  • (お知らせ)読書検定に入賞しました

    今日は本の紹介はお休みして…。 少し前のことですが、読書検定というのに応募をしたところ、 準優勝大会委員共感賞というのをいただきました。 (遠矢というのがわたしのペンネームです) 読書検定というのは、気に入った本のフレーズを 理由と共に書き出して紹介するというものでした。 このブログを書いているくらいだから、 本との出会いはたくさんたくさんしてきました。 けれどもその時の旬な気持ちを大切にしたくて、 『エーミールと三人のふたご』から一節を選びました。 ケストナーへの深い愛 ケストナー『エーミールと三人のふたご』 - hon-nomushi’s blog 書いた原稿は、このブログに書いたことと …

  • 洋服よりも台所道具 土切敬子『おしゃべりな台所道具』

    わたしはデパートに行くと、洋服を見に行ったはずなのに つい上の方のキッチン用品をふらふらと見てしまう習性があります。 台所の道具が大好き。 だけど、道具がいっぱいあるのは苦手。 だから、厳選されたものだけ家にあればいい。 けれども、「厳選された」ものの分母(ものの知識)が増えるのは大歓迎! だから、ついキッチン道具を見てしまうのです。 なんで台所の物を見るとこんなにわくわくしてしまうのか。 間違いなく趣味の領域に入っているとは思いますが、 それともう一つの趣味、読書が重なり合った本を見つけたら、 わたしが読まないわけがありません。 台所道具ツチキリさんのお店は、 ほぼ日から知りました。 そして…

  • ドラマから興味を持って カリン・スローター『彼女のかけら』

    読むのに少し時間のかかる本のご紹介が続いています。 『彼女のかけら』。 以前Netflixで見たドラマの原作です。 人は身近な人のことを本当に全部理解しているのだろうか? 知っているのだろうか? という問いかけが恐ろしく、胸に突き刺さる小説でした。 主人公はもうすぐ30代の冴えない女性。 母と一緒にレストランで食事をしていたところ、 銃乱射事件に巻き込まれます。 そこで自分も狙われるのですが、 なんと普通の主婦だと思っていた母が犯人と対峙したことで、 母の知らなかった一面を見せつけられることに。 そこから危険な目にあいながら、 母のたどってきた人生を紐解いていく小説です。 人は隣にいる人のこと…

  • 深い感動につつまれる読後 ラーラ・プレスコット『あの本は読まれているか』

    読み終わった後の静かな感動を、どう表せばいいのだろうか。 長い登山を終えて、そして下りきった後にも美しい景色が待っていた。 そうお伝えしたらこの本のすばらしさをわかっていただけるだろうか。 たまたま新しい職場の図書館で出会った本だけれど、 きっと今まであまり手に取られることはなかったに違いない。 結構なボリュームのある本だから。 けれど、まるで山頂の美しい景色を見た途端、 長く苦しい道のりを忘れてしまうように、 読んだことを全く後悔しない本であることは間違いない。 この本はCIAがソ連で禁書となっている本をわざわざ西側諸国で出版し、 それをソ連内で配布し人の意識を変えようとする作戦が元になって…

  • 4年生の読書① 江戸川乱歩 少年探偵シリーズ

    もう子どもは5年生になってしまいました。 でも振り返りで4年生の読書を記しておこうと思います。 4年生の最初、大好きだった図書館から遠く離れてしまって、 とても残念がってあまり本を読まなくなっていました。 けれど近くの同じ小学校を卒業した子に、 「少年探偵シリーズ」を進めてもらってからは、 図書館通いが復活。 山のように乱歩を読んでいました。 同じ学校の先生もたまたま少年探偵がお好きで、 本をお借りしたり色々しながらすっかりはまって過ごしていた彼。 4年ともなると様々な本を借りるもので、 大人の本にも少し手を出したり、 わたしがわざと椅子に置いておいた本を読んだりして、 うれしいことに2人で読…

  • 大人のためのファンタジー ジュディス・ロッセル『ステラ・モンゴメリーの冒険①②③』

    子どもがハリーポッターにはまっているので(5年生のはじまり)、 ファンタジーの棚によく行くようになりました。 そこでみつけたなんだか地味な表紙の(失礼?)本。 今、3部目を読んでいます。 面白いです。 主人公のステラは母を失くして、父親はわからず。 いじわるで病気がちなおばさま3人が様々な療法を試すために、 国内を旅してまわっています。 けれども①で徹底的におばさまたちから嫌われ、 ②ではいとこたちと家庭教師から学ぶように追い払われ、 そして③では母もおばたちも入学していた名門の学校に入れられます。 学校の厳しさは、時代もあって本当につらいもの。 そして寄宿学校だから、夜も昼も規則でがんじがら…

  • 便利な図書館の電子書籍 尾崎友吏子『時間とお金にゆとりができる「小さな家」』

    ただいま! 長崎の引越しを終えて戻ってきました。 予定やら会いたい方とのごあいさつで、 あわただしい日々を過ごしていました。 持って行った本は1冊だけ。 空いている時間に近くの図書館で本を読んでしのいでいました。 けれど家で少し時間ができて、 ふとこの尾崎さんの本の在庫をカーリルで調べたら、 なんと電子書籍であるとのこと! 神奈川のいつも使っている図書館の電子書籍だったのですが、 ログインしてお借りして、長崎県で読めたのです! 読みたかった本がすぐに遠方でも読めるという体験が、 とにかく新鮮でした。 いつも借りている方には「今更?」の電子書籍ですが(笑)、 わたしには本当に衝撃でうれしいことで…

  • 種というちいさな記憶体 岩崎『種をあやす』

    長崎の小浜温泉近くに、タネトという野菜の直売所があります。 プラスチックフリーで地元の元気な野菜を扱っているところ。 そこによく岩崎さんのお野菜があって、種取り農家さんという存在を 初めて知りました。 なるべく野菜は元気なオーガニックのものを食べたいと思っていましたが、 神奈川にいるときは生産者の方にまであまり想いが行き届いていませんでした。 けれど長崎で暮らしたことで、 生産者の方の顔がしっかり見える関係が沢山できました。 この本は岩崎さんの種取り、農業の様子、日々の静かな戦いが 良くわかる本でした。 戦い、というとなんだかですが、美味しい野菜を作るために どれほど苦労なさったかが良くわかる…

  • 心の動きを丁寧に追う小説 群ようこ「れんげ荘物語」

    群さんの小説が大好きなのに、読んだことがなかったれんげ荘の物語。 先週のひととき、シリーズ全冊を楽しみました。 主人公は40代。 それまで嫌なことをして働いて、 気の合わない母親との生活をしていた彼女は、 仕事を辞めて働かないで暮らすために、 月々10万円で暮らすことにします。 見つけなければならなかったのは、 家賃の安い家。 そこで3万円のれんげ荘に移り住みますが、 れんげ荘は本当にぼろぼろのアパート。 シャワー室とトイレは共同。 だけれども主人公のキョウコは、 家にはなかった安らぎを感じます。 隣人たちもまた一癖ある人達だけれど、 家族よりもよっぽど気の合う人たち。 そんなアパートで始まっ…

  • 遊びは生きるかて 西川正『あそびの生まれる場所』

    日本の子育てを経験していて、 ほんとうに閉塞感を感じます。 電車やショッピングセンターにいる赤ちゃんたちは、 たいていスマホ漬け。 なかないため、親のため?もあるだろうけど、 一番は赤ちゃんが泣くと生まれる まわりの見えないちくちく視線なのではないかと…。 子どもが小学生になっても、 つい「すいません」と謝ってしまうことが今でもたくさん。 だけどそんなぎすぎすした社会だけじゃないことを、 わたしは海外で生活をして知っています。 だから、子どもを自由に遊ばせる場だけは、 塾よりも習いごとよりも一生懸命探して連れて行っています。 保育園はしっかり1人の人として扱ってくれる、 きびしくものびのびとし…

  • 時にやさしい本を手に取る 井田千秋『家が好きな人』

    勤務先にあって、「あ!」と思った本。 本のタイトルを新聞の帯で見つけた時から読んでみたかったんです、 この本。 中は漫画とコミックエッセイとの中間のような、 範囲が少しあいまいな本だと思います。 中は同じアパートに住む住人の、それぞれのインテリアや 生活そのものを題材にしていて、 お宅訪問みたいでとっても楽しい。 個人的にはもっとシンプルな家が好きだけれど、 この年代の頃だったら私も物がたくさんあることが好きだったな、 と思い出しました。 イラストもやさしくかわいらしい。 あれ、どこかで似たタッチの絵をみたことがあるな、と思ったら、 子どもが以前続編を読みたいと願った 『へんくつさんのお茶会』…

  • 本屋さんが好き 朴順梨『離島の本屋』+『ふたたび離島の本屋』

    このところ本屋さんにとっても興味があって、 たまたま読んでいた本の最後にこの本の紹介があったことから読んでみました。 日本には、本当にたくさんの島があるんですね! 知りませんでした。 長崎に住んだときは五島・対馬・壱岐があるので、 離島という言葉がだいぶ身近なものになりましたけれど、 離島という存在は、 関東の中にいるとなかなか意識が及ばないところがあります。 その離島の、しかも本屋さんをめぐる一連のブックは、 その島の読書事情にも思いを馳せることができる すてきな本でした。 離島と、本屋を結び付けたところがこの作者のすばらしいところ! ナイスアイディアに脱帽です。 このブログを書いているくら…

  • ケストナーへの深い愛 ケストナー『エーミールと三人のふたご』

    ケストナー作品と出会ったのは小学生の頃。 夢中になって読んだ『ふたりのロッテ』、もちろん『エーミールと探偵たち』も! なのにこのふたごの本だけは、今まで読んだことがありませんでした。 良く通っていた図書館になかったのかしら? でも、このタイミングで会って本当に良かった。 今回も『エーミールと探偵たち』と同じ登場人物が たくさん出てきます。 今回の読書で気づいたのは、 こんな大人が周りにいてくれたら、と心から思う人たちが たくさん描かれていること。 そして大人のような子どもも、たくさん描かれています。 大人に気遣ったり、やさしさがあったり、 すてきな子どももたくさん登場しています。 でも今回一番…

  • 次の動きを見据えて学び ジェイソン・ヒッケル『資本主義の次に来る世界』

    今週は月曜日まで旅に出ていたので、ばたばたしていました。 普段は単身赴任の家族も家にいて、 なんだかスケジュールがぐちゃぐちゃ。 ようやく落ち着いてブログを書くことができます。 さて、今回の本は小説のように読みやすいものではなく、 経済の本です。 ですがとっつきにくい本ではなく、 読んでみると希望に満ちあふれた本です。 資本主義の様々な弊害が、地球全体に及ぼした影響。 人間が一番偉いと考えてしまうようになった様々な要因、 これまでの文化によって自然が無視されるようになったこと、 それが積み重なって地球がすっかり疲弊してしまったこと…。 著者は環境だけへの影響ではなく、わたしたちの生活を豊かにす…

  • 疲れた時の特効薬 群ようこ『たりる生活』

    「つ、つ、疲れたー」と言いたくなる日は誰にでもある。 もちろん、わたしにも。 そして、そんな時は仕事終わりの日が うれしくてたまりません。 今週もブログアップが遅くなりましたが、 本は変わらず読んでいます。たくさん。 忙しくはなかったのだけれど、体調のメカニズムで 休みたいのに休めないのが辛かったな…。 でもなんとか乗り切りました。 そんな疲れた日は群さんの軽いエッセイがぴったり。 群さんの生活をこの「〇〇生活」シリーズで追っているものだから、 着物の片付け、長年猫とくらしていらっしゃることなど、 まるで知り合いの方のように色々知っている(つもり)。 著者の生活ぶりにとっても親しみを感じていま…

  • LGBTQの描き方 原田マハ『ロマンシエ』

    いつも一定の火曜日または水曜日、 そして金曜日にブログを書く予定でいるのですが、 最近週中が忙しくて、ブログが書けない時が続いています。 なかなか定期的にUPできずに、ごめんなさい。 少し落ち着いたので、来週くらいから定期的にUP できるようにしたいと思っています。 気を取り直して。 そんな日々でも時間さえあれば本を読んでいるわたしが、 今回ご紹介したいのが『ロマンシエ』。 フランス語で小説家という意味です。 主人公は育ちのいい男の子で、好きな人は男の子。 彼は美術大学を卒業後、パリの芸術学校への入学が認められ、 パリで暮らし始めます。 日本で好きになった男の子のことを想いながらも、 パリの暮…

  • いつか外国語で到達したいところ 李琴峰『透明な膜を隔てながら』

    美しい日本語を読みました。 李琴峰さんという作家の方をご存知でしょうか? 台湾出身、つまり日本語は第二言語。 なのに、なのに、 なんて美しい日本語を書かれるのだろう。 読んだとき、心が震えました。 というのもわたしも外国語学習者だから。 こんなに外国語で表現できるなんて、 尊敬の気持ちだけが素直に湧き出てきます。 そして書かれているエッセイに記された 物事の観察力のするどいこと! 個人と国家の関係、 自分がタピオカを嫌いというと、 台湾の人は皆タピオカが実は嫌いなのかと質問されてしまうことなど。 外国語で小説を紡ぐということ、 第二の故郷で生きるということ、 全てのことが本当にわたし自身のあこ…

  • ミニマムな台所へ ドミニック・ローホー『少ないもので料理する』

    先日、台所に2つものが増えました。 スライサーとヨーグルトメーカーです。 どちらも悩みに悩んで注文したものだけれど、 モノが増えたのは事実。 料理が確実に楽しくなりましたが、 キッチンのものはあれやこれやと新しいものが出てくる世界。 はたしてどれほどのものがあれば、 キッチンで快適に料理できるのか? 今年はキッチンのミニマム化をめざしているので、 増やしたばっかりだけれどモノの量には敏感です。 そんな中参考になるのが、 このミニマムな台所について書かれた本です。 著者はキッチンが小さかろうが大きかろうが、 快適に料理をすることは可能だと教えてくれます。 そのためには必要なものだけを台所に、と書…

  • 生涯行くことのない地へ想いをはせる 川俣一英『エーゲ海の修道士』

    村上春樹『雨天炎天』をこよなく愛しています。 その舞台となっているギリシャのアトスについて書かれたこの本を、 大好きなセラピストさんがお読みになっていて気になって。 お正月明け、ようやく図書館に届きました。 舞台となっているのは女性が決して入ることのできない 聖なる地、アトス。 アトスには巡礼者と聖職者の男性しか入ることができません。 だから、わたしは本でしかアトスの様子を知ることはできません。 だからこそかもしれませんが、 アトスという地に興味深々で、 その好奇心を満たしてくれるのが本なのです。 著者はアトスが本当に未開の地だったころから 何度も訪れ、変わりゆく地に足を運んでいます。 数年間…

  • 寝る本を読んで眠れなくなった話 ショーン・スティーブンソン『SLEEP』

    昨日の夜はあまり眠れませんでした。 せっかくこの本を読んだのに…。 皮肉なことに、眠りについて考えすぎたせいか かえって眠れなくなってしまいました…。 ー午後14時までしかコーヒーを飲まない ー夜パソコンを使わない ー運動をする を家族が実践したところ、よく眠れるようになったというので わたしも読んでみました。 本を読んでみると、 今のひとの生活はどれほど人を眠らなくさせているかを 思い知ることになりました。 つねにさらされているブルーライト、不規則な仕事、 カフェインや添加物たっぷりの食事に、運動不足。 これらが重なると確実に眠りが浅くなる、と指摘する著者。 たくさんの項目が挙げられていまし…

  • 映画から興味を持って ヘミングウェイ『移動祝祭日』

    「シティオブエンジェル」 という映画をご存知でしょうか。 天使と医師が恋をするお話なのですが、 わたしはこの映画が大好き。 久しぶりに見たいと思って、見返してみたら このヘミングウェイの小説が出てくることを思い出して、 かりてきました。 そういえば数年前に映画を観た時も、 この小説の中から映画のなかで引用されている言葉が 印象的で読んでみたのですが、 なんだか本の翻訳が読みにくくて、 その時はあまりおもしろく感じられませんでした。 けれど今回見つけた高見浩さんの翻訳では、 解説ももりだくさんで、とにかく面白くて、 この『移動祝祭日』を心から堪能しました。 映画の中で触れられている、牡蠣を食べた…

  • 絵から生まれる物語の宝箱 ローレンス・ブロック編『短編回廊』

    あけましておめでとうございます。 簡単におめでとうと言えないお正月でしたが、 それでも日々は過ぎていく。 できることをできる範囲でやっていきます。 本の時間もいつもより短めでしたが、 そんな時に最適なのが短編集。 以前ご紹介したこの関連作品。 hon-nomushi.hatenablog.com けれど、今回の短編集はホッパーだけではなく、世界中の様々な絵が 題材になっていて、そのせいかホッパーだけの『短編画廊』よりも 小説のジャンルももっと幅広かったように感じました。 一編一編があまりにも違い、絵画の時代も様々なので、 1つ読むたびに前の作品を忘れ、 それぞれの世界に没頭して楽しむことができ…

  • 季節で読みたくなる本 田辺聖子『シクラメンの窓』

    駅に近づくとき、郊外の私鉄電車はスピードを落す。手前のカーブがきついので、線路すれすれまで建った家々の軒を掠めそうになる。やがて駅へすべりこみ、するとホームを隠すような看板で、もう家々は見えない。産婦人科、金融、海老料理店などの看板がつづき、天井の切れたホームの鼻先に、駅前のショッピングビルがそびえる。 ーそのカーブの直前、線路沿いにひしめく民家に車体は傾ぐ。そのうちの一軒の平屋、出窓の一隅に白レースのカーテンが、襞多く畳まれていて、ガラス窓のうちに花の植木鉢が置かれているのが見える。 冬から春はシクラメンで、夏・秋はべゴニヤか、ゼラニウム、いつも赤い花だった。 田辺聖子さんの『シクラメンの窓…

  • 全て作るレシピの本 中川たま『たまさんちのおおらかなおやつ』

    レシピの本は基本的に買わずにすませたい。 本を見て「これ作ってない…」となるのが嫌だから。 けれども久しぶりに、新生活になったばかりの今年の4月に この本と出会ってから、 あまりに図書館で何度も借りすぎて、 さすがに買おうと決めました。 この本の良さ。 それはお菓子のジャンルが多様なこと。 ちょっと何か作りたいときのクッキーや、 本気で作りたいときのおもてなしケーキ。 たべたいときに気軽に作ることのできるチーズケーキや、 暑い時にたべたくなるゼリー。 どんな気分にも答えてくれるような、 多様なバラエティがありながらも、 それぞれのレシピの数はそこまで多くはないので、 せっかく買ったのに作ってい…

  • 意識する、目に入る 原田マハ『さいはての彼女』

    原田マハさんの作品を読み続けたくて、 別の本を借りてきました。 読んでみたらびっくり! 最近知り合った方が関わっているハーレーダヴィッドソンという バイクにさっそうと乗る女の子の話、 訪れたことのある北海道の鶴居村が舞台になっていたりして、 一気に親しみが増しました。 「求めよ、さらば、与えられん」 というのがわたしの人生の指標。 以前脳科学の本を読んだとき知ったことですが、 人間の脳は手段はわからずとも「こうする」と決めることが大事で、 そのことにより目標は達成できるということがわかっているのだそうです。 RASという脳の分野が関わっていることなのだそうです。 RASのおかげでこの本を見つけ…

  • たまに古典と触れ合う オスカー・ワイルド『カンタヴィルの幽霊/スフィンクス』

    オスカー・ワイルドという作家をご存知でしょうか? きっと大学で英文学を専攻された方などは、ご存知なのではと思われます。 言わずと知れた古典の1つですが、 古典というのは何ともとっつきがたいもの…。 読みにくい訳に古語が混じって、本の本質を理解する前に ギブアップしてしまう…。 わたしは古典にトライして、何度も撃沈した記憶があります。 けれどもこの光文社の古典新訳文庫は、どの古典も新訳、 つまり現代語に訳されているので読みやすいんです。 だから、古典を読もうという意欲がわくのです。 時折手に取っては読んでいる古典ですが、 このワイルドの作品は面白くて面白くて、 先が楽しみであっという間に読んでし…

  • 絵画と小説の出会い 原田マハ『暗幕のゲルニカ』

    いや、おもしろかった。 夢中になって読みました。 『三体』(以前のブログにあり)を最近読破したので、 図書館をうろうろして読みたい本を探していたところ、 原田マハさんの作品に出会いました。 以前彼女のモネを題材にした本を読んだことがあったので この小説もすごく楽しみでした。 原田さんの小説は、物語の展開がとにかく面白いだけではなく、 絵画の知識とが合わさる独特の作風。 この2つを上手くミックスするのは、 彼女にしかできないのではないでしょうか。 今回のゲルニカを題材にした小説も、 現代とピカソの時代をゲルニカでつないだ作品。 どちらの時代も女性を主人公にしていて、 その二人共がとてもリアルでし…

  • お宅訪問の楽しみを本で 伊藤まさこ『あっちこっち食器棚めぐり』

    高校生のころから、インテリアが大好き。 今の自分の家と写真を比べてはため息をついていました。 今は?少しずつ理想に近づけているかな。 高校生の頃はたくさん雑誌を買って、読んでいましたが 今はあまり心ひかれる雑誌やインテリアがなくて、 もっぱらピンタレストで美しい部屋をながめるのみ。 けれどもこの本の写真に、 すっかり魅せられました。 わたしの好みはちょっと海外のテイストがありながらも、 完全カントリーなどはあまり好きではなく、 色々なものがまざっているのが好き。 モダンなものもないと、美しいとあまり思わないようです。 その点ここに出てくるおうちは、 どれもこれもとても好み。 そのうち本を買って…

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