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2016/10/28

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  • 『アフリカ・レポート:壊れる国、生きる人々』松本仁一 岩波新書 感想 混沌のアフリカに必要なものとは

    あらすじ・概要 アフリカはなぜ貧しいままなのか。ジンバブエ、南アフリカなどのアフリカの国々を取り上げ、その政情や経済の混乱の理由を説明する。独裁や汚職が横行するアフリカでは、人々の心も荒んでいく。今のアフリカには一体何が必要なのだろうか。 汚職と独裁で社会の信用が失われていく つらい話が多い本でした。 汚職や独裁が日常になってしまったアフリカでは、「国のために何かしよう」という価値観が失われてしまっています。政府高官は国の低迷を「植民地支配のせいだ」と言いますが、過去の植民地支配の影響から脱却することは考えていません。私腹を肥やし、支配することばかり考えています。 上の人間がそんな調子なので一…

  • 『民主主義という不思議な仕組み』佐々木毅 ちくまプリマ―新書 感想 民衆は政治のためにどう関わっていくべきか

    あらすじ・概要 日本では当たり前のものとなっている民主主義。しかし、そこには重層的な問題がある。民主主義の各国の歴史や、民主主義における矛盾や欠点を述べつつ、これからの民主主義を考える。選挙や代議士ありきではない、能動的な政治の在り方とは何なのか。 選挙や代議士だけではない民主主義 正直わかりづらいところもありましたが、民主主義にはさまざまな限界があり、それをなんとかするには民衆の力が必要なのだなと思いました。 さかのぼれば古代ギリシャからある民主制は、アメリカやイギリス、フランスなのでも現れ、「選挙で政治家を選ぶ民衆」が現れます。しかし、それでよかったねとはなりませんでした。 国会議員を市民…

  • 『格安物件の大家とワケあり住人たち』たかはし志貴 本当にあった笑える話 感想 訳あり店子に振り回されたりいい話があったり

    あらすじ・概要 著者の母は格安物件の大家をしている。格安物件なだけあって、訳ありな住人たちが多く、彼女は振り回されっぱなしである。住民たちとのへんてこなトラブルを主に、部屋を借りるときに気をつけたいこと、不動産を買うときに気をつけたいことなども描いたコメディコミックエッセイ。 ありえないトラブルを描きつつ露悪的すぎなくてよかった 露悪的すぎる話だったら悲しいなと思っていたんですが、読んでみたら人情味のある話題もありそんなに苦しくならずに読めました。 大家である著者の母が何だかんだ住民たちのことを気遣い思っているところがよかったです。それが裏切られることも多々あるのですが。 この方のアパートは、…

  • 『森と山と川でたどるドイツ史』池上俊一 岩波ジュニア新書 感想 自然や地理から見るドイツ史

    あらすじ・概要 ヨーロッパの国、ドイツ。ドイツの歴史を追っていくと、森や山や川など、自然から大きな影響を受けていることがわかる。森の恵みを得て生活し、川から商業が発展し、山に畏敬を感じる。自然崇拝からドイツの文化、歴史を探っていく新書。 ドイツ人の自然崇拝からドイツ史を考える ドイツ人といえば合理的、ものづくりが得意という印象がありますが、その印象を覆す本でした。 ドイツの歴史には森や山や川などの地形が大きく関係しています。森からの恵みを得たり、川沿いに移動をして商売をしたり。ドイツの古代から現代まで歴史と地形の関係を紹介していきます。 また、この本はドイツの自然崇拝について語っています。 た…

  • 『呪術廻戦』芥見下々 ジャンプコミックスDIGITAL 感想 先進的だけど倫理のない漫画だった

    あらすじ・概要 虎杖は、呪いの王、両面宿儺の指を食らったことから呪術師たちの戦いに巻き込まれる。呪術師立の学校呪術高専に入学し、そこで呪術師としての訓練を受けた。しかし宿儺を復活させようとする呪霊たちや、虎杖を危険視する呪術師の派閥とも対峙せざるを得なくなる。 倫理があるんだかないんだかわからない漫画 ジャンプ漫画にしてはフェミニズムに対して積極的であり、現代社会におけるジェンダーの問題をよく描いています。 その極みは禪院真希・真衣の双子でしょう。 呪力がないが高い身体能力がある真希は古い価値観の実家を変えるために家を飛び出しますが、残された真衣には呪術師の才能がなく、辛酸をなめ続けることとな…

  • 『エンジニアのための見積もり実践入門』親方Project 技術の泉シリーズ 感想

    あらすじ・概要 人から仕事を受ける上で「どのくらいの規模の仕事なのか、予算はいくらかかるのか」考える「見積もり」。編者をはじめとして、エンジニアたちが「自分にとっての見積もり」について語る。いい見積もり、悪い見積もりを考えることによって、働き方ももっとよくなる。 エンジニアたちの見積もり談義から仕事を考える 商業化された複数人による同人誌なので内容に一貫性がないところもありますが、人々の多様な見積もり事情が見られて面白かったです。 見積もりに対して自分はこうしているという具体的内容、炎上案件の体験談、実際に取ってみたアンケートなど、盛りだくさんでした。 私は技術者ではないですが、「仕事にどのく…

  • 『ウクライナに行ってみた』りえぞう KDP 感想

    あらすじ・概要 著者は東欧の国、ウクライナを旅した。ロシアとの関係を示す場所や、教会の数々をめぐる。大きな被害を出したチェルノブイリ原発事故の跡地や、愛のトンネルと呼ばれる場所にも行ってみた。日本ではわからないウクライナの観光地を紹介する本。 日本にいてもわからないウクライナの姿 地下シェルター代わりのやたらと深いところにある地下鉄や、ロシアとの関係を示す反乱や抵抗のエピソードなど、日本にいるだけでは想像がつかない話が盛りだくさんでした。 悪い過去として扱われるはずが、戦争が起こったことによってまた現代の問題になってしまったのが悲しいですね。 チェルノブイリ原発跡が観光地化されているのはそれで…

  • 『過労自殺 第二版』川人博 岩波新書

    あらすじ・概要 働き過ぎのあまり自殺してしまう、過労自殺。過労自殺に至った人の日記や遺書を公開し、そのおぞましさを見せる。過労自殺について遺族は、企業は何をすべきか。ひとりでも過労自殺する人を減らすため、社会ができることを紹介する新書。 手記の生々しさが恐ろしい この本には多くの自殺者の遺書や日記が掲載されています。文章の訓練をしたことがない人の文章のため、矛盾があったりひらがなが開かれたままだったりします。しかし決してフィクションでは得られない、生々しさがあります。 また、過労自殺を肯定してしまう企業風土、あるいは日本の価値観にも問題があります。個人で背負い込むこと、寡黙であることをよしとす…

  • 『中国少数民族いまむかし 西江・元陽いまむかし』まえだなをこ KDP 感想

    あらすじ・概要 著者はかつて中国の少数民族の村を旅していた。そしてふたたびその土地を訪れたとき、文化の変容に驚く。中国少数民族の過去と今を比較しながら、少数民族の人たちと触れ合い話し合った記憶をイラストエッセイで描く。 変容することがさびしいと思うのはわがままかもしれない 中国の少数民族の村に二回行って、その変化を目の当たりにした旅行記。 独特の文化もそうですが、異邦人を簡単に家に入れ、歓待する文化に驚きます。こうして見知らぬ旅人を歓待する文化は各地にあると言いますが、実際に体験した人の話を聞くと興味深いです。 都会で犯罪者も含め、多様な人間に接しているとなかなか持てない文化ではありますね。 …

  • 『心と体をととのえたら、40代の今が一番健康になりました』高島あがさ BANBOO ESSAY SELECTION 感想

    あらすじ・概要 独身の漫画家である著者は、40歳にして自分の健康を見直すこととなる。運動習慣のこと、美容のこと、精神の健康のことなど、40代には悩みが尽きない。自分の不健康さに向き合いつつ、自分の体を整えていこうとするコミックエッセイ。 せきららで失敗も多い40代女性の健康 せきららな話が多いですが、それゆえに面白かったです。特に婦人科系の話は友人であっても聞きづらい内容なので、こういう形で知れてよかったです。 月経過多や重い生理痛の救世主であるピルですが、人生の後半になると血栓のリスクが高くなり使えなくなります。ピルを使えなくなったときどうするかという話が面白かったです。 ミレーネは名前だけ…

  • 女性主人公アニメのおすすめ15選 ファンタジー・現代・SF

    男性主人公アニメのおすすめを書いたので、今度は女性主人公アニメのまとめを書きました。 まとめてみると意外と男性主人公のアニメの方が見ているとわかりましたね。 ファンタジー 『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった』 『少女革命ウテナ』 『ゾンビランドサガ』 『ポケモンコンシェルジュ』 『ハズビンホテルへようこそ』 『すずめの戸締まり』 『かくりよの宿飯』 現代 『ぼっち・ざ・ロック』 『映画 ゆるキャン△』 『空の青さを知る人よ』 SF 『プリンセス・プリンシパル』 『千年女優』 『映像研には手を出すな!』 『アクダマドライブ』 『けものフレンズ』 ファンタジー 『乙女ゲーム…

  • 『京都深掘りさんぽ』グレゴリ青山 小学館文庫 感想

    あらすじ・概要 京都出身の著者は、自分の知らない京都を漫画にする。伝統産業のこと、町屋のこと、街歩きして目にするものなど。京都出身だからこそついつい見逃してしまう京都の文化を、改めて発見し、大事にしようとするコミックエッセイ。 京都出身の著者が気取らず京都を紹介 京都出身の著者が京都の見どころについて語る漫画。著者は文化が好きですが、京都については知らないこともあり、そのバランスが面白く読めました。 京都にあるものに新鮮に驚きながら、学んでいけるのがよかったです。 好きだったのは山城区の回ですね。京都府の一部ですが、何かと存在感の薄い山城。その山城出身の友人が、著者のことを案内してくれます。京…

  • 『少女革命ウテナ』さいとうちほ 原作:ビーパパス 全5巻 フラワーコミックス 感想

    あらすじ・概要 自分を助けてくれた「王子様」にあこがれるウテナは、男装をしてあこがれの王子様に近づこうとしていた。ある日ウテナは、バラの花嫁を巡る「決闘」に巻き込まれる。バラの花嫁として手荒く扱われる姫宮アンシーを不憫に思ったウテナは、彼女のために戦うことを決める。 アニメとは全然違う世界線だけど面白かった アニメと全然違う話だったので驚きました。 アニメのコミカライズというわけではなく、アニメと同時並行に作られた漫画のようです。どちらが原作でもないようですね。 ストーリーや設定、キャラクターはかなり違いますが、「王子様やお姫様という役割からの解放」というテーマはアニメと同じです。 アンシーの…

  • 『栞と嘘の季節』米澤穂信 集英社 人を殺す栞と、女の友情

    あらすじ・概要 図書委員の堀川と松倉は、猛毒の花、トリカブトの押し花が使われたしおりを発見する。とある女生徒がそのしおりを焼いてしまったが、学校ではトリカブトの毒らしき中毒事件が相次いで起こった。トリカブトの毒を振りまいているのは誰なのか、堀川と松倉は謎を追う。 女の友情と嘘の物語 前回は男の友情の話でしたが、今回は女の友情の話でした。「あの子が大切だから言えない」ということが重なって、さらなる謎を産み出して行きます。 猛毒植物であるトリカブトの押し花が入った栞を配っている人間がいる。存在するだけではなくついには毒を盛られる人まで出てきます。毒の噂が蔓延した学校では生徒たちが不安に刈られていき…

  • 『この本を盗む者は』深緑野分 角川文庫 感想 少女が本と家族の呪いから脱出する幻想文学

    あらすじ・概要 妄執的な読書家の一族に生まれた深冬は、本が大嫌い。一族が所有する図書館から本が盗まれたとき、「ブック・カース(本の呪い)」が発動した。深冬はいやいやながらもフィクションに飲み込まれた町で本泥棒を探すこととなる。 本を偏執的に愛する家族と訣別する物語 ファンタジーというより幻想文学と呼びたくなる、美しさと荒唐無稽さが同居する物語でした。 そして、書物を愛する人間が多数出てきながら、本が好きなことが必ずしも肯定的に描かれないのが面白かったです。現に主人公にとっては本は家族との葛藤の象徴であり、呪いでした。 他のキャラクターもまた本が好きなあまり倫理を逸脱し、他人といさかいます。物語…

  • 『新刊、刷り上がりました!』藤峰式 B's-LOG COMICS 感想 印刷会社の人ありがたいけどちゃんと休んでほしい

    あらすじ・概要 印刷会社に入社した青年子撫川は、そこで某有名少年漫画雑誌を担当する部署に入る。あこがれの漫画に関わる仕事に喜ぶが、そこはトラブル続きの魔窟だった。印刷会社のあるあるトラブルや印刷会社特有の文化を描きつつ、新入社員子撫川の成長を描く。 好きな仕事はやりがいはあるけど危うさもある 印刷会社の全面協力によって描かれた印刷所コメディです。少年漫画の部署に配属された青年が、印刷会社のハードな労働に参加していくこととなります。 グラビア写真集の高度なレタッチ技術や、色味の微妙な調整過程などの印刷会社ならではの描写が面白かったです。 下書き同然の漫画をどうにか印刷しようとしたシーンでは、完全…

  • 『気が合う女友だちは三千里たずねなくてもいる』青沼貴子 バンブーコミックス すぐパラセレクション 感想

    あらすじ・概要 子どもの成長に応じていろいろなところでママ友を得てきた著者。彼女が自分の過去を振り返りながら、友達とうまく付き合うコツ、友達の作り方を語る。積極的に行かないと手に入らない、ママ友ゲットの極意とは。コミュニケーション能力が高い娘や友人のテクニックも紹介 積極的に話しかけてくれる人はうれしいよね 他人との距離感について考えたくなる内容でした。面白かったです。 私自身はコミュ力がないので、ちゃんと友達付き合いが続けられるだけで尊敬します。 うまくいかないときは距離を置く、相手に会いたくなったら自分から話しかける、と自他境界線の引き方がうまいです。 また、この人は面白そうと思ったら積極…

  • 『ファンタスティックプラネット』感想 シュルレアリスム絵画のような世界でSF

    あらすじ・概要 巨大な青い種族、ドラーグ族が支配する惑星。そこでは人間はドラーグ族のペットとして扱われていた。テールはドラーグ族の少女に育てられながらも、彼女の学習機で知識を得る。やがてテールは他の人間たちと合流し、学習機の知識を人間たちに分け与えるようになる。 シュルレアリスム絵画のようなアニメ シュルレアリスム絵画のような絵がずっとアニメーションとして動いています。青い巨人のドラーグ族の不気味な外見や、彼らに愛玩動物として飼われる人間の衣装のちぐはぐさが怖いです。 登場するモンスターもかっこいいというよりアンバランスさが強調されて、見ていて不安になりますね。 しかしそんな不気味な風景でも、…

  • 『めんどくさがりやの自分の機嫌を取る暮らし』てらいまき バンブーコミックスエッセイセレクション 感想

    あらすじ・概要 コミックエッセイ作家、てらいまきは自分の機嫌を取るために、さまざまな工夫をしてきた。家事の手間を減らし、自分をケアして、運動習慣も持つようにしてみる。今よりやりたいことができるように、なおかつ自分が楽でいられるように模索するコミックエッセイ。 そこに至るまでの過程が描かれているのがいい 著者が生活するうえで気づいたことや工夫について語るコミックエッセイです。 白湯を飲む習慣をつけたり、筋トレができるようになったり、ミールキットを使うようになったり、果物を皮をむかずに食べる様になったり。ひとつひとつはささやかですが、生活の質を上げる行為ではあります。 何気ない工夫から生活が楽にな…

  • 『日本アニメ史 手塚治虫、宮崎駿、庵野秀明、新海誠の100年』津堅信之 中公新書 感想

    あらすじ・概要 今や日本の大きな文化であるアニメ。戦前から現代まで、日本アニメの歴史をたどる。黎明期、プロパガンダとしてのアニメ、ファンとの関係など、アニメーションと社会の関係を紹介していく。鉄腕アトム、セーラームーンなどの有名アニメも多数登場する。 日本アニメの歴史と社会の関係 第二次世界大戦期、プロパガンダの道具として日本アニメが発展したことは興味深かったです。タイトルは知らないものばかりですが、見てみたくなりました。 同時に、エンタメ作品であっても時代や政治とは無関係ではいられない怖さもありました。 ディズニーやピクサーなど、海外アニメが日本に与えた影響についても触れられています。3Dア…

  • 『孤独死しないためのおひとりさまサバイバル術』高島あがさ バンブーコミックス エッセイセレクション

    あらすじ・概要 汚部屋住人の母親を持ち、父親ともわだかまりを抱える著者。「おそらく自分は生涯独身で過ごすのだろう」と気づき、ひとりで生きていくことについて考える。健康面の問題や、家族のこと、容姿のことなど、ひとつひとつ悩みながら独身でサバイバルすることを目指す。 ガミースマイルって初めて知った 「サバイバル術」と言うには汎用性がない気がしますが、「大変な立場にいるなあ」という点では面白かったです。 人は40歳で狂うという俗説がありますが、狂う理由も人さまざまで、メンタルをやられながらも生き延びるしかないんだと思います。 歯にかんするあれこれは、今までテーマにしてこなかった人が多いだけに面白かっ…

  • 『お伽草子』太宰治 青空文庫 感想

    あらすじ・概要 みんなが知っている日本のおとぎ話を、太宰治が大胆にアレンジ。美についてあれこれ面倒なことを考える浦島太郎や、こぶ取り爺さんの恥と失敗、かちかち山での年下女性と年上男性を巡る話など、おとぎ話のパロディを詰め込んだ本。 「こんな解釈おかしいだろ」と思いながら楽しめる 文体は古風ですが、「おとぎ話のパロディ」という形式なので比較的読みやすいです。 浦島太郎やこぶ取り爺さん、かちかち山のような一度は読んだことのあるおとぎ話がものすごくひねくれた解釈で語られます。 「こんな解釈おかしいだろ」の連続ですが、そこにおかしみもある。ユーモアにあふれた作品です。 浦島太郎が亀とだらだら話してひた…

  • 『整形水』を見た感想 韓国の外見至上主義を描くホラー

    あらすじ・概要 外見に強いコンプレックスを持つイェジは、自分の醜い姿がインターネットにさらされたことで引きこもりに陥る。そんな彼女を美しくしてくれたのが整形水だった。整形水の魅力に囚われたイェジは、心配する家族すら巻き込んで美にのめりこんでいく。 本当はただ大切にされたかっただけ 脚本はべたべたなホラーですが、べたなだけでは終わらない凄味がありました。 醜いゆえに人にばかにされてきた主人公が、劣等感ゆえに「整形水」に手を出し、逆に転落していきます。 女性が外見を評価され、ランク付けされる描写がめちゃくちゃきついです。 グロデスクですが、あまりリアルな描写ではないのでグロ苦手な私でも見られました…

  • 『ジョージ・オーウェル――「人間らしさ」への賛歌』川端康雄 岩波新書 感想

    あらすじ・概要 『1984』や『動物農場』などの全体主義への批判を小説に書いたジョージ・オーウェル。彼の生い立ちや作家になった後の人生を語りながら、オーウェルの持つ価値観について考える。戦前・戦中、冷戦時代を生きた。ひとりの作家の激動の人生とは。 ひとりの物書きが見た戦前・戦中・冷戦時代 普段あまり作家の伝記は読みません。先入観を得る前に作品を読みたいからです。しかしオーウェルの植民地支配の土地で暮らし、社会主義に期待し、また失望した人生のことが気になったので読んでみました。 一人の作家が植民地支配の支配側、戦争、そして冷戦時代を生きた話としては面白かったです。 オーウェル自身が「『動物農場』…

  • 『汚れた手をそこで拭かない』芹沢央 文春文庫 感想 しょうもない悪意で大変なことになるミステリ

    あらすじ・概要 工事のときの脚立、プールの水、映画撮影のやりとりなど、ごく普通の風景の中に謎が生まれる。それが解明されるとき、人間は心を揺さぶられる。人間の何気ない劣等感や悪意、ずるさからうまれる犯罪を描くミステリ短編集。 人間ってしょうもないことするよなあ しょうもない動機で行われる犯罪をミステリとして描く短編集。しかし人間ってそういうしょうもないところあるよなあ。という妙な現実味があります。 トリックを使った犯罪なんてそうそう起こらないですが、魔が差して犯罪行為をすることはあるかもしれません。そういう「魔が差す」瞬間を切り取るのが上手かったです。 もしかしたら犯罪なんて一生することがなかっ…

  • 『ちいさい言語学者の冒険――子どもに学ぶことばの秘密』広瀬友紀 岩波科学ライブラリー 感想

    あらすじ・概要 子どもたちは徐々にことばを学んでいく。その姿に、言語学者はことばの中の不思議や、真理を見る。子どもたちのかわいらしい言い間違いが、なぜ言語学者には興味深いのか。ことばの発達からことばの真髄を見出そうとする本。 ことばのあいまいさを学んでいく過程でことばを知る 言語学者から見た子どもの言葉の発達。子どもを観察することで日本語をはじめとする言語の面白さがわかります。 ことばのルールにはあいまいなところがあり、そのあいまいな部分を子供が理解するのにはしばらくかかるというところが面白かったです。 たとえば英語の動詞の受け身の特殊変化や、「と」と「か」の助詞の意味の違いなど、子どもは何度…

  • 『AKIRA』を見た ちょっとホラーなSFで、友情と劣等感の物語

    あらすじ・概要 不良少年、金田は事故に遭った仲間、鉄雄を連れ去られた。鉄雄を取り返そうとするも、鉄雄は不思議な力に目覚めていた。力に目覚めた鉄雄は、その能力を使って金田を圧倒し、彼への憎悪を語る。だが、その能力は人間には過ぎたものだった。 友情と劣等感に物悲しくなる 久しぶりに見返しました。 鉄雄はリーダーシップがある金田にずっとコンプレックスを抱いていましたが、同時にいじめから助けてくれた金田を慕う気持ちもあります。鉄雄の持つ二律背反が、作品の人間関係の肝となります。 嫉妬と憎悪、友情とあこがれが複雑に絡み合ったふたりの関係はもの悲しく、崩壊に関しても切なさがありました。 ナンバーズの子たち…

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