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佐藤です、小説書いてます。 https://ameblo.jp/kiyoharu-satou/

高校の文芸部を舞台に、夏目漱石の『三四郎』を読み解きつつ進んでいく恋愛小説、全力連載中!!

佐藤清春
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2016/05/23

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  • 失踪する猫 第9章 - 8

      「それで、けっきょくしゃべっちまったってのかい?」   キティは前肢を舐めながら目を細めた。その横でゴンザレスとクロは『ニャンミー マグロ味』を食べている…

  • 失踪する猫 第9章 - 7

      「ほら、なにも言えなくなっちゃってるじゃない! まったくなにやってんの? なんでそんなもん探してるのよ!」   口を覆ったまま彼は首を振った。それ以上言わ…

  • 失踪する猫 第9章 - 6

       ファンファーレが続けざまに響くと曲はいったん穏やかな相をみせた。流れるように弦が鳴り、そこに木管が重なる。しかし、それは嵐の前の静けさなんだろう。そうい…

  • 失踪する猫 第9章 - 5

       すべての準備が整うと二人は定位置に座った。蓮實淳はデスクに向かい、カンナはソファでPCを開ける。ただ、何度見ても午前の予約はキャンセルだし、その後の枠に…

  • 失踪する猫 第9章 - 4

      「ほんとムカつく」   忌々しそうに呟いたのが聞こえたのだろう、小学生が顔を向けてきた。あら、いけない。さっき考えたのと逆のことしてる。マイナスの感情はマ…

  • 失踪する猫 第9章 - 3

       翌る日は嘘のように晴れていた。   陽射しも強く、蒸し暑い。マンションを出たカンナはまとわりつく湿気を切るように颯爽と歩いた。しかし、頭は重かった。いろ…

  • 失踪する猫 第9章 - 2

       ふたたび鼻に指をあて、彼は黙りこんだ。ビラの内容を思い出し、それと今の情報との隙間を埋める考えを捻り出そうとしたのだ。――ん? ああ、そうか。そういうこ…

  • 失踪する猫 第9章 - 1

      第9章  「じゃ、大きい方のベンが見てたってんだな?」  「ああ、そうなんだよ。こりゃ、間違いない話だぜ。でも、それだけじゃないんだ」  「ん? それだけ…

  • オリンピック精神

     オリンピックがはじまりますね。 ま、別にかまいはしないけど、やはりこういう状況下で敢行するのには違和感をおぼえます。 それになにかというと『オリンピック精神…

  • しどけない猫の寝姿

     梅雨があけ、急に熱くなりましたね。 ちょっと歩くだけでも汗が噴き出てくるし、マスクの内側はとんでもないことになってます。 それは猫たちも同じで、  選択でき…

  • 表参道のアゲハ蝶

     僕の勤め先は本社が移転して、表参道になったんですね。ま、とはいってもすこし奥まったとこなのでとくに《表参道っぽさ》みたいのは感じられないですけどね。しかし、…

  • 失踪する猫 第8章 - 17

      「じゃ、大きい方のベンが見てたってんだな?」   はい?   大きい方の便? あの人、いま「大きい方の便が見てた」とか言ってた?    いや、違うな。  …

  • 失踪する猫 第8章 - 16

       カンナは肩をすぼめながら歩いていた。もういい加減にしてよ。ほんとしつこいっての。遠くなったとはいえ空は光るし、雷鳴も聞こえる。水を吸った靴は重たく、踏切…

  • 失踪する猫 第8章 - 15

      「そう、大きい方のベンだ。あいつはけっこう外に出てるんだ。で、あの日も――ってのは、姐御の言った雷の次の日だけど、まあ、その日もふらっと家を出た。あそこの…

  • 失踪する猫 第8章 - 14

      「だから?」  「だから、そんなに怒らないでよ。私、千春ちゃんにまで嫌われちゃったら、どうしたらいいかわからなくなっちゃうもん」   千春は唇を噛んだ。頬…

  • 失踪する猫 第8章 - 13

       その中を二人は歩いていた。グジュグジュになった靴からは変な音がしている。  「ねえ、千春ちゃん、ちょっと待ってよぉ」   空は黒く、ときおり光った。カン…

  • 失踪する猫 第8章 - 12

       二人は激しい雨の中を帰っていった。しばらく待つとか、タクシーを呼ぶこともできたはずだけど、千春はこう言い放った。  「だって、怖くないんでしょ? だった…

  • 失踪する猫 第8章 - 11

      「カンナちゃん、まだ雷が怖いの?」  「え? そんなことないわよ。ちょっと驚いただけ」   居住まいを正し、カンナは正面を見すえた。ガラス戸の向こうはとき…

  • 失踪する猫 第8章 - 10

      「――ふうん。で、これって、あなたが解決したことなわけ? それを捻じ曲げて書いてるのね? ――え、これは、」   彼は腕を組み、口をかたく閉じている。千春…

  • 失踪する猫 第8章 - 9

       風はまた強くなったようだ。ガラス戸は軋みつづけ、欅の枝も揺れている。  「ほんと変な天気ね。日中あんなに晴れてたっていうのに」  「ああ。それでキャンセ…

  • 失踪する猫 第8章 - 8

       それから幾日か後(七月半ばの土曜のことだ)、二人は洩れ出そうになる欠伸と戦っていた。午後の予約がこれといった理由もなくキャンセルになったのだ。かといって…

  • 失踪する猫 第8章 - 7

       蓮實淳は額に指を添え、しばらく目をつむった。  「じゃ、このままその方向で動いてもらった方がいいのかな?」  「ま、今はそうするしかないだろう。他になに…

  • 失踪する猫 第8章 - 6

      「ま、あの男がなに考えてるかわかりっこないな。それに、『あくりょう』でないのも確かだろう。ところで、クロ、泉川のオッサンはどうしてる?」  「ん? 変わら…

  • 失踪する猫 第8章 - 5

       猫からの報告は逐次もたらされる。とはいえ、探す相手がわからないのだから、漠然としたものでしかなかった。  「先生んとこをずっと見てるジジイはいないな。っ…

  • 失踪する猫 第8章 - 4

       背の高い板塀を回り、彼は門を眺めた。そうしてると、あのことが浮かんでくる。――悪霊か。やはりこの家と脅迫状には関わりがあるのだろうか? しかし、どんな関…

  • 失踪する猫 第8章 - 3

       追い出された蓮實淳はしばらくあてもなく歩いた。探して来いって言われてもどうすりゃいいんだ? それに、もし万が一にも見つかったら連れて帰るのか? 「おい、…

  • 失踪する猫 第8章 - 2

       揺れは収まった。ただ、直後に引き千切られるようにひらかれた。  「だったら、考えてないで探しに行きなさいよ! いやらしいジジイを探し出すの!」  「どこ…

  • 失踪する猫 第8章 - 1

      第8章   蓮實淳は一人でじっくり考えた。  デスクに脅迫状とビラを並べ、そこにあらわれてるものと目に映りにくいものを見ようとした。仕切りのカーテンは閉じ…

  • 失踪する猫 第7章 - 22

      「それもわからないな」  「ま、これ以上考えたってしょうがないよ。まだ情報が足りないんだ。もっと調べる必要があるね。――ところで、さっきの話じゃ、もう占い…

  • 失踪する猫 第7章 - 21

       タクシーを呼び、興奮冷めやらぬカンナを押し込むと、彼は首を回した。コキンコキンと音がする。ストレスが硬く強張らせていたのだ。  「ああ、そうだった。キテ…

  • 失踪する猫 第7章 - 20

      「じゃあ、その爺さんはなんで私たちの店を潰そうとしてるの? この前言ってたけど、同業者で蛭子さんでのことを逆恨みしてるから?」  「そうかもしれないけど、…

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