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2016/05/07

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  • 結んだ縁の繋いだ先に 3

    「もう!!はるちゃんに言いつけるから~~~っ!!」気に入らないことがあると、望海は俺のところに一目散に逃げてきた。襟元をぐしゃぐしゃに濡らして、宝石のように美しい瞳を深海のように煌めかせて、自分勝手な正当性を訴えてくる。その姿を見ていると理性がぶっ飛び、沸騰しそうなほど熱い血が頭にドクドクと溢れてきた。自分のブラコンぶりを振り返ると恥ずかしいと思う場面が多々あるが、天使を泣かせるなんて悪の所業。俺...

  • 結んだ縁の繋いだ先に 2

    結局あの日から、俺たちはふたりと養子になった。恵さんが言うような選択権なんてなかったし、金も手もかかる大きな子供を2人揃って引き取れる裕福な親戚は、どこにもいなかったから。実母でさえ、家庭を壊されることをひどく恐れていた。写真の中で見た優しい笑顔は幻想で、俺たちを見つめるリアルな視線は驚くほどに冷酷で、無慈悲だった。血の繋がりなんて、何の意味もない。―――家族なんて、いらない。「はるちゃん、夕飯はなに...

  • 結んだ縁の繋いだ先に 1

    陽海―――いつからだろう……?いつから間違えてしまったのか、自分でも分からない。感情の境目があやふやで、いくら探してもその答えが見つからない。見つかったところで、今更どうしようもないのだけれど……ベッドに寝転ぶ無防備な姿を見下ろして、深いため息を吐いた。***望海が生まれたのは、夏休みに入ってすぐのこと。からっとした気候とは程遠く、Tシャツが身体に纏わり付くようなひどく蒸した日。毎日のように最高気温を更新す...

  • 明日から

    こんにちは!お久しぶりです。皆さま、お元気でしょうか?寒かった日が急に暑くなって、身体の体調崩しそうになりますね。『過保護な花男くん』の続編に続く陽海編を書き終えたので、明日から短編始まります。近親相姦苦手な方はごめんなさい。短編ですが、楽しんで頂けると嬉しいです。桐生最後まで読んで頂き、ありがとうございます!!ランキングに参加しています。よかったらぽちっと応援お願いします!!にほんブログ村小説(B...

  • ある雨の日に……

    咲 「今日どっか寄ってかない?」「……どこ?」俺の肩に頭を預け、のぞが嬉しそうにスマホを差し出す。でも、差し出されたスマホの画面ではなく、シャツの隙間に視線が吸い込まれた。すこし伸びた前髪が、滑らかな頬にふわりと滑る。指先で毛先を耳にかけてやると、視線を合わせてにっこりと微笑んだ。「駅前にタピ屋オープンしたって、田中が言ってたんだよね。少し遠回りしてみない?」「タピ?」「タピオカ。」「あー、カエルの...

  • 食べごろ 5END

    咲「こ……今野、まさか貰ったの?」放課後、のぞから貰ったチョコを大事に抱えながら部室に顔を出すと、俺と袋を見比べた部員に渋い顔をされた。「何を?」「チョコ。今日バレンタインだろ?お前が貰えるんか?そして受け取るんか?バレたら天使に殺されない??」「ああ、これはのぞから貰ったやつ。」そう言って腕を高くあげて見せびらかすと、悲鳴と雄たけびの不協和音を奏でる。「のぞみんから?え、確かのぞみんと同クラの田中...

  • 食べごろ 4

    望海―――困った。なんか面倒なことになってきた……。「のぞみん、今野んとこ行ってたの?貢物は代わりに受け取っておいたから。」「あー、うん。」 田中から受け取ったものを乱雑にカバンに放り込みながら、チャックが締まらなくなったカバンを見てため息を吐く。―――俺だって、あげたかったのに!!!「なにそれ?」「現国の教科書。借りてきた。」「え?今日って現国ないだろ?焦るからやめて。」「咲のクラスであるんだよ。」「は...

  • 食べごろ 3

    咲「のぞみんが田中に本命チョコ渡してた!!!」1限のチャイムと同時に駆け込んできたクラスメイトが、その一言で教室に爆弾を投下した。それをすぐ後ろに控えていた教師に咎められ、浮ついた教室が無理やり鎮火させられる。でも、俺の怒りは少しも静まらない。田中。それはのぞの唯一の友達。それが今日からは、俺の最大のライバルに変わった。教室で仲睦まじくじゃれ合う姿を何度も目撃しており、やめろと何度も忠告しているの...

  • 食べごろ 2

    望海―――あー、渡せなかった……!!!カバンの奥にしまい込んだプレゼントを覗き込んで、こっそりとため息を吐く。咲は今日が何の日かも知らなかったみたいだし、昔からイベントに無関心なこともよく知っている。赤色で装飾された浮かれた街中を見ても、咲の目には何も映していない。単なる日常の風景として処理され、記憶にすら残らない。先週の土曜日。咲が部活に精を出す中、俺もこっそりと繁華街へ向かった。いつもの性欲を満た...

  • 食べごろ 1

    咲真っ白な息が張り詰めた空気に溶け込み、低い雲が空を覆う。耳が痺れるように痛むけれど、この時間は嫌いじゃない。のぞが家から出てくるまで、あと2分。先月の誕生日にのぞから貰ったマフラーに顔を埋めて、スマホはカバンへ。悴む指先をポケットにしまいこみ、2階の窓を見上げる。白いレースのカーテンが端に寄せられ窓が開くと、のぞが寒さに眉を潜めながら顔を出した。俺を見つけてにっこり微笑むと、跳ねる前髪をキャラ物の...

  • こんにちは~

    遅ればせながら、あけましておめでとうございます!!今年もよろしくお願いします。更新もせずに放置しているブログですが、もうすぐバレンタインということで、咲×のぞの短編を書きました。お話の流れとしては『蛇に睨まれたオオカミ』の後の話になります。明日の10時からはじまります。よかったら遊びに来てもらえると嬉しいです。桐生最後まで読んで頂きありがとうございます!!ランキングに参加しています。よかったらぽち...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 51 END & あとがき

    望海「夏休み、終わっちゃうね。」小さなバケツと花火セット。派手さは皆無だけれど、俺が望んだ最後の夏のイベント。欠けた月が浮かんだ空の下、向かいにしゃがみ込んだ咲が一生懸命ろうそくに火を灯していた。風除けになればと手を翳すと、咲が俺をじっと見つめる。ゆらゆらと揺れる火の光に、咲の顔がぼんやりと映し出される。いつもとは違う咲の顔に、なんだか照れてしまう。見ていられなくて視線を下げると、咲が俺の手に花火...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 50

    咲「咲、汗すごいね?」拭っても拭っても滴り落ちる汗を見つめて、のぞがふわっと笑う。「え、臭う?」「大丈夫。俺も汗だくだから……。」そう言いながら、赤ら顔をしたのぞがにっこり笑う。自分から漂う汗臭い匂いに混じって、隣に歩くのぞからはずっと甘い匂いが漂っていた。その匂いに誘われるように、華奢な首筋に鼻を近づける。「のぞは汗の匂いしない。」「え、なんで?背中もびしょびしょだよ?」「……すげえ甘ったるい匂いす...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 49

    「で、咲となんの話したの?」「さすがに急すぎない?」玄関に一歩踏み入れてから、靴を履いたまま男を見上げる。男の家は駅から20分ほど歩いた、2階建ての古いアパートだった。立て付けの悪いドアを開けると、中は蒸し風呂のような灼熱地獄。開けた瞬間に、目を瞑りたくなるほどの滝のような汗が額を流れる。玄関のすぐ脇には、段ボールが開けられることもなく乱雑に積み重なっていた。その上にさらに女性ものの下着や洋服が重...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 48

    咲の部屋にいるのが気まずくて、久しぶりに陸部に顔を出した。サッカー部が校庭の大部分を占めているから、俺たちが使えるのは端にある空スペースのみ。だからこそ日陰が確保できるから、別に困ることはない。こんがりと焼けた肌の男たちが、ボールを蹴り飛ばしながら何かを叫んでいる。それをぼんやりと見つめながら、木陰で水筒を傾ける。大して動いてもいないのに、休んでばかりだから空になるのが早い。夏休みが、もうすぐ終わ...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 47

    望海―――あれから、咲が全然手を出してくれない……。花火大会の日、初めて咲が触れてくれた。嬉しくて、嬉しくて……俺たちの関係が進展する気がして、次の展開を期待してしまう。いつ続きをしてくれるのかと期待して待っているのに、咲はあの時のことなんてなかったかのように平然としている。ベッドで寝転びじゃれてみても、この前のような雰囲気になることはなく、期待しては裏切られる。毎日その繰り返しで、いい加減俺も疲れてき...

  • ヘビに睨まれたオオカミ 46

    「今日はやめておいたら?昨日具合悪そうだったし、熱中症なんじゃない?」のぞにそう声をかけられたけれど、ここにいた方が気が狂いそうだ。「大丈夫。」と声をかけると、のぞは寂しそうに笑う。俺が避けている事を、鈍感なのぞも薄々気がついているのかもしれない。のぞの心配そうな顔に背中を向けて、今日もいつものように家を出た。頭上から容赦ない熱が降り注ぎ、目に沁みるような地面からの照り返しのダブルパンチで、今にも...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 45

    のぞがあの時のことに全く触れてこない。それが嵐の前の静けさのようで、刑を処される前の受刑者のようで気が気ではなかった。なるべく顔を合わせたくないのに、のぞは朝から晩まで俺の部屋にいる。―――勘弁してくれ……!!俺の心情など全く気にしない様子ののぞは、ベッドに寛ぎながらずっとゲームをしている。のぞといると煩悩で埋め尽くされてしまいそうで、しかも都合がよすぎる場所に寝転んでいるから、手を出しても許されるの...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 44

    「あ、懐かしい!お化け屋敷やってる!!幼稚園の時に陽兄と入ったわ。」「え、入るの?」そう言いながらちゃっかり一番後ろに並ぶと、俺に向かって手招きする。「ビビってんの?」「のぞ、ホラーもお化け屋敷も苦手だろ?なに考えてんの?」「あの頃は俺もまだガキだったから。」「いや、今も大して伸びてないじゃん。」「うっぜ!」ふくらはぎを軽く蹴られながら、俺も大人しく隣に並ぶ。怖いものが大の苦手なくせに、見たがる癖...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 43

    「のぞ、浴衣なの?」「あー、母さんが着てけって。咲はどうせ私服だろうから嫌だって言ったんだけど……。」―――恵さん、マジで神!!!!淡い鼠色の浴衣に、深みのある暗緑色の帯。のぞの白い肌や瞳の色に合っていて、とても様になっていた。のぞの和装なんて初めて見たから、見惚れるだけで言葉が続かない。浴衣のお陰でしっかり男に見えるのに、淡泊な色合いにも関わらず華やかに見える。「なんか、言えよ。」「いや……いいと思う...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 42

    「ねえ、花火大会行かない?」夏休みの宿題を宣言通り2日で終わらせ、後はだらだら過ごすんだとメリハリのある目標を掲げていたのぞが、瞳をキラキラ輝かせながら尋ねてきた。「えー、暑いし人多いからいいよ。夜だと危ないじゃん?」花火大会なんて、父親に連れられて幼稚園の頃に一度だけ行ったっきり。その思い出も、楽しいよりも疲れたが勝っていた。毎年この時期に地元で行われる花火大会は、隣の市と合同で開催されていて、...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 41

    電車とバスを乗り継ぎ、江の島に着いた頃には既に太陽は頭上から容赦なく降り注いでいる。鎌倉に立ち寄り、生しらす丼で腹ごしらえを済ませ、小町通りで買った大量のお土産をリュックに無理やり詰め込み、ようやく今日の目的地である海に辿り着いた。サンダルが砂浜にめり込み、額を伝う汗の量は尋常ではない。逃げ場のない太陽の攻撃をもろに喰らいながら、風の強さに目を細める。夏休みということもあり、砂浜は人で埋まっていた...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 40

    咲「おい、起きろ。」「あ……れ?今野?」田中の肩を揺すると、俺をぼんやりと見つめながら瞬きを繰り返す。膝の上にはのぞが体操着姿で熟睡していて、しがみつくように田中の腰に腕を回しているのが、非常に気に喰わない。渋滞に巻き込まれながら、予定よりも1時間遅れの到着。のぞが家で待ちきれずに朝から学校に行っていると恵さんから連絡をもらい、口元を緩ませながらバスから降りたのに、のぞは校庭にいなかった。どこにいる...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 39

    「今日は1人?」「あ、昨日の……。」昨日と同じようにゲーセンでぬいぐるみを狙っていると、見た顔に声をかけられた。昨日は制服姿だったのに、今日は緩い私服姿。緩くあいた首元には、昨日よりも濃い痕が刻まれている。―――やっぱり、彼女いるんだよな……?「覚えててくれて嬉しい。」「どうも。」人のモノに露ほどの興味もなく、ぬいぐるみをじっと見つめる。教えてもらったようにアームを動かしているつもりが、微妙に先端がズレて...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 38

    望海「望海、もうちょいマシなとこ行こうよ。」「なんで?」「デートにゲーセンは色気なさすぎない?」「だって、咲はゲーセン嫌いだし。」「ここだと死ぬほど職質されるんだけど……。」「あー、俺たち似てないからね。」退屈すぎる時間を持て余し、連絡もせずに始発の電車に飛び乗って、陽兄の住むマンションに向かった。陽兄は、俺のことを一番かわいがってくれる。年が離れていようが、血が繋がっていなかろうが……親に抱かれるよ...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 37

    田中いつものようにテニス部に顔を出すと、なぜかのぞみんがベンチで寛いでいた。また今野と痴話げんかでもしているのかと思ったが、目の下に酷いクマがあるのに気がついて慌てて駆け寄る。「大丈夫?寝てないの?」「……咲が合宿だから。」―――今野が合宿だと、なんでのぞみんが寝れないの……?理由になっていない気がするが、のぞみん相手に普通を求めても仕方がない。着替えるのは諦めて、のぞみんの横に腰をかける。「今野いつ帰...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 36

    「今野~?お前、抜いてたろ?」「抜いてない。」「まあまあ、これでも見て予習しようぜ。」「何コレ?」手渡されたAVを見ると、似合わないスカート姿の男が困り顔でこちらを見つめていた。のぞ以外の女装なんてキショいだけで、大好きなはずの困り顔が少しも刺さらない。「女装子モノ。こういうのは怖くて1人じゃ見れないから。」「趣味わる。」「その格好の今野に言われたくないから。」そう高らかに笑われ、隠し持ってきたノー...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 35

    咲「今野、私服どうした?」同部屋の3年に声をかけられ振り返ると、俺の服を見て固まっている。のぞがせっかく選んでくれた服を着ているというのに、会う人会う人に同じ顔をされすぎて、意味が分からない。―――俺には似合わないってこと……?「何が?」「いや、それどこに売ってんの?」「のぞが買って来てくれた。」「え?ちょっと待って。今野の服ってのぞみんが選んでんの?」「いや、今回だけ。絶対にこれ着ろって。」「……のぞ...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 34

    明日から夏休み。期末試験を無事に終えて、涼しい部屋の中でゲームをしながらベッドに寝そべる。咲の匂いが充満した部屋にいるだけで幸せで、明日からここに入り浸れると思うと頬が弛む。そんな中、咲が思いだしたように口にした。「そういえば、陸部の合宿いつから?」「合宿ってなに?」「え、陸部はないの?」「あー、自由参加だから俺は出ない。」「……そっか。」―――そのニュアンスからして、咲は出るんだよな……?そう思いなが...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 33

    試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、咲と視線が交わる。俺に格好いいって言われるのが、一番うれしいって言ってくれた。だから、たくさん格好よかったって伝えたい。早く声をかけようと立ち上がったが、俺よりも先に女子が駆け寄っていくのが見えた。見覚えのない制服に身を包んだ女子が、咲を見て微笑んでいる。その姿を見ているだけで、シャボン玉のように膨らんでいた気持ちがピシャンと破れた。―――あー、すげえつまんない……。...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 32

    望海―――き、来ちゃった……。咲に内緒で練習試合に顔をだしたはいいけれど、他校なんて初めてでよくわからない。試合時間ギリギリに来たから受付も終わってしまっていて、広い敷地に気持ちが萎える。どうしようと思いながら校舎の方に向かうと、肩を叩かれた。「試合観に来たの?」「え?」「そっちじゃない。」見覚えのあるジャージ姿の男に手首を引かれ、スタスタと歩き出してしまう。その後ろ姿を見つめていても、男の顔には見覚...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 31

    全くやる気のなかったのぞが、瞬時に笑顔を消した。いつもの柔らかな雰囲気を封じて、代わりに全身から気迫が満ちる。エロ目とアイドル鑑賞で来ていたギャラリーがどよめく中、のぞひとりだけ別空間にいた。みんなが予行練習に余念がない中、目をしっかり閉じたまま微動だにしない。身体を使って覚えるのではなく、のぞは頭の中ですべてを完結できる。―――のぞ、やる気だ……。「胡蝶、大丈夫か?具合悪いならやめとく?」心配した西...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 30

    咲のぞがバーを見つめて、軽く助走をつける。バーに近づくにつれてスピードが増して、体重をかけて踏み込んだ。そのまま空に向かって身体がふわりと浮き上がると、バーからかなり高い位置を背中が通過した。そして平行に身体を保ったまま、ゆっくりと着地する。数秒で終わる僅かな時間だと言うのに、スローモーションのように優雅に見えた。先月まではさみ跳びしか出来なかったはずなのに、今は1年で唯一背面跳びをマスターしてい...

  • えりりーん!!!

    昔やりとりしてたメアド使えなくて、こちらで名前叫んですみません!こんばんは!お久しぶりでございます!!すごい前の話なんだけれど、もしかしなくてもコメント頂きましたか……🫨コメントほぼもらわないからどスルーで、昔のコメント見ながら元気出そうと思ってたら、えりりんの名前を見つけました。過保護の花男くん読んでくれて嬉しい!!LIVEにお芝居に、昔と変わらず元気そうです何よりです☺️俺も腸活してる。違う意味で笑元...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 29

    望海放課後、咲にユニフォーム姿を見せたくて電話をかけたのに、なぜか繋がらない。いつもはワンコールも待たずに電話をとる咲だから、電話に出ないのは珍しい。体育館まで距離はないから、その姿のまま部室に顔を出した。「え、のぞみん!?」部室を覗くと、ちょうど部活を終えた部員が着替えている最中だった。ラッキースケベだと思いながら咲の姿を探したが、奥まっている造りのせいで入り口から奥まで見えない。―――あー、残念...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 28

    咲「さっきの体育、のぞみんTシャツ着てなかったって。」―――は?次の授業は理科の実験。そろそろ理科室に移動しようかと腰をあげると、小走りで教室に戻ってきた木村が息を弾ませながら爆弾を投下した。思わず顔を上げると、木村と視線ががっちり噛み合ってしまう。俺を見つめてあからさまに狼狽えながらも、小声でぼそぼそと話し続ける。「乳首透けてたらしくて、エロいってD組が騒いでた。」「マジか。見に行く?」「え、男の乳...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 27

    「のぞみんの彼女ってどんな子?」「え?」咲の委員会が終わるのを大人しく待っていると、同じく彼女の委員会が終わるのを待つ田中が話しかけてきた。「いや、昨日シたって話してたから。」「あー、彼女じゃない。」「え?」「初めて会った子だから本名も知らない。」「……・え?」むしろ、女ですらない。田中が面白いくらいに口をあんぐり開けながら、俺に近づいてくる。咲と違ってリアクションが大きい田中は、単純に話しやすい。...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 26

    「電話なんででなかったの?」結局まっすぐに体育館に向かう気分になれず、図書館で時間を潰して……部活が終わるチャイムに合わせて、慌てて体育館へと走った。体育館を覗くと、タオルを首にかけた咲が俺を見つけて睨んでくる。いつもならさっさと着替えているはずなのに、俺が来るのを待っていてくれたらしい。その視線に笑顔だけ返して、機嫌をとろうと腕に絡みつく。「喋ってて気がつかなかった。」「誰と?」「田中。」「……あい...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 25

    望海「のぞみん、なんかあった?」「何が?」「昼休み終わってから、顔がずっと怖いから。」「わり。」「別に謝らなくていいけど。」田中と一緒にテニス部に顔を出すと、おがっちに睨まれたけれど田中の背中に隠れてやり過ごす。体操着に着替える田中の背中を見つめながら、自分の背中を思い出す。俺と同じもやしだと思っていたのに、咲ほどではないけれどちゃんと筋肉がついていた。着痩せするタイプなんだなって思いながら、肩甲...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 24

    「B組の舞ちゃん、のぞみん狙いだって。」「え?あの子って進藤と付き合ってなかった?」「別れたんじゃね?」「ま、胡蝶ちゃんだもんな。そりゃ進藤でも負けるだろ。」のぞの話をしている男たちの声が、自然に耳に入る。それには気がつかないフリをして、耳だけ男たちに向けながらスマホを見つめる。「そういえば、先輩たちもD組の廊下にいないよな?いい加減飽きたのかな?」「違うって。志村先輩の怪我、知らねえの?」「あー、...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 23

    咲のぞが隣の席の女を見つめて、ため息を吐くのが視界の端に映る。俺といるのがそんなにつまらないのか不安を覚えながら、大学生くらいの女に視線を向けた。肩まで伸びた髪の毛先はカラーで痛んでいて、滑らかで艶やかなのぞの髪とは雲泥の差。ステンドグラスから伸びた光が、のぞの柔らかな髪を優しい彩色で照らしていた。のぞと女が並ぶと、お似合いとは言い難い。―――まだ、俺の方がマシじゃないか?いや、おこがましいにも程が...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 22

    「え?なんでカラコンしてんの?」地元の改札を抜けると、怖い顔をした咲が待ち構えていた。俺を見つけるとほっとしたように緊張を解いたが、見慣れないカラコンに眉を潜ませる。「え、あー……この目だと目立つから。」「瞳の色変えたところで、そんなに変化ないけど……。なに買ったの?」「いや、何も。試合はどうだった?」「勝った。」「よかったじゃん。」「明日は予定あるの?」不安そうな咲に見つめられて、微笑みながら腕に指...

  • R 蛇に睨まれたオオカミ 21

    はじめて降り立った新宿駅は、迷路のような複雑さだった。駅構内や周辺の地図を頭にいれてきたけれど、実際に歩くと人の波に簡単に流されてしまう。地元の駅とは比べ物にならない人の多さに眩暈を覚えながらも、初めて出会うゲイを想像して不安や恐怖と同じくらい興奮しているのも確か。人に溺れそうになりながら目的の場所に辿り着いた頃には、額から汗が止まらなくなっていた。知らない場所というのは、いるだけで疲れる。ひゅう...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 20

    「おはよ。」「……うん。」昨日の今日ですごい気まずくて、咲を見ることが出来ずに俯きながら学校に向かう。咲の視線を痛いほど感じるけれど、その視線を受け止める余裕がない。「俺、なんかした?」「心当たりがあんの?」「い……ええ?まさか、起きてたの?」「なんの話?」「……なんでもない。」咲が無言の空気に耐えかねて、不安げにそう質問をなげてきた。いつも仏頂面の咲が、珍しく百面相をしている。その横顔を見つめながら、...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 19

    望海「のんちゃん、ぼくと結婚してくれる?」ふたりで弾まないボールをリビングで転がしていると、咲が突然そんなことを言い始めた。忘れかけていた子供の頃の記憶。あれは都合のいい俺の夢だったのか、今はもう判断がつかない。「結婚?」「ずっと一緒にいられるお約束すること。」「さっちゃんと一緒にいられるの?」「うん。ずっと一緒にいてくれる?」「いいよ。毎日ゲームできるね。」俺がそう返事をすると、咲の顔がぱっと華...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 18

    俺が精通を迎えたのは、小学5年の終わりだった。落ち着くから、気持ちいいから、そんな軽い気持ちで触っていたそこが、たまに硬くなることは知っていた。硬くなったそこをさらに擦ると単純に気持ちがよくて、気がついたら癖のようになっていた。いつものように何気なく部屋で弄っていると、手が透明な液で汚れていた。「はあ?」という何にキレたのか分からない感情が沸き起こるのと同時に、尿とは異なるそれが精液だと気がついた...

  • R 蛇に睨まれたオオカミ 17

    咲「え、このタイミングで寝る?」俺の胸の中ですやすやと眠るのぞを見下ろしながら、思い切り脱力する。教室でもこの調子ですやすや眠っているんじゃないかと、マジで心配になる。担任は鬼怖いと有名なおがっちだから、他の生徒が何かしたりはできないと思うけれども……のぞは小学生の頃から本当によく眠るから、油断できない。小学校の頃は教師に起こされて、家族と勘違いしてキスをした前科がある。―――やめてくれ!絶対にやめて...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 16

    望海「なあ、中間終わったらお泊り会しない?」「はあ?」中間試験対策をしながらそう問いかけると、咲の表情が思い切り曇る。あからさまに嫌だと言われているようで、悲しくなった。俺も精通を迎えて大人になったことだし、咲とベッドにいたらもしかしたらなにか発展があるかもしれない。そんな不埒な考えがチラッと浮かんだが、咲の今の顔を見ただけで結果は明らか。―――明らかなのに、なんで諦めがつかないんだろ……。「小学生の...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 15

    「二の腕って、おっぱいの感触と近いんだって。」「マジで?今度誰かの触ってみよーぜ。」腹いっぱいで怠すぎる6限の体育の授業を終えると、クラスの男子の会話が耳に入った。女子がいないと、途端に猥談に花が咲く。その様子を遠目に見つめていると、突然話を振られた。「今野くんって、胡蝶さんと仲いいよね?」「まあ。」俺にはくん付けなのに対し、のぞにはさん付けなのが気になりながら、いつものように適当に流す。「胡蝶さ...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 14

    「咲、おはよ。」昨日と変わらない眩い笑顔で、のぞが家からひょっこりと顔を出した。エロサイトを見ていたことを俺に気付かれたなど全く気がつかない様子で、いつもの爽やかな笑顔を見せてくる。―――このクソ可愛い顔で、マジでオナってんの?「咲は寝不足?クマできてる。」「……のぞはもう平気なの?」「いっぱい寝たから。」「元気そうでよかった。」横顔はいつもよりも晴れやかで、なんだかこちらまで幸せそうになる笑顔だった...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 13

    咲中学に通ってから、初めてのひとりでの登下校。のぞが隣にいれば秒で着いてしまうその距離が、ひとりだとやけに遠く感じる。のぞ、食欲はありそうでよかった。具合が悪いと恵さんから教えてもらった時は不安だったけれど、昼休みに電話した時には元気そうな声に安心した。小学生の頃は、本当にしょちゅう学校を休んでいた。家からほとんどでない生活の癖に、インフルエンザなんかの流行りものには毎年罹り、ちょっとした風邪が瞬...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 12

    目が覚めたのは太陽がもうすっかり昇りきった、11時過ぎ。「あれ……学校サボった?」欠伸をしながらスマホを見ると、咲と母親から数えきれないほど着信がある。のそのそとベッドを降りて、鍵を開ける。その音でリビングにいた母親が気がついたようで、階段の下から声をかけられた。「のんちゃん、おはよ~!よく眠れた~?」寝坊したことを怒るでもなく暢気にそう声をかけながら、冷めたスープを温めてくれる。いつまでこの子供扱い...

  • R 蛇に睨まれたオオカミ 11

    望海―――え、漏らした……?下半身がやけに冷たい感覚に、思わず飛び起きた。いつもは母親にしつこいくらいに起こされないと起きないのに、湿った感覚に思わず背中と思考が凍る。―――いや、マジで赤ちゃんじゃん!!!シーツやズボンに染みになるほどではないけれど、パンツはぐっしょり濡れていた。居た堪れない気持ちでベッドを出ると、カーテンの隙間はほの暗い。このまま眠れるわけもなく、ゆっくりと階段を下りて風呂場に向かう。...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 10

    田中 千里(たなか ちさと)気持ちのいい風に誘われて、カーテンを開けて窓の外を見つめる。おがっちの熱がこもった声が響く校庭を見つめると、のぞみんが所属する陸上部が活躍していた。アップを兼ねた走り込みを終えて、すっかり息が上がった部員を尻目に、のぞみんは退屈そうに大きな欠伸を繰り返している。スタイルがいいせいか、その姿は遠目で見てもよく目立つ。同じクラスにいることが、今でも不思議だ。のぞみんを初めて...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 9

    咲「のぞ!」保健室の扉を開けると、のぞが驚いたように身体を起こす。顔面蒼白で、今にも倒れそうなほど顔色が悪い。「え、咲……なんで?」「具合悪いの?」「誰に聞いた?」「小河原先生と西島だけど……。」俺がそう言うと、のぞの視線が尖る。2人ともお気に入りだと話していたのに、俺に告げ口をしたのが気に入らなかったのか?のぞはすごく疲れた顔をしていて、中学に入学してから浮かない表情ばかり見ている気がする。何かあっ...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 8

    子どもの頃から、俺は少しも成長していない。いつまで経っても弱虫で、泣き虫で、咲におんぶにだっこ状態。あの時のような大怪我は、もう絶対にしてほしくない。なるべく自分で解決をしたいところだけれど、どうすれば解決するのかよく分からない。対処法も思いつかないから、おがっちに言われたように声をかけられたら即ダッシュを繰り返した。今日も同じように先輩から逃げながら、いつまで続くか分からない鬼ごっこに既に飽きて...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 7

    望海小学校から帰ると、咲の家にお邪魔するのが日課になっていた。いつものようにリモートでの習い事を終えて、新しく買ってもらったゲームを手に鼻歌まじりで咲の家に向かう。幼稚園の頃からの仲だから、自分の家のように気兼ねしない場所。リビングにいるおばさんに挨拶をして、いつものように2階にあがり、軽くノックして扉をあける。すると痛々しく腫れあがった咲の頬を見て、言葉が喉の奥に引っ込んだ。喋ることすら痛々しそ...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 6

    「さ、咲~……?」蚊の鳴くような声に視線を向けると、のぞが教室の入り口で蹲りながら手招きをしていた。のぞの存在や名前は既に学校でも有名で、あれだけ騒がしかったクラスがのぞの存在に気がついて言葉を失っている。クラスの視線を根こそぎ奪っているのぞは、俺に向かって不安そうな表情を浮かべていた。具合でも悪いのかと慌てて駆け寄ると、俺の指を両手でぎゅっと掴んで見つめてくる。「どうした?具合悪いの?」「いや、な...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 5

    咲入学式から二週間が経った。のぞは相変わらず眠り癖がひどく、小学校の頃よりも悪化している。昼飯を終えるとすっと意識を手放してしまい、保健室まで担ぎこんだのは片手では足りない。教室では既に仲のいいグループがしっかりと確立し、俺はそのどれにも属さずに暇を持て余している。別に誰かと仲良くなりたいなんて願望は、端からない。手のかかるのぞといるだけで、だいすきなのぞがいるだけで、他に何もいらないから。短すぎ...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 4

    入学式からしばらくは健康診断や体力測定などがあり、今週から通常授業が始まった。最近ようやくクラスメイトと挨拶は交せるようになったが、それ以上の会話が続かない。教室では既に仲がいいグループが作られてしまい、ぼっちな俺には相変わらず居場所がなかった。寂しくなるとにっしーにべったりと張り付いて、教室にも職員室にもくっついて歩くが、一度も文句は言われない。いつも変わらぬ笑顔で話し相手になってくれるから、に...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 3

    吐きそうな気分のまま、入学式が始まる。四方八方から突き刺さるような視線から逃れたくて、そっと目を閉じた。するとポンと肩を叩かれて、慌てて目を開ける。寝ていたことを咎められると思って身構えると、俺の緊張を根こそぎ奪い取るような表情で見つめてきた。「気分悪いの?」「え?」「顔色わるいから、こっち来なさい。」すっきりとした顔立ちの教師に腕を引かれ、足がもつれそうになりながら立ち上がった。逞しい腕に寄りか...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 2

    胡蝶 望海(こちょう のぞみ)「やだっ!離して!」バタバタと脚や手を必死に動かしても、男に手首を握られただけで腕の自由が奪われた。圧倒的な体格差に抗うことは出来ず、男を見上げる。体重をかけられると、身体がシートにめり込む気がした。水中でもがいてるのかと錯覚するほど狭く息苦しい車内で、隣には真新しいベビーシートが置かれている。生活感が漂う空間で、にやけ顔の男を見つめながら咲の顔を思い出していた。逃げ...

  • 蛇に睨まれたオオカミ 9

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  • 蛇に睨まれたオオカミ 1

    今野 咲(こんの さき)栗色の柔らかな髪が、風に靡く。白く滑らかな頬を青白く染めたのぞが、俯きながら俺の隣をゆっくりと歩く。気だるげな表情ののぞに歩調を合わせながら、俺は不安で仕方がなかった。透けるような白い肌、ふわふわの柔らかな栗色の髪、翡翠色の宝石のように輝く瞳。それらの繊細で美しいパーツを、細部まで凝って配置した最高傑作が、胡蝶 望海(こちょう のぞみ)という人間だった。俺とは幼稚園の頃から...

  • 蛇に睨まれたオオカミ

    【あらすじ】無愛想溺愛ワンコ×爆ビジュバリタチの幼馴染コンビ小学1年生の時に望海はノンケの男に襲われ、幼馴染の咲に助けてもらった過去がある。そのトラウマから、男(特にノンケ)に対して恐怖と嫌悪感を抱いていた。泣き虫で可愛らしいルックスの望海は、小学校では男に揶揄われたり虐められることが多く、その度に咲に何度も助けてもらっていた。咲に対して友情以上の感情と全幅の信頼を抱いている望海は、この先もずっと...

  • 明日から

    こんばんは~!明日から不定期で咲×望海の入学式編始めます。付き合う前の2人なので、望海とモブの絡みはあっても2人のエロは多分ないです。すれ違い始めた初々しい2人を楽しんでもらえたら……。よろしくお願いしま―――す!!ランキングに参加しています。よかったらぽちっと応援お願いします!!にほんブログ村小説(BL) ブログランキングへ...

  • あとがき&今後の予定は決まってませーん

    『過保護の花男くん』を最後までお付き合い頂き本当にありがとうございました―――!!毎日拍手やポチで応援して下さった方、本当にお疲れさまでした!!こんなに長くなる予定ではなく、気がついたら『片思いの曲がり角』を超えていました。笑のぞと咲はまだ中学を卒業したばかりなので……高校生編や大学生編まで、ちょっと成長した2人を書き続けていきたいなって思ってます。ご縁があれば、またお付き合い頂けるとうれしいです。入学...

  • 過保護の花男くん 133 END

    望海今年は暖冬だと言われていたのが嘘のように、2月の終わりにドカ雪が降った。3月を迎えても、マフラーが手放せない日が続き……いつになったら春が来るのだろうと窓の外を眺めていたのに、2週目を迎えると急に春めいた。3週目の今日は校庭に並ぶ桜のつぼみが綻び、澄んだ青色をバックに満開の花を咲かせている。遠目で見るとピンク色のわたがしのようで、なんだかファンシーな夢の中にいる気分。受験が終わると気が抜けてしまっ...

  • R18 過保護の花男くん 132

    「なあ、着れた?」「まだだって。後ろファスナー鬼すぎる。」合格発表を終えた週末、のぞが着替えるのを廊下で待つ時間が、やたらと長く感じる。女に詳しそうな進藤にコスプレについて質問をすると、いやな笑みを浮かべながらも中国の激安ネットショップを教えてもらった。値段の割に裁縫もしっかりしているが全体的に造りが小さめと丁寧に助言されて、不安になりながら注文していたものが昨日の夜に手に入った。国際便だから時間...

  • 過保護の花男くん 131

    「緊張する。無理。見れない。」「さっさとしろよ。ボタン押すだけだろ?」合格発表の日。これですべてが終わってしまうと思うと、怖くてボタンが押せない。スマホ画面に受験番号まで入力したところで、確認のボタンを押すための勇気がなかなか出ない。もう結果は覆せないことくらい分かっているが、時間ぴったりに確認ボタンを無言で押すのぞを見つめながらも、俺の決心は揺らいでいた。「のぞがやって?」「先輩平気で蹴り飛ばす...

  • 過保護の花男くん 130

    「受験票とお守りもった?」「オッケー。のぞは筆記用具も大丈夫?」「あ、忘れてた。ちょい待って。じゃ行くか。」受験当日。のぞの家の前で待ち合わせをして、2人並んで駅に向かう。俺が受かれば、毎日通うことになる駅までの道のり。これが最後にならないことを切に祈りながら、ポケットの中のお守りを握りしめる。「どうしよう。緊張してきた。」「一回抜く?」真顔でそんなことを言われて、緊張していた気持ちが秒で吹っ飛ぶ...

  • 過保護の花男くん 129

    「のぞ、おめでとう。」「あけおめ。今年も俺の世話よろしく。」澄んだ空に、綿菓子のような柔らかい雲が浮かんでいた。鼻の奥がつんとするような寒さの中、すっかり日課になりつつあるのぞとの走り込みを終えて、毎年訪れている場所に足を延ばす。隣で鼻を啜りながら欠伸を繰り返すのぞの背中を押して、近くにある神社に向かった。「超さみい。」走り込みを終えても、のぞは寒そうに歯をガタガタさせながら俺の隣を歩いている。上...

  • R18 過保護の花男くん 128

    俺の家に到着すると、カーテンが開いたままの家の中は真っ暗だった。のぞの家の電気も消えていたから、きっと両家で楽しく夕飯でも食べているんだろうと思うと、堪らなく嬉しくなってしまう。うちの両親が俺の変なところを口走らないことを切に祈りながら、のぞのシャツを脱がすことに頭を切り替える。「咲、ちょっと待って。」「何?」「シャワー浴びたい。今日べとべとだから!」「いいよ。どうせすぐに汗だく。」「俺がよくない...

  • 過保護の花男くん 127

    校庭に蔓延っていた一般人はすっかり消え、さっきまで騒がしかった外には体育祭委員の腕章をつけた数人の生徒のみ。他の生徒は各クラスに別れてHRをやっているはずで、後夜祭は基本は自由参加。自由参加とはなっているが、ほぼ全員が参加するだろうことは想像できる。のぞがこれでサービスするのは最後だと言っていたし、ダンスの盛り上がりから後夜祭後に告白する人間も多いはず。ライバルはいないと言ってくれたのぞの気持ちは嬉...

  • 過保護の花男くん 126

    咲「のぞ、大丈夫かな?」「てか女子ダンスの時どこいた?」田中と並んでのぞのことをドキドキしながら待っていると、田中に鋭い突っ込みを入れられた。「バスケ部の部室。」「抜いてた?」「……はい。」俺が大人しく白状すると、田中が眉間に皺を寄せながら考え込む。「2人とも早漏なの?」「のぞがスカートでサービスしてくれたから。」「マジで!?」田中が口元を緩ませ、俺の肩を乱暴に揺すってくる。のぞのスカート姿を思い出...

  • R18 過保護の花男くん 125

    「のぞ、浴衣かわいい!似合ってる!!」「さ、咲も……か、かわいっ!ふくくっ!あはっはは!無理!似合わねえ!!」咲に抱き付かれながら、男バス恒例の女装姿に思い切り噴き出す。ゴリラが窮屈そうに女子の制服を纏っているが、今にも破れそうで別の意味でヒヤヒヤする。「ファスナー上がらないの?」「無理。ギチギチだから破れる。」腰に巻かれたスカートのファスナーは全開で、もはや民族衣装のようだ。「なんで女装なのにかわ...

  • 過保護の花男くん 124

    「おーせ、おせおせおせおせD組っ!!!」最初から本気で走るつもりだったけれども、事情が変わった。大声を張りあげながら、D組とA組の走行者をじっと見つめる。選抜リレーは各クラス男女混合10名で構成され、アンカーはグランド3周という鬼ルール。第一走者が走り終えたところで、BCADの順番が出来上がる。―――序盤から劣勢すぎるな……こわ。バトンパスが上手いのは山口がいるC組。足の速さで見れば城戸のいるB組。俺と咲がいる...

  • 過保護の花男くん 123

    男子バスケはD組の圧勝で幕を閉じた。進藤にペットボトルを手渡しながら、タオルを首にひっかけた。疲れるとやりたくないを繰り返していた進藤を無理やり競技に引っ張り出してしまったから、労いの言葉と笑顔で機嫌をとる。「優勝おめでとう!!めっちゃ格好よかった!!」両手を広げてハグに応えると、珍しく疲れた表情をした進藤に力いっぱい抱きしめられる。背中に回された腕はがっちりとホールドされ、身動ぎしても離れない。...

  • 過保護の花男くん 122

    体育祭当日。唸るような暑さが引いたと思ったら急に肌寒い日が続き、季節の移ろいを肌で感じる。窓を開けるとふわりとカーテンが膨れて、澄んだ空気の中に金木犀の香りが紛れていた。秋めいた過ごしやすい季節の中、俺はありえない程の人の多さに困惑する。去年はここまで人がいなかったはずなのに、だだっ広い校庭を埋め尽くす黒い集団を教室から見下ろしながら眉を潜めた。「なんか、エグくね?」「のぞが今年卒業だから。」「な...

  • R18 過保護の花男くん 121

    スマホのタイマーをつけて、シャーペンを3回転させてから問題を睨む。覚えたばかりの公式を、クイズのようにどんどん当てはめていく。それがぴったりと重なった時は、イったときのように視界がぱっと開ける感覚が気持ちいい。分からない問題も何問もあり、突破口すら開けない問題はすぐにパスをして、次の問題に頭をシフトする。制限時間のアラームが鳴ると同時に、肩の力がふっと抜けた。「のぞ、お疲れ。」咲の声に顔をあげると...

  • 過保護の花男くん 120

    望海体育祭が近くなってきたから、久しぶりに男子選抜の合同ダンス練習をおこなうことになった。昼飯のおにぎりに齧り付きながら咲のテスト勉強に付き合っていると、城戸が俺の背中に寄りかかってきた。「女装やめたんだって?」「あー、舞ちゃんと競う必要なくなったから。」「今野と和解したの?」「まあ。」「ま、よかったじゃん。で、体育祭なにでんの?」「走る専門。」「大雑把な括りだな?」「城戸は?」「俺も走る系とバス...

  • R18 過保護の花男くん 119

    咲下校時刻でいつも以上に騒がしい廊下を抜けて、のぞと一緒にトイレの個室に籠る。前にしゃぶった場所で、再びここに籠ることになるとは思わなかった。かわいい声を聞かせたくはないけれど、今は非常事態。顔を隠すように俯いたままでも、色白の首筋が真っ赤に染まっている。視線を落とすと既に股間が窮屈そうに膨らんでいて、それを見ているだけで俺の方がもっていかれそうだ。「どうしたの?」「なんか、咲に見られると身体が熱...

  • 過保護の花男くん 118

    望海「にっしーはなんで俺のことは叩かないの?」「胡蝶叩いたら多方面から殺される。お前の兄ちゃんも今野も超怖いじゃん?」「依怙贔屓って言葉知ってる?」「贔屓されてる側なんだから余計なことを言うな?」「にっしーは俺のことだいすきだもんな?」「はいはい、だいすきだいすき。てか胡蝶本気で走るんだろ?怪我すんなよ?」「えっち。盗み聞きしてたの?」「久しぶりに扱いてやろうか?」「咲と走ってるから間に合ってまー...

  • 過保護の花男くん 117

    咲「のぞ、体育祭なにでる?」ずらっと黒板に書かれた種目を見つめながら、隣にいるのぞに声をかける。「徒競走と選抜リレーと部活対抗リレーは多分必須。毎年でてるから。」「……どんだけ走るの?」走るという種目に関して、のぞの右に出る者はいない。最近のぞが起きれた時に一緒に走るようになったが、慣れているはずの俺が必死にのぞを追いかけるしかないのは、最早ギャグでしかない。それでものぞは手を抜いてくれているようで...

  • 過保護の花男くん 116

    「どうだった?」撮影が終わり、syuさんがカメラをゆっくりと下ろす。レンズ越しだと緊張していたのに、カメラを外すと別人のように人のいい笑顔を向ける。その笑顔にほっとして、俺もようやく肩の力が抜けた。冷房が効いているはずの室内でも、眩いほどのライトのせいか撮影中はかなり熱い。背中はぐっしょりと濡れていて、ジャケットを脱ぎながら手で仰ぐ。撮影に集中していたせいか、窓がない室内では時間の感覚が狂ってしまう...

  • 過保護の花男くん 115

    望海次の日選抜女子に経緯を説明して謝ると、意外なほどにすんなり納得してくれた。その足で2年の体育祭委員のクラスに顔を出すと、俺を見るなり露骨に落胆した表情を見せる。「やっぱりやめるとか、言いませんよね?」「ごめんなさい。」そう言って深々と頭を下げると、机に突っ伏しながら眉を下げる。「あー、まじですか?正気に戻っちゃいました?」「彼氏NGくらった。」「やっぱり!!今野先輩に最初に許可取りしなくちゃまず...

  • R 過保護の花男くん 114

    「のぞが選抜女子のダンスで踊るって。」「はあ?女装すんの?」掃除当番の時間。田中にその話題を振ると、口をあんぐり開けた状態で俺を見つめる。「そもそも女子のダンスってどんな感じ?」「のぞみん、やる気なの?」「がんばるって言ってた。」「NTR希望?」「それ殺すやつ。」「だよな。男子の制服で襲われる人間がなにしてんの?ちゃんと説教した?」「逃げられた。」「のぞみん逃げ足速いもんな。」「怒られる前に甘えるし...

  • 過保護の花男くん 113

    仕方なく教室に戻ると、進藤と視線が絡む。「なんか、のぞが怪しい。」「なんで?」「昨日LINEしてた。」「で?」「いや、のぞは基本返信しないから。」「それは知ってる。既読つけば読んだことわかるだろってタイプだもんな?典型的なB型。」「俺とのLINEも平気でブチるのに、昨日は秒で返してた。」進藤は全く興味が惹かれないようで、スマホに視線を向ける。「体育祭の話って言いながら進藤や城戸じゃないっていうし、絶対おか...

  • 過保護の花男くん 112

    咲「のぞ、なにしてんの?」無事に再試を合格して、いつも通りに俺の部屋での勉強会。2人でいる時に、のぞが珍しくスマホをじっと見つめている。なんか調べものかと思いながらちらりと画面が見えると、誰かとLINEしているようだった。「あ、なんか分からなかった?」「いや、これ終わったから。」「オッケー。丸つけるからこっちやってて。」そう言われてプリントを手渡され、スマホは机に伏せられた。スマホを視線で追うと、机が...

  • 過保護の花男くん 111

    「てか今野ってどっちなの?」俺たちの会話を呆れたを通り越してドン引きした様子の城戸が、聞くに堪れなくなったのか咲に質問をなげる。「なにが?」「女と男どっちがすきなの?」「なんでお前に聞かれなくちゃいけない?」咲は明らかに気分が乗らない様子で、城戸を睨んでいる。女に決まってるのに、なんでそんな嫌そうな顔をするのかが分からない。「あ、でも舞ちゃんタイプだから元は女好きなのか?」「なんでお前がそれを知っ...

  • 過保護の花男くん 110

    「のぞは頭いいくせに、なんでぼんやりしてんの?」抱きしめられながら馬鹿にしたようにそう尋ねられて、ぼんやりしているつもりもなかったから返答に困る。咲といると、咲しか見ていない。咲のことしか考えてない。ひとりで居る時はいろいろなことを考えているつもりだけれど、咲といるとおんぶにだっこでなにも考える必要がない。その分、咲が俺のことを考えてくれているのを知っているから、きっと助けてもらえるだろうと安心し...

  • 過保護の花男くん 109

    望海「で、ムズムズは解消された?」いつもの空き教室でのダンス練習を終えた後、揶揄う気満々の顔の城戸に声をかけられた。「セクハラやめろ。」「解消されたんだ?よかったじゃん。その顔で性欲強いのはウケる。」「男なら大体強いだろ?」「今野も強そうだけど、それに付き合えるってことはよっぽどだろ?」「ゲイカップルがキショいって言ってた癖に、めちゃくちゃ絡んでくるのなんなの?ウザいんすけど。」出会った初日が懐か...

  • R18 過保護の花男くん 108

    咲のぞがシャワーをしながら準備している間、のぞの言葉を思い出しながらかみしめる。―――のぞのメンブレ超かわいい!!萌える!悶える!!泣きながら縋られて、危うく二日連続で学校で勃ちそうになった。のぞとのセックスが嫌なわけがない。むしろ学校で盛られてものぞが困るから、我慢しただけ。メンブレかわいかったけど、やっぱり怖い。のぞは誰とでもヤれるから、あのタイミングで俺が傍にいなかったらマジで誰かに抱かれそう...

  • 過保護の花男くん 107

    「セックスしたい。」耳元でそう囁くと、咲が驚いたように身体を離す。少し嫌そうに眉を潜めるから、余計に寂しくなる。―――俺の身体も心もこんなに咲を求めているのに、咲は俺のこと欲しくないの……?「寂しいから抱いて。」「な、なに言ってんの?」慌てた様子で俺の指まで引き剥がすと、さっと距離をとられるからまた泣きそうになった。「抱くのやだ?」「いや、ここじゃ無理じゃん。」「家帰ろ?」「え?」「俺としたくない?」...

  • 過保護の花男くん 106

    望海次の日の昼休みから、咲も同じ教室で過ごすことになった。咲がいるから女子の練習に参加するわけにもいかず、しばらくは自主練習ということに決まった。俺以外の女子はダンスに慣れていて、男子に比べると上手い人間が揃っている。その中で俺だけが足を引っ張っているのに、その俺が参加できないのであれば集まる理由もないのかもしれない。昨日の件で周りも引いていて、俺に話しかけるどころか視線すら合わせない。ダンスの練...

  • 過保護の花男くん 105

    進藤「疲れた。しんどい。腹減った。」「ジュースあるよ?」「扇風機つかう?」「お菓子たべる?」「いいの?ありがと。」受験のため貴重な放課後は使えないから、毎日行われることが決まった昼休みのダンスレッスン。胡蝶は女子の練習にも参加しているから、ほぼぶっ通しで踊っていることになる。ゆっくりメシを食う暇もないせいか、いつもよりも大きなおにぎりを齧りながら、机に長い脚を投げ出していた。制服では動きにくいから...

  • 過保護の花男くん 104

    「大丈夫だった?」「何が?」「ダンス踊るんだろ?」「初心者だけど、なんとかなるっしょ?所詮中学のお遊戯会。」本気で踊るような面子じゃなさそうだし、ガチ勢ではなかったことに安堵を覚える。どちらかといえば、女子にモテたくてそれしか考えてなさそうなチャラい連中。俺が間違えたところで怒られなさそうだし、それなりにカタチにすれば問題ない。別にテストでもないし、女子モテなんて俺になんのメリットもないのだから。...

  • 過保護の花男くん 103

    「にっしー、胡蝶くん借りていい?」舞ちゃんが男たちの輪に入ると、男の視線が舞ちゃんに注がれる。その視線に気がつくと、ふわりと花が咲いたように微笑むから、かわいい以外の言葉が見つからない。小柄で愛嬌があり、自分がかわいい生き物だということを熟知している。「ああ。女子でも決めてもらって。」にっしーがそう言うと、舞ちゃんが微笑みながら俺の腕にしがみついてくる。柔らかな胸がふにゃっと触れて、それでも構わず...

  • 過保護の花男くん 102

    望海教室に男子10名と女子が9名集められ、1年と2年で構成される体育委員にぐるりと周りを囲まれている。女子が1人足りないようだから欠員かバックレかと思い進藤に問いかけると、神妙な顔つきで俺を見つめてきた。「なに?」「いや、まじで美人になってきたなって思って。神々しい。」「1ヶ月でなんも変わらないだろ?」「毎日見てたから気がつかなかったけど、爆速で美人になってる。余裕で化粧のCM出れるわ。」「どうせ褒め...

  • 過保護の花男くん 101

    目を覚ますと、のぞがいる幸せ。のぞの顔を見つめながら、寝られる幸せ。毎日の幸せをかみしめながら、夏休みが秒で過ぎていく。始まる前は辛いと思っていた家で缶詰での勉強も、慣れてしまえば苦ではない。むしろのぞが隣にいるという最大級の安心とのぞが先生という幸福のお陰で、俺の学力は飛躍的に伸びた。夏休み最後の週に受けた模擬試験。昨日その結果が返ってきて、合格判定がずっとDだった俺が初めてCに上がった。偏差値で...

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