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『過保護の花男くん』を最後までお付き合い頂き本当にありがとうございました―――!!毎日拍手やポチで応援して下さった方、本当にお疲れさまでした!!こんなに長くなる予定ではなく、気がついたら『片思いの曲がり角』を超えていました。笑のぞと咲はまだ中学を卒業したばかりなので……高校生編や大学生編まで、ちょっと成長した2人を書き続けていきたいなって思ってます。ご縁があれば、またお付き合い頂けるとうれしいです。入学...
望海今年は暖冬だと言われていたのが嘘のように、2月の終わりにドカ雪が降った。3月を迎えても、マフラーが手放せない日が続き……いつになったら春が来るのだろうと窓の外を眺めていたのに、2週目を迎えると急に春めいた。3週目の今日は校庭に並ぶ桜のつぼみが綻び、澄んだ青色をバックに満開の花を咲かせている。遠目で見るとピンク色のわたがしのようで、なんだかファンシーな夢の中にいる気分。受験が終わると気が抜けてしまっ...
「なあ、着れた?」「まだだって。後ろファスナー鬼すぎる。」合格発表を終えた週末、のぞが着替えるのを廊下で待つ時間が、やたらと長く感じる。女に詳しそうな進藤にコスプレについて質問をすると、いやな笑みを浮かべながらも中国の激安ネットショップを教えてもらった。値段の割に裁縫もしっかりしているが全体的に造りが小さめと丁寧に助言されて、不安になりながら注文していたものが昨日の夜に手に入った。国際便だから時間...
『過保護の花男くん』を最後までお付き合い頂き本当にありがとうございました―――!!毎日拍手やポチで応援して下さった方、本当にお疲れさまでした!!こんなに長くなる予定ではなく、気がついたら『片思いの曲がり角』を超えていました。笑のぞと咲はまだ中学を卒業したばかりなので……高校生編や大学生編まで、ちょっと成長した2人を書き続けていきたいなって思ってます。ご縁があれば、またお付き合い頂けるとうれしいです。入学...
望海今年は暖冬だと言われていたのが嘘のように、2月の終わりにドカ雪が降った。3月を迎えても、マフラーが手放せない日が続き……いつになったら春が来るのだろうと窓の外を眺めていたのに、2週目を迎えると急に春めいた。3週目の今日は校庭に並ぶ桜のつぼみが綻び、澄んだ青色をバックに満開の花を咲かせている。遠目で見るとピンク色のわたがしのようで、なんだかファンシーな夢の中にいる気分。受験が終わると気が抜けてしまっ...
「なあ、着れた?」「まだだって。後ろファスナー鬼すぎる。」合格発表を終えた週末、のぞが着替えるのを廊下で待つ時間が、やたらと長く感じる。女に詳しそうな進藤にコスプレについて質問をすると、いやな笑みを浮かべながらも中国の激安ネットショップを教えてもらった。値段の割に裁縫もしっかりしているが全体的に造りが小さめと丁寧に助言されて、不安になりながら注文していたものが昨日の夜に手に入った。国際便だから時間...
「緊張する。無理。見れない。」「さっさとしろよ。ボタン押すだけだろ?」合格発表の日。これですべてが終わってしまうと思うと、怖くてボタンが押せない。スマホ画面に受験番号まで入力したところで、確認のボタンを押すための勇気がなかなか出ない。もう結果は覆せないことくらい分かっているが、時間ぴったりに確認ボタンを無言で押すのぞを見つめながらも、俺の決心は揺らいでいた。「のぞがやって?」「先輩平気で蹴り飛ばす...
「受験票とお守りもった?」「オッケー。のぞは筆記用具も大丈夫?」「あ、忘れてた。ちょい待って。じゃ行くか。」受験当日。のぞの家の前で待ち合わせをして、2人並んで駅に向かう。俺が受かれば、毎日通うことになる駅までの道のり。これが最後にならないことを切に祈りながら、ポケットの中のお守りを握りしめる。「どうしよう。緊張してきた。」「一回抜く?」真顔でそんなことを言われて、緊張していた気持ちが秒で吹っ飛ぶ...
「のぞ、おめでとう。」「あけおめ。今年も俺の世話よろしく。」澄んだ空に、綿菓子のような柔らかい雲が浮かんでいた。鼻の奥がつんとするような寒さの中、すっかり日課になりつつあるのぞとの走り込みを終えて、毎年訪れている場所に足を延ばす。隣で鼻を啜りながら欠伸を繰り返すのぞの背中を押して、近くにある神社に向かった。「超さみい。」走り込みを終えても、のぞは寒そうに歯をガタガタさせながら俺の隣を歩いている。上...
俺の家に到着すると、カーテンが開いたままの家の中は真っ暗だった。のぞの家の電気も消えていたから、きっと両家で楽しく夕飯でも食べているんだろうと思うと、堪らなく嬉しくなってしまう。うちの両親が俺の変なところを口走らないことを切に祈りながら、のぞのシャツを脱がすことに頭を切り替える。「咲、ちょっと待って。」「何?」「シャワー浴びたい。今日べとべとだから!」「いいよ。どうせすぐに汗だく。」「俺がよくない...
校庭に蔓延っていた一般人はすっかり消え、さっきまで騒がしかった外には体育祭委員の腕章をつけた数人の生徒のみ。他の生徒は各クラスに別れてHRをやっているはずで、後夜祭は基本は自由参加。自由参加とはなっているが、ほぼ全員が参加するだろうことは想像できる。のぞがこれでサービスするのは最後だと言っていたし、ダンスの盛り上がりから後夜祭後に告白する人間も多いはず。ライバルはいないと言ってくれたのぞの気持ちは嬉...
咲「のぞ、大丈夫かな?」「てか女子ダンスの時どこいた?」田中と並んでのぞのことをドキドキしながら待っていると、田中に鋭い突っ込みを入れられた。「バスケ部の部室。」「抜いてた?」「……はい。」俺が大人しく白状すると、田中が眉間に皺を寄せながら考え込む。「2人とも早漏なの?」「のぞがスカートでサービスしてくれたから。」「マジで!?」田中が口元を緩ませ、俺の肩を乱暴に揺すってくる。のぞのスカート姿を思い出...
「のぞ、浴衣かわいい!似合ってる!!」「さ、咲も……か、かわいっ!ふくくっ!あはっはは!無理!似合わねえ!!」咲に抱き付かれながら、男バス恒例の女装姿に思い切り噴き出す。ゴリラが窮屈そうに女子の制服を纏っているが、今にも破れそうで別の意味でヒヤヒヤする。「ファスナー上がらないの?」「無理。ギチギチだから破れる。」腰に巻かれたスカートのファスナーは全開で、もはや民族衣装のようだ。「なんで女装なのにかわ...
「おーせ、おせおせおせおせD組っ!!!」最初から本気で走るつもりだったけれども、事情が変わった。大声を張りあげながら、D組とA組の走行者をじっと見つめる。選抜リレーは各クラス男女混合10名で構成され、アンカーはグランド3周という鬼ルール。第一走者が走り終えたところで、BCADの順番が出来上がる。―――序盤から劣勢すぎるな……こわ。バトンパスが上手いのは山口がいるC組。足の速さで見れば城戸のいるB組。俺と咲がいる...
男子バスケはD組の圧勝で幕を閉じた。進藤にペットボトルを手渡しながら、タオルを首にひっかけた。疲れるとやりたくないを繰り返していた進藤を無理やり競技に引っ張り出してしまったから、労いの言葉と笑顔で機嫌をとる。「優勝おめでとう!!めっちゃ格好よかった!!」両手を広げてハグに応えると、珍しく疲れた表情をした進藤に力いっぱい抱きしめられる。背中に回された腕はがっちりとホールドされ、身動ぎしても離れない。...
体育祭当日。唸るような暑さが引いたと思ったら急に肌寒い日が続き、季節の移ろいを肌で感じる。窓を開けるとふわりとカーテンが膨れて、澄んだ空気の中に金木犀の香りが紛れていた。秋めいた過ごしやすい季節の中、俺はありえない程の人の多さに困惑する。去年はここまで人がいなかったはずなのに、だだっ広い校庭を埋め尽くす黒い集団を教室から見下ろしながら眉を潜めた。「なんか、エグくね?」「のぞが今年卒業だから。」「な...
スマホのタイマーをつけて、シャーペンを3回転させてから問題を睨む。覚えたばかりの公式を、クイズのようにどんどん当てはめていく。それがぴったりと重なった時は、イったときのように視界がぱっと開ける感覚が気持ちいい。分からない問題も何問もあり、突破口すら開けない問題はすぐにパスをして、次の問題に頭をシフトする。制限時間のアラームが鳴ると同時に、肩の力がふっと抜けた。「のぞ、お疲れ。」咲の声に顔をあげると...
望海体育祭が近くなってきたから、久しぶりに男子選抜の合同ダンス練習をおこなうことになった。昼飯のおにぎりに齧り付きながら咲のテスト勉強に付き合っていると、城戸が俺の背中に寄りかかってきた。「女装やめたんだって?」「あー、舞ちゃんと競う必要なくなったから。」「今野と和解したの?」「まあ。」「ま、よかったじゃん。で、体育祭なにでんの?」「走る専門。」「大雑把な括りだな?」「城戸は?」「俺も走る系とバス...
咲下校時刻でいつも以上に騒がしい廊下を抜けて、のぞと一緒にトイレの個室に籠る。前にしゃぶった場所で、再びここに籠ることになるとは思わなかった。かわいい声を聞かせたくはないけれど、今は非常事態。顔を隠すように俯いたままでも、色白の首筋が真っ赤に染まっている。視線を落とすと既に股間が窮屈そうに膨らんでいて、それを見ているだけで俺の方がもっていかれそうだ。「どうしたの?」「なんか、咲に見られると身体が熱...
望海「にっしーはなんで俺のことは叩かないの?」「胡蝶叩いたら多方面から殺される。お前の兄ちゃんも今野も超怖いじゃん?」「依怙贔屓って言葉知ってる?」「贔屓されてる側なんだから余計なことを言うな?」「にっしーは俺のことだいすきだもんな?」「はいはい、だいすきだいすき。てか胡蝶本気で走るんだろ?怪我すんなよ?」「えっち。盗み聞きしてたの?」「久しぶりに扱いてやろうか?」「咲と走ってるから間に合ってまー...
咲「のぞ、体育祭なにでる?」ずらっと黒板に書かれた種目を見つめながら、隣にいるのぞに声をかける。「徒競走と選抜リレーと部活対抗リレーは多分必須。毎年でてるから。」「……どんだけ走るの?」走るという種目に関して、のぞの右に出る者はいない。最近のぞが起きれた時に一緒に走るようになったが、慣れているはずの俺が必死にのぞを追いかけるしかないのは、最早ギャグでしかない。それでものぞは手を抜いてくれているようで...
「どうだった?」撮影が終わり、syuさんがカメラをゆっくりと下ろす。レンズ越しだと緊張していたのに、カメラを外すと別人のように人のいい笑顔を向ける。その笑顔にほっとして、俺もようやく肩の力が抜けた。冷房が効いているはずの室内でも、眩いほどのライトのせいか撮影中はかなり熱い。背中はぐっしょりと濡れていて、ジャケットを脱ぎながら手で仰ぐ。撮影に集中していたせいか、窓がない室内では時間の感覚が狂ってしまう...
望海次の日選抜女子に経緯を説明して謝ると、意外なほどにすんなり納得してくれた。その足で2年の体育祭委員のクラスに顔を出すと、俺を見るなり露骨に落胆した表情を見せる。「やっぱりやめるとか、言いませんよね?」「ごめんなさい。」そう言って深々と頭を下げると、机に突っ伏しながら眉を下げる。「あー、まじですか?正気に戻っちゃいました?」「彼氏NGくらった。」「やっぱり!!今野先輩に最初に許可取りしなくちゃまず...
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