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  • 昨日の部屋で線香花火がしおれている

    骨がないみたいな歩き方するね と、君に言われたので メルカリで丈夫な骨が売ってないか探した。どこかの空き地を購入し ボロボロの船を置いて その中で生活して 雨粒が地面を叩く音を ずっと聞いていたい。「自分は幸せになる権利がある」というふうに思うと 怒ったり悲しくなったりするけど、 そんなこと思わなければ通り過ぎる雨みたいなもので 濡れたりするけど、ただそれだけなんだ。気休めでバク転をする。 ペンギンにはできないだろうし。

  • 生き方

    昔見た映画家政婦が家の主人の死体を見て、 警察と協力しながら犯人をつきとめるのだけど 最終的に全ては家政婦の妄想でその家に家政婦すらいなくて その女はストーカーで 画面の向こうの観客を見つめて終わる映画テレビで再放送されず DVDもなっておらず 監督も俳優もタイトルも グーグルでまったくひっかからず唯一、アメーバブログの ありふれた主婦のブログで 三行だけ取り上げられているのみで 誰の記憶にもないけれどあの家政婦のこっちを見る目が 忘れられない、黒目が微動だにせず 視線が僕を貫いている。 世の中には生き方というのがあるらしくて不思議だね。山なら登る登らないという選択しが、絵なら描く描かないとい…

  • ビルの屋上でおはよう、海底でさようなら

    なんか知らないけどDAIGOが炎上しているらしいことを一ヶ月くらい前に小耳に挟んだのだけど、僕がYou Tubeを見ているとDAIGOが英会話を勧めている広告がいまでも沢山出てくる。炎上しているというのに英語学習を人に勧めている場合なんだろうか?と思うのだけど、なんで炎上しているのか経緯すらわかっていないので何も言えない。最近は疲れがピークになると怒りに変わることが多くなった。 なんの怒りなんだろうか? わからない。 誰への怒りなんだろうか? わからない。 ただ、怒りのエネルギーを発散できないまま、持て余す。発散できない怒りは泥のように固まって 身体を重たくするのだ。雨が降っていないのに傘を差…

  • 度重なる色

    ノコギリで真っ黒な夜空は分断されて 血液は蛇のように坂道をくだっていくブルーシートで覆い隠された死体のそばには 誰が置いたのか、ひまわりが添えられていて 四角く折りたたまれたメモ用紙には マジックで「鍋の蓋が気がかりです」と書かれている。 掘りごたつに憧れて マンホールの蓋をどかして できた穴に足をつっこんで 座った記憶がある。足は重力に引っ張られて なにか間違えると靴は下水に 落ちてしまいそうだった。 僕の通学路にはダンボールに入った「捨てられた犬」はいなかった。 潤んだ目で僕を見てくる子犬はいなかった。 汚い毛布に包まれた弱った子猫はいなかった。僕がそれを知っているのは漫画だかアニメだか小…

  • 9/17

    電柱が傾いている 神がひざまずいた角度だ 赤い羽根を燃やしたリンゴは砂になった 退屈に耐えきれなくて 子供が病気になる人は生まれる前が幽霊で 死んだら数式になるドリンクバーは火薬の味 首に手をあてた 封筒が破れている月をポケットに メイリオのフォントのような シャキッとした血液後頭部に衝撃 君と見た迷子の鹿 凍ったシフォンケーキ私は君を知らないし 君は私を知らない手の感覚がない まっすぐ

  • 砂糖の抜け殻

    ヨーヨーみたいに宙に浮かび 物凄いスピードでぐるぐると 頭がシェイクされて偏差値35の問題も溶けないくらい 脳みそは凝り固まった鳥の骨の欠片みたいだって 君が赤ペン先生みたいに指摘するその横顔がサーターアンダーギーの表面みたいに 太陽に灼かれて焦げていて きっと舐めたら砂糖の結晶みたいに 甘ったるかったんだろうなと思うより先にガリガリ君のアイスが半分溶けて 木の棒から青い液体が伝わり 爪先を惨めに濡らす。

  • 千年後の風景画

    フリスクの雨の影響でリニアモーターカーが遅れて サラリーマンのアイコンが 906号専用オープンチャットで 駅員にtoをつけて「さっさと動かせ」とキレている投稿に badのマークが桜の花びらが咲くように一斉につきはじめて 音量MAXにしていた僕のタブレットに ぽんぽんぽんぽんぽんぽん、と たぬきの祭りのような気持ちの良い音がしている。前に座っている人たちの体温が 僕のかけているレンズ越しに伝わってきて ピントを窓にずらすと、丸い建物が並んでいる町並みに たくさんのフリスクが輝きながら弾け飛んでいて 子供のときに見た魔法みたいな夜だった。

  • 斜めに書かれた住所

    地面に落ちてひっくり返ったセミが 足を動かして鳴き続けようとしているのは 最後の瞬間まで生き続けようと抗っているのかそれとも 「おはよう」とか「こんにちは」とか「こんばんは」とか 人に会うと自動で発せられる言葉のような ただの習慣や癖のようなものなのか わからないけれど顎先から落ちていた汗が マスクで遮られて 何もない空間に落ちていくように夜と朝が交差する瞬間は 青から赤に変わりゆく信号機の「点滅」を 乱暴に引き伸ばした「滅」の時間のように 寄る辺のない気持ちにさせる。

  • 植物は天国の夢を見る

    君の温度に値札がついていたころ 下駄箱に入っていた上履きは 左右がいつも逆でリノリウムの床に 叩きつけるように 上履きを落としたとき弾丸のような音は 肺を一気に貫いて 押し出された空気が固く閉じた唇の裏側に 突き放すように触れた。 生きることがしんどいと 思ったことは一度もない。ドン・キホーテで買った 恐竜の目の色をしたランプが 夜になると勝手に点灯するようになり町を歩いていると 通り過ぎていく通行人の 顔や笑い声のようにただの背景のような天井や壁が ホットケーキミックスのような色になるのを 毛布から左目と鼻を出して見ていた。

  • それできみは

    言葉というのが自分の身体の延長線上にあって 肌をつねったりひっかいたりしたときに痛みが生じるように ただ生きている事実だけを形に残せたらどれほど良いだろう。無人島に漂流したときに何日経過したのかわかるように 木を削って彫りつけていく無数の☓のように 生きている、もしくは生きていたという事実が残れば それで十分だ。色が混ざりあって濁りきった感情が チャーリー・ブラウンの洗濯機に詰め込まれて 漂白剤で真っ白にされて漫画の3コマ目を飾っている。

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