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  • 映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」前章 考察メモ

    この記事は、 映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」前章を見たが よくわからなかったという人と、もう一度見ようと思っている人に向けて さらに楽しんでもらえるように書きます。そのため、 映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」前章 のネタバレを含みます。ただ、今後の展開に対しての原作のネタバレは含みません。 原作ネタバレ無しで、後半パート「小学生時代」を解説 ①映画後半の小学生シーンを読みとく最初の鍵 まず映画が始まって、少しすると、 凰蘭と門出の下校のシーンになり、 踏切で電車を待つ二人の姿が映し出されます。そこに 映画の後半で出てくる小学生時代の 門出の笑顔が一…

  • こんにちは

    プレス機で潰されたような朝だな、ってマーガリン入りのロールパンを食べながら思う。 冬の寒さのせいでロールパンの皮はネズミの心臓のように固くなっている。 歳を取るにつれて夜が短くなっていった。子供のころは永遠に感じられるほど長かったのに。 明日が来るな、明日が来るな、と思いながら眠った。 You TubeもNetflixも無かった。 今では明日が薄っすらと透けて見える。 眠りたいと眠たくないがシチューのように ドロドロに混ざり合ってパンが胃液に落ちていく。

  • 「アリスとテレスのまぼろしの工場」はすごく変な映画だった。

    ネタバレとか気にせずに書きます。エンタメを期待して見に行ったら哲学のアニメだった。まぼろしの世界を舞台にしているのに生きている人間を描こうとした生々しい映画だった。最後までこの映画がどう進んでどう終わるのかがあまり分からなかった。ただ10年後になんとなくこの映画を思い出すかもしれないと思って(たとえばコンビニでおにぎりを手にとってるときとか)、そのときインターネットがまだあったらこのブログのことを思い出したら良いなと思ってこの文章を書いている。映画の舞台はある事故がきっかけとなって閉じ込められた田舎町で、その町の登場人物はずっと歳をとらない。同じ冬の季節を繰り返している。物語の中盤で彼らは「ま…

  • 自動的にログインする命

    まるで泥が見ている夢だ。 ストローでぐしゃぐしゃにされた心臓がオレンジ色に輝く。 重なり合った感情が塗り絵みたいに汚れが飛び散るだけ。 羊小屋にスマホを置いて眠る。枕は宙に浮いたまま。 思い出の中の祖父はいつも半笑いしている、指にこびついた油が空気を吸い込んで少しだけ大きくなる。

  • 空想のメントス

    ピアノの鍵盤を叩く速さで今日が終わる。セロテープでべたべたの心にまぶたをつけて 体温計のように燃えたらいいのに、って。君が頭にのせた手のひらが改札を通ると コーヒーの寿命が一つ減る気がする。びっくりドンキーの駐輪場で 頭痛薬の話をした。声は小さかった。 ペットボトルの蓋くらい。

  • ▲あけくち

    自分の思っていることや感じていることを表現するために色々な方法を模索して実行しても化学薬品に頭から浸かっているみたいに全身が濁りきって錆びかけたステッカーみたいに心をベタベタ汚していって駄目だった。お腹空いたり眠くなったり嫌になったりすることがもう嫌なんだ。砂漠に爪痕を残すくらい空虚でも声を発したい。僕の吐いた二酸化炭素で汚れた空気分くらい生きたい。

  • 人間が嫌いでごめんなさい

    このところ人間嫌いが加速している 誰とも話したくない。誰も信用できない。 気持ち悪い。いなくなって欲しい。そう思いながら一人の人間として 働いて食べて眠って なんとか生きている。近いうちに何もかも投げ捨てて 死に場所でも探しそうだ。 もしくは濁った魚のような目で 色々なものを見て過ごすかもしれない。自分の好きなことの時間をつくるために 社会に馴染もうと心にダンボールでハリボテを作ったけど 人間が生み出す毒で真っ黒こげだ。ひとりひとりの良い面や良い人は もちろんいるけれど それ以上に、生ゴミに失礼だけど 生ゴミを煮詰めたような人間が多くて そのバグった思考回路が生み出される 言葉も声も匂いもバー…

  • ただ、だた、まだ

    1 置き去りの魔法手のひらを抓るとその部分だけ熱が集まり 私が生きていることがとりあえずわかった。日記を書かなくなって 記憶力がズタボロの野良猫のように 過去も未来も燃えカスになった。言葉がナメクジのように 脳の中を這い回り 「さて」と言う。春の匂いは死体の匂いだ。 花弁は死へと繋ぐ道標になる。美味しいうなぎを食べたよ。

  • 解剖

    のむヨーグルトの形をした悲しみだ。と僕が書いたとき これを読む人がどんな想像をして どう思うかわからないので 今日は解説をしてみる。その行為に何の意味があるか 何のためになるのか わからないけどただ、この言葉には 共感する人も 心に突き刺さる人もいなくて つまりどんな解釈をしようが 誰かを傷つけることはない雑草にひどいあだ名をつけるような 一見すると有害のように見えて 実は無害な行為だから しようと思う。まず、悲しみには形がない と一般的には考えられているんだけど 悲しいという感情は たくさんある。大切な人をなくした悲しみと パンを落としたときの悲しみと 夕焼けを見たときの悲しみと ボロボロに…

  • 正しい生き方

    病が僕の心を染めていく。 傷つくたび血がほとばしり その血で文字を書く正義を振りかざす人間は その正義が一方的なことに 気付いていないのだと君の顔をぐちゃぐちゃにして 存在ごとブラックホールに 叩き落としたい

  • 1690170o。.

    指先で夜をつまむとかすかな弾力の後に 虫が潰れるような破裂する感触が残った。その後は夜には触れられなくなり 私は体ごと風船になったような 不思議な感覚に包まれた。私の存在はアパートに訪れる野良猫と一緒で いなくなったところで大した問題ではなく 奇特な住人が多少気にかけるくらいだろう。雨が降っているのに洗濯機を回してしまった。 タオルとシャツと下着がひとかたまりになって なめくじのように洗濯機に貼り付いている。人を何人も死から救ってきた 粉状の薬みたいな良い匂いがした。明日は

  • 分断の季節

    「ペーパームーン」を2年ぶりに見た。 昔の映画だ。詐欺師と身寄りのない女の子の話。題名のペーパームーンは紙の月、つまり偽りの月だ。 この映画には偽物や嘘が沢山出てくる。偽物の親子関係 偽りの聖書のプレゼント真実がいつも正しければ 嘘や偽りがこんなに優しくて温かい ことはないと思う。最近、映画を観ていると 共通してみんな愛をうたうことに 気がついた。どんなお金持ちも 思い描いていた夢も どんな困難なことも 愛には敵わない。しかし現実は 影に白が射すことはないように 一片の愛さえ見受けられないのでした。

  • 金魚の知らせ

    もしも鉛筆に命があるのなら 僕の書く言葉は僕のものになるのか 鉛筆のものになるのかわからないけれど街の喧騒に心音が滲んでいくように 境界線はぐにゃぐにゃになり 線の中に溶けていく双六の中に閉じ込められて死ぬ 金魚は僕の肉を食べない

  • 人間はアイロンを羽にする

    風景にボコボコにされたことはあるか? という手紙がポストに投函されていた。切手には指紋がぺったりとこびりついていた。 ※犯人を見つける手がかりになるだろう。手紙を読むことにする。富士山に押しつぶされたことは? エッフェル塔に突き刺されたことは? 路地裏に切り刻まれたことは? 滝に体を引き伸ばされたことは? 夕日に燃やしつくされたことは? ヘリコプターにバラバラにされたことは? 海に溶かされたことは? ペンを手に取る。はい いいえ いいえ はい はい いいえ はい

  • くらげ牛乳

    昨日の深夜から粘着力のある雨が降り続いている。 雨はマンホールを詰まらせて街中をドブの匂いで充満させた。夕飯を買いに出かけた僕たちは7.8人ばかりの少年たちに取り囲まれて、持っていたお金を奪われた。 くらげ牛乳を買うお金もない。喉はからからで灼けつくように痛く、身体中を粘着力のある雨が包みこんでいる。靴の中にも雨が入ったようで、歩くたびカエルを踏み潰すような、ぐんにゃぐんにゃした音が響いた。

  • 迷子センター閉鎖中

    夜が引き伸ばされて湯葉みたいに しわくちゃになって斑点みたいな白い点が 一つひとつ顔になって僕を睨んでいるコーヒーカップの内側で2桁の足し算を暗算していた 僕の左側に空白の人 喜んでも悲しんでも異常なんてないみたいな顔で 素通りしていく ドンキーコングのトロッコみたいな 性格のコンビニ店員が

  • 穴に落ちたような朝

    ピカチュウの10万ボルトくらいの衝撃が全身を駆け巡って 新しい化学方程式とか、宇宙の果てに何があるのだとか 人間が産まれた意味とか、神様の正体とか 生まれる前と死んだ後に人はどこに行くのかとか スーパーのお弁当に貼られた半額シールの色合いとか そういうの全部知りたいな、と思いながらハイチュウを噛む。 よだれが甘くなる、甘いよだれ、赤ちゃんより甘い、きっと。太陽には腕があって二の腕はグミみたいに柔らかいから 身体が燃えようがお構いなしに二の腕を触ってしまうらしい と聞いた、母方の叔父から。

  • こんばんは今日は夜の池袋を歩いていて 光のスポンジケーキに闇のチョコレートソースをかけられたような 暗さばかりが目立つ空間だなっと思ってそれは蔓延防止法で「人があまり外を出歩くのは良くないよ」 というお達しが出たからで、じゃあ犬とか猫はいいのかよ、 と思うけど犬も猫もコロナにかかるみたいだから よくないんだろうね、本当は。でも、「無闇矢鱈に出歩かないでください(犬や猫、トカゲ熱帯魚その他、命あるもの)」 としても間抜けだからさ、別に「人が出歩かない」という風な 限定的なお達しで良いと思う。で、話を戻すと、夜の池袋は 僕の知っている池袋の半分以下くらいの 人しかいなかった。それで余計に暗い感じが…

  • ぬりたての肺

    日々がひび割れて 火山口みたいだ 呼吸が燃える3色ボールペンに閉じ込められたみたいに 身の回りの出来事がつまらない ただ僕は苦しめられるあしたには黒猫の歩調みたいに 音もなく風に殺されるだろう僕の部屋のカーテンから漏れる明かりで 点描画の一つの色になれたらいいのに深夜バスの窓ガラスに額をつけて 名前もなく通り過ぎる明かりを 眺めていたい、です

  • 夜は魚の食べかけ

    人に会ったり 人と話したり 普通と呼ばれる価値観に従うこと 疲労が弾丸のように飛んできて 僕の太ももに穴をあける頬杖をついている君の顔のように 地球もかたむいてみんな落ちていけば良いのに 名前も知らない学校の下駄箱へ 靴の中へ その汚れへ水槽を買って 魚も水道水も飼わずに 読まない本を飼うもううんざりだ うんざりだ という顔でクーラーボックスに 平たい石を入れる

  • 空欄を毒で埋める

    カラフルな色の錠剤をファッションとして 持ち運んだり、アスファルトを歩いているアリに 適当な名前をつけたところで感情が燃えて炭になるだけでもないし 人の顔よりパソコンをよく見るようになって 神が作ったものより人が作ったものを信じてる鹿の目の色を思い出せない リンゴは欠けたまま プラスチックのストローを噛んでいると 生きているなと思う。ネオンの赤ちゃん チョウチョは海に移住する

  • 絵のうしろを見る

    布団に入って目を閉じたら 気の抜けた月が浮かんでいられなくなって コンクリートに衝突してバラバラになる姿を想像する。破片が四方に飛び散って 電柱とか自動販売機とか家とかが 傷だらけになって 世界中に絆創膏が貼られて 絆創膏の匂いがする街を歩く。足音がおたまじゃくしの呼吸の泡のように ぷかぷかと浮かんでは弾けて 傷だらけの風景ごとめくられる。あの子がテスト用紙の角を 犬の耳をつくるように折り曲げた理由は 最後までわからなかったけれど思い出の表面を滑ると 自分がもう死んだような 気持ちになるのは何でだろう。自分が良いなって思うものが 沢山ある世界で良かったと思うと同時に 公園の遊具を見ると悲しくな…

  • おひとりさま

    自分のことを救えるのは自分しかいないってことを 最近ようやく理解しはじめてきた。誰かに好かれるとか 誰かの大切な人になるとか 無理なんだ。人と関わることを諦めて 他人に期待しないようにして 一秒一秒生きるようにする。希望は鋭い針で 裏切られれば 風船に穴が空くように 簡単に感情が爆発してしまう。何かに期待するっていうのは いつだって分の悪い賭けで 負けることが決まっている試合みたいなもんだ。チップは限られていて 私はすべての賭けで負けて チップを全て無くした。あとは観測者だ 観測者として、この世界のノイズとして 出来る限り他者とのふれあいが 普通に見えるように見せかけて 最後まで生きないと。人…

  • .

    長い文章を書きたいなと思って、もう一回小説を書くことにした。 「小説を書く」というと、なんかすごく大変な事のように思う人がいるけれど、僕の場合は良い意味でも悪い意味でも呼吸に近い。 海に突き落とされてパニックなりながら見苦しくても酸素を求めるように、書くことによって生きる事を何とか肯定しようとしている。 社会に適合して誰かに認められるとか、社会の一員となって役立つとか、そういうことは僕には出来なかった。 書くことしか残されていなかった。僕にとって書くことは必要な行為だ。 上手いとか下手とか評価されるとか評価されないとか見せるとか見せないとかではなく、ときに自分を傷つける自傷行為でありときに自分…

  • どうしよ

    最近は誰かと電話して どうでもいい話をしないと 一人に押しつぶされて死にそうだ。しかし誰ともわかちあいたくない 誰とももう会いたくないという気持ちもある 誰かに自分が存在するのなら 自分はフィクションのほうが良い漫画のカバーの裏には メタ的な漫画が描かれることがあって そのどうでもいいカバーの裏の一コマの 隅っこにでも存在していたい。黒い固定電話の上に 顔が真っ白の絵画を飾り付ける。

  • 死にたいときに聴く死なないためのプレイリスト(2022年)

    ずいぶん昔に「死にたいときに聴いている曲」を公開しました。これを読んでいる人の 「死にたさ」が少しでも落ち着けば と思ったからです。あのときプレイリストを公開した日から 半分くらい変わったので 僕が聴いている「死にたいときに聴いている曲」を紹介します。 1 youtu.be歌詞の意味わからないけど通じる話と 僕はこのPV(非公式)の断片的な映像が好きで 地下鉄の乗るときは トンネルで真っ暗な窓を見つめながら この曲を聴いています。2 www.youtube.com羊を数えると眠りにつけるというのは SleepとSheepが似ているからだと聴いたことがあって mind mind mindといろい…

  • きりんと夏の交尾

    人差し指に傷があることに気づいてから、 ご飯を食べていてもキーボードで文字を打っていても、 ホタルの光のようなじんわりとした痛みが広がっていくのを感じるようになった。自分の体の中に猫や犬といったペットを飼っているような 一人ではないような感覚を覚えるのは、痛みが小さすぎて 自分という肉体から切り離してしまうせいなのか。YouTubeで心霊映像を見て、電気を消して真っ暗にしてお風呂に入った。 私の体に空気が張り付いて 点線で囲われた選択範囲になった。

  • あくびをするように夜をバラバラにする

    「死にたい」と検索すると電話番号が出る。 素晴らしいと思う。きっと救われた命もあったのだろう。 でも同時に、死にたいと思う人で電話を求めている人はどのくらいいるのかな?と思う。僕は何か映像が見たいです。 それは死にたいと思った人しか見れない映像で 「生きるとこんな良いことあるよ」とかそういうのではなく 何でもない映像が見たいです。町並み、自然、人 この世界のどこかにありそうで どこにもないような場所その映像を見て その風景を抱いて 魂をすり減らしながら生きるのです。

  • 低カロリーの狂い方しか知らない

    騒がしい夜に休止符みたいな月が浮かんでいるのを カーテンの隙間から見ていた。一人で部屋にいると誰かの声や話し声を 聞くことが多くなった。幽霊か幻聴かわからないけど 音楽を聞きたくてYouTubeを開くと 音楽に打ち消されないように話し声も大きくなった。クラブみたいだ、部屋が。 音に押しつぶされて 僕が考えている内なる声は チョコボールくらいの大きさになる。それしてもどうして僕は 一人暮らしなんてしているのだろう。 二人でも、三人でも、四人でも、五人でも良いのに。

  • しししす

    ぬるい炭酸水を飲んだはずなのに胃が冷たくなる感触を味わっている。 地下鉄の車内は蛍光灯の光がよどんでいて安心する。空調と吊り革。銀色の鉄パイプが血管のようで未来人の死体の中にいる気分になる。 誰かに助けられても、誰かを憎んでも、人間と話しても、君がチョコボールをくれても、孤独だ孤独。 僕は感情を育てる。感情が輪郭を持ち人間になるまで。

  • 弓わたし矢

    お風呂場でスキー板を抱えながら 午前3時を待っているマイナンバー代わりに 蝶の羽を持って 人間ごっこ何もあげられないから 美容院に行って YouTubeのロゴみたいな 髪型にしてもらった10階建てのマンションの2階だけど 雨漏りがひどいから 黄色いレインコートを布団代わりにかけて 眠りにつこうと思います道路の小石とか アスファルトに咲く花とか 勝手に君に良いように歌われて 迷惑してると思うよ

  • 原型の皿

    夜中ですね。こんばんは。生きている間に 本当に自分の好きなものを見つけて朝も、昼も、夜も、眠っている時間も 魔女が生贄をえいやっと放り込むように すべて鍋に放りこんで原型が破壊されるまで混ぜ合わせたい。最近は、無邪気な子供が「飛行機に乗りたい」と言うような感じで 「努力がしたいなあ」と漠然と思っている。何かしらの飛行機に乗れば 何もしなくても遠いところまで行くだろうが 努力の場合は、自分が舵を握らないといけないため 方向性を見誤れば 墜落するかもしれない。墜落するくらいなら ぐうたらしていた方が良い 私はそういう人間だ。しかし限りある生を隅々まで楽しむためには 努力して行けるところまで行くとい…

  • C7に「こんばんは」を貼り付ける

    白い絵の具をたっぷりつけた筆で思いっきり振り下ろしたような雲だなあ、青空に。 私もあんなに思いっきり存在していられたら、さくらんぼ餅みたいに角ばって小さい悩みが シャカシャカと脳内をかき混ぜないで済むのに。植物の根っこみたいに四方に伸びた髪の毛が 周りの空気の養分を吸い込んで 感情が飛び散る、花火と同じ焼き付く温度で。 牢獄 いつだって 沢山の動物の死体がホルマリン漬けにされている 展示会に行きました。ねずみやねこやいぬの ホルマリン漬けを見てきました。舌でミンティア転がしながら見た。

  • 沼の底に小指を突っ込む

    なんかYou Tubeのコメント欄でアーティストとかに ○○さんだとか、絶賛しているコメントとか 見ていて気持ち悪いなと思ってしまうんだけど なんで気持ち悪いと思うんだろう。自分の好きな曲でもそういうコメントついていると 気持ち悪いなーって思うんだよね。 基本的に「絶賛」って気持ち悪いんだよ。性癖垂れ流してるからなのか 自我が出まくってからなのか 好きなものをおかずに酔ってる自慰みたいな感じだからなのか僕も自分の好きなものを 「絶賛」みたいなことをしたことあるけど いま思い返すと吐瀉物みたいだ。太陽とか海とか そういう普遍的なものを 絶賛したら気持ち悪くないかもしれない。消しゴムとか。 消しゴ…

  • 斜向いの海

    いつもだいたい200文字くらいの文章を書いている。自分の心がどうしようもなくザワザワしているから 子供に絵本を読むように、少しでも良い夢を見てくれるよう 僕は文章を書くんだ。コンビニエンスストアの光が 天使が舞い降りたみたいなエフェクトがかかって ここが天国だよって、誰かが知った風な口で言って 20トンの金魚鉢に頭蓋骨から潰される。5リットルの血液が道路のアスファルトを濡らして 108円の炭酸水のレシートを船にして ノアの方舟みたいだなって死んだ僕が思っていることを 生きているいまの僕が思っている。

  • ブラックホールに似合う帽子をユニクロで探して

    帰る場所をAmazonで探している ポイントがちょうどよく余っているのと 心が文字化けみたいに解読不能だから部屋干しみたいな匂いの音楽を聞いている 今日食べたオムライスが化石みたいな味で 口の中がざらざらしているから普通になりたくないけど 普通にならないと生きていけなくて でも努力しても普通になれなかった幽体離脱で時間切れみたいな人生だったなって 居酒屋の光を見ながら国道で車の影に轢かれている 自分はゆらゆら落ちていく桜の花弁が 広げたブルーシートの青色の皺に挟まれて 身動きできない命未満みたいだな。

  • お題に答えます

    お題「ペットを紹介します」今日ブログ書こうとしたらさ 記事画面の上にお題がいっぱい並んでいて 開店前の美味しいパン屋さんに並ぶ人くらい並んでいて すごいな、って思ったのしかもさ「もっと見る」ってあるの え、まだあるの と思ってクリックしたらさ 「お題スロット」ってあって 回してみたの。そしたら 「ペットを紹介します」って 出てねこれで書けって言うんだけど 僕ペット飼ってないんだよね。 だからさ何も書くことがないの。だからさ村井くんにも相談したんだよね。 「どうしようか」って。そしたら村井くんが 「いやお前ペット飼ってるじゃん」 って言うわけよ。ペット飼ってた笑 忘れてた笑ペット紹介します。ペッ…

  • 銃弾の代わりにてんとう虫を詰める

    今日は安定している。安定しているというのは何もないってことで 何もないってことは DVDプレイヤーの早送りボタンを押されたような 視界の空気にノイズが走り、人々が尋常じゃないスピードで動く 無音の世界に放り出されたってことです。砂時計の砂がキラキラ降り注いで 全身を包み込んで窒息させる 今日が終わる。思い出に残らないような今日が パンっと風船のように破裂して空気に飛び散り 君の肺に届かずホコリと一緒に地面に積もる。安定してようが何だろうが 眠れないので、くるくる舞います。オムライスの上に ケチャップで書いた 線がぐにゃぐにゃの顔の人と 20分くらいシーソーして時間を潰したい。

  • 笑顔で明るい人が好きです

    誰かと分かり合うなんてことは無理かもしれない。 一人で生きていかないといけないかもしれない。ドトールから出てカフェオレが残った口で そんなことを考えながら横断歩道の向こうを見ると ビルがあって、ビルというのはとても大きいなあ という当たり前のことを思った。しかし、なんで良くない感情というのは 車の窓ガラスにこびりついた水滴のように 自分の内側からだと決してぬぐえないような 絶望的な感覚を与えてくるのだろう。地上に落下した水槽から 飛び散った水や魚のように 何が起きているのか私にはわからない。自分の感情も 自分のしていることも 自分が大切なことが何なのかもわからない。わかることから目を背けている…

  • 身分証の交換

    シャボン玉の中に羊がいて キャンディのように病んでいる行き先のない切符は ポケットの中に 錠剤と一緒に眠っているもうだめかもしれないね しぬとかしなないとか いきるとかいきないとか どうでもいいんだけど大切なことと どうでもいいことの違いが もう僕にはわからないネジで豆腐に穴を空ける 発泡スチロールの天使が ミルフィーユで窒息死している

  • にぎやかな長靴

    コンタクトレンズをつけた猫が 飼い主の顔を見て怯えている。自動販売機に心電図をつけて 綾鷹が売り切れるの見ている。道徳の教科書みたいなクイズ番組で 誰も正解しないで司会者が 舌打ちをしているのを聞いている。雪から雨に変わるときの匂いが好きで 頭蓋骨の内側で感じている。貝の内側に書いた 3文字の遺書を山に捨てる。

  • ベンチでもソファーでも椅子でもない

    家の近くの空き地でジグソーパズルが3ピースほど地面に突き刺さっていて、どれも赤い模様がプリントされていたから、その地面の上で誰か殺されたんじゃないか、と思ったんだ。 でも実際は誰も殺されていなくて3人いた。3人というのは僕とタケルとジョジョンミのことで、そのとき吉井はまだ友達ではなかったからその場にいなかった。 どうしてジグソーパズルが地面に突き刺さっていたのかはわからなかった。ジグソーパズルは3ピースしかなかったから完成したらどんな絵になるのかもわからなかった。 タケルが思い出したように「あ、これ俺のジグソーパズルだわ」と言った。 その隣にいたジョジョンミは第二形態を飛び越えて第三形態へと進…

  • 蝋燭も急がしいときは無口になる

    外が薄暗いな 記憶も全て面倒くさいな 落ち着いて眠れた日は 数えるほどしかないけどクッキーのように焼いても 甘い匂いはしない 君のふりをしている 人間になれなかったら入口しかなかった 死は救いではない どんな聖人君子でも指を折り曲げる 一定のスピードで何か不備があって システムエラーで それでも正常だと君が言うから 信じるしかない理解しました 何もわからないけど理解しました 本当に何もわからないけどミミズに海のワクチンを ミミズの心が病原体で病まないようにモグラに毒を 毒が余ったからあー、楽しいことがなくなっちゃった

  • 昨日の部屋で線香花火がしおれている

    骨がないみたいな歩き方するね と、君に言われたので メルカリで丈夫な骨が売ってないか探した。どこかの空き地を購入し ボロボロの船を置いて その中で生活して 雨粒が地面を叩く音を ずっと聞いていたい。「自分は幸せになる権利がある」というふうに思うと 怒ったり悲しくなったりするけど、 そんなこと思わなければ通り過ぎる雨みたいなもので 濡れたりするけど、ただそれだけなんだ。気休めでバク転をする。 ペンギンにはできないだろうし。

  • 生き方

    昔見た映画家政婦が家の主人の死体を見て、 警察と協力しながら犯人をつきとめるのだけど 最終的に全ては家政婦の妄想でその家に家政婦すらいなくて その女はストーカーで 画面の向こうの観客を見つめて終わる映画テレビで再放送されず DVDもなっておらず 監督も俳優もタイトルも グーグルでまったくひっかからず唯一、アメーバブログの ありふれた主婦のブログで 三行だけ取り上げられているのみで 誰の記憶にもないけれどあの家政婦のこっちを見る目が 忘れられない、黒目が微動だにせず 視線が僕を貫いている。 世の中には生き方というのがあるらしくて不思議だね。山なら登る登らないという選択しが、絵なら描く描かないとい…

  • ビルの屋上でおはよう、海底でさようなら

    なんか知らないけどDAIGOが炎上しているらしいことを一ヶ月くらい前に小耳に挟んだのだけど、僕がYou Tubeを見ているとDAIGOが英会話を勧めている広告がいまでも沢山出てくる。炎上しているというのに英語学習を人に勧めている場合なんだろうか?と思うのだけど、なんで炎上しているのか経緯すらわかっていないので何も言えない。最近は疲れがピークになると怒りに変わることが多くなった。 なんの怒りなんだろうか? わからない。 誰への怒りなんだろうか? わからない。 ただ、怒りのエネルギーを発散できないまま、持て余す。発散できない怒りは泥のように固まって 身体を重たくするのだ。雨が降っていないのに傘を差…

  • 度重なる色

    ノコギリで真っ黒な夜空は分断されて 血液は蛇のように坂道をくだっていくブルーシートで覆い隠された死体のそばには 誰が置いたのか、ひまわりが添えられていて 四角く折りたたまれたメモ用紙には マジックで「鍋の蓋が気がかりです」と書かれている。 掘りごたつに憧れて マンホールの蓋をどかして できた穴に足をつっこんで 座った記憶がある。足は重力に引っ張られて なにか間違えると靴は下水に 落ちてしまいそうだった。 僕の通学路にはダンボールに入った「捨てられた犬」はいなかった。 潤んだ目で僕を見てくる子犬はいなかった。 汚い毛布に包まれた弱った子猫はいなかった。僕がそれを知っているのは漫画だかアニメだか小…

  • 9/17

    電柱が傾いている 神がひざまずいた角度だ 赤い羽根を燃やしたリンゴは砂になった 退屈に耐えきれなくて 子供が病気になる人は生まれる前が幽霊で 死んだら数式になるドリンクバーは火薬の味 首に手をあてた 封筒が破れている月をポケットに メイリオのフォントのような シャキッとした血液後頭部に衝撃 君と見た迷子の鹿 凍ったシフォンケーキ私は君を知らないし 君は私を知らない手の感覚がない まっすぐ

  • 砂糖の抜け殻

    ヨーヨーみたいに宙に浮かび 物凄いスピードでぐるぐると 頭がシェイクされて偏差値35の問題も溶けないくらい 脳みそは凝り固まった鳥の骨の欠片みたいだって 君が赤ペン先生みたいに指摘するその横顔がサーターアンダーギーの表面みたいに 太陽に灼かれて焦げていて きっと舐めたら砂糖の結晶みたいに 甘ったるかったんだろうなと思うより先にガリガリ君のアイスが半分溶けて 木の棒から青い液体が伝わり 爪先を惨めに濡らす。

  • 千年後の風景画

    フリスクの雨の影響でリニアモーターカーが遅れて サラリーマンのアイコンが 906号専用オープンチャットで 駅員にtoをつけて「さっさと動かせ」とキレている投稿に badのマークが桜の花びらが咲くように一斉につきはじめて 音量MAXにしていた僕のタブレットに ぽんぽんぽんぽんぽんぽん、と たぬきの祭りのような気持ちの良い音がしている。前に座っている人たちの体温が 僕のかけているレンズ越しに伝わってきて ピントを窓にずらすと、丸い建物が並んでいる町並みに たくさんのフリスクが輝きながら弾け飛んでいて 子供のときに見た魔法みたいな夜だった。

  • 斜めに書かれた住所

    地面に落ちてひっくり返ったセミが 足を動かして鳴き続けようとしているのは 最後の瞬間まで生き続けようと抗っているのかそれとも 「おはよう」とか「こんにちは」とか「こんばんは」とか 人に会うと自動で発せられる言葉のような ただの習慣や癖のようなものなのか わからないけれど顎先から落ちていた汗が マスクで遮られて 何もない空間に落ちていくように夜と朝が交差する瞬間は 青から赤に変わりゆく信号機の「点滅」を 乱暴に引き伸ばした「滅」の時間のように 寄る辺のない気持ちにさせる。

  • 植物は天国の夢を見る

    君の温度に値札がついていたころ 下駄箱に入っていた上履きは 左右がいつも逆でリノリウムの床に 叩きつけるように 上履きを落としたとき弾丸のような音は 肺を一気に貫いて 押し出された空気が固く閉じた唇の裏側に 突き放すように触れた。 生きることがしんどいと 思ったことは一度もない。ドン・キホーテで買った 恐竜の目の色をしたランプが 夜になると勝手に点灯するようになり町を歩いていると 通り過ぎていく通行人の 顔や笑い声のようにただの背景のような天井や壁が ホットケーキミックスのような色になるのを 毛布から左目と鼻を出して見ていた。

  • それできみは

    言葉というのが自分の身体の延長線上にあって 肌をつねったりひっかいたりしたときに痛みが生じるように ただ生きている事実だけを形に残せたらどれほど良いだろう。無人島に漂流したときに何日経過したのかわかるように 木を削って彫りつけていく無数の☓のように 生きている、もしくは生きていたという事実が残れば それで十分だ。色が混ざりあって濁りきった感情が チャーリー・ブラウンの洗濯機に詰め込まれて 漂白剤で真っ白にされて漫画の3コマ目を飾っている。

  • 読書日記8/3

    多和田葉子さんの「百年の散歩」というエッセイを読んでいる。 様々な町の通りを舞台にした旅行記のような短編集で 冒頭の「カント通り」を読んでいたら すぐ右隣で、ばさっと音がした。天使が羽根を広げたのかと思えば、そうではなく新聞だった。 という文章に遭遇した。ずっと私は「新聞が開く音はなんて小気味が良いんだ」と思っていたから 「天使」なんていう仰々しい比喩も妙に納得がいって(ああ、そっか、天使の羽根の音だったんだ、新聞を開く音って…)そんなことを思いながらページをめくった。それにしても多和田葉子さんは面白いなと思う。 カフェに男か女なのかわからない人がやってきて 勝手に「ルカ」と名前をつけてしまっ…

  • 現実の君は無罪だ

    三人称日記に慣れてきたら次は裏日記をおすすめする。裏日記に書かれていることは全て本当ではないのだけど、まるで本当にように描かないといけない。嘘をつくこつは真実をベースにして2割,3割の嘘を混ぜることだ。たとえば君が朝、出勤するときに犬と通り過ぎたとする。犬と通り過ぎたときに吠えられていないに「今日は朝から犬に吠えられて少し憂鬱だった」と書けば裏日記として成り立つ。感情だけを本当にして事実だけを嘘にしても良い。本当は君は会社に行くことが嫌で憂鬱だった。しかし、その感情の起因を「犬に吠えられた」という存在しない事実で結ぶことによって、感情さえも存在しないようにすることができる。裏日記のメリットは、…

  • 遠い空の雲の横顔.jpg

    体がマックシェイクみたいにドロっとしていてだるくて 心がタピオカミルクティーに詰められたタピオカみたいに ぐにぐにしていて ひと思いに噛んだら潰れてしまいそうだ。仕事を無理やり終わらせて 水族館に行ってペンギンやアシカが 同じ場所をぐるぐる泳ぎ回るのを ずっと眺めていた。僕がニーチェかニュートンだったら その光景を見て何か人類史に残るようなことを 閃きそうだったけど、僕の頭ではそれを 2021/08/01フォルダーに 画素数の粗い携帯で撮影したような ぼんやりとしたjpgファイルを残すだけだった。子供のころに考えたこと 動物園や水族館に連れてこられた動物たち ペンギンや、ゾウや、ライオンや、キ…

  • おにぎりセット

    3時。本来なら眠りの世界の中にいて、運ばれてきた無意識をナイフとフォークで切り分け一口サイズの夢にして、その苦味をブニブニした食感と合わせて食べている頃だった。しかし火山が噴火するくらい力強い空腹が、薄っぺらい毛布にくるまって眠りの世界へ運ばれかけていた僕の全身を突き動かした。毛布を蹴飛ばし、ベッドから勢いよく立ち上がると簡単な着替えだけ済まして、家のドアを開けた。外へ出ると夏の熱さが夜闇にまで溶け込んでいるのか、白いシャツ一枚だというのに肌寒さは感じなかった。何の熱も感じない空気の中をふらふらと歩いていると、外気と自分の体の境目がわからなくなり、夢の中を歩いているような感じになった。フィッシ…

  • 三人称日記のススメ

    よく宇宙人が地上に降り立ったときに 「我々は宇宙人だ」と地球人に言うようなイメージがある。勝手な偏見でしかないけれど きっと宇宙人はマッチングアプリでマッチした相手にも 「我々は宇宙人です」とメッセージを送り MEではなくWEということを訴えてくるのかもしれないと思っている。ポケモンで言えばモグラみたいなものが 3匹集まったダグドリオのようなイメージが 宇宙人には勝手に植え付けられている。だけど、私が宇宙人だったら 「私は宇宙人です。後ろのやつらも宇宙人です」 と私と彼らを切り離して言うだろう。もっと言えば何も言わないかもしれない。 コミュ障だから。便利な言葉。ちなみにこの宇宙人の話はまったく…

  • 前田司郎『夏の水の半魚人』感想文

    SNSを漂っていたら 「評価されないのでその正体を知りたい。誰か小説を読んでください」 という投稿を見かけて、その正体がわかれば苦労しないんだけどなあ と思いながら興味本位で読んでみたところ あっさりとその「正体」が見つかったことがある。その小説は恋愛小説だったのだけど 登場人物の感情も思考も全てクリアで まったくもって行間というものがなかった。「喉が乾いた、だから水を飲む」 みたいな感じで 「彼は優しい。優しいから好き。好きだから告白する」 というような感じ。人間というより、数式やプログラミング言語にしか思えなかった。 読みやすく、面白くないわけではなかったのだけど、 悲しいことや嬉しいこと…

  • スケラッコ『バー・オクトパス』感想文

    夜中におにぎりが食べたくなって 住んでいるマンションの外へ出た。僕の住んでいる場所はわりと都会で コンビニに行くまでの道のりにバーと スタジオがある。非常事態宣言が出ているので仕方ないのだけど 22時前だというのにバーは閉まっていて 「酒類提供しません」という張り紙がしてあった。お酒を提供しないバーって 何をするんだろう?と思いながら そもそも「バーって行ったことないかもしれない」ことに気づく。僕の中のバーは 「カウンターがあってマスターがいて すごく静かなところ」という 幼稚園児の落書きくらいに雑なイメージのものしかない。よほど縁がない限りは自ら足を踏み入れることはないだろう と思っていたの…

  • 最果タヒ『もぐ』読書感想文

    夏といえば夏休み。 夏休みといえば読書感想文。そんな単純な連想ゲームで、今日は読んでいて面白かったエッセイ 最果タヒの『もぐ』を紹介します。最果タヒというのは現代詩人です。 詩のほかにもエッセイや小説も書いています。今日紹介する『もぐ』は「食」にまつわるエッセイで パフェとかドーナツとかちくわ天とか そういった僕たちが胃に納める食べ物のエッセイが 合計25個収録されています。僕がこのエッセイを読んで一番思ったのは 「その感覚はわからない」 ということでした。書くこと一つひとつが ほぼほぼ共感することができない という事態に遭遇しました。たとえば 「パフェは食べ物の天才」だとか 「小籠包は食べる…

  • 四方八方に飛び散った

    太陽とか水星とか土星とか 宇宙にある惑星たちが TSUTAYAのDVDコーナーの隅っこにある ノンフィクション作品を集めた黒い棚で 埃を布団にして眠っている。そんなつまらない話を充電が切れかかった ブルートゥースイヤホンで聞いている。目的地に向かって歩いている間は 本当に暇で、もう何百回も同じ場所を歩いていると すれ違う人も建物も死んでいるようにしか思えない。インスタ映えする墓石なんかよくわからないことを思いつく。 一日の儀式眼を開けたら天井に名前をつけるアルファ ロメオ 西野 いきなりアップルパイ タケオ同じ空間にいるって思わないよう 自分の部屋を見知らぬ空間にする。 やりたくないことを「仕…

  • 何を書こうかなと思うとき

    太宰治が文章を書くコツのひとつとして 「好きな人に話しかけるように書くといいよ」 と言ったらしいので、だから僕も 恋多き死にたがりの文豪にあやかって 好きな人に向かって書くことにする。と、宣言したものはいいものの 正直に言うと 僕はいま何を書けばいいかわからない状態で、それこそ好きな人をはじめて デートに誘ったはいいものの何を話せばいいかわからず、 小さく微笑んだまま固まっているような そんな状態。「誰かに何か伝えたいことを伝える」 っていうのが文章の掟なのだとしたら その掟を真っ向から否定している。たぶんそれは僕に書きたいと思うものが 何もないからで、ただ書きたい 「何も伝えたいことはないけ…

  • 小説を暗記する方法、またはなぜ小説を覚えるのか?

    桜が見頃を迎えたというのに、ひたすら小説を暗記している。 芥川の蜜柑の全文はすっかり覚えてしまい、いまは梶井の檸檬を脳内へ入れ込んでいる。今回は小説の暗記方法について考えていきたい。 まず小説を覚える理由なのだが、これは退屈でどうしようもないときに脳内で読むためでもあるし、夜眠るときにやってくる不安を追い払い、目を閉じながらでも小説を楽しむためでもある。小説を暗記するために重要なのは「記憶術を使わない」ことだ。もともと記憶術と長文暗記は相性が悪い。場所法も置換法も有効ではない。また、すばやく効率よく暗記することがどんな場合でも正しいわけではない。制限時間があるわけではないし、読書を楽しみながら…

  • ドアの下には階段が続いている話

    ランドセルにノートや教科書を詰め込んでキャハキャハ言っていた馬鹿だったあの頃に、母親は週に3回か4回のペースでギャンブルに出かけていて、僕は一人で家の中にいることは当たり前のことして生活していた。今よりはるかに高い天井に見おろされながら、ソファーに寝転がって衛生放送の海外アニメを見ることで寂しさとか退屈さとかを紛らわしていたのだが、時計の針が何回も一周しても帰ってこないときは、リモコンを武器代わりにしながら家の中を探索していた。トイレか二階の仏壇の部屋だったと思う。たまにドアの下を見ると階段があって線画がぶっ壊れたかのような世界へ行ける。僕はその世界のことを「クウコウ」と言っていたのだが、なん…

  • 走りタバコの時代に捧ぐ

    最近はマナーの良い喫煙者が増えたと思う。このまえも4、5人の大学生グループが歩きタバコをしていた。それだけでもかなりマナーが良いというのに、大学生の一人が携帯灰皿を取り出したときは驚いた。ベンチに座っていたおばあちゃんもニコニコと微笑ましそうに彼らを眺めていた。 走りタバコが問題になったのはいまから数年前のことだろうか。きっかけはとある人気YouTuberが「走りながら吸う煙草は上手い」と動画をアップロードしたことだった。そのYouTuberは数ヶ月もしないうちに、大麻を吸いながら走っているところを警察に取り押さえられたのだが、走りタバコブームは衰えるどころかさらに勢いを増すばかりだった。 テ…

  • テストのような小説

    数年前のこと、ちょうど読んでいた海外小説の著者が、来日してトークショーをやるということで見に行くことにした。 その頃の僕はバイトをしながら小説を書くという自堕落な生活を送っていて、一つでも間違えば小説すら書かない体たらくっぷりを披露していた。 誰に見せても、こんな生活は腐ったモラトリアムの延長線上だと言われただろう。しかも、その線さえもグラウンドに引く白い粉のように掠れ始めていたのだ。 小説で生きていきたい、そんな思いはあっても現実は落選、落選、落選の繰り返しで、小説で暮らしていけるどころか1円も稼げていないのが現状だった。 そんな僕が小説家のトークショーに行くのは、もちろんファンだったり興味…

  • 電車に乗っている変わった人たち

    現在の僕の通勤時間は2時間。電車には1時間半乗っている。それだけ乗っていると時々変わった人に遭遇する。ある日の電車の中、運良く座れた僕はスマホをいじりながら発車を待っていた。しかし運転間隔を調整しているようでなかなか発車しない。電車が遅延して申し訳ありませんとお決まりのアナウンスが流れた、とほぼ同時くらいに「本当だよ!」という大きな声が響いた。あ、これヤバイ人が乗っていると思いつつ、ちらっと声のする方を見た。そこには、競馬とかで有り金を全部平気で注ぎ込むような小汚い老人が立っていた。アナウンスに対して「いいから早く発車しろよ!」とか「どうなってるんだ!」とか一人でツッコミを入れている。車内にい…

  • がらくたたちよ怒りをおさえるな

    ぼくはいま物凄く怒っているので、怒りを昇華させるために文章を書くことにする。世の中にはアンガーマネジメントという怒りを無理やり抑える方法があるけれど、あれは信用してはいけない。たとえば10の怒りがあったとして、如何なるどんな方法を使用したとして消えることも少なくなることもない。怒りはエネルギーだ。エネルギーは消費することでしか消えてなくならない。怒りを我慢しようが客観視して本質を見つめようがなくなるわけがない。楽になったように感じたとしてそれは錯覚だ。実は怒りはどんどん溜まり続けているのだ。たとえば君がエイリアンに対して10の怒りを感じたとする。アンガーマネジメントで怒りを押さえ込んだとしよう…

  • 僕の最近好きな曲とどうでもいい感想

    pi ja maはかわいいんだかださいんだかわからないんだけど、一周回っておしゃれなような気がする。僕はけだるさが大好きだから、とにかく彼女はこれからもけだるくいてほしい。Radio GirlのPVを見ると、色んなことがどうでもよくなってくる。 宗教法人マラヤという新星のごとく表れて颯爽と消えていったアイドルグループを知ってみるには下記の動画を見てください。解脱することにより肩こり解消、世界平和、地球温暖化などが起こります。グループイノウとか水曜日のカンパネラとか好きな人はこういうの好きだという偏見。仏像の方は完璧に下ネタで清々しい。 Tiny Hazardは穏やかな曲が多いんだけど、In a…

  • 労働から疎外されている

    仕事を楽しめないことを「労働から疎外されている」というらしい。僕は仕事に対して「早く終われ」という感情以外の何物も持たないから、きっと疎外されている。 会社から出た瞬間が一番好きだ。自分が戻ってきた感覚がある。しかし今日も帰りの電車は人でぎゅうぎゅうだった。僕は満員電車も楽しめまい。満員電車から疎外されているのだろう。スマートフォンも出せない状況なので、仕方なく中吊り広告を見る。週刊誌の見出しがずらっと並んでいた。その中に「賄賂」とデカデカと書いてあった。僕は賄賂も楽しめない。賄賂から疎外されている。いや、待てよ。貰う側だったら嬉しい。つまり、賄賂から疎外されていないのかもしれない。僕はわから…

  • 「死にたい」のかわりに使いたい言葉10選

    みんなよく「死にたい」ってボケるじゃないですか。でも死にたいってそんなにおもしろくないというか使われすぎてて味のしないガムみたいになっているんですよね。 だから何か新しいボケを身につけといた方がいいですよ。やっぱり死にたいというボケの面白さって、死ぬのか死なないのか?みたいなドキドキだと思うんですよ。でも死にたいっていうやつは99%死なないってネタバレしちゃってるんで、どんどんボケのワードを変えていきましょう。①心臓をヤギに食べさせたい まあ、心臓をヤギに食べさせたら死にますよね。奇をてらっている感もあんまりないのでおすすめです。ヤギじゃなくてもヒツジでもいいかもしれませんね。 ポイントは草食…

  • 僕が見たかもしれないM-1グランプリ2018決勝感想

    いろんなブログでM-1グランプリの決勝戦の感想を見たんですけど、どれも決勝メンバーが同じなんですよね。100ブログ見たんですけど、100ブログともそうでした。これだけ感想あるんだから、決勝メンバーが違っていてもいいのに。 みんながみんな同じ決勝メンバーを見ていて正直気持ち悪さを感じました。「おすぎとピーコどっちを抱く?」という質問にみんな「おすぎ」と答えているみたいな。だから僕だけは「ピーコ」を抱こうと思います。①怪奇!YesどんぐりRPG 90点 ピンが3人集まって、それぞれ一発ギャグを回していくという斬新な漫才でした。恐らくゲームから着想を得たのであろう「プレイヤー○○」というシステムは画…

  • 電子書籍派としての意見

    電子書籍派として語らせてもらう。電子書籍の良さは数えきれない。まず、持っているときの感覚。専用デバイスから伝わる10gに満たない重さは、「読書をしている」という崇高な気持ちにさせる。 肌触りもいい。硬いフォルムはすべすべとしていて一晩中撫でていても飽きない。 そしてページをめくるときの快感。文章が消えたかと思うと、さっと新しい文章が表れる気持ちよさ。そして、購入した大切な本たちをライブラリに並べられるのが良い。 こういったものは電子書籍だからこそ味わえるものだ。少なくとも粒子書籍には味わえない。 最近では粒子書籍が流行っているけど、僕はやっぱり本は電子書籍で読みたい。粒子書籍には1ページ1ペー…

  • 壁に向かって歌うおじさん

    今日、壁に向かって歌っている路上ミュージシャン(おじさん)を見た。これまで数多の路上ミュージシャンを見てきた僕も、通行人に背中を向けながら歌うおじさんを見るのははじめてだった。どうして壁に向かって歌っているのだろう? と僕は疑問に思ったのだけど、気持ちよく熱唱しているおじさんに向かって「お尻を見せつけながら歌って楽しいですか?」とはさすがに聞けなかった。このおじさんは歌だけには自信があるのかもしれない。耳を澄まして聞いてみると確かになかなか渋みのある声をしている。一般人と比べたらうまいのは歴然だった。もしかするとおじさんは「これだけ歌が上手かったら、通行人のハートを射止めるのなんて楽勝だろう」…

  • 梅崎春生「桜島」感想 1946年

    桜島作者: 梅崎春生発売日: 2016/02/02メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 最近読んだ小説のなかで一番うまい、という文章をネットでみて読んでみることにした。おもしろかった。戦争中の桜島で、暗号解読をする兵士が主人公。緊迫した状況と、死に対する思考の流れが、文章を追うことを飽きさせなかった。 文章もテンポが良くて、かなり読みやすい。70年前以上の作品なのに、言葉が死んでいない。 ジャンルとしては戦争文学なのだろうが、テーマは「死」なんだと思う。 たとえば「桜島」のなかには、自殺をしようとする老人が出てくる。何度も転びながらようやく縄をかけて死のうとしたら、孫がじっと老…

  • 太宰治「人間失格」感想 1948年

    中学生くらいのときに一度読んだことがある。だから再読なのかな。改めてみると「人間失格」っていうタイトルはくそいいな。 この主人公、大庭葉蔵に共感できるかできないかで言ったら、僕はできない方になるんだけど、第一の手記の冒頭はすごくわかる。 汽車のブリッジをはいからにするための遊戯だと思っていたら、実用的なものだったとしって興が冷めるくだり。 実用的なものをつまらなくて悲しいという捉え方。 実用(悲)vs娯楽(喜)が、大庭葉蔵の根本的な考え方になるんだと思う。 だから「銅銭3枚」で死のうと思うし、電線にひっかかった「凧」を見てうなされるんじゃないかな。 凧なんて娯楽の象徴だから。大庭葉蔵はそれに自…

  • 田山花袋「蒲団」雑感想 1907年

    読まないとして名は聞いたことある小説が多い。「蒲団」なんていうのはその代表格ではないだろうか。蒲団をくんかくんかする変態おっさんの小説として有名である。ぼくも変態おっさんの話だと思っていた。 しかし、読んでみたら違った。 おっさん自体は変態だった。いまでいうところのメンヘラなのだと思う。メンヘラおっさんである。 問題は、くんかくんかされる蒲団に寝ていた芳子の方である。 簡単に関係性を説明すると、芳子は主人公である小説家(竹中時雄)の弟子だ。 時雄に手紙を送りつけまくって弟子になった。 自分のなかでは芳子は文学少女のイメージがあった。 事実、文学をやっているわけだからね。 でも、違うのです。 今…

  • 【トラウマになりそうなアニメ】Rein Raamat「Põrgu 」(Hell, 1983)感想

    Rein Raamatについて エストニアのアニメ監督。1931年生まれ エストニアアニメの父とも呼ばれているそうです。 現在はアニメを作っていないっぽい? Põrguの感想 www.youtube.com「Põrgu」というのはエストニア語で地獄を意味します。 僕もエストニアについては詳しくはないのですが、主要宗教はキリスト教で、歌と踊りが好きな国らしいです。 それが「Põrgu」というアニメにもあらわれていると思います。Rein Raamatの他のアニメ作品と比べると、ぶっちぎりで怖いと思います。 序盤はわりと楽しそうなパーティーの雰囲気で始まるのですが、最終的の人の動きがとまり、形が崩れ…

  • 【おすすめバンド】Descartes a Kant

    メキシコの男女六人バンド「Descartes a Kant(デカルトカント)」 ポップかつサイケデリックで、ダークかつかわいいという反則みたいなバンド。 「The Peter Pan Syndrome」 www.youtube.com 短い時間の中で変調しまくるんだけど、どれもキャッチーで耳に残る。 この「The Peter Pan Syndrome」で、中毒状態になりました。 イントロの不穏な感じからPV含めてすべてにおいて最高だと思います。 「Buy all my Dreams」 www.youtube.comシュルレアリスム映画みたいな雰囲気ありますよね。 段々と激しくなっていくのが最高…

  • 模造クリスタル『黒き淀みのヘドロさん』感想

    (it COMICS)" title="黒き淀みのヘドロさん 1 (it COMICS)">黒き淀みのヘドロさん 1 (it COMICS)作者: 模造クリスタル出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス発売日: 2017/03/15メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見るヘドロさんを読みましたので、感想をぶん投げさせていただきます。 おもしろいからみんな読もう。 近所の図書館に寄贈しよう。 模造クリスタルとは まず「もぞくり」について説明いたしましょう。 「ミッションちゃんの大冒険」というweb漫画で、有名になりました。 いまは「金魚王国の崩…

  • 病的にポップでありたい

    この言葉が頭を渦巻いている……。 ポップに対する憧れのようなものが芽生えました。 とにかくひたすら明るさを追求したらどうなるんでしょうか。 カートゥンの世界では、死さえ寓話化されるところがある。 悲しみも暗さも、一つの象徴としたい。 1円玉、五円玉、10円玉、みたいな、ただの物質として感情を置きたい。 私はこれから死ぬまでポップを追求してみせる。 わかりにくいものを、わかりやすく。 つまらないものを、おもしろく。 哲学なんてキャラクターの上に出てくる「!」や「?」と同じなんだって。 そんな風に書いてみたい。愚かな人間を愛そう。 落ちるとわかってるアイスクリームを、何の対処もほどこさず見てやろう…

  • 映画『神様メール』感想

    www.youtube.com 神様メールっていうベルギーの映画を見てきた。 不思議なコメディ。 神様ってだいたいいい風に書かれるんだけど、この映画ではろくでなしのダメオヤジなんだよね。 不快ルールとかいうの作るし、事故や戦争を起こしまくっている。部屋に閉じこもってパソコンでそういうことやってるわけ。 引きこもり。 こんな風に書いて大丈夫なのって思うんだけど、設定上ではイエスの父親ということになっているのかな。 で、そのダメオヤジ神様にはエウっていう娘がいて、ある日父親が人類にめちゃくちゃひどいことをしていることを知ってしまう。 反旗をひるがえしたエウは、人類に自分の余命がわかるメールを送ると…

  • M-1グランプリ 2016 感想

    お笑いのこと何もわかっていないくせに批評家きどりであれこれ書き連ねるやつやります。 友達いないので許してください。 1アキナコント漫才ですよね。アキナの前のスタイルは大喜利風味の漫才で、THE MANZAIでもファイナルに残っている。それなりにオリジナリティのある漫才でした。 今回は、ソーセージ時代のブラックな部分を残しつつ、漫才に昇華している。おもしろいんですけど、前のスタイルと比較してしまうと弱くなったかなと思います。 受けているし、おもしろいんだけど、大きな笑いは起きにくいっていう感じですね。どうしても展開に物足りなさを感じてしまう。 アキナ好きなので、どうしても辛口になってしまいますね…

  • 書くことについて②

    書くことは誰かと感情を共有したいという気持ちから始まる、と昨日書いた。それの補足としてつらつら文章を書いていて、本当にそうなのだろうかという疑問が頭をもたげた。 日記はどうなのだろう。人は誰にも見せないことを前提として文章を書くことがある。 こうしていま僕が書いているこの記事もアップすることで誰か読むかもしれないが、誰かに見せるために書いているわけではない。 漠然と考えていることも、書くことによって新しい発見があるし矛盾点も見つかる。 小説を書いている人なら経験あると思うが、頭のなかでは名作と思えるものも、いざ書き始めたら凡作、駄作ということがあるのと一緒だ。 頭のなかでは曖昧で許されるものが…

  • 書くことについて①

    今日は書くことについて書こうと思って、1000文字くらい書いていたのだけど、どうにもまとまらなくて放ってしまった。 結局僕は「作者―文章」の関係性について書きたかったのに、入り組んだ町のようにあらぬ方向へと行ってしまったのだ。 作者―文章―読者 こんなふうに文章について表せると思う。 文章の書き方、なるものが取り立たされるとき「文章―読者」の関係性について語られることが多い。 良い文章は、読者が最優先にされることに気づいているだろうか。 読まれるためにわかりやすく書く。 読まれるために技術を使う。 人へ伝えるために文章を書くのだから当たり前だと思うかもしれない。 でも僕は「作者―文章」が死んで…

  • 映画『小さな園の大きな奇跡』感想

    www.youtube.com 簡単にあらすじを説明すると、5人しかいない廃園寸前の幼稚園のために、元エリート幼稚園の園長が立ちあがるというお話。 5人の女の子たちの家族は貧しい生活をしていて、転園しようにもお金がなく、満足な教育が受けられない。 テレビでその幼稚園のことを知ったルイは、4500ドル(約6万円くらい)という薄給にも関わらず園長になることを決意する。 映画では、貧しい村人たちの生活と、満足に教育が受けられない子どもたちの実態が描かれつつ、園長ルイと子どもたち(とその家族)との心温まるふれあいがメインとなっている。 ストーリーの骨格だけを追うと、よくある感動ものなのかもしれない。 …

  • かわっていく

    神保町で古本市がやっていて僕は毎年それをすごく楽しみにしていたんだけど、今日の今日まで忘れていた。明日は休みだから行ける。でも行かないと思う。 自分の生活のなかでいつから小説や本がウエイトを占めるようになったのだろうか。いまや壁を覆い隠している本棚にも、そこに詰まっている本にも興味がない。邪魔だとは思わないけど空気みたいなものだ。壁に貼ってあるポスターが部屋に溶けこんでいくように、インテリアとして本棚が生活に馴染んでいる。 映画もあんまり見ないようになって、わりと暇になった。暇になったけど、時間は足りない。むしろあっという間に過ぎるようになった。小説は圧縮された時間のファイルみたいなものだから…

  • 映画の日だから「ライト/オフ」を観てきた。

    ホラーってかなり好き嫌いわかれるかもしれないというのを常々思っていた。何を怖いと思うのか人によって異なる。 たとえばゾンビに追いかけられるのを怖いという人がいれば、ゾンビが出そうな瞬間の方が怖いという人もいて、だからこそホラー映画というのは評価が分かれる。物語としての名作は出れど、怖さとしての名作は出にくいジャンルだと思う。 そもそも怖さを演出しようとすれば物語は遅延するし、筋が通りすぎればわけのわからない怖さは露と化してしまう。このジャンルだけ駄作が大量に生まれるのもしょうがないと思う。 そんな難しいジャンルのなかで「ライト/オフ」はかなり健闘していた映画だと思う。怖さも申し分なかったのにプ…

  • さかな

    人と仲良くしたいというエネルギーでこの2週間がんばってきたわけだけど笑っちゃうくらい駄目で話し相手が見つかってもすぐに消えちゃうしそもそも相手されないしで結局ブログに戻るしかなかった。 メールアドレス2つ作って一人で送り合えばいいんじゃないかなとも思ったけどさすがに虚しいからやめた。本当にマジで友達が1人もいなくて恋人もいなくてネットでも仲のいい人いなくて、自業自得だからしょうがないんだけどこれからも恐らくないのだろうと考えるとなんとかしないといけないなとは思う。 自分の対人能力のなさをどうにかしようと思いながら、どうしようもできないままずるずると生きながらえてしまっている。 最近になっておも…

  • ウラジーミル・ソローキン『23000』感想 氷三部作3

    三部作の最終巻という特色もあって、ネタバレを気にせず内容にガンガン触れていこうと思っています。未読の方は『氷』もしくは『ブロの道』を読んでから、この本を手にとっていただければと思います。 ソローキンは前衛的な小説で知られていますが、このシリーズはエンタメ度がかなり高く、文体の密度も濃いです。やはり難度は少し高めですが、どの読者層も楽しめること請け合いでしょう。 もしこれから読まれる方は、刊行順とはずれるのですが『ブロの道』から読まれることをオススメします。『氷』の第四部の続きから、この最終巻は始まるからです。23000: 氷三部作3 (氷三部作 3)作者: ウラジーミル・ソローキン,松下隆志出…

  • ウラジーミル・ソローキン『ブロの道』感想 氷三部作2

    ブロの道: 氷三部作1 (氷三部作 1) 作者: ウラジーミル・ソローキン,松下隆志 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2015/09/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 『ブロの道』は前著『氷』とは違って全篇を通して、一人称で語られる主役アレクサンドル・スネギリョフ(心臓名ブロ)の物語になっています。 ツーングースカ大爆発のあった一九〇八年六月三十日、アレクサンドルはこの世に生を受けます。 戦争の途中、家族を失ったアレクサンドルは大学に入り、ツングース隕石の探索メンバーとして同行することになるのですが、目的地点に近づくにつれてアレクサンドルの様子がおか…

  • 福永信「コップとコッペパン」感想

    コップとコッペパンとペン作者: 福永信出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2007/04メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 29回この商品を含むブログ (47件) を見る 読者は小説を読むとき何かしらの手がかりを持って読むものだと思う。馴染みやすいところでいえばミステリーのお約束。ノックスの十戒を知らない人でも、小説に約束事はあることはわかると思う。 一時期流行った「人称のぶれ」(移人称)も、一度どれかを読んでしまえばそこまで戸惑わない。現代小説に馴染んだ人なら、いかに小説をぶち壊そうとしても「ああ、こういうことをしたいんだな」というのはある程度わかる。 でもこれは「なんだこれ感…

  • 映画『貞子 vs 伽椰子』感想 (MX4D 2D)

    www.youtube.com MX4dの感想は「水しぶきがうざい」以上。揺れるけど、それで怖さが+されているかどうかは人によるかな、と思う。揺れないシーンが多いし。揺れるところは映像的にも楽しいけど。超小刻みの振動が多かったかな。 めちゃくちゃ楽しかったですよ。「怖い」じゃなくて「楽しい」というところからホラーとしては察してください。でも、ちゃんと怖かったですね。怖がらせるポイントがW作品のコラボということもあって、二倍くらいありました。まあ、それが、じわじわ忍び寄る恐怖とはちょっと違いますけど。 何が楽しいって、ストーリーがいい。貞子VS伽椰子ですよ。こんなのギャグにしかならなさそうなのに…

  • 上田三四二『花衣』感想 1982年

    花衣 (講談社文芸文庫)作者: 上田三四二,古屋健三出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/07/10メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見る(私が読んだのは単行本です。引用も単行本のページになります) ネットで見ると、この本は連作短編集というような呼び方がされているけれど、同じ登場人物が出てくるというわけではなくて、根幹するテーマのようなものが連作しているというものだ。 表題作含む八作すべてが、男と女、生と死、にまつわるものである。と書くと、よくある小説のようにも思えるけど、風景描写に対する執念がずば抜けている。 「茜」では太陽、「日溜」では花、「岬」で…

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