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  • 澤田瞳子の『輝山』

    ◇『輝山』著者:澤田瞳子2021.9徳間書店刊これは江戸幕府開闢以前から銀の産出地である石見国天領石見銀山附御料大森代官所における中間金吾の目を通して、この地大森町、銀山町で働く銀産出にかかわる人々の過酷な日常、喜怒哀楽、代官所役人のかかわりなどが描かれる。石見銀山は幕府直轄鉱山(御直山)と民有鉱山(自分山)があるが、いずれも採掘と精錬など作業は山師の手に委ねられ、最終製品を代官所で買い上げ、江戸に送られる仕組みである。間歩といういう鉱道には採掘の掘子、手入、柄山負、精錬には銀吹師(吹大工、灰吹師、ユリ女)等々女子供も含め多くの人が携わっている。実は金吾は元上役であった小出儀十郎から石見代官所代官岩田鍬三郎の身辺を探れという密命を受けて石見に来た。その背景は金吾は全く知らない。真相は後段で岩田代官から小出...澤田瞳子の『輝山』

  • 古井 由吉の『夜の香り』

    ◇『夜の香り』著者:古井由吉1987.11福武書店(福武文庫)4編の短編集。高度成長前期の一般的な庶民の生活と住まいの様子が丁寧に描かれている。登場人物は概ね一般的な勤め人。すでに幼児、あるいは学齢前の子供がいたり、子供が生まれたりという割と若い夫婦が多い。住み替えや戸建ての持ち家の中の様子、周辺環境の描写が緻密である。<街道の際>伊沢守夫は普段あまり深い付き合いのない同僚内村から家を新築したので遊びに来ないかと誘われる。その家は自分がかつて生まれ育った土地で、十分土地勘はあるのだが、なぜか彼の気質に対して鬱屈するところがあって、回り道をして街道筋の家を下見したりする。食事を誘われ酒まで飲んだ。奥さんに大学での評判を聞かれたりして狼狽する。最近学生らが家近くにきて彼を糾弾する騒ぎがあったらしい。息子を抱い...古井由吉の『夜の香り』

  • 福井雄三の『開戦と終戦をアメリカに発した男』戦時外交官加瀬俊一秘録

    ◇『開戦と終戦をアメリカに発した男=戦時外交官加瀬俊一秘録』著者:福井雄三2020.4毎日ワンズ刊太平洋戦争時代日本の外交官として活躍した加瀬俊一の生涯をなぞると共にこの時期の日本を巡る国際状況と日本の外交関係を解説する。著者は国際政治学を専門専門とする。加瀬俊一自身の回想録を初め多くの著書を渉猟した評伝であり、かつ外交官の目を通した歴史の裏側の記録でもある。そしてこれは太平洋戦争につながるアメリカとの軋轢から、開戦そして無条件降伏という屈辱の敗戦交渉まで立ち会った稀有の外交官の記録となっている。加瀬俊一はまれに見る俊才であり、類い稀な英語力を見込まれ、多くの大使、外相の首席秘書官として重要な外交交渉場面に立ち会った。幣原喜重郎、石井菊次郎、松岡洋右、東郷茂徳、重光葵、など先輩外交官の優れた外交力を学びつ...福井雄三の『開戦と終戦をアメリカに発した男』戦時外交官加瀬俊一秘録

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