澤田瞳子の『輝山』
◇『輝山』著者:澤田瞳子2021.9徳間書店刊これは江戸幕府開闢以前から銀の産出地である石見国天領石見銀山附御料大森代官所における中間金吾の目を通して、この地大森町、銀山町で働く銀産出にかかわる人々の過酷な日常、喜怒哀楽、代官所役人のかかわりなどが描かれる。石見銀山は幕府直轄鉱山(御直山)と民有鉱山(自分山)があるが、いずれも採掘と精錬など作業は山師の手に委ねられ、最終製品を代官所で買い上げ、江戸に送られる仕組みである。間歩といういう鉱道には採掘の掘子、手入、柄山負、精錬には銀吹師(吹大工、灰吹師、ユリ女)等々女子供も含め多くの人が携わっている。実は金吾は元上役であった小出儀十郎から石見代官所代官岩田鍬三郎の身辺を探れという密命を受けて石見に来た。その背景は金吾は全く知らない。真相は後段で岩田代官から小出...澤田瞳子の『輝山』
2022/08/20 07:26