◇追肥を終えて次のステップへ翌日が雨予報なので、5月6日に支柱を立てました。苗を移植してから3週間。苗の脇に配合肥料で追肥を施しました(5/8)。すでに第1果がピンポン玉大になっている木があります。第1果が3個以上ある木は2~3個に摘果します。(以上この項終わり)令和6年のトマト栽培ー2ー
◇緑豊かな大町公園を写生ArchesF6(荒目)北総鉄道の大町駅から300Mほど歩いたところに入口がある大町公園。長田谷津と呼ばれる谷間に湧水を持つ水路があり、ビオトープとなっています。バラ園や植物園があり、アスレチックや奥には市川市動植物園もあります。この絵は水路の一番奥にある池を描いたもので周囲の斜面にあるうっそうとした木立が谷津田を取り囲んでいます。実は昨年9月に水彩画グループでここで写生会を行いました。その際スケッチした絵を取り出し色を置いたものです。人物は少しでも動きがあるものをと思って加えました。(以上この項終わり)市川市大町公園の池を描く
◇『ニッケル・ボーイズ』(原題:NIKELBOYS)著者:コルソン・ホワイトヘッド(COLSONWHITEHEAD)訳者:藤井光2020.11早川書房刊コルソン・ホワイトヘッドが淡々とした語り口ながらアメリカの黒人に対する人種差別の実態に鋭く切り込んだ作品である。時代は少し遡るものの同様に人種差別を取り上げた「地下鉄道」の方がスリリングで物語性を持っていて、本作は作者独特の抑制の効いた叙述が残酷な内容にそぐわないような気がしないでもない。確かに常軌を逸した虐待のおぞましさには目を背ける思いであるが、アメリカではこの少年院だけでなく、刑務所のような施設でも似たような暴力、虐待が日常的に行われているに違いないと思わせるものがある。この作品は前作『地下鉄道』と同様ピュリッツァー賞を受賞した。フロリダ州タラハシーにニッ...コルソン・ホワイトヘッドの『ニッケル・ボーイズ』
◇トマトは実を付け始めました苗を定植してから4週間たって、今日2回目の追肥を施しました。トマトも子供ができると食欲旺盛になって、栄養を多く求めるようです。第1果は葉の7から8枚目の上につきます。大体4・5個付くので、育ちがよくないものいびつなものなどは摘果します。第1果ができるとそこに栄養が行き過ぎるので全部摘果を勧める向きがありますが、あまり神経質にならない方が良いという方もいます。ちょっといびつなもの以外はそのままにしておくのが我が家の栽培方針です。今年も何となく徒長を疑わせる伸びですが、木は太くなってきたのでまあいいかと思っています。6月の末頃には色付いてきます。(以上この項終わり)家庭菜園のトマト栽培(その3)
◇『新書太閤記(八)』著者:吉川英治1990.7講談社刊(吉川英治歴史時代文庫)秀吉は信長の悲報に接してからもこれまでと変わらない日課を続ける。そして安国寺恵瓊を介して高松城の解放・毛利軍との和解工作を進めた。信長死去の報が毛利軍に伝わらないうちに和睦を決めなければならない。間一髪、4千の城兵・領民を解放する代わり清水宗治が切腹し馘を差し出すことを条件とする和議案を宗治がのんだ。毛利輝元、吉川元春、小早川隆景と和睦の誓書が交わされて2時間後毛利軍は信長死去を知った。当然毛利側は烈火のごとく怒り、秀吉討つべしの声も多かったが、小早川隆景の冷徹な判断が優位となり結局秀吉軍は高松城解放の後直ちに姫路城を経て京を目指し、わずか3日で大阪尼崎に到達した。秀吉は父の敵討ち、弔い合戦という大義名分を掲げるために信長の3男神戸...吉川英治の『新書太閤記(八)』
◇田園の中のレストラン「アンチーブ」15×21cm先週の金曜日、気温が高く日差しが強い中、かねてから気になっていた田圃の脇にある「軽食・喫茶の店アンチーブ」を描いてみようと、小さなスケッチブックを持って出かけました。大津川沿いに広がる稲田の脇を走る農道(とはいえ主として車が便利に使う)脇に緑色の屋根を持った小洒落たレストランがあります。6・7台は停まれる駐車スペースもあって、時分時には結構客が入っているようです。市街地から離れていて周辺には民家がちらほらといった場所で、あえて絵の中では省略したものの、目の前の水田には植えたばかりの細い苗が風に揺られていました。何本かある散歩道の一つ。これからこの苗はどんどん育ち、秋には首を垂れた黄金色の稲穂が波打ち、やがて刈り取られます。木立の新緑をもっと丁寧に描きたかったので...田園のレストラン「アンチーブ」
◇『私の名前を知って』(原題:KNOWMYNAME)著者:シャネル・ミラー(CHANELMILLER)訳者:2021.2河出書房新社刊全世界に性暴力とは何かを教え、差別への考え方を決定的に変えた衝撃の回顧録。これが出版社の惹句である。性暴力被害者が書いた世間の偏見に挑戦した稀有の実録である。本書でわれわれは、性犯罪の裁判という裁きの場にあっては、実は裁かれているのは加害者ではなく、被害者であるという現実をまざまざと実感させられるのである。作者は「まえがき」に書く。「…これは究極の真実ではない。私が力の限りを尽くして語った、私の真実だ。私の目と耳を通して真実を知りたい人、私が胸の中で何を感じ、公判中にトイレに隠れていたかを知りたい人に、この本を提供する。こちらから与えられるものを与えるので、あなたは必要なものを受...シャネル・ミラーの『私の名前を知って』
◇『十二月の十日』(原題:TENTHOFDECEMBER)著者:ジョージ・ソーンダーズ(GeorgeSaundaers)訳者:岸本佐知子2019.12河出書房新社刊11篇の短篇集。いずれもとにかく文句なしに面白い。特徴と言えば、この作品に登場する人物はいずれもいうことなすことどこかちょっとずれているダメ人間であるが、どこか憎めないというか人間の良いところを失っていない愛すべき人たちである。いま一つの特徴はギャグの連発と、奇抜な罵詈雑言の乱発。原文を知りたいが、翻訳者を泣かせたりはしなかっただろうか。(ファックシットあほボケカス)、(ウンコチンコマンコ糞ボケ死ねカスケツの穴ファック)。<アル・ルーステン>のアルなどはどうしようもないダメおやじ。彼はアンティク・ショップの店主で、裕福な不動産屋のドンフリーに対抗心を...ジョージ・ソーンダーズの『十二月の十日』
◇『新書太閤記(七)』著者:吉川英治1990.7講談社刊(吉川英治歴史時代文庫)天正十年春、信長は得意の絶頂にあった。上杉謙信はすでに亡く、武田勝頼は家康と共に追い詰め滅亡させた。目の上の瘤であった叡山も石山も完膚なきまでに叩き潰した。そして催告の中国攻めは秀吉が攻略の要である高松城を包囲し、水攻めの秘策をもってあとは信長の出陣で仕上げをする段取りになっていた。一方安土城では甲州攻めで共に戦った盟友家康を招き、最高のもてなしで宴を張ろうとしていた。とっころが信長はそこでも一旦光秀を接待役に据えながら突然中国船の前線へ行けと命令を下す。この仕打ちの隠された意図を知り光秀は暗然とする。吉川英治の『新書太閤記(七)』
◇令和3年のトマトに支柱立て今年のトマトの定植は4月23日。ご覧の通り樹高もほぼ30センチとなったので支柱を立てました。昨日一昨日と激しい雨風で心配しましたが、仮支柱は役立っていました。今日は天候もよく今日は玄関フロアをワックス掛けを終わったところでトマト栽培の大事な作業の一つ「支柱立てと誘引」をしました。ほぼ昨年と同じ時期です。誘引はトマトの木脇に立てた支柱に麻ひもを8の字に撚って木を寄せて縛ります。1本の木で最終的には5・6か所誘引します。第1果の花が咲いています。(以上この項終わり)家庭菜園のトマト栽培(その2)
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◇追肥を終えて次のステップへ翌日が雨予報なので、5月6日に支柱を立てました。苗を移植してから3週間。苗の脇に配合肥料で追肥を施しました(5/8)。すでに第1果がピンポン玉大になっている木があります。第1果が3個以上ある木は2~3個に摘果します。(以上この項終わり)令和6年のトマト栽培ー2ー
◇『メガ銀行銀行員ぐだぐだ日記』著者:目黒冬弥2022.10三五館シンシャ刊「汗と涙のドキュメント日記シリーズ」の一巻。人気シリーズで出版早々に図書館にリクエストして2年がかりで漸く読むことが出来た。かれこれ12業種でのドキュメントが刊行されているが、各巻とも業界で働いた人が綴った悲喜こもごもがもたらすドキュメントの迫真性が魅力である。今回のメガバンク銀行員と言えばリアルに三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行であり(目下第4のメガバンク入りの気配もあるが)、自ずと素性が知れて、しかも立て続けに3回もシステム障害で世間を騒がせたとあれば隠しようもないが、筆者はD銀行とF銀行が合併した時点からノンキャリ(非大学卒)の行員で、合併後も働き蜂行員として勤めたM銀行において、システム障害時の顧客へのお詫び行脚を...目黒冬弥の『メガ銀行銀行員ぐだぐだ日記』
◇2013TheBestMysteries(ザ・ベストミストリーズ:推理小説年鑑)日本推理作家協会編2013.4講談社刊2012年に国内で発表された数百の短編から日本推理作家協会が選び抜いた短編推理の決定版である。巻末には日本推理作家協会の前身「探偵作家クラブ」、「日本探偵作家クラブ」を含め「日本推理作家協会賞」受賞リストのほか、「江戸川乱歩賞」、「横溝正史ミステリー大賞」、「オール読物推理小説新人賞」、「小説推理新人賞」、「小説現代推理新人賞」、「サントリーミステリー大賞」、「日本推理サスペンス大賞」、「鮎川哲也賞」、「日本ミステリ文学大賞」、「アガサ・クリスティー賞」受賞リストが掲載されている。面白かったのは「青い絹の人形」と「探偵・竹花と命の電話」、「機巧のイヴ」。有栖川有栖の「本と謎の日々」は有栖...2013TheBestMysteries(ザ・ベストミストリーズ:推理小説年鑑)
◇気合を入れてトマト栽培に挑戦連作を嫌うなす科の植物の代表トマト。我が家で前裁の畑では小松菜とブロッコリーの後はトマトと決まっていて、間違いなく連作。去年もうどん粉病に悩まされた。今年は連作障害を防ぐという肥料を飼って撒いたのであるが、さて効果はあるだろうか。苗を移植したのが4月11日。3畝に各6本、品種は殆どが「ホーム桃太郎」。種苗会社が開発した接ぎ木苗も数本ある。これは「麗夏」「かんたん大玉」「薄い皮中玉ピンキーカクテル」「大玉強うま苗」鉢植えでは「極うま中玉」木がかなり気が太くなってきた。そろそろ支柱建てが必要なる。(以上この項終わり)令和6年のトマト栽培ーⅠー
◇『春を待つ谷間で』(原題:STONEQUARRY)著者:S・Jローザン(S.J.ROZAN)訳者:直良和美2005.8東京創元社刊ローザンのリディア&ビルシリーズ第6作目。ハードボイルドものである。リディア・チンは中国系アメリカ人ですっきりした美人の中年女性。一方ビル・スミスはアイルランド系アメリカ人で無類の酒好き(バーボン)ヘビースモーカーである。武骨な大男で血の気が多く、傷が絶えない。二人は時折コンビを組んで仕事にあたる私立探偵業である。ビルは普段ニューヨークに住んでいるがたまにNY北部の丘陵地帯アップステート地域のスコハリーにある山小屋に滞在する。そこで好きなピアノを心置きなく弾く(モーツァルトの変ロ短調アダージョ、ハ短調ソナタなどが好きだ)のが最高の時間である。そんなある日地元の農園主イヴ・コル...S・Jローザンの『春を待つ谷間で』
◇『熱風団地』著者:大沢在昌2021.8角川書店刊大沢在昌らしく雑多な国籍の人々が登場する。。刃傷沙汰もほとんどない割とほんわかとしたソフトタッチの劇画風痛快譚である。東南アジアの小国”ベサール”という王国の王位継承問題がテーマ。主人公はフリーの観光ガイド佐抜克郎とベサール人元女性プロレスラーのヒナ。外務省系NPO法人「南十字星」という得体のしれない団体にベサール国の王子を探してくれと依頼される。佐抜が日本では数少ないベサール語を操れる人材だったからである。アシスタントとしてつけられた元女子プロレスラー”レッドパンサー”は佐抜が大ファンだった。二人は中国情報機関員、インド、ラオス、タイ、インドネシア、ヴェトナム、カンボジア、ベサール人など雑多な人々が住む「アジア団地」に住んでいるらしい王子探索に奔走する。...大沢在昌の『熱風団地』
◇長野電鉄屋代線の旧松代駅舎を描くclesterF8(中目)絵に描いたような空と山という表現があるが、実際この日の空は抜けるような青空だった。雲一つない真っ青な空と、雪をまとった白馬の山脈。それと対照的に廃線となって役目を果たせなくなった駅舎の寂しげなたたずまい。この駅舎は大正11年(1922年)開業当時のままで、平成24年(2012年)に廃線となってからもバス停の待合室などに利用されている。公衆電話ボックスと飲み物の自販機がある。北アルプスの北縁白馬山系は実は駅舎の左寄りに見える。信州松代の旧駅舎を描く
◇『ダイアモンドの原石たちへ』著者:湊かなえ2023.12集英社刊副題は「湊かなえ作家15周年記念本」とある。『告白』で作家デビューした作者湊かなえがこれまでに書いた小説作品29の紹介(各概ね3ページ)と、多大の影響を受けたという漫画家の池田理代子との対談、47都道府県サイン会ツアーの編集者レポート、ロングインタビュー「未来の小説家たちへ」、高校生のための小説甲子園、淡路島取材ドキュメント、年譜など多彩な誌面構成に加えて書下ろし短篇小説を添えた興味深い文庫本である。とくに「高校生のための小説甲子園」は作者湊が若い人に小説を書いてほしいという思いから始めた若い人限定の新人賞という試みで、題名の「ダイアモンドの原石たちへ」は作者の強い思いの表れか。(以上この項終わり)湊かなえの『ダイアモンドの原石たちへ』
◇『この密やかな森の奥で』(原題:TheseSilentWoods)著者:キミ・カニンガム・グラント(KimiCunninghamGrant)訳者:山崎美紀2023.11二見書房刊(二見文庫)日系4世の作者デビュ―2作目のサスペンス。とはいうもののサスペンスの盛り上がりは物語中段以降である。最初は大自然に抱かれた自活生活と父と子の深い愛情と強固な結びつきが語られるが、なぜ外界からの侵入者に対し強い警戒を怠らないか、15・6年前の事件が問わず語りに述べられる。その語り口はほぼ主人公クーパーの独白にちかい(最終段のエピローグだけ娘のフィンチが述懐する)。人物造形が優れていることから父と娘の互いの思いやりと固い絆がひしひしと伝わってくる。主人公元軍人のクーパーは結婚を間近にして交通事故で亡くなったシンディという...キミ・カニンガム・グラント『この密やかな森の奥で』
◇信州松代藩の旧藩主邸を描くclesterF6(中目)今は長野市であるが、旧松代町は戦国時代から北信濃の雄真田家が治めた。今も藩主の館が、旧真田邸として観光スポットとして公開されている。穏やかな日差しの差し込む部屋から庭の一隅が望め、日本人が好む長閑な雰囲気がなかなか捨て難く、写真に収め水彩画で再現してみた。江戸末期松代藩第九代藩主真田幸教が義母お貞の方の住まいとして建てたもので、明治初期まで真田家当主がお住まいになっていたということで、大大名ではないが名将真田幸村の名残をしのぶ縁にはなった。(以上この項終わり)松代藩主邸を描く
◇『黒石』著者:大沢在昌2022.11光文社刊久々の新宿鮫Ⅻ。「黒石」はヘイシと読む(中国語)。全編緊迫感がみなぎる新宿鮫シリーズ最新作。自らヒーローを自認する男は、正義の味方として悪=害虫を駆除するのが使命。次々と下される殺人指令に独自に開発した残酷な殺人凶器で使命を果たす。リーダーを決めずに活動する地下ネットワーク集団「金石」は中国残留孤児二世、三世など犯罪者とカタギが混在する。一方”徐福”という正体不明の人物がいてネットワークの支配権を狙って”黒石”を殺人兵器として使いネットワーク集団の”七石”という幹部級七人など邪魔者を次々と殺し始めた。新宿署生活安全課刑事鮫島は鑑識の藪、公安から来た相棒の矢崎、管理官阿坂と相談しながら「金石」のメンバー洗い出しと、キーマンの徐福の特定、殺し屋「黒石」の割り出しに...大沢在昌の『黒石』
◇『まいまいつぶろ』著者:村木嵐2023.5幻冬舎刊これは徳川幕府第九代将軍家重の物語である。家斉は幼名を長福丸と言った。生来右脚が不自由で、言語障害を持ち父親の吉宗も我が子が「何を言っているのか分からぬ」と嘆いたことがある。老中を初め取り巻きの誰もが家重は吉宗の後を継いで第十代将軍となるのは無理で、弟君で英邁間違いなしの宗武がふさわしいと信じ込んでいた。そこに誰ひとり理解できなかった家重の話す言葉を理解できる者が現れた。町奉行大岡越前守忠相の遠縁の子大岡兵庫(幼名:のちに忠光)である。誰しも家重の言葉と称し偽りを述べたりするのではなどと危ぶんだが、「家重殿の口代りに徹し、決して耳と目になってはならぬ」と忠相に釘を刺され、終生これを守った。家重は兵庫によってようやく思いを伝える言葉を口にできない辛さから抜...村木嵐の『まいまいつぶろ』
◇『ハンティング・タイム』(原題:HUNTNGTIME)著者:ジェフリー・ディーヴァー(JefferyDeaver)訳者:池田真紀子2023.9文芸春秋刊超優秀なエンジニア、アリソン・パーカーが娘のハンナとともに姿を消した。勤務先のハーモン・エナジー・プロダクツ社の社長マーティー・ハーモンは青くなった。同社の目玉商品小型原発の基幹部品SITの開発者であり、今や同社の要だからである。アリソンにはジョン・メリットという、夫がいた。3年ほど前アリソンに対する暴力行為があって服役中であったが、2年も早く仮釈放された。そのジョンが服役中「ここを出たらアリソンを探し、殺すつもりだ」と言いふらしていたというのである。マーティは警官としては凄腕だったジョンの追跡を恐れ、懸賞金ハンターで知られたコルター・ショウにアリソン親...ジェフリー・ディーヴァーの『ハンティング・タイム』
◇『親不孝長屋』著者:池波正太郎平岩弓枝松本清張山本周五郎宮部みゆき20015.7新潮社刊(新潮文庫)世話もの時代小説に定評のある作家五人衆のアンソロジーである。いずれも江戸時代の庶民の哀歓を描いた傑作である。とりわけ最終に置かれた<神無月>(宮部みゆき)が一番と思う。山本周五郎の<釣忍>もよかった。<おっ母、すまねえ>池波正太郎生さぬ仲の息子市太郎を可愛がって育てたおぬい。夫が死んで再婚したが市太郎は新しい父になつかず、グレ出した。かつての職場岡場所の朋輩お米は”殺し”を勧めるのだが…。おぬいは心の臓の発作で死んでしまう。それがきっかけで市太郎は立ち直って親父の煙管職仕事に精を出すようになった。「おっ母のおっぱいを、ほかの男にはやりたくなかったんだ」市太郎は継母の墓前で述懐するのだった。<邪魔っけ>平岩...人情時代小説傑作選『親不孝長屋』
◇自然界は時を忘れず大きな地震があったり、季節外れの高気温が続いたり、春は通り過ぎたのかと思っていたら、小旅行から帰って見たら庭にはふきのとうが。昨年も同じ時期でした。地面の外の気温はあまり影響がないのかも。タラの芽は山菜の王者などともてはやされていますが、フキノトウは苦み走って、香りに気品があって、コシャブラと共に一級品と軍配を上げます。(以上この項終わり)ふきのとう顔を出す
◇『勁草』著者:黒川博行2017.12徳間書店刊巷間オレオレ詐欺と呼ばれる特殊詐欺がテーマの作品である。今の日本では小金を持った高齢者がターゲットにされ、いくら注意を呼び掛けても被害者は増える一方である。詐欺グループにはターゲットを探る名簿屋、ターゲットの財産、家族状況など情報収集を受け持つ下調べ屋がいる。掛け子、出し子、受け子と分業システムになっていて、指示役に従って動くので基本互いに連係はない。本作では橋岡と矢代という名簿屋のリストに従って下調べをするチームと特殊詐欺グループを追う大阪府警特殊詐欺捜査班の佐竹と湯川という二人の刑事の戦いが中心である。ちなみに詐欺グループのリーダーは高城という名簿屋上りで、「ふれあい荘」というアパートを持っており受け子供給源である。また「大阪ふれあい運動事業推進協議会」...黒川博行の『勁草』
◇『天使の護衛』(原題:TheWotchman)著者:ロバート・クレイス(RobertCrais)この作品の主人公ジョー・パイクは大富豪コナン・バークリーの娘ラーキンの警護を依頼された。パィクはロサンゼルス市警の警官だったが、辞めて私立探偵をしている。パイクを推薦したのはバッド・フリンだが彼はパッドが新米警官だった時教育警官だった。今は企業調査会社をやっている。二人はLA市警以来強い絆で結ばれている。パイクはバッドから得難い教訓を受けた。”我々の仕事は人を殺すことではない。人を生かし続けることだ”はバッドの理念。だがパイクは最初の仕事で二人に抵抗した銃器犯罪者ともみ合ううちにバットをナイフで狙った被疑者を射殺してしまった。パイクはバッドの命の恩人である。そんなことで二人に絆は一層強くなった。警護対象の女性...ロバート・クレイスの『天使の護衛』
◇『誘拐症候群』著者:貫井徳郎2001.5双葉社刊作者の「症候群」三部作『失踪症候群』、『誘拐症候群』、『殺人症候群』の一つ。主役を演じるのが警視庁人事二課の環敬吾が指揮する特殊工作班の一人武藤。警察組織の枠外グループで、諸般の事情で警察が表立って扱いにくい案件を処理するいわば時代物の「必殺仕置人」の現代版と言った役回りである。今回の「誘拐」案件は身代金小口誘拐(身代金が何とか都合できる額)と営利誘拐対象者(男児)が殺害されるという本格大型誘拐(身代金1億円)が交錯し、誘拐グループを暴く環班の面々も交錯し合うところが読みどころ。環のグループは概ね元警官である。世間的には私立探偵や建設現場作業員、ホームレスなどさまざまである。チームの何人かが事案の調査データを持ち寄って犯人の特定し、環の指示で対処する。今回...温井徳郎の『誘拐症候群』
◇『ロシア敗れたり』<日本を呪縛する「坂の上の雲」という過ち>著者:鈴木荘一2023.9毎日ワンズ刊日露戦争前後の歴史に関する著作。司馬遼太郎は自作の『坂の上の雲』について、「この作品は、小説であるかどうかじつに疑わしい。ひとつは事実に拘束されることが百パーセントにちかいからであり、ひとつは、この作品の書き手ー私のことだがーは同にも小説にならない主題をえらんでしまっている」とあとがきで書いているという。これは一切のフィクションを排した史実デア履歴書であると主張しており、著者は『坂の上の雲』を繰り返し何度も読んだあげく副題にあるように国民的作家司馬遼太郎によってゆがめられた史実が、あたかも日本の正史であるがごとく定着することを憂いた。そして『坂の上の雲』が通俗小説の枠を超えて人々の深層心理に食い込んでいる以...鈴木荘一の『ロシア敗れたり』
◇我が家のメジロくん”我が家の”などと、まるで自分が飼っているように聞こえてしまうが、実感としてはその通りである。今年はみかんが豊作で毎日メジロくんたちのためにみかんを半分に割って柿の木の枝に吊るす。向こうにも時間表があるのかすぐには現れない。しばらくするとすごい速さで偵察に来て、前後左右に視線を巡らし、異様なものの気配がないかを確かめながら、柿の木の枝から枝を渡りながらミカンに辿り着く。とにかく気配に敏感である。カメラのレンズを少し方向を変えるだけで、すっとミカンを離れる。大体番いなのか2・3羽で現れる。上の枝で啄む順番を待っていて、適当なところで交代する。ツグミなど大型の鳥もこうした獲物を狙っていて木のミカンを襲撃するが、吊るしたミカンには足場がないので寄ってこない。みかんが終わったら砂糖水で歓迎する...みかんとメジロくん
◇『捜索者』(原題:thesearcher)・著者:タナ・フレンチ(TanaFrench)・訳者:北野壽美枝2022.4早川書房刊(ハヤカワ・ミステリー文庫)題名の「捜索者」の通り、プロットの本筋はカルというシカゴの元警官が定年後移住先で知り合ったトレイという少年の、失踪した兄を探し求めて奔走する話であるが、加えて牧羊が連続して何者かに惨殺される事件を解明するという付随事件が混じるものの、これが失踪事件と深いかかわりがあったことは後で分かる。シカゴというアメリカの大都会で警官をしていたというハンディを持ったカルが、アイルランドの片田舎の住人達になじもうといじらしいほど苦労する一部始終がしっかり伝わってくる。隣人のマート、雑貨屋のマリーンとその妹ヘレナなどとは直ぐに気心が通じ合った。居酒屋ではバカ話や強力な...タナ・フレンチの『捜索者』
◇トマトに支柱立て第1回目の苗を植えたのが4月25日。第2回目が4月28日。それから2週間ほどたって、随分大きくなりました。気が早い木はもう実をつけ始めています。支柱を立て木を誘引(支柱にトマトの木を紐で結わく)しました。ついでにすでに出始めた脇芽を欠きました。手前右手の鉢にはミニトマト苗を植えてあります。奥にある小松菜は2度の間引きを終えて順調に育っています。(以上この項終わり)令和5年のトマト栽培=3=
◇『鑑定人氏家京太郎』著者:中山七里2022.2双葉社刊今を時めく中山七里の「鑑定人氏家京太郎」シリーズ第1弾。鑑定をテーマにしたサスペンスは珍しい。事件そのものもプロットもさして特徴はないものの検察(警察)と鑑定人(弁護士)との丁々発止の攻防が魅力。最終章で驚愕の真相が明かされる。とにかくエスプリの効いた辛辣なやり取りが小気味よい。「氏家鑑定センター」の所長氏家京太郎は常連客の吉田士童弁護士から連続通り魔殺人事件として世間の耳目を集めた裁判での鑑定を依頼された。事件の容疑者那智貴彦ご指名で弁護人となったというのである。医師である那智は3人の若い女性を扼殺したうえ子宮を摘出するという残虐な殺人を犯した容疑者として逮捕されたのであるが、当人は最初の二人については犯行を認めたものの第三の殺人は身に覚えがないと...中山七里の『鑑定人氏家京太郎』を読む
◇『殺人者の白い檻』作者:長岡弘樹2022.7㈱KADOKAWA刊東崎病院の脳外科医師尾木敦也は休職中なのに病院長に呼び出され、脳動脈瘤の外科手術を行った。患者は隣にある拘置所の死刑囚。手術の器械出しは敦也の妹、奈々穂。手術が失敗すれば期せずして復讐を遂げることができる。医師の倫理観を優先すれば手術を成功させなければならない。深刻なジレンマである。手術は成功した。しかし患者は右半身に麻痺が残るが、定永はリハビリに積極的で、順調に回復している。死刑囚は健康体でないと刑は執行しない。彼は死刑を望んでいるのかというと実は彼は盗みには入ったが殺人はしていないと否認しているのだが。定永が殺人を否定していることが気になって、敦也と奈々穂はとってあった報道記録等から改めて事件の見直しをする。はたして彼は殺人者なのか。奈...長岡弘樹の『殺人者の白い檻』
◇令和5年のトマト第二陣移植今年の天候具合から見るとそろそろトマト苗移植も適期到来と第二陣のトマトを植えた。やはり「ホーム桃太郎」かと思ったが、数年前に手掛けた「麗夏」があったので3本(左手前)、中玉(奥の2本)にした。畝にあらかじめポットの大きさの穴を作り、たっぷり水を注ぎ、水が浸みこんだところでポットから苗をはがし植える。根元は深く土をかけない方が良いという人もいるが吾輩はこれには従わない。風が強いと倒伏する心配があるので取りあえずの支柱を立てて細紐で誘引した。(以上この項終わり)令和5年のトマト栽培=2=
◇新緑の柏ふるさと公園ArchesF6新年度最初の写生会は集合場所が「北柏ふるさと公園」。これまでにも四季折々に何度か写生にずだが手を入れ過ぎたかもしれない。右手の釣り人がアクセント。いろんな木々があって、それぞれ緑の色合いが違って面白い。油絵と違って余り迷って色を重ねていくと色が濁ってくる。それが水彩画の特徴。分かっていながらつい手を加えてしまって反省することが多い。今回もややそんな憾みが残った。当日は風もなく22度を超え、夏日に近い高気温だった。(以上この項終わり)水彩画で「柏ふるさと公園」
◇連作栽培のトマト昨年は明らかに連作障害の症状「うどん粉病」に悩まされた。それでもしつこくトマト栽培に挑戦するのは、単純に「店頭で買うトマトより自分ちの畑で採れたトマトが数倍うまいから」という家人のおだてに乗ったから。1か月前に石灰を鋤き込んでPH調整をし、3週間前に配合肥料の元肥を施し、加えて連作障害を防ぐという某化学会社の顆粒肥料を鋤き込んでの満を持した挑戦。品種は定番の「ホーム桃太郎」1本だけ接ぎ木苗。トキタ種苗の大玉「豊作祈願」。子供だましのネーミングだが、さて成果如何。とりあえず1畝だけ7本。株間30センチ。奥は月端に蒔いた小松菜(第1回の間引き済)接ぎ木の大玉トマト。(以上この項終わり)令和5年のトマト栽培開始=1=
◇『アナザーフェイス』著者:堂場瞬一2010.7文芸春秋社刊(文春文庫)著者おなじみの警察小説である。主人公は警視庁刑事部刑事総務課の警部補大友鉄。元捜査一課の刑事だったが、2年前に妻を亡くし8歳の息子と二人の生活になって出退勤がほぼはっきりしている刑事総務課に異動になった。だが周囲には捜査一課復帰を期待されている。そしてこれはという事件があると駆り出される。なぜか。それは大友が事情聴取にあたるとだんまりを決め込んでいた相手も不思議と口を開く。生来人を安心させる力を持っているらしい。そんなある日、事件捜査応援の指示が出た。事件は男児誘拐事件。身代金は1億円を要求された。男児は6歳、父親は都市銀行の銀行員内海。銀行にも身代金の要求があり、銀行は支払いを決めた。身代金目当て誘拐の成功率は低く、大抵身代金を受け...堂場瞬一の『アナザーフェイス』
◇木目込み人形をを描くclesterF43月2回目の水彩画のモチーフは人形。日本人形、西洋人形、雛人形などいろんな人形が集まりました。私は衣装の柄が気に入って、木目込み人形にしました。ほぼ1時間で仕上げたの作品で、衣装の描写がややぞんざいな感じですが、雰囲気は出ているかなと思います。(以上この項終わり)人形を描く
◇『悪童日記』(原題:LeGrandCahier)著者:アゴタ・クリストフ(AGOTAKRISTOF)1991.1早川書房刊美形で頭もいい双子の男児。戦乱の大都市(多分ブタペスト)から祖母の住む田舎に逃れてきた。成長の過程で出会う世の中の不条理・苦難に果敢に立ち向かう彼らが表した日記帳の、驚きの内容に感動する。この小説では時代的にも地理的にも特定されていないものの、読んでいると明らかにヨーロッパの東部地域の第2次世界大戦前線地域を想像させる。訳者は訳注をつけほぼ間違いなく対応する歴史的事実について読者の想起を助けている。祖母は夫を毒殺したと噂されていて”魔女”と呼ばれている。彼女には孫たちを面倒見る気はさらさらない。住まわせて食べさせはするが、それは畑や家畜の世話などをした時だけ。双子の母からの仕送りの金...アゴタ・クリストフの『悪童日記』
◇春の花の一つ「ナスタチゥム」を描くclesterF4ようやくマスクはそれぞれの判断でということになったのに、なかなかマスクが外せない人が多いようです。水彩画教室では春の花を描こうということで菜の花、クリスマスローズ、チューリップ、水仙、ラナンキュラスなど色とりどりの花が並びました。そのうち黄色と赤い花弁の鉢植えのナスタリゥムを描くことにしました。これといった特徴のない花ですが、花の赤、黄、葉の緑と土色の鉢の色がバランスよく感じられたからです。(以上この項終わり)春の花ナスタチゥム
◇『52ヘルツのクジラたち』著者:町田そのこ2020.4中央公論新社刊これはDVとLGBTQという現代日本の世相の断片が微妙に交錯し、失望と救いが見事に昇華する作品である。三島貴瑚(キナコ)は継父(作中義父と言っているが継父だろう)の虐待と母の黙認という裏切りに会いつらい半生を送ってきた。52ヘルツという人間の耳にやっと届く周波数のクジラの声だけを友に自分だけの世界に閉じこもっていた。社会に出てようやく頼り甲斐のある男Tに出逢った。しかしTは愛人として囲いたいだけの男だった。それまでキナコを何くれとなく面倒を見てくれたKは、Tとの出会いは不幸を招くだけと警告した揚句自殺してしまう。Kはキナコが好きだったはずなのに告白しなかった(実はKはトランスジェンダーだった)。KはTにもキナコが幸せになるための道を選ん...町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』
◇新緑がまぶしい大津川河畔の樹々clesterF8千葉県が管理する1級河川「大津川」に春がやってきた。昨年県は河畔の樹々を大半伐採した。なぜかここだけ残っていて、今は新緑が芽吹いて輝いている。この日(3月17日)は風もなく、川面も静かだった。この間同じく手賀沼に流入する「大堀川」河畔を歩いた時は小さなカメが何匹も寄り添って日向ぼっこ(見た目)していたが、大津川では白鳥と鴨はいるがカメはほとんど見かけない。(以上この項終わり)大津川の春景
◇『リバー』著者:奥田英朗2022.9集英社刊警察小説で定評のある奥田英朗の大作である。警察組織と捜査員の刑事らが生き生きと描かれている。刑事だけでなく元刑事、容疑者らの人物造形も堂に入っている。プロットも単純のようでありながらさすがに読ませる仕掛けがあって飽きない。ただ難点が一つ。途中で容疑者の一人に解離性同一性障害(多重人格)が明らかになること。これですっかり興ざめしてしまった。(それに650ページは重い)リバーとは連続殺人事件の現場となった「渡良瀬川」のことである。渡良瀬川は群馬県赤城山麓に源を持ち渡良瀬遊水地を経て利根川に合し太平洋に注ぐ。渡良瀬川は栃木、群馬両県の県境となっている。川の両側の河川敷でほぼ同時期に事件が起きたため群馬県、栃木県両県警で合同捜査本部が設置された。若い女性の全裸殺人事件...奥田英朗の『リバー』
◇令和5年の「からし菜浸け」第1回2月末から様子を見に行っていた大津川河畔にようやく野生のからし菜が顔を見せ始めた。すでに同好の士が出没しているらしく、ところどころ摘み跡があったが、それでも新しい芽があちこちに出ていて、とりあえず第1回目として1.4キロほど摘んで早速塩漬けにした。花芽から凡そ20センチくらい。指で簡単に折れるくらいのところで摘み(折る)ます。念のため水できれいに洗います。たっぷりの熱湯を作ってまんべんなく掛けます。あら塩を用意します。凡そ100gくらい。これを熱湯をかけたからし菜(お湯は捨ててざっと絞って)にまぶしてどうだ参ったかというくらい丹念に揉みます。途中で鼻につんと来るのでご注意。揉むのに疲れたころ灰汁で黒くなったからし菜をさっと洗って、少しづつ絞ります。浸け樽に並べてまたさっと...野生のからし菜を浸ける
◇『灰色の虹』著者:貫井徳郎2010.10新潮社刊これは冤罪事件被告人の復讐連鎖劇の一部始終である。刑事事件が裁かれる時。容疑者、警察官(刑事)、検察官、弁護人、裁判官、拘置所の刑務官、刑務所の刑務官など多くの司法制度関係者が登場する。作者は冤罪事件によくあるあいまいな目撃証言と刑事の思い込み捜査を事例に、冤罪を背負った受刑者が刑を終えて出所後関係者を次々と殺害し復讐を遂げるケースを小説として描いた。状況的には過失致死の疑いがある事件の容疑者江木雅史を、所轄刑事が目撃証人を巧みに誘導し、なおかつ威迫を持って偽りの自白調書を作成、江木を殺人事件の犯人に仕立て上げ検察庁に送致した。検事も自白調書を鵜呑みにして告訴した。裁判でも裁判官は検察官の陳述、証人の証言を重視し有罪を判決した。官選弁護人は無罪の主張を信じ...貫井徳郎の『灰色の虹』
◇鉢植えのパフィオペディルムを描くclesterF6秋口から寒さ対策で室内に入れたパフィオペディルム。十数年前に家人が友人から頂いて育て、例年10本くらい花をつけた鉢であるが、今年は花芽が少なかった。そろそろ株分けした方が良いのかも。一見食虫植物のような袋を持つが食虫植物ではないらしい。割と地味な蘭であるが、西洋では珍重されているとか。(以上この項終わり)パフィオペディルムを描く
◇『十三夜の焔』著者:月村了衛2022.10集英社刊江戸幕府御先手弓組幣原喬十郎は親戚の法事の帰路、湯島切通町で男女二体の死体に出くわした。傍らに匕首を手にした若い男が佇んでいた。男の目には涙が。誰何した幣原に応えずその剣を躱した男は十三夜の月影に消えた。死んでいた男は口入屋國田屋庄右衛門と下女のおたきと判明した。若い男は盗人の頭目代之助一味の駆け出しの一人、千吉らしい。これが幣原と千吉の運命的な出会いである。幣原は御先手組の面目にかけても千吉を探し出し捕縛したい。町方の捕り物騒ぎに遭遇した幣原の前に何と千吉が現れた。千吉は先頃の出会いの事情(恋仲おたきは既に殺されていた)を説明し消えた。それから10年の月日がたった。幣原は亡くなった父親と同じ御先手組組頭になった。結婚し娘志乃が生まれた。一方ひょんなこと...月村了衛の『十三夜の焔』
◇フキノトウとでこぽんとclesterF4フキノトウが顔を出してから1週間は経った。フキ味噌などで春の香りを賞味しようと思ったが、さて、フキノトウもれっきとした一つの生命、その生命を頂戴するからにはそれなりの敬意を示さねばと、手近にあったデコポンと一緒に描いた。明日は天ぷらでお命頂戴仕る。合掌。(以上この項終わり)フキノトウとでこぽんを描く
◇『無実(下)』(原題:TheInnocentMan)著者:ジョン・グリシャム(John・Grisham)<承前>公判作戦上デニス・フリッツを先行させた検察陣は嘘の証言で固め、陪審をして有罪、終身刑の評決に持って行った。準備体操で自信を付けた検察陣は満を持してロン・ウィリアムスンの公判に臨んだ。判事はロンが、判定で騒ぎださないように事前に入念に説諭した。証人の顔ぶれも証言内容もデニスの公判と同じように進められた。バーニー弁護人はロンが暴れないか心配で、証人追及も精神的無能力による公判無効も主張しなかった。ゴアの作り話も速記録の読み上げで済まされた。証人は事前に刑事の示唆と威迫で作り話をした。バーニーは証人尋問で指紋などの証拠採取や供述記録のずさんさを追求したが陪審に対しては効果がなかったようで、結局ロンは...ジョン・グリシャムの『無実(下)』