私が前の恋人と別れたとき二人で買ったダブルベッドをそっくり向こうにあげたので(真ん中で二つに切るわけにもいかない)、自分が社会人一年目で何もよく判らずにショッピングローンで買った十三万円の西川のシングルマットレスが手元に残った。何故か二十歳を過ぎてから床に寝ることができなくなってしまい、折角のこれからの文京区での新生活がこれでは破綻すると思ってジモティーでシングルベッドを見漁った。そこには「明日指定の時間に来られる方最優先で無料で差し上げます」とあり、場所は清澄白河のブルーボトルコーヒのほぼ目の前の、鉄骨マンションだった。よく昔一人で散歩をしたよく知る道だった。やり取りでは相手の性別は全くわか…