理恵子達は家に入ると、広い居間にある横長のテーブルを囲んで各自がそれぞれの場所に勝手に座り、高い天井を見上げて「わぁ~涼しいはずだわ!」と裏庭から通り過ぎる微風に汗ばんだ体を冷ましながら一息ついた。その間に理恵子が、清水の流れる池から救いあげてきた、よく冷えたスイカを切って差し出すと、皆は遠慮なく御馳走になりながら、たったいま葉子さんの家で突然思いがけないところから男の図太い声をかけられて驚いたことや、葉子さんが気持ちよく自分達の申し入れを聞き入れてくれたことで、訪ねるまえに緊張していたことがおかしく思えたことなどを喋りあったあと、理恵子の案内で、裏庭の人造滝から流れ落ちる幅の狭い小川に、スカートの裾をたくしあげて素足を入れて、敷き詰められた赤や白の小石を足先で転がし「綺麗な小石だわ~!」と言いながら涼を...蒼い影(23)