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プロフィール
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日々の便りさんのプロフィール

住所
秋葉区
出身
大田区

老若男女を問わず、人夫々に出逢いの縁が絆の始まりとなり、可愛く幼い”蒼い”恋・情熱的な”青い恋”・円熟した”緑の”恋を辿って、人生観を形成してゆくものと思慮する そんな我が人生を回顧しながら、つれずれなるままに、出合った人々の懐かしい想い出を私小説風にブログに記してみた

ブログタイトル
日々の便り
ブログURL
https://blog.goo.ne.jp/hansyoodll84
ブログ紹介文
男女を問わず中高年者で、暇つぶしに、居住地の四季の移り変わりや、趣味等を語りあえたら・・と。
更新頻度(1年)

36回 / 365日(平均0.7回/週)

ブログ村参加:2015/11/08

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日々の便りさん
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日々の便り
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日々の便りさんの新着記事

1件〜30件

  • この気候たしかに変だ

    齢88歳。人とのつきあいが苦手で越後の山奥に移住して5年目。戸数30軒の小さな部落で、なんとか高齢な人々と話し合える段階にまでこぎつけて、日常生活も精神的に楽になり念願がかなった。しかし、若い人たちは皆町場に出て仕事をしており、いぜん顔も見ない有様だ。米作以外現金収入がない部落では、農業年金なんて雀の涙程度で仕方ない。共済年金で暮らす我が身は恵まれいる方で、これ以上何も望まない。とは言っても、最近の気象は確かに変だ。東海地方の人達にとっては誠に不謹慎な話だが、6月半ばころから降雨がなく、毎朝晩、白く乾いたた小さな畑に水まきが、当初は唯一の健康管理と黙々と励んでいたが、20日も過ぎた頃からは苦痛を帯びてきたが、とうきびや枝豆・里芋・大根などをみるにつけやめる訳にはゆかない。これが、気候温暖化と身近に感じる。書いて...この気候たしかに変だ

  • 雨後の筍

    ”雨後の筍”とはよく言ったものだ齢88歳人生の大半を都会で過ごして言葉としては生半可に覚えていたが、余生を閑静な田舎に求めて山間の部落に転居し、今冬の豪雪になやまされ、老人にわ余計な仕事と悔やみながら、50本位の倒れた竹の後始末に悪戦苦闘した4月に入り周辺の山並みが残雪に輝き麓が緑に染まりはじめたころ、竹林周辺の敷地に筍が頭を出し始め、中頃になるとその数が増し竹林が広がるのを恐れて、毎朝、彼らの頭を鍬で切りながら南無阿弥陀仏と心に唱えながら整理するのが日課になってしまったたまに食料調達に町に出てスーパーによると、筍が1本400~500円してるの見て驚き、飽食の時代とはいえ、戦後の食糧難を経験した我が身には、朝の日課が罰あたりに思えてくる今日この頃である雨後の筍

  • 山と河にて (28)

    二人姉弟である大助の姉、城珠子は、老人介護施設に勤めてから2年目となり、最初は戸惑った仕事の運びも、入所者の心情を少しでも理解仕様と日々努力したことが実を結び始めてきて、悩みと障害を抱えるお年寄りの人達とのコミュニケーションも、どうやら上手くとれるようになり、職場でも人気が出てきて、それにつれ仕事にも幾分心に余裕を持って臨める様になった。そんな珠子の周辺では、永井君との結婚話が秘かに進んでいた。彼女は毎日お年寄りを見ているためか、自分が嫁いだあと、一人身である母親の孝子に、将来、必ず訪れる介護のことが時に触れ脳裏をよぎり、確かに結婚するには若すぎる弟の大助と、日頃、まるで親戚同様、お互いが家族的な付き合いをして気心が知れ、実の妹の様に可愛がっている奈緒との交際関係が、自分が望んでいる様に進んでいないことが、唯一...山と河にて(28)

  • 豪雪に想う

    齢88歳。越後の北、山麓に暮らす東京育ちの住人。まだまだ予断を許さないが、1月から2月初めにかけての豪雪・寒冷は、昨夏の酷暑から想像して厳しいものになるとは予想していたが、予想を超えるはどすざましかった。石川.富山など北陸各県、なかんずく上越の豪雪被害は毎日のニュウスにながれいたが、我がふるさともこれに劣らず一晩で屋上1mを超す降雪で、老齢で一人暮らしの身では除雪もできず毎日家屋倒壊を心配していざとゆうときに備えて避難準備の用具もそろえた。村当局も心配して人不足のなか業者を紹介してくれ、1週間後ようやく屋根周辺部のみ除雪しくれ難をのがれた。記憶をたどれば、戦後、豪雪で有名な魚沼に疎開して電信柱の頭をなでて中学に通ったころ、公務員として勤め始めた昭和32年ころの業務そっちのけの連日各家の除雪作業に追われた青年時代...豪雪に想う

  • (続) 山と河にて 14

    大助は、美代子に案内されて階段を上がり、毎年遊びに来ては泊まらせてもらっている2階の広い12畳の座敷に入ると、すでに暖かそうなフックラとした布団が用意されていた。部屋の床の間には”月落ちて烏啼き・・”の七言絶句の見慣れた漢詩が掛けられ、中庭の松の大木が枝先を窓際の廊下の近くまで伸びている、落ち着いた雰囲気の部屋である。この部屋の南隣は美代子が使用している洋式の部屋である。隣りの部屋は家の中央に位置した12畳の座敷で、東側には煌びやかに装飾された大きな仏壇と少し小さい仏壇が並んで設けられ、反対側の隅の棚には木彫のキリストの十字架像、その脇にマリア様の優しい眼差しの絵画が飾られた部屋になっている。案内されて泊り慣れた部屋は、この両側に挟まれている。美代子は、枕もとのスタンドを用意したあと、自分の部屋から紙の手提げ袋...(続)山と河にて14

  • (続) 山と河にて 13

    老医師が、大助と暫く振りに再会した機縁等を愉快そうに雑談し終えて機嫌よく部屋を去ると、美代子は待ちかねていたように、彼に「わたし、どうしても自分の考えをお爺さんに判って貰いたいので少しオーバーに言うので、大ちゃんも遠慮せずに考えていることを話してネ。頑張ってよ」「お爺さんの顔を見ていて、大ちゃんが反対しなければ大丈夫だわ。わたし自信が湧いてきたわ」「なにしろ、お爺さんは君と一緒にいたいのよ」と話すと、大助は「美代ちゃん、僕達の生活を大事にするなら、少し落ち着いて考えてくれよ」「若し、お爺さんが納得してくれなければ、本当に家を出るつもりかい?」「大体、僕が君の稼ぎで勉強できるとも思っているんかい。そんなこと、とても出来ないわ」と答えると、彼女は怒りを込めた目で「わたし本気よ。パパも応援してくれると言っていたじゃ...(続)山と河にて13

  • (続) 山と河にて 12

    美代子は、ラーメン店で寅太と三郎に礼を言って帰宅する道すがら大助の腕に手首を絡めて甘えていたが、自宅の玄関前に来ると立ちどまり大助に念を押す様に、普段の強気な彼女に戻り「明日は、わたしの家に引越しするのょ。わたしも、お手伝いするゎ」と、彼の腕に絡めた手に力を込めて、当たり前のことの様に、こともなげに言うので、彼はとっぴなことを急に言はれ「エッ!そんなこと誰が決めたんだい」「僕は、そんなことは頭の中に全然ないよ」と返事をすると、彼女は言葉に力を込めて「わたしが、決めたことょ。いいでしょう」「これから、お爺ちゃんとママに、わたしの堅い決心を説明するの」「大ちゃんも、わたし達の幸せのために、お爺さんに対する説得を応援してね」と平然とした顔で答え、彼に反論の隙を与えなかった。彼は、彼女に逆らって感情を刺激して、玄関で言...(続)山と河にて12

  • (続) 山と河にて 11

    老医師であるお爺さんは、美代子の切羽詰った話と表情を見ていて、孫娘の誇大すぎる悲壮な話と思いつつも、内心では彼女の心情を理解出来き、余りにも自己中心的な考え方に困惑を覚えた。その一方、中学生の頃から可愛いがっていた、大助を自分のそばに置いておきたい願望もあり、考えも纏まらないままに「よしっ、ご飯にしよう」と言って、彼女の話を遮り、キャサリンに夕飯の用意を催促して用意させ、皆が食卓についてキャサリンが大助君のお茶碗に御飯を盛り付けようとしたとき、彼女は「ママッ!大ちゃんのことは、私がするからいいゎ」と言って、キャサリンからお茶碗をとり上げて、自分で不慣れな手つきでご飯をよそって、祖父や母の目をチラット見て恥ずかしそうに大助に差し出した。お爺さんは、その様子を見ていて、思い込みの強い彼女の性格から、彼女の言い分を否...(続)山と河にて11

  • (続) 山と河にて 10

    姉妹編「河のほとりで」・「雪の華」・「山と河にて」に続くあらすじ}地方の医院で裕福に育った美代子は、所謂、英系のハーフなるがゆえに中学・高校時代、厳しい批判や差別に悩みながらも、抜群の運動神経を発揮して水泳では常に県大会で入賞するほど逞しく、培われた忍耐力で数々の苦難を凌いできた。そんな彼女も中学2年生の夏に、街を縦断する河で水泳中に起きた偶然の出来事から、東京から知り合いに遊びに来ていた、城大助の陽気で優しい思いやりのある態度に、何時しか自然と心を惹かれて恋に落ち、高校時代を通じて華やかな青春を満喫して過ごし、逢う瀬を重ねる毎に二人の淡い恋を深めていった。高校卒業直後の春。家庭の事情とはいえ街を離れて、母親のキャサリンの故郷であるロンドンに移住したが、初秋に帰国後、地元の医療福祉関係の大学に進学して日々を送...(続)山と河にて10

  • (続) 山と河にて  9

    老医師は、玄関口で挨拶もそこそこに済ました大助を、満面の笑顔で手を引いて居間に連れて行ってしまった。やがて、お茶では物足りなくなったのか、老医師が大声でキャサリンに愛飲のウイスキキーと氷を持って来る様に催促し,機嫌のよい声にキャサリンも心が和らいだ。何を話しあっているのか二人の愉快そうな明るい笑い声が、病院の入り口にいる美代子と朋子にも廊下の空気を揺るがすように聞こえて来た。気が抜けた様に入り口の廊下に座り込んでいた美代子は、看護師の朋子さんから「美代ちゃん。恋人が訪ねて来たとゆうのに、なによ、そんな青ざめた顔でしゃがみ込んで・・」と、声をかけられ受付の部屋に連れて行かれた。、親しい朋子の説得に少し落ち着きを取り戻した美代子は朋子に対し、今日の出来事を涙混じりに愚痴を零していたところ、今度は老医師が大助を連れて...(続)山と河にて9

  • (続) 山と河にて 8

    美代子が、何も語らず腕組みしている大助を、兎に角、いったん飯豊町に連れて帰るべく、懸命に促していたところ、正雄とともに部屋に戻って来た静子が「美代子さん、貴女のお悩みと、これからのことについての考えをお聞きしましたゎ」「私も、そのお考えに賛成で是非協力させていただきますが、私のマンションでは何かと精神的に抵抗感があると思いますので、あくまでもお父様の所有するマンションと理解してくださいね」と、思いやりのある言葉をかけてくれ、続いて正雄が「順序を踏んで冷静に話を進め、普段通りに勉強するんだよ」「転居することについては、お爺さんやキャサリンの考えもあり、又、相談しましょう」と口添えしてくれ「皆で、レストランで夕食を食べようか」と誘ってくれた。寅太と三郎は、昼をカップラーメンで過ごし物凄く空腹を覚えていたが、立派なホ...(続)山と河にて8

  • (続) 山と河にて 7

    美代子達は、新潟駅近くにある高級ホテルに入ると、広い座敷の中央に置かれた大きいテイブルを挟んで座った美代子に、養父の正雄はにこやかな顔をして「やぁ~暫く見ないうちに、大学生らしく立派な女性に成長したねぇ」「急な電話で驚いたが、さぁ~ここに来て、どんなこでもよいから遠慮せずに話してごらん」「美代子も判る通り、今の私には出来ることは限られているが、それでも私に出来ることなら精一杯のことをしてあげるから」と、優しい言葉を掛けられ、彼女が心の落ち着く間もなく、医師らしく「少し顔色が冴えないが・・」と言葉を繋いだ。彼女は、久し振りに対面した父に、懐かしさと憎さが入り混じった複雑な思いを抱いたが、高ぶった気持ちを抑えられず、養父である正雄に対し、青ざめた顔で、いきなり「わたし、本当に生きる力を失ってしまったゎ」と返事をした...(続)山と河にて7

  • (続) 山と河にて 6

    秋の夕暮れは早く、美代子達が屋外に出ると夕闇で薄暗かった。寅太が運転する車は、家並みが関散な町を通り抜けて、ビルの乱立する市内の中心部に入ると、街灯とビルから漏れる明かり、それに彩りの綺麗な店舗のネオンやイルミネーションに街頭が華やかに照らされ、人々が群れて華やいでいた。寅太は、後部座席に乗った大助と美代子の様子に気配りしていたが、助手席の三郎が「明るいところに出ると少しは気も晴れるなぁ」「オイ寅っ。これからどうなるんだ」と声をかけると、彼は憮然として「そんなこと、俺にも判らんよ」と答えたので、三郎は「話が段々と悪い方に進んで行くみたいで・・、昨日は高いカツ弁を食ってしまったわ」と悔やんで、溜め息混じりに呟いた。美代子は、無言で正面を見ている大助の左腕に両手を絡ませ、縋りつくように身を寄せて顔を近ずけ、小声で「...(続)山と河にて6

  • (続) 山と河にて 5

    寅太が、美代子を連れて突然訪れたことで、異様な雰囲気に包まれた薄暗い部屋の空気を破る様に、大助がポツリと小声で「寅太君、階下でお湯を沸かしてきてくれないか。お茶でも飲もうや」と口火を切ると、寅太は予想外の大助の言葉に緊張感がほぐれ一瞬の安堵感から反射的に「ヨシキタ!。ヤカンはどれを使ってもいいんだな」「急須と茶碗はあるんかい」と返事して、勢いよく立ち上がり、三郎を連れて部屋を出て階下の共同炊事場に行った。階下の流し場に行くと、三郎が寅太の顔をジロジロと眺めまわして「なんだ、殴られたアザや傷跡がないが・・」と呟くと、彼が「これからだよ、コレカラダッ!」「俺一人より二人の方が、間隔があいて、少しは大助君の力もやわらぐので痛くないだろうしな」と答え、薬缶をレンジにかけると、三郎にむかい「さぁ勇気を出して、お湯が沸いた...(続)山と河にて5

  • (続) 山と河にて 4

    中秋の飯豊山麓の街は、秋雨がシトシトと降っていて少し肌寒い日であった。土曜日の昼頃。美代子と三郎の二人が、約束通り山崎商店の入り口脇の軒先で、一つの傘の中で身を寄せる様にして話し合うこともなく、なにか怯えるようにして佇んで寅太の車が現れるのを待っていた。すると、山崎社長が突然店から出てきて二人を見つけ「いやぁ、二人揃って珍しいねぇ、店の中に入ればいいさ。何か特別の買い物かね?」と声をかけたので、三郎は正直に「これから新潟に行くので、寅太の車に乗せて行ってもらうんだ」と返事をしているところに、寅太が空のダンボール箱を抱えて出てきてワゴン車に積み込んだ。彼は社長に平然とした顔つきで「大学に定期配達に行ってきます」と作業予定を話すと、社長は美代子達の顔をキョロキョロ見ながら、寅太に「診療所のお嬢さんを乗せ、お喋りして...(続)山と河にて4

  • (続) 山と河にて 3

    寅太は、同級生とはいえ成績が優秀であったことと、大学生になって一段と大人らしい艶を増した美代子に対する畏敬で、内心では、大助と交わした約束もあり、いざ、この場に及んでも話すことを一寸躊躇した。それでも、日頃、彼女の元気のない表情を見るにつけ気になり、同情心から、やはり話してしまおうと腹を決めるや、重い口を開いた。彼は彼女の表情を伺いながら用心深く、そろりと小声で「美代ちゃん。大助君は新潟にいるよ」「俺、一瞬、他人の空似かと自分の目を疑ったが、思いきって近寄り話し掛けたところ間違いなく大助君だった」「この話しを、社長や老先生に話ししようかと、散々悩んだが、大助君の立場を考えた末、美代ちゃんも大学生だし、直接話す方が一番良いと思い、今、話すんだよ」と、話し出した。美代子は寅太の話を聞いた瞬間、驚いて青い瞳を輝かせて...(続)山と河にて3

  • (続) 山と河にて 2

    寅太は、校舎裏の丘陵に綺麗に咲いている赤茶色のカキノモトの畑を通り過ぎて、眼下に駅舎が望める杉の下に僅かばかり広がる野原につくと、自転車を横に倒して腰を降ろし「ここが人目につかずいいや。美代ちゃんも座れょ」と言ったとき、繁茂するススキの中から三郎が大声で「オ~イ何処に隠れた~」と叫んだので、寅太は苦々しく「あの野郎辺りをはばからず無神経で大声を出すので、これだから嫌になっちゃうんだよなぁ~」と、眉間に皺を寄せて不機嫌そうにムッとして「此処だよもっと小さい声で静かにいえッ!」と、愚痴ったことも忘れて、三郎に負けず劣らず大声で返事をして場所を教えた。裏山に誘われて来るときは、ご機嫌で明るかった寅太が急に不機嫌になったことに対し、美代子は「寅太君。そんなに怒ることないわ」「私達、中学生時代の同級生で普段仲良しにしてお...(続)山と河にて2

  • (続) 山と河にて

    母親の母国であるイギリスから帰国して間もない美代子は、前日の校内マラソン大会の疲労で熟睡していたが、大助が沿道でニッコリ微笑んで手を振っている夢を見てハッと目を覚ました。この夢は果たして良い知らせなのか、或いは怪我や病気の不幸な暗示なのかと、しばしベットの中で思い巡らせていたが、思案するほどに胸が締め付けられる様に息苦しくなり、起き上がって出窓のガラス窓をあけて大きく息を吸い込んだ。飯豊山麓の晩秋の冷えた柔らかい風が頬をなで、空を見上げると、十三夜の月が煌々と夜空を明るく照らし、そのため他の星は、遥か遠くの方に離れて霞みチラチラと瞬いていた。俗に”西郷星”と呼ばれる火星だけが月とほどよい距離を保ってポッンと妖しげな光を放って瞬いていた。眺めているうちに、神々しさを感じて冷静さを取り戻した。彼女は妖しげに瞬く火...(続)山と河にて

  • 山と河にて (31)

    ハプニングに富んだ結婚式が終わり、皆が休憩室で休んでいるうちに、式場が披露宴の会場に変わると、珠子は化粧直しをして、薄緑色のスーツに衣替えして、昭二と連れ立って各席をニコヤカニ笑顔を振りまきながら挨拶廻りしていた。健ちゃんは、隣席に座った永井君の手を堅く握り、感激した面持ちで「やっぱり、君は頭がずば抜けていいわ、感心したよ」「それにしても、随分、手の込んだ脚本と演出で、今日の演技はアカデミ~賞ものだよ」と言って、彼の肩をポンと叩き頭を下げて礼を言った。永井君は、健ちゃんのお礼に対し、手の掌を顔の前で何度も横に振って、にこやかな笑顔で「とんでもない。僕こそ先輩にお礼をしたい気持ちで胸が一杯ですよ」「僕の真意は、ホレッ!。夏の登山訓練で、健ちゃんから結婚後の大人の生活について色々と教えてもらった頃から、珠子さんは勿...山と河にて(31)

  • 山と河にて (30)

    永井君が、宣誓に答えることなく沈黙を続けていたので、牧師は優しく諭す様に「永井さんには、私の言葉が聞こえましたか?」と聞くと、彼は「ハイ」と、か細い声で素直に返事したので、牧師は親切に、再度「貴方は、新婦を生命のかぎり愛し・・」と、繰り返して告げると、彼は暫し間を置いて、参列者にも明瞭に判る様に、はっきりとした言葉で「僕は、誓うことができません!」と、自信たっぷりな口調で、牧師の顔を見て答えた。珠子は、永井君らしい聞きなれた何時もの元気のある声で、はっきりと答えたので、、瞬間、目前でおきた突発的で奇妙な現実を理解出来ず、訳もわからずに心の中で、アッ!救われた。と、思った。それは、今のいままで、官能小説の主人公とダブって連想していた屈序と羞恥に対する嫌悪感。重苦しく息の詰まるような思いで、今夜からの猥らな行為を、...山と河にて(30)

  • 山と河にて (29)

    錦秋の9月25日は結婚式にふさわしく、東京にしては珍しく空が透き通る様に晴れあがっていた。それに爽やかな微風も吹いて残暑をいくらかでも凌ぎ易いものにしてくれた。珠子は、朝早く起きて狭いながらも芝生のある庭に出て、日頃、心を癒してくれた百日紅やツツジ等の木々に、お別れとお礼の言葉を心の中で呟やいていたが、何気なしに庭の隅に目を移すと、大助が幼いころ多摩川の土手から採ってきて生垣に植えられている、わずかばかりのススキの穂が朝風に揺れており清々しい気持ちになり心が洗われた。隣のシャム猫のタマが遊んでくれるのかと勘違いして、垣根から飛び出してきて足元に絡みつき日頃可愛がっていただけに何時も以上に愛おしくなり頭を撫でてやったが「今日でお別れょ」と告げるのが忍びなかった。生垣のススキは、まだ大助が幼稚園児だったころの夏の日...山と河にて(29)

  • あわただしい季節の変化

    気候温暖化に起因する例年にない酷暑と巡り来た暴風雨で、気が休まる日のない夏だったが、九州の豪雨による災害・米西岸の連続した大規模山火事・シリアの森林火災などが強く印象に残る。ところが、北越後では、今冬の厳寒・豪雪を暗示するかのように、9月20日以降、気温が急激に低下し(これが例年並みなのか?)19℃~26℃と晩秋を思わせるほど肌寒く感じる日々が続いている。庭のヤマブキも咲き稲刈りもほぼ終えた風景を眺めて過ごしていると、慌ただしくめぐる季節の変化に老躯が追い付いていけるかチョッピリ不安になった。あわただしい季節の変化

  • 山と河にて (27)

    大助は、奈緒から美代子のことについて聞かれたとき、彼女の胸の中を慮って正直に答えてよいかどうか迷って、返事を躊躇していたので、二人の間に少し沈黙の重苦しい時が流れたが、この際、ある程度のことは正直に話しておいた方が彼女の心の霧が晴れるんでないかと思い『美代子は、家庭内の複雑な事情で、母親のキャサリンの故郷であるイギリスに行ってしまったよ。春、別れる時、お互いに、美代子は見知らぬ土地での生活、僕は規則の厳しい大学の寮生活と、夫々が、これからの生活に馴染むまで、連絡は取り合わないことにしようと約束したんだ。最も、これは、彼女のお爺さんが、僕達のことを気遣かって好意的に言ってくれたことなんだが・・。考えてみれば、若い僕達には当然のことで、目先の恋愛感情に溺れて、大事な勉強がおろそかにならない様にとの気遣いで言ってくれ...山と河にて(27)

  • 山と河にて (26)

    皆が黙々として、前を行く組に従い歩いているうちに、雲の切れ間から下界の緑が眺められる様になり、やがて暑い日ざしが照り映え、下からソヨソヨと吹き上げる生温かい微風は、風雨に濡れた身体や衣服を乾きやすくしてくれた。マリーは、ちゃっかりと六助に負ぶさっていたが、健ちゃんが大声で「もう直ぐ休憩小屋に辿りつくので、そこで服を乾わかし、休んで行こう」と声をかけて、疲労気味の皆を励ました。山の中腹にある休憩小屋に辿りつくと、荒れた天候も一変して雲一つなく晴れ渡り、夏の陽光が眩しく草原を照らし、薄紅色のハクサンコザクラや白や黄色の名も知らぬ小さな草花が綺麗に咲き乱れていた。暑い日差しにも拘わらず、そよ風が心地よく吹いていて、疲れた身体を癒してくれた。直子は、健ちゃんの背から降りると、まだ、六助の背から降りようとしないマリーを見...山と河にて(26)

  • 山と河にて (25)

    登るときには天候もよく、それほど苦にならなかった頂上への最後の急勾配の断崖も、下山するときには霧を含んだ風も吹いて岩石がぬれて滑りやすく、皆が、崖に吸い付くように足元に神経を集中して、緊張のあまり背筋に冷や汗を流しながら、一歩一歩足元を確認しながら降りた。大助は崖を降りる途中、眼前の奈緒の豊かに丸味を帯びた尻を見て、彼女も立派な大人なんだわと妙に触りたい衝動にかられながら、やっとの思いで登り口の勾配がやや緩やかになった尾根の登山道に降り立った。尾根の両側の下方を見ると、すでに霧が渦を巻いて奔流の様に湧き出てきて、左右の下方から吹き上げてくる風を遮るものが無いので、身体に当たる風も強く感じるようになった。一息入れて入る間にも天候が瞬く間に急変し、視界は全く塞がれて3メートル位離れた、前を行く六助達の組が見えなくな...山と河にて(25)

  • 山と河にて (24)

    健ちゃんは、皆が崖淵の方に景色を見に行った後、残ってもらった永井君と草わらに対面して座り「今度から、町内会や商店会に積極的に参加してくれるとのことだが、君は頭も良いと言うことだし、人当たりも如才なく柔らかくて、会員の親睦と商店街の発展に頑張ってくれ」「町内会は任意団体で法律的な裏付けがなく、纏めるのに苦労もあるが、君なら性格的にも適任だと期待しているよ」と言ったあと「聞くところによれば、珠子さんと結婚するらしいが、彼女とは同級生だろう?。兎に角、おめでとう」「俺が口出しするのも、出すぎている様で失礼だが、城(珠子)さんの家族は店のお得意様で古くから親しくさせてもらっているので、差し支えなければ、これまでのいきさつを聞かせて欲しいのだが」「君、珠子さんを幸せにする確かな自信があるんだろうな?。極めて当たり前のこと...山と河にて(24)

  • 山と河にて (23)

    皆が、お喋りしながら賑やかな昼食を終えると、マリーは六助をせきたてて仲良く手を繋いで池のほうに駆けていったが、健ちゃんは「お~ぃ!池に近ずくなよっ!」「はまったら、底なしの無限地獄だからなぁ~」と声をかけると、六助は振り返って「脅かすなよぅ~」と真顔で返事をし、興味深そうに覗いているマリーの手を引っぱって、水溜りの周辺から離して崖の方に駆けていった。皆が、健ちゃんの言葉にビックリしていると、教師をしている直子が、珠子達に対し「健ちゃんは、二人を冷やかして言ったのょ」「ポツポツとある池は、”池塘”と言って、ホラッ、尾瀬や火打山でも見られるゎ。高い湿原地帯に出来る、雪解け水等が泥炭層に溜まった沼なのょ」と説明したところ、皆は、納得して安心していたが、健ちゃんは「あの二人、単なる仲良しか、恋愛中なのか、よぅ~判らんわ...山と河にて(23)

  • 山と河にて (22)

    冷えた微風が漂う暗夜の午前3時。珠子達女性群は目覚まし時計で起きると、外の井戸端で洗面したあと、各人は昨夜健ちゃんから指示された通りに、宿のお女将さんのお握り造りの手伝いを終えると、部屋に戻って日焼け止めの薄化粧をしたあと薄手の長袖ブラウスにジャケットを着てジーパンを履いて装い、珠子の勧めで首に予め用意してきた色とりどりのタオルを巻き、揃って入り口前に出ると、すでに、男性群は支度を整え彼女達を待っていた。健ちゃんは腰に吊るした鉈で小枝を落とし杖を作っており、各人を見ると皆に渡していた。彼女等は、男性群は二日酔いで自分達より遅いと思っていただけに、口々に「流石に、男性は違うわね」とコソコソ囁いていたら、六助は彼女達の服装を見て「いやぁ~、登山訓練とはかけ離れて華やかだなぁ。まるで、フアッション・ショウーのようで、...山と河にて(22)

  • 山と河にて (21)

    鬱陶しかった梅雨も明け、初夏の訪れらしく風薫り空もカラット晴れた土曜日の昼下がり。この時期、親睦と健康志向を兼ねた、町内青年会有志による毎年恒例の登山には絶好の日和となった。肉店を経営する健太(愛称健ちゃん)の店先に集合していた大助達一同の前に、永井君が会社の大型ジープを運転してやって来たので、健ちゃんの指示で助手席に遠慮する珠子が乗せられ、皆は、ゆとりのある後部座席に乗り込んだ。誰に言われるともなく、大助と奈緒が前方に並んで座り、六助とフイリッピン出身の看護師のマリーの二人が大助に向かい合って席をとり、後部に町内青年部のソフトボール練習に積極的に参加している、小学校教師の直子と健ちゃんが並んで座った。この様な席順になったのも、健ちゃんと直子のペアを除き、お互いに心の中で相手に惹かれているものがあり自然の成り行...山と河にて(21)

  • 山と河にて (20)

    奈緒は、健ちゃんをカウンターに呼び寄せたが周囲のお客さんが気になり、落ち着いて話が出来なく、二人だけで部屋に入ることに少し躊躇したが、思案の末、奥の居間に健太を案内した。健ちゃんも、彼女の部屋に入るのは初めてで、彼女の誘いに一瞬躊躇ったが、奈緒の顔つきから難しい内緒話かと察し、オンザロックを手にして部屋の丸テーブルの前に座ると、奈緒は「真面目に話を聞いてネ」と念を押すと、彼は「少し酔ってはいるが大丈夫だよ」と返事をしたので、彼女は冷えた水を一口飲んだあと、俯いてコップを見つめながら、重苦しい口調で呟くように『実は、一昨日、お店が休みの夜、母さんとお店の飾り幕に刺繍をしていたとき、母さんがいきなり「お前、好きな人でもいるのかい?」と聞いたので、わたしビックリして「いる訳ないでしょう」と答えたら母さんは言いにくそう...山と河にて(20)

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