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プロフィール
PROFILE

日々の便りさんのプロフィール

住所
秋葉区
出身
大田区

老若男女を問わず、人夫々に出逢いの縁が絆の始まりとなり、可愛く幼い”蒼い”恋・情熱的な”青い恋”・円熟した”緑の”恋を辿って、人生観を形成してゆくものと思慮する そんな我が人生を回顧しながら、つれずれなるままに、出合った人々の懐かしい想い出を私小説風にブログに記してみた

ブログタイトル
日々の便り
ブログURL
https://blog.goo.ne.jp/hansyoodll84
ブログ紹介文
男女を問わず中高年者で、暇つぶしに、居住地の四季の移り変わりや、趣味等を語りあえたら・・と。
更新頻度(1年)

88回 / 365日(平均1.7回/週)

ブログ村参加:2015/11/08

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ハンドル名
日々の便りさん
ブログタイトル
日々の便り
更新頻度
88回 / 365日(平均1.7回/週)
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日々の便り

日々の便りさんの新着記事

1件〜30件

  • あわただしい季節の変化

    気候温暖化に起因する例年にない酷暑と巡り来た暴風雨で、気が休まる日のない夏だったが、九州の豪雨による災害・米西岸の連続した大規模山火事・シリアの森林火災などが強く印象に残る。ところが、北越後では、今冬の厳寒・豪雪を暗示するかのように、9月20日以降、気温が急激に低下し(これが例年並みなのか?)19℃~26℃と晩秋を思わせるほど肌寒く感じる日々が続いている。庭のヤマブキも咲き稲刈りもほぼ終えた風景を眺めて過ごしていると、慌ただしくめぐる季節の変化に老躯が追い付いていけるかチョッピリ不安になった。あわただしい季節の変化

  • 山と河にて (27)

    大助は、奈緒から美代子のことについて聞かれたとき、彼女の胸の中を慮って正直に答えてよいかどうか迷って、返事を躊躇していたので、二人の間に少し沈黙の重苦しい時が流れたが、この際、ある程度のことは正直に話しておいた方が彼女の心の霧が晴れるんでないかと思い『美代子は、家庭内の複雑な事情で、母親のキャサリンの故郷であるイギリスに行ってしまったよ。春、別れる時、お互いに、美代子は見知らぬ土地での生活、僕は規則の厳しい大学の寮生活と、夫々が、これからの生活に馴染むまで、連絡は取り合わないことにしようと約束したんだ。最も、これは、彼女のお爺さんが、僕達のことを気遣かって好意的に言ってくれたことなんだが・・。考えてみれば、若い僕達には当然のことで、目先の恋愛感情に溺れて、大事な勉強がおろそかにならない様にとの気遣いで言ってくれ...山と河にて(27)

  • 山と河にて (26)

    皆が黙々として、前を行く組に従い歩いているうちに、雲の切れ間から下界の緑が眺められる様になり、やがて暑い日ざしが照り映え、下からソヨソヨと吹き上げる生温かい微風は、風雨に濡れた身体や衣服を乾きやすくしてくれた。マリーは、ちゃっかりと六助に負ぶさっていたが、健ちゃんが大声で「もう直ぐ休憩小屋に辿りつくので、そこで服を乾わかし、休んで行こう」と声をかけて、疲労気味の皆を励ました。山の中腹にある休憩小屋に辿りつくと、荒れた天候も一変して雲一つなく晴れ渡り、夏の陽光が眩しく草原を照らし、薄紅色のハクサンコザクラや白や黄色の名も知らぬ小さな草花が綺麗に咲き乱れていた。暑い日差しにも拘わらず、そよ風が心地よく吹いていて、疲れた身体を癒してくれた。直子は、健ちゃんの背から降りると、まだ、六助の背から降りようとしないマリーを見...山と河にて(26)

  • 山と河にて (25)

    登るときには天候もよく、それほど苦にならなかった頂上への最後の急勾配の断崖も、下山するときには霧を含んだ風も吹いて岩石がぬれて滑りやすく、皆が、崖に吸い付くように足元に神経を集中して、緊張のあまり背筋に冷や汗を流しながら、一歩一歩足元を確認しながら降りた。大助は崖を降りる途中、眼前の奈緒の豊かに丸味を帯びた尻を見て、彼女も立派な大人なんだわと妙に触りたい衝動にかられながら、やっとの思いで登り口の勾配がやや緩やかになった尾根の登山道に降り立った。尾根の両側の下方を見ると、すでに霧が渦を巻いて奔流の様に湧き出てきて、左右の下方から吹き上げてくる風を遮るものが無いので、身体に当たる風も強く感じるようになった。一息入れて入る間にも天候が瞬く間に急変し、視界は全く塞がれて3メートル位離れた、前を行く六助達の組が見えなくな...山と河にて(25)

  • 山と河にて (24)

    健ちゃんは、皆が崖淵の方に景色を見に行った後、残ってもらった永井君と草わらに対面して座り「今度から、町内会や商店会に積極的に参加してくれるとのことだが、君は頭も良いと言うことだし、人当たりも如才なく柔らかくて、会員の親睦と商店街の発展に頑張ってくれ」「町内会は任意団体で法律的な裏付けがなく、纏めるのに苦労もあるが、君なら性格的にも適任だと期待しているよ」と言ったあと「聞くところによれば、珠子さんと結婚するらしいが、彼女とは同級生だろう?。兎に角、おめでとう」「俺が口出しするのも、出すぎている様で失礼だが、城(珠子)さんの家族は店のお得意様で古くから親しくさせてもらっているので、差し支えなければ、これまでのいきさつを聞かせて欲しいのだが」「君、珠子さんを幸せにする確かな自信があるんだろうな?。極めて当たり前のこと...山と河にて(24)

  • 山と河にて (23)

    皆が、お喋りしながら賑やかな昼食を終えると、マリーは六助をせきたてて仲良く手を繋いで池のほうに駆けていったが、健ちゃんは「お~ぃ!池に近ずくなよっ!」「はまったら、底なしの無限地獄だからなぁ~」と声をかけると、六助は振り返って「脅かすなよぅ~」と真顔で返事をし、興味深そうに覗いているマリーの手を引っぱって、水溜りの周辺から離して崖の方に駆けていった。皆が、健ちゃんの言葉にビックリしていると、教師をしている直子が、珠子達に対し「健ちゃんは、二人を冷やかして言ったのょ」「ポツポツとある池は、”池塘”と言って、ホラッ、尾瀬や火打山でも見られるゎ。高い湿原地帯に出来る、雪解け水等が泥炭層に溜まった沼なのょ」と説明したところ、皆は、納得して安心していたが、健ちゃんは「あの二人、単なる仲良しか、恋愛中なのか、よぅ~判らんわ...山と河にて(23)

  • 山と河にて (22)

    冷えた微風が漂う暗夜の午前3時。珠子達女性群は目覚まし時計で起きると、外の井戸端で洗面したあと、各人は昨夜健ちゃんから指示された通りに、宿のお女将さんのお握り造りの手伝いを終えると、部屋に戻って日焼け止めの薄化粧をしたあと薄手の長袖ブラウスにジャケットを着てジーパンを履いて装い、珠子の勧めで首に予め用意してきた色とりどりのタオルを巻き、揃って入り口前に出ると、すでに、男性群は支度を整え彼女達を待っていた。健ちゃんは腰に吊るした鉈で小枝を落とし杖を作っており、各人を見ると皆に渡していた。彼女等は、男性群は二日酔いで自分達より遅いと思っていただけに、口々に「流石に、男性は違うわね」とコソコソ囁いていたら、六助は彼女達の服装を見て「いやぁ~、登山訓練とはかけ離れて華やかだなぁ。まるで、フアッション・ショウーのようで、...山と河にて(22)

  • 山と河にて (21)

    鬱陶しかった梅雨も明け、初夏の訪れらしく風薫り空もカラット晴れた土曜日の昼下がり。この時期、親睦と健康志向を兼ねた、町内青年会有志による毎年恒例の登山には絶好の日和となった。肉店を経営する健太(愛称健ちゃん)の店先に集合していた大助達一同の前に、永井君が会社の大型ジープを運転してやって来たので、健ちゃんの指示で助手席に遠慮する珠子が乗せられ、皆は、ゆとりのある後部座席に乗り込んだ。誰に言われるともなく、大助と奈緒が前方に並んで座り、六助とフイリッピン出身の看護師のマリーの二人が大助に向かい合って席をとり、後部に町内青年部のソフトボール練習に積極的に参加している、小学校教師の直子と健ちゃんが並んで座った。この様な席順になったのも、健ちゃんと直子のペアを除き、お互いに心の中で相手に惹かれているものがあり自然の成り行...山と河にて(21)

  • 山と河にて (20)

    奈緒は、健ちゃんをカウンターに呼び寄せたが周囲のお客さんが気になり、落ち着いて話が出来なく、二人だけで部屋に入ることに少し躊躇したが、思案の末、奥の居間に健太を案内した。健ちゃんも、彼女の部屋に入るのは初めてで、彼女の誘いに一瞬躊躇ったが、奈緒の顔つきから難しい内緒話かと察し、オンザロックを手にして部屋の丸テーブルの前に座ると、奈緒は「真面目に話を聞いてネ」と念を押すと、彼は「少し酔ってはいるが大丈夫だよ」と返事をしたので、彼女は冷えた水を一口飲んだあと、俯いてコップを見つめながら、重苦しい口調で呟くように『実は、一昨日、お店が休みの夜、母さんとお店の飾り幕に刺繍をしていたとき、母さんがいきなり「お前、好きな人でもいるのかい?」と聞いたので、わたしビックリして「いる訳ないでしょう」と答えたら母さんは言いにくそう...山と河にて(20)

  • 山と河にて (19)

    珠子は、ベットの端に座らせられた瞬間、真新しい白い敷布を見て反射的に、このベットの上で自分と同様に見知らぬ女性達が感情を無視されて、彼の一方的で単純な性的欲望の対象として弄ばれているのかと直感的に思い浮かべ、嫌悪感から彼の話も耳にはいらなかった。珠子は取り立てて話す気にもなれず、早く立ち去りたいと思っていると、彼の母親がコーヒーカップをのせたお盆を運んできて、彼女の顔を見るると、安堵感から和やかな表情で「この子は、仕事はお父さんも驚くほど上手にこなすが、人生で一番大事な結婚のことになると、好きな人がいても、恥ずかしくてプロポーズなんて言えないよ。と、弱気になり、まさか、私が代わってプロポーズする訳なんて出来ないでしょう。と、言っても取り合わないんですよ」「珠子さんなら、この子の性格を補ってくれると、私は、あなた...山と河にて(19)

  • 山と河にて (18)

    大助は、美代子と別れて帰宅した夜、彼女の身辺に起きた複雑な事情を思案して、彼女の行く末を心配するあまり、精神的な疲労と寂寞感から、家族に詳しい内容も説明せずに自室に引きこもり床に入ったが、思考が整理出来ず寝付かれないままに真剣に考えた。それは、経済的に未熟な自分では、今は、彼女を幸せな生活に導けないが、彼女が自分を信じて献身的に尽くしてくれる愛情と、老医師であるお爺さんの自分に寄せる期待に背かぬ様に努力することで、何時の日かは、彼女の夢を叶えてあげることが、自分に与えられた男の責任だと堅く心に誓った。彼が寝静まったころ。母親の孝子は娘の珠子を部屋に呼んで、お茶を飲みながら静かな声で、美代子の家庭事情から、二人が別離したことを教え、大学生になったとはいえ、我が子ながらよく厳しい環境に耐えて一切表情に表さずに頑張っ...山と河にて(18)

  • 山と河にて (17)

    大助は、帰京の車中、窓外に広がる越後平野の田園風景と、残雪をいただいて晴天に映える青い山脈を眺めながら、美代子が用意してくれた海苔巻き寿司をほおばり、彼女と過ごした休日の出来事を色々と思い出して感慨にふけっていた。彼女は、朝、自分が気ずかぬうちに起きて朝食と昼の海苔巻きを用意してくれ、なんとなく心に漂った不安をユーモアな語り口で不安をかき消してくれ、長い別れの寂しさを億尾にも出さず、あくまでも自分の意志を貫く逞しい精神力と、時折、見せる気弱く感受性の烈しい彼女に、今更ながらその一途な気持ちがたまらなく嬉しかった。しかも、目標を定めて得心したら、家庭内の複雑な問題を少しも顔に出さず、目標に向かって励む精神の強さは、確かに自分を超えるものがあると思った。それに、死線を幾度と無く越えて老境を迎えた老医師が、孫娘の幸せ...山と河にて(17)

  • 家に帰る

    訳ありで16年前に家を出て、時運に乗り「軽費老人ホーム」入居を経て賃貸マンションで独居暮らしで過ごしたが、齢87歳、腰痛で入院加療・1か月後退院を機に我が家に帰ってきたヘルパーの支援を得て都会の便利な生活から、山奥のさびれた寒村に戻ってみると、覚悟していたとはいえ、病院はおろか郵便局や公共施設への遠距離徒歩・旧知の村人の高齢化でコミユニケーションの断絶は想像を遥かに超えて絶句した然し、もはや多額の費用を費やし歳や体力を考えれば、受け入れてくれる社会はなく、日常の生活環境を整備し”健康維持と平穏”を目標に暮らす覚悟を決めた今更、金銭欲もなくなり生活費の激減も心に響かない森の中にポツンと立つ古木のように、遠からず朽ち果てる自明の摂理を脳裏に刻み、日々最善を尽くすことにした”国破れて山河あり”家に帰る

  • 山と河にて (16)

    大助は、隣室の広い座敷にある豪華な仏壇の前で、お爺さんが朝の勤行である読経の際に鐘を打つ音で目を覚ましたが、隣に寝ていたと思っていた美代子がおらず、枕もとの水を一口飲んで、そのまま、再び腕枕をして仰向けになり、桜の小枝を巧みに張り巡らした天井を見つめているうちに、昨夜のことを想い出し、その余韻の残った頭に、もしやと一抹の不安がよぎった。お爺さんの読経が終わると、美代子が薄青色のカーデガンと黒のロングスカートに白いエプロンをまとった姿で襖を開いて入って来て、枕元に膝をついて布団の襟元に手をおくと、少しハニカミながらも明るく爽やかな笑顔で「目が覚めているの?。そろそろ起きてよ。お爺さんも待っているゎ」と言いながら「ハイッ!下着を着替えてね。ズボンもアイロンをしておいたゎ」と言って、何の屈託もなく差し出したので、大助...山と河にて(16)

  • 山と河にて (15)

    大助は、浴槽から上がり脱衣場に行くと美代子も後について上がってきたが、長湯したうえに戯れた興奮で、汗が拭いても拭いても湧き出る様に皮膚を濡らし、美代子が見かねて自分のバスタオルで背中を拭いてくれたが、その時、大鏡に彼女の裸体が映っているのがチラット見えたので、大助は本能をそそわれて、彼女を抱きしめて可愛い桜色の乳首にキスをしたところ、彼女はビックリして「イヤッ!ヤメテェ~」と叫び声をあげ、慌ててバスタオルで上半身を隠して後ずさりしたので、彼は自分のとった衝動的な行動と恥ずかしさが、ない交ぜになって複雑な思いで振り向きもせずに「チェッ!さっきは、すきな様にして、といったくせに・・」「コレダカラワカンナイナァ~」と文句を言うと、彼女は少し間をおいて「ゴメンナサイ」「ナゼカジブンデモワカライヮ」と申し訳なさそうに小声...山と河にて(15)

  • 山と河にて (14)

    大助は川辺に立って、遠くに霞む残雪に映える飯豊山脈の峰々を、種々な想い出を浮かべながら眺望し、そのあと小石を何度か河に投げては眼前をゆったりと流れる河を凝視し感慨深げに「この河で、無邪気に水泳をしていたとき、美代ちゃんと初めて知りあったが、あれから4年過ぎたのか・・。時の流れは振り返ると早く感じるもんだなぁ~」「あの時。君が河底の石に躓き足を滑らせて、僕に咄嗟に抱きついたが、その時の、君の体の柔らかい感触を今でも覚えているよ」「それに・・。毎年、夏休みに理恵子さん達と水泳しり織田君達と河蟹やカジカを取ったりして遊んだのが、今となっては、懐かしい想い出だなぁ~」と言いつつ美代子の隣に腰を降ろすと、彼女の指を一本ずつ手にとって見ていて「透明なマニュキアは健康的で綺麗でいいなぁ~」「女子大生は、皆がしているのかい?」...山と河にて(14)

  • 山と河にて (13) 

    山の懐に囲まれた街では、春の夕暮れは陽が峰々の端に沈むのが早くても、晴れた日は空が明るく、時の過ぎ行くのを感じさせない。大助と美代子は、大川に架かる赤く塗装された橋の袂に差し掛かると、彼女の案内で堤防の階段を手を繋いで降りて行き、河川敷に作られた広い公園のお花畑に着いた。町内の老人倶楽部の有志が丹精こめて手入れしているお花畑は、中央の芝生を囲むように、真紅のサルビヤ・黄色nマリンゴールド等色とりどりの小さい花が植えられ、その外側を小道を挟んで、ボタンやチュウリップにツツジの花畑となっている。愛好家の人達が長年の知恵と経験を生かして手入れしているため、ボタンとチューリップは赤・色・紫と色とりどりに植えられ、山ツツジが花びらを大きく開いて春を謳歌している様に咲き誇り、一面が憩いの公園となっている。大助が一人ごとに「...山と河にて(13)

  • 山と河にて (12)

    大助の挨拶を聞いて、老医師は彼の沈着冷静な態度と返事に少し驚き、顔の前で手を振りながら困惑した顔つきで「大助君、誤解しないでくれ給え」「ワシは、君と美代子の交際に水を差す気持ちは毛頭ないが、君に対し、我が家の内情を隠し通すのもワシの気性に反し、純真な君の将来にとって参考になればと思って、恥を忍んで話したまでで、君には一切責任は無いので気にしないでくれ」と、慌ててシドロモドロに答えた。美代子は、頑固なお爺さんが覚悟し、母親も承知のこととはいえ、思いもしなかった自分の出生と今後の行く末に目が眩むほど驚いてしまったが、彼の自信に満ちた返事で気を取り直して、それなら尚更のこと大助の考えを確かめたい思いにかられながらも、二人の話を注意深く聞きながらも、彼が肝心なことを話し出さないので、お絞りの布巾をたたんだり広げたりして...山と河にて(12)

  • 山と河にて (11)

    老医師は苦渋の思いで大助に対し家庭内の話しをした日の夜。京都から帰る途中で夫の正雄を新潟に残して一人で帰宅したキャサリンに対し、昨日、家庭内の事情をある程度大助に説明したことを話したところ、キャサリンから予想もしないことを告白された。キャサリンが、今迄に見せたこともない悲しい顔で語るには『昨年夏頃から、日々の暮らしの中で、なにかにつけ、夫の正雄の態度が冷たく感じる様になり、はしたない話で口にもしたくありませんが、この際、私達夫婦の関係について本当のことを知っていただくために、敢えてお話いたしますが・・。夫とは日常の会話も少なく味気ないもので、夜の生活も一方的に自分の性欲を満たすだけの、しかも、屈序的な体位を要求し、こばむと力ずくで半ば暴力的に無理やりsexを求める様に変化してきたので、どうしたのかしら、若しかし...山と河にて(11)

  • 山と河にて (10)

    大助と、お爺さんが談笑していたとき、大きな笑い声に誘われる様に、賄いの小母さんが「先程、寅太君が山から採ったばかりだが、大助君に食べさせてくれと言って、ヤマウドを持って来てくれたわ」と、胡麻和えした葉と素切りしたウドを皿に乗せて味噌と一緒に運んで来た。お爺さんは、それを見て、益々、上機嫌になり顔をくしゃくしゃにして、彼に「これは、山菜の王者だ!。天然ものは香りが強いが凄く旨いんだよ」と言って彼に薦めた。美代子は、彼がお爺さんに調子を合わせてビールを呑んでいて、必死に頼んだ肝心なことを言い忘れてしまわないかと、一寸、心配になったが、二人が愉快そうに笑って話している様子を見ていて、まるで、実の祖父と男の孫のようで、和やかな雰囲気が羨ましくもあり、とっても嬉しかった。彼が、洋上でのカッター訓練で尻の皮が剥けるほど先輩...山と河にて(10)

  • 山と河にて (9)

    大助は、風呂場から逃げるようにして居間に戻ると、お爺さんは新聞を見ていたが、彼の顔を見るや「おやっ!早かったね」「また、美代が悪ふざけでもしたのかね」と苦笑して言ったので、彼は額の汗を拭きながら「いやぁ~、突然、美代ちゃんが飛び込んできたので、僕、魂消てしまったよ」と返事をして、浴場での出来事を正直に話そうとすると、美代子が浴衣姿で冷えたジュースを持ってきて、彼の話を途中から聞き、彼を睨めつけるようにして「余計なことを、喋らないのっ!」と話を遮ったところ、お爺さんは追い討ちをかける様に「大助君、美代は恥ずかしがらずに、君の背中を流したかね」と言ったあと「ワシが言いつけたんだが、迷惑だったかな」「もう、二人とも子供でなく、中学・高校と長い間、仲良く交際しているので、ワシは構わんと思うがな」と、からかうように悪戯ぽ...山と河にて(9)

  • 山と河にて (8)

    大助は、散歩から帰って居間で一休みしていると、眼光は鋭いが小太りで丸顔の、如何にも人の良さそうな好々爺の老医師であるお爺さんが、浴衣姿で風呂から上がって来て、大助を見るや「あぁ~、お帰り。先に入ったが、丁度いい湯加減なので、君も汗を流して来なさい」と、風呂を勧めてくれたので、彼は遠慮なく素直に返事をして浴場に向かい、脱衣場で着衣を脱ぎかけていたところ、廊下に足音が聞こえたので、慌てて風呂場に飛び込んだが、案の定、美代子が脱衣場に入ってきて、曇りガラスの扉を少し開けて、彼を覗きみるなり「新しい下着を用意しておいたわ」と言ったあと「アラッ!大ちゃん、腕時計もお風呂に入れるつもり?」と言って扉の隙間から、早く寄越しなさいと言わんばかりに、物をつかむ恰好をして白い手の掌を広げて差し出し、五本の指をヒクヒクと屈伸させてい...山と河にて(8)

  • 山と河にて (7)

    美代子は、長い髪をターバンで束ね、胸元にフリルのついた白い長袖のワイシャツに長めの黒いスカート姿で、紫色のソックスと白い運動靴を履いて、玄関先で、大助が出てくるのを、もどかしそうに自転車の脇に立って待っていた。大助が、スーツを脱ぎ、白いワイシャツと黒のズボン姿で彼女が用意してくれた運動靴を履いて外に出ると、彼女は新しい自転車を彼に渡たし「これ、大ちゃんが乗るために、朝、大急ぎで寅太君に頼んで貸してもらったの」と言ってニコット笑い、二人揃って遊び慣れた裏山の方に向かった。途中、街の人達に会ったが、皆が、笑顔で軽く頭を下げて挨拶をしてくれたが、大助は、こんな素朴な人達の住む街がこよなく好きである。裏山のゆるい下り坂の農道にさしかかると、大助は自転車をこぐこともなく両足をたらして惰性で先になり進み、美代子も後に続いた...山と河にて(7)

  • 山と河にて (6)

    珠子も、自分の恋愛経験から大助と美代子の心情を察して、母親の話に続いて「大ちゃん、母さんも言ってくれているのだし、この際、顔を見せてきてあげなさいよ」と、大助の気持ちを後押したが、大助は返事もせずメールを何度も読み返していた。大助の態度に痺れを切らした珠子が「ねぇ~、どうするつもりなの」「美代ちゃんも、首を長くして待っているのに・・。男らしくしなさいよ」「彼女からのメールを見ると、わたしも切なくなるわ」と話すと、大助は力なく「電話で様子を聞いてみようか。大学に進学して友達とのコミュニケーションで困っているのかなぁ」と言って渋々受話器を取った。大助は、入学後、初めての休暇で帰宅したが、美代子に簡単な挨拶をしたあと、防大は起きてから寝るまで規則ずくめの生活で、通常の学習のほかに訓練もあり、耐え切れずに退学してゆく生...山と河にて(6)

  • 山と河にて (5)

    ”雨後の筍”と言う諺があるが、一夜の雨で、翌朝、驚くほど筍が伸びており、一週間も放っておくと孟宗の竹林が様相を一変している。若い人達も、これに負けず劣らず心身の成長が著しい。此処、飯豊山脈の麓にある町の風景も、5年もすると、各人の生活様式に合わせた廃家や転居それに新・増改築もあり、加えて、各家とも若年層の都会への流出と老齢化現象で、家族構成や職業事情等から変化する。”栄枯衰勢”は、人の世の常であり、浮世の習いとわいえ”諸行無常”移ろい易いのはいなめず、すべてが様変わりしてゆく。人の年代を区別する表現に、季節の”春・夏・秋・冬”の言葉になぞらえて、”青春””朱陽””白秋”に”玄冬”の言葉があると聞いたことがある。この表現でいけば、白秋に近ずいた健太郎は、朱陽で燃え盛るような情熱と艶やかな体をしている妻の節子には、...山と河にて(5)

  • 初夏の香り

    振り返れば毎年のことながら、梅雨中休みのこのころ、小高い丘陵の林道を散歩すると改めて初夏の香りを満喫する老いさらばえて87歳、予期せぬ激しい腰痛に襲われ人生初体験の救急車にて病院に搬送されて1か月後ようやく退院し露の晴れ間に外出してきたそのためか例年にも増して林間の香りを感じたそれにしても、激痛のためか体重が5k減少し脚力の衰えを痛切に感じ、今後の生活環境の改善に思いを巡らせて歩いた初夏の香り

  • 山と河にて (4)

    理恵子達が、久し振りに顔を合わせた江梨子の営業担当として培われた巧みな話しに乗せられて、彼女の近況報告を交えて賑やかにお喋りしているとき、裏庭の方で父の健太郎の笑い声が聞こえたので、節子が廊下に出てガラス戸越に庭を見ると、織田君と二人で池の囲い板を取りはずしながら、なにやら愉快そうに話あっている姿が見えた。節子は、座敷に戻り理恵子にソット耳打ちし「織田君が来ているわ」と告げると、理恵子の肩を江梨子がいたずらっぽく叩いて「ソ~レ真打登場だ」と言って、彼女をからかったあと、皆が廊下に出て庭を見ると、織田君が作業着姿で健太郎と池を覗いていたので、理恵子は、ガラス戸を開けて大声で「織田く~ん、なによ声もかけてくれないで~」と叫ぶと、彼は健太郎と揃って池を覗いたまま振り向くこともなく「お~ぅ!理恵子。いま、お袋から頼まれ...山と河にて(4)

  • 山と河にて (3)

    健太郎と理恵子が帰宅すると、節子は庭先で慣れない手付きでスコップを手に残雪を取り除いていたが、二人を見ると居間に入りお茶を入れて一休みした。理恵子が「お墓も、美容院のお部屋も手入れされており綺麗だったわ」と母親に話していると、彼は「よしっ、ついでに池の周りを片付けてこようか」と言って裏庭に出て行った。二人になると、理恵子が「お父さんの後ろ姿を見ていて、一寸、老けてきた様に思え寂しく感じたわ。体調は大丈夫なの?」と聞くと、節子は「そうかね。毎日一緒にいると、わたしには気ずかないが、そうかしら?」「わたしも、その様に見えるのかしら」と言って、笑みを零し手で髪をなでていた。暫くして、庭に面した廊下のところで、健太郎が「お~い、マスを救っておいたので、塩焼きにしてくれ」と叫んだので、理恵子がバケツを持ってゆくと「鯉は、...山と河にて(3)

  • 山と河にて (2)

    春の彼岸前。飯豊山脈の麓に佇む静かな町の残雪も、木陰や道端に残すほかは、すっかり溶けて跡形もなくなり、久し振りに穏やかに晴れわたった小春日和である。朝食後、節子が花束と布袋を出して健太郎に渡したたあと、理恵子に「今日は、お父さんと二人で秋子母さんと律子さん(健太郎の先妻)のお墓にお参りに行ってきなさいね」「無事、卒業出来ましたと丁寧にお礼を言ってくるのよ」と告げたので、彼女は「お母さん、私に言ってくれれば、お花くらい買いに行ってきたのに・・」と答えると、節子は「いいのよ。朝、あなた達が散歩に出掛けたあと求めて来たのよ」「わたしの、気持ちをもこめてあるのよ」と、さりげなく言うので、彼女は母親の花に託した故人の追憶と思いやりのある心の優しさを改めて思い知らされた。理恵子は、節子が用意してくれた、お墓掃除用にと渡して...山と河にて(2)

  • 山と河にて (1)

    雪深い山里の春の訪れは、厳しい寒気に耐えて咲いていた雪椿に続いて、雪解けを待ちかねていたように可憐な顔を覗かせる黄色い水仙と梅の蕾が、ゆっくりと流れる時にあわせて知らされる。また、そのころになると遠くの山並みの色合いが変化してゆく風景の中でも自然と知らせてくれる。この時期、健太郎は家や庭木の雪囲いをかたずけたり、ときたま、朝早く起きて池の鯉に餌をまきながら話しかける生活の始まりは、年々歳々、変わることもないが、季節の巡り変わりに、ふと気ずくとき、時は確実に流れて我が身も年輪を重ねていることに思いをいたす。山上健太郎と妻の節子夫婦は、夕食後の団欒の際、お互いに「貴方の髪の毛も山の残雪のように、最近、大分白さが増してきましたね。でも、艶があるので、とても健康的で素敵だわ」「そうかね。君も前髪に銀髪が少し見えるように...山と河にて(1)

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