校門を出ると、街へ降りる道は三叉路になっており、織田君は疲れているのか少し元気のない声で「また、友達に見られて冷かされるのは嫌だし、それに時間も早いようなので、公園で一休みして行こう」と、杉木立に覆われた坂道の方に歩き出したので、理恵子も彼に並んで自転車を押してゆっくりと歩き、街の中心部が眺望できる見晴らしの良い公園に辿りついた。公園の芝草は鮮やかな緑に彩られて、誰もいなく静まりかえっており、風が心地良く頬をなでて流れ、理恵子の髪を揺らしていた。織田君は、自転車を置くと運動靴と靴下を脱ぎ捨て、野原の中ほどに向かって素足で駆け出して行き、芝生に仰向けに寝転ぶや「あぁ~最高に気分がいいわ」と叫んだので、理恵子も彼の方に駆け寄って行き、真似をして靴下を脱ぎ、隣に仰向けに寝転んだ。初夏の陽ざしを一杯に浴びた芝生は...蒼い影(19-2)