chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2015/07/18

arrow_drop_down
  • 疑惑

    蝉しぐれが殊の外こころにしみる令和三年の夏、それにつけてもよくもまあ行方知れずになった我が子の旅立ちにめぐり合えたものだ…能や歌舞伎の「隅田川」(長唄で言えば『賎機帯~しずはたおび』)に申し訳ない…桜川であった有難さよ…と廻り合わせの不思議さに、今朝も物語を紡ぎだしてくれる植木たちに水を遣りながら、ベランダから目を移すと、疫病か熱中症か見分けもつかず、入院も出来ない人々が巷に放り出されるという、とても西暦を二千年以上数えた、この日本の現実のこととも思えない世相が展開されているのである。黒澤明の羅生門の1シーンが目に浮かぶ。植木鉢に小さいハエが湧くのを防ぐのは、培養土の上2センチぐらいをゴッソリ取り除くといいですよ…と花の好きなお弟子さんが教えてくれたのを、思い付きでコバエ除けを目論んで鹿沼土を薄く敷いてみたが…...疑惑

  • 二人の碧丸

    今年の旧暦六月六日は7月15日。午前中に、轟然たる雷鳴とともに滝の如き雨に見舞われた。コロナ禍下とてお盆の墓参も控えて、三日の間、昭和の頃の精霊棚のしつらえをあれこれ想い出していた。田舎の8月の旧盆では、仏壇とは別に、奥座敷の床の間へ精霊棚を設けて、家紋入りの吊り提灯のほかに、たくさんの大内行灯を飾る。さまざまな意匠を凝らした回り灯篭が美しい。古典的な具象柄の走馬灯のほかにポップな水玉柄もあって、子どもごころに気に入っていた。お墓の前には、二本の笹竹を支柱として竹の横木を渡したところへ、彩色を施した盆提灯を三つ下げたのを飾った。各家の墓前がとりどりの提灯をぶら下げていて、旧盆の墓地は賑やかだった。いつ頃からだったろう、そのような風景を見なくなって久しい。翌16日は閻魔様もお休みで、まさに地獄の釜の蓋があいたよう...二人の碧丸

  • Time to say goodbye

    “ある日のことでございます。お釈迦様は極楽の蓮池のふちを独りでぶらぶらお歩きになっていらっしゃいました…”…なんて、お盆だものだから、芥川の蜘蛛の糸の書き出しを思い出し乍ら、何とも云えない好い匂いの、咲き初めたばかりの檸檬の花へお水を上げようと、ベランダに出た朝のことでございます。ふと、今年の春、丸い鉢に植え替えた鈴蘭の方へ目をやりますと、何かふわふわと空中に動くものがございます。……!!なんと、鷹揚と艶やかな翅を広げた一頭のアゲハチョウが、今まさに外界へ飛び立とうとしているところなのでした。お前はみどり丸ではないか…!お隣との境界線の仕切りの辺りから、漂うように浮上してきたので、今朝方羽化したものと思われます。何という邂逅、なんという奇跡の廻り合わせ。どたばたと部屋に戻り、携帯をひっつかんで、やっと写真が二枚...Timetosaygoodbye

  • 香華

    東京はお盆である。お弟子さんに、お家では旧盆でなさるの?と訊いたらキツネにつままれたような怪訝な顔をされたので((。-人-。)ゴメンネ)、はっとした。弟子の疑問点を説くのが師匠の務めである。もともと、お盆は七月十五日を中心とした祭り事なので、太陽暦を採用した明治五年(1872)十二月三日=明治6年(1873)1月1日以降、帝都たる東京府民は、従来通り日付を変えることなく新暦でも7月15日にお盆行事を執り行った。2021年現在、お盆の行事をどの程度まで日本国民が踏襲して行っているのかは知らないけれども、六十余州のほとんどが旧盆と呼ばれる新暦8月15日の盂蘭盆会をメインイベントとして、翌十六日の藪入りの習慣は廃れることなく、お盆休みという休暇の体系は続いている。この旧盆の習慣は、1945年8月15日の終戦をもって...香華

  • 君去りしのち

    グレーの梅雨空になじむように今年のアブラゼミが鳴き始めたのは昨日のこと。昼下りのベランダに出て、悄然とレモンの鉢を眺める。ビッグバンドに憧れて、タップを踏みながらクラリネットを吹く寄席芸人を目指していたのは昭和60年ぐらいのことだったか。習いに通っていた吉祥寺の丸石楽器も今はもうない。サンロード向かいにあったバウスシアターももう無い。クローゼ・クラリネット教本から始めて、ジャズのスタンダードナンバーをやりたいんです、という私のわがままを聞いてくださった本田先生は今はどうしていらっしゃるだろう。昨春から介護施設に入所したまま、コロナ禍に見舞われ帰宅も面接もままならぬ母が飲みたいらしい“大人のカルピス(以前は珈琲が好きだったのに、苦いからイヤと、介護スタッフの皆さまのお手を煩わせているらしい…)”を届けがてら、五日...君去りしのち

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」さんをフォローしませんか?

ハンドル名
長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」さん
ブログタイトル
長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」
フォロー
長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用