三つ子の魂百まで…こどもの頃、目にしたものは生涯忘れられないものである。記憶の何処かに潜んでいて、上層に様々なものが沈澱して、すっかり忘れていたのに、ある時ひょっと眼にしたものが、あっ、これを私は知っている、昔とても好きなものであったはずだ…と、自分でも吃驚することがある。二つになるかならないかの子ども時代、私は絵本を読んでもらうのが迚も好きだったらしい。母の話では、目の前に絵本を拡げて読んでいて、ふと、分かっているのかしら…と思って読むのをやめると、まだ口がよく利けないのに、本を手で示して続きをうながしたそうである。熊田千佳慕先生の『おやゆびひめ』は、私のとても大好きな絵本だった。熊田ちかぼ先生は、ファーブルに影響を受けた昆虫の画家としても有名である。たまたま数年前、「バースディカード」という、1970...こどもの神様