世の「流行り」に巻き込まれると当惑と不快を感じてしまう。とくにネット流行語にはいつも戸惑う。「沼る」もその一例。食べ物やゲームやアイドルなど、何かに夢中になって簡単には抜け出せない状態(底なし沼)を指す。 でも「流行り」に”沼って”みると、共犯意識のような帰属感があり、いっとき「軽薄、移り気上等よ!」の気分になるがすぐ飽きるし恥ずかしくもなる。 芭蕉は「奥の細道」体験を経て「芸術の本質は不易流行にあり」と考えた。「不易」はいつまでも変化しない本質的なもの、「流行」は新しく変化し続けるもので「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」と両者のバランスを説いたが、実は両者は別物で…