勇者乙の天路歴程021『巨木の森』※:勇者レベル4・一歩踏み出した勇者おそらく神社めいたところだと思った。ヤガミヒメは日本有数の偉い神さまである大国主の最初の妻なのだから、彼女も神さまに違いない。神さまは神社に居るもので、神社とは森の中にあるものだ。「ひょっとしたら、糺の森くらいあるかもしれません」ビクニも興奮気味に呟く。ここに来るまでに糺の森に似たところを抜けてきた(011『視界が開けると糺の森に似て』)ので想像してしまう。「はい、おそらくはおっしゃる通りなのですが……」ちょっと奥歯に物が挟まったように言う白兎。「まだ遠いのかい?」森ならば、遠くからでも見えるだろうが、ヤマガミヒメの森は草原の道の先に兆しも見えない。「あ、ひょっとして結界とか張って外からは見えなくなっている?」「あ、いえ、もうそろそろ…...勇者乙の天路歴程021『巨木の森』