国立新美術館で「遠距離現在UniversalRemote」展が開かれている(6月3日まで)。8人と1組の現代美術家の作品の展覧会だ。「遠距離現在」という言葉はあまり聞きなれない言葉だが、開催趣旨は、世界規模に広がる人間活動にあって、人と人との距離、人と社会との距離は近くなったのか、それとも遠くなったのか、ということらしい。本展のキーワードはインターネットの普及とパンデミックの経験だ。作品はすべてパンデミック以前に制作されたものだ。それらの作品をパンデミック以後のいま見るとどう見えるか、と本展は問う。8人と1組は国も年齢も、そして関心のありようもさまざまだ。わたしがもっとも面白かった作品は、北京とニューヨークを拠点とするシュ・ビン(1955‐)のヴィデオ作品「とんぼの眼」だ。本作品はインターネット上で公開さ...国立新美術館「遠距離現在UniversalRemote」展