サカリ・オラモが東響に初登場した。自国フィンランドの作品3曲とドヴォルザークの交響曲第8番というプログラムを振った。1曲目はラウタヴァーラ(1928‐2016)の「カントゥス・アルクティクス」。鳥の鳴き声とオーケストラのための協奏曲だ。わたしは何十年も前に一度聴いたことがある。その印象は強烈だった。今回は二度目。オーケストラの細かい動きは忘れていたが、野生の鳥たちの雄大な鳴き声を聴くと、何十年も前の記憶が蘇った。意外にオーケストラの動きはシンプルだと思った。でも、それはそうだろう。オーケストラが複雑な動きをしたら、鳥たちの鳴き声が相殺される。オラモ指揮の東響はそのオーケストラ・パートを抑制的に、だが最後は目一杯きらびやかに演奏した。2曲目はサーリアホ(1952‐2023)の「サーリコスキ歌曲集」。ソプラノ...オラモ/東響