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  • 小説 死神 第二十六章 情

    第二十六章情病院の待合室にいた。旅とは目的地を繋ぐ線の旅であったが、交通機関の発達で、点と点を結ぶ移動が旅になり、それでもその移動過程で出会いや出来事が生まれたものだが、瞬間移動にはそれがない。「何かご不満でもおありですか?」滅相もございません。大変満足しておりまする。待合室にひときわ大きな赤鬼が。藤井のおばちゃんだ!なんでこんなところに?「忍ちゃん!死にぞこないの佐々木さん!いいところに来てくれたんねぇ。」藤井のおばちゃんの掌には小さな赤ん坊がいた。人間の子供だ。「その子は?」「昨日、三途の川の渡し場で、生存が確認されたために冥界入りを拒否された赤ちゃんでございます。予定では自衛隊に発見されるのではなかったんですか?」忍さんも驚いた表情をしていた。藤井さんは相変わらず鬼のような顔だけど。「それがね、エヌ・エッ...小説死神第二十六章情

  • 妖怪に用かい?

    大寒の候なので一番寒い時期なのですが、なんだか妙に生暖かい気配で、節分近くの気候に感じてしまいます。雪も昨年末にドカンと来たきりでその後はたいした降り方もしないおかげで結果的に昨年同様雪が少ない冬になってきました。おかしいなとは思っていたんです。私がスタッドレスタイヤを新調した冬は大体雪が少ないので、12月の大雪の時にえ?っと思ったもんですが、ジンクスがラニーニャに勝った。昨年の今頃はニーハオ春節旅行者を入れるの入れないので、立民の福山がやたら吠えていたと記憶していますが、結果、どうなってんでしょうね。今は二階が悪者らしいけど。菅原道真はこうした隣国からの疫病や政治腐敗の横行を断ち切ろうと、遣唐使廃止をしたのですが、結果的に太宰府に流されて天神様になってしまった。管総理がそれをやったら東北に蟄居されて座敷童子に...妖怪に用かい?

  • 小説 死神 第二十四章 蟲

    第二十四章蟲厄除け祈願に来た神社に死神が来ている!「ライちゃんの東京事務所がここにあんねん。昨日の生津はんの怪我が労災で認められることになってん。労働監督署の事情徴収やるさかい、私とさっちゃんもここに来たんや。稲妻の誤爆やらかしたライちゃんは始末書一枚で済んで一件落着や!ええ話や!」ライちゃんって、雷神様?「そうやねん。花園神社はヤマトタケルノミコトや弁天はんなんかもここに事務所かまえてんねん。近くには稲荷はんも店出してはるしな。あんたがたの世界でいうところの合同庁舎やな。そんで、おっちゃんこそ何しに来てん?」「厄除け、と言うのか、厄払いと言うべきか・・・。」「そりゃええ心がけや。厄払いはやっとくべきやで。合同庁舎やから商売繁盛でも身体健康でもなんでも申請してくとええで。ここはあれやで、東京のパワースポットやさ...小説死神第二十四章蟲

  • 小説 死神 第二十三章 告白

    第二十三章告白まぶしい朝日の光に目が慣れると、見たことがあるけれどすぐには思い出せない場所にいた。病院の廊下に出たまでは憶えているが、日の光に目がくらんだ瞬間にどこか別の場所に来てしまったらしい。神社の境内にいるみたいだが、脈絡がないから見覚えがあるものの思い出せない。境内の外に新宿ゴールデン街の看板が見えるので、花園神社にいるらしい。ここからなら中央線に乗れば病院に戻れるので、せっかくだからお参りしていこう。正式に鳥居から入りなおしてご挨拶していこうと、いったん外に出て参道の石畳の上を歩きだすと、鳥居の手前の木陰に半透明な老人がいた。なにかを探しているようでしきりに上を見まわしていたが、もちろん参拝客にこの老人に気が付く人などいない。「何かお探しですか?」私は近寄って声をかけてみた。老人は私に気が付くと右手を...小説死神第二十三章告白

  • 小説 死神 第二十三章 告白

    第二十三章告白まぶしい朝日の光に目が慣れると、見たことがあるけれどすぐには思い出せない場所にいた。病院の廊下に出たまでは憶えているが、日の光に目がくらんだ瞬間にどこか別の場所に来てしまったらしい。神社の境内にいるみたいだが、脈絡がないから見覚えがあるものの思い出せない。境内の外に新宿ゴールデン街の看板が見えるので、花園神社にいるらしい。ここからなら中央線に乗れば病院に戻れるので、せっかくだからお参りしていこう。正式に鳥居から入りなおしてご挨拶していこうと、いったん外に出て参道の石畳の上を歩きだすと、鳥居の手前の木陰に半透明な老人がいた。なにかを探しているようでしきりに上を見まわしていたが、もちろん参拝客にこの老人に気が付く人などいない。「何かお探しですか?」私は近寄って声をかけてみた。老人は私に気が付くと右手を...小説死神第二十三章告白

  • 寒さ本番

    先日の10日の日。このあたりのどんど焼きで、今年は厄年なのでミカン一箱と甘酒を作ってもっていきました。子供の頃は、どんど焼きになるとミカンや甘酒やけんちん汁を食べられてうれしかったものです。42歳の厄年の人がえらく年寄りに見えて、こんなおじさんでも運なんてものを気にするのかな?なんて思ったものです。60歳の厄年の人なんかそりゃもう爺さん婆さんで、この人たちもうすぐ死んじゃうんだろうな。かわいそうだなぁ。なんて目線で見ていたものですが、今そのまもなく寿命の厄年になっている。まあ、20年とは持たないだろうし、良くて10年と考えれば、確かになぁ。とは思うのですが、早死にの家系ですしね。厄落としで同年の人たちとどんど焼きの火を囲みながら話したのは、「夜中に便所に目が覚める。」ってな話題でして、ボーコレンって薬が霊験ある...寒さ本番

  • 小説 死神 第二十二章 静かな時間

    第二十二章静かな時間夜が明けた頃、私は自分が入院している病院のロビーにいた。昨日の朝もこんな感じでここにいて、それは台風の風が吹く不穏な雲行の中であったが、私は二人の老人をここで見送った。とても心安らかなる神聖なひと時であったが、その後はおよそ一日に起きたこととは思えない、とても逆らいきれない大きな波に飲み込まれるような時間であった。否、時間と言う感覚そのものが違う世界での出来事だった。妙な言い方だが、昨日は一日私自身の様態を見ることもなく終えてしまっていた。この数日が何年にも匹敵する時間に思えている。病院内に入り、機械につながれた私がいる集中治療室に向かった。集中治療室の窓越しに私のいるベッドを見ると、そこに私はいなかった。え?ウソ!私はどこに行ったのだ?まさか?死んじゃったってことはないでしょう。こういう場...小説死神第二十二章静かな時間

  • 七日粥

    無病息災の七草がゆをもらったので温めていただきました。塩気が足りないので醤油入れて食べましたが、塩分が????とりあえず無病息災と言うことで。今日は一日強い風が吹きました。多分下界では空っ風になっていたことでしょう。例年、七日頃に寒波が来て、成人式の頃にもう少し冷え込んだ寒波が来て寒さ本番になるのですが、正月明けは暖かい日が続いたので、雪もすっかり溶けました。大雪が降るとメディアが騒がすものですから、次の雪に備えて準備が進んでいるようですが、積雪はこれからが宴もたけなわ。まだまだ序の口です。メリケンさんの国では大統領選今日が落ち着きそうな気配になってきましたが、稚拙な民主主義だったことが露呈した思いがします。投票率170パーセントなんてのがまかり通るのですから、もはやどうしょうもないとあきれるしかありません。少...七日粥

  • 小説 死神 第二十五章 駆除

    第二十五章駆除「あら?いらしてたのですか?」シャボンを吹く手を休めて、忍さんはこちらに歩み寄ってきた。しまった!気づかれた!と、振り向いて気が付かないふりをしようと思ったが、振り向いた先に忍さんが立っていた。「あ、あれは蟲と言うやつですか?」「お見えになるのですか?」「はい。黒いイトミミズのようなものが飛び出して彼らを雲のように覆っています。」「まぁ、奇特なお方。私には見えませんが、死神の目をお持ちになられたようで。」死神が見えない物が見えるっていうのなら、死神の目じゃないと思うけど。忍さんは振り返ると、またシャボン玉を飛ばした。それはまるで意思があるかの如く黒い雲に向かって飛んで行き、はじけるとその黒い雲が一瞬にして消えた。「やみくもにシャボンを飛ばしているわけではございません。シャボンが自らの勘で気配を察し...小説死神第二十五章駆除

  • 小説 死神 第二十一章 慰労会

    第二十一章慰労会一度来たことがある新宿ゴールデン街のような路地。ピンク色のスナックの看板。誰が歌うのか?かなり調子が外れた「五番街のマリー」。梵語で書かれた暖簾。深夜食堂の前にいた。「私、ちょっとスマホ新しくしてくるから先にお店に入っていて。一緒に入ったら同伴みたいじゃない!」およそそんなこと気にしそうなタマではなさそうなヨーコさん。でも、まぁ、私の信用にも関わることですし。「ちょっと重いけど、これ持って行ってマスターに料理してもらっておいて。じゃ、ラブ・アンド・ピース。」ヨーコさんはずっしり思いクーラーボックスを私に託してかすんで消えた。深夜食堂の暖簾をくぐって引き戸を開けるとカウンターの右列に村松管理官、貧乏神のあゆみさん、盲目の謎の憑神佐藤市さん、ヤヤさんが陣取っていた。引き戸の前で立ち止まっている私を見...小説死神第二十一章慰労会

  • 辛丑

    新年明けましておめでとうございます。今年の干支は辛丑(かのとうし)だそうで、辛い牛肉ってなんだろう?七味をかけすぎた牛丼とか、辛口だれのカルビ?白菜のキムチの方が辛いか。鶏肉なら胡椒たっぷりきかせた方がおいしいんですけどね。一夜明けて何が変わるというわけではありませんが、2020年が世界的に悲惨でしたから、希望は生まれてきそうですね。ひどい目に遭って希望が生まれるというのも皮肉なものですが、善し悪し、善悪なんて物は変動相場制なので、その後どうなるかの努力次第でしょうね。昨年はまんざら悪い年でもなかったんですよ。私にとっては。その前年がひどすぎた。どうもこりゃ危ねぇかも知れねぇなと、遺言のつもりで書き始めたのが5日に一度連載している小説「死神」だったんです。いわゆる一つの燃える還暦になったわけでして、10日の左義...辛丑

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