小説 死神 第二十六章 情
第二十六章情病院の待合室にいた。旅とは目的地を繋ぐ線の旅であったが、交通機関の発達で、点と点を結ぶ移動が旅になり、それでもその移動過程で出会いや出来事が生まれたものだが、瞬間移動にはそれがない。「何かご不満でもおありですか?」滅相もございません。大変満足しておりまする。待合室にひときわ大きな赤鬼が。藤井のおばちゃんだ!なんでこんなところに?「忍ちゃん!死にぞこないの佐々木さん!いいところに来てくれたんねぇ。」藤井のおばちゃんの掌には小さな赤ん坊がいた。人間の子供だ。「その子は?」「昨日、三途の川の渡し場で、生存が確認されたために冥界入りを拒否された赤ちゃんでございます。予定では自衛隊に発見されるのではなかったんですか?」忍さんも驚いた表情をしていた。藤井さんは相変わらず鬼のような顔だけど。「それがね、エヌ・エッ...小説死神第二十六章情
2021/01/30 00:00