宅地建物取引士試験・管理業務主任者試験の科目の内容(過去問の解説等)を中心に情報を発信します。
最近の宅建試験・管業試験は、単に法律の条文を暗記するだけでは解けない問題が多くなっています。事例を解決するために条文の解釈が求められています。そのため長文の問題が増えています。このことは受験者の国語力・文章の理解力が試されているということです。日頃から長文の問題・解説を読んで、慣れる必要があります。そのための力になればと思い、このブログを作成しています。
【問 6】 マンションの管理組合Aとマンション管理業者Bとの間の管理委託契約が、Aの責めに帰する事由がなく、Bの債務不履行を理由として解除された場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。1 Aは、この解除の意思表示を撤回することができない。2 AB間の管理委託契約の解除により、Bが、Aに対して、受領した金銭を返還する 義務を負う場合は、Bは受領した金額を返還すればよく...
【問 5】 Aがマンション管理業者Bの代理人と称して、マンション甲の管理組合Cとの間で管理委託契約(以下、本問において「本件契約」という。)を締結したが、Aは代理権を有していなかった場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。1 CがBに対し、相当の期間を定めて、その期間内に本件契約を追認するかどうかを 確答すべき旨の催告をしたが、当該期間内にBから確答を得られなかった...
【問 4】 マンションにおいて不法行為が発生した場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。1 マンション甲の管理組合法人でない管理組合Aから甲の外壁の修繕工事を依頼され た施工会社Bの従業員Cが、建物の周囲に足場を組んでいたところ、その部品が外れ て落下し、通行人Dが負傷した場合には、Aが損害賠償責任を負う。2 マンション乙の外壁のタイルが落下し、...
【問 3】 Aが所有するマンションの一住戸甲の売却に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。1 成年被後見人であるAが、甲を第三者に売却した場合に、Aが成年後見人Bの事前 の同意を得ていたときは、Aは、甲の売買を取り消すことができない。2 行為能力者であるAが、Cを代理人として甲を第三者に売却した場合に、代理行為 の時にCが被保佐人であったときは、Aは、Cの制限行為能力を理由...
【問 2】 マンションの区分所有者Aは、リフォーム会社Bとの間で、住戸内の浴室をリフォームする内容の請負契約(以下、本問において「本件契約」という。)を締結したが、この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。1 Bの施工ミスにより浴室から水漏れが生じていても、修補が可能な場合には、Aは Bに対して、直ちに代金減額請求をすることはできない。2 Bの工事完成前に、Aが破...
令和3年1月22日(金)に、令和2年度の管業試験の合格発表がある。あと1週間に迫っている。そこで、民法の問題(問1~問6)について解説をします。それは民法の問題についてもミス問題(問5)があるので、昨年管業の講義をした者として黙って見過ごすことはできないからである。私の知る限りこのミスを指摘している人は知らない。だから、ミスはなかったものとして採点されているのではないかと危惧している。そこで、発表の前に...
360 第1050条(特別の寄与)1項 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続 人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相 続の放棄をした者及び第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失 った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、 相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条におい...
357 第1047条(受遺者又は受贈者の負担額)1項 受遺者又は受贈者は、次の各号の定めるところに従い、遺贈(特定財産承継遺 言による財産の承継又は相続分の指定による遺産の取得を含む。以下この章にお いて同じ。)又は贈与(遺留分を算定するための財産の価額に算入されるものに限 る。以下この章において同じ。)の目的の価額(受遺者又は受贈者が相続人である 場合にあっては、当該価額から第1042条の規定によ...
355 第1045条1項 負担付贈与がされた場合における第1043条第1項に規定する贈与した財産の 価額は、その目的の価額から負担の価額を控除した額とする。2項 不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加 えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみ なす。※ 1項は、旧法1038条と同じである。 2項は、旧法1039条にもと同じような規定があった。356 ...
352 第1042条(遺留分の帰属及びその割合)1項 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第1項に規定する遺留分を算定 するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定 める割合を乗じた額を受ける。 1号 直系尊属のみが相続人である場合 3分の1 2号 前号に掲げる場合以外の場合 2分の12項 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第900条及び 第90...
348 第1038条(配偶者による使用)1項 配偶者(配偶者短期居住権を有する配偶者に限る。以下この節において同じ。)は、 従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければ ならない。2項 配偶者は、居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさ せることができない。3項 配偶者が前2項の規定に違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対 する意思表示に...
347 第1037条(配偶者短期居住権)1項 配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた 場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、 その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の所有権を相 続又は遺贈により取得した者(以下この節において「居住建物取得者」という。) に対し、居住建物について無償で使用する権利(居住建...
344 第1034条(居住建物の費用の負担)1項 配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。2項 第583条第2項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。※ 1項について、配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。通常の必要費と は、通常の修繕費用、居住建物・敷地の固定資産税等が含まれる。ただし、固定資産 税については、通常法律上の所有者が納税義務を負うので、所有者が納税した後に、 配偶...
342 第1032条(配偶者による使用及び収益)1項 配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用 及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分 について、これを居住の用に供することを妨げない。2項 配偶者居住権は、譲渡することができない。3項 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増 築をし、又は第三者に居住建物...
このブログで、令和2年度から施行される民法改正について説明をしていたのですが、途中から講義が忙しくなり、それどころではなくなり中断しました。今日から残りの改正について述べたいと思います。339 第1029条(審判による配偶者居住権の取得) 遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、次に掲げる場合に限り、配偶者が配偶者 居住権を取得する旨を定めることができる。 1号 共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取...
この問題は非常に難しい。改正法だから難しいという訳ではない。条文の解釈を問う問題であり、宅建のテキストにはほとんど触れていないからである。決して変な問題ということではなく、難解な問題だということである。 受講者の中で、12月の宅建試験を望んで終盤に申込みをして望みどおりになった人もいるが、10月試験を望んで早めに申込みをしたにもかかわらず、12月試験になった人もいる。それをマイナスと考えずに、もっと勉...
この問題は、肢1と3で迷った人が多かったと思う。1が危険負担の問題だと気付いたかどうかである。3は旧法上は正しい。しかし、改正法によって誤りとなったのである。 従来、宅建では不動産の売買における危険負担は出題されているが、委任契約についての危険負担の出題は初めてである。管業では出題されている。肢1と3は、請負契約でも、同様に解釈されているので、この際しっかりと理解してほしい。【問5】の解説 正...
今年の権利関係は、改正点がかなり出題されているが、改正点を知らなくても、従来の知識で解答に至ることが多い。ただし、【問2】、【問6】等は難しい問題である。これらは取れなくてもよい問題である。改正に絡んだ気になる問題だけ解説をする。【問2】の解説 正解4×1 誤り。保証契約は、書面(電磁的記録を含む)でしなければ、その効力 を生じないとされる(民法446条2項、3項)。これはすべての保証契約に 適用...
1 先日の宅建試験の問題の提供を受けて問題を解いていって、【問42】 の問題を見たとき、問題を提供した人に「試験場で問題の訂正はなかっ たの」と聞いた。「訂正はなかった」との返事に、一番恐れていたことが 現実に起こったと思った。2 市販されている宅建試験のテキストの多くが、宅建業法40条の解釈に ついて、「権利の行使期間」について、あるいは「責任追及期間」につい て、目的物の引渡しの日から2年以上とす...
1 前回のブログで建物の賃貸借契約で期間の定めがある場合、中途解約の 特約(解約権の留保の特約)がない限り、当事者は期間に拘束されて中途 解約はできないと説明した。 中途解約というのは、当事者の一方から解約の申入れをすると、相手方 の承諾なくして契約が解約(解除)されることである。一方的な意思表示 により契約が解除されるので、形成権の一種である。期間を定めた以上、 特約なくしてこの中途解約ができ...
1 宅建・管業・賃貸不動産経営管理士等の講義を1日6時間、週4日の ペースで6ヵ月間一人でやって、先日の26日に終了した。 今年はコロナの対策が大変で、最後まで続けることができるか危ぶま れたが、無事終了してほっとしている。 宅建試験の問題【問42】は試験が終わってからずっと気になっていた が、講義の最終日に、試験の実施団体「一般財団法人不動産適正取引推 進機構」に、正解が2つあることをFAXで通知...
令和2年度 宅建試験 【問42】の関連して、改正民法の規定の解釈について
1 前回のブログで、今年の宅建試験の【問42】の肢1について誤りである ことを指摘した。 市販している多くのテキストが、宅建業法の40条の解釈について誤った 記述をしている。そのうち、その誤りに気付いて訂正を出しているところも あることをご存知だろうか。出題者は、誤った記述のテキストを参考にした、 のか、テキスト作成者と同じように、誤解に基づいて問題を作成したものと 思われる。2 宅建業法40条が引用...
令和2年度 宅建試験 【問42】の 肢1も誤り。正解は1と4
1 宅建業法40条の解釈 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、 その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合における その不適合を担保すべき責任に関し、民法第566条に規定する期間につい てその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同 条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない(1項)。 前項の規定に反する特約は、無効とする...
338 第1028条(配偶者居住権) 1項 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人 の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のい ずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建 物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章におい て「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、...
334 第1015条(遺言執行者の行為の効果) 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続 人に対して直接にその効力を生ずる。※ 旧法は、遺言執行者は、相続人の代理人とみなすとあったのを、変更した。本来で あれば、遺言作成者である被相続人の遺言の内容を実現するための執行者であるから、 相続人ではなく被相続人の代理人であるが、被相続人は死亡しているので、相続人の 代理人とみ...
333 第1014条(特定財産に関する遺言の執行) 1項 前3条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財 産についてのみ適用する。 2項 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又 は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、 遺言執行者は、当該共同相続人が第899条の2第1項に規定する対抗要件を備え るた...
330 第1007条(遺言執行者の任務の開始) 1項 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。 2項 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に 通知しなければならない。※ 1項は変更なし。 2項は新設である。遺言内容の実現は、遺言執行者がない場合には相続人が、遺言 執行者がある場合には遺言執行者が行うので、相続人にとって遺言内容及び遺言執...
326 第970条(秘密証書遺言) 実質的な変更はない。自筆証書遺言の訂正方法を自筆証書遺言の規定を準用してい る2項の規定が、その準用していた968条2項から968条3項に変更しただけである。327 第982条(普通の方式による遺言の規定の準用) これも、準用条文の変更だけである。328 第998条(遺贈義務者の引渡義務) 遺贈義務者は、遺贈の目的である物又は権利を、相続開始の時(その後に当該物又 は権利について...
325 第968条(自筆証書遺言) 1項 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、 これに印を押さなければならない。 2項 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997 条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の 目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この 場合にお...
324 第907条の2(遺産の分割前における預貯金債権の行使) 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の3分の1 に第900条及び第901条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額 (標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯 金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその 権利を行使することができる。この場...
323 第907条(遺産の分割の協議又は審判等) 1項 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、 その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。 2項 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をするこ とができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に 請求することができる。ただし、遺産の一部を分割するこ...
321 第903条(特別受益者の相続分) 1項 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のた め若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始 の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみな し、第900条から第902条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又 は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分と...
319 第902条(遺言による相続分の指定) 1項 被相続人は、前2条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、 又はこれを定めることを第三者に委託することができる。 2項 被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれ を第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前2条の規定により 定める。※ 1項について、相続人は、前2条(法定相続分)にかか...
【第5編 相 続】317 第885条(相続財産に関する費用) 相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし、相続人の過失によ るものは、この限りでない。※ 旧法の2項を廃止した。多くの学説が不明・不当と解していたからである。318 第899条の2(共同相続における権利の承継の対抗要件) 1項 相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条 及び第901条の規定により算定し...
【第4編 親 族】316 第817条の5(養子となる者の年齢) 1項 第817条の2に規定する請求の時に15歳に達している者は、養子となること ができない。特別養子縁組が成立するまでに18歳に達した者についても、同様 とする。 2項 前項前段の規定は、養子となる者が15歳に達する前から引き続き養親となる 者に監護されている場合において、15歳に達するまでに第817条の2に規定する 請求がされなかったこ...
313 第722条(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺) 1項 第417条及び第417条の2の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。 2項 変更なし。※ 1項について、損害賠償は、別段の意思表示がない限り、金銭をもってその額を定 めるという(417条)、金銭賠償の原則の規定が準用されるとした。 また、不法行為で将来取得できた収入が取得できなくなったとして(逸失利益、消 極的損害などという)、現在...
306 第677条(組合財産に対する組合員の債権者の権利の行使の禁止) 組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない。※ 「組合員」の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができないとさ れ、組合財産に属する債権は総組合員が共同して行使することができるという合有の 原則の明文化である。 旧法は、組合の債務者は、その債務と組合員に対する債権とを相殺できないという 規定で...
301 第671条(委任の規定の準用) 第644条から第655条までの規定は、組合の業務を決定し、又は執行する組合員に ついて準用する。※ 旧法と内容は変わらない。302 第672条(業務執行組合員の辞任及び解任) 1項 組合契約の定めるところにより一人又は数人の組合員に業務の決定及び執行を 委任したときは、その組合員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。 2項 変更なし。※ 1項について、内容は旧...
297 第667条の2(他の組合員の債務不履行) 1項 第533条及び第536条の規定は、組合契約については、適用しない。 2項 組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務の履行をしないことを理由とし て、組合契約を解除することができない。※ 組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって効 力を生ずるものであり(667条1項)、団体的な性格を有する合同行為であるとされる。 したがって...
292 第662条(寄託者による返還請求等) 1項 変更なし。 2項 前項に規定する場合において、受寄者は、寄託者がその時期の前に返還を請求 したことによって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求すること ができる。※ 2項は新設規定である。1項で「寄託物の返還時期を定めた場合でも、寄託者は、 いつでも返還を請求できる」という規定があって、2項は、受寄者は、寄託者がその 時期の前に返還...
289 第658条(寄託物の使用及び第三者による保管) 1項 受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用することができない。 2項 受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなけ れば、寄託物を第三者に保管させることができない。 3項 再受寄者は、寄託者に対して、その権限の範囲内において、受寄者と同一の権 利を有し、義務を負う。※ 1項と2項の内容は、旧法では1項で...
287 第657条(寄託) 寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを 承諾することによって、その効力を生ずる。※ 寄託契約は旧法では要物契約であったが、改正法では「諾成契約」とした。寄託は 有償寄託と無償寄託があるが、有償寄託は双務契約である(受寄者の預かる義務と寄 託者の報酬支払義務は対価的出捐である)が、無償寄託は片務寄託である。要物契約 から諾成契約に変更されて...
285 第648条の2(成果等に対する報酬) 1項 委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合に おいて、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、 支払わなければならない。 2項 第634条の規定は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払う ことを約した場合について準用する。※ 委任の報酬の支払いについては、前条の事務処理の労務に対...
283 第644条の2(復受任者の選任等) 1項 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなけ れば、復受任者を選任することができない。 2項 代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任した ときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同 一の権利を有し、義務を負う。※ 1項について、旧法は復受任者の選任について規定...
279 第637条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限) 1項 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から1年以 内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、 履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をするこ とができない。 2項 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない ...
276 第634条の請負人の担保責任の規定は削除された。※ 瑕疵修補請求に関する規定であるが、改正法では、売買においても修補請求が認め られ、それが有償契約に準用されるからである。ただし、旧法では、瑕疵が重要でな く、その修補にかかる費用が可分であるときは、修補請求ができないという規定がた だし書にあった。これも含めて削除された。改正法においては、このような修補請求 があった場合、権利濫用(1条3項)や412の...
275 第634条(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬) 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付に よって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合にお いて、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。 1号 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することがで きなくなったとき。 2号 ...
272 第624条の2(履行の割合に応じた報酬) 労働者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求すること ができる。 1号 使用者の責めに帰することができない事由によって労働に従事することがで きなくなったとき。 2号 雇用が履行の中途で終了したとき。 ※ 新設規定である。273 第626条(期間の定めのある雇用の解除) 1項 雇用の期間が5年を超え、又はその終期が不確定である...
271 第622条の2(敷金) 1項 賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に 基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する 目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受 け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った 敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する...
268 第620条(賃貸借の解除の効力) 賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。 この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。※ 旧法と内容的には変わらない。269 第621条(賃借人の原状回復義務) 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によっ て生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)が ある場合に...
264 第613条(転貸の効果) 1項 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の 賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づ く債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃 貸人に対抗することができない。 2項 変更なし。 3項 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借 を...
260 第606条(賃貸人による修繕等) 1項 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃 借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りで ない。 2項 変更なし。※ 1項について、ただし書を加えた。「賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕 が必要となったとき」は、賃貸人の修繕義務はないとした。旧法時代に争いがあった のを明文で否定した。...
258 第605条の3(合意による不動産の賃貸人たる地位の移転) 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要 しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この 場合においては、前条第3項及び第4項の規定を準用する。※ 賃貸人たる地位の移転は、契約上の地位の移転であり、先の例でみれば、AC間の 契約(合意)があっても、Bの承諾がなければ移転しな...
257 第605条の2(不動産の賃貸人たる地位の移転) 1項 前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第10条又は第31条その他の法令 の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡された ときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。 2項 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲 渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に...
253 第601条(賃貸借) 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相 手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したと きに返還することを約することによって、その効力を生ずる。※ 旧法に、「及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還すること」を加えた。 解釈上当然のこととされていたことを明文化することによって、目的物を返還する債 務は...
250 第598条(使用貸借の解除) 1項 貸主は、前条第2項に規定する場合において、同項の目的に従い借主が使用及 び収益をするのに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができる。 2項 当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸 主は、いつでも契約の解除をすることができる。 3項 借主は、いつでも契約の解除をすることができる。※ 1項について、旧法では、597...
247 第593条(使用貸借) 使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取っ た物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約す ることによって、その効力を生ずる。※ 旧法は、「相手方から物を受け取ることによって、その効力を生ずる」と規定され ていたので、「要物契約」であった。改正法は、「諾成契約」とした。もちろん、「無 償契約」であることには変...
243 第588条(準消費貸借) 金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消 費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものと みなす。※ 旧法は、冒頭に「消費貸借によらないで」という文言がついていたが、改正法はこ れを削除した。旧法の下でも古い判例が、消費貸借に基づく債務を旧債務とする場合 でも準消費貸借の成立を認めていたので、この判例の立...
242 第587条の2(書面でする消費貸借等) 1項 前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他 の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の 同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。 2項 書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約 の解除をすることができる。この場合において、貸...
241 第581条(買戻しの特約の対抗力) 1項 売買契約と同時に買戻しの特約を登記したときは、買戻しは、第三者に対抗す ることができる。 2項 前項の登記がされた後に第605条の2第1項に規定する対抗要件を備えた賃借 人の権利は、その残存期間中1年を超えない期間に限り、売主に対抗することが できる。ただし、売主を害する目的で賃貸借をしたときは、この限りでない。※ 1項について、旧法は、買戻しの...
238 第576条(権利を取得することができない等のおそれがある場合の買主による代金 の支払の拒絶) 売買の目的について権利を主張する者があることその他の事由により、買主がその 買い受けた権利の全部若しくは一部を取得することができず、又は失うおそれがある ときは、買主は、その危険の程度に応じて、代金の全部又は一部の支払を拒むことが できる。ただし、売主が相当の担保を供したときは、この限りでない。※...
234 第568条(競売における担保責任等) 1項 民事執行法その他の法律の規定に基づく競売(以下この条において単に「競売」 という。)における買受人は、第541条及び第542条の規定並びに第563(第565 条において準用する場合を含む。)の規定により、債務者に対し、契約の解除をし、 又は代金の減額を請求することができる。 2項 変更なし。 3項 変更なし。 4項 前3項の規定は、競売の目的物の種類又...
233 第567条(目的物の滅失等についての危険の移転) 1項 売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る。以下この条にお いて同じ。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的 物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷し たときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の 減額の請求、損害賠償の請求及び契...
231 第565条(移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の担保責任) 前3条の規定は、売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである 場合(権利の一部が他人に属する場合においてその権利の一部を移転しないときを含 む。)について準用する。※ 先に述べたように、562条~564条は、「物」に関する規定であるが、移転した「権 利」が契約の内容に適合しない場合についても、同一の規定によっ...
229 第563条(買主の代金減額請求権) 1項 前条第1項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追 完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程 度に応じて代金の減額を請求することができる。 2項 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をするこ となく、直ちに代金の減額を請求することができる。 1号 履行の追完が不能...
228 第562条(買主の追完請求権) 1項 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないも のであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足 分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に 不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法によ る履行の追完をすることができる。 2項 前項の不適...
225 第557条(手付) 1項 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍 額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契 約の履行に着手した後は、この限りでない。 2項 第545条第4項の規定は、前項の場合には、適用しない。※ 内容的には変更なし。 1項は、判例に合わせて、売主はその倍額を「現実に提供して」と明文化し、「当事 者の一方が」と...
222 第549条(贈与) 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が 受諾をすることによって、その効力を生ずる。※ 旧法は「自己の財産」とあったのを「ある財産」と変更した。旧法の下でも「他人 物贈与」も有効とされていたのを、改正法は明文化しただけである。他人物贈与の場 合、贈与者が他人の財産を受贈者に帰属させる債務を負うということである。贈与者 がいかなる内容の義務を...
220 第548条の3(定型約款の内容の表示) 1項 定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は 定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、 相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。ただし、定型約款準 備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録し た電磁的記録を提供していたときは、この限り...
219 第548条の2(定型約款の合意) 1項 定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、そ の内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。 以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は、 次に掲げる場合には、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的 としてその特定の者により準備され...
216 第543条(債権者の責めに帰すべき事由による場合) 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、 前2条の規定による契約の解除をすることができない。※ 改正法は、債務不履行が債務者の責めに帰すべき事由によらなくても、債権者は契 約の解除ができるようになったが、債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によ るものであるときは、債権者に解除権を認めるべきではないことは...
215 第542条(催告によらない解除) 1項 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解 除をすることができる。 1号 債務の全部の履行が不能であるとき。 2号 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。 3号 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒 絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみ...
214 第541条(催告による解除) 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めて その履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をする ことができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び 取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。※ 本文は旧法のままである。改正法はただし書を加えた。本条により契約の解除...
211 第537条(第三者のためにする契約) 1項 変更なし。 2項 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定し ていない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。 3項 第1項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の 契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。※ 2項は新設である。旧法時代から、胎児や成立前の法人に対する第三者の...
209 第533条(同時履行の抗弁) 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠 償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。 ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない※ 旧法に、「債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。」という文言を加えた たけである。210 第536条(債務者の危険負担等) 1項 当事者双方の責めに...
203 第526条(申込者の死亡等) 申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者とな り、又は行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすれば その申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の 通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力 を有しない。※ 意思表示は到達した時に効力が生ずる(97条1...
198 第521条(契約の締結及び内容の自由) 1項 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決 定することができる。 2項 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することが できる。※ 1項は、契約締結の自由の原則について、2項は、契約内容の自由の原則について 明文を置いた。契約自由の原則とは、契約を誰かと締結するのも、契約の内容を定め るのも...
190 第520条の13(記名式所持人払証券の譲渡) 記名式所持人払証券(債権者を指名する記載がされている証券であって、その所持 人に弁済をすべき旨が付記されているものをいう。以下同じ。)の譲渡は、その証券を 交付しなければ、その効力を生じない。191 第520条の14(記名式所持人払証券の所持人の権利の推定) 記名式所持人払証券の所持人は、証券上の権利を適法に有するものと推定する。192 第520条の15(記名式所...
179 第520条の2(指図証券の譲渡) 指図証券の譲渡は、その証券に譲渡の裏書をして譲受人に交付しなければ、その効 力を生じない。※ 旧法は、469条から473条おいて有価証券の譲渡の規定を置いていたが、これを削 除し、あらたに第7節有価証券を設けて整備した。 指図証券とは、証券上に記載された者又はその者が指図する者を権利者とする証券 である。そして、指図証券は、裏書と譲受人への証券の交付が譲渡の効力要...
175 第513条(更改) 当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であって次に掲げるものを発生させる契 約をしたときは、従前の債務は、更改によって消滅する。 1号 従前の給付の内容について重要な変更をするもの 2号 従前の債務者が第三者と交替するもの 3号 従前の債権者が第三者と交替するもの※ 更改とは、当事者が債務の要素を変更することにより、従前の債務を消滅させ、新 たな契約を成立させる契約で...
172 第511条(差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止) 1項 差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をも って差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相 殺をもって対抗することができる。 2項 前項の規定にかかわらず、差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づい て生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺...
170 第505条(相殺の要件等) 1項 変更なし。 2項 前項の規定にかかわらず、当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示 をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によっ て知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。※ 相殺は、当事者の簡易な決済、公平の確保、担保的機能等を有する。 2項は、旧法を改正して、当事者の意思表示による相殺の禁止・制限...
168 第502条(一部弁済による代位) 1項 債権の一部について代位弁済があったときは、代位者は、債権者の同意を得て、 その弁済をした価額に応じて、債権者とともにその権利を行使することができる。 2項 前項の場合であっても、債権者は、単独でその権利を行使することができる。 3項 前2項の場合に債権者が行使する権利は、その債権の担保の目的となっている 財産の売却代金その他の当該権利の行使によって...
165 第499条(弁済による代位の要件) 債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。※ 旧法は、任意代位(弁済をするについて正当な利益を有しない者が債権者に代位す る場合)の場合には、債権者の承諾を必要としていたが、法定代位(弁済をするにつ いて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合)と区別することなく、債務者の ために弁済をした者は、債権者に代位すると規定した。両者の違いは、次条の対抗要...
162 第494条(供託) 1項 弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託すること ができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。 1号 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。 2号 債権者が弁済を受領することができないとき。 2項 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、 弁済者に過失...
158 第489条(元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当) 1項 債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場 合(債務者が数個の債務を負担する場合にあっては、同一の債権者に対して同種 の給付を目的とする数個の債務を負担するときに限る。)において、弁済をする者 がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費 用、利息及び元本に充当し...
155 第484条(弁済の場所及び時間) 1項 旧法の484条と全く同じ。 2項 法令又は慣習により取引時間の定めがあるときは、その取引時間内に限り、弁 済をし、又は弁済の請求をすることができる。※ 2項を新設した。商法520条の規定をそのまま民法に規定した。156 第486条(受取証書の交付請求) 弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請 求することができる。※ 「弁済と引...
153 第482条(代物弁済) 弁済をすることができる者(以下「弁済者」という。)が、債権者との間で、債務者 の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした 場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の 効力を有する。※ 旧法では代物弁済契約は、代物を給付したときに弁済としての効力が生ずるとして いた。そして、給付とは代物について現実に財産...
150 第479条(受領権者以外の者に対する弁済) 前条の場合を除き、受領権者以外の者に対してした弁済は、債権者がこれによって 利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。※ 旧法とほとんど同じである。多少の文言の違いがあるだけである。弁済の受領権限 のないものに対する弁済は原則としてを無効であるが、債権者がこれによって利益を 受けた場合、その限度においてその効力を有するとした。全く無効とすると、...
147 第476条(弁済として引き渡した物の消費又は譲渡がされた場合の弁済の効力 等) 前条の場合において、債権者が弁済として受領した物を善意で消費し、又は譲り渡 したときは、その弁済は、有効とする。この場合において、債権者が第三者から賠償 の請求を受けたときは、弁済をした者に対して求償をすることを妨げない。※ 旧法の476条は理論的に不当であるとして問題にされていたので、削除された。そ して、旧法...
145 第473条(弁済) 債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は、消滅する。※ 債務者が弁済権を有することを明文化した。146 第474条(第三者の弁済) 1項 債務の弁済は、第三者もすることができる。 2項 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反 して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が 知らなかったときは、この限...
143 第472条の3(免責的債務引受における引受人の求償権) 免責的債務引受の引受人は、債務者に対して求償権を取得しない。※ 併存的債務引受は、引受人が、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容 の債務を、債務者と連帯して負担することであるから、引受人が弁済等をすると債務 者に求償できる(470条1項、442条)。しかし、免責的債務引受の場合、債務者は債 務を免れるので、求償関係を基礎づける根拠(1人の...
141 第472条(免責的債務引受の要件及び効果) 1項 免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容 の債務を負担し、債務者は自己の債務を免れる。 2項 免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができ る。この場合において、免責的債務引受は、債権者が債務者に対してその契約を した旨を通知した時に、その効力を生ずる。 3項 免責的債務引受は、...
140 第471条(併存的債務引受における引受人の抗弁等) 1項 引受人は、併存的債務引受により負担した自己の債務について、その効力が生 じた時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することがで きる。 2項 債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、引受人は、これら の権利の行使によって債務者がその債務を免れるべき限度において、債権者に対 して債務の履行を拒...
139 第470条(併存的債務引受の要件及び効果) 1項 併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担 する債務と同一の内容の債務を負担する。 2項 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができ る。 3項 併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることがで きる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる...
138 第469条(債権の譲渡における相殺権) 1項 債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺を もって譲受人に対抗することができる。 2項 債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、そ の債権が次に掲げるものであるときは、前項と同様とする。ただし、債務者が対 抗要件具備時より後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。 1号 対抗...
137 第468条(債権の譲渡における債務者の抗弁) 1項 債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に 対抗することができる。 2項 第466条第4項の場合における前項の規定の適用については、同項中「対抗要 件具備時」とあるのは、「第466条第4項の相当の期間を経過した時」とし、第 466条の3の場合における同項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備 時」とある...
135 第466条の6(将来債権の譲渡性) 1項 債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。 2項 債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していな いときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する。 3項 前項に規定する場合において、譲渡人が次条の規定による通知をし、又は債務 者が同条の規定による承諾をした時(以下「対抗要件具備時」という。)ま...
133 第466条の4(譲渡制限の意思表示がされた債権の差押え) 1項 第466条第3項の規定は、譲渡制限の意思表示がされた債権に対する強制執行 をした差押債権者に対しては、適用しない。 2項 前項の規定にかかわらず、譲受人その他の第三者が譲渡制限の意思表示がされ たことを知り、又は重大な過失によって知らなかった場合において、その債権者 が同項の債権に対する強制執行をしたときは、債務者は、その...
131 第466条の2(譲渡制限の意思表示がされた債権に係る債務者の供託) 1項 債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡さ れたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債 権者の現在の住所により定まる場合にあっては、譲渡人の現在の住所を含む。次 条において同じ。)の供託所に供託することができる。 2項 前項の規定により供託をした債務者は...
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