chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
つむじ風
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2014/10/11

arrow_drop_down
  • 一矢ノ秋

    ―居眠り磐音(37)―佐伯泰英/双葉文庫2011年7月17日初版。姥捨の郷の戦いの話しは天明二年(1782年)頃の春の話し。田沼意次が放った刺客たちがジワジワと近づいて来る。幕府の丹の専売政策に抵抗し、且つ姥捨の郷の独立を守るため、周りを巻き込んでの闘争となった。久々に闘争、殺陣のシーンが展開する。なかなかダイナミックで読み応えのある巻だった。主人公等が「いつまでも姥捨の郷に居られない」と反撃を決意した瞬間だった。・お有の懐妊・田の字の監視・瀑布の戦い・刺客頭と直接談判・姥捨の郷、七人の侍・おすな捕縛・川の道の戦い(川の道二の口)・空の道の戦い(空の道一の口)・大屋敷の戦い「姥捨の郷」は空也が生まれた故郷になる。生まれ故郷というのは独特のRootsというかIdentityを形成するもので、愛国心の根のような部分...一矢ノ秋

  • 紀伊ノ変

    ―居眠り磐音(36)―佐伯泰英/双葉文庫2011年4月17日初版。息子の誕生から始まって、平穏なはずの隠れ里にもいろいろと問題は起きる。世間とつながっていないように見えて、実は切ることの出来ない関係があった。今回は、一見困難に見える問題を、利害関係者を巻き込みながら、立ち向かう地域社会の姿がある。独自性、独立性を維持しながら生きることの難しさがある。人間、仙人のように暮らすことは難しい。・空也誕生・藩内の二派・特産品の行方・御三家の後継ぎ・新たな刺客・柳次郎の婚礼出来るだけ政には関わらないように暮らしている主人公だが、それでも抗争や軋轢に触れることは避けられない。更に執拗に田の字に雇われた唐人が送り込んでくる刺客は後を絶たない。隠れ里にあっても、一向に気の休まらない主人公であった。紀伊ノ変

  • 姥捨ノ郷

    ―居眠り磐音(34)―佐伯泰英/双葉文庫2011年1月16日初版。一行の新たな逃避先は、まさかの紀州、裏高野山の隠れ里だった。泰平の世が続き、すでに雑賀衆の活躍の場は失われて久しく、僅かばかりの忍びの技が受け継がれていた。それは同行の霧子の故郷であり、里人だけが知る雑賀の邨だ。紀州和歌山は時代小説作家に限らず、「浅見光彦シリーズ」でも度々登場する。その自然の豊かさ、奥深さ、幽玄さに魅せられる人は多い。空海もその一人であったに違いない。・新たな刺客・再び逃避行・高野山の隠れ里・高野山奥之院の勝負・空也誕生無謀にも松平辰平と重富利三郎の二人がやってきた。そして、何よりおこんに子が無事生まれて、「空也」と名付けられ、都合七人のこれからに明るさが増した。しかし、子女、年寄りばかりが暮らすこの隠れ郷に長く暮らすことも憚ら...姥捨ノ郷

  • 尾張ノ夏

    ―居眠り磐音(33)―佐伯泰英/双葉文庫2010年9月19日初版。主人公の行く処、常に風雲立ち込める。尾張の地にも安寧を見出すことは無かった。田沼の追手は相変わらず止むことを知らず煩わしい。しかし、主人公は着々と徳をもって人とのつながり、信頼を強固に築き上げ、来るべき時に備える旅であった。・竹村早苗、鰻蒲焼「宮戸川」に再就職・尾張城下の暮らし・藩道場の客分・雹田平の策謀・木材横流し・示現流の二の太刀今津屋吉右衛門がお艶と大山参りに出掛ける前に水垢離のシーンがあった。今回、終段に金兵衛さんが大山参りの準備と称して、足腰を鍛える徒と水垢離のシーンがある。ここで唱えられているのが「懺悔、懺悔、六根罪障」というものだ。「六根の罪の懺悔(さんげ)を説いた」観普賢菩薩行法経という法典による教えだという説もある。201805...尾張ノ夏

  • 弧愁ノ春

    ―居眠り磐音(32)―佐伯泰英/双葉文庫2010年5月16日初版。俗に言う左遷は「都落ち」とか「島流し」とか言うけれど、追い落とされる身になれば、今まで思いも依らなかっただけに、それはそれでなかなか辛いものがある。この時代、「敗者復活」も「再チャレンジ」も見当たらない。ただいつの日か、機が熟すのを耐えて待つのみということか。・仮の宿・左近の無念・江戸脱出・猪鼻湖の作戦・称名寺の戦い312p「天上に彩雲あり、地に蓮の台(うてな)あり。東西南北広大無辺にしてその果てを人は知らず」「笹の葉は千代田の嵐に耐え抜き常しえの松の朝を待って散るべし」磐音の行く末を暗示するような句だ。・・暗い。弧愁ノ春

  • 更衣ノ鷹(上下)

    ―居眠り磐音(31)―佐伯泰英/双葉文庫(上)2010年1月10日初版。2010年1月12日第2刷、(下)2010年1月10日初版。本章では西の丸が三度の鷹狩を江戸近郊で行う。陰に陽に警戒する主人公達だったが、隙を突かれて遂に毒殺を許してしまう。その結果、大きな運命の波が押し寄せることになった。(上)・尚武館の客分・大納言の御鷹狩・おこん勾引される・雇われ暗殺者・最後の刺客、おこん奪還(下)・田沼派の様子見・佐々木家の秘事・大納言毒を盛られて身罷る・最後の刺客・尚武館閉鎖の沙汰・玲圓自裁佐々木玲圓が、P177「・・おこんとともに生き抜いてくれ」と言うと同時に、P183「われらは捨て石。元々武家というもの、一将のため死するが勤め」という葉隠の武士道的な言葉も残す。闘争に敗れた佐々木玲圓があまりにも潔く言葉通りに自...更衣ノ鷹(上下)

  • 東京時代MAP

    ―大江戸編―松岡満/光村推古書院2005年10月29日初版。2017年10月5日第9刷。元図の詳細、出典は明確になっていないが、表紙の鹿児島大学付属図書館にある「御江戸大絵図」であるとしたら、それは「嘉永5年(1852年)改正、出雲寺万次郎版岡田屋嘉七売出、折本大本、彩色江戸町図/高井蘭山著」ということになる。この地図には「元禄9年旧版、文政5年補改、天保14年(1843年)再板の地図」という履歴があるという。それはともかく、1852年は翌年浦賀に黒船がやって来た時代であり、八年後には「桜田門外の変」が起きる江戸時代末期の江戸絵図ということになると思われる。例えば、本所松坂町にあったはずの吉良上野介の邸はこの地図に載っていない。松坂町、一丁目、二丁目として分割されてしまっているのである。時代小説の読者としては、...東京時代MAP

  • 侘助ノ白

    ―居眠り磐音(30)―佐伯泰英/双葉文庫2009年7月19日初版。長い歴史を積み重ねると多くの組織は必ず腐敗してしまう。これは人が作る組織の宿命のようなものである。そんな中で自浄能力を維持することは至難のことに違いない。・土佐、山内家の改革・槍折れの名人・常泉寺の闘剣士・小田平助、尚武館に就職決まる・道場破り・山内家闘争の決着「闘剣士」なる賭場、時代小説でこのような設定は初めて読む。言うなればコロシアムの「闘牛」であり、ストリートファイターである。その非情な、人間の貪欲な、異常なグロテスクな感覚が地下の賭場に漂う。江戸時代、本当にこのようなことがあったのだろうか。確かに武士はその剣技を競うことをためらわない。主人公も悪党をバッタバッタと薙ぎ倒すが、「闘剣士」が武士の行く末だとは考えたくもないだろう。土佐の藩改革...侘助ノ白

  • 冬桜ノ雀

    ―居眠り磐音(29)―佐伯泰英/双葉文庫2009年4月19日初版。2009年5月15日第3刷。騒動のネタは大小多々あるもので、限りない。今回は再び佐渡送りの悪党共が逃亡し、江戸の市井の人々を不安に陥れる。久々に登場した関前船は新造船。この舞台装置で一網打尽の計画だ。リスクの高い計画だったが、八方丸く収まった。ただ、再就職した門番の竹村さんだけが、何とも情けないことになり、この先が思い遣られる。・利休の茶碗・佐渡送りの逃走・三味芳七代目・最後の刺客最後の盲目刺客は幻術遣いか、左腕を落とされても尚諦めない。著者がどんな結末を描いているのか、とても気になる所。ここまで盛り上げて簡単に決着がつくとは思えない。冬桜ノ雀

  • 照葉ノ露

    ―居眠り磐音(28)―佐伯泰英/双葉文庫2009年1月18日初版。今回も細々と盛沢山。中でも竹村武左衛門の奉公「就職」の話しは、現代でもそのままである。捨てきれない武士の矜持、潰しの効かない武士という職業階級だ。過去の栄光に縋り、身に付いてしまった態度や行動様式は「それではいけない」と解っていても簡単には変えられないのが人間だ。武左衛門の気持ちはよくわかる。開いていたはずの明日が、徐々に狭まっていくことに、誰のせいでもなく年齢という抗し難い壁が立ち塞がっていることに、苛立ちと焦り、絶望が過る。素直に成り切れない自分が哀しい。・設楽家の仇討ち・柳原土手の掏り・刀研ぎ屋の強盗・竹村武左衛門のリクルート・鐘撞き堂・毒殺事件・西の丸・剣術指南・同心の幼馴染・四人目の刺客主人公には相変わらず差し向けられた刺客の陰が迫る。...照葉ノ露

  • 柘榴ノ蠅

    ―居眠り磐音(27)―佐伯泰英/双葉文庫2008年9月14日初版。出羽山形の紅花専売騒動から抜け出して、帰路についた一行だが、江戸を目の前にして、もう次の騒動の芽が現われた。落ち着く暇のない主人公だ。・常陸麻生藩お家騒動・居直り強盗・野洲無宿の平造・武左衛門の悩み・次期将軍の本所、深川探訪巷の喧騒(居直り強盗、違法賭博、強請たかり)のうちに、次期将軍の本所・深川探訪が織り込まれる。そこには敵対する田沼意次派との駆け引きもある。忙し過ぎて、前身の関前藩の様子がすっかり忘れ去られてしまったようだ。柘榴ノ蠅

  • 紅花ノ邨

    ―居眠り磐音(26)―佐伯泰英/双葉文庫2008年7月20日初版。今回は山形に出張。奈緒の窮地を聞き、何か出来ないものかと思案しながらの山形行きだった。そこには山形藩の内紛があった。保守、改革の政争と国家老の恣意的な人事と共に紅花専売を独占しようという輩が暗躍していた。勿論、主人公はこれを解決するのだが、当時の紅花の生産がどのようなものであったか、旅情豊かに語られるところが実にいい。・名人「三味芳」復活・野伏・藩政刷新組・紅花文書・反撃福島の信夫山は市街地に浮かんだように在る山で、とてもよく目立つ山である。春になると近隣の人々はここに集って花見をする。場所は信夫山公園あたりだろうか。この山の東側に「岩谷観音堂」がある。転勤で福島に一年ほど暮らしたのだが、身近にありながら遂に参詣の機会が無かった。地図をよく見ると...紅花ノ邨

  • 白桐ノ夢

    ―居眠り磐音(25)―佐伯泰英/双葉文庫2008年4月20日初版。今回も例によって盛沢山。・次期将軍の美食・女たちの深川散策・竹村早苗の就職・乱派、雑貨衆の幻術・「殴られ屋」の矜持このシリーズには珍しく幻術的な殺陣シーンが登場する。雑貨衆の怨念とでも言うべき奸三郎丸多面だ。女狐おてんの子(二歳)だという話しも幻術的なのだが、普段の現実的な話しとの整合性が難しいと思われるが、実にうまくギリギリ調整されているように思う。著者の「異館/吉原裏同心シリーズ」を思い出す。これを多用すると、居眠り磐音シリーズの根底が崩れるリスクがある。肌合いのまったく異なる話しになってしまうからだ。それともこれからシリーズはこの幻術世界に踏み込むことになるのだろうか。いや25巻まで来て、それはないだろう。白桐ノ夢

  • 朧夜ノ桜

    ―居眠り磐音(24)―佐伯泰英/双葉文庫2008年1月20日初版。日光社参の「家基」護衛以来、すっかり目を付けられた主人公である。道場の増改築の完成で、杮落し大試合を勝ち抜いたことで表にも裏にも有名になってしまった。・野犬組・尚武館道場破り・磐音、佐々木家養子に入る・おこん武家の養女になる・三味芳再建・佐々木家の嫁・暗殺団田沼一派が雇った5人の暗殺団、内3人は既に討ち果たした。琉球古武術では思わぬ負傷を受けてしまったが、それも回復して、残るは宮本武蔵が模範の「独創二天一流」と「薩摩示現流」の二人の浪人。その他にも日々道場破りがやってくるから忙しい。そんな中、おこんは屋根船で神田川を上がり、人々の紙吹雪や木遣り唄に見送られて速水家の養女になった。YouTubeで「木遣り唄」を聞いてみると、神田川をゆるりと遡上する...朧夜ノ桜

  • 万両ノ雪

    ―居眠り磐音(23)―佐伯泰英/双葉文庫2007年8月20日初版。今回もなんだかんだと盛沢山。長い西国の旅だったが、磐音、おこんは江戸への帰路の途上にあった。江戸では磐音、おこんを取り巻く人々が、今か今かと二人の到着を待ち焦がれていた。・内藤新宿の夜盗・島抜けと逐電夫婦・稲荷社の旧一里塚・磐音、江戸帰着・正月の道場破りと赤織部の茶碗・今津屋の後継ぎこの冊には珍しく著者の「あとがき」が載っている。それも、かなり長い。著者がスペインで写真家をやっていた時の話しなのだが、その被写体が「闘牛士」だった。仲良くなった闘牛士を被写体にして旅に同行し、その生活を追った。それが「時代小説」にどんな影響を与えたのか、読者への資料提供でもある。著者はその関係について具体的に述べていないが、そのあたりの質問が多々あるらしい。成る程、...万両ノ雪

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、つむじ風さんをフォローしませんか?

ハンドル名
つむじ風さん
ブログタイトル
つむじ風
フォロー
つむじ風

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用