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2014/10/11

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  • 相剋

    ―警視庁失踪課・高城賢吾2―堂場瞬一/中公文庫2009年4月25日初版。2009年5月15日再版。頭痛持ちの酔いどれ刑事が今回は酒も飲まずに頑張る。今回は里田希(15)中学三年のIT企業社長の娘が忽然と姿を消すことから始まる。ネタバレ結論から言うと、兄弟とは言え相互の理解は簡単ではない。出来上がった確執は簡単には消えないということをテーマにしての「相剋」である。設定や背景、ストーリーに新しい仕掛けは何もない。派手なアクションも無ければ、飛躍した極端な推理も無い。しかし、徐々に真相に迫っていく緊張感は持続する。同時に、組織の無意味な軋轢が個性的な登場人物によって和らぐ場面は息抜きである。「拉致、監禁」は、現実にも多々起きている。だから、想像に頼らずとも、もっと過激なストーリーも可能な訳だが、今回のテーマは「拉致、...相剋

  • 贖罪

    ―警視庁失踪課・高城賢吾1―堂場瞬一/中公文庫2009年2月25日初版。最初に読んだのは「波紋」2012年12月30日だった。もう8年も前になる。その後、ランダムに半分ほど読んできたが、今回は残りをまとめて順に読むことにした。「贖罪」はシリーズ最初の作品になる。警部・高城賢吾は最初から酔いどれだったらしい。7年経過して、新設の「失踪課」に異動し、ある失踪者を追いかけることで、やっと長い眠りから目覚めるのが今回の作品。シリーズの半分も読んでから、今更感もあるが、このシリーズのコンセプトは「人は善と悪の間を漂いながら年齢を重ねていくもの」462pということがある。事件を通して、それに向き合うというのが主人公なのだろう。健康食品巨額詐欺と言えば「ロイヤル・フーズ」「L&G」「ジャパンライフ」などが有名だが、他にも細々...贖罪

  • 中上健次/文春文庫1978年12月25日初版、2011年7月15日29刷。著者は1976年の発表のこの「岬」で芥川賞を受賞している。戦後生まれの最初の受賞者である。以下、4編を収録した短編集。・黄金比の朝・火宅・浄徳寺ツアー・岬どれも関連のあるような話だが、特に「火宅」と「岬」は続編のような話。作品全体に言えることだが、サスペンスでもミステリーでもない実に妙な作品。登場人物も個性的なのだが、各々何とも言い難い雰囲気を持っている。主人公はかなり自虐的でありながら、兄を軽蔑し、世間を全く信用せず、自己完結しようともがいている。いずれも短いが中味が濃い、凝縮している。人生の「何のために」という疑問、この「不可解」を常に痛烈にリアルに問い続ける。197p「複雑な兄弟の関係、父母の関係、しかし、自分はいつもたった一人だ」...岬

  • ブルーマーダー

    誉田哲也/光文社文庫2015年6月20日初版。全く新しい話かと思ったプロローグだったが、第一章でいきなり「姫川玲子」が登場し、緊張の糸が切れた。この作品は姫川シリーズだったのか、と。別に悪い意味ではない。姫川シリーズは、既読の「ストロベリーナイト」、「ソウルケイジ」、そして未読の「シンメトリー」、「インビジブルレイン」、「感染遊戯」、本作品「ブルーマーダー」に続くらしい。このシリーズは「警察モノ」、しかも「女刑事」が主人公。これで主人公が無条件に活躍してしまえば、それはあまりにもつまらない勧善懲悪になってしまうのだが、犯人同様に傷つき、瀬戸際に立ち勝負するから面白い。毎回恐ろしい殺人鬼が登場するが、今回もまた迫力の「ブルーマーダー」だった。著者はグロな作品も行けるのではと思うくらい迫力があった。そればかり書くと...ブルーマーダー

  • ゼロの焦点

    松本清張/新潮文庫1971年2月20日初版、2010年11月20日、第125刷。作品の発表は1958年というから、62年前の作品。戦後13年のときである。この間には朝鮮戦争もあった。戦後の混乱がまだ色濃く残る時代であったと思われる。この作品は日本の推理小説、サスペンス、ミステリーの先駆けになるのだろうか。読めばわかると思うが、文章もたどたどしく、滑らかとは言えない。話の構成も無理な、不要なこじ付けもある。決して完成度が高いというわけではないが、何度も映画化、TVドラマ化され、その魅力は衰えない。忘れたころに再放送する「ゼロの焦点」である。その原点は462p「いわば、これは、敗戦によって日本の女性が受けた被害が、十三年たった今日、少しもその傷痕が消えず、ふと、ある衝撃をうけて、ふたたび、その古い疵から、いまわしい...ゼロの焦点

  • そこへ行くな

    井上荒野/集英社文庫2014年7月25日初版。短編集で以下7編を収録している。いずれもある特定の場所を指しており、お題の通り、そこに行くとロクなことにならないよ、という意味で「そこへ行くな」ということになる。著者にははじめてお目に掛かるが、大方の短編の特徴として、切れ味鋭く、衝撃的な作品になりがちだが、この作品はそれほどでもない。以外に緩やかである。しかし、短編の欠点として、踏み込みが浅く、「途中でプッツン感」がどうしても振り切れない。この作品集もご多分に漏れない。・遊園地・ガラスの学校・ベルモンドハイツ401・サークル・団地・野球場・病院しかし、その不満を別にしても面白かったのは「病院」かもしれない。他の作品は何らかの刺激によって安定から不安定(崩壊)へ変化しようとするのに対して、唯一不安定(混沌)を経て安定...そこへ行くな

  • 殺人の門

    東野圭吾/角川文庫2006年6月25日初版、2012年5月5日第26刷。612pに及ぶ長編、実に読み応えのある作品だった。ザックリ言えば「幼馴染みとの異様な関係」の話し。生まれながらにして貧富の差があることに、その不不公平さに異様な劣等感を抱き、友人であると同時に、その人生を手中にしてコントロールし、成り行きを眺めるという奇妙な趣味を持っている。付かず離れず二人の関係をここまで操り上げるというのは並みではない。殺人の門というのは簡単にくぐることは出来ないが、時と場合が整い、「引き金」が引かれた時、はじめてくぐることができるものらしい。主人公は何度も「時と場合が整った」が、「引き金」を引くことは出来なかった。今までの長い二人の異常な関係が発端となった、田島家を崩壊させたあの「小学生の時の噂」の原因が明らかになった...殺人の門

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