神隠し
―はぐれ長屋の用心棒(37)―鳥羽亮/双葉文庫2016年8月7日初版。著者の作品には、「凶盗」「鬼彦組」など虫食い的にお目に掛かったことがある。いずれも捕り物シリーズ中の一冊。この作品も捕り物と言えなくもない。このシリーズは本所相生町にある長屋の住人(店子)達が主人公である。主だったものは腕に覚えはあるものの、いずれも年寄りばかりで、こんな干からびたヒーローは滅多にいない。これが延々37話も続いてきたことになる。シリーズ最新の文庫では45まで伸ばしているらしい。今回は「神隠し」ということで、子供を狙った犯罪の話。犯罪自体は今も昔も変わらないが、そこに公的警察組織(奉行所、同心、岡っ引き)だけでなく、私的正義が存在することが面白い。成文化された法(法度)の他に、一瞬にして命のやり取りをする武士の矜持が併存するので...神隠し
2020/10/26 17:51