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2014/10/11

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  • 奪還

    麻生幾/講談社文庫2013年7月12日初版。著者の作品は初めて読む。戦記物、戦争物、或いはヒーロー物とは少し異なるが、背景は近似のものである。話としては、日本、米国、フィリピン、北朝鮮など政治的パワーバランスの中で、その生真面目な、しかし、ミッションに忠実な一部の人間を都合のいいように利用した謀略ということだろうか。命懸けで成したことが「実は~」というのでは誰しも納得しない。多大の犠牲は生き残った者が負わねばならない。情報提供者への長年の非公式な支援、それによって肥大化した組織、ボスが急死すると組織を乗っ取ろうとする者が現われ、認めなければ「長年の非公式な支援」をしていたことを暴露すると脅す。一方でマフィア同士の抗争(覇権争い)もあり、相手を潰すために利用しようとするワルも居る。主人公はその二重三重の策略を解き...奪還

  • 与力・仏の重蔵

    ―情けの剣―藤水名子/二見時代小説文庫著者の作品は初めて読む。本書はシリーズの一冊目で、現在5冊まで続編がある。重蔵は確かに強いが、不覚にも負傷することもあるし、与力でもどうにもならないこともある。女の問題では特に弱いところがリアルだ。悪党はあくまでも根っからの悪党で、偽善ではあっても真ではない。江戸時代「老人と子供が犯した罪はこれを問わず」ということであったらしいが、辰五郎のような根っからの悪党は別であろう。とても切なく読んだところは、重蔵の妻、お悠のこと。重蔵が事有る毎に思い出し、会話する場面である。妻を亡くした男の心情をよく描写していると思う。「菩薩の如きお悠のことば」「自分の思いをおくびにも出さず、つい無粋な事を言ってしまい・・」「思いをすぐさま口に出来る勇気も無く・・」「亡き人に似て見えたり、全く別の...与力・仏の重蔵

  • 人恋時雨

    ―さやか淫法帳―睦月影郎/廣済堂文庫2008年2月1日初版。「忍法」ならぬ「淫法」、「雑賀衆」ならぬ「素破衆」江戸時代風の掛け言葉(シャレ)で、まあ「面白可笑しいエロい本」ということになるだろうか。その趣味というか癖というか、スタイルは著者自身の嗜好であり妄想であろうと思う。主人公が17歳で、登場する女は大方年増というのも同じヘキではなかろうか。愛欲の形は人それぞれ、どれが真でどれが偽りかなどいうのはないと思うけれども、著者のそれは押しつけがましいと思う反面、妙に明るく楽天的、江戸時代の最も太平な時代らしく、その先の退廃の兆しは未だ見えてこない。作品のストーリーの中では徐々に盛り上がるかのような印象だが、実際はほぼ同じような描写表現の繰り返しであり、たちまち鮮度が失われる。それが、この手の作品の難しいところだ。...人恋時雨

  • 逆転法廷

    和久俊三/祥伝社ノン・ポシェット1993/07/20初版。著者は弁護士。この作品のジャンルは法廷ミステリー。シリーズではないかもしれないが、主人公の日下文雄弁護士は、他の作品でも度々登場するらしい。無罪、控訴、有罪、再審、無罪、そして最後に逃げ切った二人の犯罪者の結末である。一つ不思議に思うことは日下以下、弁護士の仕事が一応の決着を見たわけだが、その後の顛末ということがあり、実の所弁護士に対する裏切りでもあった。しかし、結審して無罪を勝ち取った時点で弁護士の仕事は終わり、「実は」ということがあっても、それは無関係なことなのだろうかと。無罪と信じて全力で弁護したにも関わらず、結果的に二人の犯罪者を見逃すことになったことに、何の関心もないというのは、法律でメシを食う人間の本心なのかと思ってしまう。真の犯罪者かどうか...逆転法廷

  • 秋思ノ人

    ―居眠り磐音江戸双紙(39)―佐伯泰英/双葉文庫2012年6月17日初版。前回読んだのが第46巻「弓張ノ月」、それから5年過ぎて、今回第39巻の「秋思ノ人」である。何でもこのシリーズは51巻まで続くらしい。磐音の直心影流の活躍は相変わらずスマートで、とにかく強すぎる。最初から負ける気がしないのである。その辺がつまらない。田沼意次が老中のこの時代、陰謀と術策が蔓延し、コネと賄賂が横行したことは想像できる。世の中、平和となればこのような階級闘争になる見本のような時代である。権力者の学歴詐称、家系図捏造は得意とするところである。そこに棹差し、政に正義を、という話しである。考えてみれば、速水左近や坂崎磐音は保守派であり、幕藩体制派である。それに比べると、田沼意次や息子の意知は、どちらかというと改革派である。勿論良いこと...秋思ノ人

  • 鳴き砂

    ―隅田川御用帳(15)―藤原緋沙子/光文社文庫2017年7月20日初版、2017年8月15日第2版。著者の作品には7年程前に「月凍てる/人情江戸彩時記」でお目に掛かって以来の再会となる。「隅田川御用帳」は著者のデビュー作のようで、以来書き続けて16冊まである長編のシリーズになっている。駆け込み寺ならぬ「駆け込み宿」の話しで、主人公の十四郎、お登勢の活躍は勿論なのだが、要するにやはり男女の、或いは夫婦の機微がテーマになる。この時代、駆け込みするのは常に女の方だと思うけれども、その機微は今も昔もさほど変わらない。そのことが読者を引き寄せる魅力になっているに違いない。舞台背景や周辺描写は確かに「江戸時代」だが、問題は「現代」なのである。そう思ってみると、その在り様は人の数だけ多様な訳で、話のネタは尽きないだろう。シリ...鳴き砂

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