奪還
麻生幾/講談社文庫2013年7月12日初版。著者の作品は初めて読む。戦記物、戦争物、或いはヒーロー物とは少し異なるが、背景は近似のものである。話としては、日本、米国、フィリピン、北朝鮮など政治的パワーバランスの中で、その生真面目な、しかし、ミッションに忠実な一部の人間を都合のいいように利用した謀略ということだろうか。命懸けで成したことが「実は~」というのでは誰しも納得しない。多大の犠牲は生き残った者が負わねばならない。情報提供者への長年の非公式な支援、それによって肥大化した組織、ボスが急死すると組織を乗っ取ろうとする者が現われ、認めなければ「長年の非公式な支援」をしていたことを暴露すると脅す。一方でマフィア同士の抗争(覇権争い)もあり、相手を潰すために利用しようとするワルも居る。主人公はその二重三重の策略を解き...奪還
2020/07/29 12:06