chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
つむじ風
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2014/10/11

arrow_drop_down
  • シューカツ!

    石田衣良/文春文庫2011年3月10日初版。著者には2013年2月8日「眠れぬ真珠」でお目に掛かった。随分久しぶりである。今回は「眠れぬ真珠」と違って、大学三年のフレッシュマンの話しである。いくら若い頃を思い出してとは言っても、とにかく若々しい文体(感覚)にちょっと驚く。学生が「ずっと学生で居られたら・・・」と思いながらも、シューカツに臨む姿が痛々しい。勿論、「散々遊んできたくせに」ザマー見ろ!というのもあるが。大学三年になって、人生の一大転換、切り替えを強いられる。しかもワンチャンスだ。自堕落な生活を送っている者にとっては、非情このうえないものだろう。社会における生活というのは、学生生活でもなければバイト生活でもない。責任重大で果てしない。ともすれば希望や思いを圧し潰す。そんなことに気が付いて恐れをなすのもよ...シューカツ!

  • 中央構造帯(上下)

    内田康夫/講談社文庫上下:2005年9月15日初版、シリーズNo.89。いきなり地学用語がお題になっており、これは浅見光彦とは関係がないのでは、、と思いつつ読んでみた。更には個人的に「糸魚川静岡構造線」の方が気になって「中央構造帯」のイメージがつかめない。それはほぼ関係なかったのだが、読み進んでいくと、どちらかと言うと「平将門伝説殺人事件」的なことだった。それが何故「中央構造帯」なのかは、あとがき(自作解説)に説明があった。早い話が、将門の名を借りて天誅を下すという殺人事件である。背景はバブル崩壊の時代であり、銀行の汚点をはっきりと残した歴史的な事件でもあった。平将門については、特に調べたことも無いが「怨念の代表選手」みたいなイメージがある。アニメ的に言えば、首が空中を飛び回る、ほぼお化けのようなものである。今...中央構造帯(上下)

  • 淡雪の記憶

    ―神酒クリニックで乾杯を―知念実希人/角川文庫2016年4月25日初版、2019年2月5日第22刷。交通事故で亡くした夫と娘の復讐を誓い、爆薬入手のため時限爆弾の製作に協力する女エンジニア。そこにもう一つの美術品強奪という犯罪が絡んでくる。どちらも狙われているのはクリニックの顧客である。片や秘書と不倫し飲酒運転の果て追突事故で父娘を死なせてしまい、その妻から追われる身、片や部下に裏切られ、預かり物の美術品を強奪される身だ。特殊能力を持ったクリニックのスタッフが顧客の問題(事件)解決に積極的に挑戦するというかなり空想的なストーリー。今回はビル爆破、一見テロ紛いの事件と飲酒運転による死亡事故の復讐という事件が同時に進行する。記憶喪失、催眠術、読心術、美術品の強奪あり、総合格闘技から、ボクシング、古武術まで何でもあり...淡雪の記憶

  • 江田島殺人事件

    内田康夫/講談社文庫1992年1月15日初版、1992年5月25日第四刷。シリーズNo.27。今回はお題の通り広島湾の「江田島」を舞台にしたもので、「しまなみ幻想」や「箱庭」を読んだ後では続き物のような気さえしてくる同じ瀬戸内海の島々をめぐる作品。一般的にその詳細は知らなくても江田島と言えば「海軍兵学校」というイメージが強い。その海軍兵学校は古鷹山の南側の麓にある施設で、「教育参考館」には軍神、東郷元帥の佩剣(短剣)が展示されているらしい。この短剣をめぐって、物語は自決や刺殺に到るという話である。ミステリー自体は、それ程目新しいものは無いが、兄の陽一郎が光彦の倫理観を評した場面があった。「杓子定規に犯罪者を断罪しない」主義であり、「犯人の裁量に任せてしまうのが、大抵の場合のきみのやり方」だと。いや全くその通りで...江田島殺人事件

  • ダンス・ダンス・ダンス(上下)

    村上春樹/講談社文庫上、1991年12月15日初版、1994年2月25日第5刷。下、1991年12月15日初版、1995年12月1日第8刷。お題は「ダンス・ダンス・ダンス」という軽いノリなんだけれど、その割に上下本で随分な長編。心の旅でもあるし、自分探しの旅でもある。サスペンスも盛り込まれミステリアスでもある。友人の五反田君のことは、ちょっと怖い。34歳の主人公が迷い込んだ死の世界からの再起動の話しである。突破口は札幌のいるかホテル(ドルフィン・ホテル)。此処から始まり、一周して此処に戻り、現実復帰を果たす。必然性とか、妥当性とか合理性とか、そのような現実とはかけ離れた意識だけの世界である。「煩悩の海」を連想した。妙な者(羊男、鷗(かもめ)、灰色猿、、)も登場する。ホノルルのDowntownで6体の白骨を見たり...ダンス・ダンス・ダンス(上下)

  • 横浜殺人事件

    内田康夫/角川文庫2002年5月25日初版。シリーズNo.31。今回は「横浜」が舞台、何だか気恥ずかしいような。横浜の風景をどんな風に表現、描写するのかとても楽しみにした一冊だった。横浜にはいろいろな魅力があり、代表的なもので総括することはとても出来ない。有体に言えば、やはり港であり、山下公園、大桟橋、マリンタワー、ランドマークタワーになるだろうか。JR横浜駅はどちらかと言うと中心から少し外れており、中心はやはり桜木町、伊勢佐木町、中華街、元町などではないかと思われる。そんな横浜の雰囲気を(十分とは言えないが)感じ取ることが出来た。小さなレストランや古いホテルも横浜には欠かせない魅力の一つである。港町特有のエキゾチックさもしっかり漂っていた。話の内容も実に横浜らしいものだった。ビスク・ドールには作家の知人がおり...横浜殺人事件

  • 天河伝説殺人事件(上下)

    内田康夫/角川文庫上/1990年6月10日初版、1994年3月10日第30刷。下/1990年6月10日初版、2000年6月20日第47刷。シリーズNo.23。和歌山線・吉野口駅から熊野市へ抜けるR309で南下、天河村は紀伊半島のド真中にある。能楽については全く知識がないが、こんな山奥の村が日本三大弁財天の一つ、芸能の神である天河弁財天の所在地であることが不思議である。天河神社のHomePageによれば、やはり本当にここで薪能が奉納され、社務所には例の五十鈴が売られているようだ。こんな山奥で。能の奉納シーンの描写が極めてリアルでありながら幻想的なのは成る程納得する。紀伊半島のもう少し南は「熊野古道殺人事件」で舞台になったところなので、多少の親しみはあるが、こちらも引けを取らない相当の山奥である。「吉野」というと何...天河伝説殺人事件(上下)

  • 汚れちまった道(上下)

    内田康夫/文春文庫上下とも2018年11月10日初版、シリーズNo.112。山陰本線の列車の窓から垣間見た「反射炉公園」の「雨のそぼ降る中に佇む美女を見た」という全く同じ描写が出て来て、思わず既読の作品かと思ってしまった。振り返って調べてみると、今回は浅見が主人公の「汚れちまった道」、前回は2014年9月17日に読んだ松田将明が主人公の「萩殺人事件」、事件は全く同じ内容・舞台背景で、松田の視点と浅見の視点で描いたものの違い。異なる出版社から同時に出版されるという離れ業、「ヤマグチ・クロス」なるもののもう一方の作品だった。読後の評によれば、松田視点の前回の作品「萩殺人事件」はちょっとシリーズとして違和感があったようだが、今回はいつもの浅見光彦であり、安心して読めた。その違いは主人公が違うのだから当然と言えば当然な...汚れちまった道(上下)

  • 化生の海

    内田康夫/新潮文庫2006年2月1日初版、シリーズNo.92。581pの長編力作。北海道の余市・松前、石川県の加賀・橋立、山口県の彦島(福浦町)、そして福岡県の津屋崎町までダイナミックでありながら、緻密な描写の積み重ね、読み応えのある作品だった。日本の物流黎明期とでも言えるような北前船の盛衰までさかのぼりながら、巧妙に現代につなげる技はいつもながら感嘆してしまう。結果としては「遺産の相続争い」の果ての殺人事件ということになるのだけれど、最後は浅見流の「武士の情け」を迫る結末になった。人はここまでその根拠を示さなければ納得しないもののようで、そこで初めて罪の重さを理解するらしい。ミステリーには定番としてカラクリの「種」というものがあるのだけれど、著者はあまりそれにこだわらない。あまりにもそれらしい、取って付けたよ...化生の海

  • 橋を渡る

    吉田修一/文春文庫2019年2月10日初版、2019年3月5日第二刷。著者の作品は初めてお目に掛かる。解説に依れば、並行して展開する話が、最後に交差するという組立は著者の得意とするところらしい。それはともかくとして、この作品は近未来小説なのか、SF小説なのか、或いはサスペンスなのか、ミステリーなのか。そんな範疇に囚われない別の何かなのか、訳が判らない。エンターテイメントとしても今一つ乗り切れない。70年後に生きる人々は、より我儘で差別的であり階級的である。そして異様な管理社会の中にある。それは今考えられる近未来に極めて近いものである。面白くも無い、つまらない、希望も夢も無い世界観なのだが、近未来は本当にこんな息苦しい世界になってしまうのだろうか。現実性に欠けるワームホールやタイムスリップが、この世界から逃れる唯...橋を渡る

  • 贄門島(上下)

    内田康夫(上)2006年8月10日初版/文春文庫、(下)2009年9月25日、初版/角川文庫、シリーズNo.91。上下の長編大作。関係する地名については、作品の中で千葉県外房の和倉港とは位置関係から「千倉港」のこと。ここから東側の洋上に美瀬島(=贄門島)があるはずだが、現実には島は無い。贄門島の着想は同じ千葉県外房の大海の東洋上にある島「仁右衛門島」から得たらしい。著者の作品で、多くの場合実の地名が使われるが、今回は珍しい。島には「御霊送り」のような風習があって、村(島)の結束がある。古くから伝承があり、そのルーツに誇りを持っている。共有してきた約束事があり、今となっては秘密と化している。それもあって島外との接触は一線を画し、一切の観光や開発を拒んでいる。そかし、その閉鎖性が強請たかりの対象になり、最終的には違...贄門島(上下)

  • 箱庭

    内田康夫/徳間文庫2013年2月15日初版、シリーズNo.63。先日読んだ「しまなみ幻想」に続くようなイメージが残る。今回の話しの舞台は宮島(厳島)なので、地理的にもごく近い。宮島を訪れたことは一度も無いけれど「旅」としてかなり堪能できたような気がする。それとオープニングの台風19号の襲来シーンは圧巻である。読者を思わず引き込む描写だったように思う。事件の背景にあるのは大規模な政界が絡んだゼネコン汚職であるけれども、殺人事件の動機としてはごく単純で、息子を思う親の思いが殺人にまで及んでしまったということに尽きる。勿論「誓約」なるものの存在が明らかなった以上は、それに見合うケジメを付けなければならないだろうけれども、この手の解決には何とも満足し難いものがある。どう考えても「トカゲの尻尾切り」にしか見えないが、だか...箱庭

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、つむじ風さんをフォローしませんか?

ハンドル名
つむじ風さん
ブログタイトル
つむじ風
フォロー
つむじ風

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用